JP6597644B2 - 化粧部材 - Google Patents
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Description
[2]装飾層と表面保護層との間に、樹脂層を有する上記[1]に記載の化粧部材。
本発明の化粧部材は、被着材と、基材シート、装飾層、及び表面保護層を順に有する化粧シートとをこの順に有する化粧部材であって、該基材シートの該化粧シートに対する体積占有率が75%以下であり、JIS K 5602:2008に準じて算出される該化粧シートの波長範囲780〜2500nmでの日射反射率が25%以上であり、JIS K 5602:2008に準じて算出される該化粧部材の波長範囲780〜2500nmでの日射反射率が35%以上であることを特徴とするものである。
以下、図1を参照しながら、本発明の化粧部材の構成について詳細に説明する。図1は本発明の化粧部材10の好ましい層構成の一例を示すものであり、図1に示される化粧部材10は、被着材1の上に、接着剤層2を介して、基材シート31、装飾層32、表面保護層34、及び該装飾層32と表面保護層34との間に好ましく設けられる樹脂層33を備える化粧シート3を有するものである。
本発明において、基材シートの化粧シートに対する体積占有率は75%以下であることを要する。体積占有率が75%を超えると、基材シートに熱が溜まりやすくなるため、優れた遮熱性能が得られない。優れた遮熱性能が得られ、かつ化粧シートとして取り扱いが容易であり、また基材シートが着色されたものである場合は、被着材を隠蔽し、優れた意匠性も得られる観点から、基材シートの化粧シートに対する体積占有率は20〜75%が好ましく、25〜70%がより好ましく、25〜55%がさらに好ましい。
なお、本明細書において、上記基材シートの化粧シートに対する体積占有率は、単位長さ当たりの基材シートと化粧シートとの断面積から算出される。
次に、本発明の化粧部材を構成する各層について説明する。
被着材としては各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)等が挙げられる。例えば、木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる木質部材;鉄、アルミニウム等の板材や鋼板、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる金属部材;ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯業部材;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる樹脂部材等が挙げられる。また、これらの部材は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
被着材の厚さは、用途及び材料に応じて適宜選択すればよく、通常0.1〜5mmが好ましく、0.1〜3mmがより好ましい。
なお、上記被着材の波長範囲780〜2500nmでの日射反射率は、上述した化粧シートの日射反射率と同様にして算出できる。
被着材と化粧シートとは、優れた接着性を得るため、接着剤層を介して貼り合わせられることが好ましい。接着剤層に用いられる接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤を使用することができ、例えば感熱接着剤や感圧接着剤等の接着剤が好ましく挙げられる。この接着剤層を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂が使用される。また、イソシアネート等を硬化剤とする2液硬化型のポリウレタン系接着剤又はポリエステル系接着剤も適用し得る。
また、接着剤層には、粘着剤を用いることもできる。粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。
接着剤層の厚さは特に制限はないが、通常、1〜100μmの範囲である。この範囲とすることで、優れた接着性が得られる。
本発明の化粧部材は、被着材と、基材シート、装飾層、及び表面保護層を有する化粧シートとをこの順に有する、すなわち該被着材と該化粧シートの基材シートとが対向するように設けられたものである。
本発明で用いられる化粧シートの基材シートは、通常化粧シートの基材シートとして用いられるものを制限なく採用することができ、取り扱いが容易であることから、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂により構成される基材シートが好ましい。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ということがある。)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリアリレート等が好ましく挙げられ、なかでもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートがより好ましく、さらにポリエチレンテレフタレートが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等が好ましく挙げられ、ポリエチレン、ポリプロピレンがより好ましい。
着色剤としては、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が好ましく用いられる。本発明においては、優れた遮熱性能を得る観点から、着色剤としてカーボンブラック(墨)の添加量として、基材シートを形成する樹脂100質量部に対して5.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、添加しないことが更に好ましい。カーボンブラック(墨)は熱を吸収しやすい特性を有するため、化粧シートにカーボンブラック(墨)が用いられることにより、化粧シートが熱を吸収しやすくなり、遮熱性能が低下してしまうからである。また、白色顔料として酸化チタンを用いる場合は、特に限定されるものではないが、結晶型として、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型などが知られており、優れた白色度と耐候性及び遮熱性能などの特性からルチル型が好ましい。また、酸化チタンは、光触媒作用によって樹脂を劣化させる可能性があることから、光触媒作用を安定させる目的で、表面被覆剤で表面処理されていることが好ましく、該表面被覆剤の組成としては限定的ではないが、例えば、酸化ケイ素やアルミナ、又は、酸化亜鉛などの無機酸化物が挙げられる。表面被覆剤の被覆方法についても特に限定されたものではなく、公知の方法で得られた酸化チタンを使用することができる。
着色剤の添加量は、耐候性を考慮し樹脂分が極端に少なくならないよう、上述の基材シートを形成する樹脂100質量部に対し、1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、基材シートと各層との層間密着性の強化等を目的として、プライマー層や裏面プライマー層を形成する等の処理を施してもよい。
また、基材シートには、必要に応じてその他の各種添加剤、例えば、発泡剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が配合されていてもよい。
本発明で用いられる化粧シートの装飾層は、本発明の化粧部材に装飾性を付与するもので、全面を被覆する着色層(いわゆるベタ着色層)であってもよいし、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される絵柄層であってもよいし、またこれらを組み合わせたものであってもよい。
バインダーとしては特に制限はなく、熱可塑性樹脂、1液硬化型樹脂や2液硬化型樹脂等の硬化性樹脂を用いることができ、例えば、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂(硝化綿)、酢酸セルロース樹脂等の中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
本発明においては、濃色の場合でも優れた意匠性が得られ、また後述する凹形状により質感(触感)を表現することができるため、リアルな意匠性と質感が得られる観点から木目模様が適している。また、上記のように遮熱性能の観点からカーボンブラック(墨)を用いないことが好ましいが、本発明は、カーボンブラックを用いなくとも、基材シートの体積占有率、化粧シート及び化粧部材の日射反射率を特定の範囲とする構成により、濃色の場合でも優れた意匠性を得ることを可能とし、優れた遮熱性能と意匠性とを両立している。
本発明で用いられる化粧シートの表面保護層は、装飾層の上に直接、又は他の層、例えば必要に応じて装飾層の上に設けられる後述する樹脂層の上に設けられる、本発明の化粧部材の最表面に位置する層であり、本発明の化粧部材に耐傷性、耐摩耗性、耐薬品性等の表面特性を付与する層である。表面保護層は、好ましくは硬化性樹脂を含有する樹脂組成物の硬化物で構成される。硬化性樹脂組成物の硬化物により構成されることで、化粧部材の表面特性を向上させることができる。
表面保護層を形成する樹脂の架橋密度を高め、表面の耐傷性や耐摩耗性を向上させ得るとの観点から、電離放射線硬化性樹脂が好ましく、また、無溶媒で塗布することができ、取り扱いが容易との観点から、電子線硬化性樹脂がより好ましい。
電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線等を照射することにより、架橋、硬化する樹脂のことである。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
本発明で用いられる化粧シートは、装飾層の保護、耐傷性の向上の観点から、基材シートと表面保護層との間に樹脂層を有することが好ましい。
樹脂層を構成する樹脂としては、上記の基材シートとして用いられるポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂の他、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂等が好ましく挙げられる。成型加工性の向上、耐傷性の向上の観点から、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリオレフィン樹脂がより好ましい。また、これと同様の観点から、上記の基材シート及び樹脂層を構成する樹脂がともにポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
樹脂層は透明であっても不透明でもよく、装飾層と表面保護層との間に設けられる場合は、装飾層をより鮮明に視認できるようにする観点から、透明であることが好ましい。ここで、透明とは、無色透明の他、着色透明及び半透明も含むものである。着色されている場合、用いられる着色剤としては、上記の基材シートに用いられる着色剤として例示したものを好ましく挙げることができる。また、カーボンブラック(墨)を用いないことが好ましいことも、同じである。
本発明で用いられる化粧シートは、必要に応じて接着層を有することができる。特に、上記の樹脂層を有する場合、該樹脂層と装飾層との間の接着性を向上させるときに、接着層を設けることは有効である。接着層を構成する接着剤としては、通常化粧シートで用いられる接着剤を用いることができ、その厚さは0.1〜50μm程度であり、十分な接着性が得られる観点から1〜30μmの範囲が好ましい。
接着層は、これら樹脂等からなる接着剤組成物を用いて、塗工法等の公知の層形成法で形成することができる。
上記のように、本発明で用いられる化粧シートは、必要に応じて、各層間密着性を向上させるために、各層間のいずれかにプライマー層、裏面プライマー層を有することができる。例えば、被着材と基材シートとの間で、基材シート側に裏面プライマー層としてプライマー層を設けることで、層間密着性に優れた化粧部材が得られる。また、表面保護層と他の層、例えば樹脂層を設ける場合は樹脂層との間に、プライマー層を設けることが、本発明の化粧部材の優れた耐傷性を得る観点から効果的である。
本発明の化粧部材は、少なくとも表面保護層に凹形状を有することが好ましい。本発明の化粧部材は凹形状を有することで、特に質感(触感)に優れたものとなる。この凹形状は、少なくとも表面保護層に存在していればよく、また基材シートに至るものがあってもよい。優れた質感(触感)を得る観点から、表面保護層内に留まるものだけでなく、樹脂層まで至るもの、装飾層まで至るもの、基材シートまで至るものが組み合わされていることが好ましい。
なお、本明細書において、上記表面保護層等が上記凹形状を有する場合、該表面保護層等の厚みは、上記凹形状を有さない箇所で測定した厚みを意味する。
本発明の化粧部材の製造方法について、本発明の化粧部材として好ましい態様の一つである、被着材と、基材シート、装飾層、樹脂層、及び表面保護層を順に有する化粧シートとを備える化粧部材を例にとって、その製造方法を説明する。本発明の化粧部材は、例えば、基材シート上に装飾層を設ける工程(1)、該装飾層上に樹脂層を設ける工程(2)、該樹脂層上に硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて表面保護層を形成して化粧シートを作製する工程(3)、該化粧シートと被着材とを積層する工程(4)を順に経ることにより製造することができる。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
(評価方法)
(1)日射反射率の算出
各実施例及び比較例で得られた化粧シート、化粧部材について、分光光度計(「UV−3100PC(型番)」,島津製作所(株)製)を用い、表面保護層側から入射角10°にて分光反射率を測定し、得られたデータを用いて、JIS K 5602:2008に準拠した波長範囲780〜2500nmでの日射反射率を算出した。
(2)明度(L*値)の測定
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、分光測色計(「CM−3700d(型番)」,コニカミノルタホールディングス(株)製)を用い、表面保護層側からJIS Z 8730:2009に規定されるCIE(国際照明委員会)L*a*b*表色系におけるL*値を測定した。
(3)意匠性の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧シートと化粧部材について、その外観を目視で観察し、下記の基準で評価した。
A:化粧部材の意匠は、化粧シートの意匠からの大きな変化を生じなかった。
B:化粧部材の意匠は、化粧シートの意匠からの変化を生じたものの、実用上問題なかった。
C:化粧部材の意匠は、化粧シートの意匠からの変化が著しく、実用上問題が生じた。
(4)遮熱性能の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧部材に、200W形ランプ(白熱灯,岩崎電気(株)製造)を用いて、室温(23℃)、相対湿度50%の条件下、30cm高さから照射し、10分後の化粧部材の温度を測定し、下記の基準で評価した。
A:温度上昇は75℃未満であった。
B:温度上昇は75℃以上85℃未満であった。
C:温度上昇は85℃以上95℃未満であった。
D:温度上昇は95℃以上であった。
(5)耐候性の外観評価
各実施例及び比較例で得られた化粧部材に対し、サンシャインウェザーメーターWEL−300(スガ試験機株式会社製)を用いて、ブラックパネル温度63℃で、120分中18分降雨の条件にて耐候性試験を行い、4000時間後目視にて観察し、表面保護層等の各層間の浮き、脱落などの外観異常の有無を検査し、以下の基準で評価した。
A:大きな外観変化は見られなかった。すなわち、外観変化は殆ど見られなかったレベルであった。
B:軽微な外観変化が見られた。
C:大きな外観変化が見られ、問題のあるレベルであった。
両面コロナ放電処理を施したポリプロピレン樹脂シート(白色の着色樹脂シート,厚さ:80μm,ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、顔料としてカーボンブラックを0.01質量部含み、酸化チタンと合わせて10質量部)を基材シートとし、該基材シートの一方の面に2液硬化型アクリル−ウレタン樹脂をバインダーとし、着色剤としてカーボンブラックを1.0質量部含有する印刷インキをグラビア印刷法で塗布して木目模様の装飾層(厚さ:2μm)を設け、他方の面に2液硬化型ウレタン−硝化綿混合樹脂組成物を塗布して裏面プライマー層(厚さ:2μm)を形成した。装飾層の上に、透明のポリウレタン樹脂系接着剤を塗布して接着層(乾燥後の厚さ:3μm)を形成し、透明なポリプロピレン樹脂をTダイ押出機により加熱溶融押出しして、透明な樹脂層を形成した。
次いで、樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、2液硬化型アクリル−ウレタン樹脂組成物をグラビア印刷法で塗布してプライマー層(乾燥後の厚さ:1μm)を形成し、さらに透明の電子線硬化性樹脂組成物(電子線硬化性樹脂:3官能ウレタンアクリレート)をロールコート法により塗布(固形分:3g/m2)し、乾燥して未硬化樹脂層を形成し、酸素濃度200ppmの環境下で電子線(加圧電圧:125KeV、5Mrad)を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて、表面保護層(厚さ:3μm)を得た。その後、表面保護層側からエンボス加工を施して、最大深さ30μmの凹形状を有する木目導管模様の凹凸模様を形成し、参考例1の化粧シート(総厚さ:160μm)を得た。この化粧シートにおける基材シートの体積占有率は50%である。
2液硬化型ウレタン樹脂からなる接着剤を塗布した塗装鋼板(厚さ:0.4mm)をオーブンに入れて、150℃で1分間養生した後、直ちにロールラミネーターを用いて、上記の化粧シートを貼着し、化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
参考例1において、基材シートの厚さを変えることにより、基材シートの体積占有率を表1に記載の占有率に変えた以外は、参考例1と同様にして、参考例2、6、比較例4の化粧シート及び化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
参考例1において、装飾層に用いた印刷インキのカーボンブラックの含有量を3.0質量部に変えた以外は、参考例1と同様にして化粧シート及び化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
参考例1において、装飾層に用いた印刷インキのカーボンブラックの含有量を0.1質量部に変えた以外は、参考例1と同様にして化粧シート及び化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
参考例1において、基材シートを、カーボンブラック及び酸化チタンを含まない基材シート(ポリプロピレン樹脂シート,透明無色,厚さ:80μm)に代え、装飾層に用いるインキをカーボンブラックを含まないインキ(カルシウム元素、チタン元素、及び、マンガン元素を含む複合酸化物)に代え、化粧シートと化粧部材の日射反射率を表1に記載のものとした以外は、参考例1と同様にして化粧シート及び化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
参考例1において、両面コロナ放電処理を施したポリプロピレン樹脂シートの酸化チタン量を増やして、顔料を30重量部とした以外は、参考例1と同様にして化粧シート及び化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
両面コロナ放電処理を施した無色透明のポリプロピレン樹脂シートを樹脂層とし、該樹脂層の一方の面に、バインダーとして2液硬化型アクリル−ウレタン樹脂、着色剤としてカーボンブラックを1.0質量部含有する印刷インキをグラビア印刷法で塗布して木目模様の装飾層(厚さ:2μm)を設け、他方の面に2液硬化型アクリル−ウレタン樹脂組成物をグラビア印刷法で塗布してプライマー層(乾燥後の厚さ:1μm)を形成し、さらに透明の電子線硬化性樹脂組成物(電子線硬化性樹脂:3官能ウレタンアクリレート)をロールコート法により塗布(固形分:3g/m2)し、乾燥して未硬化樹脂層を形成し、酸素濃度200ppmの環境下で電子線(加圧電圧:125KeV、5Mrad)を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて、表面保護層(厚さ:3μm)を得た。その後、表面保護層側からエンボス加工を施して、最大深さ30μmの凹形状を有する木目導管模様の凹凸模様を形成し、化粧シート(総厚さ:120μm)を得た。得られた化粧シートを用い、参考例1と同様にして、化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
参考例1において、カーボンブラックを0.1質量部含有されている基材シート(ポリプロピレン樹脂シート,ブラウン色,厚さ:80μm)と装飾層に用いるインキ(比較例2:カーボンブラックを8.0質量部含有、比較例3:カーボンブラックを15.0質量部含有)を変更して、化粧シートと化粧部材の日射反射率を表1に記載のものとした以外は、参考例1と同様にして比較例2及び3の化粧シート及び化粧部材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を表1に示す。
一方、基材シートの体積占有率が小さい比較例1の化粧部材は、意匠性の点で劣るものとなり、一方体積占有率が大きい比較例4の化粧部材は、意匠性は良好であったものの、遮熱性能に劣るものとなってしまった。また、日射反射率が低い比較例2及び3の化粧部材は、遮熱性能に劣るものとなってしまった。
2.接着剤層
3.化粧シート
31.基材シート
32.装飾層
33.樹脂層
34.表面保護層
10.化粧部材
Claims (5)
- 被着材と、基材シート、装飾層、及び表面保護層を順に有する化粧シートとをこの順に有する化粧部材であって、
該基材シートと装飾層との何れか一方又は両方に、カーボンブラック又はカルシウム元素、チタン元素、及び、マンガン元素を含む複合酸化物からなる着色剤を含み、
該基材シートの該化粧シートに対する体積占有率が75%以下であり、JIS K 5602:2008に準じて算出される該化粧シートの波長範囲780〜2500nmでの日射反射率が25%以上であり、JIS K 5602:2008に準じて算出される該化粧部材の波長範囲780〜2500nmでの日射反射率が35%以上であり、
前記化粧シートの明度(JIS Z 8729−1994に規定されるCIE(国際照明委員会)L*a*b*表色系におけるL*値)が、50以下であり、
前記化粧シートが、カーボンブラックを含まないものである、化粧部材。 - 表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である請求項1に記載の化粧部材。
- 基材シートが、着色樹脂シートである請求項1又は2に記載の化粧部材。
- 装飾層と表面保護層との間に、樹脂層を有する請求項1〜3のいずれかに記載の化粧部材。
- 被着材が、木質部材、金属部材、及び樹脂部材から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の化粧部材。
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