JP6607527B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の制御装置に関し、より具体的には、複数の気筒の全てにおいて燃焼を行う全筒運転と、一部の気筒において燃焼を行う減筒運転が可能なエンジンを有する車両の制御装置に関する。
従来、複数の気筒の全てにおいて燃焼を行う全筒運転と、一部の気筒において燃焼を行う減筒運転とが可能なエンジンの制御装置が知られている。例えば特許文献1に記載の制御装置は、燃焼を休止する気筒の吸排気弁の作動非作動状態を切り換えるための弁作動切り換え手段と、この弁作動切り換え手段を駆動して弁作動モードを切り換える弁可変駆動機構とを有する。ここで、弁可変駆動機構は油圧式であり、エンジン本体の潤滑系に用いられている油が共有されている。このため、エンジンの始動直後には、弁作動切り換え手段を駆動するのに十分な油圧が確保できない場合がある。そこで、この制御装置では、エンジンの始動直後の所定時間内は、減筒運転のための切り換え制御を行わず、それ以降の時間に減筒運転を行う。
このように、特許文献1に記載の制御装置では、所定時間以降に減筒運転を適宜行うことにより、エンジンの低燃費化等を図っている。
特開平6−81678号公報
ところで、車両には暖房装置が設けられていることがあり、暖房装置は一般的に、エンジンで発生した熱を利用して車室内に温風を供給する。ところが、上記の特許文献1に記載の制御装置のようにエンジンの減筒運転が行われた場合、減筒運転は全筒運転の場合に比べて熱効率が良くなるため、暖房装置に利用できる熱量が少なくなり、暖房装置が必要とする熱量を確保することが難しくなる。
本発明の目的は、暖房装置の暖房要求に確実且つ迅速に応えることができる車両の制御装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の車両の制御装置は、複数の気筒を備え且つ複数の気筒の全てにおいて燃焼を行う全筒運転及び複数の気筒のうち一部の気筒において燃焼を行う減筒運転が可能なエンジンと、エンジンの熱を利用して車室内に温風を供給する暖房装置と、を備えた車両の制御装置であって、エンジンの冷機時におけるエンジン始動時のエンジン水温に比例してエンジン水温が低いほどエンジン水温の所定値を高く設定する設定手段と、エンジン水温が所定値まで上昇したときに、エンジンの減筒運転を許可する許可手段と、を更に備え、暖房装置は、エンジンの冷却水により温められるヒータ装置を備え、エンジン水温が所定値よりも低い第2所定値まで上昇したときに、ヒーター装置から温風を供給可能にするように、エンジンの冷却水をヒータ装置に供給するように構成されている、ことを特徴としている。
このように構成された本発明においては、設定手段が、エンジンの冷機時のエンジン始動時のエンジン水温に基づいてエンジン水温の所定値を設定する。許可手段は、エンジン水温が設定された所定値まで上昇したときに、エンジンの減筒運転を許可する。
ここで、エンジンの冷機時には、エンジン水温は比較的低い状態にあり、エンジンから利用できる熱が比較的少ない。本発明では、このようなエンジンの冷機時には、許可手段が、エンジン水温が所定値まで上昇したときにエンジンの減筒運転を許可する。これにより、エンジン水温が所定値まで上昇するまでの間、減筒運転が行われず、暖房装置に利用できる熱量が少なくなるのが防止されるから、より多くの熱を暖房装置に利用することが可能になる。よって、暖房装置の暖房要求に確実且つ迅速に応えることが可能になる。
また、エンジン水温が第2所定値まで上昇したとき、エンジンの冷却水がヒータ装置に供給される。ここで、第2所定値は、減筒運転を許可するための所定値よりも低いので、減筒運転が許可される前にエンジンの冷却水がヒータ装置に供給される。よって、許可手段によって減筒運転が許可される前にヒータ装置が使用可能になり、減筒運転が許可されていない間のエンジンの熱を効率的に利用して暖房装置の暖房要求に迅速に対応することが可能になる。
なお、本発明において、エンジンの冷機時とは、エンジン及び/又はエンジンの冷却水の水温が十分に高くなっていない状態を意味し、例えば未暖機時や、エンジンの始動時にエンジンが冷えている状態、車両の走行中でも例えば減筒運転や燃料カットが所定時間以上続いた場合等にエンジン及び/又はエンジン水温が比較的低くなる状態を含む。エンジンの冷機時は、一例として、エンジンの冷却水の水温等のエンジン水温関連値が所定温度以下の場合として定義することが可能である。
本発明において、好ましくは、減筒運転時に燃焼を休止する気筒の吸排気弁のバルブ特性を変更するための油圧式可変動弁機構を更に備え、許可手段は、油圧式可変動弁機構の作動油の温度が、油圧式可変動弁機構の作動を許可する許可油温以上となり、且つエンジン水温が所定値まで上昇したときに、減筒運転を許可するように構成されている。
このように構成された本発明においては、許可手段は、油圧式可変動弁機構の作動油の温度が許可油温以上となり、且つエンジン水温が所定値まで上昇したときに減筒運転を許可するので、エンジン水温が所定値まで上昇するまでの間により多くの熱を暖房装置に利用することを可能にしながら、油圧式可変動弁機構の作動油の確実な作動が確保される。
本発明の一実施形態に係る車両の制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る車両の制御装置が適用された冷却装置及び暖房装置の概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る車両の制御装置のブロック図である。 本発明の一実施形態に係る車両の制御装置において運転モードを切り替える場合のエンジンの運転領域を示す概念図である。 本発明の一実施形態に係る車両の制御装置においてエンジンの始動時水温と減筒許可水温との関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係る車両の制御装置の制御処理を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両の制御装置について説明する。
まず、図1乃至図3により、本発明の実施形態に係る車両の制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。図1は、本実施形態による車両の制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。図2は、本実施形態に係る車両の制御装置が適用された冷却装置及び暖房装置の概略構成図である。図3は、本実施形態に係る車両の制御装置のブロック図である。
図1及び図3に示すように、エンジンシステム100は、主に、外部から導入された吸気(空気)が通過する吸気通路1と、この吸気通路1から供給された吸気と、後述する燃料噴射弁13から供給された燃料との混合気を燃焼させて車両の動力を発生するエンジン10(具体的にはガソリンエンジン)と、このエンジン10内の燃焼により発生した排気ガスを排出する排気通路25と、エンジンシステム100に関する各種の状態を検出するセンサ30〜38と、エンジンシステム100全体を制御するPCM(Power-train Control Module)50と、を有する。
吸気通路1には、上流側から順に、外部から導入された吸気を浄化するエアクリーナ3と、通過する吸気の量(吸入空気量)を調整するスロットルバルブ5と、エンジン10に供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク7と、が設けられている。
本実施形態のエンジン10は、図2に示すように、直線状に並ぶ4つの気筒2(2A〜2D)を備えた直列4気筒型のエンジンであり、これらの4つの気筒2(2A〜2D)を形成するシリンダブロック10A及びシリンダヘッド10Bによって構成されている。このエンジン10は、主に、吸気通路1から供給された吸気を燃焼室11内に導入する吸気バルブ12と、燃焼室11に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁13と、燃焼室11内に供給された吸気と燃料との混合気に点火する点火プラグ14と、燃焼室11内での混合気の燃焼により往復運動するピストン15と、ピストン15の往復運動により回転されるクランクシャフト16と、燃焼室11内での混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路25へ排出する排気バルブ17と、を有する。
気筒2A〜2Dに設けられた各ピストン15は、クランク角において180°(180°CA)の位相差をもって往復動する。これに対応して、各気筒2A〜2Dにおける点火時期は、180°CAずつ位相をずらしたタイミングに設定される。
ここで、本実施形態のエンジン10は、4つの気筒2A〜2Dのうちの全部において燃焼を行う全筒運転と、4つの気筒2A〜2Dのうちの2つを休止させ、残りの一部、本実施形態では2つの気筒を稼動させて燃焼を行う減筒運転とが可能に構成されている。
具体的には、図2の左側から順に、気筒2Aを第1気筒、気筒2Bを第2気筒、気筒2Cを第3気筒、気筒2Dを第4気筒とすると、4つの気筒2A〜2Dの全てを稼働させる全筒運転時には、第1気筒2A→第3気筒2C→第4気筒2D→第2気筒2Bの順に点火が行われる。
また、減筒運転時には、点火順序が連続しない2つの気筒(本実施形態では第1気筒2Aおよび第4気筒2D)において点火プラグ14の点火動作が禁止され、残りの2つの気筒(即ち第3気筒2C及び第2気筒2B)において交互に点火が行われる。
エンジン10は、吸気バルブ12及び排気バルブ17のバルブ特性を変更可能な可変動弁機構18を有している。可変動弁機構18は、吸気バルブ12及び排気バルブ17のそれぞれの動作タイミング(バルブの位相に相当する)を変更可能な可変吸気バルブ機構19A及び可変排気バルブ機構19Bと、減筒運転時に第1気筒2Aおよび第4気筒2Dの吸気バルブ12及び排気バルブ17の開閉動作を停止させ、閉弁状態を保持する閉弁保持機構20と、を有する。
可変吸気バルブ機構19A及び可変排気バルブ機構19Bとしては、公知の種々の形式を適用可能であるが、例えば電磁式又は油圧式に構成された機構を用いて、吸気バルブ12及び排気バルブ17の動作タイミングを変化させることができる。
閉弁保持機構20は、例えば、カムとバルブとの間に介在し、カムの駆動力がバルブに伝達されるのを有効又は無効にするいわゆるロストモーション機構を含んで構成されている。あるいは、閉弁保持機構20は、バルブを開閉動作させるカム山を有する第1カムと、バルブの開閉動作を停止させる第2カムとの、カムプロフィールの異なる2種類のカム、及び、その第1及び第2カムのいずれか一方のカムの作動状態を選択的にバルブに伝達するいわゆるカムシフティング機構を含んで構成されてもよい。
排気通路25には、主に、例えばNOx触媒や三元触媒や酸化触媒などの、排気ガスの浄化機能を有する排気浄化触媒26a、26bが設けられている。
エンジンシステム100には、当該エンジンシステム100に関する各種の状態を検出するセンサ30〜38が設けられている。これらセンサ30〜38は、具体的には以下の通りである。
アクセル開度センサ30(図3)は、アクセルペダルの開度(ドライバがアクセルペダルを踏み込んだ量に相当する)であるアクセル開度を検出する。吸気量センサ31は、吸気通路1を通過する吸気の流量に相当する吸入空気量を検出する。スロットル開度センサ32は、スロットルバルブ5の開度であるスロットル開度を検出する。吸気圧センサ33は、エンジン10に供給される吸気の圧力に相当するインマニ圧(インテークマニホールドの圧力)を検出する。クランク角センサ34は、クランクシャフト16におけるクランク角を検出する。水温センサ35は、エンジン10を冷却する冷却水の温度であるエンジン水温を検出する。温度センサ36は、エンジン10の気筒2内の温度である筒内温度を検出する。カム角センサ37、38は、それぞれ、吸気バルブ12及び排気バルブ17の閉弁時期を含む動作タイミングを検出する。これらの各種センサ30〜38は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S130〜S138をPCM50に出力する。
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態のエンジンの冷却装置60及び暖房装置200について説明する。冷却装置60は、シリンダブロック10A及びシリンダヘッド10Bにそれぞれ形成され内部にエンジン10を冷却するための冷却水が流通するウォータジャケット61A,61Bと、ウォータジャケット61A,61Bで熱を吸収した冷却水を冷却するためのラジエータ62と、ラジエータ62からの冷却水をウォータジャケット61A,61Bに戻すためのウォータポンプ63と、を有する。ウォータジャケット61A,61Bの出口とラジエータ62の入口との間には、冷却水の第1通路64が設けられ、ラジエータ62の出口とウォータポンプ63の入口との間には、第2通路65が設けられ、ウォータポンプ63の出口とウォータジャケット61A,61Bの入口との間には第3通路66が設けられている。
冷却装置60には、第1通路64と第2通路65とを連通してラジエータ62をバイパスする流路となる第4通路67が設けられている。第1通路64において第4通路67が設けられた位置よりも下流側には第1通路64を開閉する第1開閉弁68が設けられている。
なお、図1に示された水温センサ35は、図2における冷却装置60においては、第1通路64においてシリンダヘッド10Bのウォータジャケット61Bを出た位置に模式的に示されている。
また、第2通路65においてラジエータ62の出口付近には、ラジエータ62の出口温度を検出するためのラジエータ水温センサ69が設けられている。
冷却装置60には、更に、エンジンの冷却水と熱交換するためのヒータコア70及びATFウォーマ71が接続されている。ヒータコア70は、車室内に温風を供給するための暖房装置200の一部を構成し、暖房装置200は、ファン201を備え、ヒータコア70で熱交換されて暖められたファン201からの空気を車室内に供給することで、車室内を暖房するように構成されている。暖房装置200は、車両の乗員が操作可能な暖房のON・OFFスイッチや風量調節つまみ等の暖房操作部材76(図3)を有する。暖房操作部材76からの信号S176はPCM50に入力される。
ATFウォーマ71は、エンジンの冷却水と熱交換を行うように構成されており、これにより、エンジン10の熱を利用して自動変速機の潤滑油が温められる。
ヒータコア70及びATFウォーマ71は、第1通路64に接続された第5通路72に設けられており、第5通路72から並列に分岐する分岐通路72A,72Bにそれぞれ接続されている。ヒータコア70及びATFウォーマ71の出口は、第6通路73に接続されており、この第6通路73は第2通路65に接続している。
第5通路72には、第5通路72を開閉する第2開閉弁75が設けられている。
図3に示すように、PCM50は、上述した各種センサ30〜38から入力された検出信号S130〜S138や暖房操作部材76から入力された信号S176等に基づいて、エンジンシステム100内の構成要素に対する制御を行う。具体的には、図3に示すように、PCM50は、スロットルバルブ5に制御信号S105を供給して、スロットルバルブ5の開閉時期やスロットル開度を制御し、燃料噴射弁13に制御信号S113を供給して、燃料噴射量や燃料噴射タイミングを制御し、点火プラグ14に制御信号S114を供給して、点火時期を制御し、可変吸気バルブ機構19A及び可変排気バルブ機構19Bのそれぞれに制御信号S119を供給して、吸気バルブ12及び排気バルブ17の動作タイミングを制御し、閉弁保持機構20に制御信号S120を供給して、第1気筒2Aおよび第4気筒2Dの吸気バルブ12及び排気バルブ17の開閉動作の停止/作動、閉弁状態の保持を制御する。また、PCM50は、冷却装置60の第1開閉弁68に制御信号S168を供給して、第1通路64の開放/閉鎖を制御し、冷却装置60の第2開閉弁75に制御信号S175を供給して、第5通路72の開放/閉鎖を制御する。更に、PCM50は、暖房装置200のファン201に制御信号S200を供給して、ファン201の作動/停止を制御する。
また、本実施形態に係るPCM50は、エンジン10の全筒運転と減筒運転とを切り替えるための全筒減筒切替手段51と、エンジン10の冷機時に、エンジン10の冷却水のエンジン水温の所定値を設定する設定手段52と、エンジンのエンジン水温が所定値に達したときに、エンジンの減筒運転を許可する許可手段53と、を備える。
全筒減筒切替手段51は、エンジン10の運転状態に応じて全筒運転から減筒運転への切替を行うように構成されている。
図4は、本発実施形態に係る車両の制御装置において運転モードを切り替える場合のエンジンの運転領域を概念的に示したマップである。図4は、横軸にエンジン回転数Neを示し、縦軸にエンジン負荷CEを示している。この図4に示すように、相対的にエンジン回転数が低く且つエンジン負荷が低い範囲に、減筒運転を行う減筒運転領域Aが設定されており、この減筒運転領域を除く範囲に、全筒運転を行う全筒運転領域Bが設定されている。全筒減筒切替手段51は、クランク角センサ34から入力されたクランク角から算出されたエンジン回転数と、アクセル開度センサ30、クランク角センサ34等から入力された情報から算出されるエンジン負荷との関係から、図4のようなマップを参照して、現在のエンジン回転数及びエンジン負荷が減筒運転領域A及び全筒運転領域Bのいずれに含まれるかを判別するように構成されている。また、全筒減筒切替手段51は、現在の運転状態が減筒運転領域Aにあると判別し、その結果、全筒運転から減筒運転に切り替える必要がある場合に、可変動弁機構18の閉弁保持機構20を制御して、第1気筒2A及び第4気筒2Dを閉弁するように構成されている。
設定手段52は、エンジン10の始動時に水温センサ35からエンジン10の冷却水の温度、つまりエンジン水温を始動時水温として取得するように構成されている。また、設定手段52は、エンジン10の始動時のエンジン水温に基づいて、減筒運転を許可するためのエンジン水温の第1所定値を設定するように構成されている。
図5は、本実施形態に係る車両の制御装置においてエンジン10の始動時水温と減筒許可水温との関係を示す図である。エンジン10の始動時にはエンジン10が冷機状態であり、エンジン水温は、外気温と一定の相関関係がある。そこで、本実施形態では、エンジン水温を、外気温に関連した外気温関連値として採用し、設定手段52は、このエンジン水温に基づいて図5のようなマップを参照し、減筒運転を許可するエンジン水温の減筒許可水温を第1所定値として設定するように構成されている。
許可手段53は、エンジン10のエンジン水温を監視し、このエンジン水温が第1所定値に達したときに、エンジン10の減筒運転を許可するように構成されている。
上記のようなPCM50の各構成要素は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
次に、上記のような構成の車両の制御装置によるエンジン制御処理について説明する。
図6は、本実施形態に係る車両の制御装置のエンジン制御処理のフローチャートである。図6に示すように、車両のイグニッションがオンにされ、エンジンの制御装置に電源が投入されたことが確認されると(ステップS1においてYES)、エンジン10が始動し(ステップS2)、本実施形態のエンジン制御処理が起動される。エンジン10の始動時は、エンジン10が温まっていない冷機時である。
まず、PCM50は、水温センサ35からエンジン10の冷却水の温度である始動時エンジン水温を検出信号S135として検出する(ステップS3)。設定手段52は、検出されたエンジン水温に基づいて、減筒運転を許可するための第1所定値を設定する(ステップS4)。
PCM50は、水温センサ35から入力されるエンジン水温を監視し(ステップS5)、エンジン水温が第1所定値に達したとき(ステップS5においてYES)、エンジン10の減筒運転を許可する(ステップS6)。一方、ステップS5においてエンジン水温が第1所定値に達していない場合には、PCM50は、エンジン10の減筒運転を不許可にする(ステップS7)。
ステップS6において減筒運転か許可された後、全筒減筒切替手段51は、エンジン10の全筒運転を減筒運転に切り替える必要があると判断した場合には、可変動弁機構18の閉弁保持機構20に制御信号S120を送信し、第1気筒2A及び第4気筒2Dを閉弁して減筒運転に切り替える。
また、上記の制御処理とは無関係に、エンジンの始動時、PCM50は、冷却装置60の第1開閉弁68及び第2開閉弁75の両方を閉じる。これにより、エンジン10の冷却水は、ウォータージャケット61A,61Bから第1通路64を通り、ラジエータ62をバイパスする第4通路67を通って第2通路65に入り、ウォータポンプ63からウォータージャケット61に戻る。PCM50は、水温センサ35から入力されるエンジン水温を監視し、このエンジン水温が、減筒運転を許可する第1所定値よりも低い第2所定値に達した場合に、第2開閉弁75を開弁し、第1通路64に流れる冷却水をヒータコア70及びATFウォーマ71へも流通させる。これにより、ヒータコア70での熱交換が行われ、温風を供給可能になる。車両の乗員の暖房操作部材76の操作による暖房要求があった場合には、PCM50は、ファン201を作動させ、ヒータコア70で熱交換して温められた空気を車室内に供給する。また、エンジン水温が第2所定値よりも高い第3所定値に達した場合、PCM50は、エンジン10の冷却水が十分に高いと判断し、第1開閉弁68も開弁してエンジン10の冷却水の一部をラジエータ62に流通させ、冷却水を冷却する。
このように構成された本実施形態によれば、次のような優れた効果を得ることができる。
エンジン10の冷機時、すなわち始動時に、設定手段52が、始動時のエンジン水温に基づいて第1所定値を設定し、許可手段53が、エンジン水温が第1所定値に達したときに、エンジン10の減筒運転を許可するので、エンジン水温が第1所定値に達するまでの間は減筒運転が行われない。ここで、エンジン10の始動時はエンジン10の冷機時であり、この時エンジンの冷却水の水温は比較的低く、ヒータコア70で熱交換できる熱量が比較的少ない。これに加えて、エンジンの冷機時にもし減筒運転を行うと、減筒運転により熱効率が向上するため、エンジン10の冷却水に熱が伝わらず、ヒータコア70で熱交換できる熱量が更に少なくなる。そこで、本実施形態では、許可手段53が、エンジンの冷機時にエンジン水温が第1所定値に達したときにエンジン10の減筒運転を許可することにより、エンジン水温が第1所定値未満の比較的低い間、減筒運転によって利用できる熱量が低減するのを防止することができる。これにより、エンジンの冷却水の熱を効率よくヒータコア70で回収することができ、暖房装置を利用した場合には、暖房要求に確実且つ迅速に応えることができる。
また、許可手段53がエンジン水温が第1所定値に達したときにエンジン10の減筒運転を許可するので、エンジン水温が比較的低い状態では、減筒運転を許可せず暖房要求に応えることができる一方で、エンジン水温が第1所定値に達した後は減筒運転を許可して低燃費化等を図ることができるから、暖房要求と減筒要求とを両立することができる。
エンジン10の始動時のエンジン10の冷却水の温度(始動時エンジン水温)を採用し、設定手段52がこの始動時エンジン水温に基づいて第1所定値を設定するので、既に設けられている水温センサ35から得られる情報を用いて外気温に関する情報を得ることができる。よって車両の制御装置の構成を簡単にすることができる。
エンジン水温が第2所定値に達したとき、PCM50は、第2開閉弁75を開いてエンジン10の冷却水をヒータコア70に供給する。ここで、第2所定値は、減筒運転を許可するための第1所定値よりも低く設定されているので、許可手段53によって減筒運転が許可されるよりも前にエンジンの冷却水をヒータコア70に供給することができる。よって、減筒運転が許可される前から暖房装置にエンジンの熱を利用することができるから、暖房装置の暖房要求に迅速に対応することができる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、例えば、以下のような態様であってもよい。
前述の実施形態では、設定手段は、始動時のエンジン水温に基づいて第1所定値を設定していたが、これに限らず、設定手段は、その他の外気温関連値に基づいて所定値を設定してもよい。外気温関連値としては、例えば始動時のエンジン水温、エンジン油温、エンジン吸気温、車両の外気温、及び車室内温度の少なくとも1つを採用してもよい。
また、設定手段は、エンジン水温等の外気温関連値に基づいて第1所定値を設定するものに限らず、例えば暖房装置をONにしたり暖房装置の温度や風量を設定する等の乗員の暖房要求に基づいてエンジン水温の第1所定値を設定してもよい。また、設定手段は外気温関連値及び車両の乗員の暖房要求に基づいてエンジンの冷却水の水温関連値の所定値を設定してもよい。
前述の実施形態では、設定手段は、エンジン水温の所定値を設定するように構成されていたが、これに限らず、例えばエンジン油温等、エンジンの冷却水の水温に関連する水温関連値の所定値を設定するように構成されていてもよい。
前述の実施形態では、暖房装置はヒータコア70を備え、エンジン水温が第1所定値より低い第2所定値に達したときに第2開閉弁75を開いてエンジンの冷却水をヒータコア70に供給していたが、これに限らず、第2所定値は第1所定値以上に設定されていてもよいし、第2所定値を設定しなくてもよい。また、第2所定値はエンジン水温の設定値に限らず、エンジン油温等の他の水温関連値の設定値であってもよい。更に、ヒータコア70に冷却水を供給する条件は、エンジンの水温関連値が第2所定値に達したときに限らず、例えばエンジン始動から所定時間経過した場合等、任意に設定することができる。
設定手段は、エンジンの冷機時に限らず任意の場合に、エンジンの冷却水の水温関連値の所定値を設定することができる。
前述の実施形態では、許可手段53は、エンジン水温が第1所定値に達したときに減筒運転を許可するように構成されていたが、これに限らず、エンジン水温が第1所定値に達することに加えて、油圧式可変動弁機構の作動油の温度が許可油温以上となった場合に、減筒運転を許可するように構成されていてもよい。このような構成によれば、エンジンの水温関連値が所定値に達するまでの間により多くの熱を暖房装置に利用することを可能にしながら、油圧式可変動弁機構の作動油の確実な作動を確保することができる。
また、許可手段は、エンジンの水温関連値が所定値に達したときにエンジンの減筒運転を許可するように構成されたものに限らず、例えばエンジンの水温関連値が所定値以上になった場合に、エンジンの減筒運転を許可するように構成されていてもよい。
10 エンジン
14 点火プラグ
18 可変動弁機構
35 水温センサ
51 全筒減筒切替手段
52 設定手段
53 許可手段
70 ヒータコア(ヒータ装置)
76 暖房操作部材

Claims (2)

  1. 複数の気筒を備え且つ前記複数の気筒の全てにおいて燃焼を行う全筒運転及び前記複数の気筒のうち一部の気筒において燃焼を行う減筒運転が可能なエンジンと、
    前記エンジンの熱を利用して車室内に温風を供給する暖房装置と、
    を備えた車両の制御装置であって、
    前記エンジンの冷機時におけるエンジン始動時のエンジン水温に比例して、前記エンジン水温が低いほど前記エンジン水温の所定値を高く設定する設定手段と、
    前記エンジン水温が前記所定値まで上昇したときに、前記エンジンの前記減筒運転を許可する許可手段と、を更に備え、
    前記暖房装置は、前記エンジンの冷却水により温められるヒータ装置を備え、
    前記エンジン水温が前記所定値よりも低い第2所定値まで上昇したときに、前記ヒーター装置から温風を供給可能にするように、前記エンジンの冷却水を前記ヒータ装置に供給するように構成されている、
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記減筒運転時に前記燃焼を休止する気筒の吸排気弁のバルブ特性を変更するための油圧式可変動弁機構を更に備え、
    前記許可手段は、前記油圧式可変動弁機構の作動油の温度が、前記油圧式可変動弁機構の作動を許可する許可油温以上となり、且つ前記エンジン水温が所定値まで上昇したときに、前記減筒運転を許可するように構成されている、
    請求項1に記載の車両の制御装置。
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