JP6578798B2 - ガラス管成形用スリーブおよびガラス管成形用スリーブの組立方法 - Google Patents

ガラス管成形用スリーブおよびガラス管成形用スリーブの組立方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス管成形用スリーブおよびその組立方法の技術に関し、より詳しくは、溶融ガラスを外周面に巻き付けながら下流側に導く耐火物円筒体において、その下流側の先端部に装着されるメタルチップの技術に関する。
従来より、ガラス管やガラス棒を大量生産する方法として、ダンナー法が広く利用されている。
前記ダンナー法は、先端部を下方に傾斜させて支持され、且つ軸心を中心にして回転駆動されるスリーブ上に溶融ガラスを流下させ、流下された溶融ガラスをスリーブの外周面に巻き付け、さらにスリーブの先端部からブローエアーを噴出させつつ(または、噴出させずに)前記溶融ガラスを引き出すことによって、ガラス管やガラス棒を連続的に成形する方法である。
ここで、このようなダンナー法に用いられるスリーブは、主に、先端部を下方に傾斜させて軸支されるスリーブシャフトや、スリーブシャフト上において同軸上に順に挿設されるメタルチップ、耐火物円筒体、および保持金具などにより構成される(例えば、「特許文献1」を参照)。
そして、メタルチップはスリーブシャフトの先端部に固定されるとともに、保持金具は軸心方向に摺動可能に設けられつつ、付勢部材によって常にスリーブシャフトの先端部に向かって付勢される。
これにより、耐火物円筒体は、メタルチップおよび保持金具によって、常に付勢部材の付勢力をもって挟持された状態となる。
その結果、これらのメタルチップ、耐火物円筒体、および保持金具の配置姿勢は堅固に保持され、回転駆動するスリーブシャフトに対して、大きな芯ブレを発生し難い構成となることから、スリーブの先端部より引き出される溶融ガラスに対して、偏肉の発生を抑制することが可能となり、寸法精度のよい高品質なガラス管やガラス棒を連続的に形成することができる。
特開平5−294651号公報
ところで、従来のスリーブにおいては、スリーブシャフトの先端部、およびメタルチップの内周面に雄螺子および雌螺子が各々螺刻されており、これらの雄螺子および雌螺子を介して、メタルチップは、スリーブシャフトの先端部に螺着されていた。
ここで、メタルチップの雌螺子と螺合するスリーブシャフトの雄螺子の螺子山数は、前記雌螺子の周方向における位相によって異なる箇所が存在する。
この、スリーブシャフトの先端部には、螺子山の掛かりが多い(螺合された雄螺子の螺子山数が多い)箇所と、螺子山の掛かりが少ない(螺合された雄螺子の螺子山数が少ない)箇所が存在し、メタルチップを通じて前記先端部に付加される荷重が場所によって相違する。
その結果、スリーブシャフトの先端部には捩れが生じ易く、スリーブシャフト上におけるメタルチップ、および耐火物円筒体の同軸度が崩れ易いことから、スリーブの先端部より引き出される溶融ガラスに対して、偏肉の発生を抑制し、寸法精度のよい高品質なガラス管やガラス棒を連続的に形成することが困難となる。
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みてなされたものであり、スリーブシャフトと、スリーブシャフトに同軸上に挿設される耐火物円筒体と、スリーブシャフトの先端部に固設されるとともに、耐火物円筒体の軸心方向且つ前記先端部側への移動を規制するメタルチップとを備えるガラス管成形用スリーブであって、スリーブシャフト上におけるメタルチップ、および耐火物円筒体の同軸度を確保することが可能なガラス管成形用スリーブを提供することを課題とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、本発明に係るガラス管成形用スリーブは、スリーブシャフトと、該スリーブシャフトに同軸上に挿設される耐火物円筒体と、前記スリーブシャフトの先端部に固設されるとともに、該耐火物円筒体の軸心方向における前記先端部側への移動を規制するメタルチップと、を備えるガラス管成形用スリーブであって、前記メタルチップは、前記先端部側に向かって断面積が拡径するテーパー状の外周面を有するとともに、前記スリーブシャフトの先端部に同軸上に嵌設される環状のカラー部材と、該カラー部材の外周面に即するように前記先端部側に向かって断面積が拡径するテーパー状の貫通孔を有するとともに、該貫通孔を介して前記カラー部材と嵌合する本体部材と、を備えることを特徴とする。
このように、本発明に係るガラス管成形用スリーブにおいては、スリーブシャフトの先端部に固設されるカラー部材の外周面全体に亘って、本体部材の貫通孔の内周面と密接するため、例えば、溶融ガラスを引出す際に、メタルチップを通じてスリーブシャフトの先端部に付加される軸心方向の引張荷重は、任意の箇所において全て同等に付加されることになる。
その結果、本発明に係るメタルチップによれば、長期間に亘るガラス管成形用スリーブの使用によって、スリーブシャフトの先端部に捩れが生じるのを抑制することが可能となり、スリーブシャフト上におけるメタルチップ、および耐火物円筒体の同軸度を確保することができる。
また、本発明に係るガラス管成形用スリーブは、前記カラー部材は、半径方向に二分割された半割構造からなることが好ましい。
このような構成からなるガラス管成形用スリーブによれば、スリーブシャフトの先端部を挟持するようにして、カラー部材を当該先端部に容易に嵌設させることができる。
また、本発明に係るガラス管スリーブの組立方法は、スリーブシャフトと、該スリーブシャフトの先端部に固設されるメタルチップと、を備えるガラス管成形用スリーブの組立方法であって、前記メタルチップは、前記先端部側に向かって断面積が拡径するテーパー状の外周面を有するとともに、前記スリーブシャフトの先端部に同軸上に嵌設される環状のカラー部材と、該カラー部材の外周面に即するように前記先端部側に向かって断面積が拡径するテーパー状の貫通孔を有するとともに、該貫通孔を介して前記カラー部材と嵌合する本体部材と、を備え、前記本体部材を、前記スリーブシャフトにおける前記カラー部材の嵌設位置よりも基端側に挿通させた後に、前記カラー部材を前記スリーブシャフトの先端部に嵌設し、その後、前記本体部材を前記先端部側に移動させて、前記カラー部材に嵌合させることにより、前記スリーブシャフトの先端部に組付けられることを特徴とする。
このように、本発明に係るガラス管成形用スリーブの組立方法においては、スリーブシャフトの先端部に固設されるカラー部材の外周面全体に亘って、本体部材の貫通孔の内周面と密接するため、例えば、溶融ガラスを引出す際に、メタルチップを通じてスリーブシャフトの先端部に付加される軸心方向の引張荷重は、任意の箇所において全て同等に付加されることになる。
その結果、本発明に係るメタルチップによれば、長期間に渡るガラス管成形用スリーブの使用によって、スリーブシャフトの先端部に捩れが生じるのを抑制することが可能となり、スリーブシャフト上におけるメタルチップ、耐火物円筒体、および保持金具の同軸度を確保することができる。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係るガラス管成形用スリーブおよびガラス管成形用スリーブの組立方法によれば、スリーブシャフト上におけるメタルチップ、および耐火物円筒体の同軸度を確保することができる。
本発明の一実施形態に係るガラス管成形用スリーブの全体的な構成を示した断面側面図。 ガラス管成形用スリーブに備えられるメタルチップおよびその近傍を示した拡大断面側面図。 メタルチップがスリーブシャフトに組付けられる際の状態を経時的に示した図であり、(a)は本体部材をスリーブシャフトに挿通させる際の状態を示した断面側面図、(b)はカラー部材をスリーブシャフトに装着させる際の状態を示した断面側面図、(c)は本体部材を耐火物円筒体によってカラー部材側に押圧する際の状態を示した断面側面図、(d)はメタルチップがスリーブシャフトに組付けられた直後の状態を示した断面側面図。 従来のガラス管成形用スリーブに備えられるメタルチップおよびその近傍を示した拡大断面側面図。
次に、本発明の実施形態について、図1乃至図4を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図1乃至図4における矢印Aの方向を溶融ガラスGの引出方向(搬送方向)と規定して記述する。
また、以下の説明に関しては便宜上、図1乃至図4の上下方向をガラス管成形用スリーブ1・101の上下方向と規定して記述する。
[ガラス管成形用スリーブ1]
先ず、本発明を具現化するガラス管成形用スリーブ1(以下、単に「スリーブ1」と記載する)の全体構成について、図1を用いて説明する。
本実施形態におけるスリーブ1は、例えばダンナー法によってガラス管やガラス棒を大量生産するのに用いられるものである。
スリーブ1は、主にスリーブシャフト10、メタルチップ20、耐火物円筒体30、保持金具40、および付勢機構部50などにより構成される。
スリーブシャフト10は、スリーブ1の基部となるものである。
スリーブシャフト10は、例えばFe−Co−Ni系合金やFe−Cr−Ni系合金などの耐熱鋼からなる長尺の丸棒部材によって構成され、その内部には貫通孔10aが同軸上に穿孔されている。
そして、スリーブシャフト10は、一端部(溶融ガラスGの引出方向側(図1中の矢印Aの方向側)の端部)を下方に傾斜させた姿勢にて配置されるとともに、他端部において図示せぬ回転駆動装置によって着脱可能に支持される。
また、スリーブシャフト10の貫通孔10aは、他端部において配管部材等を介して図示せぬブローエアー供給装置と連通されている。
次に、メタルチップ20について説明する。
メタルチップ20は、スリーブ1の先端部を構成するメタルチップの一例であって、後述する保持金具40とともに耐火物円筒体30を挟持しつつ保持するためのものである。
メタルチップ20は、詳細は後述するが、本体部材21、および本体部材21をスリーブシャフト10に固設するためのカラー部材22などにより構成される。
本体部材21は、円錐台形状に形成され、スリーブシャフト10の先端部において、当該スリーブシャフト10と同軸上、且つ溶融ガラスGの引出し側(以下、「下流側」と記載する)に向かって徐々に断面積が縮径するようにして配設される。
一方、カラー部材22は、環状に形成され、スリーブシャフト10の先端部(下流側端部)において、当該スリーブシャフト10と同軸上に配設される。
そして、本体部材21は、カラー部材22を介して、軸心方向への移動を規制されつつ保持される。
これにより、メタルチップ20は、スリーブシャフト10の先端部に固設される。
次に、耐火物円筒体30について説明する。
耐火物円筒体30は、スリーブ1に導かれた溶融ガラスGを外周面に巻き付けながら、徐々に下流側へと搬送するためのものである。
耐火物円筒体30は、例えばシリカ−アルミナ系やシリカ−アルミナ−ジルコニア系の耐火物などからなる長尺の丸棒中空部材によって構成され、その一端部には徐々に断面積が縮径するテーパー部30aが形成される。
また、耐火物円筒体30の外周面には、例えば250[μm]〜450[μm]の膜厚からなる白金膜または白金合金膜が被覆されている。
そして、メタルチップ20の下流側との対向側(以下、「上流側」と記載する)において、耐火物円筒体30は、テーパー部30aを下流側に向けつつ、スリーブシャフト10に同軸上に挿設される。
その結果、メタルチップ20は、耐火物円筒体30の下流側に配置されることとなり、スリーブ1全体としての下流側端部において、耐火物円筒体30のテーパー部30aと、メタルチップ20(より具体的には、本体部材21)の外周面のテーパー形状とが滑らかに連結されることとなる。
また、耐火物円筒体30は、メタルチップ20によって軸心方向における下流側(スリーブシャフト10の先端部側)への移動を規制されることとなる。
次に、保持金具40について説明する。
保持金具40は、メタルチップ20とともに耐火物円筒体30を挟持しつつ保持するためのものである。
保持金具40は、例えばFe−Co−Ni系合金やFe−Cr−Ni系合金などの耐熱鋼からなり、主に中空円筒形状の本体部40A、および本体部40Aの外周面の一端部に設けられる鍔部40Bにより構成される。
そして、耐火物円筒体30の上流側において、保持金具40は、鍔部40Bを下流側(耐火物円筒体30側)に向けつつ、本体部40Aを介してスリーブシャフト10に同軸上且つ摺動可能に挿設される。
また、鍔部40Bの下流側端面の縁部には、軸心方向における上流側に向かって徐々に断面形状が縮径する、テーパー状の凹部40B1が形成される。
一方、耐火物円筒体30の上流側(保持金具40側)の端面には、軸心方向且つ上流側に向かって徐々に断面形状が縮径する、テーパー状の縁部30bが形成される。
そして、これらのテーパー状の凹部40B1および縁部30bを介して、保持金具40および耐火物円筒体30は、互いに同軸上に当接される。
これにより、保持金具40によって、耐火物円筒体30の上流側の端部における芯ズレが規制される。
次に、付勢機構部50について説明する。
付勢機構部50は、保持金具40を軸心方向の下流側に向かって付勢するためのものである。
付勢機構部50は、例えば当接部材51、付勢部材52、および調整ナット53などにより構成される。
当接部材51は、保持金具40と直接当接される部材である。
当接部材51は、中空円筒形状の部材からなり、その内径寸法は、スリーブシャフト10の外径寸法に比べてやや大きく設定されている。
そして、保持金具40の上流側において、当接部材51は、スリーブシャフト10と同軸上に配置されつつ、軸心方向に摺動可能に設けられる。
なお、当接部材51の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、保持金具40の上流側端部を軸心方向に延設することによって、当接部材51を設けない(つまり、保持金具40と当接部材51とが一体的に形成された)構成としてもよい。
付勢部材52は、当接部材51を下流側(保持金具40側)に付勢するための部材である。
付勢部材52は、例えば既知の圧縮コイルバネなどにより構成される。
そして、付勢部材52は、当接部材51と調整ナット53との間において、スリーブシャフト10と同軸上に配置される。また、付勢部材52は、調整ナット53側の端部において、上流側への移動を規制される。
これにより、付勢部材52は、当接部材51を下流側へと付勢する。
調整ナット53は、付勢部材52の付勢力を調整するためのものである。
調整ナット53は、環状の部材からなり、その内周面には雌螺子53aが形成されている。
一方、スリーブシャフト10の外周面において、付勢部材52の上流側端部には雄螺子10cが形成されている。
そして、これらの雄螺子10cおよび雌螺子53aを介して、調整ナット53は、付勢部材52の上流側にてスリーブシャフト10と螺合される。
また、このような構成を有することにより、調整ナット53の配置位置を、軸心方向に沿って精密に移動させることができる。
その結果、当接部材51と調整ナット53との間隙寸法、即ち付勢部材52の全長を精密に変更することができ、付勢部材52の付勢力を微調整することができる。
以上のように、本実施形態におけるスリーブ1は、スリーブシャフト10、並びにスリーブシャフト10上において、下流側から上流側に向かって同軸上に順に配設されるメタルチップ20、耐火物円筒体30、保持金具40、および付勢機構部50などにより構成される。
そして、メタルチップ20はスリーブシャフト10の先端部に固定されるとともに、保持金具40は軸心方向に摺動可能に設けられつつ、付勢機構部50によって常にスリーブシャフト10の先端部に向かって付勢される。
これにより、耐火物円筒体30は、メタルチップ20および保持金具40によって、常に付勢機構部50の付勢力をもって挟持された状態となる。
その結果、これらのメタルチップ20、耐火物円筒体30、および保持金具40は、配置姿勢を各々堅固に保持されることとなり、回転駆動するスリーブシャフトに対して、大きな芯ブレを発生し難い。
そして、このような構成からなるスリーブ1が軸心を中心にして回転駆動され、回転駆動するスリーブ1(より具体的には、耐火物円筒体30)上に溶融ガラスGが流下し、流下された溶融ガラスGがスリーブ1の外周面に巻き付けられ、さらにスリーブ1の先端部(より具体的には、後述するメタルチップ20の凹部21a)からブローエアーを噴出させつつ溶融ガラスGが引き出されることにより、ガラス管やガラス棒が連続的に成形される。
[メタルチップ20]
次に、メタルチップ20の構成について、図2および図4を用いて詳述する。
メタルチップ20は、前述したように、主に本体部材21およびカラー部材22などにより構成される。
本体部材21は、図2に示すように、例えばFe−Co−Ni系合金やFe−Cr−Ni系合金などの耐熱鋼からなる円錐台形状の部材によって構成され、前述したように、スリーブシャフト10の先端部において、当該スリーブシャフト10と同軸上、且つ下流側に向かって徐々に断面積が縮径するようにして配設される。
また、本体部材21の外周面には、例えば250[μm]〜450[μm]の膜厚からなる白金膜または白金合金膜が被覆されている。
本体部材21の下流側端部には、円形断面形状の凹部21aが同軸上に形成される。
また、凹部21aの上流側の端面(凹部21aの底面)には、貫通孔21bが同軸上に穿孔される。
そして、貫通孔21bは、下流側(スリーブシャフト10の先端部側)に向かって徐々に断面形状が拡径するテーパー状に形成される。
カラー部材22は、例えばFe−Co−Ni系合金やFe−Cr−Ni系合金などの耐熱鋼からなる環状の部材によって構成され、前述したように、スリーブシャフト10の先端部において、当該スリーブシャフト10と同軸上に配設される。
また、カラー部材22は、半径方向に二分割された半割構造からなり、その内周面の一端部(上流側端部)には、環状の凸部22aが同軸上に形成されている。
一方、スリーブシャフト10の先端部において、その外周面には環状の凹部10bが同軸上に形成されている。
そして、スリーブシャフト10の凹部10bに、カラー部材22の凸部22aがを嵌合することにより、カラー部材22は、軸心方向の移動を規制されつつ、スリーブシャフト10に嵌設される。
カラー部材22の外周面22bは、本体部材21の貫通孔21bのテーパー形状に即するように、下流側(スリーブシャフト10の先端部側)に向かって徐々に断面積が拡径するテーパー状に形成される。
そして、このような構成からなるカラー部材22を介して、本体部材21は、スリーブシャフト10の先端部(下流側端部)に保持される。
具体的には、貫通孔21bを介してカラー部材22の外周面22bに嵌合されることにより、本体部材21は、軸心方向における下流側への移動を規制されつつ、スリーブシャフト10に保持される。
つまり、メタルチップ20は、スリーブシャフト10の先端部(下流側端部)に固設される。
以上のように、本実施形態におけるメタルチップ20は、従来のメタルチップ120(図4を参照)のように、スリーブシャフト10に対して螺着される構成ではないため、メタルチップ20を通じてスリーブシャフト10にかかる荷重が周方向の各位相において均一となり、当該スリーブシャフト10の先端部における捩れの発生を抑制することができる。
具体的には、図4に示すように、従来のメタルチップ120においては、雌螺子120aが同軸上に螺刻されている。また、スリーブシャフト110の先端部には、雄螺子110aが螺刻されている。
そして、メタルチップ120は、これらの雄螺子110aおよび雌螺子120aを介して、スリーブシャフト110の先端部に同軸上に螺着される。
ここで、メタルチップ120の雌螺子120aと螺合するスリーブシャフト110の雄螺子110aの螺子山数は、雌螺子120aの周方向における位相によって異なる箇所が存在する場合がある。
例えば、図4中におけるメタルチップ120の雌螺子120aにおいて、その上端側に螺合する雄螺子110aの螺子山数は9個であり、また対向する(上端側と180°位相が異なる箇所である)下端側に螺合する雄螺子110aの螺子山数は8個である。
つまり、雌螺子120aの上端側の方が、下端側に比べて、雄螺子110aの螺子山の掛かりが多い(螺合された雄螺子110aの螺子山数が1個多い)。
このような構成からなる従来のガラス管成形用スリーブ101(以下、単に「スリーブ101」と記載する)において、溶融ガラスG(図1を参照)を引出す際に、メタルチップ120を通じてスリーブシャフト110の先端部に付加される軸心方向の引張荷重は、螺子山の掛かりが多い箇所の方が、螺子山の掛かりが少ない箇所に比べてより大きな引張荷重が付加され、常に前者の方が後者に比べて引き延ばされる傾向にあり、長期間に渡るスリーブ101の使用によって、スリーブシャフト110の先端部に捩れが生じ易い。
これに対して、図2に示すように、本実施形態においては、スリーブシャフト10の先端部に固設されるカラー部材22の外周面22b全体に亘って、本体部材21の貫通孔21bの内周面と密接するため、溶融ガラスGを引出す際に、メタルチップ20を通じてスリーブシャフト10の先端部に付加される軸心方向の引張荷重は、任意の箇所において全て同等に付加されることになる。
その結果、本実施形態におけるメタルチップ20によれば、長期間に渡るスリーブ1の使用によって、スリーブシャフト10の先端部に捩れが生じるのを抑制することができる。
[メタルチップ20の組付け手順]
次に、メタルチップ20の組付け手順について、図3を用いて説明する。
先ず始めに、スリーブシャフト10には、耐火物円筒体30、保持金具40、および付勢機構部50(図1を参照)が既に挿設されている。
そして、これらの耐火物円筒体30、保持金具40、および付勢機構部50の同軸度は未だ調整されておらず、また、耐火物円筒体30の配置位置が、所定の位置に比べて上流側に寄せられている。
このような状況下において、図3(a)に示すように、スリーブシャフト10の先端部に本体部材21を挿通させる。
この際、本体部材21は、貫通孔21bを介してスリーブシャフト10と同軸上、且つ所定の位置に比べてやや上流側に寄せた位置(図3(a)中のメタルチップ21Aによって示された位置)にて一時的に配置される。
つまり、本体部材21を、その貫通孔21bがスリーブシャフト10のカラー部材22が嵌設される箇所よりも上流側(スリーブシャフト10の基端側)に位置するように配置する。
本体部材21を一旦配置し終えた後、図3(b)に示すように、スリーブシャフト10の先端部にカラー部材22を嵌設する。
具体的には、カラー部材22は、前述したように半径方向に二分割された半割構造からなるため、スリーブシャフト10の先端部を挟持するようにして、当該先端部に容易に嵌設される。
これにより、カラー部材22は、凸部22aを介して軸心方向の移動を規制されるとともに、スリーブシャフト10と同軸上、且つ外周面22bの形状が上流側に向かって徐々に断面積が縮径するテーパー状となる姿勢で、スリーブシャフト10の先端部に固設される。
カラー部材22を嵌設し終えた後、図3(c)に示すように、本体部材21を軸心方向且つ下流側(スリーブシャフト10の先端部側)に押進させる。
具体的には、付勢機構部50の調整ナット53(図1を参照)の位置を調整することにより、本体部材21を、付勢機構部50の付勢力によって、保持金具40および耐火物円筒体30を介して軸心方向且つ下流方向に付勢する。
その結果、カラー部材22の外周面22bにおいて、本体部材21は、貫通孔21bを介して嵌合される。
これにより、図3(d)に示すように、本体部材21は、スリーブシャフト10の先端部において、カラー部材22を介して軸心方向且つ下流側への移動を規制されつつ、スリーブシャフト10に保持される。
つまり、メタルチップ20は、スリーブシャフト10の先端部に組付けられる。
1 スリーブ(ガラス管成形用スリーブ)
10 スリーブシャフト
20 メタルチップ
21 本体部材
21b 貫通孔
22 カラー部材
22b 外周面
30 耐火物円筒体

Claims (3)

  1. スリーブシャフトと、
    該スリーブシャフトに同軸上に挿設される耐火物円筒体と、
    前記スリーブシャフトの先端部に固設されるとともに、該耐火物円筒体の軸心方向における前記先端部側への移動を規制するメタルチップと、
    を備えるガラス管成形用スリーブであって、
    前記メタルチップは、
    前記先端部側に向かって断面積が拡径するテーパー状の外周面を有するとともに、前記スリーブシャフトの先端部に同軸上に嵌設される環状のカラー部材と、
    該カラー部材の外周面に即するように前記先端部側に向かって断面積が拡径するテーパー状の貫通孔を有するとともに、該貫通孔を介して前記カラー部材と嵌合する本体部材と、
    を備える、
    ことを特徴とするガラス管成形用スリーブ。
  2. 前記カラー部材は、半径方向に二分割された半割構造からなる、
    ことを特徴とする、請求項1に記載のガラス管成形用スリーブ。
  3. スリーブシャフトと、
    該スリーブシャフトの先端部に固設されるメタルチップと、
    を備えるガラス管成形用スリーブの組立方法であって、
    前記メタルチップは、
    前記先端部側に向かって断面積が拡径するテーパー状の外周面を有するとともに、前記スリーブシャフトの先端部に同軸上に嵌設される環状のカラー部材と、
    該カラー部材の外周面に即するように前記先端部側に向かって断面積が拡径するテーパー状の貫通孔を有するとともに、該貫通孔を介して前記カラー部材と嵌合する本体部材と、
    を備え、
    前記本体部材を、前記スリーブシャフトにおける前記カラー部材の嵌設位置よりも基端側に挿通させた後に、
    前記カラー部材を前記スリーブシャフトの先端部に嵌設し、
    その後、前記本体部材を前記先端部側に移動させて、前記カラー部材に嵌合させることにより、
    前記スリーブシャフトの先端部に組付けられる、
    ことを特徴とするガラス管成形用スリーブの組立方法。
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