JP6567719B1 - 利用者検知システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 エレベータに乗車し切れなかった利用者の待ち時間の増加を防ぐこと。【解決手段】 実施形態に係る利用者検知システムは、撮影手段によって撮影された時系列的に連続した複数枚の画像から乗場側にいる利用者の位置を検知し、当該検知された乗場側の利用者の位置の時系列変化に基づいて、所定の乗りかごに乗車し切れない利用者の有無を判定する第1判定手段と、複数枚の画像から乗りかご側にいる利用者の位置を検知し、当該検知された乗りかご側の利用者の位置の時系列変化に基づいて、所定の乗りかごの積載容量に対する人・物の占有率の高低を判定する第2判定手段と、第1及び第2判定手段による判定の結果に基づいて、群管理制御装置によって群管理される複数の乗りかごのうちの所定の乗りかごとは異なる乗りかごに対して次発呼びを登録するか否かを判定し、この判定の結果に基づいて次発呼びを登録する制御手段とを備える。【選択図】 図1

Description

本実施形態は、利用者検知システムに関する。
一般に、朝の通勤時や昼休み時等、多数の利用者がエレベータを利用する時間帯(ピークタイム)においては、所定階に到着したエレベータがすぐに満員状態になってしまい、当該所定階で待つ全ての利用者が、一度にエレベータに乗車し切れない可能性がある。このような場合、エレベータに乗車し切れなかった利用者は、乗場に設けられた乗場呼びボタンを再度押下して、別のエレベータを所定階に再度呼ぶ必要がある。
しかしながら、別のエレベータを所定階に呼ぶためには、満員状態となったエレベータが当該所定階から出発するのを待ってから、乗場に設けられた乗場呼びボタンを押下する必要がある。これは、エレベータに乗車し切れなかった利用者にとっては、待ち時間が増加してしまうため、あまり好ましい事態ではない。
特開2017−95213号公報
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、エレベータに乗車し切れなかった利用者の待ち時間の増加を防ぎ得る利用者検知システムを提供することである。
一実施形態によれば、利用者検知システムは、複数の乗りかごの運転を群管理する群管理制御装置を含む。前記利用者検知システムは、所定の乗りかごが乗場に到着したときに、当該乗りかごのドア近辺から所定の範囲を撮影可能な撮影手段と、前記撮影された時系列的に連続した複数枚の画像から乗場側にいる利用者の位置を検知し、当該検知された乗場側の利用者の位置の時系列変化が、前記乗場から前記所定の乗りかごに徐々に近づいて来た末に当該乗りかごの手前で停止する第1のパターンに該当するか否かに基づいて、前記所定の乗りかごに乗車し切れない利用者の有無を判定する第1判定手段と、前記撮影された時系列的に連続した複数枚の画像から乗りかご側にいる利用者の位置を検知し、当該検知された乗りかご側の利用者の位置の時系列変化が、前記所定の乗りかごのドアに近づくように徐々に変化した末に変化しなくなる第2のパターンに該当するか否かに基づいて、前記所定の乗りかごの積載容量に対する人・物の占有率の高低を判定する第2判定手段と、前記第1及び第2判定手段による判定の結果に基づいて、前記群管理制御装置によって群管理される複数の乗りかごのうちの前記所定の乗りかごとは異なる乗りかごに対して次発呼びを登録するか否かを判定し、この判定の結果に基づいて次発呼びを登録する制御手段とを備える。
図1は一実施形態に係る利用者検知システムの概略構成例を示す図である。 図2は実空間での利用者検知エリアを説明するための図である。 図3は実空間での座標系を説明するための図である。 図4は時間tに検知された利用者の位置を示す図である。 図5は時間t+1に検知された利用者の位置を示す図である。 図6は同実施形態に係る利用者検知システムの全体動作の一例を示すフローチャートである。 図7は動き検知処理の手順の一例を示すフローチャートである。 図8は位置推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。 図9は積み残し推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。 図10はかご内占有率推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。 図11は次発呼び登録判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。 図12は利用者の位置の変化パターンの特性を補足的に説明するための図である。 図13は同実施形態の変形例に係る次発呼び登録判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
なお、以下では、エレベータのことを「乗りかご」と称して説明する。また、以下では、複数台のエレベータについて述べる場合には、各エレベータのことを「号機」と称して説明する。
[概略構成]
図1は、一実施形態に係る利用者検知システムの概略構成例を示す図である。なお、図1では、A〜C号機の3台の乗りかごが後述する群管理制御装置によって群管理されている場合を例示しているが、群管理制御装置によって群管理される乗りかごの台数はこれに限定されず、少なくとも2台以上であれば良い。また、図1では、群管理制御装置以外の各装置については、A〜C号機のうちのA号機に対応した各装置のみを図示している。以下では、A号機に対応した各装置についてのみ詳述し、B号機及びC号機に対応した各装置については、A号機に対応した各装置と同様な構成であるため詳細な説明を省略する。このため、以下では、A号機に対応した各装置であることを示すために符号の末尾に付すべき「A」の文字を適宜省略して説明するものとする。
本実施形態に係る利用者検知システムにおいては、乗りかご11の出入口上部にカメラ12が設置されている。具体的には、カメラ12は、乗りかご11の出入口上部を覆う幕板11aの中に、レンズ部分を乗場側に向けて設置されている。カメラ12は、乗場15だけでなく、乗りかご11のシル(敷居)全体も撮影範囲に含むように設置されている。カメラ12は、例えば車載カメラ等の小型の監視用カメラであり、広角レンズを有し、1秒間に数コマ(例えば30コマ/秒)の画像を連続的に撮影可能である。
より詳しくは、撮影範囲は図1に示すようにL1+L2に調整されている(L1≫L2)。L1は乗場側の撮影範囲であり、かごドア13から乗場15に向けて例えば3mである。L2はかご側の撮影範囲であり、かごドア13からかご背面に向けて例えば50cmである。なお、L1及びL2は奥行き方向の範囲であり、幅方向(奥行き方向と直交する方向)の範囲については少なくとも乗りかご11の横幅より大きいものとする。
カメラ12は、乗りかご11の移動速度が所定値未満のときに起動する。
一例として、カメラ12は、乗りかご11が所定階に停止するために減速を開始し、移動速度が所定値未満になると起動し、撮影を開始する。つまり、カメラ12による撮影は、乗りかご11が所定階に停止するために減速を開始し、移動速度が所定値未満になってから、乗りかご11が所定階に停止している間中も含めて、乗りかご11が当該所定階から別の階に向かうために加速を開始し、移動速度が所定値以上になるまで、継続して行われる。
また、一例として、カメラ12は、乗りかご11が所定階に停止し、かごドア13および後述の乗場ドア14が開扉するまでの間に起動して、撮影を開始する。この場合は、かごドア13および乗場ドア14が開扉してから、閉扉するまでの間、撮影を継続する。
各階の乗場15において、乗りかご11の到着口には乗場ドア14が開閉自在に設置されている。乗場ドア14は、乗りかご11の到着時にかごドア13に係合して開閉動作する。なお、動力源(ドアモータ)は乗りかご側にあり、乗場ドア14はかごドア13に追従して開閉するだけである。以下の説明においては、かごドア13が戸開している時には乗場ドア14も戸開しており、かごドア13が戸閉している時には乗場ドア14も戸閉しているものとする。
乗りかご11の底部には、かご室内の積載荷重(「かご内荷重」と表記されても良い)を計測するための荷重センサ16が設置されている。荷重センサ16によって計測される積載荷重の値を示す荷重情報は、後述するエレベータ制御装置30に伝送される。
カメラ12によって連続的に撮影された各画像(映像)は、画像処理装置20(利用者検知装置)によってリアルタイムに解析処理される。なお、図1では、便宜的に画像処理装置20を乗りかご11から取り出して図示しているが、実際には、画像処理装置20はカメラ12と共に幕板11aの中に収納されている。また、図1では、画像処理装置20がエレベータ制御装置30とは別に設けられた場合を例示しているが、これに限定されず、後述する画像処理装置20の各種機能は、エレベータ制御装置30に搭載されていても良い。
画像処理装置20には、図1に示すように、記憶部21と利用者検知部22とが備えられている。記憶部21は、カメラ12によって撮影された画像を逐次保存すると共に、利用者検知部22の処理に必要なデータを一時的に保存しておくためのバッファエリア(図示せず)を有する。なお、記憶部21には、画像に対する前処理として、歪み補正や拡大縮小、一部切り取り等の処理が施された画像が保存されるとしても良い。
利用者検知部22は、バッファエリアに記憶された時系列的に連続した複数枚の画像のそれぞれに関し、乗場側においてかごドア13に最も近い人・物の動きに着目し、乗場側においてかごドア13に最も近い人・物の動きを検知する。利用者検知部22は、検知された乗場側の人・物の動きに基づいて、乗りかご11が満員状態で、当該乗りかご11に乗車し切れなかった利用者(以下、「積み残し」と表記する)の有無(存在)を検知(判定)する。利用者検知部22は、積み残しが存在するまたは積み残しが存在しない旨を通知するための第1の結果信号をエレベータ制御装置30に出力する。
また、利用者検知部22は、バッファエリアに記憶された時系列的に連続した複数枚の画像のそれぞれに関し、乗りかご側においてかごドア13に最も近い人・物の動きを検知し、当該検知の結果を示す動き検知結果情報をエレベータ制御装置30に出力する。
エレベータ制御装置30には、図1に示すように、かご内占有率推定部31と呼び制御部32とが備えられている。かご内占有率推定部31は、荷重センサ16からの荷重情報に基づいて、乗りかご11が満員状態であるか否か、換言すると、後述するかご内占有率が高いのか否かを検知(推定)する。
また、かご内占有率推定部31は、画像処理装置20からの動き検知結果情報に基づいて、乗りかご11の積載容量に対する人・物の占有率(以下、「かご内占有率」と表記する)が高いのか、あるいは低いのかを検知(推定)する。なお、かご内占有率推定部31は、かご内占有率が高いまたはかご内占有率が低い旨を通知するための第2の結果信号を呼び制御部32に出力する。
呼び制御部32は、次発呼び登録判定部32aを含む。次発呼び登録判定部32aは、画像処理装置20から出力される第1の結果信号と、かご内占有率推定部31から出力される第2の結果信号とに基づいて、後述する群管理制御装置40によって群管理される複数号機の中のいずれかの号機(図1の場合、B号機またはC号機のどちらか)に対して、次発の乗場呼び(次発呼び)の登録が必要か否かを判定する。
群管理制御装置40は、各号機11A〜11Cの運転を群管理制御するための装置である。群管理制御装置40には、各号機11A〜11Cにそれぞれ対応するエレベータ制御装置30が接続される。群管理制御装置40は、これらエレベータ制御装置30の動作を制御することによって各号機11A〜11Cの運転を群管理制御する。なお、上記したように、図1においては、群管理制御装置40以外は、A号機に対応した装置のみを図示しているため、B号機及びC号機に対応するエレベータ制御装置30は、図1においては省略されている。
群管理制御装置40は、号機割当制御部41を備えている。号機割当制御部41は、エレベータ制御装置30からの割当指示信号の入力を受け付けると、A号機以外の号機、つまり、B号機またはC号機の運転状態に基づいて、所定の乗場呼びに対する好適な号機を割当号機として選出する。群管理制御装置40は、号機割当制御部41によって選出された割当号機に対応したエレベータ制御装置30に対して応答指示信号を出力する。
[利用者検知エリア]
ここで、図2を参照して、画像処理装置20が画像から乗場側・乗りかご側の利用者をそれぞれ検知するために設定される利用者検知エリアについて説明する。図2は、実空間での利用者検知エリアを説明するための図である。
図2に示すように、乗場15にいる利用者を検知するために、乗場側には乗場位置推定エリアE1が利用者検知エリアとして設定され、乗りかご11にいる利用者を検知するために、乗りかご側にはかご内位置推定エリアE2が利用者検知エリアとして設定される。なお、利用者検知エリアは、カメラ12によって撮影される画像(原画像)を所定サイズの格子状に区切ったブロック毎に設定される。なお、各ブロックの縦横の長さは同一であっても良いし、異なっていても良い。また、画像全域にわたってブロックを不均一な大きさとしても良いし、例えば画像上部ほど縦(後述するY軸方向)の長さを短くする等、不均一な大きさにしても良い。
乗場位置推定エリアE1は、乗場側にいる利用者の身体の一部、具体的には、乗場側においてかごドア13から最も近い利用者の足元位置を推定(検知)するためのエリアである。乗場位置推定エリアE1は、かごドア13の中心から乗場方向に向かってL3の距離を有するように設定されている(L3≦乗場側の撮影範囲L1)。なお、乗場位置推定エリアE1の(最も広い)横幅W1は、かごドア13の横幅W0以上の距離に設定されている。
かご内位置推定エリアE2は、乗りかご側にいる利用者の身体の一部、具体的には、乗りかご側においてかごドア13から最も近い利用者の足元位置を推定(検知)するためのエリアである。かご内位置推定エリアE2は、かごドア13の中心から乗りかご方向に向かってL4の距離を有するように設定されている(L4≦乗りかご側の撮影範囲L2)。なお、かご内位置推定エリアE2の横幅W2は、かごドア13の横幅W0とほぼ同じ距離に設定されている。あるいは、かご内位置推定エリアE2の横幅W2は、かごドア13の横幅W0よりも大きな値に設定されても良い。また、図2では、かご内位置推定エリアE2が長方形である場合を例示したが、これに限定されず、例えば、かご内位置推定エリアE2は、乗りかご11内に設けられる操作パネルpの死角を除く台形であっても良い。
図3は、実空間での座標系を説明するための図である。図3に示すように、カメラ12は、乗りかご11の出入口に設けられたかごドア13と水平の方向をX軸、かごドア13の中心から乗場15の方向(かごドア13に対して垂直の方向)をY軸、乗りかご11の高さ方向をZ軸とした画像を撮影する。このカメラ12によって撮影された各画像において、図2に示した乗場位置推定エリアE1が設定された各ブロックを比較することで、乗場側においてかごドア13から最も近い利用者の足元位置の動きが検知される。同様に、カメラ12によって撮影された各画像において、図2に示したかご内位置推定エリアE2が設定された各ブロックを比較することで、乗りかご側においてかごドア13から最も近い利用者の足元位置の動きが検知される。
図4及び図5は、乗場位置推定エリアE1が設定された各ブロックを比較することによって検知される利用者の足元位置の動きを説明するための図である。図4は時間tに撮影された画像の一部、図5は時間t+1に撮影された画像の一部を模式的に示している。
図中のP1,P2は、画像上で動きありとして検知された利用者の画像部分であり、実際には画像比較により動きありとして検知されたブロックの集合体である。詳細については後述するが、利用者検知部22は、画像部分P1,P2の中でかごドア13に最も近い動きありのブロックBxを抽出し、そのブロックBxのY座標値の軌跡を追うことで、積み残しの有無を判定する。図4及び図5に示すように、Y軸方向に点線で示すような等距離線(かごドア13と平行な等間隔の水平線)が、Y座標値の軌跡を追うために利用される。これによれば、ブロックBxとかごドア13とのY軸方向の距離を把握することが可能となり、Y座標値の軌跡を追うことができる。
図4及び図5の例では、かごドア13に最も近い動きありのブロックBxの検知位置(Y座標値)がYnからYn−1に変化しており、乗場側の利用者がかごドア13に近づいていることが分かる。なお、ここでは、乗場位置推定エリアE1を例にとって説明したが、かご内位置推定エリアE2においても同様にして、乗りかご側の利用者の足元位置の動きが検知される。
[利用者検知システムの動作]
次に、図6のフローチャートを参照して、本システムの動作の一例について詳しく説明する。図6は本システムにおける全体の処理の流れを示すフローチャートである。
乗りかご11が任意の階の乗場15に到着すると(ステップS1のYES)、エレベータ制御装置30は、かごドア13を戸開して、乗りかご11に乗車する利用者を待つ(ステップS2)。
このとき、乗りかご11の出入口上部に設置されたカメラ12によって乗場側の所定範囲(L1)と乗りかご側の所定範囲(L2)とが所定のフレームレート(例えば30コマ/秒)で撮影される。画像処理装置20は、カメラ12で撮影された画像を時系列で取得し、これら画像を記憶部21に逐次保存しながら(ステップS3)、以下のような利用者検知処理をリアルタイムで実行する(ステップS4)。
利用者検知処理は、画像処理装置20に備えられた利用者検知部22によって実行される。この利用者検知処理は、動き検知処理(ステップS4a)、位置推定処理(ステップS4b)、積み残し推定処理(ステップS4c)に分けられる。以下、各処理について詳しく説明する。
(a)動き検知処理
図7は、上記したステップS4aの動き検知処理の手順の一例を示すフローチャートである。この動き検知処理は、利用者検知部22の構成要素の1つである動き検知部22aによって実行される。
まず、動き検知部22aは、記憶部21に保存された各画像を1枚ずつ読み出し、乗場位置推定エリアE1が設定されたブロック毎に平均輝度値を算出する(ステップSa1)。その際、動き検知部22aは、初期値として最初の画像が入力されたときに算出されたブロック毎の平均輝度値を記憶部21内のバッファエリアに保持しておく(ステップSa2)。
2枚目以降の画像が得られると、動き検知部22aは、現在の画像のブロック毎の平均輝度値と、上記したバッファエリアに保持された1つ前の画像のブロック毎の平均輝度値とを比較する(ステップSa3)。その結果、現在の画像の中で予め設定された値以上の輝度差を有するブロックが存在した場合には、動き検知部22aは、当該ブロックを動きありのブロックとして判定する(ステップSa4)。
現在の画像に対する動きの有無を判定すると、動き検知部22aは、当該画像のブロック毎の平均輝度値を次の画像との比較用として、上記したバッファエリアに保持する(ステップSa5)。
以降同様にして、動き検知部22aは、カメラ12によって撮影された各画像の輝度値を時系列順にブロック単位で比較しながら動きの有無を判定することを繰り返す。
なお、ここでは、乗場位置推定エリアE1を例にとって説明したが、かご内位置推定エリアE2においても同様にして、動きの有無が判定される。
(b)位置推定処理
図8は、上記したステップS4bの位置推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。この位置推定処理は、利用者検知部22の構成要素の1つである位置推定部22bによって実行される。
位置推定部22bは、動き検知部22aの検知結果に基づいて現在の画像の中で動きありのブロックをチェックし(ステップSb1)、動きありのブロックのうち、かごドア13に最も近いブロックを抽出する(ステップSb2)。
上記したように、カメラ12は乗りかご11の出入口上部にレンズ部分を乗場側に向けて設置されている。したがって、利用者が乗場15からかごドア13に向かっていた場合には、その利用者の右または左の足元(つま先)の部分が撮影画像の一番手前、つまり、かごドア13に最も近い可能性が高い。そこで、位置推定部22bは、かごドア13に最も近い動きありのブロックのY座標値を、利用者の足元位置のデータとして求め、記憶部21内のバッファエリアに保持する(ステップSb3)。
以降同様にして、位置推定部22bは、画像毎に、かごドア13に最も近い動きありのブロックのY座標値を利用者の足元位置のデータとして求め、上記したバッファエリアに保持していく。
なお、ここでは、乗場位置推定エリアE1を例にとって説明したが、かご内位置推定エリアE2においても同様にして、かごドア13に最も近い動きありのブロックのY座標値が利用者の足元位置のデータとして求められる。この場合、求められた利用者の足元位置のデータは、動き検知結果情報としてエレベータ制御装置30に適宜出力される。
(c)積み残し推定処理
図9は、上記したステップS4cの積み残し推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。この積み残し推定処理は、利用者検知部22の構成要素の1つである積み残し推定部22cによって実行される。積み残し推定処理は、例えば、上記したバッファエリアに保持された利用者の足元位置のデータが所定数以上になった時に実行されるものとする。
積み残し推定部22cは、上記したバッファエリアに保持された各画像の利用者の足元位置のデータを平滑化する(ステップSc1)。なお、平滑化の方法としては、例えば、平均値フィルタやカルマンフィルタ等の公知の任意の方法を用いるものとし、ここではその詳しい説明を省略する。
足元位置のデータを平滑化したときに、変化量が所定値以上のデータが存在した場合(ステップSc2のYES)、積み残し推定部22cは、そのデータを外れ値として除外する(ステップSc3)。なお、上記した所定値は、例えば、利用者の標準的な歩行速度と画像のフレームレートによって決められる。また、足元位置のデータを平滑化する前に外れ値を見つけて除外するとしても良い。
次に、積み残し推定部22cは、乗場側にいる利用者の足元位置(つまり、乗場側においてかごドア13に最も近い動きありのブロックのY座標値(以下、「乗場側Y座標値」と表記する))が、現在の乗場側Y座標値になるまでに辿った時系列変化(パターン)をチェックする(ステップSc4)。
続いて、積み残し推定部22cは、ステップSc4の処理によりチェックした乗場側Y座標値のパターンが、徐々に小さくなって来た末に急に変化しなくなり、現在停止状態になっている第1のパターンに該当するか否かを判定する(ステップSc5)。
ステップSc5の判定処理の結果、乗場側Y座標値のパターンが第1のパターンに該当すると判定された場合(ステップSc5のYES)、積み残し推定部22cは、乗場側Y座標値が停止状態になってからの経過時間を算出し、当該算出された経過時間が所定時間以上であるか否かを判定する(ステップSc6)。なお、ステップSc6の判定処理の結果、算出された経過時間が所定時間未満であると判定された場合(ステップSc6のNO)、上記したステップSc4の処理に戻り、現在以降に撮影される少なくとも1以上の画像から検知される乗場側Y座標値も含めて、再度同様な処理を実行する。
ステップSc6の判定処理の結果、算出された経過時間が所定時間以上であると判定された場合(ステップSc6のYES)、積み残し推定部22cは、積み残しがあると判定し(ステップSc7)、積み残しがある旨を通知するための第1の結果信号をエレベータ制御装置30に出力して、ここでの処理を終了させる。
一方で、ステップSc5の判定処理の結果、乗場側Y座標値のパターンが第1のパターンに該当しないと判定された場合(ステップSc5のNO)、積み残し推定部22cは、現在の乗場側Y座標値が1つ前の乗場側Y座標値に比べて、急に大きくなるように変化したか否か(つまり、利用者が後退したか否か)を判定する(ステップSc8)。
なお、ステップSc8の判定処理の結果、現在の乗場側Y座標値が急に大きくなるように変化したと判定された場合(ステップSc8のYES)、上記したステップSc4の処理に戻り、現在以降に撮影される少なくとも1以上の画像から検知される乗場側Y座標値も含めて、再度同様な処理を実行する。
一方で、ステップSc8の判定処理の結果、乗場側Y座標値が急に大きくなるように変化していない、つまり、さらに小さくなるように変化していると判定された場合(ステップSc8のNO)、積み残し推定部22cは、積み残しはないと判定し(ステップSc9)、積み残しがない旨を通知するための第1の結果信号をエレベータ制御装置30に出力して、ここでの処理を終了させる。
再度、図6のフローチャートの説明に戻る。上記したステップS4a〜S4cの処理が画像処理装置20によって実行され、積み残しの有無が推定されると、引き続き、エレベータ制御装置30は、かご内占有率を推定するためにかご内占有率推定処理を実行する(ステップS5)。以下、図10を参照しながら、かご内占有率推定処理について詳しく説明する。
(d)かご内占有率推定処理
図10は、上記したステップS5のかご内占有率推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。このかご内占有率推定処理は、かご内占有率推定部31によって実行される。
まず、かご内占有率推定部31は、乗りかご11内の現在の積載荷重を示す荷重情報を荷重センサ16から取得する(ステップSd1)。
続いて、かご内占有率推定部31は、取得された荷重情報によって示される現在の積載荷重が予め設定された所定値以上(例えば定格積載質量のn%の値(nは任意の正の整数)等)であるか否かに基づいて、乗りかご11が満員状態であるか否かを判定する(ステップSd2)。
なお、ステップSd2の判定処理の結果、現在の積載荷重が所定値以上であり、乗りかご11が満員状態であると判定された場合(ステップSd2のYES)、かご内占有率推定部31は、後述するステップSd8の処理を実行する。
一方で、ステップSd2の判定処理の結果、現在の積載荷重が所定値未満であり、乗りかご11が満員状態でないと判定された場合(ステップSd2のNO)、かご内占有率推定部31は、かご内位置推定エリアE2内における利用者の足元位置のデータ(動き検知結果情報)を画像処理装置20から取得する(ステップSd3)。
なお、本実施形態では、かご内占有率推定部31が、画像処理装置20によって既に求められたかご内位置推定エリアE2内における利用者の足元位置のデータ(動き検知結果情報)を後述する処理のために当該画像処理装置20から取得するとしている。しかしながら、かご内位置推定エリアE2内における利用者の足元位置のデータは、かご内占有率推定部31によって求められるとしても良い。この場合、かご内占有率推定部31は、現在までに撮影された複数枚の画像を画像処理装置20から取得し、上記したステップS4a及びステップS4bの処理と同様な処理をかご内位置推定エリアE2内にいる利用者を対象にして実行すれば良い。
次に、かご内占有率推定部31は、ステップSd3の処理により、かご内位置推定エリアE2内にいる利用者の足元位置(つまり、乗りかご側においてかごドア13に最も近い動きありのブロックのY座標値(以下、「かご側Y座標値」と表記する))が、現在(最新)の画像から抽出されているか否か、つまり、かご内位置推定エリアE2内に現在利用者がいるか否かを判定する(ステップSd4)。
なお、ステップSd4の判定処理の結果、かご内位置推定エリアE2内に現在利用者がいないと判定された場合(ステップSd4のNO)、かご内占有率推定部31は、後述するステップSd10の処理を実行する。
一方で、ステップSd4の判定処理の結果、かご内位置推定エリアE2内に現在利用者がいると判定された場合(ステップSd4のYES)、かご内占有率推定部31は、かご側Y座標値が現在のかご側Y座標値になるまでに辿った時系列変化(パターン)をチェックする(ステップSd5)。
続いて、かご内占有率推定部31は、ステップSd5の処理によりチェックしたかご側Y座標値のパターンが、徐々に大きくなって来た末に変化しなくなり、現在停止状態になっている第2のパターンに該当するか否かを判定する(ステップSd6)。
ステップSd6の判定処理の結果、かご側Y座標値のパターンが第2のパターンに該当すると判定された場合(ステップSd6のYES)、かご内占有率推定部31は、かご側Y座標値が停止状態になってからの経過時間を算出し、当該算出された経過時間が予め設定された所定時間以上であるか否かを判定する(ステップSd7)。
なお、ステップSd7の判定処理の結果、算出された経過時間が所定時間未満であると判定された場合(ステップSd7のNO)、上記したステップSd3の処理に戻り、現在以降に撮影される少なくとも1以上の撮影画像も含めて、再度同様な処理が実行される。
一方で、ステップSd7の判定処理の結果、算出された経過時間が所定時間以上であると判定された場合(ステップSd7のYES)、かご内占有率推定部31は、かご内占有率が高いものと判定し(ステップSd8)、かご内占有率が高い旨を通知するための第2の結果信号を呼び制御部32に出力し、ここでの処理を終了させる。
上記したステップSd6の判定処理の結果、かご側Y座標値のパターンが第2のパターンに該当しないと判定された場合(ステップSd6のNO)、かご内占有率推定部31は、現在のかご側Y座標値が、かご内位置推定エリアE2内のうちのシル近辺のエリアに位置しているか否かを判定する(ステップSd9)。なお、シル近辺のエリアは、かごドア13の中心から乗りかご方向に向かってL5(L5≦L4)の距離を有し、かつW2の横幅を有するように設定されるエリアである。
ステップSd9の判定処理の結果、現在のかご側Y座標値がシル近辺のエリアに位置していると判定された場合(ステップSd9のYES)、上記したステップSd3の処理に戻り、現在以降に撮影される少なくとも1以上の撮影画像も含めて、再度同様な処理が実行される。
一方で、ステップSd9の判定処理の結果、現在のかご側Y座標値がシル近辺のエリアに位置していないと判定された場合(ステップSd9のNO)、かご内占有率推定部31は、かご内占有率が低いものと判定し(ステップSd10)、かご内占有率が低い旨を通知するための第2の結果信号を呼び制御部32に出力し、ここでの処理を終了させる。
なお、かご内占有率推定処理に含まれる各処理のうち、かご側Y座標値が第2のパターンに該当するか否かと、現在のかご側Y座標値がシル近辺のエリアに位置しているか否かとを判定する処理は、上記した積み残し推定部22cによって判定されるとしても良い。この場合、かご内占有率推定部31は、上記した判定の結果を積み残し推定部22cから取得した上で、当該判定の結果に基づいて、かご内占有率の高低を判定すれば良い。
また、上記したステップSd3とステップSd4との処理の間で、上記したステップSc1〜ステップSc3に相当する処理がさらに実行されるとしても良い。但し、かご内位置推定エリアE2は、乗場位置推定エリアE1に比べて範囲が狭く、外れ値の影響を受けにくいため、上記したステップSc1〜ステップSc3に相当する処理は省略されても良く、図10のフローチャートからはこれら処理を省略している。
再度、図6のフローチャートの説明に戻る。上記したステップS5の処理がかご内占有率推定部31によって実行され、かご内占有率を示す第2の結果信号が出力されると、呼び制御部32は、当該エレベータ制御装置30に対応する号機(A号機)とは別の号機(B号機またはC号機)を、A号機が現在停止している階床(以下、「停止階床」と表記する)に呼ぶか否かを判定する(次発呼びを登録するか否かを判定する)ために、次発呼び登録判定処理を実行する(ステップS6)。以下、図11を参照しながら、次発呼び登録判定処理について詳しく説明する。
(e)次発呼び登録判定処理
図11は、上記したステップS6の次発呼び登録判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。この次発呼び登録判定処理は、呼び制御部32の構成要素である次発呼び登録判定部32aによって実行される。
まず、次発呼び登録判定部32aは、画像処理装置20から出力された第1の結果信号に基づいて、積み残しがあるか否かを判定する(ステップSe1)。なお、ステップSe1の判定処理の結果、積み残しがないと判定された場合(ステップSe1のNO)、次発呼び登録判定部32aは、後述するステップSe4の処理を実行する。
一方で、ステップSe1の判定処理の結果、積み残しがあると判定された場合(ステップSe1のYES)、次発呼び登録判定部32aは、かご内占有率推定部31から出力された第2の結果信号に基づいて、かご内占有率が高いのか、または低いのかを判定する(ステップSe2)。
ステップSe2の判定処理の結果、かご内占有率が高いと判定された場合(ステップSe2の「高」)、次発呼び登録判定部32aは、当該階床への乗場呼びを、当該対応号機とは別の号機に対して割り当てるよう指示するための割当指示信号を群管理制御装置40に出力し(ステップSe3)、ここでの処理を終了させる。
一方で、ステップSe2の判定処理の結果、かご内占有率が低いと判定された場合(ステップSe2の「低」)、次発呼び登録判定部32aは、次発呼びの登録は不要であると判定して、次発呼びを登録せずに(ステップSe4)、ここでの処理を終了させる。
再度、図6のフローチャートの説明に戻る。上記したステップS6の処理が次発呼び登録判定部32aによって実行され、上記した割当指示信号が群管理制御装置40に出力された場合(ステップS7のYES)、群管理制御装置40内の号機割当制御部41は、当該割当指示信号に従って、当該割当指示信号を出力したエレベータ制御装置30に対応した号機とは別の号機の中から好適な割当号機を選出し、選出された割当号機に対応したエレベータ制御装置30に対して応答指示信号を出力する。
また、上記したように割当指示信号を群管理制御装置40に出力すると、エレベータ制御装置30は、別の号機がこれから到着することを、積み残しとなった利用者に対して通知し(ステップS8)、後述するステップS10の処理を実行する。利用者への通知方法は、乗場15に設けられるスピーカーを利用した音声アナウンスであっても良いし、乗場15に設けられるインジケータを利用した表示によるものであっても良い。
一方で、上記したステップS6の処理の結果、上記した割当指示信号が群管理制御装置40に出力されなかった場合(ステップS7のNO)、エレベータ制御装置30は、かごドア13が全戸開状態になってから所定時間(例えば1分)が経過したか否かを判定する(ステップS9)。なお、ステップS9の判定処理の結果、所定時間が経過していないと判定された場合(ステップS9のNO)、上記したステップS3の処理に戻り、再度同様な処理を実行する。
しかる後、ステップS9の判定処理の結果、所定時間が経過したと判定された場合(ステップS9のYES)、エレベータ制御装置30は、かごドア13を戸閉し(ステップS10)、目的階に向けて出発する。
なお、上記したように、積み残しとなった利用者に対して群管理制御装置40により別の号機が配車された場合、エレベータ制御装置30は、かごドア13が全戸開状態になってから所定時間が経過していなかったとしても、かごドア13の戸閉を開始する。これによれば、既に満員状態の乗りかご11が所定階に無駄に留まることを防ぐことができるので、運転効率(群管理効率)を良くすることができる。
ここで、図12を参照して、乗場側Y座標値と、かご側Y座標値との変化パターンの特性について補足的に説明する。図12は、乗場側Y座標値と、かご側Y座標値との変化パターンの特性を説明するための図である。図12の縦軸はY座標値(位置)を示し、横軸は時間を示す。なお、Y座標値「0」はかご内位置推定エリアE2のかごドア13に近い端部を示し、Y座標値「L4」は乗場位置推定エリアE1とかご内位置推定エリアE2との境界を示し、Y座標値「L3」は乗場位置推定エリアE1のかごドア13から離れた端部を示す。
乗場位置推定エリアE1に着目すると、図12に示すように、乗場側にいる利用者が乗場15からかごドア13に向かって歩く、つまり、かごドア13に近づく場合、Y座標値(乗場側Y座標値)は徐々に小さくなる。同様に、図12に示すように、乗場側にいる利用者がかごドア13から乗場15に向かって歩く、つまり、かごドア13から離れる場合、Y座標値(乗場側Y座標値)は徐々に大きくなる。図12に示すように、乗場側にいる利用者が停止状態となると、Y座標値(乗場側Y座標値)は変化せずに、1つ前のY座標値を保持する。図12では、乗場側Y座標値が停止状態になってからの経過時間をThs(N)と表記している。上記Nは停止状態になった回数を示す。このため、図12においては、最初の停止状態になってからの経過時間がThs(N)と表記され、2回目の停止状態になってからの経過時間がThs(N+1)と表記されている。
以上のことを踏まえた上で、図12の乗場位置推定エリアE1に着目すると、乗場側にいる利用者は次のように移動(行動)していることが分かる。
まず、乗場側にいる利用者は、時間T1から時間T2までの間で、乗場側Y座標値が「L3」から「Y1」になるようにかごドア13に近づく。その後、乗場側にいる利用者は、時間Ths(N)が経過するまで乗場側Y座標値が「Y1」の位置で立ち止まる。時間Ths(N)が経過すると、乗場側にいる利用者は、時間T3から時間T4までの間で、乗場側Y座標値が「Y1」から「Y2」になるようにかごドア13から離れる。その後、乗場側にいる利用者は、時間Ths(N+1)が経過するまで乗場側Y座標値が「Y2」の位置で立ち止まる。すなわち、この利用者は、乗りかご11に乗車しようとしてかごドア13に向かって移動したが、乗場側Y座標値「Y1」の位置で乗りかご11が満員状態であることに気づき、その後、数歩後退した乗場側Y座標値「Y2」の位置で別の号機が来ることを待っている可能性が高いことが、Y座標値の変化パターンから分かる。
次に、かご内位置推定エリアE2に着目した場合について説明する。かご内位置推定エリアE2に着目すると、図12に示すように、乗りかご側にいる利用者がかごドア13から乗りかご11に向かって歩く、つまり、乗りかご11の奥行き方向に詰めるように移動する場合、Y座標値(かご側Y座標値)は徐々に小さくなる。同様に、図12に示すように、乗りかご側にいる利用者が乗りかご11からかごドア13に向かって歩く、つまり、乗りかご11から降車するように移動する場合、Y座標値(かご側Y座標値)は徐々に大きくなる。図12に示すように、乗りかご側にいる利用者が停止状態となると、Y座標値(かご側Y座標値)は変化せずに、1つ前のY座標値を保持する。図12では、かご側Y座標値が停止状態になってからの経過時間をTcs(N)と表記している。このNは、上記と同様に、停止状態になった回数を示す。なお、ここでは、図12に示すように、現在のY座標値と1つ前のY座標値との間に差が殆どない場合、これらY座標値を同値とみなすものとする。
以上のことを踏まえた上で、図12のかご内位置推定エリアE2に着目すると、乗りかご11では次のようなことが生じていることが分かる。
図12に示すように、時間T1から時間T2までの間で、かご側Y座標値は「0」から「Y3」になるようにかごドア13に近づいている。このように、かご側Y座標値が徐々に大きくなる場合、1人の利用者がかごドア13に近づくように移動したのではなく、多数の利用者が乗りかご11に順に乗り込むことにより、乗りかご11が徐々に満員状態に近づき、さらに後から乗り込んでくる利用者が乗りかご11の奥に詰めることができなくなって、かご側Y座標値が徐々に大きくなっている可能性が高いと推定される。このため、時間T2以降は、新たな利用者が1人乗車しては、少しだけ奥に詰め、さらに新たな利用者が1人乗車しては、少しだけ奥に詰めることが繰り返し実行され、かご側Y座標値は、時間Tcs(N)が経過するまで「Y3」の位置で停止状態のままとなっていることが、Y座標値の変化パターンから分かる。
上記した積み残し推定部22cによって実行される積み残し推定処理と、かご内占有率推定部31によって実行されるかご内占有率推定処理とは、この足元位置の変化パターンの特性を利用して、上記した第1のパターンに該当するか否か、上記した第2のパターンに該当するか否かを判定している。
なお、図12における点線は、例えば車椅子等の移動体の位置の時系列変化を示し、実線は歩行している利用者の位置の時系列変化を示している。歩行している利用者の場合、左右の足元が交互に検知されるので、実線のように湾曲したデータ変化となる。
以上説明した一実施形態によれば、利用者検知システムは、乗場側にいる利用者の位置の時系列変化に基づいて積み残しの有無を判定し、乗りかご側にいる利用者の位置の時系列変化に基づいてかご内占有率の高低を判定し、これら判定の結果に基づいて、次発呼びを自動的に登録可能な構成を備えている。この構成によれば、積み残しとなった利用者は、満員状態となった乗りかごが目的階に向けて出発するのを待ってから、乗場呼びを再度登録するために乗場呼びボタンを押下する必要がない。つまり、本実施形態に係る利用者検知システムによれば、エレベータに乗車し切れなかった利用者の待ち時間の増加を防ぐことができる。
<変形例>
以下に、上記した実施形態の変形例について説明する。
一般的に、利用者は、乗場15に到着している乗りかご11の行先方向が、自身が望む方向とは反対方向であった場合、当然ながら当該乗りかご11に乗車することはない。しかしながら、かごドア13の近辺まで来ないと、乗りかご11の行先方向を把握することができないことがしばしばある。この場合、利用者は、乗りかご11に乗車するべく、かごドア13に近づいた後、当該乗りかご11の行先方向が、自身が望む行先方向とは反対であることを把握し、かごドア13の手前で立ち止まる、といった行動をとるものと考えられる。この利用者の行動(以下、「予期せぬ行動」と表記する)は、上記した第1のパターンに該当する。
これによれば、積み残し推定部22cは、上記した予期せぬ行動が第1のパターンに該当してしまうため、実際には積み残しがなかった場合であっても、「積み残しあり」と判定してしまう可能性がある。これは、次発呼び登録判定部32aによって実行される次発呼び登録判定処理に支障を来たす恐れがある。
具体的には、上記した予期せぬ行動をとった利用者のために、通常であれば反対方向の乗場呼びを自動的に登録してあげる方が好ましいにも関わらず、もし乗場15に到着した乗りかご11のかご内占有率が低かった場合、積み残しがあると判定された上で、かご内占有率が低いと判定されるため、次発呼びを登録することができないといった不都合が生じてしまう。また、上記した図11に示す次発呼び登録判定処理では、乗場15に到着した乗りかご11の行先方向と同一方向の次発呼びを登録することしか考慮していないため、そもそも反対方向の次発呼びを登録することができないといった不都合もある。
本変形例では、上記した不都合を解消可能な次発呼び登録判定処理について説明する。
図13は、本変形例に係る次発呼び登録判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、上記した図11と同様な処理については、同一な符号を付して説明するものとする。
上記した通り、次発呼び登録判定部32aは、画像処理装置20からの第1の結果信号に基づいて積み残しがあるか否かを判定する(ステップSe1)。なお、ステップSe1の判定処理の結果、積み残しがないと判定された場合(ステップSe1のNO)、次発呼び登録判定部32aは、ステップSe4の処理を実行する。
一方で、ステップSe1の判定処理の結果、積み残しがあると判定された場合(ステップSe1のYES)、次発呼び登録判定部32aは、かご内占有率推定部31からの第2の結果信号に基づいてかご内占有率の高低を判定する(ステップSe2)。ステップSe2の判定処理の結果、かご内占有率が高いと判定された場合(ステップSe2の「高」)、次発呼び登録判定部32aは、乗りかご11の停止階床に対する当該乗りかご11と行先方向が同一の乗場呼びを、当該号機とは別の号機に対して割り当てるよう指示するための割当指示信号を群管理制御装置40に出力し(ステップSe3)、ここでの処理を終了させる。
ステップSe2の判定処理の結果、かご内占有率が低いと判定された場合(ステップSe2の「低」)、次発呼び登録判定部32aは、停止階床に対する乗りかご11と行先方向が反対の乗場呼びが既に登録されているか否かを判定する(ステップSe11)。なお、ステップSe11の判定処理の結果、反対方向の乗場呼びが既に登録されていると判定された場合(ステップSe11のYES)、次発呼び登録判定部32aは、次発呼びの登録は不要であると判定して、次発呼びを登録せずに(ステップSe4)、ここでの処理を終了させる。
ステップSe11の判定処理の結果、反対方向の乗場呼びがまだ登録されていないと判定された場合(ステップSe11のNO)、次発呼び登録判定部32aは、停止階床に対する乗りかご11と行先方向が反対の乗場呼びを、当該号機とは別の号機に対して割り当てるよう指示するための割当指示信号を群管理制御装置40に出力し(ステップSe12)、ここでの処理を終了させる。
以上説明した本変形例によれば、上記した予期せぬ行動が第1のパターンに該当し、積み残し推定部22cによって積み残しがあると判定され、かつ乗りかご11のかご内占有率が低い場合であっても、乗りかご11の停止階床に対する当該乗りかご11と行先方向が反対の乗場呼びがまだ登録されていない場合には、当該乗りかご11とは行先方向が反対方向の乗場呼びを自動的に登録することができるので、上記した不都合を解消することができる。すなわち、上記した予期せぬ行動をとった利用者の意図を反映した次発呼びの登録を実現させることができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11(11A〜11C)…乗りかご、12…カメラ、13…かごドア、14…乗場ドア、15…乗場、16…荷重センサ、20…画像処理装置、21…記憶部、22…利用者検知部、22a…動き検知部、22b…位置推定部、22c…積み残し推定部、30…エレベータ制御装置、31…かご内占有率推定部、32…呼び制御部、32a…次発呼び登録判定部、40…群管理制御装置。

Claims (7)

  1. 複数の乗りかごの運転を群管理する群管理制御装置を含んだ利用者検知システムであって、
    所定の乗りかごが乗場に到着したときに、当該乗りかごのドア近辺から所定の範囲を撮影可能な撮影手段と、
    前記撮影された時系列的に連続した複数枚の画像から乗場側にいる利用者の位置を検知し、当該検知された乗場側の利用者の位置の時系列変化が、前記乗場から前記所定の乗りかごに徐々に近づいて来た末に当該乗りかごの手前で停止する第1のパターンに該当するか否かに基づいて、前記所定の乗りかごに乗車し切れない利用者の有無を判定する第1判定手段と、
    前記撮影された時系列的に連続した複数枚の画像から乗りかご側にいる利用者の位置を検知し、当該検知された乗りかご側の利用者の位置の時系列変化が、前記所定の乗りかごのドアに近づくように徐々に変化した末に変化しなくなる第2のパターンに該当するか否かに基づいて、前記所定の乗りかごの積載容量に対する人・物の占有率の高低を判定する第2判定手段と、
    前記第1及び第2判定手段による判定の結果に基づいて、前記群管理制御装置によって群管理される複数の乗りかごのうちの前記所定の乗りかごとは異なる乗りかごに対して次発呼びを登録するか否かを判定し、この判定の結果に基づいて次発呼びを登録する制御手段と
    を具備することを特徴とする利用者検知システム。
  2. 前記第1判定手段は、
    前記検知された乗場側の利用者の位置の時系列変化が前記第1のパターンに該当する場合に、前記所定の乗りかごに乗車し切れない利用者がいると判定することを特徴とする請求項1に記載の利用者検知システム。
  3. 前記第1のパターンは、
    記乗りかごの手前で停止し状態を維持する、または当該乗りかごの手前で停止した末に当該乗りかごから離れるように移動するような時系列変化を含むことを特徴とする請求項に記載の利用者検知システム。
  4. 前記第2判定手段は、
    前記検知された乗りかご側の利用者の位置の時系列変化が前記第2のパターンに該当する場合に、前記占有率が高いと判定することを特徴とする請求項1に記載の利用者検知システム。
  5. 前記所定の乗りかごの現在の積載容量を計測可能な荷重センサをさらに具備し、
    前記制御手段は、
    前記荷重センサによって計測された現在の積載容量が所定値以上である場合、前記第1及び第2判定手段による判定の結果に関わらず次発呼びを登録することを特徴とする請求項1に記載の利用者検知システム。
  6. 前記制御手段は、
    前記次発呼びが登録された場合、前記所定の乗りかごのドアを戸閉し、目的階に向けて出発するよう当該乗りかごの運転を制御することを特徴とする請求項1に記載の利用者検知システム。
  7. 前記制御手段は、
    前記第1判定手段により前記所定の乗りかごに乗車し切れない利用者がいると判定され、かつ前記第2判定手段により前記占有率が低いと判定された場合、当該所定の乗りかごの行先方向とは反対方向の乗場呼びが既に登録されているか否かを判定し、当該判定の結果、まだ登録されていないと判定された場合、当該所定の乗りかごの行先方向とは反対方向の次発呼びを登録することを特徴とする請求項1に記載の利用者検知システム。
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