JP6606910B2 - ガラス管成形用スリーブ - Google Patents
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Description
前記ダンナー法は、先端部を下方に傾斜させて支持され、且つ軸心を中心にして回転駆動されるスリーブ上に溶融ガラスを流下し、流下された溶融ガラスをスリーブの外周面に巻き付け、さらにスリーブの先端部からブローエアーを噴出させつつ(または、噴出させずに)前記溶融ガラスを引き出すことにより、ガラス管やガラス棒を連続的に成形する方法である。
そして、メタルチップはスリーブシャフトの先端部に固定されるとともに、保持金具は軸心方向に摺動可能に設けられつつ、付勢部材によって常にスリーブシャフトの先端部に向かって付勢される。
これにより、耐火物円筒体は、メタルチップおよび保持金具によって、常に付勢部材の付勢力をもって挟持された状態となる。
その結果、これらのメタルチップ、耐火物円筒体、および保持金具の配置姿勢は堅固に保持され、回転駆動するスリーブシャフトに対して、大きな芯ブレを発生し難い構成となることから、スリーブの先端部より引き出される溶融ガラスに対して、偏肉の発生を抑制することが可能となり、寸法精度のよい高品質なガラス管やガラス棒を連続的に形成することができる。
この際、スリーブシャフトの軸方向への熱膨張量は大きく、メタルチップが保持金具に対して相対的に徐々に離間方向に移動する。
よって、保持金具の内周面とスリーブシャフトの外周面との接触面積は大きくなり、保持金具が摺動する際のスリーブシャフトとの間の摩擦抵抗が増大するため、熱膨張したスリーブシャフトに対する保持金具の摺動が阻害されることがある。
その結果、メタルチップと保持金具との離間寸法が増加し、これらのメタルチップおよび保持金具による挟持力が弱まり、スリーブシャフト上におけるメタルチップ、耐火物円筒体、および保持金具の同軸度が崩れやすくなり、スリーブの先端部より引き出される溶融ガラスに対して、偏肉の発生を抑制し、寸法精度のよい高品質なガラス管やガラス棒を連続的に形成することが困難となる。
よって、本発明の保持金具によれば、例えば軸心方向に熱膨張したスリーブシャフトの中途部において、不意に嵌合されて摺動し難くなるようなことも少なく、前述したような付勢部材の付勢力によって、容易に耐火物円筒体側へと摺動させることができる。
その結果、例えばスリーブシャフトの熱膨張によってメタルチップと保持金具との離間寸法が増加したとしても、これらのメタルチップおよび保持金具による挟持力が弱まるのを防止し、スリーブシャフト上におけるメタルチップ、耐火物円筒体、および保持金具の同軸度を確保することが可能であり、スリーブの先端部より引き出される溶融ガラスに対して、偏肉の発生を抑制し、寸法精度のよい高品質なガラス管やガラス棒を連続的に形成することができる。
従って、作業者にとって、保持金具にスリーブシャフトを挿通する作業に係る労力を、軽減することができる。
即ち、本発明に係るガラス管成形用スリーブによれば、例えばスリーブシャフトの熱膨張によってメタルチップと保持金具との離間寸法が増加したとしても、メタルチップおよび保持金具による挟持力が弱まるのを防止し、スリーブシャフト上におけるメタルチップ、耐火物円筒体、および保持金具の同軸度を確保することができる。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図1、図2、および図4における矢印Aの方向を溶融ガラスGの引出方向(搬送方向)と規定して記述する。
また、以下の説明に関しては便宜上、図1乃至図6の上下方向をガラス管成形用スリーブ1または保持金具40・140の上下方向と規定して記述する。
先ず、本発明を具現化するガラス管成形用スリーブ1(以下、単に「スリーブ1」と記載する)の全体構成について、図1を用いて説明する。
本実施形態におけるスリーブ1は、例えばダンナー法によってガラス管やガラス棒を大量生産するのに用いられるものである。
スリーブ1は、主にスリーブシャフト10、メタルチップ20、耐火物円筒体30、保持金具40、および付勢機構部50などにより構成される。
スリーブシャフト10は、例えばFe−Co−Ni系合金やFe−Cr−Ni系合金などの耐熱鋼からなる長尺の丸棒部材によって構成され、その内部には貫通孔10aが同軸上に穿孔されている。
また、スリーブシャフト10の貫通孔10aは、他端部において配管部材等を介して図示せぬブローエアー供給装置と連通されている。
メタルチップ20は、スリーブ1の先端部を構成するメタルチップの一例であって、後述する保持金具40とともに耐火物円筒体30を挟持しつつ保持するためのものである。
メタルチップ20は、本体部材21、および本体部材21をスリーブシャフト10に固設するためのカラー部材22などにより構成される。
また、凹部21aの下流側との対向側(以下、「上流側」と記載する)の端面には、貫通孔21bが同軸上に穿孔される。
なお、貫通孔21bは、下流側から上流側に向かって徐々に断面形状が縮径するテーパー状に形成される。
一方、スリーブシャフト10の下流側端部において、その外周面には環状の凹部10bが形成されている。
具体的には、貫通孔21bを介してカラー部材22の外周面22bに嵌合されることにより、本体部材21は、軸心方向且つ下流側への移動を規制されつつ、スリーブシャフト10に保持される。
つまり、メタルチップ20は、スリーブシャフト10の先端部(下流側端部)に固設される。
耐火物円筒体30は、スリーブ1に導かれた溶融ガラスGを外周面に巻き付けながら、徐々に下流側へと搬送するためのものである。
耐火物円筒体30は、例えばシリカ−アルミナ系やシリカ−アルミナ−ジルコニア系の耐火物などからなる長尺の丸棒中空部材によって構成され、その一端部には徐々に断面積が縮径するテーパー部30aが形成される。
また、耐火物円筒体30の外周面には、例えば250[μm]〜450[μm]の膜厚からなる白金膜または白金合金膜が被覆されている。
その結果、メタルチップ20は、耐火物円筒体30の一端部側(下流側)に配置されることとなり、スリーブ1全体としての下流側端部において、耐火物円筒体30のテーパー部30aと、メタルチップ20(より具体的には、本体部材21)の外周面のテーパー形状とが滑らかに連結されることとなる。
保持金具40は、メタルチップ20とともに耐火物円筒体30を挟持しつつ保持するためのものである。
保持金具40は、詳細は後述するが、中空円筒形状の本体部40A、および本体部40Aの外周面に設けられる鍔部40Bにより構成される。
付勢機構部50は、保持金具40を軸心方向の下流側に向かって付勢するためのものである。
付勢機構部50は、例えば当接部材51、付勢部材52、および調整ナット53などにより構成される。
当接部材51は、中空円筒形状の部材からなり、その内径寸法は、スリーブシャフト10の外径寸法に比べてやや大きく設定されている。
付勢部材52は、例えば既知の圧縮コイルバネなどにより構成される。
これにより、付勢部材52は、当接部材51を下流側へと付勢する。
調整ナット53は、環状の部材からなり、その内周面には雌螺子53aが形成されている。
また、このような構成を有することにより、調整ナット53の配置位置を、軸心方向に沿って精密に移動させることができる。
その結果、当接部材51と調整ナット53との間隙寸法、即ち付勢部材52の全長を精密に変更することができ、付勢部材52の付勢力を微調整することができる。
これにより、耐火物円筒体30は、メタルチップ20および保持金具40によって、常に付勢機構部50の付勢力をもって挟持された状態となる。
次に、保持金具40の構成について、図2および図3を用いて詳述する。
保持金具40は、例えばFe−Co−Ni系合金やFe−Cr−Ni系合金などの耐熱鋼からなり、図2に示すように、主に中空円筒形状の本体部40A、および本体部40Aの外周面の一端部に設けられる鍔部40Bにより構成される。
また、第一内周面40A11および第三内周面40A13は、スリーブシャフト10の外径寸法と略同等の(より具体的には、スリーブシャフト10の外径寸法に対して僅かに大きな)内径寸法を有する一方、第二内周面40A12は、スリーブシャフト10の外径寸法に比べて大きな内径寸法を有するように設定されている。
一方、耐火物円筒体30の上流側(保持金具40側)の端面には、軸心方向且つ上流側に向かって徐々に断面形状が縮径する、テーパー状の縁部30bが形成される。
これにより、保持金具40によって、耐火物円筒体30の上流側の端部における芯ズレが規制される。
次に、別実施形態における保持金具140の構成について、図4乃至図6を用いて詳述する。
別実施形態における保持金具140は、前述した保持金具40と略同等な構成を有する一方、貫通孔140A1の内周面の形状において保持金具40と相違する。
よって、以下の説明においては、主に保持金具40との相違点について記載し、保持金具40と同等な構成についての記載は省略する。
つまり、貫通孔140A1の内周面には、軸心方向に延出する逃げ溝が周方向に沿って複数形成されている。
また、これらの第四内周面140A11・140A11・・・による内径寸法は、スリーブシャフト110の外径寸法と略同等に(より具体的には、スリーブシャフト110の外径寸法に対して僅かに大きく)設定される一方、これらの第五内周面140A12・140A12・・・による内径寸法は、スリーブシャフト10の外径寸法に比べて大きくなるように設定されている。
10 スリーブシャフト
20 メタルチップ
30 耐火物円筒体
40 保持金具
40A1 貫通孔
40A12 第二内周面(逃げ溝)
110 スリーブシャフト
130 耐火物円筒体
140 保持金具
140A1 貫通孔
140A12 第五内周面(逃げ溝)
Claims (3)
- スリーブシャフトと、
該スリーブシャフトに同軸上に挿設される耐火物円筒体と、
該耐火物円筒体の一端部側であって前記スリーブシャフトの先端部に固設されるメタルチップと、
前記耐火物円筒体の他端部側において前記スリーブシャフトに摺動可能に挿設され、且つ前記メタルチップとともに前記スリーブシャフトを挟持しつつ保持する保持金具と、
を備えるガラス管成形用スリーブであって、
前記スリーブシャフトを挿通する前記保持金具の貫通孔は、
その内周面の一部のみが前記スリーブシャフトの外周面と密接する、
ことを特徴とするガラス管成形用スリーブ。 - 前記保持金具において、
前記貫通孔の内周面に、周方向に延出する環状の逃げ溝が軸心方向の中途部に形成されてなる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガラス管成形用スリーブ。 - 前記保持金具において、
前記貫通孔の内周面に、軸心方向に延出する逃げ溝が周方向に沿って複数形成されてなる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガラス管成形用スリーブ。
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