JP4338194B2 - 自動車の車体前部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の車体前部構造に関し、より詳しくは、車体前部の左右各側部部材に架設されるフロントカウルの構造に関するものである。
上記自動車の車体前部構造には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、車体の幅方向に延びて車体前部の各側部部材にそれぞれ結合されるフロントカウルが設けられている。上記側部部材はフロントピラーと、このフロントピラーから前方に突出するエプロンメンバとを備え、一方、上記フロントカウルは、その下部を構成するカウルインナと、上部を構成するカウルアウタとを備えている。また、上記カウルインナは、側面視断面がU字形状とされるカウルインナ本体と、このカウルインナ本体の後上縁部に一体成形される外向きフランジとを備え、この外向きフランジに上記カウルアウタの後縁部が結合されている。また、上記カウルアウタの側面断面視で、その長手方向の中途部に屈曲部が形成されている。この屈曲部は、下記するように、衝撃力緩和部とされている。
即ち、自動車の走行中、この自動車が、その前方の何らかの物体に衝突(前突)したとする。そして、この衝突で跳ね上げられた物体が上記フロントカウルにその上方から衝突することにより、上記フロントカウルがその上方から衝撃力を与えられたとする。
すると、上記衝撃力により、上記屈曲部が円滑に屈曲可能とされている。そして、この屈曲により、上記衝撃力に基づく衝撃エネルギーが吸収され、もって、上記衝撃力が緩和される。
特開平11−321709号公報
ところで、上記カウルインナは、側面断面視でU字形状とされるカウルインナ本体を備えている。このカウルインナ本体の構造は、上記した形状に基づき、強度(剛性を含む、以下同じ)が大きいものである。
このため、上記フロントカウルがその上方から衝撃力を与えられたとき、上記カウルインナはその形状を保持するよう上記衝撃力に対抗する。よって、上記衝撃力をより十分に緩和させようとする点で、改善の余地が残されている。
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、自動車の前突時に、車体前部におけるフロントカウルがその上方から衝撃力を与えられたとき、この衝撃力をより十分に緩和できるようにすることである。
請求項1の発明は、車体2の幅方向に延びて車体2前部の各側部部材3にそれぞれ結合されるフロントカウル4を設け、上記側部部材3がフロントピラー17と、このフロントピラー17から前方に突出するエプロンメンバ18とを備え、上記フロントカウル4が、その下部を構成するカウルインナ23と、上部を構成するカウルアウタ24とを備え、上記カウルインナ23が、側面視断面がU字形状とされるカウルインナ本体26と、このカウルインナ本体26の後上縁部に一体成形される外向きフランジ28とを備え、この外向きフランジ28に上記カウルアウタ24の後縁部を結合W11させた自動車の車体前部構造において、
上記フロントカウル4の長手方向の中途部に対し、その上方から与えられる衝撃力Fを緩和可能とする衝撃力緩和部39,40を上記カウルインナ本体26の前、後壁30,31にそれぞれ形成し、
上記カウルアウタ24の長手方向の各端部24aを上記フロントピラー17とエプロンメンバ18とのうち、少なくともいずれか一方に直接結合W7−W9し
記カウルアウタ24が、側面視断面が倒立U字形状とされるカウルアウタ本体34と、このカウルアウタ本体34の後下縁部に一体成形され、上記カウルインナ本体26の外向きフランジ28に結合される外向きフランジ36とを備え、上記カウルインナ本体26の前壁30と上記カウルアウタ本体34との間に空隙を形成したものである。
請求項の発明は、請求項の発明に加えて、上記カウルインナ本体26と外向きフランジ28との結合部37と、上記カウルアウタ本体34と外向きフランジ36との結合部38とを互いに対向させたものである。
請求項の発明は、請求項1、もしくは2の発明に加えて、上記カウルインナ本体26の前、後壁30,31のそれぞれ縦方向の中途部に上記衝撃力緩和部39,40を形成し、これら各衝撃力緩和部39,40を基準とした上記前、後壁30,31の上、下部のうち、上部の板厚よりも下部の板厚を厚くしたものである。
請求項の発明は、請求項1からのうちいずれか1つの発明に加えて、上記カウルアウタ24の長手方向の各端部24aの板厚よりも、中途部24bの板厚を薄くしたものである。
なお、この項において、上記各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
本発明による効果は、次の如くである。
請求項1の発明は、車体の幅方向に延びて車体前部の各側部部材にそれぞれ結合されるフロントカウルを設け、上記側部部材がフロントピラーと、このフロントピラーから前方に突出するエプロンメンバとを備え、上記フロントカウルが、その下部を構成するカウルインナと、上部を構成するカウルアウタとを備え、上記カウルインナが、側面視断面がU字形状とされるカウルインナ本体と、このカウルインナ本体の後上縁部に一体成形される外向きフランジとを備え、この外向きフランジに上記カウルアウタの後縁部を結合させた自動車の車体前部構造において、
上記フロントカウルの長手方向の中途部に対し、その上方から与えられる衝撃力を緩和可能とする衝撃力緩和部を上記カウルインナ本体の前、後壁にそれぞれ形成している。
ここで、自動車の走行中、この自動車がその前方の何らかの物体に衝突したとする。そして、この衝突で跳ね上げられた物体が上記フロントカウルにその上方から衝突することにより、上記フロントカウルがその上方から衝撃力を与えられたとする。
すると、上記衝撃力により、上記カウルインナの前、後壁はそれぞれ上記衝撃力緩和部を起点として円滑に塑性変形(屈曲や座屈)し、上記衝撃力に基づく衝撃エネルギーが吸収される。よって、カウルインナの前、後壁に何ら衝撃力緩和部が設けられていなかった従来の技術に比べて、上記衝撃力は、より十分に緩和される。
ところで、上記構成では、カウルインナ本体の前、後壁にそれぞれ衝撃力緩和部を形成したため、上記カウルインナの強度が所望値以下にまで低下する可能性がある。
そこで、上記カウルアウタの長手方向の各端部を上記フロントピラーとエプロンメンバとのうち、少なくともいずれか一方に直接結合している。
ここで、上記フロントピラーとエプロンメンバはその機能上強度が大きいものである。このため、上記したようにフロントピラーとエプロンメンバとに上記カウルアウタの各端部を直接結合させると、このカウルアウタの強度が向上し、上記フロントカウルに所望の強度が得られる。
上記の場合、カウルアウタの長手方向のうち、上記衝撃力が与えられることが予定されていない各端部を上記フロントピラー等に直接結合させて、上記フロントカウルに所望の強度が得られるようにしている。このため、前記したように衝撃力が、より十分に緩和されるものでありながら、上記フロントカウルに所望の強度が得られることとなる。
また、上記カウルアウタが、側面視断面が倒立U字形状とされるカウルアウタ本体と、このカウルアウタ本体の後下縁部に一体成形され、上記カウルインナ本体の外向きフランジに結合される外向きフランジとを備え、上記カウルインナ本体の前壁と上記カウルアウタ本体との間に空隙を形成している。
このため、上記フロントカウルのカウルアウタがその上方から衝撃力を与えられたとき、このカウルアウタのカウルアウタ本体は、平坦形状になるよう円滑に塑性変形する。よって、上記衝撃力は、更に十分に緩和される。
請求項の発明は、上記カウルインナ本体と外向きフランジとの結合部と、上記カウルアウタ本体と外向きフランジとの結合部とを互いに対向させている。
ここで、上記各結合部はそれぞれ屈曲された形状を有し、この形状は、上記衝撃力により応力集中が生じて塑性変形し易いものである。しかも、上記両結合部は互いに対向しており、つまり、これら両結合部の山折れ側が互いに対向して、互いに補強し合わない構造とされている。
よって、上記フロントカウルが衝撃力を与えられたときには、上記各結合部はそれぞれ円滑に塑性変形して、上記衝撃力が効果的に緩和される。また、上記結合部の塑性変形による上記衝撃力の緩和だけでは、この緩和が不十分である場合には、この衝撃力は、前記したように衝撃力緩和部によっても緩和される。この結果、上記衝撃力は、より確実に十分に緩和される。
請求項の発明は、上記カウルインナ本体の前、後壁のそれぞれ縦方向の中途部に上記衝撃力緩和部を形成し、これら各衝撃力緩和部を基準とした上記前、後壁の上、下部のうち、上部の板厚よりも下部の板厚を厚くしている。
このため、上記各衝撃力緩和部の作用を損なうことなく、上記カウルインナ本体に所望の強度が得られる。
請求項の発明は、上記カウルアウタの長手方向の各端部の板厚よりも、中途部の板厚を薄くしている。
このため、上記カウルアウタの端部の強度が高められて、上記カウルアウタに所望の強度が得られる。一方、上記中途部の強度を比較的低くさせることができる。よって、上記カウルアウタの中途部にその上方から衝撃力が与えられたときには、この中途部は下方に向かって撓むよう円滑に変形する。この結果、この中途部に与えられる衝撃力は、より十分に緩和させられる。
本発明の自動車の車体前部構造に関し、自動車の前突時に、車体前部におけるフロントカウルがその上方から衝撃力を与えられたとき、この衝撃力をより十分に緩和できるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
即ち、車体の幅方向に延びて車体前部の各側部部材にそれぞれ結合されるフロントカウルが設けられる。上記側部部材はフロントピラーと、このフロントピラーから前方に突出するエプロンメンバとを備えている。一方、上記フロントカウルは、その下部を構成するカウルインナと、上部を構成するカウルアウタとを備えている。上記カウルインナは、側面視断面がU字形状とされるカウルインナ本体と、このカウルインナ本体の後上縁部に一体成形される外向きフランジとを備え、この外向きフランジに上記カウルアウタの後縁部の外向きフランジが結合される。
上記フロントカウルの長手方向の中途部に対し、その上方から与えられる衝撃力を緩和可能とする衝撃力緩和部が上記カウルインナ本体の前、後壁にそれぞれ形成される。上記カウルアウタの長手方向の各端部が上記フロントピラーとエプロンメンバとのうち、少なくともいずれか一方に直接結合される。
上記カウルアウタは、側面視断面が倒立U字形状とされるカウルアウタ本体と、このカウルアウタ本体の後下縁部に一体成形され、上記カウルインナ本体の外向きフランジに結合される外向きフランジとを備える。また、上記カウルインナ本体の前壁と上記カウルアウタ本体との間に空隙が形成される。
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
図において、符号1は自動車で、矢印Frは、この自動車1の進行方向の前方を示している。
上記自動車1の車体2前部は、この車体2の幅方向に延びて車体2前部の各側部部材3,3にそれぞれ結合されるフロントカウル4と、上記車体2の幅方向、かつ、縦方向に延びその上縁部が上記フロントカウル4に結合W1され、下縁部が不図示のフロアパネルに結合されるダッシュパネル5とを備えている。上記側部部材3、フロントカウル4、およびダッシュパネル5はいずれも板金製とされている。なお、上記符号Wは、溶接による結合を意味し、以下同じとする。
上記フロントカウル4とダッシュパネル5の前側がエンジンルーム7とされ、このエンジンルーム7の上端開口はフード8によって開閉可能に閉じられている。このフード8の後縁部は、シール材9を介し上記フロントカウル4の前縁部の上面に圧接している。上記フロントカウル4とダッシュパネル5の後側が車室11とされている。
上記フロントカウル4の後上方域には、上記車室11の上部前面を形成するフロントウィンド12が設けられている。このフロントウィンド12は、上記車体2に形成されるウィンド開口を閉じるウィンドガラス13を備えている。このウィンドガラス13の前下縁部はシール材14を介し上記フロントカウル4の後縁部の上面に圧接している。上記フロントカウル4をその上方から覆う樹脂製のカウルルーバー15が設けられている。このカウルルーバー15の前縁部はクリップ16により上記シール材14と共にフロントカウル4の前縁部上面に固定されている。また、上記カウルルーバー15の後縁部は、上記フロントウィンド12の前下縁部の外面に接合させられている。
上記各側部部材3は、縦方向に延びるフロントピラー17と、このフロントピラー17の前方で車体2の長手方向に延びその後端部が上記フロントピラー17に結合W2されるエプロンメンバ18と、このエプロンメンバ18に結合W3されてフロントサスペンションを支持する支持ブラケット19と、上記エプロンメンバ18と支持ブラケット19とにそれぞれ結合W4されるカウルサイド20とを備えている。
上記フロントピラー17は、車体2の平面視断面が閉断面とされて大きい強度を有し、車体2前部の骨格を構成している。また、上記エプロンメンバ18は上記フロントピラー17に支持されてフロントサスペンション用の支持ブラケット19を支持するものであって、上記エプロンメンバ18も大きい強度を有し、これも車体2前部の骨格を構成している。
上記フロントカウル4は、その下部を構成して、長手方向の各端部が上記支持ブラケット19に結合W5されると共に、上記カウルサイド20に結合W6されるカウルインナ23と、上記フロントカウル4の上部を構成して、長手方向の各端部24aが上記フロントピラー17に直接結合W7,W8されると共に、上記エプロンメンバ18に直接結合W9され、更に上記カウルサイド20にも結合W10されるカウルアウタ24とを備えている。
なお、上記カウルアウタ24の各端部24aは、上記フロントピラー17とエプロンメンバ18とのうち、いずれか一方のみに直接結合W7−W9させてもよい。
上記カウルインナ23は、その側面視断面がU字形状とされるカウルインナ本体26と、このカウルインナ本体26の前、後上縁部に一体成形される前、後外向きフランジ27,28とを備えている。また、上記カウルインナ本体26は前、後壁30,31と、これら前、後壁30,31のそれぞれ下縁部を互いに一体的に結合させる底板32とを備えている。上記前壁30は側面視断面で、前上方に向かって延び、後壁31はほぼ鉛直方向に延びている。
上記カウルアウタ24は、車体2の側面視断面が倒立U字形状とされるカウルアウタ本体34と、このカウルアウタ本体34の前、後下縁部に一体成形される前、後外向きフランジ35,36とを備えている。上記カウルインナ23とカウルアウタ24の各後外向きフランジ28,36が互いに結合W11されている。この結合W11により、上記カウルアウタ24はカウルインナ23に対し片持ち支持され、上記カウルアウタ24の前外向きフランジ35側は自由端とされている。また、この場合、上記カウルインナ本体26と後外向きフランジ28との結合部37と、上記カウルアウタ本体34と後外向きフランジ36との結合部38とは互いに対向させられている。
上記フロントカウル4の長手方向の中途部に対し、その上方から与えられる衝撃力Fを緩和可能とする衝撃力緩和部39,40が上記カウルインナ23の前、後壁30,31にそれぞれ形成されている。上記各衝撃力緩和部39,40は、上記前、後壁30,31のそれぞれ縦方向の中途部に形成されている。より具体的には、上記前、後壁30,31のそれぞれ中途部が段差を生じるよう屈曲され、これら各屈曲部が上記衝撃力緩和部39,40とされている。そして、これら各衝撃力緩和部39,40は、上記衝撃力Fにより、容易に塑性変形(屈曲や座屈)することとされている。
上記各衝撃力緩和部39,40を基準とした上記前、後壁30,31の上、下部のうち、上部の板厚よりも下部の板厚が厚くされている。これを、より具体的に説明すると、上記前、後壁30,31の各下部をそれぞれ補強する補強材43が、上記カウルインナ23の長手方向で複数(2つ)設けられている。上記各補強材43は、板金製で、その前、後端部が上記前、後壁30,31の各下部に面接合して結合W12されている。即ち、前、後壁30,31の上記各下部は、上記カウルインナ23と補強材43との重ね合わせにより、その板厚が上記各上部の板厚よりも厚くされている。この場合、上記前、後壁30,31の上記各下部を、上記各上部よりも板厚が厚い板材により成形し、上記前、後壁30,31の各上、下部をレーザー溶接などにより互いに結合させてもよい。
上記カウルアウタ24は鋼板製で,その長手方向の各端部24aの板厚は互いに同じとされている。また、これら各端部24aの板厚よりも上記カウルアウタ24の長手方向の中途部24bの板厚の方が薄くされ、この中途部24bの強度が、より低くなるよう設定されている。上記各端部24aと中途部24bとの互いの各結合部24cは、レーザー溶接により結合され、かつ、その後、プレスにより平坦加工されたもので、継目や段差が生じないよう互いに一体成形されている。
なお、上記補強材43は、ワイパーの電動式駆動部などの機器44を上記カウルインナ23に支持させるためのブラケットにより構成してもよい。この場合、上記機器44は、上記カウルインナ本体26の底部に配置され、かつ、上記各衝撃力緩和部39,40よりも低く配置される。
上記構成によれば、フロントカウル4の長手方向の中途部に対し、その上方から与えられる衝撃力Fを緩和可能とする衝撃力緩和部39,40を上記カウルインナ本体26の前、後壁30,31にそれぞれ形成している。
ここで、自動車1の走行中、この自動車1がその前方の何らかの物体に衝突したとする。そして、この衝突で跳ね上げられた物体が上記フロントカウル4にその上方から衝突することにより、上記フロントカウル4がその上方から衝撃力Fを与えられたとする。
すると、上記衝撃力Fにより、上記カウルインナ23の前、後壁30,31はそれぞれ上記衝撃力緩和部39,40を起点として円滑に塑性変形(屈曲や座屈)し(図1中二点鎖線)、上記衝撃力Fに基づく衝撃エネルギーが吸収される。よって、カウルインナの前、後壁に何ら衝撃力緩和部が設けられていなかった従来の技術に比べて、上記衝撃力Fは、より十分に緩和される。
ところで、上記構成では、カウルインナ本体26の前、後壁30,31にそれぞれ衝撃力緩和部39,40を形成したため、上記カウルインナ23の強度が所望値以下にまで低下する可能性がある。
そこで、上記カウルアウタ24の長手方向の各端部24aを上記フロントピラー17とエプロンメンバ18とのうち、少なくともいずれか一方に直接結合W7−W9している。
ここで、上記フロントピラー17とエプロンメンバ18はその機能上強度が大きいものである。このため、上記したようにフロントピラー17とエプロンメンバ18とに上記カウルアウタ24の各端部24aを直接結合W7−W9させると、このカウルアウタ24の強度が向上し、上記フロントカウル4に所望の強度が得られる。
上記の場合、カウルアウタ24の長手方向のうち、上記衝撃力Fが与えられることが予定されていない各端部24aを上記フロントピラー17等に直接結合W7−W9させて、上記フロントカウル4に所望の強度が得られるようにしている。このため、前記したように衝撃力Fが、より十分に緩和されるものでありながら、上記フロントカウル4に所望の強度が得られることとなる。
また、前記したように、カウルアウタ24が、側面視断面が倒立U字形状とされるカウルアウタ本体34と、このカウルアウタ本体34の後下縁部に一体成形され、上記カウルインナ本体26の外向きフランジ28に結合される外向きフランジ36とを備えている。
このため、上記フロントカウル4のカウルアウタ24がその上方から衝撃力Fを与えられたとき、このカウルアウタ24のカウルアウタ本体34は、平坦形状になるよう円滑に塑性変形する(図1中二点鎖線)。よって、上記衝撃力Fは、更に十分に緩和される。
また、前記したように、カウルインナ本体26と外向きフランジ28との結合部37と、上記カウルアウタ本体34と外向きフランジ36との結合部38とを互いに対向させている。
ここで、上記各結合部37,38はそれぞれ屈曲された形状を有し、この形状は、上記衝撃力Fにより応力集中が生じて塑性変形し易いものである。しかも、上記両結合部37,38は互いに対向しており、つまり、これら両結合部37,38の山折れ側が互いに対向して、互いに補強し合わない構造とされている。
よって、上記フロントカウル4が衝撃力Fを与えられたときには、上記各結合部37,38はそれぞれ円滑に塑性変形して、上記衝撃力Fが効果的に緩和される(図1中一点鎖線、二点鎖線)。また、上記結合部37,38の塑性変形による上記衝撃力Fの緩和だけでは、この緩和が不十分である場合には、この衝撃力Fは、前記したように衝撃力緩和部39,40によっても緩和される。この結果、上記衝撃力Fは、より確実に十分に緩和される。
また、前記したように、カウルインナ本体26の前、後壁30,31のそれぞれ縦方向の中途部に上記衝撃力緩和部39,40を形成し、これら各衝撃力緩和部39,40を基準とした上記前、後壁30,31の上、下部のうち、上部の板厚よりも下部の板厚を厚くしている。
このため、上記各衝撃力緩和部39,40の作用を損なうことなく、上記カウルインナ本体26に所望の強度が得られる。
また、前記したように、カウルアウタ24の長手方向の各端部24aの板厚よりも、中途部24bの板厚を薄くしている。
このため、上記カウルアウタ24の端部24aの強度が高められて、上記カウルアウタ24に所望の強度が得られる。一方、上記中途部24bの強度を比較的低くさせることができる。よって、上記カウルアウタ24の中途部24bにその上方から衝撃力Fが与えられたときには、この中途部24bは下方に向かって撓むよう円滑に変形する。この結果、この中途部24bに与えられる衝撃力Fは、より十分に緩和させられる。
なお、以上は図示の例によるが、カウルアウタ24の各端部24aと中途部24bとを三分割構造とし、これらの各対向縁部を重ね合わせてスポット溶接などにより結合させてもよい。
また、上記カウルインナ23のカウルインナ本体26の前、後壁30,31に形成される衝撃力緩和部39,40のうち、少なくともいずれか一方を、次のように形成してもよい。即ち、上記壁の中途部に縦方向に長い長孔を形成し、これら長孔を車体2の幅方向で複数設けて、上記衝撃力緩和部39,40を形成する。なお、このようにした場合には、上記エンジンルーム7内の熱気が上記カウルインナ本体26内や車室11側に向かわないよう、耐熱性でアルミ製等の薄いシートで上記カウルインナ23の外面を覆い、上記各長孔を塞ぐと共に、遮熱するようにしてもよい。
図2の1−1線矢視断面図である。 車体前部の部分平面図である。 図2の部分拡大詳細図である。 図3の4−4線矢視断面図である。 図3の5−5線矢視断面図である。
1 自動車
2 車体
3 側部部材
4 フロントカウル
5 ダッシュパネル
17 フロントピラー
18 エプロンメンバ
23 カウルインナ
24 カウルアウタ
24a 端部
24b 中途部
26 カウルインナ本体
28 外向きフランジ
30 前壁
31 後壁
34 カウルアウタ本体
36 外向きフランジ
37 結合部
38 結合部
39 衝撃力緩和部
40 衝撃力緩和部
43 補強材
W 結合
F 衝撃力

Claims (4)

  1. 車体の幅方向に延びて車体前部の各側部部材にそれぞれ結合されるフロントカウルを設け、上記側部部材がフロントピラーと、このフロントピラーから前方に突出するエプロンメンバとを備え、上記フロントカウルが、その下部を構成するカウルインナと、上部を構成するカウルアウタとを備え、上記カウルインナが、側面視断面がU字形状とされるカウルインナ本体と、このカウルインナ本体の後上縁部に一体成形される外向きフランジとを備え、この外向きフランジに上記カウルアウタの後縁部を結合させた自動車の車体前部構造において、
    上記フロントカウルの長手方向の中途部に対し、その上方から与えられる衝撃力を緩和可能とする衝撃力緩和部を上記カウルインナ本体の前、後壁にそれぞれ形成し、
    上記カウルアウタの長手方向の各端部を上記フロントピラーとエプロンメンバとのうち、少なくともいずれか一方に直接結合し
    記カウルアウタが、側面視断面が倒立U字形状とされるカウルアウタ本体と、このカウルアウタ本体の後下縁部に一体成形され、上記カウルインナ本体の外向きフランジに結合される外向きフランジとを備え、上記カウルインナ本体の前壁と上記カウルアウタ本体との間に空隙を形成したことを特徴とする自動車の車体前部構造。
  2. 上記カウルインナ本体と外向きフランジとの結合部と、上記カウルアウタ本体と外向きフランジとの結合部とを互いに対向させたことを特徴とする請求項に記載の自動車の車体前部構造。
  3. 上記カウルインナ本体の前、後壁のそれぞれ縦方向の中途部に上記衝撃力緩和部を形成し、これら各衝撃力緩和部を基準とした上記前、後壁の上、下部のうち、上部の板厚よりも下部の板厚を厚くしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の自動車の車体前部構造。
  4. 上記カウルアウタの長手方向の各端部の板厚よりも、中途部の板厚を薄くしたことを特徴とする請求項1からのうちいずれか1つに記載の自動車の車体前部構造。
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