<実施形態>
図1〜図11を参照して、この発明の実施形態の一例を説明する。
図1は、この実施形態に係る車両用ドア1を示す正面図である。図1に示すように、車両用ドア1は、自動車などの車両のドア開口部(不図示)を開閉可能に覆うものであり、例えば、右側のリヤサイドドアとして構成されている。車両用ドア1は、車両用ドア1の下半部を構成するドア本体2と、ドア本体2の上半部を構成すると共に窓開口部3を構成する窓枠部(サッシュ部とも呼ばれる。)4と、窓開口部3を前側開口部31と後側開口部32とに仕切るセンタチャンネル5と、前側開口部31に昇降可能に配置される昇降ガラス6と、後側開口部32に固定されて配置される固定ガラス7と、前側開口部用のガラスラン部材8と、後側開口部用のガラスラン部材9と、サッシュモール部10とを備えている。
ドア本体2は、ドア本体2の外壁部を構成する金属製のドアアウタパネル21と、ドア本体2の内壁部を構成する金属製のドアインナパネル22とを備えている。ドアアウタパネル21とドアインナパネル22は、それらの縁部(例えば前後各側辺及び下辺)がヘミング加工で接合されることで(即ち、ドアアウタパネル21の縁部が内側に折り返されてドアインナパネルの縁部上に折り重ねられることで)、互いに連結されている。
ドア本体の上端部(即ちドアアウタパネル21の上端部とドアインナパネル22の上端部との間)には、昇降ガラス6、固定ガラス7及びセンタチャンネル5が挿入される開口部2aが設けられている。ドア本体2の内部(即ちドアアウタパネル21とドアインナパネル22の間)には、昇降ガラス6、昇降ガラス6を昇降駆動する駆動部(不図示)、及び、センタチャンネル5の下半部などが収容される収容空間2bが設けられている。
窓枠部4は、金属で形成されており、ドア本体2の上端部に設けられており、ドアアウタパネル21又は/及びドアインナパネル22に一体的に形成されている。窓枠部4は、下辺開放の略U字状に形成されており、上辺部41と、前辺部42と、後辺部43とを備えている。前辺部42は、上辺部41の前端とドア本体2の上端部の前端部とを連結しており、後辺部43は、上辺部41の後端部とドア本体2の上端部の後端部とを連結している。
センタチャンネル5は、上下に延びた棒状に形成されている。センタチャンネル5の略上半側は、窓開口部3の開口面内に配置され、センタチャンネル5の略下半側は、ドア本体2の開口部2aからドア本体2の内部の収容空間2b内に挿入されている。センタチャンネル5の上端部は、窓枠部4の上辺部41の中間部の外側面に接続されている。センタチャンネル5の下半部は、ドア本体2の内部の収容空間2b内に収容されており、ドア本体2の内面(例えばドアインナパネル22)に固定されている。
前側開口部31は、窓枠部4の上辺部41の前半部分(センタチャンネル5よりも前側の部分)と、窓枠部4の前辺部42と、センタチャンネル5の略上半側とで構成されている。後側開口部32は、窓枠部4の上辺部41の後半部分(センタチャンネルよりも後側の部分)と、窓枠部4の後辺部43と、センタチャンネル5の略上半側とで構成されている。
前側開口部用のガラスラン部材8は、弾性部材(例えばゴム弾性部材)で形成されており、上辺ガラスラン部81と、側辺ガラスラン部82と、ドアシール部83とを備えており、これら各部81,82,83は、弾性部材(例えばゴム弾性部材)によって互いに一体的に構成されている。
上辺ガラスラン部81は、前側開口部31が昇降ガラス6で閉じられた状態で、前側開口部31の上辺部と昇降ガラス6の上辺部との隙間を封止するものである。上辺ガラスラン部81は、横長の帯状に形成され、前側開口部31の上辺部全体に亘って設けられている。
側辺ガラスラン部82は、前側開口部31が昇降ガラス6で閉じられた状態で、前側開口部31におけるセンタチャンネル5側の側辺部と昇降ガラス6の同側の側辺部との間の隙間を封止するものである。側辺ガラスラン部82は、縦長の帯状に形成され、前側開口部31におけるセンタチャンネル5側の側辺部全体に亘って設けられている。
ドアシール部83は、車体のドア開口部が車両用ドア1で閉じられた状態で、ドア開口部の上辺部と窓枠部4の上辺部41の上端部との間の隙間を封止するものである。ドアシール部83は、横長の帯状に形成され、窓枠部4の上辺部41の上端部における長手方向の全体に亘って設けられている。
上辺ガラスラン部81の上端部がドアシール部83の下端部に連結され、側辺ガラスラン部82の上端部が上辺ガラスラン部81の後端部に連結されることで、上辺ガラスラン部81、側辺ガラスラン部82及びドアシール部83は、互いに一体的に形成されている。
後側開口部用のガラスラン部材9は、後側開口部32に設けられた固定ガラス7の周縁部と後側開口部32の周縁部との間の隙間を封止するものである。ガラスラン部材9は、例えば樹脂部材又は弾性部材(例えばゴム弾性部材)で形成されており、固定ガラス7の周縁部に沿って形成されている。より詳細には、ガラスラン部材9は、窓枠部4の上辺部側の上辺ガラスラン部91と、センタチャンネル5側の前辺ガラスラン部92と、窓枠部4の後辺部側の後辺ガラスラン部93と、窓枠部4の底辺部側の底辺ガラスラン部94とを備えている。
サッシュモール部10は、例えば窓枠部4の外観見栄えを良くするための装飾部材である。サッシュモール部10は、例えば樹脂で形成され、窓枠部4の外側面(即ち車幅方向外側の面)の幅方向の中央を被覆しつつ、窓枠部4の上辺部41及び後辺部43の各々の長手方向全体に亘って設けられている。これにより、ドアシール部83の外側面の下縁部と、上辺ガラスラン部81の外側面の上縁部と、ガラスラン部材9の上縁部及び後縁部とを被覆している。
図2(a)は、窓枠部4とセンタチャンネル5との接続部分を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A断面の部分拡大図である。なお、図2(a)では、ガラスラン部材8及びサッシュモール部10は図示省略されている。
図2(a)に示すように、窓枠部4には、被係止部45が設けられており、センタチャンネル5には、金属製接続部53が設けられている。そして、金属製接続部53が被係止部45に係止することで、センタチャンネル5の上端部と窓枠部4とは、互いに接続されている。より詳細には、窓枠部4の外側面(即ち車幅方向外側の面)には、センタチャンネル5との接続面44が設けられている。接続面44は、窓開口部3の開口面に略平行な平坦面に形成されており、この接続面44に、被係止部45が立設されている。
図2(b)に示すように、窓枠部4は、窓枠アウタパネル4Aと、窓枠インナパネル4Bとを備えている。窓枠アウタパネル4Aと窓枠インナパネル4Bは、それらの上縁部4Aa,4Ba同士及び下縁部4Ab,4Bb同士が接合されることで、互いに連結されている。窓枠部4の内部(即ち窓枠アウタパネル4Aと窓枠インナパネル4Bとの間)には、空間が設けられている。接続面44は、窓枠アウタパネル4Aの外側面に設けられている。
互いに連接された上縁部4Aa,4Baは、窓枠アウタパネル4A側(即ち車幅方向外側)に屈曲されて窓枠アウタパネル4A側に突出しており、ガラスラン部材8が装着される上側装着部4Cを構成している。互いに連接された下縁部4Ab,4Bbは、窓開口部3側(即ち下側)に突出しており、ガラスラン部材8及びガラスラン部材9が装着される下側装着部4Dを構成している。
図2(b)に示すように、被係止部45は、窓枠部4の接続面44に立設された円柱状の首部45aと、首部45aの先端部に設けられて首部45aよりも拡径の頭部45bと、首部45aの基端部から首部45aの軸方向に沿って延設されたネジ部45cと、首部45aにおいて頭部45bから一定間隔(例えば金属製接続部53の厚さと同程度の間隔)空けて設けられると共に首部45aの外周側に張り出したフランジ部45dとを備えている。
頭部45bの座面(即ち裏面)45eは、内周側ほど首部45aの基端部側(即ちフランジ部45d側)に傾斜した円錐台状の傾斜ガイド部を形成している。以後、傾斜ガイド部45eとも記載する。傾斜ガイド部45eは、金属製接続部53の後述の二股部532が首部45aに係止される際に、二股部532を首部45aに案内するものである。
窓枠部4の接続面44(即ち窓枠アウタパネル4A)には、被係止部45のネジ部45cが挿通可能な貫通孔44aが設けられている。接続面44の裏面(即ち窓枠アウタパネル4Aの内側面)には、被係止部45のネジ部45cが螺合すると共に貫通孔44aに連通したナット47が設けられている。被係止部45のネジ部45cが接続面44の表側から貫通孔44aを挿通してナット47に螺合されることで、被係止部45が接続面44に立設されている。この立設状体では、接続面44を構成する窓枠アウタパネル4Aがフランジ部45dとナット47で狭持されている。
図3(a)(b)(c)はそれぞれ、センタチャンネル5の上端部を前側開口部31側から見た斜視図、後側開口部32側から見た斜視図、及び、(a)のB−B断面図である。図4は、センタチャンネル5の上端部を車室内側から見た斜視図である。図3及び図4に示すように、センタチャンネル5は、金属製のセンタチャンネル本体51と、センタチャンネル本体51の上端部に設けられた樹脂製のキャップ52と、センタチャンネル本体51に設けられた金属製接続部53とを備えている。
センタチャンネル本体51は、上下方向に延びており、その長手方向に直交する断面が略H形に形成されている(図3(c)参照)。より詳細には、図3に示すように、センタチャンネル本体51は、上下方向に延びた帯板状の垂直壁部51aと、垂直壁部51aにおける横幅方向(車幅方向)H1の両側の側辺部の各々に設けられた2つの平板状の平行壁部51b,51cとを備えている。
垂直壁部51aは、その横幅方向H1が窓枠部4の接続面44に垂直になることで、接続面44に垂直に配置している。各平行壁部51b,51cは、その横幅方向H2が窓枠部4の接続面44に平行になることで、接続面44に平行に配置している(図2(a)参照)。垂直壁部51aの上辺部51dは、垂直壁部51aの横幅方向H1の外側(即ち平行壁部51b側)から内側(即ち平行壁部51c側)に行くほど下方に傾斜した斜辺になっている。
各平行壁部51b,51cは、垂直壁部51aに対して直交状に設けられると共に、垂直壁部51aの厚さ方向(即ち車両前後方向)の両側に張り出している。このように各平行壁部51b,51cが張り出すことで、センタチャンネル本体51の前後各側面には、センタチャンネル本体51の長手方向に沿って、側辺ガラスラン部82及び前辺ガラスラン部92が嵌るための凹溝部51S,51Tが形成されている。
このように構成されたセンタチャンネル本体51は、例えば、板状鋼板が断面H形状になるように曲げ加工されて形成されている。
図3に示すように、金属製接続部53は、長細状の支持片部531と、支持片部531の先端部に設けられた平板状の二股部532とを備えている。
二股部532は、例えば略矩形平板状の平板部で形成され、その平板部の先端辺に、窓枠部4の被係止部45に嵌合可能な略U字状の切欠部532aが設けられている。切欠部532aの先端側の開口幅は、先端側ほど幅広になっている。これにより、窓枠部4の被係止部45の首部45aを切欠部532aの奧側に容易に案内可能になっている。
二股部532は、支持片部531と同方向に向けられて支持片部531に設けられると共に、支持片部531に対して垂直に設けられている。より詳細には、二股部532は、その横幅方向H3の一方の側辺部の基端部が支持片部531の横幅方向H4の一方の側辺部の先端部に直交状に連結されることで、支持片部531に直交状に設けられている。
金属製接続部53は、センタチャンネル本体51の垂直壁部51aの両側の主面のうちの一方の主面(例えば後側開口部32の側の主面)の上端部側に、スポット溶接等で設けられている。より詳細には、金属製接続部53の支持片部531が、垂直壁部51aの長手方向に沿って垂直壁部51aの上記の一方の主面の上端部側に重ねられた状態で、上記の一方の主面に設けられている。
この状態で、金属製接続部53の二股部532は、垂直壁部51aの上辺部51d上を横切って垂直壁部51aの他方の主面(例えば前側開口部31側の主面)側に張り出した状態で、垂直壁部51aの上辺部51d側に突出している。即ち、二股部532は、窓枠部4の接続面44に対して略平行な状態で上辺部51d側に突出している。そして、二股部532は、窓枠部4の被係止部45の首部45aに係止している(図2参照)。
図3及び図4に示すように、キャップ52は、センタチャンネル本体51の上端部に設けられたキャップ本体521と、キャップ本体521に設けられた被覆部522とを備えている。
キャップ本体521は、センタチャンネル本体51の2つの平行壁部51b,51cの各々の上辺部に装着される第1キャップ部521a及び第2キャップ部521bと、第1キャップ部521aと第2キャップ部521bとを連結する連結部521gとを備えている。
第1キャップ部521aは、例えば横長の板状に形成され、その下端面には、平行壁部の上端部が嵌合する凹部(不図示)が設けられている。第1キャップ部521aにおける厚さ方向(即ち横幅方向H1)の内側の側壁部には、第1キャップ部521aの長手方向(即ち横幅方向H2)の片半側(例えば後側開口部32側の片半側)に、支持片部521cが延設されている(図4参照)。支持片部521cは、上記の側壁部から下方に向かって延びており、平行壁部51bにおける厚さ方向の内側の主面に当接している。
第2キャップ部521bも、第1キャップ部521aと同様に、例えば横長の板状に形成され、その下端面には、平行壁部51cの上端部が嵌合する凹部(不図示)が設けられている。第2キャップ部521bにおける厚さ方向の内側の側壁部には、第2キャップ部521bの長手方向の片半側(例えば後側開口部32側の片半側)に、支持片部521dが延設されている(図3(b)参照)。支持片部521dは、上記の側壁部から下方に向かって延びており、平行壁部51cにおける厚さ方向の内側の主面に当接している。
なお、第1キャップ部521aの下端面に設けられる上記の凹部はそれぞれ、第1キャップ部521aの下端面における長手方向の両半側のうち、少なくとも片半側に設けられていればよい。第2キャップ部521bの下面に設けられる上記の凹部についても同様である。
連結部521gは、例えば略L字状の平板状に形成され、センタチャンネル本体51の垂直壁部51aの上端部の側面(例えば後側開口部32側の側面)に沿って配置されている。連結部521gの上端部は、第1キャップ部521aにおける長手方向の中央部に連結され、連結部521gの下端部は、第2キャップ部521bにおける長手方向の中央部に連結されている。連結部521gの下半部は、連結部521gの上半部に対して垂直壁部51aとは反対側に段差状にずれており、これにより、連結部521gの下半部と垂直壁部51aとの間に隙間が形成されている。この隙間に、金属製接続部53が挟まれている。
被覆部522は、前側開口部用のガラスラン部材8の上辺ガラスラン部81と、後側開口部用のガラスラン部材9の上辺ガラスラン部91との間の隙間を覆うものである。被覆部522は、断面略U字状で上面開放の半筒状に形成されている。被覆部522は、キャップ本体521の内側主面(即ち第2キャップ部521bにおける厚さ方向の内側の側壁部の外側主面)に一体的に設けられ、キャップ本体521の車幅方向内側に張り出している。
図5(a)は、センタチャンネル5の全体を示す斜視図であり、図5(b)は、センタチャンネル5の連結部分を示す拡大図である。図5に示すように、センタチャンネル本体51は、上半部51Aと下半部51Bとに分割構成されると共に、上半部51Aと下半部51Bとを相互連結するための金属製の連結用部材51Cと、センタチャンネル本体51をドア本体に取り付けるための取付金具51D,51Eとを備えている。
連結用部材51Cの先端部は、上半部51Aの下端部に連結する先端側連結部51Caを構成する共に、連結用部材51Cの基端部は、下半部51Bの上端部に連結する基端側連結部51Cbを構成している。
基端側連結部51Cbは、下半部51Bの上端部を車幅方向の両側から狭持可能な二股部として構成されており、下半部51Bの上端部を狭持した状態で、スポット溶接等によって下半部51Bの上端部に固定されている。
先端側連結部51Caは、上半部51Aの下端部を車幅方向の両側から狭持可能な二股部として構成されており、上半部51Aの下端部を狭持した状態で、締結部品(例えばボルト及びナット)51Hによって上半部51Aの下端部に着脱可能に連結されている。この実施形態では、上半部51Aの平行壁部51cの下端部及び先端側連結部51Caにそれぞれ、貫通孔が設けられており、それら各貫通孔を挿通するようにして締結部品51Hが締結されることで、先端側連結部51Caと上半部51Aの下端部とが連結されている。従って、締結部品51Hが外されることで、先端側連結部51Caと上半部51Aの下端部との連結が解除され、これにより、センタチャンネル本体51が上半部51Aと下半部51Bとに分離される。
なお、先端側連結部51Ca及び基端側連結部51Cbは、二股部でなくても、上半部51A及び下半部51Bが嵌挿可能な筒状部や、断面略U字状の半筒状部であってもよい。
取付金具51Dは、例えば側面視クランク形の細長板状に形成され、その一端部が上半部51Aにおける車幅方向の内側の主面にスポット溶接等で固定されており、その他端部が締結部品(例えばボルト及びナット)51Fによってドア本体2に固定されている。取付金具51Eは、例えば側面視ハット形の細長板状に形成され、その両端部が下半部51Bにおける車幅方向の内側の主面にスポット溶接等によって固定されており、その中央部(即ち底部)が締結部品(例えばボルト及びナット)51Gでドア本体2に固定されている。
センタチャンネル本体51が車両用ドア1に取り付けられた状態では、下半部51B全体と上半部51Aのうちの下端部とがドア本体2の内部に収容され、上半部51Aのうちの下端部以外の部分が窓開口部3に露出される。
図6は、図1のD−D断面図であり、図7は、図1のC−C断面図である。図6に示すように、ガラスラン部材8の上辺ガラスラン部81は、昇降ガラス6の上端部が挿入可能な上側凹溝部811と、窓枠部4の下側装着部4Dに装着される下側凹溝部812とを備えている。
上側凹溝部811は、開口面が下方を向いた凹溝部であり、上辺ガラスラン部81の長手方向全体に亘って形成されている。上側凹溝部811の外側の側壁部の下端には、昇降ガラス6の外側面に当接する外側リップ部811aが設けられ、上側凹溝部811の内側の側壁部の下端には、昇降ガラス6の内側面に当接する内側リップ部811bが設けられている。これら各リップ部811a,811bは、例えば、上側凹溝部811の奧側に向くと共に互いの対向方向に接近する方向に傾斜している。
下側凹溝部812は、開口面が上方を向いた略U字形の凹溝部であり、上辺ガラスラン部81の長手方向全体に亘って形成されている。下側凹溝部812の外側の側壁部と内側の側壁部のうち、一方(例えば外側)の側壁部の上端部は、他方(例えば内側)の側壁部の上端部に向かって突出しており、それら両側の側壁部の先端部で窓枠部4の下側装着部4Dが狭持可能になっている。
上側凹溝部811の内側の側壁部の下端と下側凹溝部812の外側の側壁部の上端とが連結されることで、上側凹溝部811と下側凹溝部812は、互いに一体的に形成されている。
図6及び図7に示すように、ガラスラン部材8のドアシール部83は、窓枠部4の上側装着部4Cが挿入可能な凹溝部831と、凹溝部831の上面に設けられた複数(例えば2つ)のリップ部832とを備えている。
凹溝部831は、開口面が車幅方向内側を向いた凹溝部であり、ドアシール部83の長手方向全体に亘って形成されている。凹溝部831の下側の側壁部は、上辺ガラスラン部81の上側凹溝部811の底部と一体的に形成(即ち兼用)されている。凹溝部831の上側の側壁部の内側の側面には、凹溝部831の下側の側壁部側に突出した突出部831aが設けられている。突出部831aと凹溝部831の下側の側壁部との間で、窓枠部4の上側装着部4Cが狭持可能になっている。
2つのリップ部832は、凹溝部831の上面において、車幅方向に互いに間隔を空けて立設されると共にドアシール部83の長手方向全体に亘って設けられている。各リップ部832は、その上端部が車体のドア開口部の上面部100に当接することで、ドア開口部の上面部100と窓枠部4の上端部4uとの間の隙間を封止する。
なお、窓枠部4の上端部4uにおけるドアシール部83の裏側には、窓枠部4の上端部4uの長手方向に沿って、ウエザストリップWSが設けられている。このウエザストリップWSによっても、ドア開口部の上面部100と窓枠部4の上端部4uとの間の隙間が封止される。
凹溝部831の奧壁部の外側面には、サッシュモール部10が係止される被係止部831bが設けられている。被係止部831bは、例えば断面略T字形の壁部として形成されており、その上下両側の側面には、凹状のくびれ部831cが設けられている。サッシュモール部10の裏面には、被係止部831bのくびれ部831cに係止する係止部10aが2つ立設されている。各係止部10aは、サッシュモール部10の裏面において上下方向に互いに間隔を空けて立設されており、それらの先端部が互いの対向方向に曲がっている。各係止部10aの先端部が被係止部831bの上下両側のくびれ部831cに係止することで、サッシュモール部10は、ガラスラン部材8を介して窓枠部4の外側面に取り付けられる。
図8は、図1のE−E断面図である。図8に示すように、後側開口部用のガラスラン部材9の上辺ガラスラン部91は、固定ガラス7の上端部が嵌合可能な上側凹溝部911と、窓枠部4の下側装着部4Dに装着される下側凹溝部912とを備えている。
上側凹溝部911は、開口面が下方を向いた凹溝部であり、上辺ガラスラン部91の長手方向に沿って形成されており、ドアシール部83の下側に配置されている。下側凹溝部912は、開口面が上方を向いた略U字形の凹溝部であり、上辺ガラスラン部91の長手方向に沿って形成されている。下側凹溝部912の外側の側壁部と内側の側壁部のうち、一方(例えば外側)の側壁部の上端部は、他方(例えば内側)の側壁部の上端部に向かって突出しており、それら両側の側壁部の先端部で窓枠部4の下側装着部4Dが狭持可能になっている。
上側凹溝部911の内側の側壁部の下端と下側凹溝部912の外側の側壁部の上端とが連結されることで、上側凹溝部911と下側凹溝部912は、互いに一体的に形成されている。
図9は、図1のF−F断面図である。図9に示すように、ガラスラン部材8の側辺ガラスラン部82は、開口面が前側開口部31側を向いた断面略U字形に形成されており、外側の側壁部82aと、内側の側壁部82bと、それら各側壁部82a,82bの後端部を連結する後壁部82cとを備えている。側辺ガラスラン部82の断面略U字形の内部に、昇降ガラス6の後縁部が挿入される。
各側壁部82a,82bの前端には、昇降ガラス6の外側主面又は内側主面に当接する外側リップ部82e及び内側リップ部82dが設けられている。各リップ部82e,82dは、それらの対向方向に突き出している。
側辺ガラスラン部82は、その後壁部82c側がセンタチャンネル本体51の前側開口部31側の凹溝部51Sに嵌ることで、センタチャンネル本体51に取り付けられている。
図9に示すように、ガラスラン部材9の前辺ガラスラン部92は、開口面が後側開口部32側を向いた断面略U字形に形成されており、その断面略U字形の内部に、固定ガラス7の前縁部が挿入される。前辺ガラスラン部92は、その前端部側(即ち断面略U字形の奧壁部側)がセンタチャンネル本体51の後側開口部32側の凹溝部51Tに嵌まることで、センタチャンネル本体51に取り付けられている。
図10は、窓枠部4とセンタチャンネル5との接続部分を車室内側から見た斜視図である。図10では、窓枠部4にセンタチャンネル5及び各ガラスラン部材8,9が取り付けられた状態を示すが、作図便宜上、窓枠部4は透過して図示されている。
図10に示すように、窓枠部4に、センタチャンネル5及び各ガラスラン部材8,9が取り付けられた状態では、各ガラスラン部材8,9の上辺ガラスラン部81,91は、窓枠部4の下側装着部4Dにおいて一列に並んで装着されている。即ち、各上辺ガラスラン部81,91の下側凹溝部812,912の端部812Y,912Yは、互いに隣接配置されている。
この隣接配置状態で、各上辺ガラスラン部81,91の端部812Y,912Yは、センタチャンネル5のキャップ52の被覆部522の内部に配置されている。即ち、被覆部522が各上辺ガラスラン部81,91の端部812Y,912Yの間に跨って配置することで、被覆部522によって、各上辺ガラスラン部81,91の端部812Y,912Yの間の隙間Gが覆い隠されている。
図11は、車両用ドア1の組立方法を説明する図である。図11(a)に示すように、先ず、窓枠部4に、固定ガラス7、及び、後側開口部32用のガラスラン部材9が装着される。そして、前側開口部31用のガラスラン部材8が車幅方向外側から窓枠部4に取り付けられる。より詳細には、ガラスラン部材8のドアシール部83の凹溝部83aが窓枠部4の上側装着部4Cに装着され、ガラスラン部材8の下側凹溝部812が窓枠部4の下側装着部4Dに装着される。この状態では、ガラスラン部材8の側辺ガラスラン部82は、上辺ガラスラン部81の後端部から垂れ下がった状態である。
そして、センタチャンネル5の上半部51Aと下半部51Bとが互いに分離された状態で、側辺ガラスラン部82が掻き分けられて、図11(a)の矢印Q1に示すように、上半部51Aが、前辺ガラスラン部92の上から固定ガラス7の前辺部に装着される。この装着状態では、上半部51Aの上端部(即ちセンタチャンネル5の上端部)は、窓枠部4の接続面44の下方にずれて配置されている。
そして、図11(b)の矢印Q2に示すように、上半部51Aの金属製接続部53の二股部532が窓枠部4の被係止部45の首部45aに係止するまで、上半部51Aが前辺ガラスラン部92に沿って上方に摺動される。即ち、上半部51Aに設けられた金属製接続部53が、窓枠部4の下側から、窓枠部4の被係止部45に係止される。
そして、上半部51Aの金属製接続部53の二股部532が首部45aに係止することで、上半部51Aの上端部が窓枠部4の接続面44に接続される(図2及び図7参照)。そして、ドア本体2の内部で、上半部51Aの下端部に下半部51Bが連結されて、センタチャンネル5が組み立てられる。そして、センタチャンネル5の取付金具51D,51Eがドア本体2の内部に締結されて、センタチャンネル5がドア本体2に固定される。
そして、図11(b)の矢印Q3に示すように、ガラスラン部材8の側辺ガラスラン部82がセンタチャンネル5の凹溝部51Sに嵌め込まれる。このように、車両用ドア1が組み立てられる。
<主要な効果>
以上、この実施形態に係る車両用ドア1によれば、窓開口部3を構成する窓枠部4と、上端部が窓枠部4に接続され、窓開口部3を前側開口部31と後側開口部32とに仕切るセンタチャンネル本体51と、窓枠部4に設けられたガラスラン部材8とを備え、ガラスラン部材8は、前側開口部31及び後側開口部32のうちの一方の開口部(例えば前側開口部31)における上辺部及びセンタチャンネル本体51の側の側辺部の各々に設けられた上辺ガラスラン部81及び側辺ガラスラン部82と、窓枠部4の上端部に設けられたドアシール部83とが一体的に構成されてなり、窓枠部4のセンタチャンネル本体51との接続面44には、被係止部45が設けられ、センタチャンネル本体51の上端部には、被係止部45に係止する金属製接続部53が設けられている。
この構成によれば、金属製接続部53は、金属で形成されてセンタチャンネル本体51に設けられているため、金属製接続部53とセンタチャンネル本体51とを強固に連結することができる。この金属製接続部53を用いて、センタチャンネル本体51と窓枠部4とを接続するため、センタチャンネル本体51を窓枠部4に強固に接続することができる。この結果、センタチャンネル本体51を窓枠部4にリジット締結しない場合でも、センタチャンネル本体51を窓枠部4に強固に接続することができる。
また、被係止部45は、窓枠部4の接続面44に立設された首部45aと、首部45aの先端部に設けられて首部45aよりも拡径の頭部45bとを有し、金属製接続部53は、上方に向かって開口して首部45aに係止する二股部532を有している。従って、金属製接続部53の二股部532が被係止部45の首部45aに係止されることで、センタチャンネル本体51が窓枠部4に接続することができる。この結果、センタチャンネル本体51の窓枠部4に対する横幅方向(即ち車両前後方向)、上下方向及び厚さ方向(即ち車幅方向)の位置を位置決めして、センタチャンネル本体51を窓枠部4に接続することができる。
また、二股部532は、上方に向かって開口しているため、被係止部45の首部45aに対して下側から係止することができる。この結果、センタチャンネル本体51を窓枠部4に対して下側から接続することができる。
また、頭部45bの座面45eは、その内周側ほど首部45aの基端側に傾斜した傾斜ガイド部(以後、傾斜ガイド部45eとも記載する。)を形成しているため、傾斜ガイド部45eによって、金属製接続部53の二股部532を被係止部45の首部45aに案内することができる。このため、金属製接続部53の二股部532を被係止部45の首部45aに容易に係止することができる。
また、センタチャンネル本体51は、窓枠部4の接続面44に垂直な垂直壁部51aを有し、金属製接続部53は、垂直壁部51aに固定された支持片部531と、支持片部531に設けられた二股部532とを有し、二股部532は、支持片部531と同方向に向けられた状態で支持片部531に垂直に設けられているため、センタチャンネル本体51の垂直壁部51aを利用して、金属製接続部53をセンタチャンネル本体51に固定することができる。
また、前側開口部31及び後側開口部32のうち、一方(例えば後側開口部32)が、固定ガラス7が配置される固定ガラス用開口部であり、他方(例えば前側開口部31)が、昇降ガラス6が配置される昇降ガラス用開口部であり、金属製接続部53は、センタチャンネル本体51における固定ガラス用開口部(即ち後側開口部32)の側の面(例えば垂直壁部51aの後側開口部32側の主面)に設けられている。このため、金属製接続部53を外部から視認できない部位に設けることができる。また、昇降ガラス6の昇降に影響を与えることなく、金属製接続部53をセンタチャンネル本体51に設けることができる。
また、前側開口部31及び後側開口部32のうちの他方の開口部(例えば後側開口部32)の上辺部には、他の上辺ガラスラン部91が設けられ、一方の開口部(例えば前側開口部31)に設けられた上辺ガラスラン部81と、他方の開口部に設けられた他の上辺ガラスラン部91とは、隣接して配置され、センタチャンネル本体51の上端部には、キャップ52が装着され、キャップ52は、上辺ガラスラン部81と他の上辺ガラスラン部91との間の隙間Gを覆う被覆部522を有する。従って、キャップ52の被覆部522を用いて、上辺ガラスラン部81と他の上辺ガラスラン部91との間の隙間Gを覆うことができる。この結果、部品点数を増やすことなく、上記の隙間Gを外部から視認できないように隠すことができる。
また、この実施形態に係る車両用ドアの組立方法によれば、ガラスラン部材8が窓枠部4に取り付けられた後に、センタチャンネル本体51に設けられた金属製接続部53が、窓枠部4の下側から、窓枠部4に設けられた被係止部45に係止されるため、ガラスラン部材8が窓枠部4に取り付けられる際に、センタチャンネル本体51が邪魔になることを防止できる。
また、車両用ドア1は、ドア本体2と、ドア本体2の上部に設けられた窓枠部4とを備え、センタチャンネル本体51は、上半部51Aと下半部51Bとに分割構成され、上半部51Aに金属製接続部53が設けられ、上半部51Aが窓開口部3に配置され、下半部51Bがドア本体2の内部に配置され、上半部51Aに設けられた金属製接続部53が窓枠部4に設けられた被係止部45に係止された後に、下半部51Bが上半部51Aに連結される。即ち、センタチャンネル本体51の上半部51Aが窓枠部4に接続された後に、センタチャンネル本体51の下半部51Bが上半部51Aに連結されるため、センタチャンネル本体51を窓枠部4に接続する際に、センタチャンネル本体51の下半部51Bがドア本体2の内部の底部やドア本体2内の他の部品に緩衝することを防止できる。
<変形例>
図12は、金属製接続部53の変形例を示す斜視図である。図12に示すように、この変形例では、金属製接続部53の二股部532は、金属製接続部53の支持片部531と同方向に向けられると共に支持片部531に平行に設けられている。より詳細には、二股部532の基端が支持片部531の先端に、互いに平行に連結されている。
このように構成された金属製接続部53は、センタチャンネル5の両側の平行壁部51b,51cのうちの一方の平行壁部(例えば内側の平行壁部51c)の内側の主面に設けられている。より詳細には、金属製接続部53の支持片部531が、一方の平行壁部51cの一方の主面の片半面(例えば前側開口部31側の片半面)の上端部側に、センタチャンネル5の長手方向に沿って、スポット溶接等で固定されている。
この状態で、金属製接続部53の二股部532は、センタチャンネル本体51の上辺部51d側に突出している。即ち、二股部532は、窓枠部4の接続面44に対して略平行な状態で上辺部51d側に突出している。そして、二股部532は、窓枠部4の被係止部45の首部45aに係止される。
この変形例によれば、二股部532は、支持片部531と同方向に向けられた状態で支持片部531に平行に設けられるため、センタチャンネル本体51の平行壁部51b,51cを利用して、金属製接続部53をセンタチャンネル本体51に固定することができる。また、支持片部531と二股部532との間に捩れ部や折曲部が無いため、金属製接続部53を単純形状化できると共に金属製接続部53の支持剛性を向上させることができる。
この発明は、上述の実施形態及び変形例の構成のみに限定されるものではなく、上記の実施形態及び変形例の組み合わせも含む。