JP3452263B1 - ムメフラール高含有梅エキス及び製造方法 - Google Patents

ムメフラール高含有梅エキス及び製造方法

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Abstract

【要約】 【課題】 果実エキスにムメフラールを高含有し、し
かも、簡便且つ安定的に製造方法及びその上質な風味を
持つ組成物を提供すること。 【解決手段】 ムメフラール高含有果実エキス組成
物、ムメフラールの含有量が果実エキス中0.5質量%
以上であり、果実エキスの含有量が全組成中の10質量
%以上である、組成物、及びムメフラール高含有梅エキ
スを製造する方法であって、製造工程が濃縮工程と加熱
工程2段階を含み、濃縮工程で水分量を低下させ、次に
加熱工程でその水分量を維持させながら、ムメフラール
を生成させること、また、被加工エキス中の水分量が4
0%質量%以下で、加熱工程中において加圧し、さら
に、加熱工程でエキスに仕上げる前に、糖類又はクエン
酸を添加すること特徴とする、ムメフラールを高含有
し、しかも、簡便且つ安定的に製造方法及び上質な風味
を持つ果実エキス組成物を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】 本発明はムメフラールを高
含有する梅エキス及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】 梅エキスは日本の特有の食品で、昔か
ら健康に良いと愛用されている。梅エキスにクエン酸を
代表とする多くの天然有機酸が含まれ、強い酸味を持
つ、また、変質しない、味が変わらないなど優れる品質
があるので、果実エキス製品中でも、長持ちの特徴があ
る。また、梅肉エキスは、クエン酸やリンゴ酸などの有
機酸類が多量に含まれており、これが昔から殺菌、疲労
回復、胃の保護作用を持つといわれている。そのため、
江戸時代には、既にこの梅エキスが家庭に常備されるほ
ど普及していたとされ、最も古くからある健康補助食品
の一つと言える。近年、食文化や環境変化などの原因
で、生活習慣病と呼ばれる社会的な健康状態の悪化が明
らかとなっている。そこで、梅エキスの様な古来の健康
に良い食品への関心が日ごとに高まっている。特に最近
の研究では、梅製品の様々な生理機能が明らかとなり、
中でも梅エキスの中にムメフラール(Mumefural)と名
付けた成分が血流改善に良い働きがあることが分かり
(松本紘斉、FOODSteyl 21、p66−68、2001;菊池佑
二、FOOD Steyl 21、p41−47、2001; ChudaY. et a
l.、J. Agric. Food Chem.、47、p828−831、1999;我
藤伸樹ら、ヘモレオロジー研究会誌、3、p81−88、200
0)、この成分が一躍梅エキスの品質評価に最も期待さ
れる評価項目とされる。
【0003】梅エキスの製造方法は遠い昔から伝統的に
伝えられている。その方法とは、梅の実をすりおろして
布などで果汁を絞り出し、その後弱火で流動性を最小限
残し長時間煮詰める。この煮詰める時間は梅の実1kg
分から絞り出した果汁にあたり約2時間が目安とされて
いる。こうして製造された梅エキスは粘度や濃度が共に
高く、少々の焦げ味を有しながら、強い酸味と持つペー
スト状のチンキエキスとなる。
【0004】ムメフラールの生成反応を図1に示す。ム
メフラールはこの梅エキスの製造工程中に加熱により生
成されたと考えられる。つまり、この成分は梅元来の成
分ではなく、梅の果汁に含まれるクエン酸と糖、例え
ば、果糖、葡萄糖、蔗糖などが加熱された際に生成され
た物質である(Chuda Y. et al.、J. Agric. Food Che
m.、47、p828−831、1999;我藤伸樹ら、ヘモレオロジ
ー研究会誌、3、p81−88、2000)。しかしながら、これ
迄にムメフラールを指標にして、梅エキスの製造工程中
においてムメフラールの生成状況及び加工条件とこの成
分の因果関係についての研究は殆ど報告されていなかっ
た。また、ムメフラールの測定手法がまだ普及されてい
ないため、市販の梅エキス中にムメフラールが含有され
ているかどうかさえ確認できていないのが現状である。
多くの生産者にとってはこのムメフラールの生成方法、
または検出方法が不明であり、製品の中に実際ムメフラ
ールが含有されているかどうかを把握することも出来な
かった。
【0005】本発明者は、予めカラムクロマトグラフィ
ーによりムメフラールの純品を取得し、更に液体クロマ
トグラフィー(HPLC)法によりムメフラールの定量
分析方法を確立した。次に、市販各種の高濃度梅果汁で
ある果実1〜3及び梅エキスであるエキス1〜7中のム
メフラール含有量を分析した。その結果を表1に示す。
【0006】
【表1】
【0007】その結果、まず非加熱濃縮方法により製造
された高濃度梅果汁である果汁1〜3中にはムメフラー
ルが殆ど含有されていないことが確認できた。次に、伝
統的な煮詰めるという方法で製造された梅エキスである
エキス1〜7中のムメフラール含量はバラツキが大き
く、既存規格値の酸度とBrix値(%)と相関しない
ことが明かになった。また、煮詰めた梅エキスの中でも
殆どムメフラールが含まれていないエキスがあることも
確認できた。従って、伝統の煮詰めるという方法では、
安定したムメフラール含有量、特に高含有の梅エキスを
製造することが困難であることが明かとなった。
【0008】梅エキス製造工程においてムメフラールの
生成は加工温度のみではなく、水分量及び加熱時間にも
深く関係することが本発明者の調査により明かとなっ
た。つまり、図1に示したように、ムメフラールの生成
反応は脱水反応であるため、エキス中の水分量は少ない
ほど、または加熱時間が長いほどムメフラールが生成さ
れやすい。
【0009】しかし、伝統の煮詰めるという方法では開
放状態で作業されているため、梅エキス中水分の減少が
進行し、特にムメフラールの生成が促進される後半の時
間帯には水分の減少が顕著である。このため、梅エキス
の風味を保ちながら低水分量の条件でムメフラールを生
成させるために加熱に時間をかけることが大変困難とな
る。従って、伝統の梅エキスを煮詰める製造法では、ム
メフラールの生成には時間が短く、或いは適切な条件の
コントロールが難しいことがムメフラールの生成が困難
であり且つ含有量の不安定性の一原因と考えられる。現
状としても、この伝統の煮詰める方法で製造された全て
の梅エキス、或いは梅エキス含有製品中に必ずムメフラ
ールが含まれることが言えず、また、ムメフラールが含
有していても、0.5質量%以上の高含有梅エキスは殆
どない。さらに、ムメフラールの含有量を安定的に製造
できる方法が整備されておらず、ムメフラールは製品の
規格項目として定めることができない。
【0010】また、ムメフラールは加熱による生成物と
されているため、多くの生産者はムメフラールを増量す
るための、加熱温度のアップや加熱時間の延長などによ
り、梅エキスの全体の風味が落とされる結果となってい
る。つまり、伝統の煮詰める方法では梅エキス中のムメ
フラール高含有と上質な風味を両立させることが出来な
い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、果実エキ
ス、特に梅エキスであってムメフラールを高含有し、し
かも、簡便且つ安定的な製造方法及びその上質な風味を
持つ組成物を提供することをその目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】 本発明では、工程を
濃縮と、加熱2段階に分け、の濃縮工程で梅果汁中
の水分量を10〜40質量%の設計数値に合わせ、次に
の加熱工程でこの水分量を±10%、好ましくは±5
%に保ちながらムメフラールを高度に生成させ、しかも
この加熱時間を任意に延長することを見出した。
【0013】次に、ムメフラールの生成に適した条件
が、水分量は10〜40質量%、好ましくは10〜25
質量%であることを見出した。例えば、梅エキスに高含
有量のムメフラールを生成させるためには、の濃縮工
程でエキスの水分量を25%に調整し、次にの加熱工
程でこの水分量を保持する。
【0014】更に、通常の果実エキス又は果実エキス含
有製品には風味の調整などの目的で、ハチミツや糖甘味
料などの糖類がよく配合される。これらの配合物は何れ
も完成後の果実エキス、特に梅エキスの中に加えるが、
エキス自体の品質と全く無関係である。本発明者は、ム
メフラールの生成には糖とクエン酸の存在が必要である
こと、又は梅の果汁の中に糖よりもクエン酸の含有量が
圧倒的に多いことなどを配慮し、加熱工程の前に予め1
0%〜50質量%の割合で糖類を加え、より多いムメフ
ラールを生成させながら、梅エキスの風味もよりまろや
かに仕上げられる方法を見出した。この糖類の事前添加
法は同条件の無添加法より実に2倍ぐらいのムメフラー
ル増量が実現できる。
【0015】最後に、従来技術では梅エキスを製造する
加熱工程において、梅エキスの濃度が高くなり、ムメフ
ラール生成原料であるエキス中のクエン酸と糖分子の反
応する機会が制限されると考えられる。本発明者は、加
圧することで分子の接触機会を増やすことが出来、通常
の常圧加熱よりも加圧処理で梅エキスの風味を守りなが
ら、ムメフラールの生成が増加されることを見出した。
【0016】すなわち、上述した製造方法での加熱工
程において加圧処理を加えれば、同じ加熱温度と加熱時
間の条件下でも、加圧することでより多くのムメフラー
ルを生成させることができ、同量のムメフラールを生成
させるために、低い加熱温度または短い加熱時間の加圧
をすることができる。
【0017】そこで、本発明は、次の構成をとる。 1.梅を原料として濃縮し加熱してムメフラール高含有
梅エキスを製造する方法であって、製造工程が濃縮工程
と加熱工程の2段階を含み、濃縮工程で梅エキス原料の
水分量を10〜40質量%に低下させ、次に加熱工程で
その水分量を保持することを特徴とする、ムメフラール
高含有梅エキスを製造する方法。 2. ムメフラール高含有梅エキスを製造する方法にお
いて、加熱工程において加圧することを特徴とする、
1.記載の方法。 3. ムメフラール高含有梅エキスを製造する方法であ
って、加熱工程において、糖類又はクエン酸のいずれか
を添加することを特徴とする、1.又は2.記載の方
法。 4. 糖類又はクエン酸をその添加量が添加後の全組成
中の10%〜50質量%となる範囲の量を添加すること
を特徴とする3.記載の方法。 5. 糖類が、ハチミツ、単糖或いはオリゴ糖から選択
されることを特徴とする、3.又は4.記載の方法。 6.クエン酸が、無水、含水或いはクエン酸塩類から選
択されることを特徴とする、3.又は4.記載の方法。 7. 青梅から搾った果汁を濃縮器に入れ、40℃の条
件下で減圧しながらBrix値80%まで濃縮する濃縮
工程、その後常圧密閉条件にて濃縮工程の水分量を5%
の変動以内に保持して攪拌しながら4〜8時間時間加熱
する加熱工程を経て、ムメフラールの含有量を0.51
〜1.02質量%とした梅エキス。 8.青梅から搾った果汁を濃縮器に入れ、40℃の条件
下で減圧しながらBrix値80%まで濃縮する濃縮工
程、その後常圧密閉条件にて濃縮工程の水分量の変動を
5%以内に保持して攪拌しながら4〜8時間時間加熱す
る加熱工程さらに110℃で1時間水分量の変動を5%
以内に保持しながら加熱・加圧工程を経て、ムメフラー
ルの含有量を1.79〜2.00質量%とした梅エキ
ス。
【0018】
【発明の実施の形態】 梅エキスの製造工程は濃縮工程
と加熱工程の2段階にし、濃縮工程で低温減圧濃縮によ
り果汁中の水分量を設計数値に合わせ、次に加熱工程で
この水分量を保ちながら加熱することにより、ムメフラ
ールを高度に生成させ、しかもこの加熱時間を任意に設
定でき、長時間とすることが出来る。
【0019】この濃縮工程においては、効率の向上とコ
ントロールの便利さを考えて低温・減圧の条件下で行う
ことが好ましい。また、加熱工程においては、加熱温度
が少なくとも80℃が必要であり、もっと効率良くムメフ
ラールを生成させるためには、100℃の加熱温度が好ま
しい。100℃以上の加熱は梅エキスの風味を損なう可能
性があるため、可能な限り避け、短時間で行うことが望
ましい。なお、100℃で加熱される場合に、加熱時間は
通常2〜24時間が望ましい。
【0020】ムメフラール高含有の梅エキスを製造する
には、ムメフラールの有効な生成条件一つとして、加熱
時のエキスまたは果汁中のBrix値が少なくとも60
%以上である。この時のエキスまたは果汁中の水分量が
少なくとも40質量%以下である。好ましい条件として
は、加熱時のエキスまたは果汁中のBrix値は70%
以上である。この時の水分量は30質量%以下である。
更により好ましいの条件としては、加熱時のエキスまた
は果汁中のBrix値は80%以上である。この時の水
分量は20質量%以下である。いずれの製造工程におい
てもムメフラールを有効に生成させることできる。ま
た、ムメフラールを0.5質量%以上と高含有するエキ
スを製造するためには、エキスまたは果汁中のBrix
値が75%以上であることが好ましく、この時の水分量
は25質量%以下であることが好ましい。
【0021】次に、ムメフラール高含有梅エキスを製造
する工程において、加圧処理による有効性について検討
した。伝統の煮詰めるという方法で梅エキスを製造する
工程、特に後半においては、梅エキスの濃度が次第に高
くなったため、エキス中のムメフラール生成原料である
糖の加熱誘導体であるヒドロキシメチルフルフラール
(HMF)の生成または、このヒドロキシメチルフルフ
ラール分子とクエン酸分子の合成反応が制限されると考
えられる。これを克服するために通常では加熱温度を高
くすることで分子の活動性を向上させ、または分子の活
動環境を改善させることが出来るが、高温加熱では他の
成分の変性と糖加熱代謝物の発生などにより梅エキス自
体の風味もかなり悪化される。
【0022】更に、加圧することで分子の接触機会を増
やすことができ、常圧加熱よりも加圧処理でムメフラー
ルがより高度に生成され、伝統の煮詰めるという方法と
異なって、加圧することでより多くのムメフラールを生
成させることができる。また、同量のムメフラールを生
成させるために、煮詰める方法または非加圧の場合より
低い加熱温度または短い加熱時間での加圧を採用するこ
とができる。
【0023】製造工程においてムメフラールがクエン酸
と糖類により生成されることから、エキスに仕上げる前
に糖類又はクエン酸などを10%〜50質量%添加する
ことができる。例えば、梅エキスを製造する場合に、2
0質量%のハチミツを添加することで非添加の場合より
約2倍量にムメフラールを増量させることができる。ま
た、風味がハチミツ非添加品よりまろやかである。通
常、梅エキスの原料となる梅果汁または梅酢の中にはク
エン酸が糖類より多く含有されている。例えば、青梅の
果汁はクエン酸、リンゴ酸などの酸が平均2.5〜4.
5質量%を含有し、グルコース、フラクトース、スクロ
ースなどの糖分が平均0.8〜1.2質量%しか含有さ
れていない。つまり、青梅果汁においてクエン酸と糖が
量的なバランスとして偏りとなっており、ムメフラール
の生成には必ずしも良い条件とは言えない。また、通常
の梅エキス又は梅エキス含有製品には風味の調整などの
目的で、ハチミツや糖甘味料などがよく配合されるが、
これらの配合物は何れも完成後の梅エキスの中に加え、
梅エキス自体の品質と全く無関係である。
【0024】ハチミツは、花の種類を問わず使用でき、
糖甘味料としては、果糖、葡萄糖、砂糖、麦芽糖、黒糖
のような単糖或いはオリゴ糖の何れか、またはこれらの
混合物を使用できる。
【0025】
【0026】食品または食品添加物としては、ムメフラ
ール高含有梅エキスをそのまま、又は種々の栄養成分ま
たは機能成分を加えて、若しくは飲食品中に含有せしめ
ることが出来る。梅エキスは、血流改善、コレステロー
ル低下、動脈硬化予防又は改善に有用な保健用食品又は
食品素材として使用できる。例えば、米粉、油脂、澱
粉、乳糖、麦芽糖、植物油脂粉末、カカオ脂末、ステア
リン酸などの適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用
いて、食用に適した形態、例えば、ペースト、ドリン
ク、ソフトカプセル、シームレスカプセル、ハードカプ
セル、顆粒、丸剤などに成形して食用に供してもよく、
また種々の食品、例えば、ジャム、菓子、ケーキ、パ
ン、ガム、アイスクリーム製品に添加して使用したり、
牛乳、清涼飲料などの飲料に添加して使用してもよい。
本発明の配合量は、当該食用組成物の種類や状態等によ
り適宜設定される。
【0027】本発明により提供されるムメフラール高含
梅エキスを、健康食品または特定保健用食品として、
例えば、ペースト状態のまま或いは添加して、またソフ
トカプセル、シームレスカプセルに充填または添加して
提供してもよく、また澱粉、乳糖、麦芽糖、植物油脂粉
末、カカオ脂末、ステアリン酸などの適当な助剤を添加
した後、顆粒状、粒状、錠状、ハードカプセルなどに成
形して提供することもできる。梅エキスは、血液をサラ
サラして血流を改善、血中のコレステロールの上昇を抑
え、動脈硬化を予防、また抗菌、疲労回復など効果を知
られているため、これを補給することによって、血流改
善、血中コレステロール及低下、動脈硬化予防、新陳代
謝促進特などに有用である。
【0028】
【実施例】 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】[分析設備と分析条件]Brix:Refractome
ter(糖度計)RX-5000(ATAGO CO. LTD.)により測定し
た。液体クロマトグラフィー(HPLC)条件:カラム:Co
smosil 5C18−AR−II;検出波長:280nm;流速:1.0mL
/min;移動相:0〜10 min 5%アセトニトリル(0.2%ギ
酸)100%、10〜25 min 73%アセトニトリル(0.2%ギ
酸)0%→100%、25〜40 min 73%アセトニトリル(0.2
%ギ酸)100%;温度:40℃。
【0030】製造例1[従来技術の加熱による梅エキス
の製造試験]新鮮な青梅から擦り搾った果汁10.0k
gを開放された鍋に入れ、攪拌しながら弱火で煮詰め
る。最初薄い黄色いの果汁は加熱により黄色→褐色→黒
褐色と変化し、濃度(Brix値)も上々に上昇する。
Brix値が約80%になったことを確認し、煮詰める
ことを終了させ、煮詰めた梅エキスを得た。加工中に温
度は始終100℃前後にコントロールする。また、後
半、Brix値の上昇に伴ない加工物が鍋にくっ付き易
くなるため、加工物が焦げないように細心の注意をしな
がら、鍋に付いている加工物を落とす。また、煮詰める
方法での安定したデータを取るため、これと同じ操作を
3回行った。これらの煮詰める工程から採集された各サ
ンプルのBrix値及びムメフラール含有量の測定結果
を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】表2に示したように、梅果汁のBrix値
が低いとムメフラールが生成されにくい。また、加熱時
間が長い方がムメフラールが有効に生成された。つま
り、有効にムメフラールを生成させるために、加熱時間
を長くすることが重要と考えられる。しかし、開放条件
下で行われる煮詰める方法においては、加熱中にエキス
中の水分量が大変少なくなるため、長時間の加熱処理が
物理的には無理であり、また、エキスの味、溶解性など
の品質評価ポイントを考えるうえでも長時間の加熱は品
質劣化の原因となる。このように煮詰める工程におい
て、ムメフラールの有効な生成時間が確保しにくいた
め、ムメフラールの含有量が低く、ロット間に大きなバ
ラツキが生じ、製品規格値の設置には難しい。
【0033】実施例1[濃縮・加熱による梅エキスの製
造試験] 製造例と同様の新鮮な青梅から擦り搾った果汁10.0
kgを濃縮器に入れ、40℃の条件下で減圧しながらB
rix値80%まで濃縮を行った(濃縮工程)。その
後、常圧の密閉条件で濃縮工程の水分量を±5%に保持
し、攪拌しながら4時間ほど加熱した(加熱工程)。同
じ操作を3回行った。各段階から採集されたサンプルの
Brix値及びムメフラール含有量の測定結果を表3に
示す。
【0034】
【表3】
【0035】表3に示したように、濃縮工程において、
Brix値約80%まで低温条件で水分量を調整した
後、加熱工程において時間をかけてムメフラールを生成
させることが出来た。結果、通常の煮詰める加熱方法よ
りかなり多くのムメフラールが生成され、また、ロット
間のバラツキも改善されている。
【0036】実施例2[加圧による梅エキスの製造試
験] 実施例1で得た梅エキスをさらに滅菌瓶に入れ、密閉の
ままで110℃、1時間、水分量を±5%に保持しなが
ら加圧・加熱処理した。結果を表3に示す。
【0037】表3に示したように、実施例1より短い時
間で加圧処理した結果、ムメフラールの含有量がほぼ2
倍に増えた。
【0038】実施例3[常圧加熱法、加圧加熱法及びハ
チミツ添加法による梅エキス中のムメフラール含有量の
比較試験] 市販のBrix値65%の青梅果汁をAとBの2同量分
に分け、Aは更にA1とA2の2同量分に分け、Bは2
0質量%のハチミツを加えた後、B1とB2の2同量分
に分ける。また、上述の市販Brix値65%の青梅果
汁を濃縮器でBrix値75%まで濃縮した後、CとD
の2等量分に分け、A、Bと同じ様にC1とC2、そし
て20質量%のハチミツ添加のD1とD2を調製した。
これらの試料はそれぞれ滅菌瓶に入れ、A1〜D1が沸
騰水浴で、A2〜D2が100℃で水分量を±5%に保
持し、加圧釜で各々4時間加熱した。加熱後各試料中に
含まれるムメフラール量のHPLC測定結果は表4に、
75%果汁と65%果汁の比較、加圧と常圧の比較、ハ
チミツ添加となしの比較を表5示す。なお、加熱前の各
試料中にムメフラールが含有されていないことをHPL
Cで確認した。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】表4、5に示したように、まず加熱処理の
原料となる梅果汁の濃度(Brix値)は大きいほどム
メフラールが生成されやすい。また、同温では常圧の加
熱処理よりも加圧加熱処理の方がムメフラールを増量す
ることが出来た。最後に、加熱処理前のハチミツ添加が
ムメフラールの生成を増量させた。
【0042】
【発明の効果】本発明により、梅エキスにムメフラール
を高濃度に含有し、しかも、簡便且つ安定的に製造する
ことができ、例えば、そのような梅エキスを使用して製
造した丸剤、顆粒、ソフトカプセル、シームレスカプセ
ルは、梅エキスを摂取するための食品、健康食品、特定
保健用食品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クエン酸と糖類によるムメフラール生成のス
キームを示す。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 梅を原料として濃縮し加熱してムメフラ
    ール高含有梅エキスを製造する方法であって、製造工程
    が濃縮工程と加熱工程の2段階を含み、濃縮工程で梅エ
    キス原料の水分量を10〜40質量%に低下させ、次に
    加熱工程でその水分量を保持することを特徴とする、ム
    メフラール高含有梅エキスを製造する方法。
  2. 【請求項2】 ムメフラール高含有梅エキスを製造する
    方法において、加熱工程において加圧することを特徴と
    する、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 ムメフラール高含有梅エキスを製造する
    方法であって、加熱工程において、糖類又はクエン酸の
    いずれかを添加することを特徴とする、請求項1又は2
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 糖類又はクエン酸をその添加量が添加後
    の全組成中の10%〜50質量%となる範囲の量添加
    することを特徴とする請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 糖類が、ハチミツ、単糖或いはオリゴ糖
    から選択されることを特徴とする、請求項3又は4記載
    の方法。
  6. 【請求項6】クエン酸が、無水、含水或いはクエン酸塩
    類から選択されることを特徴とする、請求項3又は4記
    載の方法。
  7. 【請求項7】 青梅から搾った果汁を濃縮器に入れ、4
    0℃の条件下で減圧しながらBrix値80%まで濃縮
    する濃縮工程、その後常圧密閉条件にて濃縮工程の水分
    量を5%の変動以内に保持して攪拌しながら4〜8時間
    時間加熱する加熱工程を経て、ムメフラールの含有量を
    0.51〜1.02質量%とした梅エキス。
  8. 【請求項8】青梅から搾った果汁を濃縮器に入れ、40
    ℃の条件下で減圧しながらBrix値80%まで濃縮す
    る濃縮工程、その後常圧密閉条件にて濃縮工程の水分量
    の変動を5%以内に保持して攪拌しながら4〜8時間時
    間加熱する加熱工程さらに110℃で1時間水分量の変
    動を5%以内に保持しながら加熱・加圧工程を経て、ム
    メフラールの含有量を1.79〜2.00質量%とした
    梅エキス。
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