JP6597644B2 - 化粧部材 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧部材に関するものである。
壁、天井、床等の建築物の内外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の他、キッチン、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内外装用部材には、一般的に、鋼板等の金属部材、樹脂部材、木質部材を被着材として、これに化粧シートを貼り合わせたものが用いられる(例えば、特許文献1)。なかでも、外装用部材、扉、窓枠といった部材は、直射日光に晒される環境で用いられるため、温度上昇により反りが生じるという問題がある。また、直射日光の熱がこれらの部材を介して建築物内部に伝播し、建築物内部の温度が上昇するといった問題もある。この問題は、化粧部材を構成するいずれかの層、例えば被着材、基材、装飾層に一般的に用いられる顔料、特に黒色の顔料として、熱を吸収しやすいカーボンブラックを用いた場合に顕著である。
直射日光による諸問題を解決するために、化粧シート中の印刷層に用いられる顔料として、ペレリンブラックを用いることを特徴とした遮熱化粧シートが提案されている(例えば、特許文献2)。また、絵柄模様層の黒色顔料としてアゾメチンアゾ系樹脂を用いることを特徴とする遮熱化粧シートも提案されている(例えば、特許文献3)。
特開昭59−178252号公報 特開2013−237248号公報 特開2014−43066号公報
しかし、特許文献2及び3では、印刷層に用いられる顔料の種類によって遮熱することは検討されているものの、化粧シートを構成する層の態様により遮熱することについての検討はなされていない。また、ペレリンブラック、アゾメチンアゾ系樹脂は有機顔料であり、無機顔料と比べて隠蔽力や着色力が弱いため、意匠性の観点から顧客の厳しいニーズに対応することは困難である。
本発明は、このような状況下になされたもので、優れた遮熱性能を有し、かつ意匠性をも有する化粧部材を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち本発明は、下記の構成を有する化粧部材を提供するものである。
[1]被着材と、基材シート、装飾層、及び表面保護層を順に有する化粧シートとをこの順に有する化粧部材であって、該基材シートと装飾層との何れか一方又は両方に、カーボンブラック又はカルシウム元素、チタン元素、及び、マンガン元素を含む複合酸化物からなる着色剤を含み、該基材シートの該化粧シートに対する体積占有率が75%以下であり、JIS K 5602:2008に準じて算出される該化粧シートの波長範囲780〜2500nmでの日射反射率が25%以上であり、JIS K 5602:2008に準じて算出される該化粧部材の波長範囲780〜2500nmでの日射反射率が35%以上であり、上記化粧シートの明度(JIS Z 8729−1994に規定されるCIE(国際照明委員会)L表色系におけるL値)が、50以下であり、前記化粧シートが、カーボンブラックを含まないものである、化粧部材。
[2]装飾層と表面保護層との間に、樹脂層を有する上記[1]に記載の化粧部材。
本発明によれば、優れた遮熱性能を有し、かつ意匠性をも有する化粧部材を提供することができる。
本発明の化粧部材の層構成の一例を示す断面模式図である。
〔化粧部材〕
本発明の化粧部材は、被着材と、基材シート、装飾層、及び表面保護層を順に有する化粧シートとをこの順に有する化粧部材であって、該基材シートの該化粧シートに対する体積占有率が75%以下であり、JIS K 5602:2008に準じて算出される該化粧シートの波長範囲780〜2500nmでの日射反射率が25%以上であり、JIS K 5602:2008に準じて算出される該化粧部材の波長範囲780〜2500nmでの日射反射率が35%以上であることを特徴とするものである。
以下、図1を参照しながら、本発明の化粧部材の構成について詳細に説明する。図1は本発明の化粧部材10の好ましい層構成の一例を示すものであり、図1に示される化粧部材10は、被着材1の上に、接着剤層2を介して、基材シート31、装飾層32、表面保護層34、及び該装飾層32と表面保護層34との間に好ましく設けられる樹脂層33を備える化粧シート3を有するものである。
まず、本発明の基材シートの化粧シートに対する体積占有率、化粧シート及び化粧部材の日射反射率について説明する。
本発明において、基材シートの化粧シートに対する体積占有率は75%以下であることを要する。体積占有率が75%を超えると、基材シートに熱が溜まりやすくなるため、優れた遮熱性能が得られない。優れた遮熱性能が得られ、かつ化粧シートとして取り扱いが容易であり、また基材シートが着色されたものである場合は、被着材を隠蔽し、優れた意匠性も得られる観点から、基材シートの化粧シートに対する体積占有率は20〜75%が好ましく、25〜70%がより好ましく、25〜55%がさらに好ましい。
なお、本明細書において、上記基材シートの化粧シートに対する体積占有率は、単位長さ当たりの基材シートと化粧シートとの断面積から算出される。
本発明において、化粧シートの日射反射率は25%以上であることを要する。25%未満であると、優れた遮熱性能が得られない。優れた遮熱性能が得られ、各層を形成する材料の選択、装飾層の絵柄や色調の選択の自由度を得る観点から、化粧シートの日射反射率は25〜60%が好ましく、30〜55%がより好ましく、35〜55%がさらに好ましい。ここで、化粧シートの日射反射率は、JIS K 5602:2008(塗膜の日射反射率の求め方,波長範囲:780〜2500nm)に準じて算出されるが、具体的には、分光光度計を用いて入射角10°にて該化粧シートの分光反射率を測定し、得られたデータを用いてJIS K 5602:2008(塗膜の日射反射率の求め方,波長範囲:780〜2500nm)に準じて算出される。
また、本発明において、化粧部材の波長範囲780〜2500nmでの日射反射率は35%以上であることを要する。35%未満であると、優れた遮熱性能が得られない。優れた遮熱性能が得られ、各層を形成する材料の選択、装飾層の絵柄や色調の選択の自由度を得る観点から、40〜70%が好ましく、45〜65%がより好ましい。ここで、化粧部材の日射反射率は、JIS K 5602:2008(塗膜の日射反射率の求め方,波長範囲:780〜2500nm)に準じて算出されるが、具体的には、分光光度計を用いて入射角10°にて該化粧シートの分光反射率を測定し、得られたデータを用いてJIS K 5602:2008(塗膜の日射反射率の求め方,波長範囲:780〜2500nm)に準じて算出される。
(被着材)
次に、本発明の化粧部材を構成する各層について説明する。
被着材としては各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)等が挙げられる。例えば、木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる木質部材;鉄、アルミニウム等の板材や鋼板、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる金属部材;ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯業部材;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる樹脂部材等が挙げられる。また、これらの部材は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、上記のなかから用途に応じて適宜選択すればよく、壁、天井、床等の建築物の内外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具を用途とする場合は、木質部材、金属部材、樹脂部材、これらを組み合わせた部材が好ましい。
被着材の波長範囲780〜2500nmでの日射反射率は、優れた遮熱性能を得る観点から、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、上限としては100%以下が好ましく、被着材の選択の自由度を考慮すると、95%以下がより好ましく、90%以下がさらに好ましい。また、被着材の日射反射率は、化粧シートよりも高いことが好ましい。
被着材の厚さは、用途及び材料に応じて適宜選択すればよく、通常0.1〜5mmが好ましく、0.1〜3mmがより好ましい。
なお、上記被着材の波長範囲780〜2500nmでの日射反射率は、上述した化粧シートの日射反射率と同様にして算出できる。
(接着剤層)
被着材と化粧シートとは、優れた接着性を得るため、接着剤層を介して貼り合わせられることが好ましい。接着剤層に用いられる接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤を使用することができ、例えば感熱接着剤や感圧接着剤等の接着剤が好ましく挙げられる。この接着剤層を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂が使用される。また、イソシアネート等を硬化剤とする2液硬化型のポリウレタン系接着剤又はポリエステル系接着剤も適用し得る。
また、接着剤層には、粘着剤を用いることもできる。粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。
接着剤層は、上記の樹脂を溶液、あるいはエマルジョン等の塗布可能な形態にしたものを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、被着材と化粧シートの少なくとも一方に塗布、乾燥して形成することができる。
接着剤層の厚さは特に制限はないが、通常、1〜100μmの範囲である。この範囲とすることで、優れた接着性が得られる。
〔化粧シート〕
本発明の化粧部材は、被着材と、基材シート、装飾層、及び表面保護層を有する化粧シートとをこの順に有する、すなわち該被着材と該化粧シートの基材シートとが対向するように設けられたものである。
(基材シート)
本発明で用いられる化粧シートの基材シートは、通常化粧シートの基材シートとして用いられるものを制限なく採用することができ、取り扱いが容易であることから、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂により構成される基材シートが好ましい。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ということがある。)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリアリレート等が好ましく挙げられ、なかでもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートがより好ましく、さらにポリエチレンテレフタレートが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等が好ましく挙げられ、ポリエチレン、ポリプロピレンがより好ましい。
基材シートの厚さは、基材シートの化粧シートに対する体積占有率が75%以下となるような厚さであれば制限なく、例えば20〜130μmが好ましく、30〜100μmがより好ましく、40〜90μmがさらに好ましい。
基材シートは、着色された樹脂で構成されている着色樹脂シートであることが好ましい。着色された樹脂を用いることで、化粧シートを貼着する被着材の表面色相がばらついている場合に、表面色相を良好に隠蔽することができるので優れた意匠性が得られ、また所望に応じて設けられる装飾層の色調の安定性を確保することができる。また、優れた遮熱性能を得る観点から、白色であることが好ましい。
上述の目的で用いられる着色剤は、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、基材シートを有色透明や、有色不透明に着色することができる。一般的には被着材の表面を隠蔽することが必要であるため、有色不透明とすることが好ましい。
着色剤としては、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が好ましく用いられる。本発明においては、優れた遮熱性能を得る観点から、着色剤としてカーボンブラック(墨)の添加量として、基材シートを形成する樹脂100質量部に対して5.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、添加しないことが更に好ましい。カーボンブラック(墨)は熱を吸収しやすい特性を有するため、化粧シートにカーボンブラック(墨)が用いられることにより、化粧シートが熱を吸収しやすくなり、遮熱性能が低下してしまうからである。また、白色顔料として酸化チタンを用いる場合は、特に限定されるものではないが、結晶型として、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型などが知られており、優れた白色度と耐候性及び遮熱性能などの特性からルチル型が好ましい。また、酸化チタンは、光触媒作用によって樹脂を劣化させる可能性があることから、光触媒作用を安定させる目的で、表面被覆剤で表面処理されていることが好ましく、該表面被覆剤の組成としては限定的ではないが、例えば、酸化ケイ素やアルミナ、又は、酸化亜鉛などの無機酸化物が挙げられる。表面被覆剤の被覆方法についても特に限定されたものではなく、公知の方法で得られた酸化チタンを使用することができる。
着色剤の添加量は、耐候性を考慮し樹脂分が極端に少なくならないよう、上述の基材シートを形成する樹脂100質量部に対し、1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。
また、基材シートは、基材シートと他の層との層間密着性や、各種の被着材との接着性の強化等のために、片面または両面に酸化法や凹凸化法等の物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、基材シートと各層との層間密着性の強化等を目的として、プライマー層や裏面プライマー層を形成する等の処理を施してもよい。
さらに、基材シートには、必要に応じて無機充填剤を添加してもよく、無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、シリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)等の粉末等が挙げられる。無機充填剤の添加量は、通常、基材シートを形成する樹脂100質量部に対し、1〜50質量部である。
また、基材シートには、必要に応じてその他の各種添加剤、例えば、発泡剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が配合されていてもよい。
(装飾層)
本発明で用いられる化粧シートの装飾層は、本発明の化粧部材に装飾性を付与するもので、全面を被覆する着色層(いわゆるベタ着色層)であってもよいし、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される絵柄層であってもよいし、またこれらを組み合わせたものであってもよい。
装飾層に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。
バインダーとしては特に制限はなく、熱可塑性樹脂、1液硬化型樹脂や2液硬化型樹脂等の硬化性樹脂を用いることができ、例えば、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂(硝化綿)、酢酸セルロース樹脂等の中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、上記の基材シートに用いられる着色剤として例示したものと同じものを好ましく挙げることができる。また、カーボンブラック(墨)を用いないことが好ましいことも、同じである。
装飾層が絵柄を有する場合、その模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
本発明においては、濃色の場合でも優れた意匠性が得られ、また後述する凹形状により質感(触感)を表現することができるため、リアルな意匠性と質感が得られる観点から木目模様が適している。また、上記のように遮熱性能の観点からカーボンブラック(墨)を用いないことが好ましいが、本発明は、カーボンブラックを用いなくとも、基材シートの体積占有率、化粧シート及び化粧部材の日射反射率を特定の範囲とする構成により、濃色の場合でも優れた意匠性を得ることを可能とし、優れた遮熱性能と意匠性とを両立している。
装飾層の厚さは、所望の絵柄に応じて適宜選択すればよいが、通常1〜20μmであり、好ましくは1〜10μmである。
(表面保護層)
本発明で用いられる化粧シートの表面保護層は、装飾層の上に直接、又は他の層、例えば必要に応じて装飾層の上に設けられる後述する樹脂層の上に設けられる、本発明の化粧部材の最表面に位置する層であり、本発明の化粧部材に耐傷性、耐摩耗性、耐薬品性等の表面特性を付与する層である。表面保護層は、好ましくは硬化性樹脂を含有する樹脂組成物の硬化物で構成される。硬化性樹脂組成物の硬化物により構成されることで、化粧部材の表面特性を向上させることができる。
表面保護層の形成に用いられる硬化性樹脂としては、2液硬化型樹脂等の熱硬化性樹脂の他、電離放射線硬化性樹脂等が好ましく用いられ、これらを複数用いた、例えば、電離放射線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを併用する、あるいは硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを併用する、いわゆるハイブリッドタイプであってもよい。
表面保護層を形成する樹脂の架橋密度を高め、表面の耐傷性や耐摩耗性を向上させ得るとの観点から、電離放射線硬化性樹脂が好ましく、また、無溶媒で塗布することができ、取り扱いが容易との観点から、電子線硬化性樹脂がより好ましい。
(電離放射線硬化性樹脂)
電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線等を照射することにより、架橋、硬化する樹脂のことである。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、なかでも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等が挙げられる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレート等とともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
表面保護層の厚さは、優れた耐傷性とその持続性、さらには耐摩耗性、耐薬品性等の表面特性を得る観点から、2〜25μmが好ましく、2〜15μmがより好ましく、2〜10μmがさらに好ましい。
表面保護層を形成する樹脂組成物中には、その性能を阻害しない範囲で、上記以外の各種添加剤を含有することができる。各種添加剤としては、例えば重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤等が挙げられる。
(樹脂層)
本発明で用いられる化粧シートは、装飾層の保護、耐傷性の向上の観点から、基材シートと表面保護層との間に樹脂層を有することが好ましい。
樹脂層を構成する樹脂としては、上記の基材シートとして用いられるポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂の他、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂等が好ましく挙げられる。成型加工性の向上、耐傷性の向上の観点から、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリオレフィン樹脂がより好ましい。また、これと同様の観点から、上記の基材シート及び樹脂層を構成する樹脂がともにポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
樹脂層は基材シートと表面保護層との間に設けられていればよく、装飾層を保護する観点から、装飾層と表面保護層との間に設けられていることが好ましい。
樹脂層は透明であっても不透明でもよく、装飾層と表面保護層との間に設けられる場合は、装飾層をより鮮明に視認できるようにする観点から、透明であることが好ましい。ここで、透明とは、無色透明の他、着色透明及び半透明も含むものである。着色されている場合、用いられる着色剤としては、上記の基材シートに用いられる着色剤として例示したものを好ましく挙げることができる。また、カーボンブラック(墨)を用いないことが好ましいことも、同じである。
樹脂層の厚さとしては、20〜130μmが好ましく、30〜100μmがより好ましく、40〜90μmがさらに好ましい。樹脂層の厚さが上記範囲内であると、装飾層の保護機能、及び耐傷性の向上が望める。
樹脂層は、各層との接着性を向上させる観点から、片面または両面に酸化法や凹凸化法等の物理的または化学的表面処理を施すことができる。これらの物理的または化学的表面処理としては、上記の基材シートの表面処理と同様の方法が好ましく例示される。また、樹脂層は、各層との接着性を向上させる観点から、プライマー層や裏面プライマー層を形成する等の処理を施すこともできる。
(接着層)
本発明で用いられる化粧シートは、必要に応じて接着層を有することができる。特に、上記の樹脂層を有する場合、該樹脂層と装飾層との間の接着性を向上させるときに、接着層を設けることは有効である。接着層を構成する接着剤としては、通常化粧シートで用いられる接着剤を用いることができ、その厚さは0.1〜50μm程度であり、十分な接着性が得られる観点から1〜30μmの範囲が好ましい。
接着剤としては、特に制限はなく、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられ、なかでも、ウレタン系接着剤が接着力の点で好ましい。なお、このようなウレタン系接着剤としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等の各種ポリオール化合物と、トリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート等の各種ポリイソシアネート化合物とを含む2液硬化型ウレタン樹脂を利用した接着剤が挙げられる。また、アクリル−ポリエステル−塩酢ビ系樹脂等も加熱により容易に接着性を発現し、高温での使用でも接着強度を維持し得る好適な接着剤である。
接着層は、これら樹脂等からなる接着剤組成物を用いて、塗工法等の公知の層形成法で形成することができる。
(プライマー層)
上記のように、本発明で用いられる化粧シートは、必要に応じて、各層間密着性を向上させるために、各層間のいずれかにプライマー層、裏面プライマー層を有することができる。例えば、被着材と基材シートとの間で、基材シート側に裏面プライマー層としてプライマー層を設けることで、層間密着性に優れた化粧部材が得られる。また、表面保護層と他の層、例えば樹脂層を設ける場合は樹脂層との間に、プライマー層を設けることが、本発明の化粧部材の優れた耐傷性を得る観点から効果的である。
プライマー層は、透明又は半透明な層であり、例えば、上記の装飾層に用いられるバインダー樹脂として例示した樹脂等を用いて形成することができる。プライマー層の厚さは、通常、0.5〜20μm程度であり、好ましくは0.5〜5μmであり、より好ましくは0.5〜3μmである。
(凹形状)
本発明の化粧部材は、少なくとも表面保護層に凹形状を有することが好ましい。本発明の化粧部材は凹形状を有することで、特に質感(触感)に優れたものとなる。この凹形状は、少なくとも表面保護層に存在していればよく、また基材シートに至るものがあってもよい。優れた質感(触感)を得る観点から、表面保護層内に留まるものだけでなく、樹脂層まで至るもの、装飾層まで至るもの、基材シートまで至るものが組み合わされていることが好ましい。
なお、本明細書において、上記表面保護層等が上記凹形状を有する場合、該表面保護層等の厚みは、上記凹形状を有さない箇所で測定した厚みを意味する。
凹形状の最大深さは、化粧シートの総厚さに対して15%以上100%未満が好ましく、15〜80%がより好ましく、25〜80%がさらに好ましい。また、凹形状の最大深さとしては、15μm以上が好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましい。このような最大深さを有することで、凹形状の加工、例えばエンボス加工の際に化粧シートが破断してしまうことがなく、凹形状が潰れたように仕上がってしまうといったこともなく、優れた質感(触感)が得られ、結果として優れた意匠性が得られる。
ここで、凹形状の最大深さの測定は、任意の30点の凹形状について、該凹形状の最下点から表面保護層の表面までの高さを、表面粗さ形状測定機を用いて、カットオフ値:2.50mm、カットオフフィルタの種類:2RC、傾斜補正方法:直線の測定条件で測定し、最も深いものを最大深さとした。
表面保護層に凹形状を施す方法については特に制限はなく、例えば作業の容易さを考慮すると、エンボス加工を採用することが好ましい。エンボス加工は、公知の枚葉又は輪転式のエンボス機を使用する通常の方法により行えばよい。
本発明で用いられる化粧シートは、明度(JIS Z 8730:2009に規定されるCIE(国際照明委員会)L表色系におけるL値)が、所望される意匠にもよるが、例えば濃色の意匠が所望される場合は、50以下が好ましく、45以下がより好ましく、35以下がさらに好ましい。明度が上記範囲内であると、濃色の場合においても優れた意匠性が得られ、特に絵柄として木目模様を採用する場合、優れた意匠性が得られる。なお、従来の化粧シートは、明度を50以下と低くすると、日射反射率が25%未満の低い値となり充分な遮熱性能を得ることができなかったが、本発明で用いる化粧シートは、明度を50以下と低くした場合であっても、日射反射率は上述した通り25%以上となるよう制御しているため、充分な遮熱性能を有するものとなる。
(化粧部材の製造方法)
本発明の化粧部材の製造方法について、本発明の化粧部材として好ましい態様の一つである、被着材と、基材シート、装飾層、樹脂層、及び表面保護層を順に有する化粧シートとを備える化粧部材を例にとって、その製造方法を説明する。本発明の化粧部材は、例えば、基材シート上に装飾層を設ける工程(1)、該装飾層上に樹脂層を設ける工程(2)、該樹脂層上に硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて表面保護層を形成して化粧シートを作製する工程(3)、該化粧シートと被着材とを積層する工程(4)を順に経ることにより製造することができる。
工程(1)は、基材シート上に装飾層を設ける工程である。装飾層は、基材シート上に装飾層に用いられるインキを塗布して所望の着色層、絵柄層を設けることにより形成される。該インキの塗布は、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式、好ましくはグラビア印刷法により行う。
また、基材シートに表面処理を施す場合は、装飾層に用いられるインキを塗布する前に表面処理を行えばよい。基材シートと装飾層との間にプライマー層を設ける場合も、装飾層に用いられるインキを塗布する前に設ければよく、また基材シートの装飾層を設ける面とは反対側の面(裏面)に裏面プライマー層を設ける場合は、装飾層に用いられるインキを塗布する際に設ければよい。プライマー層の形成は、プライマー層を形成する樹脂組成物を、例えば、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式で塗布して形成することができる。
工程(2)は、装飾層上に樹脂層を設ける工程である。樹脂層は、上記の装飾層を有する基材シートに必要に応じて接着剤を塗布して接着層を形成した後に、樹脂層を形成する樹脂組成物を用いて、樹脂層を押出ラミネーション、ドライラミネーション、ウエットラミネーション、サーマルラミネーション等の方法により接着及び圧着させて積層して形成することができる。
工程(3)は、樹脂層上に硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて表面保護層を形成する工程である。表面保護層は、上記の電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を、樹脂層あるいは該樹脂層上に所望に応じて設けられたプライマー層の上に塗布し、硬化させて得られる。なお、樹脂層を設けない場合は、基材シートに装飾層を設けた後、硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて表面保護層を形成すればよい。
表面保護層を形成するための、樹脂組成物の塗布は、硬化後の厚さが通常1〜20μm程度となるように、好ましくはグラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式により、より好ましくはグラビアコートにより行う。
表面保護層の形成に電離放射線樹脂組成物を用いる場合、該樹脂組成物の塗布により形成した未硬化樹脂層は、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して硬化物とすることで、表面保護層となる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
照射線量は、電離放射線硬化性樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
また、表面保護層の形成に熱硬化性樹脂組成物を用いる場合は、使用する樹脂組成物に応じた熱処理を施して、硬化させて表面保護層を形成すればよい。
工程(4)は、被着材と、上記工程(1)〜(3)により作製した化粧シートとを積層する工程であり、該化粧シートの基材シートと該被着材とを対向させて積層する。被着材と化粧シートとの積層する方法としては、例えば、接着剤を間に介して化粧シートを板状の被着材に加圧ローラーで加圧して積層するラミネート方法、接着剤を間に介して化粧シートを供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、被着材を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して積層してゆくラッピング加工、また、固定枠に固定した化粧シートが軟化する所定の温度になるまでシリコーンゴムシートを介してヒーターで加熱し、加熱され軟化した化粧シートに真空成形金型を押し付け、同時に真空成形金型から真空ポンプ等で空気を吸引し化粧シートを真空成形金型にしっかりと密着させる真空成形加工等が好ましく挙げられる。
ラミネート加工やラッピング加工において、ホットメルト接着剤(感熱接着剤)を用いる場合、接着剤を構成する樹脂の種類にもよるが、加温温度は通常160〜200℃、反応性ホットメルト接着剤では通常100〜130℃程度である。また、真空成形加工の場合は加熱しながら行うことが一般的であり、通常80〜130℃程度、好ましくは90〜120℃程度で行われる。
以上のようにして得られる化粧部材は、任意切断し、表面や木口部にルーター、カッター等の切削加工機を用いて溝加工、面取加工等の任意加飾を施すことができる。そして種々の用途、例えば、壁、天井、床等の建築物の内外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の他、キッチン、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装、外装等に用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)日射反射率の算出
各実施例及び比較例で得られた化粧シート、化粧部材について、分光光度計(「UV−3100PC(型番)」,島津製作所(株)製)を用い、表面保護層側から入射角10°にて分光反射率を測定し、得られたデータを用いて、JIS K 5602:2008に準拠した波長範囲780〜2500nmでの日射反射率を算出した。
(2)明度(L値)の測定
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、分光測色計(「CM−3700d(型番)」,コニカミノルタホールディングス(株)製)を用い、表面保護層側からJIS Z 8730:2009に規定されるCIE(国際照明委員会)L表色系におけるL値を測定した。
(3)意匠性の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧シートと化粧部材について、その外観を目視で観察し、下記の基準で評価した。
A:化粧部材の意匠は、化粧シートの意匠からの大きな変化を生じなかった。
B:化粧部材の意匠は、化粧シートの意匠からの変化を生じたものの、実用上問題なかった。
C:化粧部材の意匠は、化粧シートの意匠からの変化が著しく、実用上問題が生じた。
(4)遮熱性能の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧部材に、200W形ランプ(白熱灯,岩崎電気(株)製造)を用いて、室温(23℃)、相対湿度50%の条件下、30cm高さから照射し、10分後の化粧部材の温度を測定し、下記の基準で評価した。
A:温度上昇は75℃未満であった。
B:温度上昇は75℃以上85℃未満であった。
C:温度上昇は85℃以上95℃未満であった。
D:温度上昇は95℃以上であった。
(5)耐候性の外観評価
各実施例及び比較例で得られた化粧部材に対し、サンシャインウェザーメーターWEL−300(スガ試験機株式会社製)を用いて、ブラックパネル温度63℃で、120分中18分降雨の条件にて耐候性試験を行い、4000時間後目視にて観察し、表面保護層等の各層間の浮き、脱落などの外観異常の有無を検査し、以下の基準で評価した。
A:大きな外観変化は見られなかった。すなわち、外観変化は殆ど見られなかったレベルであった。
B:軽微な外観変化が見られた。
C:大きな外観変化が見られ、問題のあるレベルであった。
参考例
両面コロナ放電処理を施したポリプロピレン樹脂シート(白色の着色樹脂シート,厚さ:80μm,ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、顔料としてカーボンブラックを0.01質量部含み、酸化チタンと合わせて10質量部)を基材シートとし、該基材シートの一方の面に2液硬化型アクリル−ウレタン樹脂をバインダーとし、着色剤としてカーボンブラックを1.0質量部含有する印刷インキをグラビア印刷法で塗布して木目模様の装飾層(厚さ:2μm)を設け、他方の面に2液硬化型ウレタン−硝化綿混合樹脂組成物を塗布して裏面プライマー層(厚さ:2μm)を形成した。装飾層の上に、透明のポリウレタン樹脂系接着剤を塗布して接着層(乾燥後の厚さ:3μm)を形成し、透明なポリプロピレン樹脂をTダイ押出機により加熱溶融押出しして、透明な樹脂層を形成した。
次いで、樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、2液硬化型アクリル−ウレタン樹脂組成物をグラビア印刷法で塗布してプライマー層(乾燥後の厚さ:1μm)を形成し、さらに透明の電子線硬化性樹脂組成物(電子線硬化性樹脂:3官能ウレタンアクリレート)をロールコート法により塗布(固形分:3g/m)し、乾燥して未硬化樹脂層を形成し、酸素濃度200ppmの環境下で電子線(加圧電圧:125KeV、5Mrad)を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて、表面保護層(厚さ:3μm)を得た。その後、表面保護層側からエンボス加工を施して、最大深さ30μmの凹形状を有する木目導管模様の凹凸模様を形成し、参考例1の化粧シート(総厚さ:160μm)を得た。この化粧シートにおける基材シートの体積占有率は50%である。
2液硬化型ウレタン樹脂からなる接着剤を塗布した塗装鋼板(厚さ:0.4mm)をオーブンに入れて、150℃で1分間養生した後、直ちにロールラミネーターを用いて、上記の化粧シートを貼着し、化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
参考例2、6、比較例4
参考例1において、基材シートの厚さを変えることにより、基材シートの体積占有率を表1に記載の占有率に変えた以外は、参考例1と同様にして、参考例2、6、比較例4の化粧シート及び化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
参考例
参考例1において、装飾層に用いた印刷インキのカーボンブラックの含有量を3.0質量部に変えた以外は、参考例1と同様にして化粧シート及び化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
参考例
参考例1において、装飾層に用いた印刷インキのカーボンブラックの含有量を0.1質量部に変えた以外は、参考例1と同様にして化粧シート及び化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
実施例5
参考例1において、基材シートを、カーボンブラック及び酸化チタンを含まない基材シート(ポリプロピレン樹脂シート,透明無色,厚さ:80μm)に代え、装飾層に用いるインキをカーボンブラックを含まないインキ(カルシウム元素、チタン元素、及び、マンガン元素を含む複合酸化物)に代え、化粧シートと化粧部材の日射反射率を表1に記載のものとした以外は、参考例1と同様にして化粧シート及び化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
参考例
参考例1において、両面コロナ放電処理を施したポリプロピレン樹脂シートの酸化チタン量を増やして、顔料を30重量部とした以外は、参考例1と同様にして化粧シート及び化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
比較例1
両面コロナ放電処理を施した無色透明のポリプロピレン樹脂シートを樹脂層とし、該樹脂層の一方の面に、バインダーとして2液硬化型アクリル−ウレタン樹脂、着色剤としてカーボンブラックを1.0質量部含有する印刷インキをグラビア印刷法で塗布して木目模様の装飾層(厚さ:2μm)を設け、他方の面に2液硬化型アクリル−ウレタン樹脂組成物をグラビア印刷法で塗布してプライマー層(乾燥後の厚さ:1μm)を形成し、さらに透明の電子線硬化性樹脂組成物(電子線硬化性樹脂:3官能ウレタンアクリレート)をロールコート法により塗布(固形分:3g/m)し、乾燥して未硬化樹脂層を形成し、酸素濃度200ppmの環境下で電子線(加圧電圧:125KeV、5Mrad)を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて、表面保護層(厚さ:3μm)を得た。その後、表面保護層側からエンボス加工を施して、最大深さ30μmの凹形状を有する木目導管模様の凹凸模様を形成し、化粧シート(総厚さ:120μm)を得た。得られた化粧シートを用い、参考例1と同様にして、化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
比較例2及び3
参考例1において、カーボンブラックを0.1質量部含有されている基材シート(ポリプロピレン樹脂シート,ブラウン色,厚さ:80μm)と装飾層に用いるインキ(比較例2:カーボンブラックを8.0質量部含有、比較例3:カーボンブラックを15.0質量部含有)を変更して、化粧シートと化粧部材の日射反射率を表1に記載のものとした以外は、参考例1と同様にして比較例2及び3の化粧シート及び化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
Figure 0006597644
本発明の化粧部材は、遮熱性能の評価としてB評価以上(温度上昇は85℃未満)と優れた遮熱性能を有するものであり、被着材を隠蔽し、優れた意匠性を有するものであることが確認された。カーボンブラックを用いない実施例5においても、明度(L値)を30と抑えることができており、被写体を隠蔽し、また濃色の木目模様であり、優れた意匠性が得られた。また、明るい色調を有する参考例4の化粧部材でも、優れた遮熱性能とともに意匠性を得ることができた。また、基材シートにおける酸化チタンの含有量が多い参考例7の化粧部材では、参考例1等の化粧部材と比較して樹脂成分量が少ないため、参考例1等と比較して耐候性が若干劣るものとなってしまった。
一方、基材シートの体積占有率が小さい比較例1の化粧部材は、意匠性の点で劣るものとなり、一方体積占有率が大きい比較例4の化粧部材は、意匠性は良好であったものの、遮熱性能に劣るものとなってしまった。また、日射反射率が低い比較例2及び3の化粧部材は、遮熱性能に劣るものとなってしまった。
本発明の化粧部材は、優れた遮熱性能を有し、かつ意匠性をも有するものであり、壁、天井、床等の建築物の内外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の他、キッチン、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内外装用部材に好適に用いられる。とりわけ、その遮熱性能を活かして、外装用部材、扉、窓枠といった直射日光に晒される環境で用いられる部材に好適に用いられる。
1.被着材
2.接着剤層
3.化粧シート
31.基材シート
32.装飾層
33.樹脂層
34.表面保護層
10.化粧部材

Claims (5)

  1. 被着材と、基材シート、装飾層、及び表面保護層を順に有する化粧シートとをこの順に有する化粧部材であって、
    該基材シートと装飾層との何れか一方又は両方に、カーボンブラック又はカルシウム元素、チタン元素、及び、マンガン元素を含む複合酸化物からなる着色剤を含み、
    該基材シートの該化粧シートに対する体積占有率が75%以下であり、JIS K 5602:2008に準じて算出される該化粧シートの波長範囲780〜2500nmでの日射反射率が25%以上であり、JIS K 5602:2008に準じて算出される該化粧部材の波長範囲780〜2500nmでの日射反射率が35%以上であり、
    前記化粧シートの明度(JIS Z 8729−1994に規定されるCIE(国際照明委員会)L表色系におけるL値)が、50以下であり、
    前記化粧シートが、カーボンブラックを含まないものである、化粧部材。
  2. 表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である請求項1に記載の化粧部材。
  3. 基材シートが、着色樹脂シートである請求項1又は2に記載の化粧部材。
  4. 装飾層と表面保護層との間に、樹脂層を有する請求項1〜のいずれかに記載の化粧部材。
  5. 被着材が、木質部材、金属部材、及び樹脂部材から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜のいずれかに記載の化粧部材。
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