図24Aは、従来の半導体レーザ装置の例を示す模式図であり、図24Bは、図24AのA−A線断面図である。図24Aおよび図24Bに示す半導体レーザ装置50は、通常、キャンパッケージタイプ(TO−CAN)と称するものである。図24Aおよび図24Bにおいて、符号50は半導体レーザ装置、符号51は半導体レーザ、符号53はステムベース、符号55はステムブロック、符号55aはステムブロックの側面、符号57は絶縁部材、符号59はキャップ、符号61はガラス板(窓)、符号63はリードピンを表している。
半導体レーザ装置50では、半導体レーザ51が駆動するときに高温になることから、装置全体で放熱性を高める構造が必要になってくる。このためキャンパッケージタイプでは、図24Aおよび図24Bに示すように、金属製のステムベース53上に、これも金属製のステムブロック55を設け、ステムブロック55には熱伝導率の高いセラミック部材からなる絶縁部材57を貼り付けた構造を採用している。
ところが、図24Aおよび図24Bに示した半導体レーザ装置50の場合、ステムブロック55の一方側の側面55aに半導体レーザ51を配置させる構造であるため、半導体レーザ51の位置をステムベース53の中央に配置させようとすると、半導体レーザ51が接着されているステムブロック55の側面55a側は、空間65を設ける必要があり、不必要にサイズの大きい構造となっている。
従って、本開示は、高放熱性かつ小型化を可能にする発光素子収納用部材、アレイ部材および発光装置を提供することを目的とする。
<第1実施形態および第2実施形態>
以下に例示する発光素子収納用部材は、半導体レーザ(レーザダイオードとも言う。)を例とする発光素子を一方の面に接着する平板型の形状とは異なり、発光素子を内部に設けた空間に配置するタイプを網羅するものである。従って、以下に示す構造は代表例であり、本開示はこれらに限定されるものではない。つまり、図1Aには、第1実施形態の発光素子収納用部材A1として、外形が円柱型の形状であるものを示しているが、その外形は、円柱型を基本的な形状とするだけで、表面の形状は適用される半導体レーザ装置の仕様によっては、特性の低下を許容する範囲で外形を変化させた形状であっても良い。例えば、図2に、第2実施形態の発光素子収納用部材A2として示しているように、外形が直方体状や任意の面積を持つ平面が複数組み合わさった多面体状であっても良い。図1Aでは、発光素子9を搭載した状態がわかりやすいように、発光素子9を搭載した状態を示している。図1Aに示した発光素子9の場合、符号9aが発光面となる。
図1Aに示した第1実施形態の発光素子収納用部材A1は、基体1がセラミックスによって形成されたものである。つまり、当該基体1は、セラミック粒子の焼結体によって構成されている。また、この基体1は、少なくとも1箇所を開口部5とする深底型の空間部7を内部に有し、その空間部7の内壁が発光素子9の搭載部となる基体1を有している。
詳細には、この基体1は、その外形が、2つの対向する端面3a、3bと、端面3a、3bに垂直な側面4とを有する形状を成すものである。また、この基体1には、その一方の端面3aに開口部5が設けられており、この開口部5は、基体1の内部に設けられた空間部7に通じている。この場合、空間部7は深底型の形状を成している。ここで、深底型とは、開口部5の最長径L1と空間部7の最深部までの距離L2とを対比させたときに、L2>L1の関係を有するものを言う。L2>L1の関係は、図2に示す発光素子収納用部材A2にも同様に適用される。
言い換えると、基体1は、2つの端面3a、3bのうちの一つの端面3aを開口部5とする空間部7を有する。空間部7は、開口部5が設けられている一方側の端面3aから他方側の端面3bに向く方向に延伸したものとなっている。この場合、空間部7は、基体1の内部に止まった底部7aを有する構造となっているが、図1Bに示した発光素子収納用部材A1aの構造のように、空間部7は端面3a、3b間を貫通した構造でもよい。空間部7が端面3a、3b間を貫通した構造である場合には、発光素子9から発した光を端面3aおよび端面3bの両方向に向けて放射させることができる。ここでは、空間部7の側面4に平行な内壁面7bの一部が発光素子9の設置面11(以下、設置面のことを搭載部11という場合がある。)となる。空間部7が端面3a、3b間を貫通した構造は図2に示す発光素子収納用部材A2にも同様に適用される。
なお、図1Aには示していないが、空間部7内の発光素子9の設置面11(搭載部11)には、発光素子9に電力を供給するための導体が形成される。この導体は、例えば、搭載部11から基体1の内部を経て、基体1の側面4もしくは端面3bに導出される。
基体1には、種々のセラミックスを適用することが可能であるが、熱伝導率が高くかつ熱膨張率が発光素子9(例えば、半導体レーザ)に近いという点から窒化アルミニウムが好適なものとなる。導体には、基体1に窒化アルミニウムを適用した場合に、同時焼成が可能であるという点からタングステン(W)、モリブデン(Mo)およびこれらの合金あるいはこれに銅などを複合化した金属材料のうちのいずれかが適したものとなる。
第1実施形態の発光素子収納用部材A1によれば、当該発光素子収納用部材A1を構成する基体1の中央に発光素子9を配置した場合には、図24Aおよび図24Bに示した従来の半導体レーザ装置50のように、半導体レーザ51が接着されているステムブロック55の側面55a側に不必要な空間65を設ける必要が無くなる。これにより半導体レーザ装置の小型化を図ることができる。
また、第1実施形態の発光素子収納用部材A1の場合には、発光素子9が発光面9a側を除き、基体1に近接されて囲まれた状態であることから、発光素子9の発光面9aを除く他の面からの放熱を高めることができる。このため、空間部7は、端面3a(または端面3b)に垂直な方向から見たときに、端面3a(3b)の中央部C(図1Aにおいて破線で示した円柱Bの範囲)に設けられているのが良い。空間部7が端面3a(3b)の中央部Cに設けられた構造であると、空間部7から基体1の側面4までのいずれの方向へも距離が均等になるため、放熱のバランスが良くなり、発光素子9の場所による温度差が小さくなり、安定した発光を行うことが可能になる。また、基体1の長寿命化を図ることもできる。
この場合、基体1は、放熱性を高めるという点から、その側面4が凹凸を成す形状であっても良い。
また、この基体1内に設けられた空間部7は、発光素子9が発光面9aを除いて基体1の内壁面7bに一部でも接するほどのサイズか、または、これよりも少し大きく、内壁面7bに近接するようなサイズであるのが良い。ここで、発光素子9を基体1の内壁面7bに近接させる場合には、接合材を兼ねた充填材を用いて固定する方法を採用しても良い。この場合、接合材の厚みとしては、熱伝導性を大きく低下させないという理由から、50μm以下であるのが良い。
図2に示した発光素子収納用部材A2も、基体1A2はセラミックスによって形成されたものであり、セラミック粒子の焼結体によって構成されている。また、基体1A2は、その外形がおおよそ6面体の形状を成すものであり、この場合も2つの対向する端面3aA2、3bA2と、端面3aA2、3bA2に垂直な側面4A2とを有する形状を有している。また、この基体1A2においても、その一方の端面3aA2に開口部5A2が設けられており、この開口部5A2は、基体1A2の内部に設けられた空間部7A2に通じている。基体1A2においても空間部7A2は、開口部5A2が設けられている一方側の端面3aA2から他方側の端面3bA2に向く方向に延伸したものとなっている。空間部7A2も、基体1A2の内部に止まった底7aA2を有する構造となっているが、空間部7A2は端面3aA2、3bA2間を貫通した構造でもよい。この発光素子収納用部材A2においても上記した発光素子収納用部材A1と同様の効果を得ることができる。
なお、上記した発光素子収納用部材A1aについては、図1Cに示す発光素子収納用部材A1bのように、基体1が円錐台の形状を成していても良い。基体1が円錐台の形状を成している場合には、発光素子収納用部材A1bを静置させたときの安定性が高まり、駆動時にも光軸のぶれを小さくすることが可能になる。
また、図1Dに示すように、発光素子収納用部材A1cでは、基体1は、内壁7bが傾斜面を成し、開口部5側の間口の面積がその奥に位置する底部7aの面積よりも大きくても良い。空間部7の内壁7bの少なくとも一部が傾斜面を成し、開口部5側の間口の面積がその奥に位置する底部7aの面積よりも大きい場合には、発光素子9から発せられる光を広範囲に放射できるようになるため、発光素子9の数が少なくても広い範囲をカバーできる発光装置を得ることができる。なお、開口部5側の間口の面積がその奥に位置する底部7aの面積よりも大きい構造は、発光素子収納用部材A2にも同様に適用できる。
また、図1Eに示すように、発光素子収納用部材A1dでは、基体1は、開口部5付近の段差5aによって間口が奥側よりも広くなっていても良い。基体1の開口部5付近に段差5aが設けられて、端面3a側の間口が奥側よりも広くなっている構造の場合には、この間口が広くなった部分にレンズなどをはめ込むことができるため、レンズが端面3a上に置かれる場合に比べてレンズが傷つくなどの不具合が減り、発光装置の信頼性を高めることが可能になる。なお、基体1の開口部5付近に段差5aが設けられて、端面3a側の間口が奥側よりも広くなった構造も発光素子収納用部材A2にも同様に適用できる。
<第3実施形態>
図3Aは、第3実施形態の発光素子収納用部材A3を示す斜視図であり、図3Bは、図3Aを開口部側(図3Aに示した矢印の方向)から見たときの平面図である。図4Aは、第1実施形態の発光装置B1を示す模式図であり、図4Bは、図4Aを開口部側(図4Aに示した矢印の方向)から見たときの平面図である。図4Aおよび図4Bに示した第1実施形態の発光装置B1は、図3Aおよび図3Bに示した第3実施形態の発光素子収納用部材A3に蓋体28を設け、内部に発光素子9を搭載した状態を示す斜視図である。図4Aおよび図4Bにおいて、符号9aが発光面である。
図3Aおよび図3Bに示す発光素子収納用部材A3は、以下の構成を成す基体21を有する。この基体21は、平面視したときの形状が矩形状の底部基材22と、底部基材22上に配置された壁部材23とから構成されている。この中で、壁部材23は、搭載面25をコの字状に囲み、1箇所を開口部27(図3Aにおいて破線で囲った部分)とするように設けられた構成となっている。ここで、搭載面25を底部基材22から厚み方向にかさ上げしている部位を搭載部26とする。これら底部基材22、壁部材23および搭載部26はセラミックスによって一体的に形成されている。
この第3実施形態の発光素子収納用部材A3の場合も、図4Aおよび図4Bからわかるように、基体21の上面に蓋体28を配置することによって、外観的に、発光素子9が底部基材22および壁部材23で囲まれる内側の空間部24内に配置された状態となる。この第3実施形態の発光素子収納用部材A3についても、図24Aおよび図24Bに示した従来の半導体レーザ装置50のように、半導体レーザ51が接着されているステムブロック55の側面55a側に不必要な空間65を設ける必要が無くなるため、発光装置B1の小型化を図ることができる。
また、発光素子収納用部材A3は、底部基材22、壁部材23および搭載部26がセラミックスによって一体的に形成されているため、図24Aおよび図24Bに示した従来の半導体レーザ装置50のように、金属製のステムベース53に半導体レーザ51(発光素子9)を実装する場合に、発光素子9とステムベース53の間にこれらの間を絶縁状態にしておくための絶縁部材57を配置させる必要が無い。図24Aおよび図24Bに示した従来の半導体レーザ装置50の場合には、ステムベース53と絶縁部材57との間および半導体レーザ51と絶縁部材57との間の2箇所に接合材を設ける必要があるが、発光素子収納用部材A3では、ステムベース53に代わる部分が元々高絶縁性のセラミックスであるため絶縁部材57も不要となる。つまり、発光素子収納用部材A3の場合には、発光素子9とセラミックス製の搭載部26との間に接合材を付与するだけで済む。放熱性を損なう接合材数を減らせるため、より高い放熱性を示す発光装置B1を得ることができる。
また、図3Aおよび図3Bに示す第3実施形態の発光素子収納用部材A3の場合、発光素子9を長手方向に延長した先が開口部27となっている。発光素子9が、発光面9aを除いて、底部基材22および壁部材23と、蓋体28とで囲まれた状態となることから、発光素子9の発光面9aを除く他の面からの放熱性を高めることができる。
このため、発光素子9の搭載面25は、空間部24の中央部C(図4Bにおいて点線枠で示した範囲)に設けられているのが良い。搭載面25が空間部24の中央部Cに設けられた構造であると、空間部24から底部基材22、壁部材23および蓋体28の外表面までの距離がどの方向へも同じような距離になるため、放熱のバランスが良くなり、発光素子9の場所による温度差が小さくなる。これにより安定した発光を行うことが可能になる。また、この場合も発光素子収納用部材A3を含めた発光装置B1の長寿命化を図ることができる。搭載面25が設けられている空間部24の中央部Cは開口部27側から見たときには壁部材23の高さ方向の中央の位置になる。
また、第3実施形態の発光素子収納用部材A3では、搭載部26における開口部27側の端面26aが、搭載面25に対して垂直となっているのが良い。さらに、搭載面25と端面26aとは直角な角部を介してつながった状態であるのが良い。搭載面25と端面26aとの成す角度が直角であると、発光素子9の発光面9aを搭載部26の端面26aに位置を合わせることが容易であり、また、発光素子9から発せられる光が端面26aに反射し難くなることから、光の指向性および強度を高めることができる。
また、この第1実施形態の発光装置B1の場合も、発光素子9は、発光面9aを除いて、搭載面25に接しているのが良いが、厚みが50μm以下であれば、接合材を兼ねた充填材を介して接着されていても良い。
また、この第1実施形態の発光装置B1を構成する蓋体28としては、高熱伝導性という点から、セラミックス(例えば、窒化アルミニウム)または金属(例えば、コバール)、あるいはセラミックスと金属との複合部材が好適なものとなる。この場合も、発光素子9は、熱伝導性を高めるという点において、発光面9aを除いて蓋体28に接している方が良い。なお、発光素子9を、接合材を兼ねた充填材を介して接着させる場合には、放熱性の点から充填材の厚みを50μm以下とするのが良い。
第3実施形態の発光素子収納用部材A3は、上記のように、底部基材22、壁部材23および搭載部26がセラミックスによって一体的に形成されている。
図24Bに示した従来の半導体レーザ装置50は金属製のステムブロック55および金属製のステムベース53によって構成されている。図24Bに示した従来の半導体レーザ装置50を構成しているステムブロック55およびステムベース53の熱膨張率は7〜30×10−6/℃である。
第3実施形態の発光素子収納用部材A3を構成するセラミックスは熱膨張率が4〜6×10−6/℃である。
第3実施形態の発光素子収納用部材A3は、従来の半導体レーザ装置50に比べて底部基材22、壁部材23および搭載部26が熱膨張率の小さいセラミックスによって一体的に形成されているため、発光素子9の発光等によって、底部基材22、壁部材23および搭載部26が発熱、冷却の熱サイクルを受けても当該基材等の寸法の変動が小さくなる。これにより発光素子9の光軸の変動を小さくすることができる。
また、この第3実施形態の発光素子収納用部材A3は、搭載部26を厚み方向に貫通するビア導体(図示せず)を有している。この場合、搭載部26を厚み方向に貫通する方向というのは、開口部27の端面26aに平行な方向である。ビア導体は搭載部26に設置される発光素子9に電力を供給するためのものとなる。また、ビア導体はサーマルビアとしての機能も有するため搭載部26の放熱性を高めることもできる。
なお、底部基材22の裏面側に放熱部材を設ける場合には、ビア導体は搭載部26の厚み方向の途中から折り曲げられて壁部材23の開口部27とは反対側に導出されるのが良い。ビア導体が搭載部26の厚み方向の途中から折り曲げられて壁部材23の開口部27とは反対側に導出される構造の場合には、底部基材22の裏面側の全体に放熱部材などを配置できるため放熱性をさらに高めることができる。
また、第3実施形態の発光素子収納用部材A3では、搭載部26にはビア導体またはこれを覆う金属パッドが存在するだけである。発光素子収納用部材A3がビア導体を有する構造であると、発光素子9との電気的接続を行うためのボンディングワイヤの導体長を短くすることができる。これにより搭載部26上の空間部24に占めるボンディングワイヤなど金属光沢を有する金属部材の量を少なくすることができる。
この場合、底部基材22、壁部材23および搭載部26の色調は黒色系であるのがよい。ここで、黒色系とは茶色または紺色などが混ざっているものまで含む意味である。底部基材22、壁部材23および搭載部26の色調が黒色系であると、搭載部26上の空間に占めるボンディングワイヤなど金属光沢を有する金属部材の量が少ないこととも相まって乱反射がさらに抑えられ、これにより発光性能の高い発光素子収納用部材A3を得ることができる。この場合、第3実施形態の発光素子収納用部材A3は、セラミックスの割合が全体積に対して体積比で3/4以上であるのが良い。
<第4実施形態>
図5Aは、第4実施形態の発光素子収納用部材A4を示す斜視図であり、図5Bは、図5AのY−Y線断面図である。図6Aは、第2実施形態の発光装置B2を示す模式図であり、図6Bは、図6Aを開口部側(図6Aに示した矢印の方向)から見たときの平面図である。図6Aおよび図6Bに示した第2実施形態の発光装置B2は、図5Aおよび図5Bに示した第4実施形態の発光素子収納用部材A4に蓋体28(図4A参照)を設け、内部に発光素子9を搭載した状態を示す斜視図である。図6Aおよび図6Bにおいて符号9aは発光面である。
図5Aおよび図5Bに示す第4実施形態の発光素子収納用部材A4と図3Aおよび図3Bに示した第3実施形態の発光素子収納用部材A3との違いは、開口部27に近い壁部材23間に架橋部材29が設けられていることである。この場合、架橋部材29は、壁部材23との間で機械的強度を高められるという理由から、接合面などを介さずに一体的に形成された状態であるのが良い。
第4実施形態の発光素子収納用部材A4によれば、上記した第3実施形態の発光素子収納用部材A3による効果に加えて、架橋部材29の表面積が増加した分だけ放熱性を高めることができる。つまり、開口部27側に架橋部材29が設けられていることにより、発光素子9が駆動して、発光素子収納用部材A4が発熱した場合にも、第3実施形態の発光素子収納用部材A3において、単に、空間であった部分に、架橋部材29を設置したことにより、開口部27を挟んで向き合った位置にある壁部材23からの熱が架橋部材29側へ拡散するため、基体21全体からの放熱性を向上させることができる。
また、図5Aおよび図5Bに示すように、架橋部材29が開口部27側の壁部材23を挟んだ位置に設けられていると、基体21が、加熱、冷却の温度変化を受けて、開口部27側の壁部材23が熱膨張および熱収縮により撓みやすくなる場合にも、壁部材23の、この部分の撓みを小さくすることができる。これにより、基体21が発熱しても寸法変化を小さくすることが可能になり、発光素子9の発光方向の軸のずれや振動を小さくすることが可能になる。
また、図5Aおよび図5Bに示す第4実施形態の発光素子収納用部材A4の場合、搭載部26の端面26aは、架橋部材29の搭載面25側の側面29aの位置(側面29aの面に沿って底部基材22に垂線を落とした位置)か、これよりも内側であるのが良い。この場合、搭載部26の端面26aと架橋部材29の側面29aとの間の間隔Dとしては、基体21のサイズにも因るが、後述する具体例のサイズに基づくならば、2mm以下であるのが良い。
<第5実施形態>
図7は、第5実施形態の発光素子収納用部材A5を示す斜視図である。図8Aは、第3実施形態の発光装置B3を示す模式図であり、図8Bは、図8Aを開口部側(図8Aに示した矢印の方向)から見たときの平面図である。図8Aおよび図8Bに示した第3実施形態の発光装置B3は、図5Aおよび図5Bに示した第4実施形態の発光素子収納用部材A4における架橋部材29が底部基材22側に向けて凸状に湾曲した構造を有している。なお、図8Aおよび図8Bにおいて符号9aは発光面である。
図7に示す第5実施形態の発光素子収納用部材A5と第4実施形態の発光素子収納用部材A4との違いは、第4実施形態の発光素子収納用部材A4における架橋部材29が壁部材23間でほぼ真っ直ぐした形状であるのに対し、第5実施形態の発光素子収納用部材A5における架橋部材29は、上述のように、架橋部材29が底部基材22側に向けて凸状に湾曲している形状である。
なお、図7、図8Aおよび図8Bにおいても、図5A、図5B、図6Aおよび図6Bの場合と同様、架橋部材29は壁部材23との間で一体的に形成された状態であるのが良い。
第5実施形態の発光素子収納用部材A5によれば、上記した第4実施形態の発光素子収納用部材A4による効果に加えて、架橋部材29が、底部基材22側に向けて凸状に湾曲している長さの分だけ、図5A、図5B、図6Aおよび図6Bに示した架橋部材29よりも長くなる。このため、架橋部材29自体の表面積が大きくなることから、架橋部材29の放熱性を高めることができる。また、架橋部材29が、上記のように、底部基材22側に向けて凸状に湾曲していることから、凸状に湾曲した頂点を発光素子9の光軸の目安にすることができる。
また、更なる効果としては、架橋部材29の材料の弾性率にも因るが、架橋部材29が、底部基材22側に向けて凸状に湾曲した構造であると、基体21が加熱されて、壁部材23が、例えば、空間部24側に向けて変形する場合にも、架橋部材29の中で最も湾曲した箇所を支点にして曲がりやすくなる。これにより、基体21(底部基材22および壁部材23)に架橋部材29を含めた発光素子収納用部材A5に発生する熱応力を小さくすることができる。
基体21が上記のような効果を有すると、例えば、発光素子収納用部材A5に蓋体28(図8Aでは省略した状態を示している。)をロウ付けした際に発生する熱応力を緩和することができる。これにより発光素子収納用部材A5が割れるのを防止することができる。つまり、第3実施形態の発光装置B3では、蓋体28をロウ付けする際の熱応力を小さくすることができることから、発光素子収納用部材A5に蓋体28をロウ付けする際のロウ材の厚みを薄くすることが可能となり、ロウ材の使用量の削減とともに、発光装置B3の低背化を図ることが可能となる。
発光素子収納用部材A3〜A5を構成している壁部材23は、図8Cに示すように、その厚みが底部基材22側から上面側に向けて薄くなっている形状であるのが良い。壁部材23がこのような形状であると、壁部材23が撓みやすくなり、これによりロウ付け工程等において壁部材23に荷重がかかる場合でも壁部材23が破損したりするのを抑えることができる。この場合、壁部材23の搭載部26側の面は当該搭載部26の表面に対して傾斜し、一方、その反対側の表面は底部基材22(または搭載部26)に対して、ほぼ垂直であっても良い。
ここで、上記した基体1、21を構成する各部材のサイズとしては、図1A〜図1Eに示す形態では、直径がおよそ1〜2mm、高さが1〜2mm、図2に示す形態では、1辺の長さが1〜2mmであるのが良い。
図3A〜図8Bに示す形態では、底部基材22の面積が1〜10mm2、底部基材22の底面から壁部材23の上面までの高さが0.2〜1mm、壁部材23の厚みは0.05〜1mmであるのが良い。以下、図3A〜図8Bに示した発光素子収納用部材A3〜A5のことを、以下、発光素子収納用基板という場合がある。
また、図7に示した発光素子収納用部材A5および図8Aおよび図8Bに示した発光装置B3における架橋部材29の変形量は、架橋部材29が真っ直ぐした状態から底部基材22側へ10〜200μmであるのが良い。
上記した第1〜第5実施形態の発光素子収納用部材A1〜A5を構成するセラミックスとしては、熱伝導率の高いセラミック材料が好適な物となるが、熱膨張係数がレーザーダイオードに近いという点から、種々のセラミック材料の中で、窒化アルミニウム系材料がより好適なものとなる。
また、基体1、21には、通常、発光素子9に給電するための導体が形成されるが、この導体がそのまま放熱部材としての役割を担うようにしてもよい。この場合には、例えば、基体21を構成する底部基材22に、これを貫通する導体を形成したときに、その導体の幅が発光素子9の幅に対して1/4から1/2に相当するほどであるか、あるいは、給電しないダミーの導体を搭載部11、26の近くに複数設けることも有利となる。
そして、第1〜第5実施形態の発光素子収納用部材A1〜A5のいずれかに導体を形成し、当該発光素子収納用部材A1〜A5の開口部5、27にガラス窓を装着すると、発光素子収納用部材A1〜A5自体が、ステムブロックおよびステムベースの代わりとなり、高放熱性かつ小型化を可能にする発光装置を形成することができる。
また、これら第1〜第5実施形態の発光素子収納用部材A1〜A5では、図8Dに示すように、発光素子9となるレーザダイオードを実装する搭載面25を第1搭載部25aとし、これに隣接させてフォトダイオードを設置するための搭載面25を第2搭載部25bとして設けた構造とすることもできる。この場合、フォトダイオードを設置するための第2搭載部25bは、発光素子収納用部材A1〜A5の開口部5、27とは反対側となる第1搭載部25aの後部側に設けても良いが、例えば、図8Dに示すように、フォトダイオードを設置するための第2搭載部25bをレーザダイオードを実装するための第1搭載部25aとともに開口部27の方向に向けて平行に配置した構造にすると、レーザーダイオードの発光面9aを開口部5、27側とともにその反対側にも設けることが可能になり、汎用性の高い発光装置を得ることができる。この場合、発光素子収納用部材A1〜A5は、開口部5、27の反対側に位置する壁部材23に第2の開口部が設けられた構造となる。
図8Eは、本実施形態のアレイ部材を示す平面図である。図8Eに示すアレイ部材C1は、上記した発光素子収納用部材のうち発光素子収納用部材A3が複数個連結されたものである。
以上説明した発光素子収納用部材A1〜A5によれば、基体1、21がセラミック一体型であり、図24Aおよび図24Bに示した従来の半導体レーザ装置50のようにピン構造ではないことから低背化および小型化が可能になる。
これらの発光素子収納用部材A1〜A5は、これらが連結された構造となっても基体1、21の厚みを維持したままでマルチチップ化が可能となる。複数の発光素子9を集積させた小型の発光装置を得ることができる。この場合、連結されている発光素子収納用部材A1〜A5の基体1、21は焼結されて一体化した状態である。発光素子収納用部材A1〜A5の基体1、21同士が接合材などの基体1、21を構成する材料以外の材料によって連結されたものに比べて面内での熱伝導性が高くなり、高放熱性かつ高強度のアレイ型の発光装置を得ることができる。
次に、上記した発光素子収納用部材A1〜A5および発光装置B1〜B3を作製する方法について説明する。図9は、第1、2実施形態の発光素子収納用部材A1、A2の製造方法を示す断面模式図である。この場合、第1実施形態の発光素子収納用部材A1に用いる成形体を作製する場合には、下側の金型31aとして、金型31aの内側の部分が円柱状にくり抜かれているものを用いる。一方、第2実施形態の発光素子収納用部材A2に用いる成形体を作製する場合には、下側の金型31aとして、その内側の部分が6面体の形状にくり抜かれているものを用いる。上側の金型31bについては、所望とする開口部5および空間部7を形成できる凸部31cを有するものであれば良い。
まず、基体1、21となるセラミック材料として、窒化アルミニウムを主成分として、これに希土類元素の酸化物(例えば、イットリア(Y2O3)、カルシア(CaO)、エルビア(Er2O3)など)を含んだ混合粉末を調製する。ここで、窒化アルミニウムを主成分とするとは、基体1、21中に窒化アルミニウムが80質量%以上含まれるものを言う。なお、基体1、21の熱伝導率を150W/mK以上にできるという点で、基体1、21に含まれる窒化アルミニウムの含有量は90質量%以上とするのが良い。基体1、21が、このように、窒化アルミニウムなどのセラミック材料を用いて焼成することによって形作られるものであるため、セラミック粒子の焼結体によって構成されるものとなる。
次に、この混合粉末を用いて、第1、2実施形態の発光素子収納用部材A1、A2に適用する基体1用の成形体33を作製する。第1、第2実施形態の発光素子収納用部材A1、A2となる成形体33を作製する場合には、図9に示すように、上記した混合粉末にプレス成型用のワックスを練り込み、所定形状の金型31a、31bを用いてプレス成型により円柱形状あるいは六面体形状の成形体33を作製する。なお、基体1に空間部7を形成する方法としては、上述のように、所定の形状をした金型を用いて一体的に成形体を作製する上記の方法の他に、無垢の成形体を作製し、焼成した後、切削加工する方法を採用することもできる。
図10A〜図10Dは、第3実施形態の発光素子収納用部材A3の製造方法を示す模式図である。
第3実施形態の発光素子収納用部材A3用の成形体(以下、積層成形体という。)を作製する場合には、図10A〜図10Dに示すように、例えば、予め所定の形状に加工した複数のグリーンシートを積層する方法を用いるのが良い。この場合、上記した混合粉末に所定の有機ビヒクルを添加してグリーンシートを作製し、このグリーンシートの中で空間部24となる貫通孔を形成したもの(図10Aおよび図10Bのパターンシート)を作製し、これら貫通孔を形成したグリーンシートと貫通孔を形成しなかったグリーンシート(図10Cのパターンシート)とを積層し、図10Dに示す積層成形体35を作製するようにする。
図11A〜図11Dは、第4実施形態の発光素子収納用部材A4の製造方法を示す模式図である。第4実施形態の発光素子収納用部材A4用の積層成形体を作製する場合には、図11Aに示すように、貫通孔をロの字型にくり抜いたグリーンシートを用いると良い。
なお、第5実施形態の発光素子収納用部材A5用の積層成形体を作製する場合には、図11Dに示した積層成形体を作製した後に、架橋部材29となる部分を加熱して下側に向けて可塑変形させておけば良い。図9および図10A〜図10Dに示した方法によっても、底部基材22および壁部材23、場合によっては架橋部材29が一体化された基体21を形成することができる。
なお、図9〜図11Dには図示していないが、これらの成形体33あるいは積層成形体35には、発光素子9の搭載部11、26となる部分あるいはその近傍に、発光素子9に電力を供給するための導体を形成するとともに、その導体が成形体33、積層成形体35の内外を通って成形体33、積層成形体35の外表面に形成した電極端子となる導体まで連通するようにする。導体は、後述するように、ビアホール、内部配線パターン、表層配線パターン、シールリング接続用パターンおよび電極端子等である。
次に、こうして作製した成形体33、積層成形体35を、所定の焼成条件にて焼成することにより、本実施形態の発光素子収納用部材A1〜A5となる基体1、21を得ることができる。
なお、基体1、21を作製する際の焼成条件としては、混合粉末に窒化アルミニウムを主成分とする混合粉末を用いた場合、還元雰囲気中、1700〜2000℃とするのが良い。
<第6実施形態>
図12は、第6実施形態に係る発光素子収納用部材A6の斜視図である。
第6実施形態に係る発光素子収納用部材A6は、基体101を有する。基体101は、平面視で矩形状である底部基材102と、底部基材102上に配置されている壁部材103とで構成されており、破線で示す発光素子130からの光を通過させる空間を内部に有する箱型の構造となっている。
底部基材102には、その上部に台座部102aが形成されており、かかる台座部102aの上面である搭載面107には、発光素子130が搭載される搭載部120が設けられている。
また、発光素子130は、一端面に設けられる発光面130aが、基体101の開口部104に向かうように配置される。そして、発光素子130の発光面130aから放射された光は、内部の空間および開口部104を通じて外部に放射される。
ここで、第6実施形態に係る発光素子収納用部材A6を構成する基体101には、搭載部120の周囲に、発光素子130の搭載位置を決めるための位置決めマーク121が設けられている。そして、かかる位置決めマーク121を用いて発光素子130を位置決めすることにより、搭載部120における発光素子130の位置決めをより高精度に行うことができる。
したがって、半導体レーザなどの細長い形状を有する発光素子130を基体101に搭載する場合においても、発光面130aから放射される光の光軸を容易に揃えることができる。
ここで、位置決めマーク121は、基体101と一体に形成される凹形状または凸形状であるとよい。凹形状または凸形状のように立体的な形状のマークを位置決めマーク121として用いることにより、位置決めマーク121を上方からCCDカメラ等で読み取る際に、位置決めマーク121のエッジを鮮明に検出することができる。すなわち、位置決めマーク121の位置をより高精度に検出することができることから、それに基づいて決定される発光素子130の位置をより高精度に決定することができる。
また、位置決めマーク121を基体101と一体的かつ同じ材料によって形成することにより、後述する基体101の製造工程において実施されるプレス加工により、位置決めマーク121を簡便に形成することができる。したがって、基体101の製造コストの上昇を抑制することができる。
ここで、位置決めマーク121の立体的な形状としては、位置を認識しやすいという点から、円柱、円錐、角柱または角錐のうち少なくとも1つの形状が適している。さらに、形状の一部が不鮮明になった場合も容易に場所を特定しやすいという理由から、位置決めマーク121の形状は円柱状であることが好ましい。
一方で、第6実施形態において、位置決めマーク121は基体101と一体に形成されている場合に限られず、基体101とは別部材により構成してもよい。さらに、位置決めマーク121は立体的な形状に限られず、平面的な形状であってもよい。平面的な形状の位置決めマーク121は、例えば印刷法などにより形成可能である。
引き続き、図12を参照しながら、基体101のさらなる詳細な構成について説明する。
基体101は、セラミックスにより形成されている。ここで、基体101には種々のセラミックスを適用することが可能であるが、熱伝導率が高く、かつ熱膨張率が発光素子130に近いという点から、窒化アルミニウム(AlN)を主成分として含んでいることが望ましい。
ここで、「窒化アルミニウムを主成分として含んでいる」とは、基体101が窒化アルミニウムを80質量%以上含んでいることをいう。基体101に含まれる窒化アルミニウムが80質量%未満の場合、基体101の熱伝導率が低下することから、発光素子130から発生する熱を外部に放散する熱放散性に支障が生じる可能性がある。
さらに、基体101は、窒化アルミニウムを90質量%以上含んでいることが好ましい。窒化アルミニウムの含有量を90質量%以上とすることにより、基体101の熱伝導率を150W/mK以上にすることができることから、熱放散性に優れた発光素子収納用部材A6を実現することができる。
基体101は、上述のように底部基材102と壁部材103とで構成されている。そして、底部基材102の上部には台座部102aが設けられており、かかる台座部102aの三方を平面視でコの字状に囲むように壁部材103が配置されている。さらに、台座部102aの残りの一方に向かい合うように、上述の開口部104が設けられている。
開口部104と接し底部基材102に設けられる底面105は、上述した台座部102aの搭載面107とは略平行であり、かつ搭載面107から一段低い位置に設けられている。また底面105は、開口部104の下部と、台座部102aの側面であるLD搭載端面106の下部との間に設けられている。
底面105と接するLD搭載端面106は、開口部104が設けられる基体101の側面に対して略平行に設けられている。また、LD搭載端面106は、発光素子130の位置決めに用いられる。具体的には、基体101を平面視した場合に、発光素子130の発光面130aの位置と、LD搭載端面106の位置とが一致するように、発光素子130が位置決めされる。
台座部102aの上面である搭載面107には、上述した搭載部120と位置決めマーク121との他に、第1接続端子108と第2接続端子109とが設けられている。このうち、第1接続端子108は、搭載部120の少なくとも一部と重なるように配置されている。
そして、発光素子130が搭載部120に搭載された場合に、第1接続端子108は、発光素子130の下面に設けられる第1電極(不図示)とはんだなどを用いて電気的に接続される。また、第2接続端子109は、例えば、発光素子130の上面に設けられる第2電極(不図示)と、ボンディングワイヤ(不図示)などを用いて電気的に接続される。
底部基材102上の壁部材103には、キャビティ壁面110と壁部上面111とが設けられている。ここで、キャビティ壁面110は壁部材103の内側の側面であり、壁部上面111は壁部材103の上面である。
さらに、基体101には、その上面側に壁部材103に囲まれるように上面開口部112が設けられている。基体101に上面開口部112を設けることにより、上面開口部112を介して、搭載部120や位置決めマーク121等をCCDカメラ等で読み取ることが可能である。さらに、上面開口部112を介して、搭載部120に発光素子130を搬送することが可能である。
なお、基体101のサイズは、幅および長さが2〜5mm程度であればよく、高さが0.2〜1mm程度であればよい。ここで「幅」とは、水平方向かつ光の光軸方向とは略垂直な方向である一辺の寸法であり、「長さ」とは、水平方向かつ光の光軸方向とは略平行な方向である一辺の寸法である(なお、以下の記載も同様とする)。
<位置決めマークの配置例>
次に、図13A〜図13Hを参照しながら、第6実施形態に係る基体101における位置決めマーク121のさまざまな配置についての実施例と、それぞれの実施例における発光素子130の位置決め方法の詳細について説明する。
なお、図13A〜図13Hにおいては、最初に位置決めマーク121を搭載部120の周囲に1個設ける実施例について示し、続けて位置決めマーク121の数を徐々に増やした実施例について示していく。
図13Aは、位置決めマーク121を搭載部120の周囲に1個設ける実施例である。この実施例における発光素子130(図12参照)の位置決め方法は、以下の通りである。
まずはCCDカメラ等で、基体101の上方から搭載部120、位置決めマーク121およびLD搭載端面106の位置を読み取る。次に、位置決めマーク121の位置をもとにして、搭載部120内の原点122aの位置を特定する。ここで、原点122aは、LD搭載端面106とは平行で位置決めマーク121を通過する直線上にあり、位置決めマーク121からは所定の距離離れた位置にある一点である。
次に、位置決め軸123の位置を特定する。ここで、位置決め軸123は、LD搭載端面106とは垂直で、原点122aを通過する直線である。最後に、この位置決め軸123に、発光素子130の光が放射される方向に延びる中心軸を合わせると共に、発光素子130の発光面130a(図12参照)の位置とLD搭載端面106との位置を合わせるように、発光素子130を搭載部120に実装する。
このように、搭載部120の周囲に設けられる位置決めマーク121を用いて発光素子130の位置決めを行うことにより、搭載部120における発光素子130の位置決めを高精度に行うことができる。
続いて、位置決めマーク121を搭載部120の周囲に2個設ける実施例を図13B〜図13Eに示す。図13Bは、2個の位置決めマーク121a、121bが搭載部120を挟む位置に設けられている実施例である。なお、以下の説明において、2個以上の位置決めマーク121を区別する場合には、たとえば、符号121a、121bのように記載する。
この実施例では、位置決めマーク121a、121bの中点を原点122aとする。その後は図13Aに示した実施例と同様に、原点122aおよびLD搭載端面106の位置から位置決め軸123を特定して、位置決め軸123およびLD搭載端面106の位置に合わせて発光素子130(図12参照)を搭載部120に実装する。
図13Bに示す実施例では、位置決めマーク121a、121bが搭載部120を挟む位置に設けられている。すなわち、搭載部120を真ん中に配置し、かかる搭載部120の両側に2個の位置決めマーク121を配置している。これにより、発光素子130を容易に基体101の中央部に配置することができる。
さらに、位置決めマーク121a、121bが搭載部120を挟む位置に設けられることにより、搭載部120内の原点122aを高精度に特定することができる。これにより、発光素子130の位置決めを高精度に行うことができる。
図13Bでは、位置決めマーク121a、121bが搭載部120のLD搭載端面106側を挟むように配置される実施例について示したが、位置決めマーク121a、121bの配置はかかる場合に限られない。例えば、図13Cに示すように、位置決めマーク121a、121bをLD搭載端面106からある程度離間させて、搭載部120の中央部を挟むように配置してもよい。
図13Cに示す実施例においても、図13Bに示す実施例と同様に、位置決めマーク121a、121bの中点を原点122aとして、かかる原点122aおよびLD搭載端面106の位置から位置決め軸123を特定する。そして、位置決め軸123およびLD搭載端面106の位置に合わせて発光素子130(図12参照)を搭載部120に実装すればよい。
なお、位置決めマーク121a、121bは、搭載部120のLD搭載端面106側を挟むように配置する場合(図13B参照)や、搭載部120の中央部を挟むように配置する場合(図13C参照)に限られず、搭載部120のLD搭載端面106とは反対側を挟むように配置してもよい。
一方で、図13Bに示す実施例のように、位置決めマーク121a、121bを発光素子130が光を放射する側(すなわち、発光素子130の発光面130a(図12参照)側)に配置することにより、位置決めの基準となる原点122aを発光面130aに近い位置に設定することができる。これにより、発光素子130の位置決めの際の重要な要素である発光面130aの位置を、より高精度に決定することができることから、発光素子130の位置決めをより高精度に行うことができる。
図13Dは、位置決めマーク121aを搭載部120の一方の側方でかつLD搭載端面106の近傍に設けると共に、もう1個の位置決めマーク121bを搭載部120のもう一方の側方でかつLD搭載端面106から離間させて設ける実施例である。
この実施例では、LD搭載端面106とは平行で位置決めマーク121aを通過する直線と、LD搭載端面106とは垂直で位置決めマーク121bを通過する直線とを特定し、かかる2本の直線の交点を補助点122bとする。
次に、補助点122bと位置決めマーク121aとの中点を原点122aとする。その後は、図13Aに示した実施例と同様に、原点122aおよびLD搭載端面106の位置から位置決め軸123を特定して、位置決め軸123およびLD搭載端面106の位置に合わせて発光素子130(図12参照)を搭載部120に実装する。
ここまで示した各実施例においては、いずれも検出されたLD搭載端面106と垂直になるように位置決め軸123を特定していたが、位置決め軸123は必ずしもLD搭載端面106と垂直でなくともよい。例えば、図13Eに示すように、位置決めマーク121a、121bを結ぶ直線と平行で、原点122aを通過する直線を位置決め軸123とすることもできる。
なお、この実施例において原点122aの位置は、位置決めマーク121aの位置をもとに、図13Aに示した実施例と同様の手法で特定すればよい。
さらに、この図13Eに示した実施例において、位置決めマーク121a、121bは、かかる位置決めマーク121a、121bを結ぶ直線と、平面視で矩形状の基体101の一辺とが平行になるように配置してもよい。これにより、位置決め軸123を基体101の一辺と平行にすることができる。したがって、実装された発光素子130(図12参照)から放射される光の方向を、基体101のかかる一辺に基づいて容易に特定することができる。
続いて、位置決めマーク121を搭載部120の周囲に3個設ける実施例を図13F、図13Gに示す。図13Fは、搭載部120の一方の側方に位置決めマーク121aを設けると共に、搭載部120のもう一方の側方に位置決めマーク121b、121cを設ける実施例である。
この実施例では、位置決めマーク121a、121bの中点を原点122aとする。そして、位置決めマーク121b、121cを結ぶ直線と平行で、原点122aを通過する直線を位置決め軸123とする。その後は、図13Aに示した実施例と同様に、位置決め軸123およびLD搭載端面106の位置に合わせて、発光素子130(図12参照)を搭載部120に実装する。
なお、図13Fに示した実施例においても、図13Eに示した実施例と同様に、位置決めマーク121b、121cは、かかる位置決めマーク121b、121cを結ぶ直線と、平面視で矩形状の基体101の一辺とが平行になるように配置してもよい。
図13Gは、位置決めマーク121a、121bが搭載部120のLD搭載端面106側を挟むように設けられると共に、位置決めマーク121cがLD搭載端面106とは反対側の搭載部120の端部に向かい合うように設けられる実施例である。換言すると、位置決めマーク121cは、発光素子130が搭載された状態において(図12参照)、発光素子130が光を放射する側とは反対側に配置されている。
この実施例では、位置決めマーク121a、121bの中点を原点122aとして、かかる原点122aと位置決めマーク121cとを通過する直線を位置決め軸123とする。その後は、図13Aに示した実施例と同様に、位置決め軸123およびLD搭載端面106の位置に合わせて、発光素子130(図12参照)を搭載部120に実装する。
図13Gに示すように、複数の位置決めマーク121のうち少なくとも1個を、発光素子130が光を放射する側とは反対側に配置することにより、位置決め軸123を高精度に特定することができる。したがって、実装された発光素子130から放射される光の方向を、高精度に決定することができる。
さらに、図13Gに示すように、補助点からではなく、位置決めマーク121cから直接位置決め軸123を特定するとよい。換言すると、発光素子130が搭載された状態において、発光素子130の中心軸上に位置決めマーク121cを配置するとよい。これにより、位置決め軸123をより高精度に特定することができることから、実装された発光素子130から放射される光の方向を、より高精度に決定することができる。
実施例の最後に、位置決めマーク121を搭載部120の周囲に4個設ける実施例を図13Hに示す。図13Hは、位置決めマーク121a、121bが搭載部120のLD搭載端面106側を挟むように配置されると共に、位置決めマーク121c、121dがLD搭載端面106とは反対側の搭載部120の周囲に配置される実施例である。
この実施例では、位置決めマーク121a、121bの中点を原点122aとし、位置決めマーク121c、121dの中点を補助点122bとする。次に、かかる原点122aと補助点122bとを通過する直線を位置決め軸123とする。その後は、図13Aに示した実施例と同様に、位置決め軸123およびLD搭載端面106の位置に合わせて、発光素子130(図12参照)を搭載部120に実装する。
ここまで、図13A〜図13Hの各実施例に示したように、位置決めマーク121は、搭載部120の周囲に1〜4個設けられているのがよい。さらに、位置決めマーク121は、搭載部120の周囲に2〜4個設けられているのが好ましい。位置決めマーク121を2個以上基体101に設けることにより、発光素子130の位置決め精度が向上する。一方で、位置決めマーク121を必要以上に多く基体101に設けた場合は、基体101のコストの上昇につながる。
なお、位置決めマーク121の配置は、図13A〜図13Hに示した各実施例に限られない。例えば、2個の位置決めマーク121が、かかる2個の位置決めマーク121を結ぶ直線と、発光素子130から放射される光の放射方向とが垂直になるように配置されていてもよい。これにより、実装された発光素子130(図12参照)から放射される光の方向を、2個の位置決めマーク121の位置に基づいて容易に特定することができる。
また、図13A〜図13Hの各実施例において、位置決めマーク121はすべて搭載面107に設けられていたが、位置決めマーク121は必ずしも搭載面107に設けなくともよい。例えば、位置決めマーク121を搭載面107ではなく底面105に設けてもよい。
一方で、位置決めマーク121は、搭載面107から突出あるいは埋没する形状であることが好ましい。これにより、搭載部120の位置と位置決めマーク121の位置とを、搭載面107にCCDカメラ等の焦点を合わせて同時に読み取ることができることから、発光素子130の位置決めをさらに短時間で行うことができる。
<第6実施形態に係る製造方法>
次に、第6実施形態に係る発光素子収納用部材A6を構成する基体101の製造方法について、図14〜図17に基づいて説明する。なお、図14〜図17は、各工程を上方(図16の(e)のみ下方)から見た平面図である。
基体101は、3枚のグリーンシートにそれぞれ所定の加工を施し、次に各グリーンシートを所定の順序で積層してプレス加工等を行い、最後に積層成形体を焼成して形成される。
以下において、3枚のグリーンシートのうち、上層のグリーンシート140の製造工程を図14に基づいて説明し、中間層のグリーンシート150の製造工程を図15に基づいて説明し、下層のグリーンシート160の製造工程を図16に基づいて説明する。最後に、各グリーンシート140、150、160を組み合わせた段階の製造工程を図17に基づいて説明する。
図14の(a)に示すように、あらかじめ所定の形状に加工したグリーンシート140を用意する。次に、グリーンシート140の上面の縁部に導体パターン141を印刷する(図14の(b)参照)。最後に、グリーンシート140の内側を打ち抜いて、平面視で矩形状の開口部142を形成する(図14の(c)参照)。
また、図15の(a)に示すように、あらかじめ所定の形状に加工したグリーンシート150を用意する。次に、グリーンシート150の内側を2カ所打ち抜いて、平面視で円状の孔部151a、151bを形成する(図15の(b)参照)。次に、孔部151aをビア導体152aで埋め、孔部151bをビア導体152bで埋める(図15の(c)参照)。最後に、グリーンシート150の上面に、ビア導体152aとつながるように導体パターン153aを印刷し、ビア導体152bとつながるように導体パターン153bを印刷する(図15の(d)参照)。
さらに、図16の(a)に示すように、あらかじめ所定の形状に加工したグリーンシート160を用意する。次に、グリーンシート160の内側を2カ所打ち抜いて、平面視で円状の孔部161a、161bを形成する(図16の(b)参照)。なお、孔部161a、161bは、それぞれグリーンシート150の孔部151a、151bに対応する位置に形成される。
次に、孔部161aをビア導体162aで埋め、孔部161bをビア導体162bで埋める(図16の(c)参照)。次に、グリーンシート160の上面に、ビア導体162aとつながるように導体パターン163aを印刷し、ビア導体162bとつながるように導体パターン163bを印刷する(図16の(d)参照)。最後に、グリーンシート160の下面に、ビア導体162aとつながるように導体パターン164aを印刷し、ビア導体162bとつながるように導体パターン164bを印刷する(図16の(e)参照)。
続いて、上述のように加工したグリーンシート150および160を、グリーンシート150が上側になるように積層して加熱加圧を行い、部分積層体170を形成する(図17の(a)参照)。次に、所定の形状のプレス金型を用いて、部分積層体170の上方から下方に向けてプレス加工を行い、凹部171と、凹部171より底面が低い凹部172と、凹部171の底面から突出する凸部173とを形成する(図17の(b)参照)。
ここで、凹部171は基体101の搭載面107(図12参照)に対応する部位であり、凹部172は基体101の底面105(図12参照)に対応する部位であり、凸部173は基体101の位置決めマーク121(図12参照)に対応する部位である。
次に、プレス加工された部分積層体170の上面に、上述のように加工したグリーンシート140を積層して加圧加熱を行い、積層体180を形成する(図17の(c)参照)。次に、凹部172が設けられた側の端面から少し内側に入った位置の切断面Eに沿って、積層体180を上下方向に切断する(図17の(d)参照)。かかる切断により、基体101の開口部104(図12参照)に対応する開口部が形成される。最後に、図17の(d)のように形成された積層成形体190を高温(約1800℃)で焼成して、基体101が完成する。
ここで、積層成形体190に設けられた導体パターン153aは、基体101の第1接続端子108(図12参照)に対応する部位であり、導体パターン153bは、基体101の第2接続端子109(図12参照)に対応する部位である。
また、積層成形体190において、導体パターン153aは、上側から順にビア導体152a(図15の(c)参照)、導体パターン163a(図16の(d)参照)、ビア導体162a(図16の(c)参照)を経由して、下面に設けられる導体パターン164a(図16の(e)参照)とつながっている。そして、導体パターン164aは、焼成後に、第1接続端子108と電気的に接続される基体101の第1外部端子(図示せず)となる。
さらに、積層成形体190において、導体パターン153bは、上側から順にビア導体152b(図15の(c)参照)、導体パターン163b(図16の(d)参照)、ビア導体162b(図16の(c)参照)を経由して、下面に設けられる導体パターン164b(図16の(e)参照)につながっている。そして、導体パターン164bは、焼成後に、第2接続端子109と電気的に接続される基体101の第2外部端子(図示せず)となる。
上述のグリーンシート140、150、160は、例えば、主原料である窒化アルミニウムの粉体に、イットリア(Y2O3)、カルシア(CaO)、エルビア(Er2O3)などからなる粉体を焼結助剤として混合した無機粉体を基本構成とする。そして、かかる無機粉体に有機バインダー、溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状となすと共に、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法を用いることにより、グリーンシート140、150、160が形成される。
また、上述の導体パターン141、153a、153b、163a、163b、164a、164bや、ビア導体152a、152b、162a、162bは、例えば、主原料であるタングステンに、窒化アルミニウム、有機バインダー、溶剤などを共剤として混合したペーストで形成される。
<第7実施形態>
つづいて、第7実施形態に係る発光素子収納用部材A7の概要について、図18Aおよび図18Bを用いて説明する。
第7実施形態に係る発光素子収納用部材A7は、基体201と、搭載部202とを有する。基体201は、平面視で矩形状である底部基材201aと、底部基材201a上に配置されている壁部材201bとで構成されており、破線で示す発光素子230から放射される光を通過させる空間を内部に有する箱型の構造となっている。
搭載部202は、基体201の底部基材201aから上方に突出する段差を有するように設けられている。そして、底部基材201aから突出する突出面が発光素子230を搭載する搭載面207であり、突出部分の側面がLD搭載端面206である。
また、発光素子230は、一端面に設けられる発光面230aが、開口部204に向かい合う搭載面207の縁部およびLD搭載端面206に隣接するように搭載される。そして、発光素子230の発光面230aから放射された光は、内部の空間および開口部204を通じて外部に出射される。
ここで、第7実施形態に係る発光素子収納用部材A7は、発光面230aが隣接する搭載面207の縁部に、面取り部220を有する。図18Bに示すように、かかる面取り部220により、搭載面207の発光面230aに隣接する部分が除かれていることから、放射される光が搭載面207で反射することを抑制することができる。したがって、発光素子収納用部材A7から外部に出射される光の発光効率を向上させることができる。面取り部220の設けられる場所は、搭載面207と開口部204に面したLD搭載端面206とが交わる縁部である。
また、面取り部220を設けることにより、LD搭載端面206を基準にして発光面230aの位置合わせを行ったとしても(例えば、LD搭載端面206と発光面230aとが面一になるように位置合わせを実施)、搭載面207での光の反射を抑制することができる。したがって、LD搭載端面206を基準にして発光面230aの位置合わせを行うことができることから、発光素子230の位置合わせ精度が向上し、外部に出射される光の光軸精度を向上させることができる。
引き続き、図18Aおよび図18Bを参照しながら、発光素子収納用部材A7のさらなる詳細な構成について説明する。
基体201および搭載部202は、いずれもセラミックにより形成されている。ここで、基体201および搭載部202には種々のセラミックを適用することが可能であるが、熱伝導率が高く、かつ熱膨張率が発光素子230に近いという点から、窒化アルミニウム(AlN)を主成分として含んでいることが望ましい。
基体201および搭載部202に含まれる窒化アルミニウムが80質量%未満の場合、基体201および搭載部202の熱伝導率が低下することから、発光素子230から発生する熱を外部に放散する熱放散性に支障が生じる可能性がある。
さらに、基体201および搭載部202は、窒化アルミニウムを90質量%以上含んでいることが好ましい。窒化アルミニウムの含有量を90質量%以上とすることにより、基体201および搭載部202の熱伝導率を150W/mK以上にすることができることから、熱放散性に優れた発光素子収納用部材A7を実現することができる。
ここで、基体201と搭載部202とは、セラミックで一体的に形成されているとよい。基体201と搭載部202とを一体的に形成することにより、基体201と搭載部202とを接合する接合材が不要となる。これにより、基体201と搭載部202との間に、異種材料同士で構成され大きな熱抵抗を生じさせる界面を設けることなく、発光素子収納用部材A7が形成できる。
したがって、基体201と搭載部202との間の熱抵抗を小さくすることができ、搭載部202から基体201に効率よく熱を伝えることができることから、放熱性の高い発光素子収納用部材A7を実現することができる。
また、基体201と搭載部202とを一体的に形成することにより、基体201と搭載部202との間を接合する工程が不要となるとともに、ハンダなどの接合材も不要となる。したがって、製造コストの低い発光素子収納用部材A7を実現することができる。一方で、第7実施形態において、搭載部202は基体201と一体に形成されている場合に限られず、基体201とは別部材により構成してもよい。
基体201は、上述のように底部基材201aと壁部材201bとで構成されている。そして、平板形状の底部基材201aの上部には搭載部202が設けられており、かかる搭載部202の三方を平面視でコの字状に囲むように壁部材201bが配置されている。さらに、搭載部202の残りの一方に向かい合うように、上述の開口部204が設けられている。
開口部204と接し底部基材201a上に設けられる底面205は、上述した搭載部202の搭載面207とは略平行であり、かつ搭載面207から一段低い位置に設けられている。また底面205は、開口部204の下部と、搭載部202の側面であるLD搭載端面206の下部との間に設けられている。
底面205と接するLD搭載端面206は、開口部204が設けられる発光素子収納用部材A7の側面に対して略平行に設けられている。また、LD搭載端面206は、上述のように、発光素子230の位置決めに用いることができる。
搭載部202の上面である搭載面207には、導電層208と導電層209とが設けられている。そして、発光素子230が搭載面207に搭載された場合に、導電層208は、発光素子230の下面に設けられる第1電極(不図示)とハンダなどを用いて電気的に接続される。また、導電層209は、例えば、発光素子230の上面に設けられる第2電極(不図示)と、ボンディングワイヤ(不図示)などを用いて電気的に接続される。
すなわち、導電層208、209は、発光素子230の第1電極および第2電極と電気的に接続される接続端子として機能する。
ここで、発光素子収納用部材A7は、導電層208がメタライズ層およびめっき層の少なくとも1つで形成されているとよい。導電層208がメタライズ層およびめっき層の少なくとも1つで形成されることにより、ハンダなどによる発光素子230との接合をより確実に実施することができる。
なお、導電層209も同様に、メタライズ層およびめっき層の少なくとも1つで形成されているとよい。これにより、導電層208と導電層209とを同じ工程で同時に形成することができることから、製造コストの低い発光素子収納用部材A7を実現することができる。
ここで、発光素子収納用部材A7は、搭載面207とLD搭載端面206との間に面取り部220が設けられている。面取り部220は、搭載面207とLD搭載端面206との間に位置する辺全体が平面状に面取りされている。図18Aおよび図18Bでは、面取り部220が辺全体に平面状に設けられた例について示しているが、面取り部220はかかる構成に限られない。面取り部220等のその他の構成例については後述する。
また、図18B等に示すように、少なくとも搭載面207と面取り部220との境界部分にまで、導電層208を設けるとよい。導電層208を面取り部220との境界部分にまで設けることにより、発光素子230を開口部204に極力近づけて実装することができる。したがって、発光素子230から放射される光が、基体201や搭載部202の内壁に当たって欠損することなく外部に出射されることから、外部に出射される光の発光効率が高い発光素子収納用部材A7を実現することができる。
なお、発光素子収納用部材A7では、導電層208は搭載面207にのみ設けられ、面取り部220には設けられていない。
発光素子収納用部材A7の残りの部位について、底部基材201a上の壁部材201bには、キャビティ壁面210と壁部上面211とが設けられている。ここで、キャビティ壁面210は壁部材201bの内側の側面であり、壁部上面211は壁部材201bの上面である。
さらに、発光素子収納用部材A7には、その上面側に壁部材201bに囲まれるように上面開口部212が設けられている。かかる上面開口部212を設けることにより、上面開口部212を介して、搭載面207に発光素子230を搬送することが可能である。
なお、発光素子収納用部材A7のサイズは、幅および長さが2〜5mm程度であればよく、高さが0.2〜1mm程度であればよい。
<第7実施形態の変形例>
次に、図19A〜図19Gを参照しながら、第7実施形態に係る発光素子収納用部材の変形例について説明する。なお、図19A〜図19Fは、上述の図18Bに対応する断面図であり、図19Gは、上述の図18Aに対応する斜視図である。
図19Aは、変形例1にかかる発光素子収納用部材A8の拡大断面図である。発光素子収納用部材A8は、面取り部220の形状が平面状ではなく曲面状である。換言すると、発光素子230の発光面230aが隣接する搭載面207の縁部に、いわゆるR加工がなされている。
これにより、発光素子230で発生する熱が、搭載部202で蓄積されることを抑制することができる。なぜなら、熱は角部でより蓄積されやすいが、発光素子収納用部材A8では面取り部220を曲面状にすることにより、搭載部202の角部を小さくしているからである。したがって、面取り部220を曲面状にすることにより、放熱性の高い発光素子収納用部材A8を実現することができる。
図19Bに示す発光素子収納用部材A9は、導電層208が搭載面207から面取り部220にかけて設けられている点が、上述の発光素子収納用部材A8とは異なっている。
導電層208をかかる構成にすることにより、導電層208としてメタライズ層とめっき層を両方用いた場合に、均一な厚みでめっき層を形成することができる。なぜなら、曲面状の面取り部220に形成されたメタライズ層上に電解めっきを行えば、角部で発生しやすい局所的な電界集中をさけることができるからである。これにより、搭載面207の平坦性を向上させることができることから、発光素子230が傾くことなく搭載面207に搭載することができる。したがって、発光素子230から外部に出射される光の光軸のズレを抑制することができる。
図19Cに示す発光素子収納用部材A10は、搭載面207から面取り部220にかけて設けられている導電層208が、搭載面207から面取り部220にかけて同じ厚みである点が、上述の発光素子収納用部材A9とは異なっている。
導電層208をかかる構成にすることにより、発光素子230を導電層208上に接合する際に、発光素子230と導電層208との間にメニスカスを形成することができる。したがって、発光素子230の実装信頼性を向上させることができる。なお、ここで「同じ厚み」とは、厚みの差が0.01μm以内のことをいう。
図19Dに示す発光素子収納用部材A11は、搭載面207から面取り部220にかけて設けられている導電層208が、搭載面207から面取り部220に向かって徐々に薄くなっている点が、上述の発光素子収納用部材A10とは異なっている。
導電層208をかかる構成にすることにより、面取り部220側の導電層208にクラックが発生することを抑制することができる。なぜなら、金属製の導電層208と、セラミック製の搭載部202とでは熱膨張係数差が大きいことから、導電層208が厚い場合、熱サイクル時に面取り部220側の導電層208端部の搭載部202側にクラックが発生する場合があるが、クラックが発生しやすい面取り部220側の導電層208を薄くすることにより、熱膨張係数差を緩和する構造となるからである。
したがって、搭載面207から面取り部220に向かって導電層208を徐々に薄くすることにより、信頼性の高い発光素子収納用部材A11を実現することができる。
ここまでは、搭載面207に導電層208を設けた場合について示したが、第7実施形態では必ずしも搭載面207に導電層208を設けなくともよい。例えば、図19Eおよび図19Fに示す発光素子収納用部材A12およびA13のように、搭載部202の搭載面207に導電層208(図18A参照)を設けず、搭載部202に直接発光素子230を搭載してもよい。
この場合も、平面状の面取り部220(図19E)や曲面状の面取り部220(図19F)を搭載面207の縁部に設けることにより、発光素子230の発光面230aから放射される光が搭載面207で反射することを抑制することができる。したがって、外部に出射される光の発光効率を向上させることができる。さらに、図19Fに示す発光素子収納用部材A13では、面取り部220を曲面状にすることにより、放熱性を向上させることができる。
なお、発光素子収納用部材A12およびA13において、搭載面207と発光素子230との接合にはハンダなどの導電接合材を用いる必要はなく、絶縁性の接着剤などを用いてもよい。
また、ここまでは、搭載面207とLD搭載端面206との間に位置する辺の全体に面取り部220を設けた場合について示したが、第7実施形態では必ずしもかかる辺の全体に面取り部220を設けなくともよい。
例えば、図19Gに示す発光素子収納用部材A14のように、面取り部220を、発光素子230と搭載面207の縁部とが隣接する領域にのみ形成してもよい。この場合も、発光面230aの近傍には面取り部220が設けられているため、外部に出射される光の発光効率を向上させることができる。さらに、面取り部220の側端に形成される角部221を、発光素子230の位置決めマークとして用いることにより、発光素子230の位置合わせ精度を向上させることができることから、出射される光の光軸精度を向上させることができる。
なお、面取り部220や導電層208の形状や配置は、上述した各実施例に限られない。例えば、面取り部220は平面状や曲面状に限られず、例えば多面状であってもよい。発光面230aから放射された光が反射しないように面取りされていれば、面取り部220はどのような形状であってもよい。
<第7実施形態に係る製造方法>
次に、第7実施形態に係る発光素子収納用部材A7の製造方法について、図20に基づいて説明する。なお、図20は、各工程を上方から見た平面図である。
発光素子収納用部材A7は、3枚のグリーンシートにそれぞれ所定の加工を施し、次に各グリーンシートを所定の順序で積層してプレス加工等を行い、最後に積層成形体を焼成して形成される。
そして、第7実施形態にかかる発光素子収納用部材A7の製造工程において、グリーンシート140、150、160の製造工程は、図14〜図16に示した第6実施形態における製造工程と同様であることから、説明を省略する。
続いて、図14〜図16に示したように加工したグリーンシート150および160を、グリーンシート150が上側になるように積層して加熱加圧を行い、部分積層体170を形成する(図20の(a)参照)。次に、所定の形状のプレス金型を用いて、部分積層体170の上方から下方に向けてプレス加工を行い、凹部171と、凹部171より底面が低い凹部172と、凹部171の底面の縁部から凹部172に向かって傾斜する傾斜部174とを形成する(図20の(b)参照)。
ここで、凹部171は発光素子収納用部材A7の搭載面207(図18A参照)に対応する部位であり、凹部172は発光素子収納用部材A7の底面205(図18A参照)に対応する部位である。また、傾斜部174は発光素子収納用部材A7の面取り部220(図18A参照)に対応する部位であり、プレス金型の形状を変更することにより、面取り部220の形状を適宜変更することができる。
次に、プレス加工された部分積層体170の上面に、上述のように加工したグリーンシート140を積層して加圧加熱を行い、積層体180を形成する(図20の(c)参照)。次に、凹部172が設けられた側の端面から少し内側に入った位置の切断面Fに沿って、積層体180を上下方向に切断する(図20の(d)参照)。かかる切断により、発光素子収納用部材A7の開口部204(図18A参照)に対応する開口部が形成される。最後に、図20の(d)のように形成された積層成形体190を高温(約1800℃)で焼成して、発光素子収納用部材A7が完成する。
なお、上述の導体パターン141、153a、153b、163a、163b、164a、164bや、ビア導体152a、152b、162a、162bの接続状態や、グリーンシート140、150、160の構成部材などについては、第6実施形態と同様である。
<第4実施形態の実施例>
以下、図5Aおよび図5Bに示した第4実施形態の発光素子収納用部材A4用の基体を基本構造とした発光素子収納用基板を具体的に作製し、次いで、この第4実施形態の発光素子収納用基板を適用して、図6Aおよび図6Bに示した発光装置を作製した。
まず、グリーンシートを形成するための混合粉末として、窒化アルミニウム粉末94質量%に対して、Y2O3粉末を5質量%、CaO粉末を1質量%の割合で混合した混合粉末を調製した。
次に、この混合粉末(固形分)100質量部に対して、有機バインダーとしてアクリル系バインダーを20質量部、トルエンを50質量部添加してスラリーを調製し、次いで、ドクターブレード法を用いて、平均厚みが260μmのグリーンシートを作製した。
また、導体の形成には、タングステン(W)粉末100重量部に20重量部の窒化アルミニウム粉末、アクリル系バインダーを8重量部、テルピネオールで適宜添加した導体ペーストを用いた。
作製したグリーンシートには、NCパンチを用いて、後に、ビアホール導体あるいは空間部となる貫通孔を、それぞれ所定の箇所に形成した。
次に、貫通孔を形成したグリーンシートに、スクリーン印刷により導体ペースト充填し、次いで、内部配線パターンおよび表層配線パターンとなる導体パターンを形成して、図21A〜図21Eに示すパターンシートとなるようにそれぞれ加工した。なお、図21A〜図21Eは、積層成形体の下層側から上層側に順に積層されるパターンシートを表している。また、図21A〜図21Fにおいて、符号40はグリーンシートであり、符号41は導体(ビアホール導体)であり、符号42は導体(内部配線パターン)であり、符号43は導体(表層配線パターン)であり、符号44は導体(シールリング接続用パターン)であり、符号45は導体(電極端子)であり、符号46は貫通孔となる部分である。
この中で、図21Eのパターンシートに形成した打ち抜き箇所が、基体に空間部を形成するための貫通孔である。図21Fは、図21A〜図21Eのパターンシートを積層して形成した積層体を図21Eに示すパターンシート側から見た平面図である。
次に、これらのパターンシートを下層側から順に積層し、加圧加熱を行って積層成形体を作製した。なお、図21A〜図21Eには、積層成形体を1個作製するパターンシートしか示していないが、各パターンシートが縦横に複数並んだ多連型のパターンシートを作製しておき、積層した後に、個片に切断する方法を採用しても、同様の構造の積層成形体を作製することができる。
次に、作製した積層成形体を還元雰囲気中、最高温度が1800℃となる条件にて2時間の焼成を行った。作製した発光素子収納用部材A4のサイズは、焼成後の形状が幅2.5mm×長さ4.2mm×厚さ1.08mmであった。
そして、焼成後の発光素子収納用基板を図21Fに示した切断線cにてダイシング加工することにより、基体の端面に1.4mm×0.43mmの開口部を形成した。また、図21Eのパターンシートに形成した打ち抜き箇所と開口部とがつながり、基体に、開口部とともに空間部(平面視したときの面積:1.8mm×1.8mm)を形成することができた。
次に、焼成後の発光素子収納用基板において、上面に形成したシールリング接続用となる露出した導体上にNiめっき膜を約5μmの厚みで形成した。次いで、このNiめっき膜にAg−Cuロウを介してコバール製のシールリング(厚さ0.1mm)を接合した。
次に、基体の端面の開口部(開口面積:1.4mm×0.43mm)の周囲に低融点ガラスペーストによってガラス板を接着させて開口部を塞いだ。ガラス板には反射防止コート層を有するものを用いた。
次に、得られた発光素子収納用基板の搭載部にAu−Snはんだを用いて発光素子を接着し、次いで、シールリングにシームウェルド法を用いて、コバール製の蓋体を接合して発光装置を作製した。なお、発光素子には、φ9mm(長さ10mm)のキャンパッケージタイプに用いられているものと同じサイズである1.5kW級のレーザーダイオードを適用した。また、蓋体に、基体と同じ材質の窒化アルミニウム製の焼結体を適用した試料も同様に作製した。
こうして作製した発光装置は、発光素子収納用基板のサイズ(この場合、外形サイズ)が2.5mm×4.2mm×1.33mm(体積:13.97mm3)であった。その結果、同じサイズのレーザーダイオードを用いた場合でも、キャンパッケージタイプの体積(635mm3)に比較して、平面視したときの見かけの面積を83.5%、見かけの体積を97.8%ほど小さくすることができた。
こうして作製した発光装置は、キャンパッケージタイプの場合と同じようなヒートシンク部材と組み合わせることによって、長期間に亘り、発光強度の変動幅が3%以内となる発光装置を得ることができた。
<第6実施形態の実施例>
つづいて、図12および図13A〜図13Hに示した基体101を基本構造とした、第6実施形態に係る発光素子収納用部材A6を具体的に作製し、次いで、かかる発光素子収納用部材A6を適用した発光装置を作製した。
まず、グリーンシートを形成するための混合粉末として、窒化アルミニウム粉末94質量%に対して、イットリア粉末を5質量%、カルシア粉末を1質量%の割合で混合した混合粉末を調製した。
次に、この混合粉末(固形分)100質量部に対して、有機バインダーとしてアクリル系バインダーを20質量部、トルエンを50質量部添加してスラリーを調製し、次に、ドクターブレード法を用いて、平均厚みが500μmのグリーンシートを作製した。
また、導体パターンやビア導体などの導体の形成には、タングステン粉末100質量部に対して、窒化アルミニウム粉末を20質量部、アクリル系バインダーを8質量部、テルピネオールを適宜添加した導体ペーストを用いた。
そして、上述の成分を有するグリーンシートおよび導体を用いて、図14〜図17に示した製造方法で積層成形体190(図17の(d)参照)を作製した。
次に、作製した積層成形体190を還元雰囲気中、最高温度が1800℃となる条件にて2時間の焼成を行って基体101を作製した。なお、作製された基体101のサイズは、焼成後の形状で幅2.5mm×長さ4.2mm×高さ1.08mmであった。
次に、基体101の壁部上面111(図12参照)に形成された導体パターン141(図17の(d)参照)に、Niめっき膜を約5μmの厚みで形成し、かかるNiめっき膜にAg−Cuロウを介してコバール製のシールリング(厚さ0.1mm)を接合した。
次に、基体101の開口部104(図12参照)(幅1.4mm×高さ0.43mm)の周囲に低融点ガラスペーストによってガラス板(幅1.7mm×高さ0.8mm)を接着させて、開口部104を塞いだ。ここで、ガラス板には反射防止コート層を有するものを用いた。
次に、図13A〜図13Hに示したそれぞれの位置決め方法を用いて、基体101の搭載部120に発光素子130を実装し、発光素子収納用部材A6を得た。ここで、発光素子130としては発振波長462nmの半導体レーザ素子(幅0.3mm×長さ1.2mm×高さ0.15mm)を用い、搭載部120への発光素子130の接合にはAu−Snはんだを用いた。
次に、図22に示した評価装置を用いて、発光素子収納用部材A6内部での発光素子130(図12参照)の位置決め精度を評価した。具体的には、発光素子収納用部材A6をプリント配線基板300に実装し、光源から50mm離れた平面301に放射された放射光302に基づいて位置決め精度を評価した。
ここで、試料数は各構造に対してn=20とし、図22に示したX、Y、Z各方向における放射光302の位置の標準偏差を求めた。さらに、発光素子収納用部材A6と所定の中心点303とを結んだ直線303aに対する、放射光302の光軸302aの相対的な角度θの標準偏差を求めた。
また、評価に用いたプリント配線基板300は幅10mm×長さ10mm×高さ3mmの大きさで、発光素子収納用部材A6を実装する実装面の平坦度は5μm以下であり、また角コーナの直角度は90±0.3°以下であった。各構造における位置決め精度の評価結果を表1に示す。
位置決めマーク121を設けなかった試料1と、図13A〜図13Hに示したように位置決めマーク121を設けた試料2〜12との比較より、第6実施形態にかかる発光素子収納用部材A6は、発光素子130の位置決め精度に優れていることがわかる。
また、位置決めマーク121を1個設けた試料2と、位置決めマーク121を2個以上設けた試料3〜12との比較より、位置決めマーク121を2個以上設けることによって発光素子130の位置決め精度がさらに向上することがわかる。
さらに、平面的な形状の位置決めマーク121を設けた試料11と、立体的な形状の位置決めマーク121を設けた試料10との比較より、立体的な形状の位置決めマーク121を設けることによって発光素子130の位置決め精度がさらに向上することがわかる。
製造工程の最後に、発光素子130の位置決め精度を評価した発光素子収納用部材A6に対して、シームウェルド法を用いて、上述のシールリングにコバール製の蓋体を接合して上面開口部112を塞ぎ、発光装置を作製した。
こうして作製された発光装置は、発光素子収納用部材A6の平面視での面積が10.5mm2であり、体積が13.97mm3であった。この値は、同じ仕様の発光素子130を搭載した従来のTO−CANパッケージ(平面視での面積63.6mm2、体積635mm3)に比べて大幅に小さかった。すなわち、第6実施形態に係る発光装置は、従来のパッケージに比べて大幅に小型化することができた。
ここで、位置決めマーク121を設けなかった試料1における発光素子130の位置決め方法について、図23に基づいて説明する。まずはCCDカメラ等でLD搭載端面106と、キャビティ壁面110のうちLD搭載端面106と接するキャビティ壁面110a、110bとの位置を読み取った。
次に、LD搭載端面106とキャビティ壁面110aとの交点を補助点122bとし、LD搭載端面106とキャビティ壁面110bとの交点を補助点122cとして、かかる補助点122b、122cの中点を原点122aとした。その後は図13Aに示した実施例と同様に、原点122aおよびLD搭載端面106の位置から位置決め軸123を特定して、位置決め軸123およびLD搭載端面106の位置に合わせて発光素子130(図12参照)を搭載部120に実装した。
<第7実施形態の実施例>
つづいて、第7実施形態に係る発光素子収納用部材A7等を具体的に作製し、次いで、かかる発光素子収納用部材A7等を適用した発光装置を作製した。
まず、グリーンシートを形成するための混合粉末として、窒化アルミニウム粉末94質量%に対して、イットリア粉末を5質量%、カルシア粉末を1質量%の割合で混合した混合粉末を調製した。
次に、この混合粉末(固形分)100質量部に対して、有機バインダーとしてアクリル系バインダーを20質量部、トルエンを50質量部添加してスラリーを調製し、次に、ドクターブレード法を用いて、平均厚みが500μmのグリーンシートを作製した。
また、導体パターンやビア導体などの導体の形成には、タングステン粉末100質量部に対して、窒化アルミニウム粉末を20質量部、アクリル系バインダーを8質量部、テルピネオールを適宜添加した導体ペーストを用いた。また、この導体ペーストの他に、この導体ペーストにさらにチキソ剤を0.5質量%添加した導体ペーストと、この導体ペーストにさらにチキソ剤を1.0質量%添加した導体ペーストも用いた。
そして、上述の成分を有するグリーンシートおよび導体ペーストを用いて、図14〜図16および図20に示した製造方法で積層成形体190(図20の(d)参照)を作製した。
次に、作製した積層成形体190を還元雰囲気中、最高温度が1800℃となる条件にて2時間の焼成を行って発光素子収納用部材A7等を作製した。なお、作製された発光素子収納用部材A7等のサイズは、焼成後の形状で幅2.5mm×長さ4.2mm×高さ1.08mmであった。
次に、発光素子収納用部材A7等の壁部上面211(図18A参照)に形成された導体パターン141(図20の(d)参照)に、Niめっき膜を約5μmの厚みで形成し、かかるNiめっき膜にAg−Cuロウを介してコバール製のシールリング(厚さ0.1mm)を800℃で接合した。
次に、発光素子収納用部材A7等の開口部204(図18A参照)(幅1.4mm×高さ0.43mm)の周囲に低融点ガラスペーストによってガラス板(幅1.7mm×高さ0.8mm)を430℃で接着させて、開口部204を塞いだ。ここで、ガラス板には反射防止コート層を有するものを用いた。
次に、発光素子収納用部材A7等の搭載面207に発光素子230を実装した。ここで、発光素子230としては発振波長462nmの半導体レーザ素子(幅0.3mm×長さ1.2mm×高さ0.15mm)を用い、搭載面207への発光素子230の接合にはAu−Snハンダを用いた。
次に、発光素子収納用部材A7等の各種特性について評価した。この際、面取り部220を設けていない従来の発光素子収納用部材を適用した試料や、チキソ剤を添加した導体ペーストを用いて作成した試料についても同時に評価した。
また、評価した特性は、発光効率、放熱性、光軸の精度、信頼性の4つとし、試料数は各構造に対してn=20とした。
第1の特性評価である発光効率については、発光素子収納用部材A7等から出射される光の輝度を、暗室内で輝度計を用いて評価した。また、かかる評価結果の値は、面取り部220を設けていない従来の発光素子収納用部材を適用した試料で測定された輝度を1.0とした場合の相対的な値とした。
第2の特性評価である放熱性については、発光素子230が80℃に到達する時の発熱量を、シミュレーション解析により求めた。この際、発光素子収納用部材A7等に対して、放熱部材を接合したモデルを用いた。ここで、接合した放熱部材は、発光素子収納用部材A7等の裏面の全面に貼り付けられるサイズ(幅2mm×長さ3mm×厚み2mm)とした。
第3の特性評価である光軸の精度については、図22に示したような評価装置を用いて評価した。評価方法の詳細について上述した第6実施形態と同様であるので、詳細は省略する。
第4の特性評価である信頼性については、−65℃から150℃まで温度範囲の熱サイクル試験を100サイクル実施した。また、熱サイクル試験後の試料のクラックの有無は蛍光浸透探傷検査にて評価し、20個片中に発生したクラック発生数をカウントした。各種特性評価の結果を表2に示す。
面取り部220を設けなかった試料13と、面取り部220を設けた試料14、15との比較より、第7実施形態にかかる発光素子収納用部材A7等は、発光効率が向上していることとがわかる。
また、面取り部220が平面状である試料14と、面取り部220が曲面状である試料15との比較より、面取り部220を曲面状にすることによって放熱性が向上していることがわかる。
さらに、面取り部220が平面状である試料14と、面取り部220が曲面状である試料15との比較より、面取り部220を曲面状にすることによって光軸の精度が向上していることがわかる。
さらに、導体ペーストにチキソ剤を添加しなかった試料15と、導体ペーストにチキソ剤を添加した試料16、17との比較より、導体ペーストにチキソ剤を添加することにより、信頼性が向上していることがわかる。
導体ペーストにチキソ剤を添加することにより、導体ペーストのレベリング性が向上する。これにより、試料16は、メタライズ層の厚みが中央部と縁部とで略均等になるように構成されている(表2参照)。すなわち、試料16は、図19Cのように発光素子230と導電層208との間にメニスカスを形成することができる構造になっていることから、信頼性が向上する。
また、試料17は、さらに多くのチキソ剤を添加することにより、メタライズ層の厚みが縁部側(すなわち面取り部220側)で薄くなるように構成されている(表2参照)。すなわち、試料17は、図19Dのように搭載部202と導電層208との熱膨張係数差を緩和する構造になっていることから、信頼性が向上する。
製造工程の最後に、各種特性評価を行った発光素子収納用部材A7等に対して、シームウェルド法を用いて、上述のシールリングにコバール製の蓋体を接合して上面開口部212を塞ぎ、発光装置を作製した。
こうして作製された発光装置は、発光素子収納用部材A7等の平面視での面積が10.5mm2であり、体積が13.97mm3であった。この値は、同じ仕様の発光素子230を搭載した従来のTO−CANパッケージ(平面視での面積63.6mm2、体積635mm3)に比べて大幅に小さかった。すなわち、第7実施形態に係る発光装置は、従来のパッケージに比べて大幅に小型化することができた。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上述の実施形態においては、発光素子として半導体レーザを用いた場合について示したが、発光素子は半導体レーザに限られない。
以上のように、実施形態に係る発光素子収納用部材A1(A1a〜A1d)は、セラミックスによって構成され、少なくとも1箇所を開口部5とする深底型の空間部7を内部に有し、かかる空間部7の内壁(内壁面7b)が発光素子9の搭載部11となる基体1を有している。これにより、高放熱性かつ小型化が可能となる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A1(A1a、A1c、A1d)において、基体1は、2つの対向する端面3a、3bと、かかる端面3a、3bに垂直な側面4とを有するものである。これにより、高放熱性かつ小型化が可能となる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A1において、搭載部11は、端面3a、3bに垂直な方向から見たときに、かかる端面3a、3bの中央部Cに設けられている。これにより、安定した発光を行うことが可能になる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A1bにおいて、基体1が円錐台の形状を成している。これにより、駆動時にも光軸のぶれを小さくすることが可能になる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A1cにおいて、基体1は、内壁(内壁面7b)の少なくとも一部が傾斜面を成し、開口部5側の間口の面積がその奥に位置する底部7aの面積よりも大きい。これにより、発光素子9の数が少なくても広い範囲をカバーできる発光装置を得ることができる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A1dにおいて、基体1は、開口部5付近の段差5aによって間口が奥側よりも広くなっている。これにより、発光装置の信頼性を高めることが可能になる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A2(A3〜A14)は、平面視したときの形状が矩形状の底部基材22(102、201a)と、底部基材22(102、201a)上に、発光素子9(130、230)を搭載するための搭載部26(120、202)をUの字状に囲み、少なくとも1箇所を開口部27(104、204)とするように設けられた壁部材23(103、201b)と、かかる壁部材23(103、201b)の内側の領域に設けられた搭載部26(120、202)とを備えた基体21を有しており、基体21がセラミックスにより一体的に形成されている。これにより、高放熱性かつ小型化が可能となる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A3において、搭載部26は、開口部27側から見たときに、壁部材23の高さ方向の中央に位置するように配置されている。これにより、安定した発光を行うことが可能になる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A4(A5)において、壁部材23間の開口部27に架橋部材29が設けられている。これにより、基体21全体からの放熱性を向上させることができる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A5において、架橋部材29が、湾曲している。これにより、架橋部材29の放熱性を高めることができる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A3(A4、A5)において、壁部材23は、底部基材22側から上面側に向けて厚みが薄くなっている。これにより、ロウ付け工程等において壁部材23に荷重がかかる場合でも壁部材23が破損したりするのを抑えることができる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A1(A2〜A5)において、搭載部11(26)が、レーザダイオード用の第1搭載部25aと、第1搭載部25aに隣接したフォトダイオード用の第2搭載部25bとを含んで構成されている。これにより、汎用性の高い発光装置を得ることができる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A6において、搭載部120の周囲に発光素子130の搭載位置を決める位置決めマーク121が設けられる。これにより、半導体レーザなどの細長い形状を有する発光素子130を基体101に搭載する場合においても、発光面130aから放射される光の光軸を容易に揃えることができる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A6において、位置決めマーク121は、基体101と一体に形成される凹形状または凸形状である。これにより、発光素子130の位置をより高精度に決定することができると共に、基体101の製造コストの上昇を抑制することができる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A6において、位置決めマーク121は、円柱、円錐、角柱および角錐のうち少なくとも1つの形状を有する。これにより、位置決めマーク121の位置を認識しやすくすることができる。
また、実施形態に係る発光素子収納用部材A7(A8〜A14)において、搭載部202は、開口部204に面した縁部に面取り部220を有する。これにより、外部に出射される光の発光効率を向上させることができる。
また、実施形態に係るアレイ部材C1は、発光素子収納用部材A1(A2〜A5)が複数個連結されている。これにより、アレイ型の発光装置を得ることができる。
また、実施形態に係るアレイ部材C1は、発光素子収納用部材A1(A2〜A5)同士が一体焼結したものである。これにより、高放熱性かつ高強度のアレイ型の発光装置を得ることができる。
また、実施形態に係る発光装置は、発光素子収納用部材A1(A1a〜A1d、A2〜A14)の搭載部11(26、120、202)上に発光素子9(130、230)を備えている。これにより、高放熱性かつ小型化が可能な発光装置を得ることができる。
また、実施形態に係る発光装置は、アレイ部材C1と、アレイ部材C1の搭載部11(26)に搭載される発光素子9と、を備える。これにより、高放熱性かつ高強度のアレイ型の発光装置を得ることができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。