JP6569702B2 - 自動車の前部車体構造 - Google Patents

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Description

この発明は、サイドシルの前端部から車両上方に延びるヒンジピラーと、上記ヒンジピラーの上端から上方かつ後方に延びるフロントピラーと、上記ヒンジピラーの上部から車両前方に延びるエプロンとを備えた自動車の前部車体構造に関する。
一般に、車両の上下方向に延びるヒンジピラーの下部には、車両前後方向に延びるサイドシルの前端部が連結されており、ヒンジピラーの上端には、上方かつ後方に延びるフロントピラーが連結される一方、ヒンジピラーの上部から車両前方に延びるエプロンが設けられている。
つまり、上述のエプロンの後端はヒンジピラー上部に接続されており、エプロンに入力された衝突荷重は、ヒンジピラーに伝達され、ヒンジピラーからその上方のフロントピラーに伝達されると共に、ヒンジピラーからその下方のサイドシルに伝達され、荷重分散を図ることができる。
しかしながら、エプロンとヒンジピラーとの間の接続強度が低い場合には、衝突荷重の分散効率が低くなるため、補強を施す必要があった。
従来、衝突荷重の分散効率向上を図るために、特許文献1に開示された自動車の前部車体構造が既に発明されている。
すなわち、特許文献1に開示されたものは、エプロンに沿って、サスペンションタワー後端とカウルパネルとを車両前後方向に連結する補強部材としてのカウルサイドアッパガセットを設けると共に、車室内側においてカウルパネルとヒンジピラーとを連結するガセット部材としてのダッシュレインを設けたものである。
この特許文献1に開示された従来構造においては、衝突荷重の分散効率の向上が求められている。
特開2016−155434号公報
そこで、この発明は、エプロンからフロントピラー側とサイドシル側への高い荷重伝達の効率化を図ることができる自動車の前部車体構造の提供を目的とする。
この発明による自動車の前部車体構造は、サイドシルの前端部から車両上方に延びるヒンジピラーと、上記ヒンジピラーの上端から上方かつ後方に延びるフロントピラーと、上記ヒンジピラーの上部から車両前方に延びるエプロンとを備えた自動車の前部車体構造であって、前端が上記エプロンの上面部に接合固定されると共に、後端一部が上記エプロン後端のヒンジピラー接合部よりも上方のフロントピラー基部に接合固定され、かつ、後端他部がダッシュパネルに接合固定された補強部材と、車室内側において上記補強部材が接合されるダッシュパネル部位と、これより下方位置のヒンジピラーとを斜め下方に連結するガセット部材とを備え、ワイパ駆動リンクの車幅方向外方側が上記エプロン上面部に取付けられると共に、上記ワイパ駆動リンクがピボットを支点として車両後方かつ上方に回動するワイパ装置を備え、上記補強部材は上記エプロン上面部のワイパ駆動リンク取付け部位の直後から後方に延びると共に、その後端他部は、ワイパ駆動リンクの回動軌跡を回避する凹状の屈曲部を介して上記ダッシュパネルの車幅方向中央側に延びる形状で当該ダッシュパネルに接合固定されたものである。
上記構成によれば、エプロンに入力された衝突荷重は、補強部材の後端一部からフロントピラー基部を介してフロントピラーに伝達される一方、補強部材の後端他部からガセット部材に入力された後、斜め下方に延びる当該ガセット部材からヒンジピラーを介してサイドシルに伝達される。
この結果、エプロンに入力された衝突荷重を、フロントピラー側とサイドシル側とに高い荷重伝達効率にて伝達し、荷重分散を図ることができる。
しかも、ワイパ駆動リンクの車幅方向外方側が上記エプロン上面部に取付けられると共に、上記ワイパ駆動リンクがピボットを支点として車両後方かつ上方に回動するワイパ装置を備え、上記補強部材は上記エプロン上面部のワイパ駆動リンク取付け部位の直後から後方に延びると共に、その後端他部は、ワイパ駆動リンクの回動軌跡を回避する凹状の屈曲部を介して上記ダッシュパネルの車幅方向中央側に延びる形状で当該ダッシュパネルに接合固定されたものである。
これにより、ワイパ装置におけるワイパ駆動リンクのレイアウトに影響されることなく、補強部材による補強が可能となり、ワイパ駆動リンクのレイアウトと、補強部材による補強との両立を図ることができる。
この発明による自動車の前部車体構造は、また、サイドシルの前端部から車両上方に延びるヒンジピラーと、上記ヒンジピラーの上端から上方かつ後方に延びるフロントピラーと、上記ヒンジピラーの上部から車両前方に延びるエプロンとを備えた自動車の前部車体構造であって、前端が上記エプロンの上面部に接合固定されると共に、後端一部が上記エプロン後端のヒンジピラー接合部よりも上方のフロントピラー基部に接合固定され、かつ、後端他部がダッシュパネルに接合固定された補強部材と、車室内側において上記補強部材が接合されるダッシュパネル部位と、これより下方位置のヒンジピラーとを斜め下方に連結するガセット部材とを備え、上記補強部材のエプロンへの接合部が、上壁接合部と、該上壁接合部から下方に延びる側壁接合部とを備えるL字形状に形成され、上記側壁接合部を備えた状態でダッシュパネル側に延設されたものである。
上記構成によれば、エプロンに入力された衝突荷重は、補強部材の後端一部からフロントピラー基部を介してフロントピラーに伝達される一方、補強部材の後端他部からガセット部材に入力された後、斜め下方に延びる当該ガセット部材からヒンジピラーを介してサイドシルに伝達される。
この結果、エプロンに入力された衝突荷重を、フロントピラー側とサイドシル側とに高い荷重伝達効率にて伝達し、荷重分散を図ることができる。
しかも、補強部材が上壁接合部と側壁接合部とを備えたL字形状に形成されているので、特に、補強部材の前端からその後端他部にわたって剛性の向上を図ることができる。
この発明による自動車の前部車体構造は、さらに、サイドシルの前端部から車両上方に延びるヒンジピラーと、上記ヒンジピラーの上端から上方かつ後方に延びるフロントピラーと、上記ヒンジピラーの上部から車両前方に延びるエプロンとを備えた自動車の前部車体構造であって、前端が上記エプロンの上面部に接合固定されると共に、後端一部が上記エプロン後端のヒンジピラー接合部よりも上方のフロントピラー基部に接合固定され、かつ、後端他部がダッシュパネルに接合固定された補強部材と、車室内側において上記補強部材が接合されるダッシュパネル部位と、これより下方位置のヒンジピラーとを斜め下方に連結するガセット部材とを備え、上記補強部材のダッシュパネル側に延びる後端他部と、上記ガセット部材の前端とを車両上下方向でオーバラップさせたものである。
上記構成によれば、エプロンに入力された衝突荷重は、補強部材の後端一部からフロントピラー基部を介してフロントピラーに伝達される一方、補強部材の後端他部からガセット部材に入力された後、斜め下方に延びる当該ガセット部材からヒンジピラーを介してサイドシルに伝達される。
この結果、エプロンに入力された衝突荷重を、フロントピラー側とサイドシル側とに高い荷重伝達効率にて伝達し、荷重分散を図ることができる。
しかも、上述のオーバラップ構造により、補強部材の後端他部からガセット部材への荷重伝達を、さらに高効率と成すことができる。
この発明による自動車の前部車体構造は、さらにまた、サイドシルの前端部から車両上方に延びるヒンジピラーと、上記ヒンジピラーの上端から上方かつ後方に延びるフロントピラーと、上記ヒンジピラーの上部から車両前方に延びるエプロンとを備えた自動車の前部車体構造であって、前端が上記エプロンの上面部に接合固定されると共に、後端一部が上記エプロン後端のヒンジピラー接合部よりも上方のフロントピラー基部に接合固定され、かつ、後端他部がダッシュパネルに接合固定された補強部材と、車室内側において上記補強部材が接合されるダッシュパネル部位と、これより下方位置のヒンジピラーとを斜め下方に連結するガセット部材とを備え、上記ヒンジピラーが、ヒンジピラーアウタと、該ヒンジピラーアウタよりも厚板のヒンジピラーインナとを含み、上記ヒンジピラーインナの前部内端側を上記ヒンジピラーアウタよりも車幅方向中央側に延出させて延出部を形成し、該延出部と上記ダッシュパネルと上記補強部材とを3枚接合固定させたものである。
上記構成によれば、エプロンに入力された衝突荷重は、補強部材の後端一部からフロントピラー基部を介してフロントピラーに伝達される一方、補強部材の後端他部からガセット部材に入力された後、斜め下方に延びる当該ガセット部材からヒンジピラーを介してサイドシルに伝達される。
この結果、エプロンに入力された衝突荷重を、フロントピラー側とサイドシル側とに高い荷重伝達効率にて伝達し、荷重分散を図ることができる。
しかも、上述の3枚接合固定構造により、衝突荷重入力時におけるダッシュパネルとヒンジピラーとの接合部の剥離を抑制することができる。
この発明によれば、エプロンからフロントピラー側とサイドシル側への高い荷重伝達の効率化を図ることができる効果がある。
本発明の前部車体構造を備えた自動車の要部斜視図 図1の要部拡大斜視図 図1の車両右側の側面図 図1の要部正面図 図1の要部の平面図 補強部材およびガセット部材の取付け構造を示す斜視図 図3のA−A線相当位置から見た状態で示す斜視図 ヒンジピラーおよび上下のガセット部材を車室内側後方から見た状態で示す斜視図 図3のA−A線矢視断面図 図4のB−B線矢視断面図 自動車の前部車体構造の他の実施例を示す平面図
エプロンからフロントピラー側とサイドシル側への高い荷重伝達の効率化を図るという目的を、サイドシルの前端部から車両上方に延びるヒンジピラーと、上記ヒンジピラーの上端から上方かつ後方に延びるフロントピラーと、上記ヒンジピラーの上部から車両前方に延びるエプロンとを備えた自動車の前部車体構造であって、前端が上記エプロンの上面部に接合固定されると共に、後端一部が上記エプロン後端のヒンジピラー接合部よりも上方のフロントピラー基部に接合固定され、かつ、後端他部がダッシュパネルに接合固定された補強部材と、車室内側において上記補強部材が接合されるダッシュパネル部位と、これより下方位置のヒンジピラーとを斜め下方に連結するガセット部材とを備え、ワイパ駆動リンクの車幅方向外方側が上記エプロン上面部に取付けられると共に、上記ワイパ駆動リンクがピボットを支点として車両後方かつ上方に回動するワイパ装置を備え、上記補強部材は上記エプロン上面部のワイパ駆動リンク取付け部位の直後から後方に延びると共に、その後端他部は、ワイパ駆動リンクの回動軌跡を回避する凹状の屈曲部を介して上記ダッシュパネルの車幅方向中央側に延びる形状で当該ダッシュパネルに接合固定されるという構成にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は自動車の前部車体構造を示し、図1は当該前部車体構造を備えた自動車の要部斜視図、図2は図1の要部拡大斜視図、図3は図1の車両右側の側面図、図4は図1の要部正面図、図5は図1の要部の平面図、図6は補強部材およびガセット部材の取付け構造を示す斜視図、図7は図3のA−A線相当位置から見た状態で示す斜視図、図8はヒンジピラーおよび上下のガセット部材を車室内側後方から見た状態で示す斜視図である。
なお、以下の説明においては車両右側の前部車体構造について説明するが、車両左側の前部車体構造は、車両右側のそれと左右対称または左右略対称に形成されている。
図1、図5に示すように、車両の前後方向に延びるサイドシル1を設けている。
このサイドシル1は、サイドシルインナ2とサイドシルアウタ3とを接合固定して、車両前後方向に延びるサイドシル閉断面を備えた車体剛性部材である。
図1〜図3に示すように、上述のサイドシル1の前端部には、当該前端部から車両上方に延びるヒンジピラー4を連結固定している。
図7に示すように、該ヒンジピラー4は、ヒンジピラーアウタ5と、該ヒンジピラーアウタ5よりも厚板のヒンジピラーインナ6と、ヒンジピラーレインフォースメント7とを接合固定して、車両上下方向に延びるヒンジピラー閉断面8を備えた車体剛性部材であり、図7、図8に示すように、該ヒンジピラー4におけるヒンジピラーインナ6の上部車幅方向内側には、インストルメントパネルメンバ取付けブラケット9を接合固定している。
図1、図3に示すように、上述のヒンジピラー4の上端から上方かつ後方に延びるフロントピラー10を設けている。このフロントピラー10はヒンジピラー4と連続して車両上方かつ後方に斜め方向に延びる剛性部材であって、該フロントピラー10はヒンジピラーアウタ5と連続するフロントピラーアウタと、ヒンジピラーインナ6と連続するフロントピラーインナと、これらフロントピラーアウタとフロントピラーインナとの間に形成されたフロントピラー閉断面と、を備えている。
図1、図5に示すように、上述のヒンジピラー4の上部から車両前方に延びるエプロン11を備えている。
この実施例では、上述のエプロン11は、エプロンアッパフロント12と、エプロンアッパリヤ13とから成るエプロンアッパ14と、エプロンロアフロント15とエプロンロアリヤ16とから成るエプロンロア17と、を備えており、エプロンアッパ14およびエプロンロア17を車両前後方向にそれぞれ2分割すると共に、これら2分割された部材を接合固定してエプロン11を構成している。
図4に示すように、上述のエプロンアッパフロント12は、接合フランジ部12aと、この接合フランジ部12aに連続して車幅方向に延びる上壁部12bと、上壁部12bの車幅方向内端部から下方に延びる側壁部12cと、この側壁部12cに連続して下方に延びる接合フランジ部12dとを備えている。
エプロンアッパリヤ13は、図4に示すように、接合フランジ部13aと、この接合フランジ部13aに連続して車幅方向に延びる上壁部13bと、上壁部13bの車幅方向内端部から下方に延びる側壁部13cと、この側壁部13cに連続して下方および後方に延びる接合フランジ部13dとを備えている。
上述のエプロンロアリヤ16は、図4に示すように、接合フランジ部16aと、この接合フランジ部16aの車幅方向内端部から下方に延びる側壁部16bと、この側壁部16bの下端から車幅方向内方に延びる下壁部16cと、この下壁部16cの車幅方向内端部から下方に延びる接合フランジ部16dとを備えている。
また、上述のエプロンロアフロント15もエプロンロアリヤ16と略同様に、車両正面視で略L字断面形状に形成されており、エプロンアッパ14とエプロンロア17とを接合固定することで、図4に示すように、車両前後方向に延びるエプロン閉断面18を形成している。
図1〜図7に示すように、上述のエプロン11は、カウルサイドレイン19を介してヒンジピラー4に連結固定されている。
図9は図3のA−A線矢視断面図、図10は図4のB−B線矢視断面図である。
図6、図10に示すように、エンジンルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュロアパネル20を設けている。この実施例では、図8に示すように、該ダッシュロアパネル20は上部ダッシュロアパネル21と下部ダッシュロアパネル22との上下に2分割されている。
図6、図10に示すように、上述のダッシュロアパネル20の上端折曲げ部20aには、ダッシュアッパパネル23を接続固定している。
図10に示すように、該ダッシュアッパパネル23は後部水平部23aと、この後部水平部23aの前端から前下に傾斜するスラント部23bと、該スラント部23bの前端から下方に延びる縦壁部23cと、この縦壁部23cの下端部から車両前方に延びる前部略水平部23dと、を一体形成したものである。
ダッシュアッパパネル23の前部略水平部23dの前端部は、図10に示すように、ダッシュロアパネル20における上端折曲げ部20aの上面に接合固定されている。
このダッシュロアパネル20における上端折曲げ部20aの下面には、図10に示すように、カウルサイドメンバ24の後端部24bを接合固定し、該カウルサイドメンバ24の前端部24aは、同図に示すように、サスタワートップ部25に接合固定されている。
図1に示すように、上述のサスタワートップ部25と、側壁部26とで、サスタワー部27(詳しくは、サスペンションタワー部)が形成されている。
図6、図10において、28はエプロンレインフロントであり、29はエプロンレインリヤである。
上述のカウルサイドメンバ24は、車幅方向の左右両サイドにのみ位置するもので、左右の各カウルサイドメンバ24,24間は、図1、図5に示すように、カウルフロントメンバ30で車幅方向に連結されている。
そして、上述のダッシュアッパパネル23と該カウルフロントメンバ30とで、図5に示すように、オープンカウル構造のカウル部31が形成されており、このカウル部31には、図1、図5に示すようにワイパ装置32が配設されている。
このワイパ装置32は、ワイパモータ33、アーム34、リンク35,36、リンクピン37、ピボット38、シャフト39等を備えており、リンク36(ワイパ駆動リンク)が、図5に矢印で示すように、ピボット38を支点として車両後方かつ上方に回動するよう構成されており、図1、図5に示すように、車幅方向外方側のブラケット40がエプロンアッパリヤ13の上面部(上壁部13b参照)に取付けられている。
図2、図6、図7に示すように、前端がエプロン11におけるエプロンアッパリヤ13の上面部に接合固定されると共に、後端一部41aが、カウルサイドレイン19を介して、エプロンアッパリヤ13後端のヒンジピラー4接合部よりも上方のフロントピラー基部10Bに接合固定され、かつ、後端他部41b1、41b2がダッシュアッパパネル23に接合固定された補強部材としてのダッシュアッパレイン41を設けている。
後端他部41b1、41b2のうちの一片41b1は、ダッシュアッパパネル23の車幅方向外側端部において略車両前後方向に延びる面に接合され、後端他部41b1、41b2のうちの他片41b2は、ダッシュアッパパネル23の車幅方向外側端部において車幅方向に延びる縦壁部23c上部に接合される。
図6、図7、図8に示すように、車室内側において、ダッシュアッパレイン41が接合されるダッシュアッパパネル23部位と、これより下方位置のヒンジピラー4とを斜め下方に連結するガセット部材としてのコーナガセットアッパ42を設けている。
この実施例では、該コーナガセットアッパ42は、図6、図7、図8に示すように、上部取付け片42aと、この上部取付け片42aの前上部から車幅方向内側に屈曲形成されて上下方向に延びる前部取付け片42bと、高さ方向で、エプロン11における接合フランジ部12d、16dの位置よりもさらに下方に位置する下部取付け片42cとを備えている(図4参照)。
図6、図7、図8、図10に示すように、コーナガセットアッパ42の前部取付け片42bは、上下一対のボルト、ナット43,43を用いて、ダッシュアッパパネル23の縦壁部23cに締結固定されており、上部取付け片42aは、ボルト、ナット44を用いて、インストルメントパネルメンバ取付けブラケット9の車幅方向内側への膨出部9aに締結固定されており、下部取付け片42cは、ボルト、ナット45を用いて、ヒンジピラーインナ6に締結固定されている。
このように、前端がエプロンアッパリヤ13の上面部に、後端一部41aがフロントピラー基部10Bに、後端他部41b1、41b2がダッシュアッパパネル23にそれぞれ接合固定されたダッシュアッパレイン41と、車室内側においてダッシュアッパレイン41が接合されるダッシュアッパパネル23部位と、これより下方位置のヒンジピラーインナ6とを斜め下方に連結するコーナがセットアッパ42とを備えることで、エプロン11に入力された前突荷重を、ダッシュアッパレイン41の後端一部41aからフロントピラー基部10Bを介してフロントピラー10に伝達する一方、ダッシュアッパレイン41の後端他部41b1、41b2、特に、その他片41b2からコーナガセットアッパ42に入力した後、斜め下方に延びる当該コーナガセットアッパ42からヒンジピラー4を介してサイドシル1に荷重伝達し、これにより、エプロン11に入力された衝突荷重を、フロントピラー10側とサイドシル1側とに高い荷重伝達効率にて伝達し、荷重分散を図るよう構成したものである。
また、図5に示すように、上述のダッシュアッパレイン41は、エプロン11上面部、詳しくは、エプロンアッパリヤ13の上壁部13bのワイパ駆動リンク取付け部位としてのブラケット40の取付け部の直後から後方に延びると共に、その後端他部41b2は、ワイパ装置32のリンク36の回動軌跡を回避する凹状の屈曲部41cを介してダッシュアッパパネル23の車幅方向中央側に延びる形状で当該ダッシュアッパパネル23に接合固定されている。
これにより、ワイパ装置32におけるワイパ駆動リンク(リンク36参照)のレイアウトに影響されることなく、ダッシュアッパレイン41による補強が可能となり、ワイパ駆動リンク36のレイアウトと、補強部材であるダッシュアッパレイン41による補強との両立を図るよう構成したものである。
さらに、図2、図4に示すように、ダッシュアッパレイン41のエプロン11への接合部、詳しくは、エプロンアッパリヤ13への接合部が、その上壁部13bに接合される上壁接合部41dと、該上壁接合部41dから下方に延びる側壁接合部41eとを備えたL字形状に形成されており、このダッシュアッパレイン41の車幅方向内側部は上記側壁接合部41eを備えた状態でダッシュアッパパネル23の縦壁部23c側に延設されている。
これにより、ダッシュアッパレイン41の前端からその後端他部41b2にわたって剛性向上を図り、荷重伝達性を確保すべく構成している。
さらにまた、図10に示すように、ダッシュアッパレイン41のダッシュアッパパネル23側に延びる後端他部41b2と、コーナガセットアッパ42の前端としての前部取付け片42bとは、車両上下方向で距離L1だけオーバラップさせており、このオーバラップ構造により、ダッシュアッパレイン41の後端他部41b2からコーナガセットアッパ42への荷重伝達を、さらに高効率と成すよう構成している。
加えて、図7、図9に示すように、ヒンジピラー4を構成するヒンジピラーインナ6の前部内端側をヒンジピラーアウタ5よりも車幅方向中央側に延出させて延出部6aを形成し、この延出部6aとダッシュアッパパネル23の縦壁部23cとダッシュアッパレイン41の後端他部41b1とを3枚接合固定して、3枚接合固定部46を形成している。
この3枚接合固定構造により、衝突荷重入力時におけるダッシュアッパパネル23とヒンジピラー4、具体的には、ヒンジピラーインナ6との接合部の剥離を抑制するよう構成したものである。
図2に示すように、上述のダッシュアッパレイン41はその車幅方向外側部に、車両平面視で車両の略前後方向に延びる稜線X1,X2が形成されており、この稜線X1,X2によりダッシュアッパレイン41の剛性向上を図ると共に、稜線X1,X2により高剛性化された部位を介して後端一部41aに前突荷重を伝達することで、荷重伝達性能をさらに高めるよう構成したものである。
ところで、図8に示すように、車室内側から上部ダッシュロアパネル21と、ヒンジピラーインナ6の下方部と、サイドシルインナ2の上壁部2aとを連結するコーナガセットロア47を設けている。
このコーナガセットロア47は、上部取付け片47aと、前部取付け片47bと、下部取付け片47cとを有し、上部取付け片47aを、前後一対のボルト、ナット48を用いてヒンジピラーインナ6に締結固定し、前部取付け片47bを、ボルト、ナット49を用いて上部ダッシュロアパネル21に締結固定し、下部取付け片47cを、前後一対のボルト、ナット50を用いてサイドシルインナ2の上壁部2aに締結固定している。
上述のコーナガセットロア47は、スモールオーバラップ衝突時に自車両の前輪が後退した場合、その衝撃荷重をサイドシル1に伝達して、荷重分散を図るための部材である。
なお、図5において、51はフロアパネル、52はフロアパネル51およびダッシュロアパネル22上面に取付けられたフロアフレーム、53はフロントサイドフレームである。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
このように、上記実施例の自動車の前部車体構造は、サイドシル1の前端部から車両上方に延びるヒンジピラー4と、上記ヒンジピラー4の上端から上方かつ後方に延びるフロントピラー10と、上記ヒンジピラー4の上部から車両前方に延びるエプロン11とを備えた自動車の前部車体構造であって、前端が上記エプロン11の上面部に接合固定されると共に、後端一部41aが上記エプロン11後端のヒンジピラー4接合部よりも上方のフロントピラー基部10Bに接合固定され、かつ、後端他部41b1,41b2がダッシュアッパパネル23に接合固定された補強部材(ダッシュアッパレイン41参照)と、車室内側において上記補強部材(ダッシュアッパレイン41)が接合されるダッシュアッパパネル23部位と、これにより下方位置のヒンジピラー4とを斜め下方に連結するガセット部材(コーナガセットアッパ42参照)とを備えたものである(図1、図4、図6〜図8参照)。
この構成によれば、エプロン11に入力された衝突荷重は、補強部材(ダッシュアッパレイン41)の後端一部41aからフロントピラー基部10Bを介してフロントピラー10に伝達される一方、補強部材(ダッシュアッパレイン41)の後端他部41b1,41b2からガセット部材(コーナガセットアッパ42)に入力された後、斜め下方に延びる当該ガセット部材(コーナガセットアッパ42)からヒンジピラー4を介してサイドシル1に伝達される。
この結果、エプロン11に入力された衝突荷重を、フロントピラー10側とサイドシル1側とに高い荷重伝達効率にて伝達し、荷重分散を図ることができる。
この発明の一実施形態においては、ワイパ駆動リンク(リンク36参照)の車幅方向外方側(ブラケット40参照)が上記エプロン11上面部に取付けられると共に、上記ワイパ駆動リンク36がピボット38を支点として車両後方かつ上方に回動するワイパ装置32を備え、上記補強部材(ダッシュアッパレイン41)は上記エプロン11上面部のワイパ駆動リンク取付け部位(ブラケット40の取付け部参照)の直後から後方に延びると共に、その後端他部41b2は、ワイパ駆動リンク36の回動軌跡を回避する凹状の屈曲部41cを介して上記ダッシュアッパパネル23の車幅方向中央側に延びる形状で当該ダッシュアッパパネル23に接合固定されたものである(図1、図5、図7参照)。
この構成によれば、ワイパ装置32におけるワイパ駆動リンク36のレイアウトに影響されることなく、補強部材(ダッシュアッパレイン41)による補強が可能となり、ワイパ駆動リンク36のレイアウトと、補強部材(ダッシュアッパレイン41)による補強との両立を図ることができる。
この発明の一実施形態においては、上記補強部材(ダッシュアッパレイン41)のエプロン11への接合部が、上壁接合部41dと、該上壁接合部41dから下方に延びる側壁接合部41eとを備えるL字形状に形成され、上記側壁接合部41eを備えた状態でダッシュアッパパネル23側に延設されたものである(図2参照)。
この構成によれば、補強部材(ダッシュアッパレイン41)が上壁接合部41dと側壁接合部41eとを備えたL字形状に形成されているので、特に、補強部材(ダッシュアッパレイン41)の前端からその後端他部41b2にわたって剛性の向上を図ることができる。
この発明の一実施形態においては、上記補強部材(ダッシュアッパレイン41)のダッシュアッパパネル23側に延びる後端他部41b2と、上記ガセット部材(コーナガセットアッパ42)の前端とを車両上下方向でオーバラップさせたものである(図10参照)。
この構成によれば、上述のオーバラップ構造により、補強部材(ダッシュアッパレイン41)の後端他部41b2からガセット部材(コーナガセットアッパ42)への荷重伝達を、さらに高効率と成すことができる。
この発明の一実施形態においては、上記ヒンジピラー4が、ヒンジピラーアウタ5と、該ヒンジピラーアウタ5よりも厚板のヒンジピラーインナ6とを含み、上記ヒンジピラーインナ6の前部内端側を上記ヒンジピラーアウタ5よりも車幅方向中央側に延出させて延出部6aを形成し、該延出部6aと上記ダッシュアッパパネル23と上記補強部材(ダッシュアッパレイン41)とを3枚接合固定(3枚接合固定部46参照)させたものである(図9参照)。
この構成によれば、上述の3枚接合固定構造により、衝突荷重入力時におけるダッシュアッパパネル23とヒンジピラー4との接合部の剥離を抑制することができる。
図11は自動車の前部車体構造の他の実施例を示す平面図である。
補強部材であるダッシュアッパレイン41が、ワイパ装置32のリンク36(図5参照)の回動軌跡を回避する必要がない場合には、図11に示すように、ダッシュアッパレイン41の前端を、カウルサイドメンバ24の前後方向中間部まで車両前方に延出することができる。
この場合、ダッシュアッパレイン41の前端は、カウルサイドメンバ24およびサスタワートップ部25を介してエプロン11の上面部、詳しくは、エプロンアッパフロント12の上壁部12bに接合固定される。
このように構成しても、その他の構成、作用、効果については、図1〜図10を参照して述べた先の実施例(特に、請求項1,4,5相当のもの)と同様であるから、図11において図5と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のダッシュパネルは、実施例のダッシュアッパパネル23に対応し、
以下同様に、
補強部材は、ダッシュアッパレイン41に対応し、
ガセット部材は、コーナガセットアッパ42に対応し、
ワイパ駆動リンクは、リンク36に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
以上説明したように、本発明は、サイドシルの前端部から車両上方に延びるヒンジピラーと、上記ヒンジピラーの上端から上方かつ後方に延びるフロントピラーと、上記ヒンジピラーの上部から車両前方に延びるエプロンとを備えた自動車の前部車体構造について有用である。
1…サイドシル
4…ヒンジピラー
5…ヒンジピラーアウタ
6…ヒンジピラーインナ
6a…延出部
10…フロントピラー
10B…フロントピラー基部
11…エプロン
23…ダッシュアッパパネル(ダッシュパネル)
32…ワイパ装置
36…リンク(ワイパ駆動リンク)
38…ピボット
41…ダッシュアッパレイン(補強部材)
41a…後端一部
41b1、41b2…後端他部
41c…屈曲部
41d…上壁接合部
41e…側壁接合部
42…コーナガセットアッパ(ガセット部材)

Claims (4)

  1. サイドシルの前端部から車両上方に延びるヒンジピラーと、
    上記ヒンジピラーの上端から上方かつ後方に延びるフロントピラーと、
    上記ヒンジピラーの上部から車両前方に延びるエプロンとを備えた自動車の前部車体構造であって、
    前端が上記エプロンの上面部に接合固定されると共に、後端一部が上記エプロン後端のヒンジピラー接合部よりも上方のフロントピラー基部に接合固定され、かつ、後端他部がダッシュパネルに接合固定された補強部材と、
    車室内側において上記補強部材が接合されるダッシュパネル部位と、これより下方位置のヒンジピラーとを斜め下方に連結するガセット部材とを備え
    ワイパ駆動リンクの車幅方向外方側が上記エプロン上面部に取付けられると共に、
    上記ワイパ駆動リンクがピボットを支点として車両後方かつ上方に回動するワイパ装置を備え、
    上記補強部材は上記エプロン上面部のワイパ駆動リンク取付け部位の直後から後方に延びると共に、その後端他部は、ワイパ駆動リンクの回動軌跡を回避する凹状の屈曲部を介して上記ダッシュパネルの車幅方向中央側に延びる形状で当該ダッシュパネルに接合固定された
    自動車の前部車体構造。
  2. サイドシルの前端部から車両上方に延びるヒンジピラーと、
    上記ヒンジピラーの上端から上方かつ後方に延びるフロントピラーと、
    上記ヒンジピラーの上部から車両前方に延びるエプロンとを備えた自動車の前部車体構造であって、
    前端が上記エプロンの上面部に接合固定されると共に、後端一部が上記エプロン後端のヒンジピラー接合部よりも上方のフロントピラー基部に接合固定され、かつ、後端他部がダッシュパネルに接合固定された補強部材と、
    車室内側において上記補強部材が接合されるダッシュパネル部位と、これより下方位置のヒンジピラーとを斜め下方に連結するガセット部材とを備え、
    上記補強部材のエプロンへの接合部が、上壁接合部と、該上壁接合部から下方に延びる側壁接合部とを備えるL字形状に形成され、
    上記側壁接合部を備えた状態でダッシュパネル側に延設された
    自動車の前部車体構造。
  3. サイドシルの前端部から車両上方に延びるヒンジピラーと、
    上記ヒンジピラーの上端から上方かつ後方に延びるフロントピラーと、
    上記ヒンジピラーの上部から車両前方に延びるエプロンとを備えた自動車の前部車体構造であって、
    前端が上記エプロンの上面部に接合固定されると共に、後端一部が上記エプロン後端のヒンジピラー接合部よりも上方のフロントピラー基部に接合固定され、かつ、後端他部がダッシュパネルに接合固定された補強部材と、
    車室内側において上記補強部材が接合されるダッシュパネル部位と、これより下方位置のヒンジピラーとを斜め下方に連結するガセット部材とを備え、
    上記補強部材のダッシュパネル側に延びる後端他部と、上記ガセット部材の前端とを車両上下方向でオーバラップさせた
    自動車の前部車体構造。
  4. サイドシルの前端部から車両上方に延びるヒンジピラーと、
    上記ヒンジピラーの上端から上方かつ後方に延びるフロントピラーと、
    上記ヒンジピラーの上部から車両前方に延びるエプロンとを備えた自動車の前部車体構造であって、
    前端が上記エプロンの上面部に接合固定されると共に、後端一部が上記エプロン後端のヒンジピラー接合部よりも上方のフロントピラー基部に接合固定され、かつ、後端他部がダッシュパネルに接合固定された補強部材と、
    車室内側において上記補強部材が接合されるダッシュパネル部位と、これより下方位置のヒンジピラーとを斜め下方に連結するガセット部材とを備え、
    上記ヒンジピラーが、ヒンジピラーアウタと、該ヒンジピラーアウタよりも厚板のヒンジピラーインナとを含み、
    上記ヒンジピラーインナの前部内端側を上記ヒンジピラーアウタよりも車幅方向中央側に延出させて延出部を形成し、
    該延出部と上記ダッシュパネルと上記補強部材とを3枚接合固定させた
    自動車の前部車体構造。
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