JP6583160B2 - シリコーンゴム組成物及びシリコーンゴム - Google Patents
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〔1〕 (A)下記平均組成式(1)
RnSiO(4-n)/2 (1)
(式中、Rは同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜12の1価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。)
で表され、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン
100質量部、
(B)比表面積が50m2/g以上の補強性シリカ 5〜100質量部、
(C)動的光散乱法による体積基準の粒度分布における50%累積分布径が1〜200nmである無機微粒子からなる核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル構造を有する無機粒子の有機溶媒ゾルと、重合度が1〜20であるシラノール基含有シロキサンとの混合溶液 0.01〜50質量部、
(D)硬化剤 0.01〜10質量部
を含有してなるシリコーンゴム組成物であって、該シリコーンゴム組成物を200℃、4時間でポストキュアした後の2mm厚のシリコーンゴム硬化物の光透過率が、波長700nmで70%以上であることを特徴とするシリコーンゴム組成物。
〔2〕 (C)成分のコアシェル構造を有する無機粒子の表面が、下記一般式(3)
R19Si(Y)3 (3)
(式中において、R19は、それぞれ同一又は異なっていてもよく、(メタ)アクリル基、オキシラニル基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基もしくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上20以下のアルキル基と、炭素数2以上20以下のアルケニル基と、炭素数6以上20以下のアリール基と、ケイ素数50以下の(ポリ)ジメチルシロキシ基とからなる群から選ばれる置換基又は水素原子であり、Yはアルコキシ基、アセトキシ基、エノール基、塩素原子からなる群から選ばれる置換基である。)
で示される有機ケイ素化合物及び/又はその(部分)加水分解縮合物により表面修飾してなる〔1〕記載のシリコーンゴム組成物。
〔3〕 (C)成分の混合溶液において、コアシェル構造を有する無機粒子の含有量が1〜30質量%である〔1〕又は〔2〕記載のシリコーンゴム組成物。
〔4〕 (C)成分の有機溶媒ゾル中におけるコアシェル構造を有する無機粒子の含有量が1〜50質量%である〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載のシリコーンゴム組成物。
〔5〕 前記コアシェル構造を有する無機粒子が、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化ジルコニウム及び酸化鉄からなる群より選ばれる1種以上を含む核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル粒子である〔1〕〜〔4〕のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
〔6〕 硬化剤(D)が有機過酸化物である〔1〕〜〔5〕のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
〔7〕 硬化剤(D)が、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒との組み合せからなる付加反応硬化型である〔1〕〜〔5〕のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
〔8〕 〔1〕〜〔7〕のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物の硬化物からなるシリコーンゴム。
本発明のシリコーンゴム組成物としては、ベースポリマーとして1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン(A)に、硬化剤(D)として付加反応硬化剤(D−1)及び/又は有機過酸化物硬化剤(D−2)を用いたものであることが特徴である。形状はミラブルタイプでも液状タイプでもよい。液状シリコーンゴム組成物は室温(通常、25℃±10℃)において自己流動性を有するのに対して、ミラブル型シリコーンゴム組成物とは、粘度が高く、室温において自己流動性がない非液状(固体状又は高粘稠なペースト状)であって、ロールミル等の混練手段によって高せん断応力下に均一に混合できる生ゴム状の組成物を意味するものである。
本発明において、(A)成分は、下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサンである。
RnSiO(4-n)/2 (1)
(式中、Rは同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜12の1価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。)
また、全R中80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは脂肪族不飽和基を除く全てのRがアルキル基、特にはメチル基であることが望ましい。
(B)成分の補強性シリカは、機械的強度の優れたシリコーンゴム組成物を得るために添加される充填材であり、この目的のためにはBET吸着法による比表面積が50m2/g以上であることが必要であり、好ましくは100〜450m2/g、より好ましくは100〜300m2/gである。比表面積が50m2/g未満であると、硬化物の機械的強度が低くなってしまう。
(C)成分は、動的光散乱法による体積基準の粒度分布における50%累積粒子径が1〜200nmである無機微粒子からなる核(コア)の外側に酸化ケイ素の殻(シェル)を有するコアシェル構造を有する無機粒子(以下、「コアシェル無機粒子」と言う場合もある)の有機溶媒ゾルと、重合度が1〜20であるシラノール基含有シロキサンとの混合溶液である。
(C)成分におけるコアシェル無機粒子は、核を構成する無機微粒子を構成する元素として、好ましくは13族元素、14族元素(炭素を除く)、第1遷移元素、第2遷移元素、第3遷移元素、ランタノイド等が挙げられる。13族元素では、特にアルミニウム、ホウ素、インジウム等から誘導される酸化物が好適である。14族元素(炭素を除く)では、金属ケイ素粒子や、ケイ素、スズ等から誘導される酸化物が好適である。第1遷移元素では、チタン、マンガン、亜鉛等から誘導される酸化物が好適である。これらの酸化物は、特定波長の光吸収材料として用いられることが多い。第2遷移元素では、銀粒子や、イットリウム、ジルコニウム等から誘導される酸化物が好適である。これらの酸化物は、特定波長の光吸収及び蛍光材料として用いられることが多い。第3遷移元素では、金粒子や、ハフニウム、タンタル等から誘導される酸化物が好適である。ランタノイドでは、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、テルビウム、ジスプロジウム、イッテルビウム等から誘導される酸化物が好適である。これらの酸化物は、特定波長の光吸収及び蛍光材料として用いられることが多い。
(M1Ox)d(M2Oy)e (2)
なお、このように無機微粒子の核に酸化ケイ素の殻を形成する方法としては、無機微粒子の分散液(ゾル)とアルコキシシランとを用いたゾル−ゲル法によって得られる加水分解物・重縮合物を該微粒子表面に形成して核とする方法などが挙げられる。
(C)成分のコアシェル無機粒子の有機溶媒ゾルの製造方法における第一の工程(α)は、動的光散乱法で測定した体積基準の50%累積粒子径(D50)が1〜200nmであるコアシェル無機粒子が極性有機溶媒に分散した分散液を準備する工程である。
上記の(α)工程においては、水を分散媒とするコアシェル無機酸化物粒子のコロイド分散液を用いて行うことが好ましい。水としては、水道水、工業用水、井戸水、天然水、雨水、蒸留水、イオン交換水等の淡水を用いることができるが、特にイオン交換水であることが好ましい。イオン交換水は、純水製造器(例えば、オルガノ(株)社製、製品名「FW−10」、メルクミリポア(株)社製、製品名「Direct−QUV3」等)を用いて製造することができる。また、分散媒には、以下に述べるように水分散コロイド溶液を製造する工程で水と任意に混和可能な1価のアルコールを含んでいてもよい。水と任意に混和可能な1価のアルコールは、コアシェル粒子を製造する際の共溶媒及びゾル−ゲル反応における金属アルコキシドの加水分解副生成物としての由来で含有してもよい。
工程(α−1)では下記一般式(3)で表される有機ケイ素化合物及び/又は同有機ケイ素化合物の(部分)加水分解縮合物を添加してコアシェル無機粒子表面を修飾する工程である。
R19Si(Y)3 (3)
(式中において、R19は、それぞれ同一又は異なっていてもよく、(メタ)アクリル基、オキシラニル基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基もしくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上20以下のアルキル基と、炭素数2以上20以下のアルケニル基と、炭素数6以上20以下のアリール基と、ケイ素数50以下の(ポリ)ジメチルシロキシ基とからなる群から選ばれる置換基又は水素原子であり、Yはアルコキシ基、アセトキシ基、エノール基、塩素原子からなる群から選ばれる置換基である。)
工程(α−2)は極性有機溶媒で反応液中の分散媒を置換する工程であって、限外ろ過によって分散液の分散媒を滲出せしめることによって、必要に応じて濃縮を行うことができる。分散媒には、工程(α−1)で製造した水分散液に含まれる水、添加した有機ケイ素化合物及び/又は有機ケイ素化合物の加水分解縮合物及び/又は加水分解縮合で生成した珪酸エステルに由来するアルコール類、有機溶剤類を含むことができる。このような複合系の分散液を滲出することによって、ろ過室内の分散液の分散質濃度を、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは10〜20質量%まで濃縮する。本系で滲出する分散媒は、複雑な混合物をなしているが、多孔性セラミックフィルターを好適に用いることができる。従来の手法では水中の塩類の除去には中空糸膜が好適に用いられていたが、粒子分散系では閉塞のおそれがあった。粒子の除去・濃縮・固液分離といった領域には有機系高分子性限外ろ過膜が用いられることが多いが、有機溶剤が含有するとろ過膜が膨潤して使用できなくなるおそれがあった。有機溶剤を含有する試料の固液分離・濃縮には無機セラミックフィルターが有用である。
τ=(η・π・φ・ω)/L [Pa] …… 数式(1)
例えば、直径φ=0.15[m]、ろ板の回転速度ω=16.7[rps](≒1,000[rpm])、円周率π=3.14、分散液の粘度η=0.001[Pa・s]、壁間距離L=0.003[m]とした場合のτ=(0.001×3.14×0.15×16.7)/0.003≒2.6[Pa]である。剪断応力は、上記好ましい範囲になるように、φ・ω・Lのそれぞれのパラメーターを変化させることで与えることができる。
Re=ρ・ω・φ2/η …… 数式(2)
この工程は、(C)成分における、コアシェル無機粒子の有機溶媒ゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液を調製する工程である。コアシェル無機粒子の有機溶媒ゾルは、前記(α−1)及び(α−2)を経て調製されたものを用いてもよいし、市販されているものを用いてもよい。分散質濃度など該有機溶媒ゾルの好ましい態様については、前記に述べたとおりである。シラノール基含有シロキサンは、1分子中に少なくとも2個、好ましくは2〜10個のシラノール基を有するオルガノ(ポリ)シロキサンである。シラノール基が2個未満であると、コアシェル無機粒子の有機溶媒ゾルと混合した際に、該粒子が凝集してしまったり、ゾルの透明性が低下したりするおそれがあるため好ましくない。なお、オルガノ(ポリ)シロキサンのケイ素原子に結合する水酸基以外の基は、炭素数1〜10、特に1〜6の1価炭化水素基が挙げられ、好ましくはアルキル基、特にメチル基である。シラノール基含有シロキサンの重合度は、1〜20であることが必要であり、好ましくは1〜10である。重合度が20より大きいと、コアシェル無機粒子の有機溶媒ゾルと混合すると、コアシェル無機粒子が沈降してしまい、シリコーンゴム組成物及びその硬化物の透明性が悪化してしまう。コアシェル無機粒子の有機溶媒ゾルとシラノール基含有シロキサンとを混合する際には、それらの割合は、質量比で1/10〜5/1である。コアシェル無機粒子の有機溶媒ゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合割合は、特に制限はないが、質量比で1/10〜5/1であることが好ましく、より好ましくは1/5〜2/1である。有機溶媒ゾルとシラノール基含有シロキサンとの割合が1/10より小さい場合には、混合液中の無機粒子の分散が不十分になり、シリコーンゴム組成物及びその硬化物の透明性が悪化するおそれがある。上記混合割合が5/1より大きい場合には、コンパウンド中の無機粒子の分散が不十分になり、シリコーンゴム組成物及びその硬化物の透明性が悪化するおそれがある。コアシェル無機粒子の有機溶媒ゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合物は、均一に分散していることが好ましく、特には沈降物が無いことが望ましい。
硬化剤としては、上記したように(D−1)付加反応硬化剤と(D−2)有機過酸化物硬化剤が挙げられる。
(D−1)付加反応硬化剤としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒を組み合せて用いる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1分子中に2個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは3〜200個、更に好ましくは4〜100個程度のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を含有すれば、直鎖状、環状、分枝状、三次元網状構造のいずれであってもよく、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の架橋剤として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができ、例えば、下記平均組成式(6)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができる。
R20 pHqSiO(4-p-q)/2 (6)
(D−2)有機過酸化物硬化剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−t−ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。有機過酸化物の添加量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜10質量部、特に0.2〜5質量部が好ましい。配合量が少なすぎると硬化が不十分となる場合があり、多すぎると有機過酸化物の分解残渣によりシリコーンゴム硬化物が黄変する場合がある。なお、(A)成分に、(D−1)成分と(D−2)成分とを、それぞれ上記配合量の範囲内で組み合せて配合した、付加反応硬化と有機過酸化物硬化とを併用した共加硫型のシリコーンゴム組成物とすることもできる。
本発明のシリコーンゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において上記成分に加え、必要に応じて、粉砕石英、結晶性シリカ、珪藻土、炭酸カルシウム等の充填材、着色剤、引き裂き強度向上剤、受酸剤、アルミナや窒化硼素等の熱伝導率向上剤、離型剤、充填材用分散剤として各種アルコキシシラン、特にフェニル基含有アルコキシシラン及びその加水分解物、ジフェニルシランジオール、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子シロキサンなどの熱硬化型のシリコーンゴム組成物における公知の充填材や添加剤を添加することは任意である。
JIS K 6249:2003に準拠して作製した試験用シートを用いて、JIS K 6249:2003に準じた方法で、各種物性〔硬さ(デュロメーターA)、引張強さ、切断時伸び〕を測定した。その結果を表1に示す。
分光光度計(日立製作所(株)製、型式:U−3310)を用いて、200℃、4時間ポストキュア後の2mm厚シリコーンゴムシートの光透過率を測定した。波長700nmと340nmの際の光透過率を表1に併記する。
(コアシェル粒子の水分散液1の調製)
無機酸化物水分散液として、酸化チタン−酸化スズ複合酸化物を核とし、酸化ケイ素を殻とするコアシェル粒子を分散質とし、水を分散媒とするものを調製した。まず、核となる酸化チタン−酸化スズ粒子を含有する分散液を製造し、次いで、テトラエトキシシランを加水分解縮合することで、コアシェル粒子を含有する分散液とした。
(コアシェル粒子のエタノール分散液1の合成)
ジムロート冷却管、窒素導入管、温度計、機械撹拌羽根を備えた4つ口2Lセパラブルフラスコに、金属酸化物粒子水分散液として、調製例1で調製したコアシェル粒子の水分散液1(300g、固形分濃度14質量%)と、触媒としてスルホン酸系カチオン性イオン交換樹脂を3g入れた。ここに、メチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)社製、製品名「KBM−13」、225g)を入れて激しく撹拌(250rpm)した。撹拌によって分散液とアルコキシシランが反応し、均一になる様子が観測された。その際、分散液の温度が25℃から52℃まで上昇する様子が観測された。分散液の温度が50℃になるように2時間加熱撹拌した後、分散液にエタノール(750g)を撹拌(250rpm)しながら添加して希釈した。希釈分散液をダイナフィルター(三菱化工機(株)社製、製品名「DyF152/S」、平均細孔径7nmのMgAl2O製ディスク[ANDRITZ KMPT GmbH製、品番2065181、型φ152/7nm])に導入した。0.2MPaの静圧を圧縮空気によって与えながら、フィルターと連結した回転軸を回転(1,000rpm)させた。セラミックフィルターを経て分散液が滲出する様子が観測された。フィルター排出口には受器(5,000mL)を設け、滲出液を800g分取した。濃縮された分散液に対して、継続して有機溶剤(エタノール)を加圧供給(0.2MPa)した。0.2MPaの静圧を圧縮空気によって与えながら、フィルターと連結した回転軸を回転(1,000rpm)させた。セラミックフィルターを経て分散液が滲出する様子が観測された。フィルター排出口には受器(5,000mL)を設け、滲出液が800gに達するまでエタノールの加圧供給を行った。ろ過室から分散液を取り出し、コアシェル粒子のエタノール分散液1を得た。コアシェル粒子のエタノール分散液1の分散質濃度は17質量%、水分濃度1.1質量%、粒径3nmであった。この時、粒径は動的光散乱法で測定した体積基準の50%累積分布径(D50)の値であり、ナノトラックUPA−EX150(日機装(株)製)を用いて測定した。また、コアシェル粒子のエタノール分散液1の分散媒を減圧留去によって除去したサンプルの熱重量分析を行った結果、粒子全体に対するシロキサン成分の含有量は9質量%であった。
(コアシェル粒子のエタノール分散液2の合成)
調製例1で調製した酸化チタン−酸化スズ複合酸化物を核としたコアシェル粒子の水分散液1の代わりに、酸化セリウム水分散液(日産化学工業(株)社製、「ナノユースCE−T20B」、分散質濃度20質量%)150gとイオン交換水150gの混合液を用いた他は、調製例2と同様の方法で、酸化セリウムを核(コア)とし、メチルトリメトキシシランの縮合物を殻(シェル)としたコアシェル粒子のエタノール分散液2を調製した。このエタノール分散液2の分散質濃度は15質量%、水分濃度は0.4質量%、粒径3nmであった。また、コアシェル粒子のエタノール分散液2の分散媒を減圧留去によって除去したサンプルの熱重量分析を行った結果、粒子全体に対するシロキサン成分の含有量は8質量%であった。
(コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液1の調製)[β工程]
調製例2で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液1の16.5gと、両末端にシラノール基を有し、平均重合度3、25℃における粘度が15mPa・sであるジメチルポリシロキサン50gを混合し、コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンの混合液1を調製した。
(コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液2の調製)[β工程]
調製例2で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液1の10.0gと、両末端にシラノール基を有し、平均重合度3、25℃における粘度が15mPa・sであるジメチルポリシロキサン50gを混合し、コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンの混合液2を調製した。
(コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液3との調製)[β工程]
調製例3で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液2の20.0gと、両末端にシラノール基を有し、平均重合度3、25℃における粘度が15mPa・sであるジメチルポリシロキサン50gを混合し、コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンの混合液3を調製した。
(コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液4の調製)[β工程]
調製例2で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液1の16.5gと、両末端にシラノール基を有し、平均重合度15、25℃における粘度が30mPa・sであるジメチルポリシロキサン100gを混合し、コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンの混合液4を調製した。
(コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液5の調製)[β工程]
調製例2で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液1の16.5gと、両末端にシラノール基を有し、平均重合度25、25℃における粘度が60mPa・sであるジメチルポリシロキサン150gを混合し、コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンの混合液5を調製した。
(コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液6の調製)[β工程]
調製例3で調製したコアシェル粒子のエタノール分散液2の20.0gと、両末端にシラノール基を有し、平均重合度25、25℃における粘度が60mPa・sであるジメチルポリシロキサン150gを混合し、コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンの混合液6を調製した。
ジメチルシロキサン単位99.825モル%、メチルビニルシロキサン単位0.15モル%、ジメチルビニルシロキシ単位0.025モル%からなり、平均重合度が約6,000であるオルガノポリシロキサン生ゴム100質量部、BET法比表面積が200m2/gのヒュームドシリカ(アエロジル200、日本アエロジル(株)製)55質量部に、調製例4で調製したコアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液1を6.65質量部添加し、ニーダーにて混練りし、170℃にて2時間加熱処理して組成物(ベースコンパウンド1)を調製した。
この組成物(ベースコンパウンド1)100質量部に対し、硬化剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.4質量部を二本ロールにて添加し、均一に混合して生ゴム状のシリコーンゴム組成物を製造した後、該組成物を165℃、70kgf/cm2の条件で10分間プレスキュアを行い、2mm厚のシートを作製した。次いで200℃のオーブンで4時間ポストキュアを実施した。
これらのシリコーンゴムシートを室温(25℃)に戻し、各種物性及び光透過率を測定した。その結果を表1に示す。
調製例5で調製したコアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液1のかわりに、調製例6で調製したコアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液2を6質量部用いた他は、実施例1と同様にして、各種物性及び光透過率を測定した。その結果を表1に示す。
コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液1のかわりに、コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液3を7質量部用いた他は、実施例1と同様にして、各種物性及び光透過率を測定した。その結果を表1に示す。
硬化剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンではなく、付加反応型硬化剤としてC25A(白金触媒、白金原子として0.09質量%含有、信越化学工業(株)社製)0.5質量部及びC25B(オルガノハイドロジェンポリシロキサン40質量%含有、信越化学工業(株)社製、オルガノハイドロジェンポリシロキサン)2.0質量部を添加し、該組成物を120℃、70kgf/cm2の条件で10分間プレスキュアした以外は、実施例1と同様にして、各種物性及び光透過率を測定した。その結果を表1に示す。
コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液1のかわりに、コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液4を11.65質量部用いた他は、実施例1と同様にして、各種物性及び光透過率を測定した。結果を表1に示す。
コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液1のかわりに、両末端にシラノール基を有し、平均重合度3、25℃における粘度が15mPa・sであるジメチルポリシロキサン5質量部を用いた他は、実施例1と同様にして、各種物性及び光透過率を測定した。その結果を表1に示す。
コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液1のかわりに、コアシェル粒子のエタノール分散液1を1.65質量部と両末端シラノール基を有し、平均重合度3、25℃における粘度が15mPa・sであるジメチルポリシロキサン5.0質量部を用いた他は、実施例1と同様にして、各種物性及び光透過率を測定した。その結果を表1に示す。
コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液1のかわりに、コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液5を16.65質量部用いた他は、実施例1と同様にして、各種物性及び光透過率を測定した。その結果を表1に示す。
コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液3のかわりに、コアシェル無機粒子エタノールゾルとシラノール基含有シロキサンとの混合液6を17質量部用いた他は、実施例3と同様にして、各種物性及び光透過率を測定した。その結果を表1に示す。
Claims (8)
- (A)下記平均組成式(1)
RnSiO(4-n)/2 (1)
(式中、Rは同一又は異種の非置換もしくは置換の炭素数1〜12の1価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。)
で表され、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン
100質量部、
(B)比表面積が50m2/g以上の補強性シリカ 5〜100質量部、
(C)動的光散乱法による体積基準の粒度分布における50%累積分布径が1〜200nmである無機微粒子からなる核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル構造を有する無機粒子の有機溶媒ゾルと、重合度が1〜20であるシラノール基含有シロキサンとの混合溶液 0.01〜50質量部、
(D)硬化剤 0.01〜10質量部
を含有してなるシリコーンゴム組成物であって、該シリコーンゴム組成物を200℃、4時間でポストキュアした後の2mm厚のシリコーンゴム硬化物の光透過率が、波長700nmで70%以上であることを特徴とするシリコーンゴム組成物。 - (C)成分のコアシェル構造を有する無機粒子の表面が、下記一般式(3)
R19Si(Y)3 (3)
(式中において、R19は、それぞれ同一又は異なっていてもよく、(メタ)アクリル基、オキシラニル基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基もしくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上20以下のアルキル基と、炭素数2以上20以下のアルケニル基と、炭素数6以上20以下のアリール基と、ケイ素数50以下の(ポリ)ジメチルシロキシ基とからなる群から選ばれる置換基又は水素原子であり、Yはアルコキシ基、アセトキシ基、エノール基、塩素原子からなる群から選ばれる置換基である。)
で示される有機ケイ素化合物及び/又はその(部分)加水分解縮合物により表面修飾してなる請求項1記載のシリコーンゴム組成物。 - (C)成分の混合溶液において、コアシェル構造を有する無機粒子の含有量が1〜30質量%である請求項1又は2記載のシリコーンゴム組成物。
- (C)成分の有機溶媒ゾル中におけるコアシェル構造を有する無機粒子の含有量が1〜50質量%である請求項1、2又は3記載のシリコーンゴム組成物。
- 前記コアシェル構造を有する無機粒子が、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化ジルコニウム及び酸化鉄からなる群より選ばれる1種以上を含む核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル粒子である請求項1〜4のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
- 硬化剤(D)が有機過酸化物である請求項1〜5のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
- 硬化剤(D)が、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒との組み合せからなる付加反応硬化型である請求項1〜5のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物の硬化物からなるシリコーンゴム。
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