JP6590303B2 - ミネラルが強化され、粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉およびその利用 - Google Patents

ミネラルが強化され、粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉およびその利用 Download PDF

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Description

本発明は、ミネラルが強化され、粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉に関する。本発明は、食品製造の分野で有用である。
従来の技術
カルシウムは必須ミネラルであるが、平成22年度国民栄養調査によれば、日本人のカルシウムの摂取量は所要量に達していない。したがって、カルシウム不足による骨粗鬆症などの疾病が危惧されている。また、マグネシウムは、生体内で300種類以上の酵素反応に関与しており、重要なミネラルである。マグネシウムを多く含む食品としては、昆布、ひじき、のり等の海藻類、およびごま、アーモンド等の種実類が知られているが、欧米型の食事では不足しがちな栄養素であるといわれている。
一方、イモ類澱粉には、澱粉中のアミロペクチンと直接エステル結合しているリン酸基が存在する。エステル結合したリン酸基には、種々のカチオン、すなわち、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等が結合できる。馬鈴薯澱粉のリン酸基は、リン含量換算で500ppm以上であり、甘藷(約150ppm)、タピオカ(約80ppm)等の他の澱粉と比較して極めて多量であることが知られている(非特許文献1)。
カルシウムなどのミネラルを強化した澱粉の調製法について、これまでにいくつかの検討がなされている。例えば、貝沼らは、馬鈴薯澱粉に0.05M塩酸を加えてリン酸基に結合した全てのカチオンを水素に置換し、次いで、得られた水素置換馬鈴薯澱粉に飽和水酸化カルシウム溶液を加えてカルシウム置換馬鈴薯澱粉を調製している(非特許文献2)。また、ジャガイモを洗浄し、磨砕し、磨砕後の汁から澱乳を分離し、沈殿させて得られた澱粉をさらし槽においてカルシウム分含有またはマグネシウム分含有の清水を適量加える工程を含む、大粒子澱粉の製造法が知られている(特許文献1)。また、馬鈴薯澱粉の濃度を約20%から約40%に調整するとともにPHを約6から約8に調整した馬鈴薯澱粉懸濁液に約0.5%から約5%の塩化カルシウムを加えて、該馬鈴薯澱粉懸濁液を膨潤温度より低い約45℃から約55℃に加温して約30分間から約5時間攪拌してから、脱水洗浄し、乾燥することを特徴とする馬鈴薯澱粉の加工方法が知られている(特許文献2)。さらには、無機カルシウム塩及び/又は有機酸カルシウム塩、無機リン酸塩並びにリン酸化澱粉を混合し、pHを 5.5以上に調整して、カルシウムとリン酸化澱粉との複合体を形成させることを特徴とするカルシウム・リン酸化澱粉複合体の製造方法が知られている(特許文献3)。さらには、澱粉顆粒の水中分散物を形成する工程であって、該顆粒は該分散物中で膨潤を受け、結晶相を有する工程;該顆粒を膨潤させながら、該分散物に架橋剤を加える工程;該膨潤した澱粉顆粒を連続撹拌条件下で架橋する工程であって、該架橋工程は、該膨潤した澱粉顆粒を完全に糊化させることなく行われる、工程;該架橋した澱粉顆粒を回収する工程;および該架橋した澱粉顆粒と少なくとも1種類のミネラルとを含む第二の分散物を形成する工程を包含する、ミネラル結合澱粉の調製法が知られている(特許文献4)。
特開平02-075601(特公平5-53163) 特開平07-196701(特許第3362320号) 特開2001-226401 特開2008-545440(特開2011-219774)
澱粉科学,22,27-39,1975 澱粉科学,23,59−66,1976
馬鈴薯澱粉は、水産練り製品、麺類、菓子類、片栗粉等、多岐にわたって利用されているため、リン含量の特に高い馬鈴薯澱粉を用いてカルシウムなどのミネラルを強化した馬鈴薯澱粉を提供することができれば、馬鈴薯澱粉で所望のカルシウムなどを効率的に補うことが可能となる。しかしながら、これまで、ミネラルを強化するように製造・加工された澱粉においては、ミネラルは強化されているに違いないが、どの程度強化されているかは明らかにされてこなかった。また、ミネラル強化澱粉の製造・加工のための工程は、商業的に実施可能な、実用的なものとはいえなかった。また前掲特許文献3および4に記載された方法は、熱を加えて澱粉を糊化する工程が含まれており、簡易な方法とはいえない上、得られる澱粉が糊化済み澱粉であった。そして、従来技術においては、得られたミネラル強化澱粉が、食品の外観・味等に対してどのような影響を及ぼすかは一切明らかにされてこなかった。
このような状況の中で、本発明者らは、カルシウムが強化され粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉の製造方法について鋭意研究を積み重ねた。その結果、リン含量が比較的高い馬鈴薯澱粉にカルシウムイオンを多く含む水溶液(塩化カルシウム溶液、水酸化カルシウム溶液、ミネラルウォーター等)を加えることによって、カルシウムを400ppm以上に強化することにより粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉を簡易に製造できることを見出した。また、この馬鈴薯澱粉を用いることによってカルシウムを高濃度で含有する外観や食感に優れた食品を開発できることも見出した。またマグネシウムについても同様の知見を得て、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を提供する:
[1] リン含量600ppm以上、好ましくは650ppm以上の馬鈴薯澱粉を原料とする、10 mmol/kg以上の2価のカチオンを含む、カチオン置換澱粉。
[2] 原料馬鈴薯澱粉のリン含量が760ppm以上である、[1]に記載の澱粉。
[3] 20 mmol/kg以上の2価のカチオンを含む、[1]に記載の澱粉。
[4] 2価のカチオンが、カルシウムイオンまたはマグネシウムイオンである、[1]〜[3]のいずれか一に記載の澱粉。
[5] [1]〜[4]のいずれか一に記載の馬鈴薯澱粉を用いた、食品。
[6] 食品が、麺類、パン類、または菓子類である、[5]に記載の食品。
[7] リン含量600ppm以上、好ましくは650ppm以上の馬鈴薯澱粉を原料とし、10 mmol/kg以上の2価のカチオンを含むようにカチオン置換処理する工程を含む、改質馬鈴薯澱粉の製造方法。
[8] ラピッドビスコアナライザー(RVA)による最高粘度および/またはブレークダウンを減少させるように改質された馬鈴薯澱粉の製造方法である、[7]に記載の製造方法。
[9] RVAによる最高粘度が250RVU以下、および/またはブレークダウンが160RVU以下となるように改質された馬鈴薯澱粉の製造方法である、[8]に記載の製造方法。
[10] リン含量600ppm以上、好ましくは650ppm以上の馬鈴薯澱粉を原料とし、10 mmol/kg以上の2価のカチオンを含むようにカチオン置換処理する、馬鈴薯澱粉の改質方法。
[11] ラピッドビスコアナライザー(RVA)による最高粘度および/またはブレークダウンを減少させるように改質する方法である、[10]に記載の方法。
[12] RVAによる最高粘度が250RVU以下、および/またはブレークダウンが160RVU以下となるように改質する、[11]に記載の方法。
本発明により、改質された馬鈴薯澱粉を簡易に得ることができる。また、本発明の製造方法により、馬鈴薯に結合させる2価のカチオン含量を制御できる。
本発明により、馬鈴薯澱粉のラピッドビスコアナライザー(RVA)による最高粘度および/またはブレークダウンを減少させることができる。
本発明により、これまで以上に種々の食品に対して馬鈴薯澱粉の用途を拡大することができる。このような食品には、パン類、菓子類、麺類がある。
本発明により得られた馬鈴薯澱粉は、原料として使用する小麦の一部または全部の代わりに、良好に用いることができる。そのため、本発明により、食品によっては、国産または北海道産100%の原料を用いた高品質のものを製造することができる。
本発明により改質された馬鈴薯澱粉は、食品の外観、風味、食感等を改善しうる。
本発明において「食品」というときは、特に記載した場合を除き、カロリーの摂取、栄養素の摂取、保健用途(例えば、疾患または状態の発症リスクの低減)または嗜好を目的として、経口的に摂取するもの全般を指し、固形および半固形のもの以外に、液状の飲料も含み、またヒト以外の動物を対象とした飼料も含む。
本発明において数値範囲を「 〜 」で表す場合は、特に記載した場合を除き、両端の数値を含む。また本発明において「%」は、特に記載した場合を除き、重量に基づいて計算された比率を示す。
本発明は、10 mmol/kg以上の2価のカチオンを含む、カチオン置換澱粉及びその製造方法に関する。
2価のカチオンの例は、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)、ストロンチウムイオン(Sr2+)、バリウムイオン(Ba2+)、カドミウムイオン(Cd2+)、ニッケル(II) イオン(Ni2+)、亜鉛イオン(Zn2+)、銅(II) イオン(Cu2+)、水銀(II) イオン(Hg2+)、鉄(II) イオン(Fe2+)、コバルト(II) イオン(Co2+)、スズ(II) イオン(Sn2+)、鉛(II) イオン(Pb2+)、マンガン(II) イオン(Mn2+)、テトラアンミン亜鉛(II) イオン([Zn(NH3)4]2+)、テトラアンミン銅(II) イオン([Cu(NH3)4]2+)、テトラアクア銅(II) イオン([Cu(H2O)4]2+)、チオシアノ鉄(III) イオン([Fe(SCN)]2+)、ヘキサアンミンニッケル(II) イオン([Ni(NH3)6]2+)、プルプレオ([CoCl(NH3)5]2+)であるが、このうち、食品として許容されるものであれば、本発明が適用できる。本発明は、特に、マグネシウムイオン(Mg2+)および/またはカルシウムイオン(Ca2+)の強化のために用いることができる。なお、本明細書では、カルシウムイオンで置換した馬鈴薯澱粉(カルシウム高含有馬鈴薯澱粉)を例に、本発明を説明することがあるが、その説明は、特に記載した場合を除き、マグネシウムをはじめとする他の2価のカチオンを用いた場合にも当てはまる。また、カルシウム(またはカルシウムイオン)の濃度として、表された値は、当業者であれば、適宜換算して、他の場合にも適用しうる。本発明における2価のカチオンの特に好ましい例は、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンである。
本発明においては、原料馬鈴薯澱粉として、リン含量が高いものを用いることが好ましい。馬鈴薯澱粉のリン含量は、澱粉を湿式灰化した後、リン・バナド・モリブデン酸法により測定することができる( 生化学実験法第1 9巻、澱粉・関連糖質実験法、3 2頁、1 9 8 6年、学会出版センター)。詳細には、下記の手順により、測定することができる。
澱粉試料0.2gに硝酸2.0ml加えて弱火で加熱すると、まず濃暗褐色の煙が出てくる。煙が薄くなれば加熱をやめ、放冷して、60%過塩素酸1.5ml、硝酸1.5mlを加える。再び加熱し、白煙が生じれば加熱をやめ、放冷する。なお、白煙が生じる前に分解液が乾固すれば爆発の危険があるので、注意を要する。分解液が不足したら、60%過塩素酸1.5ml、硝酸1.5mlを追加して、再び加熱し、白煙が生じるまで行う。灰化した無色透明の液はリン酸の一部がピロリン酸になっているので、灰化液に蒸留水を3.0ml加えて沸騰するまで加熱し、ピロリン酸を正リン酸にする。放冷後、10mlに定容し、リン含量測定用の試料とする。そして、リン含量測定用の試料(リンを5〜25μg/ml含む灰化液)1.0mlに、蒸留水1.5ml、60%過塩素酸0.25ml、0.02Mバナジン酸アンモニウム溶液0.75ml、3.53%モリブデン酸アンモニウム溶液1.5mlこの順序で十分攪拌しながら加える。室温で、30分放置後、420nmの吸光度を測定する。なお、リン標準溶液として、リン酸二水素カリウム溶液を用いる。
一般に、馬鈴薯澱粉は、他の原料由来の澱粉に比べて、リン含量が高い。例えば、代表的な澱粉であるコーンスターチのリン含量は、140ppm前後である。馬鈴薯澱粉には、リンが、アミロペクチン中のグルコース残基の3位と6位にエステル結合したリン酸基として存在可能である。そのため、馬鈴薯澱粉は、他のいも類を原料とする澱粉に比べてこのリン酸基を多く保有することができる。
本発明には、原料馬鈴薯澱粉として、比較的リン含量の高いものを用いることができ、例えば、原料馬鈴薯澱粉のリン含量は、600ppm以上であり、650ppm以上であることが好ましく、760ppm以上であることがより好ましく、800ppmであることがさらに好ましい。
馬鈴薯澱粉のリン含量は品種により異なるが、リン含量が比較的少ない品種であっても、500ppm程度のリンを含むことが知られている。リン含量が比較的高い品種としては、例えば、とうや、ホッカイコガネ、ワセシロ、エニワ、キタアカリ、さやか、アーリースターチ、男爵薯、トヨシロ、インカパープル、インカレッド、インカのめざめ、ノーザンルビー(北海91号)、シャドークイーン(北海92号)、キタムラサキ、およびコナフブキを挙げることができる。なお、従来、北海道において澱粉製造によく用いられていた品種、紅丸を原料とした馬鈴薯澱粉のリン含量は、通常500〜650 ppm、場合により500〜600 ppmに分布している。
上述の馬鈴薯品種のうち、リン含量が特に高いという観点から、本発明に用いるのに好ましい例は、とうや、ホッカイコガネ、ワセシロ、エニワ、キタアカリ、さやか、インカパープル、インカレッド、インカのめざめ、ノーザンルビー(北海91号)、シャドークイーン(北海92号)、キタムラサキおよびコナフブキである。コナフブキは、面積当たりの澱粉収量が多いという点でも、原料として好ましい。コナフブキを原料とした馬鈴薯澱粉のリン含量は、通常650 ppm、場合により600ppmに満たないことはない。
馬鈴薯澱粉は、一般に、他の原料由来の澱粉と比較して、粒径が大きい。また、粒径で分画した粒子径の異なる馬鈴薯澱粉には、リン含量に差異があることが知られている。一般的傾向として、平均粒子径が大きいほどリン含量は低く、粒子径が小さいほどリン含量は高い(Carbohydrate Polymers 60 (2005) 245-251)。本発明で用いる馬鈴薯澱粉は、リン含量が高いほど好適であるため、粒径の分画によって得られる粒径の小さいものを用いることが好ましい。具体的には、馬鈴薯澱粉の粒径は、40μm以下であってもよい。30μmであってもよく、20μm以下であってもよい。なお、本発明において馬鈴薯澱粉の粒径をいうときは、特に記載した場合を除き、メジアン径をいう。
本発明に用いる原料馬鈴薯澱粉の性状は、粉末状(馬鈴薯澱粉製品)に限られず、一般の馬鈴薯澱粉製造過程において篩別後に得られる、澱粉乳であってもよい。なお、本明細書においては、本発明の製造方法を、原料として馬鈴薯澱粉製品を用いた場合を例に説明することがあるが、当業者であれば、その説明を適宜澱粉乳の場合にあてはめ、澱粉乳を用いる場合に適した製造条件を設計することができる。
本発明の方法においては、原料馬鈴薯澱粉を、上記の2価のカチオンを含む水溶液に、得られる加工澱粉が10mmol/kg以上の2価のカチオンを含むように、カチオン置換処理する工程を含む。カチオン置換処理は、本発明者らの検討によると、一定時間、所定の濃度のカチオン溶液に原料馬鈴薯澱粉を浸漬することにより、容易に実施することができる。
カチオン置換処理に用いる水溶液のカチオン濃度(澱粉乳を使用する場合は、終濃度)は、当業者であれば、適宜決定できる。例えば、2価のカチオン濃度が、1 mmol/L以上の水溶液を用いることができ、5 mmol/L以上であることが好ましく、10 mmo/L以上であることがより好ましい。具体的には、カルシウムイオンの場合は、4.0 mg/100 ml以上とすることができ、20 mg/100 ml以上であることが好ましく、40 mg/100 ml以上であることがより好ましい。あるいは、カルシウムイオン源として、塩化カルシウムを用いる場合は、その濃度は0.01%以上とすることができ、0.025%以上であることが好ましく、0.05%以上であることがより好ましい。これ以下である場合は、十分なカチオン含量が達成されない場合がある。また、マグネシウムイオンの場合は、11 mg/100 ml以上とすることができ、23 mg/100 ml以上であることが好ましく、47 mg/100 ml以上であることがより好ましい。あるいは、マグネシウムイオン源として、塩化マグネシウム6水和物を用いる場合は、その濃度は0.1%以上とすることができ、0.2%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがより好ましい。これ以下である場合は、十分なカチオン含量が達成されない場合がある。
2価のカチオン濃度の上限値は、溶解度等を考慮して適宜設計することができる。例えば、塩化カルシウムの溶解度は、20℃では74.5 g/100 mL、0℃では59.5 g/100 mL、塩化マグネシウムの溶解度は、20℃では54.6 g/100 mL、0℃では52.9 g/100 mLであるので、これらの値に配慮して決定してもよい。
本発明で用いるカチオン処理のための液として、食品として摂取可能な、硬水型の水を用いてもよい。日本においてはほとんどの地域が軟水であるため、2価のカチオンを適当に添加した生活用水や飲料水を用いることが好適である。例えば、カルシウムイオンの供給源としては、上述した塩化カルシウムのほか、硫酸カルシウム、水酸化カルシウムを挙げることができる。
浸漬は、原料馬鈴薯澱粉1重量部(粉末状の場合)に対して、2価のカチオンの水溶液1〜100重量部を用いて有効に行うことができ、1.5〜50重量部用いることが好ましく、2〜25重量部用いることがより好ましい。水溶液の温度は、1℃以上とすることができ、4℃以上で行うことが好ましく、5℃以上で行うことがより好ましい。水温の上限値は、澱粉の糊化が起こらない温度以下である必要があり、例えば、40℃以下であり、35℃以下であることが好ましく、30℃以下であることがより好ましい。
浸漬時間は、5分間〜48時間とすることができ、15分間〜24時間とすることが好ましく、30分間〜12時間以上とすることがより好ましい。
置換処理工程は、1回のみ行ってもよく、複数回、例えば2〜6回、繰り返して実施してもよい。
置換処理工程の後、適切な手段で水溶液を除去し、澱粉を乾燥すれば、目的の加工澱粉粉末を容易に得ることができる。乾燥のための手段としては、同様の目的のために用いられる従来技術を適用することができる。
一般には、馬鈴薯澱粉の製造工程は、(1)原料馬鈴薯の受入、(2)原料馬鈴薯の洗浄、(3)原料馬鈴薯の摩砕、(4)摩砕物の脱汁、(5)摩砕物からの澱粉の篩別、(6)澱粉乳の濃縮・脱水・乾燥の工程を、この順で実施する。本発明の方法においても、これらの工程を含むことができる。
本発明においては、所望のカルシウム量を含有する馬鈴薯澱粉を製造するために、原料馬鈴薯澱粉はカチオン交換能が高いことが望まれ、リン含量が高い方が好ましい。さらに、馬鈴薯澱粉のエステル結合したリン酸基は、カリウムやナトリウムなどの1価カチオンで置換されていてもよく、またそのような澱粉を好適に用いることができる。一般に、馬鈴薯澱粉の調製の際に用いられる用水は、カルシウムの少ない軟水であることが適していて、北海道において工場レベルで生産されている馬鈴薯澱粉はほぼ該当する。
本発明により得られる馬鈴薯澱粉は、10mmol/kgの2価のカチオンを含みうる。好ましくは15mmol/kg含んでおり、より好ましくは、20mmol/kg含んでいる。本発明の一態様においては、カルシウムを400ppm以上含んでおり、600ppm以上含むことが好ましく、800ppm以上含むことがより好ましい。本発明の別の一態様においては、マグネシウムを250ppm以上含んでおり、300ppm以上含むことが好ましく、350ppm以上含むことがより好ましい。2価のカチオン含量の増加に伴い、馬鈴薯澱粉の粘度特性(最高粘度およびブレークダウンを含む。)が変化する。本発明者らの検討によると、カルシウムの場合、390〜410ppmを境に、それを用いた食品の評価に影響を及ぼす程度に馬鈴薯澱粉の粘度特性が変化する。またマグネシウムの場合、290〜310ppmを境に、それを用いた食品の評価に影響を及ぼす程度に馬鈴薯澱粉の粘度特性が変化する。
本発明により製造・加工された馬鈴薯澱粉(以下、「本発明の馬鈴薯澱粉」ということがある。)は、ラピッドビスコアナライザー(RVA)による最高粘度および/またはブレークダウンを減少させるように改質されている。RVAは、容器中の原料と水を、撹拌しながら昇温し、一定温度の高温で保持した後、降温するという温度変化を与え,その間の粘度変化を測定することができる機械であり、これにより得られた粘度曲線より、最高粘度およびブレークダウンを求めることができる。澱粉を多く含む原料は、昇温により糊化して粘度が上昇し、粘度が最高に達した(最高粘度)後、低下する。粘度曲線から得られる指標のうち,最高粘度から最低粘度を引いたものをブレークダウンという。ブレークダウンは、一般には、小さいほうが、食品原料としての加工性が安定しているということができる。
本発明において澱粉に関し、「最高粘度」および「ブレークダウン(「ブレークダウン値」ということもある。)」をいうときは、特に記載した場合を除き、次のように測定した値をいう:すなわち、ラピッドビスコアナライザー(RVA)を用い、4%(w/w)の澱粉懸濁液25 mlをアルミ缶に入れ、50℃で1分間保った後、12.2℃/分の速度で95℃まで昇温し、95℃で2.7分間保持後、11.8℃/分の速度で50℃まで降温し、さらに50℃で2分間保つ。このようにして得られた粘度曲線より、最高粘度、ブレークダウン(最高粘度以後の粘度低下)を測定する。
本発明の一態様においては、RVAによる最高粘度が250RVU以下、および/またはブレークダウンが160RVU以下となるように馬鈴薯澱粉が改質されうる。より好ましくは、RVAによる最高粘度が200RVU以下、および/またはブレークダウンが90RVU以下となるように馬鈴薯澱粉が改質されうる。
一般に馬鈴薯澱粉は他の起源の澱粉と比べて、粘度が極めて高いという固有の特徴がある。本発明により、RVAによる最高粘度および/またはブレークダウンを減少させることができ、それにより、粘度特製の改変された、より詳細には粘度安定性のある馬鈴薯澱粉を提供することができる。
本発明により提供される、カルシウム、マグネシウム等に代表される2価のカチオンが強化され、かつ粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉により、その特性を活かした種々の食品の開発が可能となる。本発明の馬鈴薯澱粉が有効に利用できる食品は、とろみの保持、ボリューム感、口溶け感、衣のはがれにくさ(付きやすさ)等が望ましい食品に対して特に良好に用いることできる。このような食品の例は、調理素材(例えば、とろみ剤)、パン類(例えば、食パン、バターロール、クロワッサン、菓子パン等)、菓子類(例えば、ケーキ、クッキー、ウエハース、クラッカー、サブレ、卵ボーロ、ビスケット、乾パン、プリッツェル、カステラ、芋団子、八つ橋、今川焼き、たい焼き、ういろう、ようかん、練りようかん、水ようかん、蒸しようかん、ゼリー類、寒天がし類、芋かりんとう、おこし、かりんとう、ひなあられ、うぐいすもち、おはぎ、かしわもち、かるかん、きび団子、ぎゅうひ、きんつば、草もち、くし団子、あん団子、しょうゆ団子、桜もち、大福もち、ちまき、どら焼き、金つば、ねりきり、まんじゅう、もなか、エビせんべい、小麦粉せんべい、磯辺せんべい、巻きせんべい、南部せんべい、米菓、あられ、揚げせんべい、スナック菓子、コーンスナック、ポテトスナック、小麦スナック、マシュマロ)、麺類(例えば、即席めん、冷麺、盛岡冷麺、はるさめ、パスタ、うどん、そば、中華めん)、水産練り製品(例えば、ちくわ、蒲鉾、はんぺん、さつま揚げ、つみれ、ごぼう天、笹かまぼこ、伊達巻、カニカマ、魚肉ソーセージ、鳴門巻き、つけあげ、えび天、じゃこ天、がんす)、タレ・ソース(焼き肉のたれ、ウスターソース、中華丼の素、牛丼の素、親子丼の素、ホワイトソース、トマトソース、デミグラスソース、カレーソース、ハヤシソース、各種ルー、)、ミックス粉(例えば、から揚げ粉、天ぷら粉、パン用ミックス粉、ホットケーキミックス粉、スポンジケーキミックス粉、ピザ生地ミックス粉、お好み焼きミックス粉、たこ焼きミックス粉)である。
食品中における本発明の馬鈴薯澱粉の使用量は、適宜決定することができる。従来の粉類として澱粉を用いる食品(例えば、卵ボーロ、から揚げ粉、春雨)の場合は、原料澱粉のうち5〜100%を、本発明の馬鈴薯澱粉に置き換えることができる。また、小麦粉を用いる食品においては、原料小麦粉のうち、例えば1〜80%、より具体的には、パウンドケーキの場合は、75%以下、60%以下、より特定すると50%以下を置き換えることができ;クッキーの場合は、80%以下、65%以下、より特定すると60%以下を置き換えることができ;クッキーの場合は、80%以下、65%以下、より特定すると60%以下を置き換えることができ;例えばパン類の場合は、50%以下、45%以下、より特定すると40%以下を置き換えることができる。
ソース類等、とろみを付与することを目的に使用する場合は、本発明の馬鈴薯澱粉は、ソース全体に対して2〜20%となる量で用いることができ、2〜10%とすることが好ましい。
本発明の馬鈴薯澱粉が用いられる麺類の好ましい例の一つは、冷麺用の麺である。冷麺用の麺は、一般的には、小麦粉と馬鈴薯澱粉の混合粉にかん水を配合して生地を調製し、押し出し装置を使用することで製造される。馬鈴薯澱粉の配合割合としては、粉類のうち、20〜80%とすることができ、30〜70%とすることが好ましい。
冷麺用麺以外の麺(例えば、うどん、そば、中華めん、パスタ)に配合する場合、当業者であれば、適宜設計できるが、粉類のうち、1〜50%とすることができ、5〜40%とすることが好ましいであろう。
ソース類等、とろみを付与することを目的に使用する場合は、本発明の馬鈴薯澱粉は、ソース全体に対して2〜20%となる量で用いることができ、2〜10%とすることが好ましいであろう。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の好適な例を示すものであり、本発明は当該実施例によって何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
北海道で生産されている一般的な馬鈴薯澱粉(東部十勝農産加工農業協同組合連合会東部十勝澱粉工場製)500 gを、市販の高カルシウム型のミネラルウォーター(コントレックス、サントリー(株)製)1500 mlに懸濁し、3時間、室温で放置後、上澄液を除去した。このミネラルウォーターには、100 ml当たりナトリウム0.94 mg、カルシウム46.8 mg、マグネシウム7.45 mg、カリウム0.28 mg含まれている。高カルシウム型のミネラルウォーターへの懸濁処理は、あと2回繰り返した。最後に蒸留水1500 mlに懸濁し、3時間、室温で放置後、吸引濾過を行い、室温で風乾した。
希釈したミネラルウォーターを用いた実験も行った。すなわち、馬鈴薯澱粉100gを、ミネラルウォーターを蒸留水で2倍、4倍、10倍に希釈したもの300 mlに懸濁し、3時間、室温で放置後、上澄液を除去した。次いで、蒸留水300 mlに懸濁し、3時間、室温で放置後、吸引濾過を行い、室温で風乾した。なお、対照として、ミネラルウォーター処理前の馬鈴薯澱粉を用いた(比較例1、粒径(メジアン径)35.7μm)。
馬鈴薯澱粉のリン、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムの含量について野田らの方法(Carbohydr. Polym., 60, 245-251, 2005)により測定した。次いで、馬鈴薯澱粉の粘度特性をラピッドビスコアナラーザー(Newport Scientific社製)を使用して、次のように測定した。測定した。4%(w/w)の澱粉懸濁液25 mlをアルミ缶に入れ、50℃で1分間保った後、12.2℃/分の速度で95℃まで昇温し、95℃で2.7分間保持後、11.8℃/分の速度で50℃まで降温し、さらに50℃で2分間保った。このようにして得られた粘度曲線より、最高粘度およびブレークダウン(最高粘度以後の粘度低下)を求めた。
表1に示すように、高カルシウム型のミネラルウォーターで処理した馬鈴薯澱粉は、処理前の馬鈴薯澱粉と比べ、カルシウム含量は813 ppmと8.2倍に飛躍的に増加したが、処理前の馬鈴薯澱粉に多く含まれていたカリウム、ナトリウムは、処理後の馬鈴薯澱粉には認められなかった。2倍希釈、4倍希釈のミネラルウォーターで処理した馬鈴薯澱粉も、カルシウム含量がそれぞれ535 ppm、429 ppmと処理前の馬鈴薯澱粉と比べて明らかに増加した。また、カルシウム強化馬鈴薯澱粉は、最高粘度が明らかに低く、最高粘度以後のブレークダウンも低いため、膨潤しにくく収縮しにくいことが示唆された。本発明により、簡易、効率的にカルシウムが強化され粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉を生産できることが判る。
〔実施例2〕
実施例1で材料として用いた馬鈴薯澱粉(東部十勝農産加工農業協同組合連合会東部十勝澱粉工場製)100gを0.005〜0.5%塩化カルシウム(無水)溶液300mlに懸濁し、3時間、室温で放置後、上澄液を除去した。次いで、蒸留水300 mlに懸濁し、3時間、室温で放置後、上澄液を除去した。蒸留水懸濁・放置の操作をもう1度繰り返した後、吸引濾過を行い、室温で風乾した。得られた馬鈴薯澱粉のカルシウム含量、粘度特性について実施例1で示した方法で測定した。
表2に示すように、0.025%以上の塩化カルシウム溶液で処理した馬鈴薯澱粉は、処理前の馬鈴薯澱粉と比べて明らかにカルシウム含量が高く、最高粘度、ブレークダウンともに低くなった。したがって、塩化カルシウム溶液を用いた場合でも、簡易、効率的にカルシウムが強化され粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉を生産できることが判る。
〔実施例3〕
北海道で生産されている一般的な馬鈴薯澱粉(神野でんぷん工場株式会社、主たる原料馬鈴薯はコナフブキ)3kgを、0.38%塩化カルシウム溶液(食品用グレードの2水和物(CaCl2・2H2O)を用いた。)または0.1%水酸化カルシウム溶液5500mlに懸濁し、8時間、室温で放置後、上澄液を除去した。次いで、水道水3500 mlに懸濁し、8時間、室温で放置後、上澄液を除去した。0.1%水酸化カルシウム溶液で処理した澱粉のみについては、再度水道水3500 mlに懸濁し、8時間、室温で放置後、上澄液を除去した。沈殿したそれぞれの澱粉(水分約50%)は室温(25℃以下)で1.5日間自然乾燥した。比較例の澱粉はカルシウム含有溶液5500mlの替わりに水道水5500mlを用い、水道水3500 mlの洗浄を1回のみ行った後、上記の条件で自然乾燥したものとした。得られた馬鈴薯澱粉のミネラル含量、粘度特性について実施例1で示した方法で測定した。
表3に示すように、0.38%塩化カルシウム溶液及び0.1%水酸化カルシウム溶液で処理した馬鈴薯澱粉は、対照の馬鈴薯澱粉と比べて明らかにカルシウム含量が高く、最高粘度、ブレークダウンともに低くなった。したがって、塩化カルシウム溶液のみならず水酸化カルシウム溶液を用いた場合でも、簡易、効率的にカルシウムが強化され粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉を生産できることが判る。
〔実施例4〕
実施例4では、馬鈴薯澱粉と小麦粉との混合粉を用いたパウンドケーキ適性試験を行った。馬鈴薯澱粉として、実施例1で得られた未希釈のミネラルウォーターで調製されたカルシウム強化馬鈴薯澱粉(カルシウム含量813 ppm)と処理前の馬鈴薯澱粉(比較例)を用いた。もう一つの比較例として、馬鈴薯澱粉を全く含まない小麦粉100%で試験を実施した。表4に示す配合で以下に示す条件にてパウンドケーキを製造し、パウンドケーキ適性試験を行った。
・バターと卵は室温に戻しておく。
・バターと砂糖を入れて白っぽくなるまで良くホイップする。
・溶き卵を3回に分けて加え、その都度分離しないようによく混ぜる。
・粉とベーキングパウダーをふるいながら加え、しっかり混ぜ合わせる。
・内側にバターを塗った型に入れて、3cm程度の高さから落とし、空気を抜く。
・中央にくぼみを入れて、170℃に熱したオーブンで35分焼き、串をさして何も付着しないか確認する。
・型のまま冷やし、あら熱が取れたらビニール袋に入れて保存する。
焼成後のパウンドケーキについて、体積、高さ、重量を測定した。また、7人のパネラーにより、パウンドケーキの外観、色相、食感、食味の官能評価を、馬鈴薯澱粉を用いない比較例4を基準に以下の4段階で行った(パネラーの評価の平均を最終結論として表した。他の実施例においても同じ。)。
◎:大変良い(比較例4より優れる)、○:良い(比較例4と同じ)、△:ふつう(比較例4よりやや劣る) ×:悪い(比較例4よりかなり劣る)
下表に示すように、カルシウム強化馬鈴薯澱粉から製造したパウンドケーキは、処理前の馬鈴薯澱粉から製造したものと比較して、体積が大きく、高さも上回っていた。官能評価では、小麦粉のみのもの及び処理前の馬鈴薯澱粉を添加したものと比べ、色相、食感、風味において同等の結果が得られた。また、カルシウム強化馬鈴薯澱粉から製造したパウンドケーキは、外観においては、小麦粉のみのものと同等であったが、処理前の馬鈴薯澱粉を添加したものと比べると、優れた結果が得られた。以上の結果から、本発明のカルシウムが強化され粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉を用いることで、品質面において優れたパウンドケーキが得られることがわかる。
〔実施例5〕
実施例5では、実施例2で得られた0.5 %塩化カルシウム溶液で調製されたカルシウム強化馬鈴薯澱粉(カルシウム含量662 ppm)と処理前の馬鈴薯澱粉(比較例1)を用いて、表5に示す配合で以下に示す条件にて卵ボーロを製造し、卵ボーロ適性試験を行った。
・ボールに卵黄を入れ、粉砂糖を加えてよくかき混ぜる。
・上のボールにスキムミルク、馬鈴薯澱粉を加えて、ひとまとまりになるまでよく手で捏ねて混ぜ、耳たぶ程度の硬さにする。
・生地を1.3g程度の大きさにして、球形に丸める。
・180℃に温めておいたオーブンで8分間焼く。
・冷めたら湿気らないように注意して保存する。
得られた卵ボーロのカルシウム含量(湿重量当たり)を実施例1で示した方法で測定した。また、10人のパネラーにより、外観、色相、食感、風味の官能評価を、処理前の馬鈴薯澱粉(比較例1)を用いた比較例5を基準に下記の4段階で行った。
◎:大変良い(比較例5より優れる)、○:良い(比較例5と同じ)、△:ふつう(比較例5よりやや劣る) ×:悪い(比較例5よりかなり劣る)
表5に示すように、カルシウム強化馬鈴薯澱粉から製造した卵ボーロは、処理前の馬鈴薯澱粉から製造したものと比較して、カルシウム含量が若干高く、口溶け感が良かったため官能評価での食感において優れた結果が得られた。以上の結果から、本発明のカルシウムが強化され粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉を用いることで、品質面において優れた卵ボーロが得られることがわかる。
〔実施例6〕
実施例6では、馬鈴薯澱粉と小麦粉との混合粉を用いたクッキー適性試験を行った。馬鈴薯澱粉として、実施例2で得られた0.5 %塩化カルシウム溶液で調製されたカルシウム強化馬鈴薯澱粉(カルシウム含量662 ppm)と処理前の馬鈴薯澱粉(比較例)を用いた。もう一つの比較例として、馬鈴薯澱粉を全く含まない小麦粉100%で試験を実施した。表6に示す配合で以下に示す条件にてクッキーを製造し、クッキー適性試験を行った。
・ボールに無塩バターを入れてクリーム状にし、上白糖を加えて泡立て器ですり混ぜ、卵黄も加えて混ぜた後に、バニラオイルを加える。
・薄力粉をふるい入れて混ぜた後に、生地をこね、4等分にして直径2.5cm程度の棒状にする。
・生地をラップに包んで冷凍庫で約1時間休ませ、冷やして固める。途中で一度取り出し、形を整える。
・包丁で7mmの厚さに切断したものを天板に並べ、170℃に温めておいたオーブンで12分間焼く。
得られたクッキーのカルシウム含量(湿重量当たり)を実施例1で示した方法で測定した。また、10人のパネラーにより、外観、色相、食感、風味の官能評価を、馬鈴薯澱粉を用いない比較例7を基準に下記の4段階で行った。
◎:大変良い(比較例7より優れる)、○:良い(比較例7と同じ)、△:ふつう(比較例7よりやや劣る) ×:悪い(比較例7よりかなり劣る)
表6に示すように、カルシウム強化馬鈴薯澱粉から製造したクッキーは、小麦粉のみのもの及び処理前の馬鈴薯澱粉を添加したものと比較して、カルシウム含量が明らかに高かった。官能評価でも、小麦粉のみのものと比べると若干劣るが、馬鈴薯澱粉を添加したものと同等の結果が得られた。以上の結果から、本発明のカルシウムが強化され粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉を用いることで、品質面において優れたクッキーが得られることがわかる。
〔実施例7〕
実施例6では、馬鈴薯澱粉と小麦粉との混合粉を用いた製パン試験を行った。馬鈴薯澱粉として、実施例1で得られた未希釈のミネラルウォーターで調製されたカルシウム強化馬鈴薯澱粉(カルシウム含量813 ppm)を用い、もう一つの比較例として、馬鈴薯澱粉を全く含まない小麦粉100%で試験を実施した。表7に示す配合で以下に示す条件にてノータイム製パン法により山型食パンを製造し、製パン評価を行った。
・ミキシング:全原料をミキサーに入れ、ミキシングピーク時間後10秒程度後までミキシングする
・分割、丸目:ミキシングした生地を2分割、丸目
・べンチ :30℃、20分
・成型 :モルダー、シーターにて成型
・ホイロ :温度38℃、湿度85%、70分
・焼成 :200℃、25分
焼成したパンのカルシウム含量(湿重量当たり)を実施例1で示した方法で測定した。また9人のパネラーにより、香り、外観、内相、食感、食味の官能評価を、馬鈴薯澱粉を用いない比較例9を基準に下記の4段階で行った。
◎:大変良い(比較例9より優れる)、○:良い(比較例9と同じ)、△:ふつう(比較例9よりやや劣る) ×:悪い(比較例9よりかなり劣る)
表7に示すように、カルシウム強化馬鈴薯澱粉から製造したものは、小麦粉のみのもの及び処理前の馬鈴薯澱粉を添加したものと比較して、カルシウム含量が明らかに高かった。官能評価でも、小麦粉のみのものと比べると若干劣るが、馬鈴薯澱粉を添加したものと比べると外観において優れた結果が得られた。以上の結果から、本発明のカルシウムが強化され粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉を用いることで、品質面において優れたパンが得られることがわかる。
〔実施例8〕
実施例1で得られた未希釈のミネラルウォーターで調製されたカルシウム強化馬鈴薯澱粉(カルシウム含量813 ppm)と処理前の馬鈴薯澱粉(比較例)を用いて、鶏のから揚げを作り、から揚げ適性試験を行った。以下に、から揚げの作り方を示す。
・鶏もも肉 2枚(約600g)を大きめの一口大に切断し、酒大さじ2 、塩小さじ1、醤油大さじ1.5を加え、その都度しっかり揉み込み、30分〜1時間、冷蔵庫に入れる。
・別のビニール袋に馬鈴薯澱粉を入れ、上記の調味料でまぶした鶏もも肉について水分をきりながら加え、袋をふって馬鈴薯澱粉を全体にまぶす。
・170℃の油で揚げる。少し色が薄いところで一旦取り出し、2〜3分放置する。
・油の温度を200℃に上げ、上記の部分的に揚がったから揚げを戻し入れる。カラッと色良く揚がったら、油をよくきる。
また5人のパネラーにより、得られた鶏のから揚げの外観、食感、衣の付き具合の官能評価を、処理前の馬鈴薯澱粉(比較例1)を使用した比較例10を基準に下記の4段階で行った。
◎:大変良い(比較例10より優れる)、○:良い(比較例10と同じ)、△:ふつう(比較例10よりやや劣る) ×:悪い(比較例10よりかなり劣る)
行った。
表8に示すように、カルシウム強化馬鈴薯澱粉から製造した鶏の唐揚げは、処理前の馬鈴薯澱粉から製造したものと比較して、衣に厚みがあるため、官能評価での外観、衣の付き具合において優れた結果が得られた。以上の結果から、本発明のカルシウムが強化され粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉を用いることで、品質面において優れた鶏のから揚げが得られることがわかる。
〔実施例9〕
本発明のカチオン置換澱粉を用いた冷麺用麺の配合例を下記に示す。
この冷麺用麺は、例えば、各原料を混合し、混捏後、必要に応じ熟成させ、圧延して麺帯を形成して麺線に切り出すか、または押し出し機により押し出して、製造することができる。
〔実施例10〕
本発明のカチオン置換澱粉を用いた即席めん用(ノンフライタイプ)の麺の配合例を下記に示す。
この即席めん用の麺は、例えば、次のようにして製造することができる:食塩を水に溶解し、他の原料の混合物にこの溶解液を加えて、常圧ミキサーにて混練して麺生地を調製し、この麺生地をロール圧延機にかけて、麺帯とし、切刃 (丸) を通して、麺線とする。この麺線を蒸煮処理を施し、熱風乾燥処理をする。
〔実施例11〕
本発明のカチオン置換澱粉を用いた芋団子の配合例を下記に示す。
この芋団子は、例えば、次のようにして製造することができる:蒸して裏ごしした馬鈴薯に、馬鈴薯澱粉を添加し、湯を加える。これらを混合した後、綿棒で伸ばし、厚さ1.3 cm、直径3.3 cmの型にくり抜き、沸騰水中で3 分間茹で、茹で湯を切る。
〔実施例12〕
本発明のカチオン置換澱粉を用いた蒲鉾は、魚肉1kgに対して、本発明のカチオン置換澱粉5〜80gを用い、他の点については通常の蒲鉾と同様の配合で、製造することができる。また、カチオン置換澱粉を配合する段階および製造方法は、通常の蒲鉾の場合を参照することができる。
〔実施例13〕
本発明のカチオン置換澱粉を用いた中華丼の素(固形の具材を含むとろみのある液状加工食品であって、米飯の上に盛って喫食する。)は、出来上がり100gに対して、本発明のカチオン置換澱粉0.5〜10gを用い、他の点については通常の場合と同様の配合で、製造することができる。また、カチオン置換澱粉を配合する段階および製造方法は、通常の中華丼の具の場合を参照することができる。
〔実施例14〕
実施例1で材料として用いた馬鈴薯澱粉(東部十勝農産加工農業協同組合連合会東部十勝澱粉工場製)100gを0.02〜2%塩化マグネシウム6水和物(MgCl2・6H2O)溶液300mlに懸濁し、3時間、室温で放置後、上澄液を除去した。次いで、蒸留水300 mlに懸濁し、3時間、室温で放置後、上澄液を除去した。蒸留水懸濁・放置の操作をもう1度繰り返した後、吸引濾過を行い、室温で風乾した。得られた馬鈴薯澱粉のマグネシウム含量、粘度特性について実施例1で示した方法で測定した。
表12に示すように、0.1%以上の塩化マグネシウム溶液で処理した馬鈴薯澱粉は、処理前の馬鈴薯澱粉と比べて明らかにマグネシウム含量が高く、最高粘度、ブレークダウンともに低くなった。したがって、塩化マグネシウム溶液を用いることで、簡易、効率的にマグネシウムが強化され、粘度特性が改変された馬鈴薯澱粉を生産できることが判る。

Claims (6)

  1. リン含量760ppm以上の馬鈴薯澱粉を原料とする、20 mmol/kg以上の2価のカチオンを含み、ラピッドビスコアナライザー(RVA)による最高粘度が250RVU以下、およびブレークダウンが160RVU以下である、カチオン置換澱粉であって、
    2価のカチオンが、カルシウムイオンである、カチオン置換澱粉。
  2. 請求項1に記載のカチオン置換澱粉を用いた、冷麺用の麺、パン類、または菓子類。
  3. リン含量600ppm以上の馬鈴薯澱粉を原料とし、10 mmol/kg以上の2価のカチオンを含み、ラピッドビスコアナライザー(RVA)による最高粘度が250RVU以下、およびブレークダウンが160RVU以下に改質されたカチオン置換澱粉であって2価のカチオンがカルシウムイオンであるカチオン置換澱粉を得るようにカチオン置換処理する工程を含む、改質馬鈴薯澱粉の製造方法であって、
    カチオン置換処理が、原料馬鈴薯澱粉を2価のカチオン濃度が5 mmol/L以上の水溶液に浸漬することを含む、製造方法。
  4. 浸漬が、原料馬鈴薯澱粉1重量部(乾燥重量基準)に対して、2価のカチオンの水溶液1〜100重量部を用いて行われる、請求項3に記載の製造方法。
  5. 2価のカチオンの水溶液が、塩化カルシウムの水溶液である、請求項3または4に記載の製造方法。
  6. リン含量600ppm以上の馬鈴薯澱粉を原料とし、10 mmol/kg以上の2価のカチオンを含み、ラピッドビスコアナライザー(RVA)による最高粘度が250RVU以下、およびブレークダウンが160RVU以下であるカチオン置換澱粉であって2価のカチオンがカルシウムイオンであるカチオン置換澱粉を用いる、菓子類の品質の改良方法。
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