JP6957934B2 - 化粧シート及びこれを用いた化粧材 - Google Patents
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Description
[2]被着材と上記[1]に記載の化粧シートとを有する化粧材。
本発明の化粧シートは、基材と中間樹脂層と表面保護層とを順に有し、該表面保護層が硬化性樹脂組成物の硬化物であり、該中間樹脂層と該表面保護層とが紫外線吸収剤を含有し、該中間樹脂層を構成する樹脂100質量部に対する紫外線吸収剤の含有量(M1)が、該表面保護層を構成する樹脂100質量部に対する紫外線吸収剤の含有量(M2)よりも大きいことを特徴とするものである。
本発明の化粧シートの構成を、図1及び2を用いて説明する。図1は、本発明の化粧シート10の一例の断面を示す模式図であり、基材11、中間樹脂層14、表面保護層15を有しており、中間樹脂層14及び表面保護層15には紫外線吸収剤17が含まれており、中間樹脂層14中の紫外線吸収剤17の含有量の方が多いことが示されている。
図2は、本発明の化粧シート10の好ましい態様の一例の断面を示す模式図であり、該化粧シート10は、基材11、装飾層12、接着層13、中間樹脂層14(樹脂層14a、プライマー層14b)、及び表面保護層15を順に有し、基材11の表面保護層15側の面とは反対側の面には裏面プライマー層16を有し、基材11及び装飾層12には白色顔料18が含まれている。図2において、中間樹脂層14は、樹脂層14a及びプライマー層14bという二つの層からなり、これらの層中には紫外線吸収剤17が含まれており、かつこれらの層中に含まれる紫外線吸収剤17の含有量は、いずれも表面保護層15中の紫外線吸収剤17の含有量よりも多いことが示されている。また、図2においては、表面保護層15の基材11とは反対側の面(最表面)に凹部19を有しており、凹部19には、表面保護層15内に留まるもの、中間樹脂層14に至るもの、基材11に至るもの等があることが示されている。
本発明の化粧シートは、中間樹脂層を構成する樹脂100質量部に対する紫外線吸収剤の含有量(M1)(以下、単に「含有量(M1)」と称することがある。)が、該表面保護層を構成する樹脂100質量部に対する紫外線吸収剤の含有量(M2)(以下、単に「含有量(M2)」と称することがある。)よりも大きいこと、すなわち下記の不等式により示される関係を有することを特徴とする。
含有量(M1)>含有量(M2)
化粧シートを直射日光に晒される厳しい環境下で用いる場合、化粧シートの劣化を抑制するには、化粧シートを通過する紫外線量を低減させる観点から、直射日光に直接晒される最表面の層、すなわち表面保護層に紫外線吸収剤をより多く含有させることが好ましい。しかし、紫外線吸収剤を表面保護層中に多量に含有させると、長期間の使用の間に、紫外線吸収剤がブリードアウトしてしまい、化粧シート中に保持される紫外線吸収剤の含有量が減り、耐候性が低下してしまう。本発明では、表面保護層と基材とに挟まれる中間樹脂層に紫外線吸収剤をより多く含有させ、かつ表面保護層を硬化性樹脂組成物の硬化物とすることにより、表面保護層だけでなく中間樹脂層中の紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制し、長期的な使用によっても化粧シート中に保持される紫外線吸収剤の含有量を保持できるため、優れた耐候性が得られる。
−log(I/IO)=ε×c×d
(ここで、IOは入射光の強度、Iは透過光の強度、−log(I/IO)は吸光度、εは光係数、cは紫外線吸収剤の濃度、dは紫外線吸収剤を含む層の厚さを示す。)
このランベルト・ベールの法則を示す上記関係式から分かるように、紫外線吸収剤を含む層における紫外線吸収剤の濃度と厚みとには一定の関係性があることから、中間樹脂層中の紫外線吸収剤の含有量(M1)と該中間樹脂層の厚さ(T1)との積(M1×T1)が、表面保護層中の紫外線吸収剤の含有量(M2)と該表面保護層の厚さ(T2)との積(M2×T2)よりも大きいこと、すなわち下記の不等式により示される関係を有することが好ましい。
積(M1×T1)>積(M2×T2)
積(M1×T1)が積(M2×T2)よりも大きいと、優れた耐候性及び耐傷性とが得られる。含有量(M1)は、上記(i)〜(iii)に応じて決定され、厚さ(T1)は該含有量(M1)を有する層の厚さとなる。また、中間樹脂層が二層以上を有する多層構成である場合、少なくとも一層が上記関係を有していればよく、優れた耐候性を得る観点から、複数の層が上記関係を有していていることが好ましく、中間樹脂層を構成する全ての層が上記関係を有していることがより好ましい。なお、本発明において、中間樹脂層が多層構成であり、含有量(M1)を有する層より小さい含有量であるにも関わらず、該層の厚さ(T1)よりも厚いことで、含有量と厚さの積が、積(M1×T1)よりも大きくなる場合があるが、そのような場合であっても、積(M1×T1)は、あくまで含有量(M1)を有する層に対応する積とする。
また、これと同様の観点から、積(M1×T1)と積(M2×T2)との比((M1×T1)/(M2×T2))は、1より大きいことが好ましく、1.1以上がより好ましく、1.5以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、5以上が特に好ましい。また上限としては特に制限はないが、30以下であればよい。
以下、本発明の化粧シートを構成する各層について説明する。
基材は、通常化粧シートの基材として用いられるものを制限なく採用することができ、代表的には熱可塑性樹脂からなる樹脂基材が使用される。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下、「ABS樹脂」とも称する。)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂などが使用される。これらの中で、加工特性を考慮すると、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びABS樹脂が好ましく、特にポリオレフィン樹脂が好ましい。本発明においては、これらの樹脂を単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、基材が白色顔料を含んだ着色樹脂基材であることが好ましい。白色顔料により着色された樹脂基材を用いることで、化粧シートを貼着する被着材の表面色相がばらついている場合に、表面色相を良好に隠蔽しやすく、より優れた意匠性が得られ、所望に応じて設けられる装飾層の色調の安定性を向上させることができる。
酸化チタンには、アナターゼ型、ブルッカイト型及びルチル型があり、いずれも用いることができるが、隠蔽性(発色)に優れ、耐候性を考慮すると、ルチル型が好ましい。ルチル型の酸化チタンは、光触媒活性が低いため、直射日光に晒される環境下で用いても、光触媒反応が生じにくく、光触媒反応による基材及び表面保護層、またその他の任意で設けられる層の劣化が生じにくく、結果として耐候性が向上する。
本発明においては、優れた隠蔽性を得る観点から、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛による表面処理が好ましく、アルミナ、シリカによる表面処理がより好ましく、特にアルミナ及びシリカによる表面処理が好ましい。
白色顔料の含有量は、透明着色とするか、不透明着色(隠蔽着色)とするかに応じて適宜調整すればよく、例えば、基材を構成する樹脂100質量部に対し、1質量部以上50質量部以下が好ましく、3質量部以上40質量部以下がより好ましく、5質量部以上30質量部以下が更に好ましく、5質量部以上20質量部以下が特に好ましい。
基材は、化粧材とした場合に表面保護層と被着材との間に位置する層であるため、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤のブリードアウトによる耐候性の低下への影響は、他の層に比べて小さいものといえる。基材に用いられる紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。また、例えば、後述する中間樹脂層に特に好ましく用いられるものとして例示されるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、更に特定の一般式(1)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤も好ましく用いることができる。
基材の厚さは、特に加工特性を考慮すると、20μm以上150μm以下が好ましく、25μm以上120μm以下がより好ましく、30μm以上100μm以下が更に好ましく、特に40μm以上80μm以下が好ましい。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン−紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が、表面処理の効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、基材と他の層との層間密着性の向上、各種の被着材との接着性の強化、更には白色顔料による劣化の抑制等のために、基材にプライマー層、裏面プライマー層を形成する等の処理を施してもよい。これらのプライマー層については、後述する。
中間樹脂層は、基材と表面保護層との間に設けられる層であり、紫外線吸収剤を含有し、かつその含有量(M1)が、表面保護層中の紫外線吸収剤の含有量(M2)よりも大きいことを要する層である。
中間樹脂層は一層構成でもよく、少なくとも二層を有する多層構成であってもよく、例えば、化粧シートとしての性能向上の観点から、樹脂層、プライマー層を有することが好ましい。
樹脂層は、後述する装飾層の保護、加工特性、耐傷性の向上の観点から、好ましく設けられる層である。樹脂層は、紫外線吸収剤を含有することが好ましく、中間樹脂層が樹脂層による一層構成の場合は、紫外線吸収剤を含有することを要する。樹脂層が紫外線吸収剤を含むことで、より優れた耐候性が得られる。
樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂等が好ましく挙げられる。中でも、加工特性と、耐傷性及び耐候性の向上の観点から、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、ポリオレフィン樹脂が更に好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、基材を構成し得るものとして例示した樹脂が挙げられ、中でもポリプロピレン樹脂が好ましい。
樹脂層は透明であっても不透明でもよく、装飾層と表面保護層との間に設けられる場合は、装飾層をより鮮明に視認できるようにする観点から、透明であることが好ましい。ここで、透明とは、無色透明の他、着色透明及び半透明も含むものである。また、着色されている場合、用いられる着色剤としては、上記の基材に用いられる着色剤と同様のものが好ましく挙げられ、白色顔料を好ましく用いることができる。
炭素数1以上20以下のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、2,2−プロピレン等の各種プロピレン基(以下、「各種」は、直鎖状、分岐状、及びこれらの異性体のものを含むものを示す。)、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種へプチレン基、各種オクチレン基、各種ノニレン基、各種デシレン基、各種ウンデシレン基、各種ドデシレン基、各種トリデシレン基、各種テトラデシレン基、各種ペンタデシレン基、各種ヘキサデシレン基、各種ヘプタデシレン基、各種オクタデシレン基、各種ノナデシレン基、各種イコシレン基が挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6以上20以下、より好ましくは炭素数6以上12以下、更に好ましくは炭素数6以上10以下のアリール基、例えば、フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基、各種プロピルフェニル基、各種トリメチルフェニル基、各種ブチルフェニル基、各種ナフチル基等が挙げられる。アリールアルキル基としては、好ましくは炭素数7以上20以下、より好ましくは炭素数7以上12以下、更に好ましくは炭素数7以上10以下のアリールアルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、各種フェニルプロピル基、各種フェニルブチル基、各種メチルベンジル基、各種エチルベンジル基、各種プロピルベンジル基、各種ブチルベンジル基、各種ヘキシルベンジル基等が挙げられる。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1以上20以下、より好ましくは2以上16以下、更に好ましくは6以上12以下のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種ノナデシル基、各種イコシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、好ましくは炭素数2以上20以下、より好ましくは3以上16以下、更に好ましくは6以上12以下のアルケニル基、例えば、ビニル基、各種プロペニル基、各種ブテニル基、各種ペンテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種ノネニル基、各種デセニル基、各種ウンデセニル基、各種ドデセニル基、各種トリデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ペンタデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種ヘプタデセニル基、各種オクタデセニル基、各種ノナデセニル基、各種イコセニル基が挙げられる。
また、装飾層を保護し、かつ優れた耐傷性を得る観点から、基材シートよりも厚くすることが好ましい。
また、樹脂層と他の層との層間密着性の向上、更には白色顔料の耐候性への影響の抑制効果を得る等のために、樹脂層の片面又は両面にプライマー層を形成する等の処理を施してもよい。このプライマー層については、後述する。
プライマー層は、設けられる箇所に応じて求められる効果が異なっており、主に層間密着性の向上効果、及び白色顔料の耐候性への影響の抑制効果を得るために設けられる。プライマー層は、紫外線吸収剤を含有することが好ましく、中間樹脂層がプライマー層による一層構成の場合は、紫外線吸収剤を含有することを要する。プライマー層が紫外線吸収剤を含むことで、より優れた耐候性が得られる。
装飾層が設けられ、かつ中間樹脂層がプライマー層と樹脂層とを有する場合であって、プライマー層が該樹脂層と表面保護層との間に設けられる場合は、該樹脂層と該表面保護層との層間密着性の向上効果が得られる。基材、装飾層、表面保護層の少なくとも一層が白色顔料を含む場合は、白色顔料の耐候性への影響の抑制を抑制し、優れた耐候性が得られる。プライマー層が装飾層と樹脂層との間に設けられる場合は、装飾層と樹脂層との層間密着性の向上効果が得られる。また、装飾層が白色顔料を含む場合は、白色顔料の耐候性への影響を抑制し、優れた耐候性が得られる。
以上の観点から、中間樹脂層は、樹脂層とプライマー層とを有することが好ましく、本発明の化粧シートは、例えば、基材、中間樹脂層(樹脂層、プライマー層)、表面保護層の順に有するものであることが好ましく、基材、装飾層、中間樹脂層(樹脂層、プライマー層)、表面保護層の順に有するものであることがより好ましい。また、中間樹脂層は、プライマー層と樹脂層とプライマー層とを順に有する樹脂層であることも好ましい。
プライマー層中の紫外線吸収剤の含有量は、プライマー層を構成する樹脂100質量部に対し、1質量部以上40質量部以下が好ましく、5質量部以上35質量部以下がより好ましく、10質量部以上30質量部以下が更に好ましく、15質量部以上25質量部以下が特に好ましい。
本発明においては、中間樹脂層中により多くの紫外線吸収剤を含有させる観点から、プライマー層の形成に用いられるバインダーとして、2液硬化型の硬化性樹脂を用いることが好ましい。プライマー層のバインダーとして硬化性樹脂を用いることにより、紫外線吸収剤をより強固に層中に保持することが可能となり、また紫外線吸収剤として上記の分岐構造を有するヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を用いることで、相乗的にプライマー層中により強固に紫外線吸収剤が保持されることが期待されるため、より多くの紫外線吸収剤を含有させることができる。
表面保護層は、硬化性樹脂組成物の硬化物であり、紫外線吸収剤を含有し、かつその含有量(M2)が、中間樹脂層中の紫外線吸収剤の含有量(M1)よりも小さいことを要する層である。また、表面保護層は、中間樹脂層上に設けられる、本発明の化粧シートの最表面に位置する層であり、耐候性とともに、耐傷性等の表面特性の発現を担う層である。
表面保護層の形成に用いられる硬化性樹脂としては、2液硬化型樹脂等の熱硬化性樹脂の他、電離放射線硬化性樹脂等が好ましく用いられ、これらを用いて組み合わせた、例えば、電離放射線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを併用する、又は硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを併用する、いわゆるハイブリッドタイプであってもよい。
硬化性樹脂としては、表面保護層を構成する樹脂の架橋密度を高めて、表面保護層だけでなく中間樹脂層中の紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制し、優れた耐候性を得ることができ、更には耐傷性等の表面特性を向上させる観点から、電離放射線硬化性樹脂が好ましい。また、無溶媒で塗布することができ、取り扱いが容易との観点から、電子線硬化性樹脂がより好ましい。
電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂のことであり、電離放射線硬化性官能基を有するものである。ここで、電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられる。また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含まれる。
電離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることができる。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
耐候性及び耐傷性、更には加工特性を向上させる観点から、官能基数は2以上8以下が好ましく、2以上6以下がより好ましく、2以上4以下が更に好ましく、特に2以上3以下が好ましい。これらの多官能性(メタ)アクリレートは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
また、これらの重合性オリゴマーの重量平均分子量は、2,500以上7,500以下が好ましく、3,000以上7,000以下がより好ましく、3,500以上6,000以下が更に好ましい。ここで、重量平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。本発明においては、このような重量平均分子量を有し、かつ官能基数を有する重合性オリゴマーを用いることにより、表面保護層だけでなく中間樹脂層中の紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制し、より優れた耐候性を得ることができ、更には適度な硬度を有する表面保護層となるため、耐傷性、加工特性を向上させることができる。
紫外線吸収剤としては、基材に用い得るものとして例示した紫外線吸収剤、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられ、トリアジン系紫外線吸収剤の中でもヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤がより好ましく、上記一般式(1)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が更に好ましい。ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤は、分岐構造を有するため、ブリードアウトしにくく、また表面保護層を構成する硬化性樹脂組成物の硬化物による紫外線吸収剤の保持効果との相乗効果により、更にブリードアウトしにくくなることが期待され、より長期的に優れた耐候性が得られる。
また、表面保護層中の光安定剤の含有量は、より優れた耐候性を得る観点から、表面保護層を構成する樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.5質量部以上8質量部以下がより好ましく、1質量部以上5質量部以下が更に好ましく、1.5質量部以上3質量部以下が特に好ましい。
また、着色剤としては、上記の通り、白色顔料が含まれていることが好ましい。この場合、表面保護層中の白色顔料の含有量は、表面保護層を構成する樹脂100質量部に対し、1質量部以上30質量部以下が好ましく、3質量部以上20質量部以下がより好ましく、5質量部以上10質量部以下が更に好ましい。
本発明の化粧シートは、意匠性を向上させる観点から、装飾層を有することが好ましい。装飾層は、基材と表面保護層との間であれば特に制限はないが、装飾層を保護する観点から、基材と中間樹脂層との間に設けられることが好ましい。
装飾層は、例えば、全面を被覆する着色層(いわゆるベタ着色層)であってもよいし、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される絵柄層であってもよいし、またこれらを組み合わせたものであってもよい。例えば、被着材の地色を着色隠蔽する場合には、ベタ着色層とすることで、着色隠蔽しつつ、意匠性を向上させることができるし、更に意匠性を向上させる観点から、ベタ着色層と絵柄層とを組み合わせてもよいし、一方、被着材の地模様を生かす場合は、ベタ着色層とせずに絵柄層のみを設ければよい。
バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン−アクリル共重合体、ポリカーボネート系ウレタン−アクリル共重合体(ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端、側鎖に2個以上の水酸基を有する重合体(ポリカーボネートポリオール)由来のウレタン−アクリル共重合体)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、1液硬化型の他、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPID)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のイソシアネート化合物等の硬化剤を伴う2液硬化型など、種々のタイプの樹脂を用いることができる。
紫外線吸収剤、光安定剤としては、上記基材、中間樹脂層、表面保護層に含まれ得るものとして例示した、紫外線吸収剤、光安定剤を挙げることができる。紫外線吸収剤の含有量は、耐候性の向上の観点から、表面保護層中の含有量と同じ範囲を例示することができる。また、表面保護層中の光安定剤の含有量は、表面保護層を構成する樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.2質量部以上5質量部以下がより好ましく、0.3質量部以上3質量部以下が更に好ましく、特に0.5質量部以上2質量部以下が好ましい。
本発明の化粧シートは、基材の表面保護層側とは反対側の面に、プライマー層(「裏面プライマー層」とも称する。)を有することが好ましい。基材と被着材との層間密着性の向上効果が得られる。また、基材が白色顔料を含む場合、白色顔料の被着材への影響を抑制する効果が得られ、化粧シート及び化粧材について、優れた耐候性が得られる。なお、この裏面プライマーは、上記のプライマー層とは異なり、中間樹脂層に含まれ得る層ではない。
裏面プライマー層の厚さは、層間密着性の向上、白色顔料による被着材への影響を抑制する観点から、1μm以上10μm以下が好ましく、2μm以上8μm以下がより好ましく、3μm以上6μm以下が更に好ましい。
本発明の化粧シートは、必要に応じて接着層を有することができる。特に、本発明の化粧シートが中間樹脂層として樹脂層を有する場合、該樹脂層と装飾層との層間密着性を向上させるため、接着層を設けることは有効である。接着層を構成する接着剤としては、通常化粧シートで用いられる接着剤を制限なく用いることができる。
本発明の化粧シートは、表面保護層の基材側の面とは反対側の面(「表面側の面」とも称される。)に凹部を有することが好ましい。本発明の化粧シートは凹部を有することで、質感(触感)の向上に伴う高級感が得られ、意匠性が向上する。
本発明の化粧シートの製造方法について、本発明の化粧シートとして好ましい態様の一つである、裏面プライマー層、基材、装飾層、接着層、中間樹脂層(樹脂層及びプライマー層)、及び表面保護層を順に有する化粧シートを例にとって、その製造方法を説明する。
本発明の化粧シートは、例えば、基材に装飾層を設ける工程(1)、該装飾層上に樹脂層を設ける工程(2)、及び該樹脂層上に硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて表面保護層を形成する工程(3)を順に経ることにより製造することができる。
また、樹脂層と表面保護層との間にプライマー層を設ける場合、樹脂層を設けた後にプライマー層を構成する樹脂組成物を用いてプライマー層を設ければよい。
表面保護層は、上記の電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を、樹脂層あるいは該樹脂層上に所望に応じて設けられたプライマー層の上に塗布し、硬化させて得られる。なお、樹脂層を設けない場合は、基材シートに装飾層を設けた後、硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて表面保護層を形成すればよい。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
エンボス加工を行う場合、例えば、化粧シートを好ましくは80℃以上260℃以下、より好ましくは85℃以上160℃以下、更に好ましくは100℃以上140℃以下に加熱し、化粧シートにエンボス版を押圧して、エンボス加工を行うことができる。
本発明の化粧材は、被着材と上記の本発明の化粧シートとを有するものであり、具体的には、被着材の装飾を要する面と、化粧シートの基材側の面とを対向させて積層したものである。すなわち、本発明の化粧材は、少なくとも、被着材、基材、及び表面保護層を順に有するものである。図3に、本発明の化粧材の好ましい態様の一例の断面を示す模式図を示す。図3に示される本発明の化粧材20は、被着材21、接着剤層22、及び本発明の化粧シート10を順に有する。
被着材としては、各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)等が挙げられる。例えば、杉、檜、松、ラワン等の各種木材からなる木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる木質部材;鉄、アルミニウム等の板材や鋼板、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる金属部材;ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯業部材;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる樹脂部材等が挙げられる。また、これらの部材は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
被着材と化粧シートとは、優れた接着性を得るため、接着剤層を介して貼り合わせられることが好ましい。すなわち、本発明の化粧材は、少なくとも被着材、接着剤層、基材、及び表面保護層を順に有する部材であることが好ましい。
また、接着剤層には、粘着剤を用いることもできる。粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。
接着剤層の厚さは特に制限はないが、優れた接着性を得る観点から、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が更に好ましい。
化粧材は、化粧シートと被着材とを積層する工程を経て製造することができる。
本工程は、被着材と、本発明の化粧シートとを積層する工程であり、被着材の装飾を要する面と、化粧シートの基材側の面とを対向させて積層する。被着材と化粧シートとの積層する方法としては、例えば、接着剤を間に介して化粧シートを板状の被着材に加圧ローラーで加圧して積層するラミネート方法、接着剤を間に介して化粧シートを供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、被着材を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して積層していくラッピング加工、また、固定枠に固定した化粧シートが軟化する所定の温度になるまでシリコーンゴムシートを介してヒーターで加熱し、加熱され軟化した化粧シートに真空成形金型を押し付け、同時に真空成形金型から真空ポンプ等で空気を吸引し化粧シートを真空成形金型に密着させる真空成形加工等が好ましく挙げられる。
(評価及び測定方法)
(1)耐候性の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧材について、サンシャインウェザーメーター(「WEL−300」、スガ試験機株式会社製)を用いて、ブラックパネル温度63℃、120分中18分降雨の条件下で6000時間放置する耐候試験を行った。耐候試験後の化粧材の外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。なお、本明細書において、表中に以下基準とともに、「+」が記載される場合、「+」は「より優れているが、一段階上の評価には至らない」ことを示すものとする。例えば、「B+」であれば、「B」よりも優れているが、「A」には至らないことを示す。
A:外観変化は確認されなかった。
B:極軽微な色調変化は確認された。
C:軽微な色調変化が確認された。
D:顕著な色調変化、各層間の浮き、割れの少なくともいずれかが確認された。
(2)耐傷性の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、その表面に対して、スチールウール(「ボンスター#0000」、日本スチールウール株式会社製)を用いて、300g/m2の荷重で10往復させて、ラビング試験を行った。試験後の表面の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:傷付きがなく、艶の変化が確認されなかった。
B:極軽微な傷付き、及び極軽微な艶の変化が確認された。
C:軽微な傷付き、及び軽微な艶の変化が確認された。
D:傷付きが確認され、著しい艶変化が確認された。
(3)加工特性(ラッピング加工)の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧材について、角部(曲げ部)の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:角部(曲げ部)において、外観変化は確認されなかった。
B:角部(曲げ部)において、軽微な白化は確認されたが、クラックは確認されなかった。
C:角部(曲げ部)において、軽微な白化及びクラックが確認された。
D:角部(曲げ部)において、著しい白化及びクラックが確認された。
(4)意匠性の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧材について、意匠性を以下の基準で評価した。
A:凹部による優れた質感による、高い意匠性が確認された。
B:凹部による質感による、十分な意匠性が確認された。
C:凹部による質感が少ないが、意匠性が確認された。
D:凹部による質感がなく、意匠性が低かった。
(5)マルテンス硬度の測定
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、マルテンス硬度を以下の方法により測定した。
超微小硬度計(微小硬さ試験機、「ピコデンターHM−500」、フィッシャー・インスツルメント社製)を用いて、室温(23℃)において、荷重を連続的に増加させながらピラミッド形状のダイヤモンド圧子をサンプル(表面保護層の面)に押し込み、押込み深さが2μmに到達したときの試験荷重F(N)を測定し、表面にできたピラミッド形のくぼみの対角線の長さからその表面積A(mm2)を計算し、試験荷重F(N)を表面積Aで割ることにより、マルテンス硬度を算出した。
両面コロナ放電処理を施したポリプロピレン樹脂シート(厚さ:60μm、白色の着色樹脂シート(白色顔料:ルチル型酸化チタン(平均粒径:0.25μm)、含有量:10質量%))を基材とし、該基材の一方の面に2液硬化型アクリル−ウレタン樹脂をバインダーとする印刷インキ(白色顔料としてルチル型酸化チタン(平均粒径:0.25μm)を40質量%含有)をグラビア印刷法で塗布して木目模様の装飾層(厚さ:3μm)を設け、他方の面に2液硬化型ウレタン−硝化綿混合樹脂組成物を塗布して裏面プライマー層(厚さ:2μm)を形成した。
装飾層の上に、透明のポリウレタン樹脂系接着剤を塗布して接着層(乾燥後の厚さ:3μm)を形成し、透明なポリプロピレン樹脂をTダイ押出機により加熱溶融押出しして、透明な樹脂層(厚さ:80μm)を形成した。
次いで、樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、下記のプライマー層形成用樹脂組成物100質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネート(硬化剤)5質量部とを混合した組成物を、グラビア印刷法で塗布してプライマー層(乾燥後の厚さ:4μm)を形成した。
さらに、プライマー層上に、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をロールコート法により塗布して未硬化樹脂層を形成し、電子線(加圧電圧:175KeV、5Mrad(50kGy))を照射して未硬化樹脂層を硬化させて、表面保護層(厚さ:5μm)を得た。その後、表面保護層側からエンボス加工を施して、最大深さ50μmの凹部を有する木目導管模様を形成し、化粧シートを得た。
バインダー:ポリカーボネート系ウレタン−アクリル共重合体及びアクリルポリオール樹脂の混合物
紫外線吸収剤A:上記一般式(2)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物(「TINUVIN479」、BASF社製)3質量%(上記樹脂の混合物100質量部に対して3.7質量部)
紫外線吸収剤B:下記一般式(3)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物(「TINUVIN400」、BASF社製)12質量%(上記樹脂の混合物100質量部に対して14.6質量部)
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
電離放射線硬化性樹脂A:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:4,000、官能基数:3)
紫外線吸収剤A:上記一般式(2)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物(「TINUVIN479」,BASF社製)1質量%(上記樹脂の混合物100質量部に対して1.0質量部)
光安定剤a:ヒンダードアミン光安定剤(ビス(1−オクチルオシキ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、「TINUVIN123」、BASF社製)2質量%
実施例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性樹脂を下記の電離放射線硬化性樹脂B、Cとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2、3の化粧シート及び化粧材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を第1表に示す。
電離放射線硬化性樹脂B:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:7,000、官能基数:3)
電離放射線硬化性樹脂C:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:3,000、官能基数:3)
実施例1において、基材に上記の光安定剤a(ヒンダードアミン光安定剤(ビス(1−オクチルオシキ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、「TINUVIN123」、BASF社製))を1質量%含有させた以外は、実施例1と同様にして化粧シート及び化粧材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を第1表に示す。
実施例1において、装飾層の形成に用いる印刷インキに、上記の光安定剤a(ヒンダードアミン光安定剤(ビス(1−オクチルオシキ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、「TINUVIN123」、BASF社製))を1質量%含有させた以外は、実施例1と同様にして化粧シート及び化粧材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を第1表に示す。
実施例1において、基材及び装飾層の形成に用いる印刷インキに、上記光安定剤a(ヒンダードアミン光安定剤(ビス(1−オクチルオシキ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、「TINUVIN123」、BASF社製))を1質量%含有させた以外は、実施例1と同様にして化粧シート及び化粧材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を第1表に示す。
実施例1において、プライマー層形成用樹脂組成物を、光安定剤aを含まない樹脂組成物に代え、凹部の最大深さが140μmのエンボス加工を施した以外は、実施例1と同様にして化粧シート及び化粧材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を第1表に示す。
実施例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物中の紫外線吸収剤Aを紫外線吸収剤C(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(5−クロロ−ベンゾトリアゾリル)−6−tert−ブチル−p−クレゾール、「TINUVIN326」、BASF社製)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例8の化粧シート及び化粧材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を第1表に示す。
実施例1において、凹部の最大深さが10μmのエンボス加工を施した以外は、実施例1と同様にして化粧シート及び化粧材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を第1表に示す。
実施例1において、プライマー層形成用樹脂組成物中の紫外線吸収剤A及びBの含有量3質量%及び12質量%を各々3.1質量%及び6.9質量%とし(樹脂100質量部に対して、各々3.6質量部、7.9質量部で合計11.5質量部)、電離放射線硬化性樹脂組成物中の紫外線吸収剤Aの含有量1質量%を7.1質量%とした(電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して7.8質量部)以外は、実施例1と同様にして化粧シート及び化粧材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を第1表に示す。
実施例1において、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、上記紫外線吸収剤Aを3質量部添加した以外は、実施例1と同様にして化粧シート及び化粧材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を第1表に示す。
実施例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物中の紫外線吸収剤Aを除いた以外は、実施例1と同様にして化粧シート及び化粧材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を第1表に示す。
実施例1において、
プライマー層形成用樹脂組成物の紫外線吸収剤A及びBの含有量をいずれも1質量%とし(樹脂100質量部に対して、各々1.1質量部、1.1質量部で合計2.2質量部)、電離放射線硬化性樹脂組成物中の紫外線吸収剤Aの含有量を15質量%とした(樹脂100質量部に対して、18.1質量部)以外は、実施例1と同様にして化粧シート及び化粧材を作製した。得られた化粧シート、及び化粧部材について、上記の評価を行い、その評価結果を第1表に示す。
実施例8では電離放射線硬化性樹脂組成物中の紫外線吸収剤をベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としたが、他の実施例との対比により、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、特に、一般式(2)で示される特定のヒドロキシフェニルトリアジン化合物を用いると、より優れた耐候性が得られることが確認された。
また、凹部最大深さ(D)について、50μm(凹部最大深さ(D)は、化粧シート厚さ(T)と(D)=0.32×(T)((D)/(T)=0.32)の関係を有する。)とした実施例1〜6の化粧シート、及び140μm((D)=0.90×(T)、(D)/(T)=0.90)とした実施例7の化粧シートは、実施例9の10μm((D)=0.06×(T)、(D)/(T)=0.06)としたものよりも、豊かな質感が得られ、意匠性に優れるものであることが確認された。
11.基材
12.装飾層
13.接着層
14.中間樹脂層
14a.樹脂層
14b.プライマー層
15.表面保護層
16.裏面プライマー層
17.紫外線吸収剤
18.白色顔料
19.凹部
20.化粧材
21.被着材
22.接着剤層
Claims (22)
- 基材と中間樹脂層と表面保護層とを順に有し、
該基材と該表面保護層との間に装飾層を有し、
該表面保護層が硬化性樹脂組成物の硬化物であり、該中間樹脂層と該表面保護層とが紫外線吸収剤を含有し、該中間樹脂層を構成する樹脂100質量部に対する紫外線吸収剤の含有量(M1)が、該表面保護層を構成する樹脂100質量部に対する紫外線吸収剤の含有量(M2)よりも大きく、該M2は、該表面保護層を構成する樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上であり、
該基材、該表面保護層及び該装飾層から選ばれる少なくとも1層が、白色顔料を含み、
該白色顔料が、ルチル型酸化チタンである化粧シート。 - 前記含有量(M1)と含有量(M2)との合計(M1+M2)が、0.5質量部以上40質量部以下である請求項1に記載の化粧シート。
- 前記含有量(M1)と含有量(M2)との比(M1/M2)が、1.1以上35以下である請求項1又は2に記載の化粧シート。
- 基材及び表面保護層の少なくとも一方が、白色顔料を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 基材及び装飾層が、白色顔料を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 基材中の白色顔料の含有量が、該基材を構成する樹脂100質量部に対して1質量部以上50質量部以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 装飾層中の白色顔料の含有量が、該装飾層を構成する樹脂100質量部に対して5質量部以上90質量部以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 表面保護層中の白色顔料の含有量が、該表面保護層を構成する樹脂100質量部に対して1質量部以上30質量部以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 前記中間樹脂層及び表面保護層の少なくとも一方の層に含まれる紫外線吸収剤が、トリアジン系紫外線吸収剤を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 紫外線吸収剤が、一般式(1)において、R11が炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、R12及びR15が炭素数1以上20以下のアルキル基であるアルキルエステル基であり、R13及びR14が炭素数6以上20以下のアリール基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物である請求項10に記載の化粧シート。
- 前記硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性樹脂である請求項1〜11のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 前記硬化性樹脂組成物が、官能基数が2以上8以下であり、重量平均分子量が2,500以上7,500以下のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化性樹脂である請求項1〜12のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 基材及び表面保護層の少なくとも一方が、光安定剤を含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 装飾層が、光安定剤を含む請求項1〜14のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 光安定剤が、ヒンダードアミン系光安定剤である請求項14又は15に記載の化粧シート。
- 表面保護層の基材側の面とは反対側の面に凹部を有する請求項1〜16のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 凹部の最大深さDと化粧シートの厚さTとが、0.15×T≦D≦Tの関係を有する凹部を有する請求項17に記載の化粧シート。
- 前記基材が、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリル樹脂及び塩化ビニル樹脂から選ばれる樹脂からなる樹脂基材である請求項1〜18のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 前記中間樹脂層が、少なくとも1層の樹脂層と少なくとも1層のプライマー層を含む請求項1〜19のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 被着材と請求項1〜20のいずれか1項に記載の化粧シートとを有する化粧材。
- 被着材が、金属部材及び樹脂部材から選ばれる少なくとも一種の部材からなる請求項21に記載の化粧材。
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