JP6589446B2 - 積層コイル部品 - Google Patents

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Description

本発明は、積層コイル部品に関する。
特許文献1に記載されているように、互いに対向している一対の端面と、一対の端面の間を連結するように延びており且つ互いに対向している一対の主面と、一対の主面の間を連結するように延びており且つ互いに対向している一対の側面と、を有する素体と、素体内に配置されており且つ一対の主面の対向方向の軸心を有するコイル導体と、素体内に配置されており且つコイル導体の一端及び他端にそれぞれ接続されている一対の引出導体と、を備えた積層コイル部品が知られている。コイル導体は、コイルパターンユニットを複数含んでいる。コイルパターンユニットは、三つのコイルパターンの一部同士が軸心の方向から見て互いに重複され且つ直接接続されている。
特開2010−171202号公報
上記特許文献1に記載された積層コイル部品において、コイル導体は、単独のコイルパターンに比べて大きな断面積を有するコイルパターンユニットが、スルーホール導体を介することなく連続して複数接続されることにより形成されている。このため、環境温度の変化等に応じてコイル導体が熱収縮することに起因する応力(以下、「熱応力」ともいう)が、コイル導体の一端及び他端にそれぞれ接続されている各引出導体に集中してしまう。各引出導体に熱応力が集中すると、引出導体の外部端子との接続箇所が切断されてしまう可能性がある。
そこで、本発明は、コイル導体の断面積が大きい場合であっても、熱応力が各引出導体に集中することを抑制することができる積層コイル部品を提供することを目的とする。
本発明に係る積層コイル部品は、互いに対向している一対の端面と、一対の端面の間を連結するように延びており且つ互いに対向している一対の主面と、一対の主面の間を連結するように延びており且つ互いに対向している一対の側面と、を有する素体と、素体内に配置されているコイル導体と、素体内に配置されており、コイル導体の一端及び他端にそれぞれ接続されている一対の引出導体と、を備え、コイル導体の軸心が伸びている軸心方向は、一対の主面の対向方向に一致しており、コイル導体は、少なくとも一つのコイルパターンユニットと、複数のスルーホール導体と、を有しており、コイルパターンユニットは、第一部分と、第一部分の一端及び他端からそれぞれ伸びていると共に、軸心方向で離間しており且つ軸心方向から見て互いに重なり合っている一対の第二部分と、を含んでおり、第一部分の軸心方向での厚みは、各第二部分の軸心方向での厚みよりも大きく、複数のスルーホール導体は、各第二部分に一つずつ接続されて軸心方向に直線状に並んでおり、複数のスルーホール導体には、軸心方向で隣り合っている各第二部分と各引出導体との間にそれぞれ位置している二つの端部側スルーホール導体が少なくとも含まれており、軸心方向で隣り合っている各第二部分と各引出導体とは、各端部側スルーホール導体を介して互いに接続されている。
本発明に係る積層コイル部品では、コイルパターンユニットに含まれている第一部分の軸心方向での厚みが、各第二部分の軸心方向での厚みよりも大きい。よって、コイルパターンユニットが各第二部分のみで構成されている場合に比べて、コイルパターンユニットの軸心方向での厚みが大きい。コイル導体は、このような厚いコイルパターンユニットを有しているため、その断面積が大きい。ここで、軸心方向で隣り合っている各第二部分と各引出導体とは、その間に位置している各端部側スルーホール導体を介して互いに接続されているため、熱応力を各端部側スルーホール導体へ分散させ、各引出導体に熱応力が集中しないようにすることができる。さらに、複数のスルーホール導体は、各第二部分に一つずつ接続されて軸心方向に直線状に並んでいるため、各第二部分と各引出導体との間を接続している各端部側スルーホール導体の接続性を高めることができる。これにより、各端部側スルーホール導体へ熱応力を分散させた場合の各端部側スルーホール導体の脆弱性を担保することができる。以上より、コイル導体の断面積が大きい場合であっても、熱応力が各引出導体に集中することを抑制することができる。
本発明に係る積層コイル部品において、コイル導体は、コイルパターンユニットを複数有しており、複数のスルーホール導体には、軸心方向で隣り合っている各コイルパターンユニットの間に位置している少なくとも一つの中間スルーホール導体が含まれており、軸心方向で隣り合っている各コイルパターンユニットの間は、中間スルーホール導体を介して互いに接続されていてもよい。この場合、軸心方向で隣り合っている各コイルパターンユニットの間に位置している各中間スルーホール導体に熱応力を分散させることができる。さらに、複数のスルーホール導体は、各第二部分に一つずつ接続されて軸心方向に直線状に並んでいるため、各コイルパターンユニットの間を接続している各中間スルーホール導体の接続性を高めることができる。これにより、各中間スルーホール導体へ熱応力を分散させた場合の各中間スルーホール導体の脆弱性を担保することができる。よって、複数のコイルパターンユニットを有している場合であっても、各中間スルーホール導体へ熱応力を分散させた場合の各中間スルーホール導体の脆弱性を担保しつつ、各中間スルーホール導体に熱応力を分散させることができる。その結果、熱応力が各引出導体に集中することを確実に抑制することができる。
本発明に係る積層コイル部品において、第一部分は、軸心方向で互いに隣り合って接しており且つ軸心方向から見て重なり合っている少なくとも三つのコイルパターンにより構成されており、第二部分は、軸心方向で互いに離間しており且つ軸心方向から見て互いに重なり合っている少なくとも二つのコイルパターンにより構成されていてもよい。この場合、コイルパターンユニットを簡易に構成することができる。
本発明によれば、コイル導体の断面積が大きい場合であっても、熱応力が各引出導体に集中することを抑制することができる積層コイル部品が提供される。
本発明の第1実施形態に係る積層コイル部品を示す斜視図である。 図1に示す積層コイル部品の分解斜視図である。 図2のIII-III線に沿った断面図である。 各コイルユニットパターンの構成を示す斜視図である。 各スルーホール導体の位置関係の一例を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1〜図5を参照して、本発明の一実施形態に係る積層コイル部品を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る積層コイル部品を示す斜視図である。図2は、図1に示す積層コイル部品の分解斜視図である。図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。図4は、各コイルユニットパターンの構成を示す斜視図である。
図1に示されるように、積層コイル部品1は、素体2と、素体2の両端部にそれぞれ配置された一対の外部電極4,5と、を備えている。
素体2は、直方体形状を呈している。素体2は、その外表面として、互いに対向する一対の端面2a,2bと、一対の端面2a,2bの間を連結するように延びており且つ互いに対向している一対の主面2c,2dと、一対の主面2c,2dの間を連結するように延びており且つ互いに対向している一対の側面2e,2fと、を有している。主面2dは、例えば積層コイル部品1を図示しない他の電子機器(例えば、回路基板、又は、電子部品等)に実装する際、他の電子機器と対向する面として規定される。
各端面2a,2bの対向方向(図中のX方向)と、各主面2c,2dの対向方向(図中のZ方向)と、各側面2e,2fの対向方向(図中のY方向)とは、互いに略直交している。なお、直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。
素体2は、複数の絶縁体層が積層されることによって構成されている。各絶縁体層は、素体2の各主面2c,2dの対向方向(図中のZ方向)に積層されている。すなわち、各絶縁体層の積層方向は、素体2の各主面2c,2dの対向方向と一致している。以下、各主面2c,2dの対向方向を「積層方向」ともいう。各絶縁体層は、略矩形形状を呈している。実際の素体2では、各絶縁体層は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されている。
各絶縁体層は、例えばストロンチウム、カルシウム、アルミナ及び酸化珪素からなるガラスと、アルミナとからなるガラス系セラミックから構成されている。各絶縁体層は、フェライト(Ni−Cu−Zn系フェライト、Ni−Cu−Zn−Mg系フェライト、Cu−Zn系フェライト、又はNi−Cu系フェライトなど)から構成されていてもよく、一部の絶縁体層は、非磁性フェライトから構成されていてもよい。
外部電極4は、素体2の端面2aに配置されており、外部電極5は、素体2の端面2bに配置されている。すなわち、各外部電極4,5は、一対の端面2a,2bの対向方向に互いに離間して位置している。各外部電極4,5は、平面視で略矩形形状を呈しており、その角が丸められている。各外部電極4,5は、導電材(例えば、Ag又はPd等)を含んでいる。各外部電極4,5は、導電性金属粉末(例えば、Ag粉末又はPd粉末等)及びガラスフリットを含む導電性ペーストの焼結体として構成される。各外部電極4,5には、電気めっきが施されることにより、その表面にはめっき層が形成されている。電気めっきには、例えばNi、Sn等が用いられる。
外部電極4は、端面2a上に位置する電極部分4aと、主面2d上に位置する電極部分4bと、主面2c上に位置する電極部分4cと、側面2e上に位置する電極部分4dと、側面2f上に位置する電極部分4eと、の5つの電極部分を含んでいる。電極部分4aは、端面2aの全面を覆っている。電極部分4bは、主面2dの一部を覆っている。電極部分4cは、主面2cの一部を覆っている。電極部分4dは、側面2eの一部を覆っている。電極部分4eは、側面2fの一部を覆っている。5つの電極部分4a,4b,4c,4d,4eは、一体的に形成されている。
外部電極5は、端面2b上に位置する電極部分5aと、主面2d上に位置する電極部分5bと、主面2c上に位置する電極部分5cと、側面2e上に位置する電極部分5dと、側面2f上に位置する電極部分5eと、の5つの電極部分を含んでいる。電極部分5aは、端面2bの全面を覆っている。電極部分5bは、主面2dの一部を覆っている。電極部分5cは、主面2cの一部を覆っている。電極部分5dは、側面2eの一部を覆っている。電極部分5eは、側面2fの一部を覆っている。5つの電極部分5a,5b,5c,5d,5eは、一体的に形成されている。
図2及び図3に示されるように、積層コイル部品1は、コイル導体10と、一対の引出導体12,14と、を素体2内に備えている。なお、図2及び図3では、素体2及び外部電極4,5の図示を省略している。
コイル導体10の軸心が伸びている軸心方向は、主面2c,2dの対向方向(図中のZ方向)に一致している。すなわち、コイル導体10の軸心は、積層方向に伸びている。以下、コイル導体10の軸心が伸びている方向を単に「軸心方向」ともいう。軸心方向で主面2cに近い側(図中のZ方向の一方側)を「軸心方向の上側」ともいい、軸心方向で主面2dに近い側(図中のZ方向の他方側)を「軸心方向の下側」ともいう。
コイル導体10は、少なくとも一つ(ここでは、三つ)のコイルパターンユニット20A,20B,20Cと、複数(ここでは、四つ)のスルーホール導体30と、を有している。以下、コイルパターンユニット20A,20B,20Cを単に「ユニット20A,20B,20C」ともいう。ユニット20A,20B,20Cは、軸心方向に互いに離間して配置されている。各ユニット20A,20B,20Cは、軸心方向に連続して並んでいる。各ユニット20A,20B,20Cは、軸心方向の下側からユニット20C、ユニット20B、及びユニット20Aの順に並んでいる。
各ユニット20A,20B,20Cは、複数(ここでは、三つ)のコイルパターン21,22,23を含んでいる。各コイルパターン21〜23は、軸心方向で隣り合っている。各コイルパターン21〜23は、軸心方向の下側から順に、コイルパターン23、コイルパターン21、及びコイルパターン22の順で積層されている。図4を参照して、各ユニット20A,20B,20Cの構成を詳細に説明する。
図4に示されるように、コイルパターン21は、略C字状に伸びており、互いに接続されていない端部21a,21bを有している。コイルパターン21の端部21aと端部21bとは、互いに離間している。コイルパターン21は、軸心方向の上側で隣り合っているコイルパターン22と、軸心方向の下側で隣り合っているコイルパターン23とに挟まれている。コイルパターン21は、軸心方向から見て、各コイルパターン22,23と重なり合っている。コイルパターン21は、コイルパターン22,23に比べて短いコイルパターン長さを有している。
コイルパターン22は、コイルパターン21に対して軸心方向の上側に隣接している。コイルパターン22は、略C字状に伸びており、互いに接続されていない端部22a,22bを有している。コイルパターン22の端部22aと端部22bとは、互いに離間している。コイルパターン22の各端部22a,22b同士の離間間隔は、コイルパターン21の各端部21a,21b同士の離間間隔よりも小さい。
コイルパターン22は、コイルパターン21に沿った形状を有しており、且つ、その端部22bがコイルパターン21の端部21bよりも突出している。すなわち、コイルパターン22は、コイルパターン21に比べて長いコイルパターン長さを有している。コイルパターン22は、軸心方向から見て、コイルパターン21に重なり合う重複部22cと、コイルパターン21に重なり合わない単独部22dと、を有している。単独部22dは、軸心方向から見て、コイルパターン21の端部21b及びコイルパターン23の端部23bから突出するように、重複部22cから伸びている。
コイルパターン23は、コイルパターン21に対して軸心方向の下側で隣接している。コイルパターン23は、略C字状に伸びており、互いに接続されていない端部23a,23bを有している。コイルパターン23の端部23aと端部23bとは、互いに離間している。コイルパターン23の端部23a,23b同士の離間間隔は、コイルパターン21の端部21a,21b同士の離間間隔よりも小さい。
コイルパターン23は、コイルパターン21に沿った形状を有しており、且つ、その端部23aがコイルパターン21の端部21aよりも突出している。すなわち、コイルパターン23は、コイルパターン21に比べて長いコイルパターン長さを有している。コイルパターン23は、軸心方向から見て、コイルパターン21に重なり合う重複部23cと、コイルパターン21に重なり合わない単独部23dと、を有している。単独部23dは、軸心方向から見て、コイルパターン21の端部21a及びコイルパターン22の端部22aから突出するように、重複部23cから伸びている。
コイルパターン21と、コイルパターン22の重複部22cと、コイルパターン23の重複部23cとは、軸心方向で隣り合って接しており、軸心方向から見て重なり合っている。コイルパターン21と、コイルパターン22の重複部22cと、コイルパターン23の重複部23cとは、互いに積層圧着されており、第一部分25を構成している。すなわち、各コイルパターン21〜23によって、軸心方向で隣接し且つ軸心方向から見て重なり合っている第一部分25が構成されている。これにより、各ユニット20A,20B,20Cには、第一部分25が含まれている。第一部分25は、各コイルパターン21〜23の断面積よりも大きな断面積を有している。
コイルパターン22の単独部22dと、コイルパターン23の単独部23dとは、軸心方向で互いに離間して対向している部分を有しており、一対の第二部分26,27を構成している。すなわち、各コイルパターン22,23によって、軸心方向で互いに離間しており且つ軸心方向から見て重なり合っている一対の第二部分26,27が構成されている。これにより、各ユニット20A,20B,20Cには、一対の第二部分26,27が含まれている。各第二部分26,27は、コイルパターン21の軸心方向での厚み分の間隔を有して離間している。
第二部分26は、第一部分25の一端から伸びており、第二部分27は、第一部分25の他端から伸びている。第一部分25の軸心方向での厚みは、各第二部分26,27の軸心方向での厚みよりも大きい。すなわち、第一部分25の断面積は、各第二部分26,27の断面積よりも大きい。
図2及び図3に示されるように、複数のスルーホール導体30には、軸心方向で隣り合っている各第二部分26、27と各引出導体12,14との間にそれぞれ位置している二つの端部側スルーホール導体31,34と、軸心方向で隣り合っている各ユニット20A,20B,20Cの間に位置している少なくとも一つ(ここでは二つ)の中間スルーホール導体32,33とが含まれている。
端部側スルーホール導体31は、ユニット20Aと引出導体12との間に位置している。中間スルーホール導体32,33は、各ユニット20A,20B,20C同士の間に位置している。端部側スルーホール導体34は、ユニット20Cと引出導体14との間に位置している。各ユニット20A,20B,20C同士の間に位置している各中間スルーホール導体32,33を介して、各ユニット20A,20B,20Cの間が接続されている。具体的に、ユニット20Aの第二部分27とユニット20Bの第二部分26とが、中間スルーホール導体32を介して接続されている。ユニット20Bの第二部分27とユニット20Cの第二部分26とが、中間スルーホール導体33を介して接続されている。これにより、素体2内に、コイル導体10が構成されている。
ユニット20Aと引出導体12との間に位置している端部側スルーホール導体31を介して、ユニット20Aが引出導体12に接続されている。具体的に、ユニット20Aの第二部分26が、端部側スルーホール導体31を介して引出導体12の端部12aに接続されている。ユニット20Aの第二部分26及びこの第二部分26に接続されている端部側スルーホール導体31は、コイル導体10の一端を構成している。すなわち、コイル導体10の一端は、引出導体12に接続されている。
ユニット20Cと引出導体14との間に位置している端部側スルーホール導体34を介して、ユニット20Cが引出導体14に接続されている。具体的に、ユニット20Cの第二部分27が、端部側スルーホール導体34を介して引出導体14の端部14aに接続されている。ユニット20Cの第二部分27及びこの第二部分27に接続されている端部側スルーホール導体34は、コイル導体10の他端を構成している。すなわち、コイル導体10の他端は、引出導体14に接続されている。
各スルーホール導体30(ここでは、端部側スルーホール導体31,34及び中間スルーホール導体32,33)は、素体2の端面2a,2bの対向方向(図中のX軸方向)で素体2の略中心に位置している。各スルーホール導体30は、各第二部分26,27に一つずつ接続されており、且つ、軸心方向に直線状に並んでいる。ここで、軸心方向に直線状に並んでいるとは、例えば軸心方向から見て各スルーホール導体30の中心軸が略一致するように並んでいることをいう。軸心方向から見て各スルーホール導体30の中心軸が略一致するように並んでいるとは、軸心方向から見て各スルーホール導体30の中心軸が完全に一致している場合だけでなく、例えば軸心方向から見て各スルーホール導体30の中心軸が多少ずれている場合も含む。具体的には、図5を参照して説明する。
図5は、各スルーホール導体30の位置関係の一例を示す図である。図5の(a)は、軸心方向で隣り合っている各スルーホール導体30の断面図を示し、図5の(b)は、各スルーホール導体30の上面図を示している。図5に示されるように、軸心方向に直線状に並んでいるとは、例えば軸心方向から見て各スルーホール導体30の中心軸A1,A2がずれていてもよく、少なくとも軸心方向から見て各スルーホール導体30が重なり合っている部分30Aに各スルーホール導体の中心軸A1,A2が含まれているように位置していればよい。軸心方向から見て各スルーホール導体30が重なり合っている部分30Aとは、各スルーホール導体30の端部30a及び端部30bの少なくとも一方同士が互いに重なり合っている部分である。
なお、図5では、後述するレーザ加工によって各スルーホール導体30が形成された場合を示しており、軸心方向で一方側の端部30bの径が、軸心方向で他方側の端部30aの径よりも大きくなっている。例えば、端部30aの径が80μm程度であるのに対し、端部30bの径が100μm程度となっている。このように、各スルーホール導体30の端部30aと端部30bとが互いに異なる径を有する場合、軸心方向から見て各スルーホール導体30が重なり合っている部分30Aとは、例えばより小さい径を有する端部30a同士が重なり合っている部分である。
図2及び図3に示されるように、引出導体12と引出導体14とは、軸心方向でコイル導体10を介して配置されている。各引出導体12,14は、コイル導体10の一端及び他端にそれぞれ接続されている。引出導体12,14の断面積は、各ユニット20A,20B,20Cにおける第一部分25の断面積と略同じ大きさである。
引出導体12は、ユニット20Aよりも軸心方向の上側に位置している。これにより、引出導体12は、軸心方向でユニット20Aの第二部分26と隣り合っている。引出導体12は、端部側スルーホール導体31を介してユニット20Aの第二部分26に接続されている端部12aと、素体2の端面2aに露出しており且つ端面2aを覆う外部電極4の電極部分4aに接続されている端部12bと、を有している。引出導体12は、その端部12aが端部側スルーホール導体31を介してユニット20Aの第二部分26に接続されていることにより、コイル導体10の一端に接続されている。引出導体12は、その端部12bが電極部分4aに接続されていることにより、外部電極4に接続されている。これにより、引出導体12を介して、コイル導体10の一端と外部電極4とが接続されている。
引出導体14は、ユニット20Cよりも軸心方向の下側に位置している。これにより、引出導体14は、軸心方向でユニット20Cの第二部分27と隣り合っている。引出導体14は、端部側スルーホール導体34を介してユニット20Cの第二部分27に接続されている端部14aと、素体2の端面2bに露出しており且つ端面2bを覆う外部電極5の電極部分5aに接続されている端部14bと、を有している。引出導体14は、その端部14aが端部側スルーホール導体34を介してユニット20Cの第二部分27に接続されていることにより、コイル導体10の他端に接続されている。引出導体14は、その端部14bが電極部分5aに接続されていることにより、外部電極5に接続されている。これにより、引出導体14を介して、コイル導体10の他端と外部電極5とが接続されている。
引出導体12と引出導体14とは、略同じ形状を有している。引出導体12は、素体2の側面2e,2fの対向方向に沿ったY軸回りに180度回転させると、引出導体14と略重なり合う形状を有している。すなわち、引出導体12と引出導体14とは、点対称となっている。よって、素体2をY軸回りに180度回転させ、主面2cと主面2dとを反対にしても、素体2内の形状は、回転させる前の素体2内の形状と略一致する。すなわち、素体2は、回転対称性を有している。
積層コイル部品1において、各コイルパターン21〜23、各引出導体12,14、及び各スルーホール導体30は、例えば導電性材料(例えば、Ag又はPd等)を含んでいる。各コイルパターン21〜23、各引出導体12,14、及び各スルーホール導体30は、上記導電性材料を含むペーストパターンの焼結体として構成されている。
積層コイル部品1は、例えば次のようにして製造されている。まず、各コイルパターン21〜23、各引出導体12,14、及び各スルーホール導体30を構成することとなるペーストパターンが形成されたグリーンシートを準備する。各コイルパターン21〜23及び各引出導体12,14を構成することとなるペーストパターンは、例えばグリーンシートを打抜いて各コイルパターン21〜23及び各引出導体12,14に対応する所定形状のくり貫き部を形成し、当該くり貫き部に上記の導電性材料を主成分とする導電性ペーストを充填することによって形成される。各スルーホール導体30を構成することとなるペーストパターンは、レーザ加工又はパンチによる機械加工等により、グリーンシートに貫通孔を形成し、当該貫通孔に上記の導電性材料を主成分とする導電性ペーストを充填することにより行う。
続いて、各ペーストパターンが形成されたグリーンシートを順次積層させ、圧着する。この際、貫通孔が積層方向に直線状に並べられており、高い圧力での積層圧着が可能となる。このような高い圧力での積層圧着により、焼成後のスルーホール導体30の接続性が向上する。すなわち、各第二部分26,27と各引出導体12,14とを接続している端部側スルーホール導体31,34の接続性、及び、各ユニット20A,20B,20Cの間を接続している中間スルーホール導体32,33の接続性が向上する。続いて、個々の積層コイル部品1の大きさになるように積層体を切断する。これにより、グリーンシートの積層体が切断されて各グリーンチップが得られる。続いて、得られたグリーンチップのバレル研磨を行う。これにより、角部又は稜線が丸められたグリーンチップが得られる。
続いて、バレル研磨されたグリーンチップを所定の条件で焼成する。これより、グリーンチップは、素体2となる。各ペーストパターンの焼結体として、各コイルパターン21〜23、各引出導体12,14、及び各スルーホール導体30が構成される。すなわち、素体2内に、各コイルパターン21〜23、各引出導体12,14、及び各スルーホール導体30が備えられた中間体が得られる。
続いて、素体2に外部電極4,5用の導電性ペーストを塗布し、所定条件にて熱処理を行い、外部電極4,5を焼付形成する。その後、外部電極4,5の表面にめっきを施す。以上のようにして、積層コイル部品1が得られる。
以上、本実施形態に係る積層コイル部品1によれば、各ユニット20A,20B,20Cに含まれている第一部分25の軸心方向での厚みが、各第二部分26、27の軸心方向での厚みよりも大きい。よって、各ユニット20A,20B,20Cが各第二部分のみで構成されている場合に比べて、各ユニット20A,20B,20Cの軸心方向での厚みが大きい。コイル導体10は、このような厚い各ユニット20A,20B,20Cを有しているため、その断面積が大きい。ここで、軸心方向で隣り合っている各第二部分26,27と各引出導体12,14とは、その間に位置している端部側スルーホール導体31,34を介して互いに接続されているため、熱応力を各端部側スルーホール導体31,34へ分散させ、各引出導体12,14に熱応力が集中しないようにすることができる。さらに、端部側スルーホール導体31,34を含んでいる各スルーホール導体30は、各第二部分26,27に一つずつ接続されて軸心方向に直線状に並んでいるため、各第二部分26,27と各引出導体12,14との間を接続している各端部側スルーホール導体31,34の接続性を高めることができる。これにより、各端部側スルーホール導体31,34へ熱応力を分散させた場合の各端部側スルーホール導体31,34の脆弱性を担保することができる。以上より、コイル導体10の断面積が大きい場合であっても、熱応力が各引出導体12,14に集中することを抑制することができる。
積層コイル部品1によれば、軸心方向で隣り合っている各ユニット20A,20B,20Cの間に位置している各中間スルーホール導体32,33に熱応力を分散させることができる。さらに、中間スルーホール導体32,33を含んでいる複数のスルーホール導体30は、各第二部分26,27に一つずつ接続されて軸心方向に直線状に並んでいるため、各ユニット20A,20B,20Cの間を接続している各中間スルーホール導体32,33の接続性を高めることができる。これにより、各中間スルーホール導体32,33へ熱応力を分散させた場合の各中間スルーホール導体32,33の脆弱性を担保することができる。よって、複数のユニット20A,20B,20Cを有している場合であっても、各中間スルーホール導体32,33へ熱応力を分散させた場合の各中間スルーホール導体32,33の脆弱性を担保しつつ、熱応力が各引出導体12,14に集中することを確実に抑制することができる。
積層コイル部品1によれば、第一部分25が、三つのコイルパターン21〜23により構成されており、第二部分26,27が、二つのコイルパターン22,23により構成されている。これにより、各ユニット20A,20B、20Bを簡易に構成することができる。
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他に適用してもよい。
例えば、上記実施形態では、コイル導体10が三つのユニット20A,20B,20Cを有しているとしたが、これに限られない。コイル導体10は、少なくとも一つのコイルパターンユニットを有していればよい。
上記実施形態では、各コイルパターンユニットには、三つのコイルパターンが含まれているとしたが、これに限られない。例えば、各コイルパターンユニットには、三つ以上のコイルパターンが含まれていてもよい。また、各コイルパターンユニットが一体成形されていてもよい。
上記実施形態では、コイル導体10が四つのスルーホール導体30を有しているとしたが、これに限られない。コイル導体10は、少なくとも二つのスルーホール導体30を有していればよい。すなわち、複数のスルーホール導体30には、軸心方向で隣り合っている各第二部分26、27と各引出導体12,14との間にそれぞれ位置している二つの端部側スルーホール導体31,34が少なくとも含まれていればよい。
上記実施形態では、引出導体12と引出導体14とが略同じ形状を有しているとしたが、これに限られない。例えば、引出導体12と引出導体14とは、互いに異なる形状を有していてもよい。すなわち、素体2は、回転対称性を有していなくてもよい。
各コイルパターン21〜23の幅が狭い場合には、各第二部分26,27にパッドを形成し、当該パッドを介して各第二部分26,27に各スルーホール導体30を接続してもよい。
積層コイル部品1の製造方法は、上記実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、各コイルパターン21〜23、各引出導体12,14、及び各スルーホール導体30を構成することとなる各ペーストパターンが形成されたグリーンシートを順次積層しているが、これに限られず、各ペーストパターンに対応する空間部を有するグリーンシートの印刷と各ペーストパターンの印刷とを繰り返してもよい。例えば、各コイルパターン21〜23を構成することとなる各ペーストパターンは、次のようにして形成されてもよい。まず、コイルパターン21を構成することとなるペーストパターンに対応する空間部を有するグリーンシートを印刷し、当該空間部に導電性材料を充填して、コイルパターン21を構成することとなるペーストパターンを形成する。続いて、コイルパターン21が形成されたグリーンシート上に、コイルパターン22を構成することとなるペーストパターンに対応する空間部を有するグリーンシートを印刷し、当該空間部に導電性材料を充填して、コイルパターン22を構成することとなるペーストパターンを形成する。続いて、コイルパターン22が形成されたグリーンシート上に、コイルパターン23を構成することとなるペーストパターンに対応する空間部を有するグリーンシートを印刷し、当該空間部に導電性材料を充填して、コイルパターン23を構成することとなるペーストパターンを形成する。このように、ペーストパターンに対応する空間部を有するグリーンシートの印刷と各ペーストパターンの印刷とを繰り返すことにより、各コイルパターン21〜23を構成することとなるペーストパターンを形成してもよい。
1…積層コイル部品、2…素体、2a,2b…端面、2c,2d…主面、2e,2f…側面、10…コイル導体、12,14…引出導体、20A,20B,20C…ユニット、21〜23…コイルパターン、25…第一部分、26,27…第二部分、30…スルーホール導体、31,34…端部側スルーホール導体、32,33…中間スルーホール導体。

Claims (2)

  1. 互いに対向している一対の端面と、前記一対の端面の間を連結するように延びており且つ互いに対向している一対の主面と、前記一対の主面の間を連結するように延びており且つ互いに対向している一対の側面と、を有する素体と、
    前記素体内に配置されているコイル導体と、
    前記素体内に配置されており、前記コイル導体の一端及び他端にそれぞれ接続されている一対の引出導体と、を備え、
    前記コイル導体の軸心が伸びている軸心方向は、前記一対の主面の対向方向に一致しており、
    前記コイル導体は、少なくとも一つのコイルパターンユニットと、複数のスルーホール導体と、を有しており、
    前記コイルパターンユニットは、第一部分と、前記第一部分の一端及び他端からそれぞれ伸びていると共に、前記軸心方向で離間しており且つ前記軸心方向から見て互いに重なり合っている一対の第二部分と、を含んでおり、
    前記第一部分は、前記軸心方向で互いに隣り合って接しており且つ前記軸心方向から見て重なり合っている少なくとも三つのコイルパターンにより構成され、
    前記第二部分は、前記軸心方向で互いに離間しており且つ前記軸心方向から見て互いに重なり合っている少なくとも二つのコイルパターンにより構成され、
    前記第一部分の前記軸心方向での厚みは、各前記第二部分の前記軸心方向での厚みよりも大きく、
    前記複数のスルーホール導体は、各前記第二部分に一つずつ接続されて前記軸心方向に直線状に並んでおり、
    前記複数のスルーホール導体には、前記軸心方向で隣り合っている各前記第二部分と各前記引出導体との間にそれぞれ位置している二つの端部側スルーホール導体が少なくとも含まれており、
    前記軸心方向で隣り合っている各前記第二部分と各前記引出導体とは、各前記端部側スルーホール導体を介して互いに接続されている、積層コイル部品。
  2. 前記コイル導体は、コイルパターンユニットを複数有しており、
    前記複数のスルーホール導体には、前記軸心方向で隣り合っている各前記コイルパターンユニットの間に位置している少なくとも一つの中間スルーホール導体が含まれており、 前記軸心方向で隣り合っている各前記コイルパターンユニットの間は、前記中間スルーホール導体を介して互いに接続されている、請求項1に記載の積層コイル部品。
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