JP6571481B2 - 2−シアノアクリレートモノマーの重合促進剤、及び、体毛に繊維を接着させる方法 - Google Patents

2−シアノアクリレートモノマーの重合促進剤、及び、体毛に繊維を接着させる方法 Download PDF

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本発明は、例えば、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤によって、まつ毛などの体毛と人工まつ毛などの人工繊維とを接着させるときに、上記モノマーの重合を促進させるための重合促進剤に関する。本発明は、2−シアノアクリレートモノマーを含有する接着剤によって体毛に繊維を接着させる方法に関する。
2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤は、空気中の水分によって2−シアノアクリレートモノマーが重合することにより、被接着体同士を短時間で強固に接着することができるものである。このため、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤は、いわゆる瞬間接着剤として工業用、医療用、家庭用等の分野において広く用いられている。近年、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤は、まつ毛に人工まつ毛を接着する、いわゆるまつ毛エクステンションと称される処置にも用いられている。
まつ毛エクステンションの処置では、2−シアノアクリレートモノマーから発生するホルムアルデヒドにより、被施術者や施術者に皮膚アレルギーが発生したり、目やのどへの刺激が発生したりする問題が生じる。この問題は、まつ毛に限らず、たとえばまゆ毛や毛髪等の体毛に人工の繊維を接着する際にも、ホルムアルデヒドによって同様に生じる。
このような問題点に鑑み、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤(以下、2−シアノアクリレート系接着剤ともいう)を用いるための技術として、人工まつ毛に接着剤を塗布した後、接着剤から揮発する揮発成分を吸引器具によって吸引しながら人工まつ毛をまつ毛に装着する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、2−シアノアクリレート系接着剤を使用する場合に、2−シアノアクリレートモノマーが揮発し、空気中等の水分に接触して分解することによって上記のごとくホルムアルデヒドが発生するため、特許文献1に記載の方法では、上記のような吸引器具によってホルムアルデヒドを吸引したとしても、ホルムアルデヒドの発生自体を防止できない。
一方、第3級アミン化合物を含有する2−シアノアクリレート系接着剤に関する技術が知られている(例えば、特許文献2)。しかしながら、特許文献2に記載の2−シアノアクリレート系接着剤を、例えばまつ毛エクステンション処置において採用すると、アミン化合物特有の不快な臭気により、被施術者や施術者をとりまく施術環境が悪くなると考えられる。
また、水や有機アミド化合物のような表面処理剤を2−シアノアクリレート系接着剤の接着層に塗布することによってホルムアルデヒドの発生量を低減させる接着体の接着方法が出願されている(例えば、特許文献3)。しかしながら、特許文献3に記載された発明では、表面処理剤として水を用いる場合、その水が接着層から揮発する2−シアノアクリレートモノマーと接触することがホルムアルデヒドの発生の要因となるので、実際にはホルムアルデヒドの発生量を低減させることの実効が図られない。また、他の表面処理剤である有機アミド化合物は、一般にホルムアルデヒド捕捉剤として知られているが、このような捕捉剤は、発生したホルムアルデヒドを捕捉するもので、ホルムアルデヒドが発生すること自体を抑制できるものではない。
一方、第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを含むホルムアルデヒド捕捉剤が知られている(例えば、特許文献4)。特許文献4に記載のホルムアルデヒド捕捉剤は、家具、建材、保温材、緩衝剤、断熱材等の木質材料から放散されるホルムアルデヒドを捕捉するためのものである(段落[0001]を参照)。しかしながら、特許文献4に記載の捕捉剤は、木質材料からすでに放散されたホルムアルデヒドを捕捉するものである。従って、特許文献4に記載の捕捉剤は、ホルムアルデヒドが発生すること自体を抑制するものではない。
特開2015−105447号公報 特開2009−235115号公報 特開2008−144060号公報 特開2007−191575号公報
本発明は、上記の問題点に鑑み、ホルムアルデヒドの発生を抑制することができる、2−シアノアクリレートモノマーの重合促進剤を提供することを課題とする。また、本発明は、ホルムアルデヒドの発生を抑制することができる、体毛に繊維を接着させる方法を提供することを課題とする。
本発明に係る2−シアノアクリレートモノマーの重合促進剤は、少なくともリン酸水素二アンモニウムを含む。斯かる重合促進剤によれば、該重合促進剤に含まれているリン酸水素二アンモニウムによって2−シアノアクリレートモノマーの重合を促進させることができるため、2−シアノアクリレートモノマーの副反応によってホルムアルデヒドが発生することを抑制できる。
本発明に係る体毛に繊維を接着させる方法は、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤を繊維又は被施術者の体毛に塗布する工程と、上記重合促進剤の存在下において、前記2−シアノアクリートモノマーの重合を促進して該2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤により前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程とを有する、体毛に繊維を接着させる方法である。
斯かる方法によれば、重合促進剤に含まれるリン酸水素二アンモニウムによって、2−シアノアクリレートモノマーの重合を促進させることができるため、2−シアノアクリレートモノマーの副反応によってホルムアルデヒドが発生することを抑制できる。また、ホルムアルデヒドの発生を抑制できる結果、ホルムアルデヒドによる皮膚アレルギーが被施術者や施術者に発生することを防止できる。
前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程においては、該被施術者の体の外表面に重合促進剤を塗布することにより、重合促進剤を施術環境下に存在させることができる。
被施術者の体の外表面に重合促進剤を塗布すれば、その被施術者の体毛に繊維を接着させる接着剤中の2−シアノアクリートモノマーに対して重合促進剤中のリン酸水素二アンモニウムが作用し易くなり、2−シアノアクリートモノマーの重合が好適に促進されることとなる。
被施術者の体の外表面は、たとえば、被施術者の体毛、該体毛の周囲の皮膚、該体毛の周囲の皮膚に貼着されたテープである。
また、前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程においては、該被施術者が施術される施術室内に前記重合促進剤を配置することにより、該重合促進剤を施術環境下に存在させることができる。
体毛としては、たとえばまつ毛があり、繊維としては、たとえば人工のまつ毛のようなものが用いられる。まつ毛に人工のまつ毛を接着する場合に上記の方法が適用される場合には、ホルムアルデヒドの発生の抑制によって、被施術者や施術者に皮膚アレルギーが発生することを防止できるだけでなく、被施術者や施術者の目やのどに刺激が生じることも防止できる。
本発明に係る体毛に繊維を接着させる方法は、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤を繊維又は被施術者の体毛に塗布する工程と、請求項1に記載の重合促進剤を前記被施術者の体の外表面に塗布することにより、前記2−シアノアクリートモノマーの重合を促進して前記接着剤により前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程と、を有してもよい。
上記の方法は、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤を繊維又は被施術者の体毛に塗布する工程と、請求項1に記載の重合促進剤を前記被施術者の体毛に塗布することにより、前記2−シアノアクリートモノマーの重合を促進して前記接着剤により前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程と、を有してもよい。
上記の方法は、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤を繊維又は被施術者の体毛に塗布する工程と、請求項1に記載の重合促進剤を、前記被施術者が施術される施術室内に配置することにより、前記2−シアノアクリートモノマーの重合を促進して前記接着剤により前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程と、を有してもよい。
本発明によれば、2−シアノアクリレートモノマーからホルムアルデヒドが発生することを抑制できる。
試験例3の各水溶液に2−シアノアクリレート系接着剤を滴下した滴下後の経過時間とホルムアルデヒドの発生量との相関関係を示すグラフ。 試験例4のゲル製剤を2−シアノアクリレート系接着剤の傍に設置した後の経過時間とホルムアルデヒドの発生量との相関関係を示すグラフ。 試験例5のゲル製剤及び水溶液をサージカルテープに塗布し、サージカルテープが貼られていない部分に2−シアノアクリレート系接着剤を滴下した後の経過時間とホルムアルデヒドの発生量との相関関係を示すグラフ。 試験例6の水溶液を2−シアノアクリレート系接着剤に塗布した塗布後の経過時間とホルムアルデヒドの発生量との相関関係を示すグラフ。
以下に、本発明に係る2−シアノアクリレートモノマーの重合促進剤(2−シアノアクリレートモノマーからホルムアルデヒドが発生することを抑制するホルムアルデヒド発生抑制剤)の一実施形態について説明する。
本実施形態の2−シアノアクリレートモノマーの重合促進剤は、少なくともリン酸水素二アンモニウムを含む。
本実施形態の重合促進剤は、上記リン酸水素二アンモニウムの他に、さらに、水、増粘剤、アルコール類、油脂類、界面活性剤、その他の添加剤(pH緩衝剤、防腐剤、酸化防止剤)などを含み得る。
前記増粘剤としては、例えば、一般的に化粧品原料として用いられるものが挙げられる。例えば、増粘剤としては、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸ベヘネス−25)クロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ステアレス−25)クロスポリマー、(アクリル酸/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、ポリエチレングリコール、ベントナイト等が例示される。これらの増粘剤は、1種又は2種以上が混合されて使用され得る。
前記アルコール類としては、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ポリエチレングリコール、グリセリン、1、3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1、2−ペンタンジオール、2、4−ヘキシレングリコール、1、2−ヘキサンジオール、1、2−オクタンジオール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等が例示される。これらは、1種又は2種以上が混合されて使用され得る。
前記油脂類としては、たとえば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油、などが挙げられる。
前記界面活性剤としては、たとえば、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、などが挙げられる。
前記その他添加剤としては、たとえば、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成金雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類、香料等が挙げられる。
上記の重合促進剤は、リン酸水素二アンモニウムを0.1質量%以上40質量%以下含むことが好ましく、1質量%以上40質量%以下含むことがより好ましい。リン酸水素二アンモニウムを0.1質量%以上含むことにより、ホルムアルデヒドの発生をより十分に抑制できるという利点がある。リン酸水素二アンモニウムを40質量%以下含むことにより、リン酸水素二アンモニウムが水により確実に溶解するという利点がある。
上記の重合促進剤は、通常、リン酸水素二アンモニウムに対する水の質量比が1.5以上となるように、水とリン酸水素二アンモニウムとを含む。なお、水としては、精製水やイオン交換水などを用いることができる。
上記の重合促進剤は、増粘剤を1質量%以上含むことが好ましい。上記の重合促進剤は、通常、増粘剤を5質量%以下含む。増粘剤としては、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマーが好ましい。
上記の重合促進剤は、増粘剤を含むことにより、ゲル状の状態であることが好ましい。ゲル状であることにより、上記の重合促進剤を塗布対象物に塗布するときの塗布量を容易に調整できるという利点がある。
前記重合促進剤は、一般的な方法によって製造される。具体的には、前記重合促進剤は、例えば、水、リン酸水素二アンモニウム、多価アルコール、増粘剤などを混合することにより、製造できる。
本実施形態の重合促進剤が重合を促進させる2−シアノアクリレートモノマーは、下記一般式の分子構造を有する。
(式中、Rは、炭素数が1〜4の飽和若しくは不飽和の炭化水素を示す。)
前記2−シアノアクリレートモノマーは、空気中の水分などによって重合し、重合体となる。一方、水が過剰に存在する環境下では、2−シアノアクリレートモノマーは、重合反応が抑えられる代わりに副反応が促進され、ホルムアルデヒドを発生させる。上記の重合促進剤は、リン酸水素二アンモニウムによって、2−シアノアクリレートモノマーの副反応を抑制できる。斯かる副反応が抑制される機構については、必ずしも明らかではないが、2−シアノアクリレートモノマーが揮発することをリン酸水素二アンモニウムが抑制するためと考えられる。
本実施形態の重合促進剤は、例えば、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤が使用される室内に配置されて使用される。また、本実施形態の重合促進剤は、例えば、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤が繊維又はヒト(被施術者)の体毛に塗布された場合に、ヒトの外表面(体毛や皮膚)に塗布されて使用される。
次に、本発明に係る体毛に繊維を接着させる方法の実施形態について説明する。
本実施形態の体毛に繊維を接着させる方法(以下、単に上記の方法ともいう)は、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤を繊維又は被施術者の体毛に塗布する工程(以下、接着剤塗布工程ともいう)と、上記の少なくともリン酸水素二アンモニウムを含む重合促進剤の存在下において、前記2−シアノアクリートモノマーの重合を促進して該2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤により前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程(以下、接着工程ともいう)と、を有する。なお、「重合促進剤の存在下」とは、重合促進剤に含まれる揮発成分の存在下であることを包含する。
上記の方法は、例えば、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤を繊維又は被施術者の体毛に塗布する工程と、上記の重合促進剤を前記被施術者の体の外表面に塗布することにより、前記2−シアノアクリートモノマーの重合を促進して前記接着剤により前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程と、を有する。
上記の方法は、例えば、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤を繊維又は被施術者の体毛に塗布する工程と、上記の重合促進剤を前記被施術者の体毛に塗布することにより、前記2−シアノアクリートモノマーの重合を促進して前記接着剤により前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程と、を有する。
上記の方法は、例えば、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤を繊維又は被施術者の体毛に塗布する工程と、上記の重合促進剤を、前記被施術者が施術される施術室内に配置することにより、前記2−シアノアクリートモノマーの重合を促進して前記接着剤により前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程と、を有する。
上記の方法は、例えば、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤によって、体毛としてのまつ毛に、繊維としての人工まつ毛を接着させるまつ毛エクステンションの処置において使用される。
前記接着剤塗布工程においては、繊維は、例えば、人工まつ毛である。繊維としては、人工まつ毛以外も使用されうる。繊維としては、体毛に接着され得るものであれば、特に限定されず、例えば、人工眉毛、マスカラ用繊維、ヘアウィッグなどが挙げられる。繊維の材質としては、例えば、ポリアミド(製品名ナイロン)、ポリプロピレン、シルク、人毛などが挙げられる。
前記接着剤塗布工程においては、被施術者の体毛としては、まつ毛、眉毛、髪の毛などのヒトの頭部の体毛が挙げられる。体毛は、まつ毛であることが好ましい。
前記接着剤塗布工程において、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤は、例えば、被施術者のまつ毛をより長く見せるためのまつ毛エクステンション処置において、使用され得る。まつ毛エクステンション処置においては、2−シアノアクリレートモノマーとして、エチル2−シアノアクリレートモノマーが採用されることが好ましい。
前記接着剤は、2−シアノアクリレートモノマーを主成分として含み、使用目的に応じて増粘剤、溶剤、可塑剤、着色剤などをさらに含む。前記接着剤は、通常、2−シアノアクリレートモノマーを70質量%以上含む。
前記接着工程においては、該被施術者の体の外表面に重合促進剤を塗布することにより、重合促進剤を施術環境下に存在させることができる。この場合、重合促進剤は、被施術者の体の外表面(頭部の外表面など)に塗布される。被施術者の体の外表面は、たとえば被施術者の体毛、該体毛の周囲の皮膚、該体毛の周囲の皮膚に貼着されるテープ外面である。また、たとえば、被施術者の体毛と繊維とに付着した状態の、上記2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤に、重合促進剤を塗布することもできる。
例えば、前記接着工程において、体毛に重合促進剤が塗布されることにより、体毛に塗布された2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤と、前記重合促進剤とを接触させてもよい。重合促進剤は、例えば、体毛に限らず、皮膚に塗布されて使用されることもできる。重合促進剤は、皮膚に貼着されたテープなどのシート状物上に塗布されて使用されてもよい。
皮膚としては、顔の皮膚などが挙げられる。顔の皮膚としては、頬の皮膚、まぶたなどの目の周囲の皮膚などが挙げられる。上記まつ毛エクステンション処置においては、重合促進剤を、まぶた等の目の周囲に塗布することが好ましい。
接着工程においては、該被施術者が施術される施術室内に前記重合促進剤を配置することにより、該重合促進剤を施術環境下に存在させることができる。被施術者が施術される施術室内とは、たとえば上記まつ毛エクステンション処置の場合には、まつ毛エクステンション処置を行う施術者によって被施術者が処置される処置室内である。
この場合には、例えば、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤の近辺に重合促進剤が置かれ、重合促進剤が空気に暴露された状態で、接着工程を行うことができる。接着剤中の2−シアノアクリレートモノマーからホルムアルデヒドが発生し得るが、接着剤の近辺に、リン酸水素二アンモニウムを含む重合促進剤が置かれているため、ホルムアルデヒドの発生を抑制できる。この結果、被施術者だけでなく、施術者に対しても、皮膚アレルギーの発生や、目、のどの刺激が生じることを防止できる。
接着工程では、通常、繊維の伸長方向と、体毛の伸長方向とが同じ方向となるように、繊維を体毛に接着させる。例えば、まつ毛の伸長方向と、繊維としての人工まつ毛繊維の伸長方向とが同じ方向となるように、まつ毛に人工まつ毛繊維を接着させる。
本実施形態の重合促進剤、体毛に繊維を接着させる方法は、上記例示の通りであるが、上記例示のものに限定されるものではない。また、一般の重合促進剤、体毛に繊維を接着させる方法において採用される種々の形態を、本発明の効果を損ねない範囲で採用することができる。
上記実施形態では、いわゆるまつ毛エクステンションの施術時に使用する重合促進剤を例に挙げて説明したが、本発明の重合促進剤は、2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤を室内で使用するために使用されてもよい。例えば、眉毛エクステンション処置、模型の製作などにおいて、ホルムアルデヒドの発生を抑制する用途で使用されてもよい。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[試験例1]
予めホルムアルデヒドマルチモニター「FMM−MD」(神栄テクノロジー株式会社製)をデシケーター内に入れて1時間順化させた後、エチル2−シアノアクリレートを含む市販の2−シアノアクリレート系接着剤(販売元 エムアンドケイ株式会社)0.1gをデシケーター内に入れた。以下の実施例1、2、及び比較例3〜5の水溶液を0.3gずつ上記接着剤の上に滴下し、3時間経過後まで1時間毎にデシケーター内でのホルムアルデヒドの発生量を測定した。
(実施例1)
表1に示すようにリン酸水素二アンモニウム10質量部と、水90質量部とを混合し、リン酸水素二アンモニウムの濃度が10質量%となるように重合促進剤(水溶液)を調製した。
(実施例2)
表1に示すようにリン酸水素二アンモニウム5質量部と、水95質量部とを混合し、リン酸水素二アンモニウムの濃度が5質量%となるように重合促進剤(水溶液)を調製した。
(比較例3)
表1に示すように、リン酸二水素アンモニウム10質量部と、水90質量部とを混合し、リン酸二水素アンモニウムの濃度が10質量%となるように水溶液を調製した。
(比較例4)
表1に示すように、尿素10質量部と、水90質量部とを混合し、尿素の濃度が10質量%となるように水溶液を調製した。
(比較例5)
表1に示すように、トリエタノールアミン10質量部と、水90質量部とを混合し、トリエタノールアミンの濃度が10質量%となるように水溶液を調製した。
(比較例1)
比較例1として2−シアノアクリレート系接着剤の上に何も滴下しない場合のホルムアルデヒドの発生量を測定した。
(比較例2)
比較例2として2−シアノアクリレート系接着剤の上に水0.3gを滴下した場合のホルムアルデヒドの発生量を測定した。
以上の実施例1、2、及び比較例1〜5のホルムアルデヒドの発生量の測定結果を表2に示す。
表2からも明らかなように、比較例1〜5では、いずれもホルムアルデヒドの発生が認められた。特に、比較例1〜3の2時間及び3時間経過後のホルムアルデヒドの発生量は多かった。
これに対して、実施例1の重合促進剤を滴下した場合には、滴下直後から3時間経過後に至るまで、ホルムアルデヒドの発生は全く認められなかった。また、実施例2の重合促進剤を滴下した場合には、わずかにホルムアルデヒドの発生が認められたものの、その発生量は比較例1〜5に比べて著しく少ないものであった。これらのことから、リン酸水素二アンモニウムを含有する重合促進剤に、優れたホルムアルデヒドの発生抑制効果が認められることがわかった。
[試験例2]
上記試験例1の水溶液に代えて、以下の実施例3、4、及び比較例6〜9のゲル製剤を準備した。試験例1と同様にして、ホルムアルデヒドマルチモニター「FMM−MD」(神栄テクノロジー株式会社製)を用いてホルムアルデヒドの発生量を測定した。具体的には、ホルムアルデヒドマルチモニター「FMM−MD」をデシケーター内に入れると同時に、実施例3、4、及び比較例6〜9のゲル製剤50gをデシケーター内に設置した。ホルムアルデヒドマルチモニターの順化の為に1時間静置した後、上記試験例1で用いた2−シアノアクリレート系接着剤をデシケーター内に入れ、3時間経過後まで、1時間毎にデシケーター内のホルムアルデヒドの発生量を測定した。
(実施例3)
表3に示すようにリン酸水素二アンモニウム1質量部と、増粘剤としての「(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー」[Aristoflex AVC(クラリアントジャパン株式会社製)]2.5質量部と、水96.5質量部とを混合し、リン酸水素二アンモニウムの濃度が1質量%となるように、重合促進剤(ゲル製剤)を調製した。
(実施例4)
表3に示すように、リン酸水素二アンモニウム0.5質量部と、Aristoflex AVC2.5質量部と、水97質量部とを混合し、リン酸水素二アンモニウムの濃度が0.5質量%となるように、重合促進剤(ゲル製剤)を調製した。
(比較例6)
表3に示すように、Aristoflex AVC2.5質量部と、水97.5質量部とを混合してゲル製剤を調製した。このゲル製剤は、リン酸水素二アンモニウムを含有しない。
(比較例7)
表3に示すように、リン酸二水素アンモニウム1質量部と、Aristoflex AVC2.5質量部と、水96.5質量部とを混合し、リン酸二水素アンモニウムの濃度が1質量%となるように、ゲル製剤を調製した。
(比較例8)
表3に示すように、尿素1質量部と、Aristoflex AVC2.5質量部と、水96.5質量部とを混合し、尿素の濃度が1質量%となるように、ゲル製剤を調製した。
(比較例9)
表3に示すように、トリエタノールアミン1質量部と、Aristoflex AVC2.5質量部と、水96.5質量部とを混合し、トリエタノールアミンの濃度が1質量%となるように、ゲル製剤を調製した。
以上の実施例3、4、及び比較例6〜9のホルムアルデヒドの発生量の測定結果を表4に示す。
表4からも明らかなように、比較例6〜9では、いずれもホルムアルデヒドの発生が認められ、特に比較例7、8の3時間経過後のホルムアルデヒドの発生量は、多かった。
これに対して、実施例3の重合促進剤(ゲル製剤)を用いた場合には、3時間経過後に至るまで、ホルムアルデヒドの発生は全く認められなかった。また、実施例4の重合促進剤(ゲル製剤)を滴下した場合には、わずかにホルムアルデヒドの発生が認められたものの、その発生量は比較例6〜9に比べて著しく少ないものであった。これらのことからリン酸水素二アンモニウムを含有する重合促進剤(ゲル製剤)に優れたホルムアルデヒドの発生抑制効果が認められることがわかった。
[試験例3]
下記の(1)〜(6)の水溶液を調製し、2−シアノアクリレート系接着剤を各水溶液中に滴下したときのホルムアルデヒドの発生量を測定した。ホルムアルデヒドの発生量の測定は、HPLCを用いて行なった。すなわち、調製した(1)〜(6)の水溶液を50mlとり、そこへ上記接着剤0.2gを滴下してよく攪拌した。これを25℃水浴中で静置し、経時的に一部をサンプリングしたものを、0.45μメンブランフィルターでろ過した液を試料溶液とした。2,4−ジニトロフェニルヒドラジン0.01gを9.8gのリン酸と精製水に溶解して全量を50mlにした溶液の1mlを上記の各試料溶液1mlに加え、攪拌後30分静置させてHPLC用試料溶液とした。
(1)水
(2)1質量%尿素と1質量%リン酸三カリウムとを含有する水溶液
(3)1質量%尿素を含有する水溶液
(4)1質量%尿素と1質量%リン酸二水素アンモニウムとを含有する水溶液
(5)1質量%尿素と1質量%リン酸水素二アンモニウムとを含有する水溶液
(6)1質量%リン酸水素二アンモニウムを含有する水溶液
試験例3の結果を図1のグラフに示す。図1からも明らかなように、(1)の水に2−シアノアクリレート系接着剤を滴下した場合には、滴下直後に382ppmのホルムアルデヒドが発生し、ホルムアルデヒドの発生量は、10分後には589ppm、30分後には754ppm、60分後には807ppmまで増加した。また(2)の水溶液に2−シアノアクリレート系接着剤を滴下した場合には、滴下直後のホルムアルデヒドの発生量は101ppmであり、10分後には483ppmまで増加し、30分後には703ppm、60分後には885ppmまで増加した。
また、(3)の水溶液に2−シアノアクリレート系接着剤を滴下した場合には、滴下直後のホルムアルデヒドの発生量は205ppmであり、10分後には240ppmであり、30分後には269ppm、60分後には294ppmであった。(4)の水溶液に2−シアノアクリレート系接着剤を滴下した場合には、滴下直後のホルムアルデヒドの発生量は251ppmであり、10分後には239ppmであり、30分後には249ppmであり、60分後には255ppmであった。
これに対して、リン酸水素二アンモニウムを含有する(5)及び(6)の水溶液については、2−シアノアクリレート系接着剤を滴下した直後にホルムアルデヒドの発生がほとんど認められず、60分後においても22ppm以下であった。
上記試験結果からも明らかなように、リン酸水素二アンモニウムを含有する水溶液に2−シアノアクリレート系接着剤を滴下した場合のホルムアルデヒドの発生量は、(1)の水や(2)〜(4)の水溶液に2−シアノアクリレート系接着剤を滴下した場合のホルムアルデヒドの発生量に比べると著しく少ない。リン酸水素二アンモニウムを含有する水溶液に、2−シアノアクリレート系接着剤の2−シアノアクリレートモノマーの重合を促進してホルムアルデヒドの発生を抑制する効果があることが認められた。
[試験例4]
ゲル製剤によるホルムアルデヒド発生抑制試験を行った。リン酸水素二アンモニウムを4質量%含有するゲル製剤と、「グラフト重合高分子」を含有するゲル製剤{ホルムアルデヒド捕捉用商品 商品名G−MAQ(グラフトンラボラトリーズ株式会社製)}をそれぞれデシケーター中に置き、各ゲル製剤の傍に2−シアノアクリレート系接着剤を0.075g滴下したときのホルムアルデヒドの発生量を測定した。本試験のコントロールとして、ゲル製剤を置かず、デシケーター中に2−シアノアクリレート系接着剤を0.075g滴下したしたときのホルムアルデヒドの発生量も測定した。
ホルムアルデヒドの発生量の測定は、上記試験例1と同様にホルムアルデヒドマルチモニター「FMM−MD」(神栄テクノロジー株式会社製)を用いて行い、200分経過後までのホルムアルデヒドの発生量を30分ごとに測定した。
試験例4の結果を、図2のグラフに示す。図2からも明らかなように、コントロールでは、2−シアノアクリレート系接着剤を滴下した30分後には33ppb、60分後には67ppb、90分後には85ppb、120分後には96ppb、150分後には105ppbと増加し続けた。グラフト重合高分子を含有したゲル製剤の傍に2−シアノアクリレート系接着剤を滴下した30分後のホルムアルデヒドの発生量は、21ppbであり、60分後には61ppb、90分後には78ppb、120分後及び150分後には96ppb、97ppbとなり、増加し続けた。
これに対して、リン酸水素二アンモニウムを含有するゲル製剤の傍に2−シアノアクリレート系接着剤を滴下した場合には、ホルムアルデヒドの発生量が、30分経過後から200分経過後に至るまで、10ppbを超えることはなかった。
上記試験結果からも明らかなようにリン酸水素二アンモニウムを含有するゲル製剤を2−シアノアクリレート系接着剤の傍に設置した場合のホルムアルデヒドの発生量は、コントロールや、他の成分を含有するゲル製剤を2−シアノアクリレート系接着剤の傍に設置した場合と比べると著しく少なかった。リン酸水素二アンモニウムを含有するゲル製剤に、2−シアノアクリレート系接着剤の2−シアノアクリレートモノマーの重合を促進して、ホルムアルデヒドの発生を抑制する効果があることが認められた。
[試験例5]
まつ毛エクステンション処置中を想定した条件として、リン酸水素二アンモニウムを含有するゲル製剤及び水溶液を、まつ毛の周囲に貼るサージカルテープ上に塗布した場合のホルムアルデヒド発生抑制試験を行った。リン酸水素二アンモニウムをそれぞれ4質量%、1質量%含有するゲル製剤及び水溶液をそれぞれ調製した。プラスチック板に、まつ毛エクステンション処置においてまつ毛の周囲に貼るサージカルテープを貼り、その上に、各ゲル製剤や水溶液を塗布し、更にプラスチック板上のサージカルテープが貼られていない部分に2−シアノアクリレート系接着剤を0.025g滴下した該プラスチック板をデシケーター中に設置したときのホルムアルデヒドの発生量を測定した。本試験のコントロールとして、サージカルテープに何も塗布せず、デシケーター中に2−シアノアクリレート系接着剤を0.025g滴下したときのホルムアルデヒドの発生量も測定した。
ホルムアルデヒドの発生量の測定は、上記試験例1と同様にホルムアルデヒドマルチモニター「FMM−MD」(神栄テクノロジー株式会社製)を用いて行い、120分経過後までのホルムアルデヒドの発生量を30分ごとに測定した。
試験例5の結果を、図3のグラフに示す。図3からも明らかなように、コントロールの場合は、30分後には3ppb、60分後には35ppb、90分後には64ppb、120分後には85ppbと増加し続けた。
これに対して、リン酸水素二アンモニウムを含有する水溶液をサージカルテープ上に塗布した場合は、30分後には6ppb、60分後には25ppb、90分後及び120分後には30ppb、31ppbであった。上記コントロールの場合に比べてホルムアルデヒドの発生量は少なかった。
リン酸水素二アンモニウムを含有するゲル製剤をサージカルテープ上に塗布した場合は、30分後、60分後にはホルムアルデヒドが発生しなかった。90分後に14ppb、120分後に21ppbのホルムアルデヒドが発生したが、その発生量は上記コントロールの場合に比べて著しく少なかった。また、リン酸水素二アンモニウムを含有する水溶液をサージカルテープ上に塗布した場合に比べても、ホルムアルデヒドの発生量は少なかった。
上記試験結果からも明らかなようにリン酸水素二アンモニウムを含有するゲル製剤及び水溶液をサージカルテープ上に塗布した場合のホルムアルデヒドの発生量は、コントロールに比べると少なかった。特に、リン酸水素二アンモニウムを含有するゲル製剤をサージカルテープ上に塗布した場合のホルムアルデヒドの発生抑制効果は、優れたものであった。
[試験例6]
まつ毛エクステンション処置後を想定した条件として、2−シアノアクリレート系接着剤(グルー)をプラスチック板に0.025g滴下し、1時間デシケーター外で静置して2−シアノアクリレート系接着剤を硬化させた後に、その2−シアノアクリレート系接着剤にリン酸水素二アンモニウムを含有する水溶液を塗布した場合のホルムアルデヒド発生抑制試験を行った。リン酸水素二アンモニウムを1質量%含有する水溶液を準備した。1時間静置した2−シアノアクリレート系接着剤にリン酸水素二アンモニウムを含有する水溶液を塗布し、デシケーター中に設置したときのホルムアルデヒドの発生量を測定した。本試験のコントロールとして、リン酸水素二アンモニウムを含有する水溶液は塗布せず、2−シアノアクリレート系接着剤をプラスチック板に0.025g滴下した後、1時間デシケーター外で静置して2−シアノアクリレート系接着剤を硬化させた該プラスチック板のみデシケーター中に設置したときのホルムアルデヒドの発生量も測定した。
ホルムアルデヒドの発生量の測定は、上記試験例1と同様にホルムアルデヒドマルチモニター「FMM−MD」(神栄テクノロジー株式会社製)を用いて行い、120分経過後までのホルムアルデヒドの発生量を30分ごとに測定した。
試験例6の結果を、図4のグラフに示す。図4からも明らかなように、コントロールの場合は、ホルムアルデヒドの発生量が30分後に6ppb、60分後に20ppb、90分後に33ppb、120分後に35ppbとなり、増加し続けた。
これに対して、リン酸水素二アンモニウムを含有する水溶液を、1時間静置した2−シアノアクリレート系接着剤に塗布した場合は、30分後、60分後にはホルムアルデヒドが発生しなかった。90分後に3ppb、120分後に1ppbであった。ホルムアルデヒドの発生量は、ほとんど増加することがなく、上記コントロールの場合に比べて少なかった。
[試験例7]
ホルムアルデヒドの濃度が100ppm、リン酸水素二アンモニウムの濃度がそれぞれ0.1質量%、0.01質量%、0.001質量%のホルムアルデヒド・リン酸水素二アンモニウム混合水溶液を調製し、2時間室温に静置した後、ホルムアルデヒド濃度を測定した。測定は試験例3同様、HPLCで行なった。いずれの場合でも、測定したホルムアルデヒド濃度の値は、99〜100ppmであった。このことから、ホルムアルデヒドがリン酸水素二アンモニウムに捕捉されるわけではないことがわかった。
[試験例8]
ガラス板の上に、エチル2−シアノアクリレートモノマーを滴下した。そのままの状態で放置すると、滴下した液滴の周囲に白化現象が起こった。白化現象は、揮発したモノマーが液滴の周囲で重合することによって生じると考えられる。一方、1質量%濃度のリン酸水素二アンモニウム水溶液を塗布後乾燥させたガラス板の上にエチル2−シアノアクリレートモノマーを滴下すると、白化現象は起こらなかった。リン酸水素二アンモニウム水溶液によって、モノマーの揮発が抑制されたと考えられる。
[試験例9]
リン酸水素二アンモニウム水溶液のヒトパッチテストによる安全性試験を行った。ヒト(皮膚炎等患者)26名の背部皮膚に12質量%リン酸水素二アンモニウム(食品添加物 純正化学社製)水溶液を48時間適用し、ヒト皮膚に対する刺激性について検討した。リン酸水素二アンモニウム水溶液を0.01mL滴下した直径8mmのろ紙をフィンチャンバーに配置し被験物質とした。この被験物質を被験者の上背部に48時間貼付し、貼付除去30分〜60分後及び24時間後の2回、本邦判定基準に従って、皮膚反応を観察し、判定をスコア化した。スコアから各試験液の皮膚刺激性を求め、これを下記のように3段階に分類して安全性の評価を行った。
○:皮膚刺激指数が15以下
△:皮膚刺激指数が15超、30以下
×:皮膚刺激指数が30超
上記皮膚刺激指数が30以下(○および△)の場合は、ヒト皮膚への刺激が低いと評価し、30超(×)の場合はヒト皮膚への刺激が高いと評価した。
[試験例10]
リン酸水素二アンモニウムの眼粘膜刺激性試験を行った。SIRC細胞を用いたSTE法による眼粘膜刺激性代替評価試験(以下、STE試験という)に基づいて試験を行い、試験には、リン酸水素二アンモニウム(食品添加物 純正化学株式会社製)をそのまま用いた。判定は、STE試験の判定基準に基づき、眼粘膜刺激性のクラス分類を行い、以下の基準で判定した。
○:STEランクが1
△:STEランクが2
×:STEランクが3
上記STEランクが1(○)の場合は、眼への刺激が低いと評価し、2以上(△および×)の場合は眼への刺激が高いと評価した。
試験例9、10の試験結果を表5に示す。
本発明の2−シアノアクリレートモノマーの重合促進剤は、例えば、まつ毛のような体毛に、人工まつ毛のような繊維を接着させるまつ毛エクステンション処置において、ホルムアルデヒドの発生を抑制するために、好適に使用される。本発明の2−シアノアクリレートモノマーの重合促進剤は、2−シアノアクリレートモノマーからのホルムアルデヒドの発生を抑制する、ホルムアルデヒドの発生抑制剤として好適に使用される。

Claims (9)

  1. 少なくともリン酸水素二アンモニウムを含む、2−シアノアクリレートモノマーの重合促進剤。
  2. 2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤を繊維又は被施術者の体毛に塗布する工程と、請求項1に記載の重合促進剤の存在下において、前記2−シアノアクリートモノマーの重合を促進して前記接着剤により前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程と、を有する、体毛に繊維を接着させる方法。
  3. 前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程において、該被施術者の体の外表面に前記重合促進剤を塗布することにより、該重合促進剤を施術環境下に存在させる、請求項2に記載の、体毛に繊維を接着させる方法。
  4. 前記被施術者の体の外表面が、被施術者の体毛、該体毛の周囲の皮膚、該体毛の周囲の皮膚に貼着されたテープである、請求項3に記載の、体毛に繊維を接着させる方法。
  5. 前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程において、該被施術者が施術される施術室内に前記重合促進剤を配置することにより、該重合促進剤を施術環境下に存在させる、請求項2に記載の、体毛に繊維を接着させる方法。
  6. 体毛がまつ毛であり、繊維が人工のまつ毛である、請求項2乃至5のいずれかに記載の、体毛に繊維を接着させる方法。
  7. 2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤を繊維又は被施術者の体毛に塗布する工程と、請求項1に記載の重合促進剤を前記被施術者の体の外表面に塗布することにより、前記2−シアノアクリートモノマーの重合を促進して前記接着剤により前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程と、を有する、体毛に繊維を接着させる方法。
  8. 2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤を繊維又は被施術者の体毛に塗布する工程と、請求項1に記載の重合促進剤を前記被施術者の体毛に塗布することにより、前記2−シアノアクリートモノマーの重合を促進して前記接着剤により前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程と、を有する、体毛に繊維を接着させる方法。
  9. 2−シアノアクリレートモノマーを含む接着剤を繊維又は被施術者の体毛に塗布する工程と、請求項1に記載の重合促進剤を、前記被施術者が施術される施術室内に配置することにより、前記2−シアノアクリートモノマーの重合を促進して前記接着剤により前記被施術者の体毛に繊維を接着させる工程と、を有する、体毛に繊維を接着させる方法。
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