JP6566359B2 - 有害物質不溶化材及びそれを用いた処理方法 - Google Patents
有害物質不溶化材及びそれを用いた処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6566359B2 JP6566359B2 JP2015213201A JP2015213201A JP6566359B2 JP 6566359 B2 JP6566359 B2 JP 6566359B2 JP 2015213201 A JP2015213201 A JP 2015213201A JP 2015213201 A JP2015213201 A JP 2015213201A JP 6566359 B2 JP6566359 B2 JP 6566359B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- phosphate
- starch
- substance
- phosphoric acid
- hazardous
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Processing Of Solid Wastes (AREA)
Description
溶出元素として鉛や六価クロムが特に問題となるため、それら重金属の溶出防止のために焼却飛灰は薬品処理が行われる。従来用いられてきた代表的な薬品は、ジチオカルバミン酸系やピペラジン系の有機キレートが代表的なものであるが、最終処分場でのCOD上昇、消化阻害、安定性が疑問視されている。
そのため無機系の不溶化剤としてリン酸水溶液系の薬剤が検討されているが、腐食性が高いためハンドリングが難しく、装置も耐腐食性の改良を行う必要がある。
特許文献2には、重金属含有灰にリン酸エステル化澱粉を添加することにより、重金属含有灰中の重金属を固定化する方法が記載されている。しかしながら、高アルカリ性の重金属含有灰と接触してリン酸エステル化澱粉がリン酸と澱粉に分解して重金属を安定に固定化するものであるため、重金属含有灰は高アルカリ性灰でなければならず、また、カルシウムを含有しない灰には効果がない。
(1)ドロマイト化合物に、結合リン酸を0.15質量%以上含むリン酸エステル化澱粉と酸性物質を加えた有害物質不溶化剤。
(2)上記(1)の有害物質不溶化剤にさらにリン酸化合物を混合してなる有害物質不溶化剤。
(3)リン酸化合物がリン酸2水素カリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸3カリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、及びこれらの水和物、並びに過リン酸石灰から選ばれる1種以上の化合物である上記(2)の有害物質不溶化剤。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの有害物質不溶化剤により不溶化される有害物質が、第二種特定有害物質から選ばれる1種以上である有害物質不溶化剤。
(5)上記(1)〜(3)のいずれかの有害物質不溶化剤を焼却飛灰などの有害物質含有固形物に投入し、混合、撹拌することにより有害物質を不溶化する有害物質不溶化方法。
焼却飛灰中の鉛等の重金属を不溶化するためには、半焼成ドロマイトが好ましく、焼却飛灰中のフッ素やホウ素を不溶化するためには水酸化ドロマイトを原料とした不溶化剤が好ましい。
リン酸エステル化澱粉の原料となる澱粉はコーンスターチ、タピオカ、馬鈴薯澱粉など広く一般に利用されている植物起源の澱粉だけでなく、いずれの起源の澱粉でも使用することができる。なお、結合リン酸を0.2質量%前後含有する馬鈴薯澱粉はリン酸エステル化澱粉の一種とみなせる。
リン酸エステル化澱粉の合成方法は特に限定されないが、リン酸結合澱粉の合成には、通常、澱粉にリン酸及び/またはその塩、及び尿素(尿素リン酸エステル化澱粉(カルバミン酸リン酸エステル化澱粉)を合成する場合)を混合してから焙焼する方法がある。反応により澱粉の水酸基とリン酸がエステル結合してリン酸エステル化澱粉が生成する。なお、尿素を入れると澱粉のリン酸エステル化が低温で進行し、尿素リン酸エステル化澱粉はリン酸のエステル化の他、尿素が分解して生成したカルバミン酸がエステル化している。
本発明においては、かかる澱粉による重金属の不溶化、固定化作用に加え、次の機構によるさらに大きな重金属固定化能力を有する。
すなわち、リン酸エステル化澱粉に含有される遊離のリン酸と、ドロマイト化合物や灰中に存在するカルシウムに、リン酸エステル化澱粉が触媒的に作用して、ドロマイト化合物表面でハイドロキシアパタイトを生成させ、鉛等の重金属はアパタイト中のカルシウムと交換されて鉛アパタイト(Pb5(PO4)3(OH))等に変換され、鉛等の重金属が固定化されると考えられる。
Ca5(PO4)3(OH)
の化学式で表されるが、Mgが存在すると一部が置換固溶し、下記化学式で表せるものになると考えられる。
CaxMg5−x(PO4)3(OH) (X<5)
アパタイトはCa、PO4、OHのサイトがイオン交換し安定なアパタイト化合物を生成するが、ドロマイトを原料とすることで、ドロマイト中のMgが作用し、消石灰などのCaだけを由来として作ったハイドロキシアパタイトよりも反応性が向上することが分かっている。鉛アパタイトとして鉛を不溶化する際にも、ドロマイトを原料とすることで処理性能が向上する。
また、原料として半焼成ドロマイトを使うことで、鉛を塩基性炭酸鉛などの不溶性物質にして不溶化させることや、MgOが水和してMg(OH)2になる際にフッ素やホウ素などを収着する効果が期待できる。
ドロマイト化合物、リン酸エステル化澱粉のみでは、ドロマイト化合物のために高アルカリ性になって有害物質の溶出が大きくなること、また、ハイドロキシアパタイトから鉛アパタイト等に変換されにくいため、酸性物質を加える。
また、さらにリン酸化合物を混合する場合は、その追加のリン酸化合物の添加量は、上記不溶化剤100質量部に対して1〜60質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。
また、さらにリン酸化合物を混合した有害物質不溶化剤は、焼却飛灰100質量部に対して、1〜10質量部の割合で添加されるのが好ましく、2〜8質量部の割合で添加されるのがより好ましい。
焼却飛灰と、ドロマイト化合物、リン酸エステル化澱粉、酸性物質を主成分として含む有害物質不溶化剤、もしくは、さらにリン酸化合物を添加した有害物質不溶化剤とを、水の存在下に混合し、撹拌した後、1〜2日養生する。
焼却飛灰、有害物質不溶化剤、水の混合方法、混合順序はとくに限定されないが、焼却灰と有害物質不溶化剤をよく粉体混合した後、水を添加して混合・撹拌するのが、焼却飛灰中の有害物質と有害物質不溶化剤との効率的な反応をさせる点で好ましい。
焼却飛灰A(清掃工場飛灰)、焼却飛灰B(バイオマスボイラー飛灰)、焼却飛灰C(清掃工場飛灰)を使用した。
(1)ドロマイト化合物
半焼成ドロマイト(MgO+CaCO3)であり、次の2種類のものを使用した。
a.吉澤石灰工業社製、「メタルクリア−1000」(以下、「MC−1000」ともいう。)(ドロマイト(CaMg(CO3)2)を原料として加工した半焼成ドロマイト(MgO+CaCO3)を主成分とするドロマイト化合物。)
b.ドロマイト化合物配合物(以下、「D配合物」ともいう。)(MC-1000 1質量部、リン酸2水素カリウム 3質量部及び硫酸バンド 1質量部の配合物。)
使用したリン酸エステル化澱粉を表1に示す。
リン酸エステル化澱粉には未反応のリン酸(或いはリン酸塩)が含まれる。
また、「リン酸澱粉6」、「リン酸澱粉7」以外のリン酸エステル化澱粉は尿素リン酸澱粉(カルバミン酸リン酸エステル化澱粉)と呼ばれ、リン酸エステル結合の他、尿素が分解して反応したカルバミン酸エステルも含まれる。
酸性物質として、硫酸バンドを用いた。「D配合物」は、上記のとおり、MC-1000、リン酸2水素カリウム及び硫酸バンドの混合物である。
鉛含有量が非常に高い焼却飛灰A100質量部に対し、表2の無機材料とリン酸エステル化澱粉等の澱粉類からなる有害物質不溶化剤を添加し、水20質量部を添加して混合・撹拌し1日養生した後、環境庁告示第13号の溶出試験に準拠して鉛の溶出量を測定した結果を表2に示す。
実施例13〜17では、鉛含有量があまり高くない焼却飛灰Bに対し、ドロマイト化合物「MC−1000」、リン酸エステル化澱粉「リン酸澱粉1」および硫酸バンドからなる有害物質不溶化剤を3質量部添加し、水を20質量部添加して混合・撹拌し、1日養生した後、環境庁告示第13号の溶出試験に準拠して鉛、カドミウム、ホウ素、フッ素の溶出量を測定した。不溶化剤無添加、「リン酸澱粉1」のみ添加の比較例9〜10とあわせて、結果を表3に示す。
実施例18〜20では、焼却飛灰Cに対し、ドロマイト化合物「MC−1000」、リン酸エステル化澱粉「リン酸澱粉2」および硫酸バンドからなる有害物質不溶化剤を添加し、水を20質量部添加して混合・撹拌し、1〜2日養生した後、環境庁告示第13号の溶出試験に準拠して鉛の溶出量を測定した。不溶化剤無添加(比較例11)、コーンスターチのみ添加(比較例12)、「MC−1000」、コーンスターチ、硫酸バンドからなる不溶化剤を添加(比較例13)した比較例とあわせて、結果を表4に示す。
Claims (3)
- 半焼成ドロマイトに、結合リン酸を0.15%以上含む燐酸エステル化澱粉と酸性物質を加え、さらにリン酸2水素カリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸3カリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、及びこれらの水和物、並びに過リン酸石灰から選ばれる一種以上のリン酸化合物を混合してなる有害物質不溶化剤。
- 前記有害物質不溶化剤により不溶化される有害物質が、第二種特定有害物質から選ばれる1種以上である請求項1に記載の有害物質不溶化剤。
- 請求項1に記載の有害物質不溶化剤を焼却飛灰などの有害物質含有固形物に投入し、混合、撹拌することにより有害物質を不溶化する有害物質不溶化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015213201A JP6566359B2 (ja) | 2015-10-29 | 2015-10-29 | 有害物質不溶化材及びそれを用いた処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015213201A JP6566359B2 (ja) | 2015-10-29 | 2015-10-29 | 有害物質不溶化材及びそれを用いた処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017080696A JP2017080696A (ja) | 2017-05-18 |
JP6566359B2 true JP6566359B2 (ja) | 2019-08-28 |
Family
ID=58713328
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015213201A Active JP6566359B2 (ja) | 2015-10-29 | 2015-10-29 | 有害物質不溶化材及びそれを用いた処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6566359B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2021079824A1 (ja) * | 2019-10-24 | 2021-04-29 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5162600A (en) * | 1990-12-28 | 1992-11-10 | Rheox, Inc. | Method of treating lead contaminated soil |
JPH1057922A (ja) * | 1996-08-22 | 1998-03-03 | Kurita Water Ind Ltd | 重金属含有灰の処理方法 |
JPH1190391A (ja) * | 1997-09-19 | 1999-04-06 | Nippon Kayaku Co Ltd | 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法 |
JP2009013037A (ja) * | 2007-07-09 | 2009-01-22 | Tokyo Institute Of Technology | セメント組成物およびその製造方法 |
JP2014097477A (ja) * | 2012-11-15 | 2014-05-29 | Yoshizawa Lime Industry | 有害物質不溶化材及び有害物質の不溶化方法 |
-
2015
- 2015-10-29 JP JP2015213201A patent/JP6566359B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017080696A (ja) | 2017-05-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5807349B2 (ja) | 重金属類を含有する固形廃棄物の無害化方法 | |
KR101835067B1 (ko) | 유해 물질 불용화재 및 이를 이용한 처리 방법 | |
JP2014057949A (ja) | 公害型廃石膏類の処理法ならびに無公害型石膏組成物 | |
JP5975130B1 (ja) | 酸性ガス及び重金属の複合処理剤、並びに酸性ガス及び重金属の処理方法 | |
JP6267922B2 (ja) | 有害物質処理薬剤 | |
JP2011056495A (ja) | 重金属の溶出防止方法 | |
JP5842423B2 (ja) | 重金属類を含有する固形廃棄物の無害化方法 | |
JP5306524B1 (ja) | 有害物質不溶化材及びそれを用いた処理方法 | |
JP2009279481A (ja) | 固体廃棄物中の重金属類の処理方法 | |
JP6566359B2 (ja) | 有害物質不溶化材及びそれを用いた処理方法 | |
JP2016159269A (ja) | 酸性ガス及び重金属の複合処理剤、並びに酸性ガス及び重金属の処理方法 | |
WO2016158914A1 (ja) | 有害物質不溶化剤及び有害物質の不溶化方法 | |
JP2004050158A (ja) | 重金属類固定化材ならびに汚染土壌の処理工法 | |
JP3271534B2 (ja) | 鉛、六価クロム、ヒ素及びセレンを含有する灰の処理方法 | |
JP2008255171A (ja) | 無機系有害成分の固定化剤 | |
JP2014097477A (ja) | 有害物質不溶化材及び有害物質の不溶化方法 | |
JP2012205999A (ja) | 重金属含有固形物の処理方法 | |
JP2008272591A (ja) | 重金属含有灰の処理方法 | |
JP2000093927A (ja) | 有害物質固定化材 | |
JP6034011B2 (ja) | 重金属の不溶化剤及び重金属の不溶化方法 | |
JP2008272580A (ja) | 廃棄灰中の重金属類の処理方法 | |
JPH0824900A (ja) | 汚水・汚泥処理剤及びそれを用いた汚水や汚泥の処理方法 | |
JPH11300313A (ja) | 重金属固定化剤組成物及び重金属含有灰の処理方法 | |
TW201813942A (zh) | 一種副產石灰資源化處理方法 | |
JPH01262978A (ja) | 廃棄物の焼却で生ずる固形体残留物中の鉛およびカドミウムを石灰およびホスフェートを用いて、固定化する方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20171213 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20181210 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20181225 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190225 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190423 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190619 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190702 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190719 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6566359 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |