JP2012072669A - 内燃機関制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却液によって冷却される複数の気筒を有する内燃機関の熱状態を評価し、適切な熱状態を実現するための制御を実行できる内燃機関制御システムの提供。
【解決手段】燃焼圧力を算定する筒内圧力算定部52と、クランク角を算定するクランク角算定部53と、燃料噴射量から投入熱量を演算する投入熱量演算部61と、算定されたクランク角に対応した筒内容積及び燃焼圧力から筒内熱発生量を演算する筒内熱発生量演算部62と、演算された投入熱量及び筒内熱発生量から冷却損失量を導出する冷却損失量導出部63と、冷却損失量から熱状態に関する評価結果を作成する熱状態評価部54と、評価結果に基づいて内燃機関の熱状態を調整する制御信号を生成する熱状態制御部55とを備えている。
【選択図】図3
【解決手段】燃焼圧力を算定する筒内圧力算定部52と、クランク角を算定するクランク角算定部53と、燃料噴射量から投入熱量を演算する投入熱量演算部61と、算定されたクランク角に対応した筒内容積及び燃焼圧力から筒内熱発生量を演算する筒内熱発生量演算部62と、演算された投入熱量及び筒内熱発生量から冷却損失量を導出する冷却損失量導出部63と、冷却損失量から熱状態に関する評価結果を作成する熱状態評価部54と、評価結果に基づいて内燃機関の熱状態を調整する制御信号を生成する熱状態制御部55とを備えている。
【選択図】図3
Description
本発明は、冷却液によって冷却される複数の気筒を有する内燃機関の熱状態を制御する内燃機関制御システムに関する。ここでの内燃機関の熱状態は、燃焼温度、気筒壁体の温度、気筒壁体を冷却している冷却液の温度、それらの温度の気筒間の分布など、内燃機関における熱力学的な状態を意味している。また、そのような内燃機関の熱状態を制御するためには、冷却液の循環流れの調整、点火時期の調整、燃料噴射量の調整などが含まれる。
そのような内燃機関制御システムの1つとして、例えば、特許文献1には、算出した筒内圧力の変化やエンジン回転数、吸入空気量を入力パラメータとして、適正な点火時期制御を行い、エンジン出力や燃料消費率の向上を図っている装置が記載されている。つまり、この装置では、まず、点火対象となる気筒に配設した筒内圧検出手段の出力信号を所定クランク角毎に検出して、排気行程から吸入行程にかけての筒内圧力変化を算出し、この筒内圧力変化に基づき、排気ガスと吸気ガスとのガス交換に要する損失仕事であるポンプ損失トルクを算出する。そして、クランクパルスの出力間隔から算出したエンジン回転数と上記ポンプ損失トルクとに基づき、点火対象気筒の基本点火時期を算出する。上記ポンプ損失トルクは筒内へ供給される吸入空気量に対して減少関数値を示すものであるので、このポンプ損失トルクを点火対象気筒に供給された吸入空気量の代表値として用いることで、筒内に実際に供給された吸入空気量に対応した点火時期を設定することができる。
しかしながら、このような装置では、吸入空気量が急激に変化するといった一時的で特異な現象にしか、その効果が見込まれない。
しかしながら、このような装置では、吸入空気量が急激に変化するといった一時的で特異な現象にしか、その効果が見込まれない。
また、車両用電動ウオータポンプ装置は、アイドルストップを行うエンジンとラジエータとの間に冷却水を循環させるウオータポンプを駆動するモータと、このモータを制御する制御装置と、エンジンをアイドルストップさせるエンジン制御装置とを備え、エンジンのアイドルストップ時にもモータの駆動又は停止を行う車両用電動ウオータポンプ装置が特許文献2から知られている。この装置は、水温センサの測定値に基づいて電動ウオータポンプを制御することで、冷却水流量を最適にしようとしている。
しかしながら、冷却水の温度は、燃焼室周りの温度ではないため、水温センサで検出された水温によって内燃機関の燃焼が効率の良い状態であるか否かを比較判断することは難しい。そのために水温センサを内燃機関に配置したとしても冷却水温度は気筒壁体内で偏りがあるため検出された水温によって電動ウオータポンプの駆動制御をすることにより最適な熱状態を実現することは困難である。特に、ポンプが停止して水循環していない場合や循環冷却水流量が少ない場合などでは、水温分布の差が大きくなるので、測定で得られた水温が適正制御のために必要とされる温度ではないという問題も生じる。
しかしながら、冷却水の温度は、燃焼室周りの温度ではないため、水温センサで検出された水温によって内燃機関の燃焼が効率の良い状態であるか否かを比較判断することは難しい。そのために水温センサを内燃機関に配置したとしても冷却水温度は気筒壁体内で偏りがあるため検出された水温によって電動ウオータポンプの駆動制御をすることにより最適な熱状態を実現することは困難である。特に、ポンプが停止して水循環していない場合や循環冷却水流量が少ない場合などでは、水温分布の差が大きくなるので、測定で得られた水温が適正制御のために必要とされる温度ではないという問題も生じる。
冷却水の検出温度に基づいて気筒内の冷却状態を制御した場合に生じる、上述した問題を避けるため、筒内圧を検出する筒内圧検出手段と、検出された筒内圧に基づいて筒内での冷却損失を求める冷却損失算出手段と、求められた冷却損失に基づいて内燃機関の冷却状態を制御する制御手段とを備えた、内燃機関の冷却状態を制御する装置が、特許文献3に知られている。この装置では、測定された、クランク角、筒内圧、吸入空気量を予め設定されている関数に代入することにより算出された、燃料のエネルギ、燃焼ガスによる発熱量、及び未燃排出燃料エネルギから冷却損失エネルギを演算する。得られた冷却損失エネルギを目標冷却損失と比較し、内燃機関の運転状態を最適に保つように筒内の冷却状態を制御する。
しかしながら、この特許文献3では、内燃機関で行われている燃焼における冷却損失エネルギを求め、それを単に目標冷却損失と比較して筒内の冷却状態を制御することが記載されているだけである。従って、燃焼温度、気筒壁体の温度、気筒壁体を冷却している冷却液の温度、それらの温度の気筒間の分布など、内燃機関における熱力学的な状態である内燃機関の熱状態が考慮されておらず、この技術をそのまま適用して内燃機関の運転状態を最適化することは難しい。
しかしながら、この特許文献3では、内燃機関で行われている燃焼における冷却損失エネルギを求め、それを単に目標冷却損失と比較して筒内の冷却状態を制御することが記載されているだけである。従って、燃焼温度、気筒壁体の温度、気筒壁体を冷却している冷却液の温度、それらの温度の気筒間の分布など、内燃機関における熱力学的な状態である内燃機関の熱状態が考慮されておらず、この技術をそのまま適用して内燃機関の運転状態を最適化することは難しい。
上記実情に鑑み、冷却液によって冷却される複数の気筒を有する内燃機関の熱状態を評価し、適切な熱状態を実現するための制御を実行できる内燃機関制御システムが所望されている。
冷却液によって冷却される複数の気筒を有する内燃機関の熱状態を制御する、本発明による内燃機関制御システムの特徴は、燃焼圧力を算定する筒内圧力算定部と、クランク角を算定するクランク角算定部と、燃料噴射量から投入熱量を演算する投入熱量演算部と、前記クランク角算定部によって算定されたクランク角に対応した筒内容積及び前記燃焼圧力から筒内熱発生量を演算する筒内熱発生量演算部と、演算された投入熱量及び筒内熱発生量から冷却損失量を導出する冷却損失量導出部と、前記導出された冷却損失量から前記熱状態に関する評価結果を作成する熱状態評価部と、前記評価結果に基づいて前記内燃機関の熱状態を調整する制御信号を生成する熱状態制御部とを備えている点にある。
この構成によると、最近の多くの内燃機関で利用されている燃焼圧力とクランク角と燃料噴射量とを入力パラメータとして筒内熱発生量と投入熱量とが演算され、その結果冷却損失量が導出される。さらに、この冷却損失量から内燃機関における熱状態に関する評価結果を作成する。調整するテーブル読み出し処理も含めた演算処理によって導出された冷却損失量は、いわゆるシミュレーション結果に類するものであるが、この冷却損失量に基づいて内燃機関における熱状態に関する評価結果を作成する際に、経験則や実験則を適用して、その評価結果をより実際的なものにすることができる。そのようにして得られた評価結果に基づいて内燃機関の熱状態を調整する制御信号が生成されるので、より適切な熱状態を実現するための制御が可能となる。
内燃機関の熱状態の代表的なものは、気筒を形成する気筒壁体の温度分布であり、この温度分布を効率的に調整するためのひとつは、内燃機関を冷却する冷却液の循環挙動の調整である。従って、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記熱状態制御部が前記冷却液を循環させる電動ポンプを駆動制御する。この電動ポンプの制御によって、気筒壁体の温度分布を最適なものに近づけるとよいが、その際、エンジン回転数やエンジン負荷に応じて電動ポンプ32の制御量を補正するようにすると好都合である。
例えば、液温検出センサによる温度検出を通じて冷却液を循環させる電動ポンプを制御するエンジン液冷制御はほとんどの内燃機関に取り入れられている制御であり、その制御はよく知られているが、冷却液循環量がゼロか極めて少ない場合、冷却水の循環流路における温度分布が大きく正常なエンジン液冷制御ができなくなるという問題がある。このようなケースが生じた場合、上述した本発明による内燃機関における熱状態に関する評価結果に基づいて電動ポンプの制御を実行するとよい。従って、本発明の具体的な好適実施形態の1つでは、前記熱状態制御部が、液温検出センサによる前記冷却液の有効な温度検出が不可能な場合には前記評価結果に応じた電動ポンプの駆動制御を実行し、液温検出センサによる前記冷却液の有効な温度検出が可能な場合には液温検出センサによる冷却液の温度に応じた電動ポンプ駆動制御を実行するように構成されている。
また、点火時期をずらすことにより、燃焼挙動、結果的には各気筒における熱分布を変動させることができる。従って、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記熱状態制御部が前記気筒における点火時期を調整するように構成されている。
内燃機関のより適切な運転制御を行うためには、内燃機関における熱状態に関する評価結果として、各気筒を形成している壁体間の熱状態を求めるとよい。例えば、各気筒を形成している壁体間の熱分布を作成して、その壁体間の熱分布を目標に近づける制御は利点がある。この目的を達成ためには、前記熱状態評価部を気筒毎の前記熱状態に関する評価結果を算定するように構成するとよい。そのためには、冷却損失量の導出も気筒毎に行われる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明による内燃機関制御システムの一例を内燃機関を構成する1つの気筒20を用いて示している模式図であり、図2は、内燃機関の全体構成を用いて示している模式図である。
車両に搭載された多気筒内燃機関は、シリンダブロック11及びシリンダヘッド12等からなる内燃機関ハウジングを備えており、ここでは内燃機関ハウジングを壁体、特に気筒20を作り出している気筒周辺の壁体部分を気筒壁体も称することがある。シリンダヘッド12の壁体には、各気筒20(シリンダ)が作り出している燃焼室に方向付けられた点火装置42及び気筒20内の燃焼圧力(筒内圧力)を検出するための筒内圧力センサ81が設けられている。また、気筒20毎にピストン13が設けられ、各ピストン13はクランクシャフト14に連動している。シリンダブロック11及びシリンダヘッド12の壁体内部には、各燃焼室に吸気弁23を介して空気を取り込むために吸気通路21の一部と各燃焼室から排気弁24を介して排気ガスを排出するために排気通路22の一部が形成されている。その吸気通路21には、所定量の燃料を吸気通路21に噴射する燃料噴射弁41が配置されている。さらに、吸気通路21には、各燃焼室に取り込まれる空気を清浄化するエアクリーナ25及び吸気通路21を流れる空気量を調節するためのスロットルバルブ26が設けられている。エアクリーナ25の領域には、吸気温(すなわち外気温)を検出する吸気温センサ82が設けられている。吸気弁23と排気弁24には、それぞれ、弁の開閉タイミングを可変する可変バルブタイミング機構43(可変吸気バルブタイミング機構43aと可変排気バルブタイミング機構43b)が設けられている。
図1は、本発明による内燃機関制御システムの一例を内燃機関を構成する1つの気筒20を用いて示している模式図であり、図2は、内燃機関の全体構成を用いて示している模式図である。
車両に搭載された多気筒内燃機関は、シリンダブロック11及びシリンダヘッド12等からなる内燃機関ハウジングを備えており、ここでは内燃機関ハウジングを壁体、特に気筒20を作り出している気筒周辺の壁体部分を気筒壁体も称することがある。シリンダヘッド12の壁体には、各気筒20(シリンダ)が作り出している燃焼室に方向付けられた点火装置42及び気筒20内の燃焼圧力(筒内圧力)を検出するための筒内圧力センサ81が設けられている。また、気筒20毎にピストン13が設けられ、各ピストン13はクランクシャフト14に連動している。シリンダブロック11及びシリンダヘッド12の壁体内部には、各燃焼室に吸気弁23を介して空気を取り込むために吸気通路21の一部と各燃焼室から排気弁24を介して排気ガスを排出するために排気通路22の一部が形成されている。その吸気通路21には、所定量の燃料を吸気通路21に噴射する燃料噴射弁41が配置されている。さらに、吸気通路21には、各燃焼室に取り込まれる空気を清浄化するエアクリーナ25及び吸気通路21を流れる空気量を調節するためのスロットルバルブ26が設けられている。エアクリーナ25の領域には、吸気温(すなわち外気温)を検出する吸気温センサ82が設けられている。吸気弁23と排気弁24には、それぞれ、弁の開閉タイミングを可変する可変バルブタイミング機構43(可変吸気バルブタイミング機構43aと可変排気バルブタイミング機構43b)が設けられている。
各燃焼室では、点火装置42が作動することにより、燃料と空気との可燃混合気が急激燃焼(爆発)する。この燃焼による燃焼圧力を受けてピストン13が動作することにより、クランクシャフトが回転する。このクランク軸14の回転トルクによって車両駆動系と補機類(エアコンのコンプレッサ、オルタネータ、トルクコンバータ、パワーステアリングの油圧ポンプ等)が駆動する。クランク軸14の近傍には、クランク軸14の回転角を検出するためのクランク角センサ83が取り付けられている。各燃焼室で生じた燃焼後の排気ガスは、排気通路22を通じて外部へ排出される。内燃機関で発生した燃焼エネルギの一部は熱として壁体に残留する。
壁体に残留する残留熱による壁体高熱化を防止するために、図2で模式的に示されているような液冷(ここでは水冷)システムが備えられている。この水冷システムは、冷却液としての冷却水を循環させる冷却流路31と、電動ポンプ32と、ラジエータ33と、流量制御弁34とを備えている。なお、壁体に形成されている冷却流路31をウォータジャケットとも称する。ウォータジャケットの流入口付近に電動ポンプ32(冷却ポンプ)が配置されている。この電動ポンプ32は電気モータを駆動源としているので、クランクシャフトの回転とは無関係に駆動可能である。電動ポンプ32は、ラジエータ33に接続されている冷却流路31を流れる冷却水を吸引してウォータジャケットの流入口に供給する。冷却水は、ウォータジャケットを通過する際に、壁体から熱を吸収してその水温を上昇させる。水温が上昇した冷却水はラジエータ33を通過する際に熱を放出して温度を下げる。ウォータジャケットの流出口と電動ポンプ32の吸引側とを接続するとともにラジエータ33をショートカットするバイパス流路が設けられている。ラジエータ33からの冷却流路31とバイパス通路との接続領域には、流量制御弁34が設けられている。この流量制御弁34により、壁体を冷却するための冷却水温度を制御することができる。例えば、流量制御弁34の弁開度を調整して、ラジエータ33を通過する冷却水流量を多くすると壁体を冷却する冷却水温度が低くなり、逆にラジエータ33を通過する冷却水流量を少なくすると、壁体に流れる冷却水のうち、ラジエータ33で冷却される冷却水の割合が小さくなり、壁体を冷却する冷却水温度が高くなる。冷却流路31には、ウォータジャケットの流出口を通過した後の冷却水温度を検出する第1液温検出センサ84と、ラジエータ33を通過した後の冷却水温度を検出するための第2液温検出センサ85が設けられている。
図3は、この内燃機関制御システムで採用されている制御系の中核要素としての制御ユニット5の機能ブロック図である。この制御ユニット5はECUと称されるもので、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROMに記憶されたプログラムを実行することで、エンジン制御に関する種々の機能を作り出す。そのため、上述した筒内圧力センサ81、クランク角センサ83、第1液温検出センサ84、第2液温検出センサ85などの各種センサの検出信号が制御ユニット5に入力される。さらに、電動ポンプ32、流量制御弁34、燃料噴射弁41、点火プラグ42、可変バルブタイミング機構43などと直接的または間接的に接続されており、それぞれに制御信号を付与する。
この制御ユニット5において作り出される機能のうち特に本発明に関係するものとして、燃料噴射量演算部51と、筒内圧力算定部52と、クランク角算定部53と、筒内容積設定部53aと冷却損失量決定手段60、熱状態評価部54と、熱状態制御部55とが挙げられる。ここでの、燃料噴射量算定部51は、気筒20に毎回供給される燃料の供給量を求めるものである。一般には燃料噴射量は別の燃料噴射量を決定する専用のECUによって求められ、そのデータだけを受け取って、後の演算のために使用しやすい形に変換する機能だけを持たせると好都合である。筒内圧力算定部52は、筒内圧力センサ81からの検出信号に基づいて気筒20内の燃焼圧力を含む圧力を算定する。クランク角算定部53はクランク角センサ83からの検出信号に基づいてクランク軸14のクランク角度を算定する。
冷却損失量決定手段60には、投入熱量演算部61と、筒内熱発生量演算部62と、冷却損失量導出部63とが含まれており、以下の説明する計算式に基づいてこの内燃機関の運転時の冷却損失量を決定する。
内燃機関においては、燃料噴射弁41から噴射された燃料は気筒20内で燃焼し、発熱する。
微小クランク角度当たりのクランク筒内熱発生量は次の微分方程式で示される。
上記式の左辺は熱発生率を示すが、図4にそのグラフィカルなイメージが示されている。
従って、式(1)を吸気弁23の閉鎖状態から排気弁24の開状態までのクランク角度範囲で積分することで、以下の式(2)に示すように、筒内熱発生量を算定することができる。
この筒内熱発生量のグラフィカルなイメージが図5に示されている。
なお、その際、クランク角度θにおける筒内容積は筒内容積設定部53aによって設定されるが、例えば予め作成しておいたテーブルから読み出すように構成すると好都合である。クランク角度θにおける燃焼圧力は筒内圧力算定部52から得ることができる。比熱比κの変化は無視して定数として取り扱うこともできるが、予めテーブル化して読み出すようにしてもよい。いずれにせよ、ここでは、筒内熱発生量演算部62がクランク角算定部53によって算定されたクランク角に対応した筒内容積及び前記燃焼圧力から筒内熱発生量を演算する。
内燃機関においては、燃料噴射弁41から噴射された燃料は気筒20内で燃焼し、発熱する。
微小クランク角度当たりのクランク筒内熱発生量は次の微分方程式で示される。
従って、式(1)を吸気弁23の閉鎖状態から排気弁24の開状態までのクランク角度範囲で積分することで、以下の式(2)に示すように、筒内熱発生量を算定することができる。
なお、その際、クランク角度θにおける筒内容積は筒内容積設定部53aによって設定されるが、例えば予め作成しておいたテーブルから読み出すように構成すると好都合である。クランク角度θにおける燃焼圧力は筒内圧力算定部52から得ることができる。比熱比κの変化は無視して定数として取り扱うこともできるが、予めテーブル化して読み出すようにしてもよい。いずれにせよ、ここでは、筒内熱発生量演算部62がクランク角算定部53によって算定されたクランク角に対応した筒内容積及び前記燃焼圧力から筒内熱発生量を演算する。
筒内熱発生量、投入熱量、冷却損失の間には、
(冷却損失) = (投入熱量) - (筒内熱発生量)
の関係がある。
従って、筒内熱発生量が求められると、この筒内熱発生量と、燃料噴射量算定部51によって得られた燃料噴射量から投入熱量演算部61によって求められた投入熱量とを冷却損失量導出部63に付与することで、冷却損失量導出部63は冷却損失量を導出することができる。
(冷却損失) = (投入熱量) - (筒内熱発生量)
の関係がある。
従って、筒内熱発生量が求められると、この筒内熱発生量と、燃料噴射量算定部51によって得られた燃料噴射量から投入熱量演算部61によって求められた投入熱量とを冷却損失量導出部63に付与することで、冷却損失量導出部63は冷却損失量を導出することができる。
熱状態評価部54は、前記導出された冷却損失量から前記熱状態に関する評価結果を作成する。ここで評価される熱状態は、冷却損失量導出部63によって導出された少なくとも1つの気筒20における冷却損失量に基づく壁体の熱状態である。そのような熱状態の1つには、例えば、水冷システムの機能状況も含まれる。最も簡単な評価形態の1つは、予め作成しておいた基準冷却損失量との比較評価である。導出された冷却損失量が基準冷却損失量に比べて所定値以上多い場合、過剰冷却とみなすことで、冷却循環量の減少または停止を実行する。導出された冷却損失量が基準冷却損失量に比べて所定値以上少ない場合、冷却不足みなすことで、冷却循環量を増大または燃料噴射量の低減などを実行する。このような評価結果に基づく前記内燃機関の熱状態を調整する制御信号の生成は、熱状態制御部55によって行われるが、その時点の運転状態などによって異なる基準冷却損失量を選択するような構成を採用する好都合である。また、冷却損失量を気筒毎に導出し、各気筒間の熱分布などの熱状態評価を行い、気筒毎の熱状態を調整することも好適である。
次に、上述したように構成された内燃機関制御システムにおける熱状態を調整制御の一例として、水冷システムの電動ポンプ32駆動制御を説明する。
この水冷システムでは、冷却水が、電動ポンプ32から、壁体、ヒータコア35を経て電動ポンプ32に戻る第1循環経路と、電動ポンプ32から、壁体、ラジエータ33、流量制御弁34を経て電動ポンプ32に戻る第2循環経路とを同時にまたは選択的に作り出すことができる。例えば、流量制御弁34によって第2循環経路が閉鎖されると第1循環経路だけが有効となる。冷却水の温度が所定値を超えると、冷却水を冷却するために第2循環経路を開放するように流量制御弁34が制御される。車両が暖房運転する際には、乗員優先のため、内燃機関の熱状態に関係なく、少なくとも上述した第1循環経路を有効とする。
この水冷システムでは、冷却水が、電動ポンプ32から、壁体、ヒータコア35を経て電動ポンプ32に戻る第1循環経路と、電動ポンプ32から、壁体、ラジエータ33、流量制御弁34を経て電動ポンプ32に戻る第2循環経路とを同時にまたは選択的に作り出すことができる。例えば、流量制御弁34によって第2循環経路が閉鎖されると第1循環経路だけが有効となる。冷却水の温度が所定値を超えると、冷却水を冷却するために第2循環経路を開放するように流量制御弁34が制御される。車両が暖房運転する際には、乗員優先のため、内燃機関の熱状態に関係なく、少なくとも上述した第1循環経路を有効とする。
電動ポンプ32を用いた冷却水循環制御には基本的な3つのモードがある。第1のモードは、暖房要求がある場合で、ヒータコア35に内燃機関の熱で温められた冷却水(温水)をヒータコア35の仕様によって規定されている流量を供給するようにする。第2のモードは、内燃機関からの出口側に配置された液温検出センサである第1液温検出センサ84による検出水温に基づいて、場合によっては第2液温検出センサ85による検出水温も含めて、この検出水温によって規定されている循環量が実現するように電動ポンプ32が駆動される。第3のモードは、第2のモードの特例であり、循環量が所定値以下の少ない流量に設定されている場合に用いられる。液温検出センサによる検出水温に基づいてポンプ駆動制御を行う際、循環量つまり流量が少ないと、検出水温が気筒20周辺での水温を示さなくなる可能性があり、気筒20周辺の熱状態に適応させた制御が困難となる。また、暖機運転時などで完全に電動ポンプ32が停止して冷却水が循環されていない場合では、検出水温と気筒20周辺での水温とに大きな差が生じる。従って、電動ポンプ32の再始動時には、しばらく電動ポンプ32を駆動させて冷却水の循環が完全に行われまでは、正しい循環量が設定できない。このような特殊な問題を解決するため、第3のモードでは、上述した、熱状態評価部54によって作成された評価結果に基づいて決定された循環量(流量)が実現するように電動ポンプ32が制御される。
図6のフローチャートに沿って、上記電動ポンプ32駆動制御の一例を説明する。なお、このルーチンは、所定の制御タイミングで繰り返し実行され、その都度電動ポンプ32に対する制御信号が生成され電動ポンプ32に送られるか、あるいは、その制御信号が一時的に蓄積される。
まず、冷却水循環が要求されているかどうかがチェックされる(#01)。冷却水循環が要求されている場合(#01Yes分岐)、さらに暖房が要求されているかどうかチェックされる(#02)。冷却水循環が要求されており、しかも暖房も要求されている場合(#02Yes分岐)、暖房運転時の電動ポンプ32制御、つまり第1のモードでの制御信号が電動ポンプ32に送られる(#03)。冷却水循環が要求されているが、暖房は要求されていない場合(#02No分岐)、さらに、循環量、つまり電動ポンプ32による冷却水の流量が所定値以上かどうかチェックされる(#04)。冷却水の流量が所定値以上の場合(#04Yes分岐)、通常の電動ポンプ32駆動制御、つまり第2のモードでの制御信号が電動ポンプ32に送られる(#05)。
まず、冷却水循環が要求されているかどうかがチェックされる(#01)。冷却水循環が要求されている場合(#01Yes分岐)、さらに暖房が要求されているかどうかチェックされる(#02)。冷却水循環が要求されており、しかも暖房も要求されている場合(#02Yes分岐)、暖房運転時の電動ポンプ32制御、つまり第1のモードでの制御信号が電動ポンプ32に送られる(#03)。冷却水循環が要求されているが、暖房は要求されていない場合(#02No分岐)、さらに、循環量、つまり電動ポンプ32による冷却水の流量が所定値以上かどうかチェックされる(#04)。冷却水の流量が所定値以上の場合(#04Yes分岐)、通常の電動ポンプ32駆動制御、つまり第2のモードでの制御信号が電動ポンプ32に送られる(#05)。
冷却水の流量が所定値未満の場合(#04No分岐)、冷却損失量決定手段60によって冷却損失量が導出され(#06)、その冷却損失量から作成された内燃機関の熱状態に関する評価結果から、冷却の要求度が決定される(#07)。さらに、その要求度に基づいて生成された制御信号が電動ポンプ32に送られる(#08)。つまり第3のモードでの電動ポンプ32駆動制御が実行される。冷却水循環が要求されていない場合(#01No分岐)、検出水温に基づく電動ポンプ32駆動制御では信頼性が低くなるので、第3のモードが適用される。しかしながら、冷却水循環が要求されていないので、冷却損失量が導出され(#09)、要求度が決定される(#10)までは前述の第3のモードでの電動ポンプ32駆動制御と同じであるが、冷却水循環が要求されていないので、要求度に基づいて生成された制御信号は電動ポンプ32に送られず、次の電動ポンプ32の再始動時まで一時的にメモリに記録される(#11)。
本発明は、内燃機関の熱状態を評価し、適切な熱状態を実現するための制御を実行する、全てのタイプの内燃機関制御システムに利用することができる。
14:クランク軸
20:気筒
31:冷却流路
32:電動ポンプ(冷却ポンプ)
33:ラジエータ
34:流量制御弁
41:燃料噴射弁
43:可変バルブタイミング機構
81:筒内圧力センサ
82:吸気温センサ
83:クランク角センサ
84:第1液温検出センサ
85:第2液温検出センサ
5:制御ユニット
51:燃料噴射量算定部
52:筒内圧力算定部
53:クランク角算定部
54:熱状態評価部
55:熱状態制御部
60:冷却損失量決定手段
61:投入熱量演算部
62:筒内熱発生量演算部
63:冷却損失量導出部
20:気筒
31:冷却流路
32:電動ポンプ(冷却ポンプ)
33:ラジエータ
34:流量制御弁
41:燃料噴射弁
43:可変バルブタイミング機構
81:筒内圧力センサ
82:吸気温センサ
83:クランク角センサ
84:第1液温検出センサ
85:第2液温検出センサ
5:制御ユニット
51:燃料噴射量算定部
52:筒内圧力算定部
53:クランク角算定部
54:熱状態評価部
55:熱状態制御部
60:冷却損失量決定手段
61:投入熱量演算部
62:筒内熱発生量演算部
63:冷却損失量導出部
Claims (5)
- 冷却液によって冷却される複数の気筒を有する内燃機関の熱状態を制御する内燃機関制御システムであって、
燃焼圧力を算定する筒内圧力算定部と、
クランク角を算定するクランク角算定部と、
燃料噴射量から投入熱量を演算する投入熱量演算部と、
前記クランク角算定部によって算定されたクランク角に対応した筒内容積及び前記燃焼圧力から筒内熱発生量を演算する筒内熱発生量演算部と、
演算された投入熱量及び筒内熱発生量から冷却損失量を導出する冷却損失量導出部と、
前記導出された冷却損失量から前記熱状態に関する評価結果を作成する熱状態評価部と、
前記評価結果に基づいて前記内燃機関の熱状態を調整する制御信号を生成する熱状態制御部と、
を備えている内燃機関制御システム。 - 前記熱状態制御部が前記冷却液を循環させる電動ポンプを駆動制御する請求項1に記載の内燃機関制御システム。
- 前記熱状態制御部が、液温検出センサによる前記冷却液の有効な温度検出が不可能な場合には前記評価結果に応じた電動ポンプの駆動制御を実行し、液温検出センサによる前記冷却液の有効な温度検出が可能な場合には液温検出センサによる冷却液の温度に応じた電動ポンプ駆動制御を実行する請求項2に記載の内燃機関制御システム。
- 前記熱状態制御部が前記気筒における点火時期を調整する請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関制御システム。
- 前記熱状態評価部は気筒毎の前記熱状態に関する評価結果を算定する請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関制御システム。
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