JP6606910B2 - ガラス管成形用スリーブ - Google Patents

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Description

本発明は、ダンナー法に用いられるガラス管成形用スリーブの技術に関し、より詳しくは、溶融ガラスを外周面に巻き付けながら下流側に導く耐火物円筒体を、上流側より保持するための保持金具の技術に関する。
従来より、ガラス管やガラス棒を大量生産する方法として、ダンナー法が広く利用されている。
前記ダンナー法は、先端部を下方に傾斜させて支持され、且つ軸心を中心にして回転駆動されるスリーブ上に溶融ガラスを流下し、流下された溶融ガラスをスリーブの外周面に巻き付け、さらにスリーブの先端部からブローエアーを噴出させつつ(または、噴出させずに)前記溶融ガラスを引き出すことにより、ガラス管やガラス棒を連続的に成形する方法である。
ここで、このようなダンナー法に用いられるスリーブは、主に、先端部を下方に傾斜させて軸支されるスリーブシャフトや、スリーブシャフト上において同軸上に順に挿設されるメタルチップ、耐火物円筒体、および保持金具などにより構成される(例えば、「特許文献1」を参照)。
そして、メタルチップはスリーブシャフトの先端部に固定されるとともに、保持金具は軸心方向に摺動可能に設けられつつ、付勢部材によって常にスリーブシャフトの先端部に向かって付勢される。
これにより、耐火物円筒体は、メタルチップおよび保持金具によって、常に付勢部材の付勢力をもって挟持された状態となる。
その結果、これらのメタルチップ、耐火物円筒体、および保持金具の配置姿勢は堅固に保持され、回転駆動するスリーブシャフトに対して、大きな芯ブレを発生し難い構成となることから、スリーブの先端部より引き出される溶融ガラスに対して、偏肉の発生を抑制することが可能となり、寸法精度のよい高品質なガラス管やガラス棒を連続的に形成することができる。
ところで、スリーブ上に導かれる溶融ガラスの温度は、約1000[℃]以上と高温であり、当該スリーブは全体的に熱膨張を引き起こす。
この際、スリーブシャフトの軸方向への熱膨張量は大きく、メタルチップが保持金具に対して相対的に徐々に離間方向に移動する。
特開平5−294651号公報
ここで、前述したように、保持金具は常にスリーブシャフトの先端部に向かって付勢されているため、たとえメタルチップが保持金具に対して相対的に離間方向に移動したとしても、これに追従して直ちに保持金具はメタルチップに対して相対的に近接方向に移動する。
しかしながら、従来の保持金具においては、スリーブシャフトが挿通される貫通孔の内周部(内周面によって囲まれた空間部)が、軸心方向に沿って同一の円形断面形状を有するように(即ち、円柱形状の空間部として)形成されていることから、保持金具が軸心方向に移動する際、その内周面の全領域に亘ってスリーブシャフトの外周面と密接しつつ摺動することになる。
よって、保持金具の内周面とスリーブシャフトの外周面との接触面積は大きくなり、保持金具が摺動する際のスリーブシャフトとの間の摩擦抵抗が増大するため、熱膨張したスリーブシャフトに対する保持金具の摺動が阻害されることがある。
その結果、メタルチップと保持金具との離間寸法が増加し、これらのメタルチップおよび保持金具による挟持力が弱まり、スリーブシャフト上におけるメタルチップ、耐火物円筒体、および保持金具の同軸度が崩れやすくなり、スリーブの先端部より引き出される溶融ガラスに対して、偏肉の発生を抑制し、寸法精度のよい高品質なガラス管やガラス棒を連続的に形成することが困難となる。
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みてなされたものであり、例えばスリーブシャフトの熱膨張によってメタルチップと保持金具との離間寸法が増加したとしても、これらのメタルチップおよび保持金具による挟持力が弱まるのを防止し、スリーブシャフト上におけるメタルチップ、耐火物円筒体、および保持金具の同軸度を確保することが可能なガラス管成形用スリーブを提供することを課題とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、本発明に係るガラス管成形用スリーブは、スリーブシャフトと、該スリーブシャフトに同軸上に挿設される耐火物円筒体と、該耐火物円筒体の一端部側であって前記スリーブシャフトの先端部に固設されるメタルチップと、前記耐火物円筒体の他端部側において前記スリーブシャフトに摺動可能に挿設され、且つ前記メタルチップとともに前記スリーブシャフトを挟持しつつ保持する保持金具と、を備えるガラス管成形用スリーブであって、前記スリーブシャフトを挿通する前記保持金具の貫通孔は、その内周面の一部が前記スリーブシャフトの外周面と密接することを特徴とする。
このように、本発明のガラス管成形用スリーブにおける保持金具は、貫通孔の内周面の一部のみでスリーブシャフトの外周面と密接しており、従来の保持金具と比べて、スリーブシャフトと接触する内周面の接触面積が小さくなることから、軸心方向に摺動する際の摩擦抵抗の低減を図ることができる。
よって、本発明の保持金具によれば、例えば軸心方向に熱膨張したスリーブシャフトの中途部において、不意に嵌合されて摺動し難くなるようなことも少なく、前述したような付勢部材の付勢力によって、容易に耐火物円筒体側へと摺動させることができる。
その結果、例えばスリーブシャフトの熱膨張によってメタルチップと保持金具との離間寸法が増加したとしても、これらのメタルチップおよび保持金具による挟持力が弱まるのを防止し、スリーブシャフト上におけるメタルチップ、耐火物円筒体、および保持金具の同軸度を確保することが可能であり、スリーブの先端部より引き出される溶融ガラスに対して、偏肉の発生を抑制し、寸法精度のよい高品質なガラス管やガラス棒を連続的に形成することができる。
また、本発明に係るガラス管成形用スリーブは、前記保持金具において、前記貫通孔の内周面に、周方向に延出する環状の逃げ溝が軸心方向の中途部に形成されていることが好ましい。
このような構成からなるガラス管成形用スリーブによれば、保持金具の貫通孔において、単に環状の逃げ溝を内周面に設けるだけの単純な構成によって、スリーブシャフトとの接触面積を小さくし、保持金具が軸心方向に摺動する際の摩擦抵抗の低減を図ることができるため、経済的である。
また、本発明に係るガラス管成形用スリーブは、前記保持金具において、前記貫通孔の内周面に、軸心方向に延出する逃げ溝が周方向に沿って複数形成されていることが好ましい。
このような構成からなるガラス管成形用スリーブによれば、軸心方向の傾きをより少なくなるように抑制しつつ、保持金具の貫通孔にスリーブシャフトを挿通させることができる。
従って、作業者にとって、保持金具にスリーブシャフトを挿通する作業に係る労力を、軽減することができる。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係るガラス管成形用スリーブによれば、例えばスリーブシャフトの熱膨張によってメタルチップと保持金具との離間寸法が増加したとしても、メタルチップおよび保持金具による挟持力が弱まるのを防止し、スリーブシャフト上におけるメタルチップ、耐火物円筒体、および保持金具の同軸度を確保することができる。
本発明に係るガラス管成形用スリーブの全体的な構成を示した断面側面図。 本実施形態に係る保持金具の形状を示した断面側面図。 本実施形態に係る保持金具の形状を示した図であって、図2中の矢印Bの方向から見た端面図。 別実施形態に係る保持金具の形状を示した断面側面図。 別実施形態に係る保持金具の形状を示した図であって、図4中の矢印Cの方向から見た端面図。 保持金具の内周部にスリーブシャフトを挿通する際の状態を示した図であって、(a)は本実施形態に係る保持金具の場合を示した概略図、(b)は別実施形態に係る保持金具の場合を示した概略図。
次に、発明の実施形態について、図1乃至図6を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図1、図2、および図4における矢印Aの方向を溶融ガラスGの引出方向(搬送方向)と規定して記述する。
また、以下の説明に関しては便宜上、図1乃至図6の上下方向をガラス管成形用スリーブ1または保持金具40・140の上下方向と規定して記述する。
[ガラス管成形用スリーブ1]
先ず、本発明を具現化するガラス管成形用スリーブ1(以下、単に「スリーブ1」と記載する)の全体構成について、図1を用いて説明する。
本実施形態におけるスリーブ1は、例えばダンナー法によってガラス管やガラス棒を大量生産するのに用いられるものである。
スリーブ1は、主にスリーブシャフト10、メタルチップ20、耐火物円筒体30、保持金具40、および付勢機構部50などにより構成される。
スリーブシャフト10は、スリーブ1の基部となるものである。
スリーブシャフト10は、例えばFe−Co−Ni系合金やFe−Cr−Ni系合金などの耐熱鋼からなる長尺の丸棒部材によって構成され、その内部には貫通孔10aが同軸上に穿孔されている。
そして、スリーブシャフト10は、一端部(溶融ガラスGの引出方向側(図1中の矢印Aの方向側)の端部)を下方に傾斜させた姿勢にて配置されるとともに、他端部において図示せぬ回転駆動装置によって着脱可能に支持される。
また、スリーブシャフト10の貫通孔10aは、他端部において配管部材等を介して図示せぬブローエアー供給装置と連通されている。
次に、メタルチップ20について説明する。
メタルチップ20は、スリーブ1の先端部を構成するメタルチップの一例であって、後述する保持金具40とともに耐火物円筒体30を挟持しつつ保持するためのものである。
メタルチップ20は、本体部材21、および本体部材21をスリーブシャフト10に固設するためのカラー部材22などにより構成される。
本体部材21は、例えばFe−Co−Ni系合金やFe−Cr−Ni系合金などの耐熱鋼からなる円錐台形状の部材によって構成され、スリーブシャフト10の先端部において、当該スリーブシャフト10と同軸上、且つ溶融ガラスGの引出し側(以下、「下流側」と記載する)に向かって徐々に断面積が縮径するようにして配設される。
本体部材21の下流側端部には、円形断面形状の凹部21aが同軸上に形成される。
また、凹部21aの下流側との対向側(以下、「上流側」と記載する)の端面には、貫通孔21bが同軸上に穿孔される。
なお、貫通孔21bは、下流側から上流側に向かって徐々に断面形状が縮径するテーパー状に形成される。
一方、カラー部材22は、例えばFe−Co−Ni系合金やFe−Cr−Ni系合金などの耐熱鋼からなる環状の部材によって構成され、スリーブシャフト10の先端部(下流側端部)において、当該スリーブシャフト10と同軸上に配設される。
ここで、カラー部材22は、半径方向に二分割された半割構造からなり、その内周面の一端部には、環状の凸部22aがカラー部材22と同軸上に形成されている。
一方、スリーブシャフト10の下流側端部において、その外周面には環状の凹部10bが形成されている。
そして、スリーブシャフト10の凹部10bに、カラー部材22の凸部22aが嵌合することにより、カラー部材22は、軸心方向の移動を規制されつつ、スリーブシャフト10に保持される。
カラー部材22の外周面22bは、本体部材21の貫通孔21bに即しつつ、下流側から上流側に向かって徐々に断面積が縮径するテーパー状に形成される。
そして、このような構成からなるカラー部材22を介して、本体部材21は、スリーブシャフト10の先端部(下流側端部)に保持される。
具体的には、貫通孔21bを介してカラー部材22の外周面22bに嵌合されることにより、本体部材21は、軸心方向且つ下流側への移動を規制されつつ、スリーブシャフト10に保持される。
つまり、メタルチップ20は、スリーブシャフト10の先端部(下流側端部)に固設される。
次に、耐火物円筒体30について説明する。
耐火物円筒体30は、スリーブ1に導かれた溶融ガラスGを外周面に巻き付けながら、徐々に下流側へと搬送するためのものである。
耐火物円筒体30は、例えばシリカ−アルミナ系やシリカ−アルミナ−ジルコニア系の耐火物などからなる長尺の丸棒中空部材によって構成され、その一端部には徐々に断面積が縮径するテーパー部30aが形成される。
また、耐火物円筒体30の外周面には、例えば250[μm]〜450[μm]の膜厚からなる白金膜または白金合金膜が被覆されている。
そして、メタルチップ20の上流側において、耐火物円筒体30は、テーパー部30aを下流側に向けつつ、スリーブシャフト10に同軸上に挿設される。
その結果、メタルチップ20は、耐火物円筒体30の一端部側(下流側)に配置されることとなり、スリーブ1全体としての下流側端部において、耐火物円筒体30のテーパー部30aと、メタルチップ20(より具体的には、本体部材21)の外周面のテーパー形状とが滑らかに連結されることとなる。
次に、保持金具40について説明する。
保持金具40は、メタルチップ20とともに耐火物円筒体30を挟持しつつ保持するためのものである。
保持金具40は、詳細は後述するが、中空円筒形状の本体部40A、および本体部40Aの外周面に設けられる鍔部40Bにより構成される。
そして、耐火物円筒体30の他端部側(上流側)において、保持金具40は、本体部40Aを介してスリーブシャフト10に同軸上且つ摺動可能に挿設されるとともに、鍔部40Bを介して耐火物円筒体30の端部と当接される。
次に、付勢機構部50について説明する。
付勢機構部50は、保持金具40を軸心方向の下流側に向かって付勢するためのものである。
付勢機構部50は、例えば当接部材51、付勢部材52、および調整ナット53などにより構成される。
当接部材51は、保持金具40と直接当接される部材である。
当接部材51は、中空円筒形状の部材からなり、その内径寸法は、スリーブシャフト10の外径寸法に比べてやや大きく設定されている。
そして、保持金具40の上流側において、当接部材51は、スリーブシャフト10と同軸上に配置されつつ、軸心方向に摺動可能に設けられる。
なお、当接部材51の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、保持金具40の上流側端部を軸心方向に延設することによって、当接部材51を設けない(つまり、保持金具40と当接部材51とが一体的に形成された)構成としてもよい。
付勢部材52は、当接部材51を保持金具40側(即ち、下流側)に付勢するための部材である。
付勢部材52は、例えば既知の圧縮コイルバネなどにより構成される。
そして、付勢部材52は、当接部材51と調整ナット53との間において、スリーブシャフト10と同軸上に配置される。また、付勢部材52は、調整ナット53側端部において、上流側への移動を規制される。
これにより、付勢部材52は、当接部材51を下流側へと付勢する。
調整ナット53は、付勢部材52の付勢力を調整するためのものである。
調整ナット53は、環状の部材からなり、その内周面には雌螺子53aが形成されている。
一方、スリーブシャフト10の外周面において、付勢部材52の上流側端部には雄螺子10cが形成されている。
そして、これらの雄螺子10cおよび雌螺子53aを介して、調整ナット53は、付勢部材52の上流側にてスリーブシャフト10と螺合される。
また、このような構成を有することにより、調整ナット53の配置位置を、軸心方向に沿って精密に移動させることができる。
その結果、当接部材51と調整ナット53との間隙寸法、即ち付勢部材52の全長を精密に変更することができ、付勢部材52の付勢力を微調整することができる。
以上のように、本実施形態におけるスリーブ1は、スリーブシャフト10、並びにスリーブシャフト10上において、下流側から上流側に向かって同軸上に順に配設されるメタルチップ20、耐火物円筒体30、保持金具40、および付勢機構部50などにより構成される。
また、メタルチップ20はスリーブシャフト10の先端部に固定されるとともに、保持金具40は軸心方向に摺動可能に設けられつつ、付勢機構部50によって常にスリーブシャフト10の先端部に向かって付勢される。
これにより、耐火物円筒体30は、メタルチップ20および保持金具40によって、常に付勢機構部50の付勢力をもって挟持された状態となる。
その結果、これらのメタルチップ20、耐火物円筒体30、および保持金具40は、配置姿勢を各々堅固に保持されることとなり、回転駆動するスリーブシャフトに対して、大きな芯ブレを発生し難い。
そして、このような構成からなるスリーブ1が軸心を中心にして回転駆動され、回転駆動するスリーブ1(より具体的には、耐火物円筒体30)上に溶融ガラスGが流下し、流下された溶融ガラスGがスリーブ1の外周面に巻き付けられ、さらにスリーブ1の先端部(より具体的には、メタルチップ20の凹部21a)からブローエアーを噴出させつつ溶融ガラスGが引き出されることにより、ガラス管やガラス棒が連続的に成形される。
[保持金具40]
次に、保持金具40の構成について、図2および図3を用いて詳述する。
保持金具40は、例えばFe−Co−Ni系合金やFe−Cr−Ni系合金などの耐熱鋼からなり、図2に示すように、主に中空円筒形状の本体部40A、および本体部40Aの外周面の一端部に設けられる鍔部40Bにより構成される。
そして、保持金具40は、耐火物円筒体30と、付勢機構部50の当接部材51との間において、鍔部40Bを下流側(耐火物円筒体30側)に向けつつ、スリーブシャフト10と同軸上に配設される。
本体部40Aにおいて、スリーブシャフト10が挿通する貫通孔40A1の内周面は、スリーブシャフト10の外径寸法と略同等の内径寸法を有して形成されるとともに、その軸心方向中途部には、周方向に延出する環状の逃げ溝が同軸上に形成されている。
具体的には、貫通孔40A1の内周面は、上流側から下流側に向かって順に配置される第一内周面40A11、前記逃げ溝としての第二内周面40A12、および第三内周面40A13等によって構成されている。
また、第一内周面40A11および第三内周面40A13は、スリーブシャフト10の外径寸法と略同等の(より具体的には、スリーブシャフト10の外径寸法に対して僅かに大きな)内径寸法を有する一方、第二内周面40A12は、スリーブシャフト10の外径寸法に比べて大きな内径寸法を有するように設定されている。
このように、本実施形態における保持金具40においては、図3に示すように、本体部40Aの内周面の全領域に亘ってスリーブシャフト10の外周面と密接するのではなく、当該内周面の一部のみ(即ち、第一内周面40A11および第三内周面40A13)が、スリーブシャフト10の外周面と密接する構成となっている。
よって、従来の保持金具のような、軸心方向の中途部に環状の逃げ溝を設けていない(即ち、全面がスリーブシャフトの外周面と密接する)内周面と比べて、スリーブシャフト10との接触面積が小さくなることから、保持金具40においては、軸心方向に摺動する際の摩擦抵抗の低減を図ることができる。
従って、軸心方向に熱膨張を引き起こしたスリーブシャフト10の中途部において、保持金具40は、例えば不意に嵌合されて摺動し難くなるようなことも少なく、付勢機構部50(図1を参照)の付勢力によって、容易に下流側へと摺動される。
その結果、たとえスリーブシャフト10の熱膨張によってメタルチップ20(図1を参照)と保持金具40との間の離間寸法が増加しても、メタルチップ20および保持金具40による挟持力(即ち、付勢機構部50による付勢力)が弱まることもなく、メタルチップ20、耐火物円筒体30、および保持金具40は、スリーブシャフト10に対して常に同軸上に堅固に保持されることとなり、スリーブ1の先端部より引き出される溶融ガラスGに対して、偏肉の発生を抑制し、寸法精度のよい高品質なガラス管やガラス棒を連続的に形成することができる。
図2に示すように、鍔部40Bの下流側端面の縁部には、軸心方向における上流側に向かって徐々に断面形状が縮径する、テーパー状の凹部40B1が形成される。
一方、耐火物円筒体30の上流側(保持金具40側)の端面には、軸心方向且つ上流側に向かって徐々に断面形状が縮径する、テーパー状の縁部30bが形成される。
そして、これらのテーパー状の凹部40B1および縁部30bを介して、保持金具40および耐火物円筒体30は、互いに同軸上に当接される。
これにより、保持金具40によって、耐火物円筒体30の上流側の端部における芯ズレが規制される。
[保持金具140(別実施形態)]
次に、別実施形態における保持金具140の構成について、図4乃至図6を用いて詳述する。
別実施形態における保持金具140は、前述した保持金具40と略同等な構成を有する一方、貫通孔140A1の内周面の形状において保持金具40と相違する。
よって、以下の説明においては、主に保持金具40との相違点について記載し、保持金具40と同等な構成についての記載は省略する。
保持金具140は、図4に示すように、主に中空円筒形状の本体部140A、および本体部140Aの外周面の一端部に設けられる鍔部140Bにより構成される。
本体部140Aにおいて、スリーブシャフト110を挿通する貫通孔140A1の内周面は、スリーブシャフト110の外径寸法と略同等の内径寸法を有するように形成されるとともに、軸心方向から見て放射状に配置される複数の逃げ溝を有して構成される。
つまり、貫通孔140A1の内周面には、軸心方向に延出する逃げ溝が周方向に沿って複数形成されている。
具体的には、貫通孔140A1の内周面は、軸心方向に延出する矩形状且つ凸状の第四内周面140A11と、同じく軸心方向に延出する矩形状且つ凹状の前記逃げ溝としての第五内周面140A12とにより形成され、図5に示すように、複数の第四内周面140A11・140A11・・・および第五内周面140A12・140A12・・・が、円周方向に沿って互いに交互に配置されることにより構成される。
また、これらの第四内周面140A11・140A11・・・による内径寸法は、スリーブシャフト110の外径寸法と略同等に(より具体的には、スリーブシャフト110の外径寸法に対して僅かに大きく)設定される一方、これらの第五内周面140A12・140A12・・・による内径寸法は、スリーブシャフト10の外径寸法に比べて大きくなるように設定されている。
このように、本実施形態における保持金具140においては、図4に示すように、本体部140Aの内周面の全領域に亘ってスリーブシャフト110の外周面と密接するのではなく、当該内周面の一部(即ち、複数の第四内周面140A11・140A11・・・)が、スリーブシャフト110の外周面と密接する構成となっている。
よって、前述したような従来の保持金具の内周面と比べて、スリーブシャフト110との接触面積が小さくなることから、保持金具140においては、軸心方向に摺動する際の摩擦抵抗の低減を図ることができる。
従って、軸心方向に熱膨張を引き起こしたスリーブシャフト110の中途部において、保持金具140は、前述の保持金具40と同様に、付勢機構部150の付勢力によって容易に下流側へと摺動される。
その結果、スリーブシャフト110の熱膨張に影響されることなく、メタルチップ(図示せず)、耐火物円筒体130、および保持金具140は、スリーブシャフト110に対して常に同軸上に堅固に保持されることとなり、スリーブ101の先端部より引き出される溶融ガラスGに対して、偏肉の発生を抑制し、寸法精度のよい高品質なガラス管やガラス棒を連続的に形成することができる。
ところで、図2に示すように、貫通孔40A1の軸心方向の中途部に周方向に延出する環状の逃げ溝40A12が形成された保持金具40の貫通孔40A1に、スリーブシャフト10を挿通する場合、図6(a)に示すように、第一内周面40A11において、スリーブシャフト10が、当該第一内周面40A11との間に生じる隙間を介して、任意の向きに傾き、第三内周面40A13にスリーブシャフト10が引っ掛かり挿通できない可能性がある。
一方、図6(b)に示すように、逃げ溝140A12が貫通孔140A1の軸心方向に延出するように形成された保持金具140の貫通孔140A1に、スリーブシャフト110を挿通する場合、貫通孔140A内でスリーブシャフト110が引っ掛かることなく、スリーブシャフト110を挿通させることができる。
従って、図5に示す形態の保持金具140は、作業者にとって、保持金具140にスリーブシャフト110を挿通する作業に係る労力を、より軽減することができるという利点がある。
1 ガラス管成形用スリーブ
10 スリーブシャフト
20 メタルチップ
30 耐火物円筒体
40 保持金具
40A1 貫通孔
40A12 第二内周面(逃げ溝)
110 スリーブシャフト
130 耐火物円筒体
140 保持金具
140A1 貫通孔
140A12 第五内周面(逃げ溝)

Claims (3)

  1. スリーブシャフトと、
    該スリーブシャフトに同軸上に挿設される耐火物円筒体と、
    該耐火物円筒体の一端部側であって前記スリーブシャフトの先端部に固設されるメタルチップと、
    前記耐火物円筒体の他端部側において前記スリーブシャフトに摺動可能に挿設され、且つ前記メタルチップとともに前記スリーブシャフトを挟持しつつ保持する保持金具と、
    を備えるガラス管成形用スリーブであって、
    前記スリーブシャフトを挿通する前記保持金具の貫通孔は、
    その内周面の一部のみが前記スリーブシャフトの外周面と密接する、
    ことを特徴とするガラス管成形用スリーブ。
  2. 前記保持金具において、
    前記貫通孔の内周面に、周方向に延出する環状の逃げ溝が軸心方向の中途部に形成されてなる、
    ことを特徴とする、請求項1に記載のガラス管成形用スリーブ。
  3. 前記保持金具において、
    前記貫通孔の内周面に、軸心方向に延出する逃げ溝が周方向に沿って複数形成されてなる、
    ことを特徴とする、請求項1に記載のガラス管成形用スリーブ。
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