JP6564653B2 - 低温硬化性被覆組成物 - Google Patents
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Description
(A)水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する水素供与性官能基を有する被膜形成性高分子、
(B)水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する水素受容性官能基を有し、水素受容性官能基が環構造を有しても有さなくてもよく、環構造を有する場合はヘテロ原子が窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子であり、環構造を有さない場合はヘテロ原子が窒素原子のみまたは窒素原子と酸素原子の両方からなる、被膜形成性高分子、および
(C)分子内に水素原子と共有結合するヘテロ原子および水素原子と共有結合しないヘテロ原子の両方のヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−1);分子内に水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−2)と分子内に水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−3)との混合物;およびその組合せから成る群から選択される非塩基性揮発性溶媒、
を含有する低温硬化性被覆組成物を提供する。
(D)水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する水素供与性官能基と水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する水素受容性官能基との両方を有し、水素受容性官能基が環構造を有しても有さなくてもよく、環構造を有する場合はヘテロ原子が窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子であり、環構造を有さない場合はヘテロ原子が窒素原子のみまたは窒素原子と酸素原子の両方からなる、被膜形成性高分子、および
(C)分子内に水素原子と共有結合するヘテロ原子および水素原子と共有結合しないヘテロ原子の両方のヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−1);分子内に水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−2)と分子内に水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−3)との混合物;およびその組合せから成る群から選択される非塩基性揮発性溶媒、
を含有する低温硬化性被覆組成物を提供する。
(B)水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する水素受容性官能基を有し、水素受容性官能基が環構造を有しても有さなくてもよく、環構造を有する場合はヘテロ原子が窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子であり、環構造を有さない場合はヘテロ原子が窒素原子のみまたは窒素原子と酸素原子の両方からなる、被膜形成性高分子、および
(C)分子内に水素原子と共有結合するヘテロ原子および水素原子と共有結合しないヘテロ原子の両方のヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−1);分子内に水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−2)と分子内に水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−3)との混合物;およびその組合せから成る群から選択される非塩基性揮発性溶媒、
を含有する低温硬化性被覆組成物である。
本発明の低温硬化性被覆組成物の成分(A)は、水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する水素供与性官能基を有する被膜形成性高分子である。ヘテロ原子は、上記の水素結合の説明で述べたように、酸素原子(O)、窒素原子(N)、硫黄原子(S)などの電気陰性度の高い原子であって、それに共有結合する水素原子を有する基が水素供与性官能基であり、具体的にはカルボキシ基(−COOH)、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NHRまたは―NH2;式中、Rはアルキル基またはアリール基である。)またはチオール基(−SH)などが挙げられる。水素供与性官能基は、好ましくは水素と共有結合した酸素を有する基であり、具体的にはカルボキシ基またはヒドロキシ基であり、より好ましくはカルボキシ基である。
本発明の低温硬化性被覆組成物の成分(B)は、水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する水素受容性官能基を有し、水素受容性官能基が環構造を有しても有さなくてもよく、環構造を有する場合はヘテロ原子が窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子であり、環構造を有さない場合はヘテロ原子が窒素原子のみまたは窒素原子と酸素原子の両方からなる、被膜形成性高分子である。前述のように、ヘテロ原子は、上記の水素結合で述べたように、酸素原子(O)、窒素原子(N)、硫黄原子(S)などの電気陰性度の高い原子であるが、水素受容性官能基としては環構造を有する時にはヘテロ原子は酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子であってよく、水素受容性官能基が環構造を有さない時にはヘテロ原子は窒素原子のみか、窒素原子と酸素原子の両方を有する。水素受容性官能基が環構造を有すると、環を形成することにより生じる歪がどのようなヘテロ原子であっても水素受容性を高く維持することができるが、水素受容性官能基が環構造を有さない時には窒素原子のみか、窒素原子と酸素原子の両方があるときに、水素受容性が高く維持できるものと考えられる。
本発明の低温硬化性被覆組成物の成分(C)は、分子内に水素原子と共有結合するヘテロ原子および水素原子と共有結合しないヘテロ原子の両方のヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−1)、分子内に水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−2)と分子内に水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−3)との混合物、およびその組合せから成る群から選択される非塩基性揮発性溶媒である。ヘテロ原子は、前述のように、酸素原子(O)、窒素原子(N)、硫黄原子(S)が通常であり、それと水素原子が結合しているものと結合していないものに分けている。但し、この非塩基性揮発性溶媒(C)は、非塩基性でなければならず、ヘテロ原子は主として酸素原子(O)または硫黄原子(S)である。成分(C)は、非塩基性揮発性溶媒であり、揮発性は酢酸n−ブチルの蒸発速度を100とした場合の20℃における相対蒸発速度で表した場合に、相対蒸発速度が0.1以上、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上である必要がある。
上記被膜形成性高分子(A)と被膜形成性高分子(B)との配合量は、成分(A):成分(B)の重量比で、1:100〜100;1、好ましくは1:50〜50:1、より好ましくは1:30〜30:1である。成分(A)が100:1より多いときは、成分(A)と概ね同程度の耐溶剤性しか得られないという欠点を有し、1:100より少ないときは、成分(B)と概ね同程度の耐溶剤性しか得られないという欠点を有する。
本発明の低温硬化性被覆組成物は、上記被膜形成性高分子(A)および(B)の代わりに、両方の機能を持つ水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する水素供与性官能基と水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する水素受容性官能基との両方を有し、水素受容性官能基が環構造を有しても有さなくてもよく、環構造を有する場合はヘテロ原子が窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子であり、環構造を有さない場合はヘテロ原子が窒素原子のみまたは窒素原子と酸素原子の両方からなる、被膜形成性高分子(D)を含んでもよい。また、被膜形成性高分子(D)は、被膜形成性高分子(A)または(B)のいずれか一方若しくは両方と共存してもよい。
本発明における低温硬化性被覆組成物は、上記成分(A)〜(D)に加えて、必要に応じた他の成分を含んでもよい。他の成分として、例えば、顔料、意匠材料(砂、硅砂、カラーサンド、ビーズ、カラーチップ、鉱物チップ、ガラスチップ、木質チップおよびカラービーズなど)、造膜助剤、表面調整剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調整剤などが挙げられる。
本発明の低温硬化性被覆組成物は、金属表面等の被塗装物表面上に塗装した後、所定温度に加熱することによって、耐溶剤性の高い被膜とすることができる。このような低温硬化性被覆組成物の塗装は、浸漬、ハケ塗り、スプレー、ロールコーターなど通常の方法によって行うことができる。また塗装後の加熱の条件は、非塩基性揮発性溶媒(C)が揮発し、水素結合が形成される加熱条件であればよく、通常は、50〜100℃で数十分間ないし15℃で数日程度である。もちろん、これらの塗装条件に限定されない。
攪拌機、温度調整器、冷却管を備えた2リットルの反応容器にメトキシプロパノール500部を仕込み、これにアクリル酸150部、スチレン180部、n−ブチルアクリレート80部、n−ブチルメタアクリレート180部からなるモノマー溶液およびメトキシプロパノール60部とt−アミルパーオキシオクトエート12部からなる開始剤溶液を115℃で3時間滴下し、1時間さらに攪拌を継続した。次いで、メトキシプロパノール10部とt−アミルパーオキシオクトエート2部からなる開始剤溶液を115℃で30分間滴下し、30分間さらに撹拌を継続することにより、ガードナー気泡粘度X、固形分酸価200mgKOH/gおよび固形分50重量%のアクリルワニスを得た。このアクリル樹脂の数平均分子量を、GPC装置として「HLC8220GPC」(商品名、東ソー(株)製)、カラムとして「Shodex KF−606M」、「Shodex KF−603」(いずれも昭和電工(株)製、商品名)の2本を用いて、移動相:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃、流速:0.6cc/分、検出器:RIの条件で測定した結果、数平均分子量が14,000であった。
モノマー溶液としてアクリル酸75部、スチレン175部、n−ブチルアクリレート40部、n−ブチルメタクリレート300部を用いた以外は被膜形成高分子A−Iと同様にして、ガードナー気泡粘度U、固形分酸価100mgKOH/gのアクリルワニスを得た。数平均分子量は、14,000であった。
モノマー溶液としてアクリル酸15部、スチレン180部、n−ブチルアクリレート10部、n−ブチルメタクリレート390部を用いた以外は被膜形成高分子A−Iと同様にして、ガードナー気泡粘度S、固形分酸価20mgKOH/gのアクリルワニスを得た。数平均分子量は、14,000であった。
積水化学工業株式会社から市販のエスレックBL−1(ブチラール樹脂)を使用する。エスレックBL−1は計算分子量が約19,000、ブチラール化度が約63のブチラール樹脂である。
サンノプコ株式会社から市販のSNシックナーN−1(ポリカルボン酸)を使用する。SNシックナーN−1はpHが約1.8、粘度が約15,000mPa・s、樹脂固形分が約25%のポリカルボン酸樹脂水溶液である。
合成に用いる有機溶媒をメトキシプロパノールからメチルイソブチルケトンに変更した以外は、被膜形成高分子A−Iと同様にして、ガードナー気泡粘度X、数平均分子量15,000のアクリルワニスを得た。
BASFジャパン株式会社から市販のソカラン(Sokalan)K30Pを使用する。ソカランK30Pは、分子量45,000のポリビニルピロリドンである。
BASFジャパン株式会社から市販のソカラン(Sokalan)VA64Pを使用する。ソカランVA64Pは、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの60/40共重合体である。
モノマー溶液として2−ビニルピリジン220部、スチレン180部、n−ブチルアクリレート150部、n−ブチルメタクリレート20部を用いた以外は被膜形成高分子A−Iと同様にして重合溶液を得たのち、60℃で加熱しながらエバポレーターで減圧乾燥して得た高分子固形分をメトキシプロパノールで希釈することにより、固形分25%、固形分ピリジン価200mgKOH/gのビニルピリジン共重合ワニスを得た。カラムとして「Shodex KF−806M」(昭和電工(株)製、商品名)を用い、移動相として10mMのLiBrを添加したジメチルホルムアミド(DMF)を用いてGPC装置で測定した数平均分子量は、8,000であった。
株式会社日本触媒から市販のエポクロスWS−500を使用する。エポクロスWS−500は、数平均分子量20,000のオキサゾリン基含有ポリマーである。
モノマー溶液としてN−ビニルピロリドン235部、アクリル酸105部、n−ブチルアクリレート75部、n−ブチルメタクリレート175部を用いた以外は被膜形成高分子A−Iと同様にして、ガードナー気泡粘度Z2、固形分酸価135mgKOH/gのアクリルワニスを得た。カラムとして「Shodex KF−806M」(昭和電工(株)製、商品名)を用い、移動相として10mMのLiBrを添加したDMFを用いてGPC装置で測定した数平均分子量は、16,000であった。
モノマー溶液としてN−ビニルピロリドン235部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート190部、n−ブチルアクリレート75部、n−ブチルメタクリレート90部を用いた以外は被膜形成高分子A−Iと同様にして、ガードナー気泡粘度Z1、固形分水酸基価140mgKOH/gのアクリルワニスを得た。カラムとして「Shodex KF−806M」(昭和電工(株)製、商品名)を用い、移動相として10mMのLiBrを添加したDMFを用いてGPC装置で測定した数平均分子量は、23,000であった。
三洋化成工業株式会社から市販のニューポールLB−1715を使用する。ニューポールLBー1715は、数平均分子量2,390のポリオキシプロピレンアルキルエーテルである。
モノマー溶液としてスチレン190部、n−ブチルアクリレート10部、n−ブチルメタクリレート390部を用いた以外は被膜形成高分子A−Iと同様にして、ガードナー気泡粘度R、固形分酸価0mgKOH/gのアクリルワニスを得た。数平均分子量は、14,000であった。
上記被膜形成性高分子(A−I)30重量部をメトキシプロパノール(MP)70重量部に混合して被膜形成性高分子(A−I)ワニスを作成した。次に、被膜形成性高分子(B−I)であるソカランK30P(固形分100%)15重量部とメトキシプロパノール(MP)85重量部とを混合して被膜形成性高分子(B−I)ワニスを作成した。両者を混合して複合ワニスを作成した。
得られた複合ワニスの混合性を表1に示す。表1には、複合ワニスの配合、複合ワニスの非揮発分(NV)濃度(重量%)および被膜形成性高分子(A−I)と被膜形成性高分子(B−I)の重量比も記載した。混合性は以下の基準で評価した。
評価
×…混合するとゲル塊などの沈殿を形成する。
○…混合しても沈殿を形成しない。
塗膜中に残存した場合、塗膜の耐水性能を著しく低下させる懸念がある成分を検出するため、下記要領にて得られた塗膜の水滴スポット白化性試験を実施した。
前述の複合ワニスを、それぞれ150mm×150mmの大きさのブリキ板の上に、バーコーターで塗装し、60℃で30分乾燥させた。得られた塗膜に脱イオン水を2mlポリスポイドで1液乗せ、5秒間静置したのち、塗膜を摩擦せずにウエスで水滴を吸い取って、塗膜に白化が見られるか評価した。結果を表1に示す。
○…明らかな白化はなかった。
×…塗膜が著しく白化した。
次に、上記手順で得られた塗膜について、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、メトキシプロパノール(MP)、イソプロパノール(IPA)、エタノール(EtOH)および脱イオン水(DIW)に対する耐溶剤性を以下の方法で試験した。結果を表1に示す。
塗膜にそれぞれの薬品を2mlポリスポイドで1液乗せ、ラテックス手袋をつけた指先で20往復こすり、ウエスで拭き取るプロセスを1サイクルとして、塗膜が溶解するまでのサイクル数を評価として記載した。
1…1サイクルで塗膜が完全に溶解した。
2…2サイクルで塗膜が完全に溶解した。
3…3サイクル目でも塗膜が残存した。
○…複合試料の耐溶剤性の評価が、いずれか一方よりも高い場合。
−…複合試料の耐溶剤性の評価が、両方の単独試料と同点である場合。
×…複合試料の耐溶剤性の評価が、いずれか一方よりも劣っている場合。
耐溶剤性試験の結果、複合試料が単独試料に対して総合的に優れているかどうかについて以下のように分類した。結果を表1に示す。
○…複合試料の耐溶剤性の評価が、「○」または「−」のいずれかであり、「○」を含む場合。
×…複合試料の耐溶剤性の評価が、いずれか一つでも「×」を含む場合。
表1〜6に記載している被膜形成性高分子Aとその溶媒の組合せをAワニス(具体的には、A−Iワニス〜A−Vワニス)、被膜形成性高分子Bとその溶媒の組合せをBワニス(具体的には、B−Iワニス〜B−IVワニス)として、その両者を混合したものを複合ワニスとし、その複合ワニスの不揮発分含量%(NV%)およびA/Bの重量部比を同様に表に記載した。それぞれのワニスについて実施例1と同様に、混合性、水滴スポット白化性、耐溶剤性試験および総合判定を行った。結果を表1〜6の各実施例に記載する。実施例8〜13では、被膜形成性高分子AおよびBの水素供与性官能基および水素受容性官能基のモル比も表に記載した。また、実施例14〜16では、被膜形成性高分子として、水素供与性官能基と水素受容性官能基との両方を有する被膜形成性高分子D(具体的には、被膜形成性高分子D−IおよびD−II)を用いた場合の例を示すものであり、実施例14は、被膜形成性高分子D−I単独の処方であり、実施例15および16は、被膜形成性高分子D−IまたはD−IIと被膜形成性高分子A−Iとの組合せの例である。表6の耐溶剤性における比較として用いたAワニスとBワニスは、実施例14では実施例8のA−IワニスおよびB−IIワニスであり、実施例15および16も実施例14と同じく実施例8のA−IワニスおよびB−IIワニスである。
この実施例は、低温(例えば、室温)での硬化性を調べる実施例である。被膜形成性高分子(A−I)30重量部をメトキシプロパノール(MP)70重量部に混合して被膜形成性高分子(A−I)ワニスを作成した。次に、被膜形成性高分子(B−II)であるソカランVA64P(固形分100%)15重量部とメトキシプロパノール(MP)85重量部とを混合して被膜形成性高分子(B−II)ワニスを作成した。両者を混合して複合ワニスを作成した。
実施例18および19は、使用する成分Cの溶媒を変更した例であり、実施例20および21は、使用する成分Cの溶媒を変更すると同時にその他の溶媒(トルエンまたはトルエンとメチルエチルケトン(MEK))を添加した例である。実施例21は、被膜形成性高分子AとしてA−VIを用いた。実施例22は、実施例18のワニスそれぞれにその他の溶剤としてヘプタンを添加したものである。実施例1と同様に混合性、水滴スポット白化性、耐溶剤性および総合評価を行った。結果を表8および表9に示す。表8および表9では、テトラヒドロフランをTHF、ジメチルジグリコールをDMDG、n−ブタノールをnBuOHと表した。
実施例で用いている被膜形成性高分子A−VI(メチルイソブチルケトン(MIBK)溶液)およびB−IIを、成分Cの溶媒ではない溶媒、具体的にはメチルエチルケトン(MEK)およびアセチルアセトンを用いてそれぞれを混合してA−VIワニスおよびB−IIワニスを作成したのち、両者を1:1の重量比で混合し、混合性を確認した。結果を表10に示す。比較例1および2は、混合性が悪く、被膜を形成する水滴スポット白化性試験、耐溶剤性試験は行わなかった。
実施例で用いている被膜形成性高分子A−VI(メチルイソブチルケトン溶液)を成分Cの溶媒ではない溶媒、具体的にはN,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)と脱イオン水の混合溶液を用いて混合してA−VIワニスを作成した。次に、実施例で用いている被膜形成高分子B−Iを、成分Cの溶媒ではない溶媒、具体的には脱イオン水を用いて混合してB−Iワニスを作成した。両者を1:1の重量比で混合し、実施例1と同様に、混合性試験および水滴スポット白化性試験を行い、同様の判定を行った。結果を表11に示す。比較例3は水滴スポット白化性が悪く、耐溶剤性試験は行わなかった。
実施例で用いている被膜形成高分子A−Iを、成分Cの溶媒、具体的にはメトキシプロパノールで混合してA−Iワニスを作成した。次に、成分Bの高分子ではない高分子、具体的には被膜形成高分子X−Iおよび被膜形成高分子X−IIを、成分Cの溶媒、具体的にはメトキシプロパノールでそれぞれ混合してX−IワニスおよびX−IIワニスを作成した。A−Iワニスを、X−IワニスおよびX−IIワニスとそれぞれ1:1の重量比で混合し、実施例1と同様に、それぞれのワニスの混合性試験、塗膜の水滴スポット白化性試験および耐溶剤性試験を行い、同様の判定を行った。結果を表12の各比較例に記載する。
Claims (20)
- (A)水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する水素供与性官能基を有する被膜形成性高分子、
(B)水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する水素受容性官能基を有し、水素受容性官能基が環構造を有しても有さなくてもよく、環構造を有する場合はヘテロ原子が窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子であり、環構造を有さない場合はヘテロ原子が窒素原子のみまたは窒素原子と酸素原子の両方からなる、被膜形成性高分子、および
(C)分子内に水素原子と共有結合するヘテロ原子および水素原子と共有結合しないヘテロ原子の両方のヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−1);分子内に水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−2)と分子内に水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−3)との混合物;およびその組合せから成る群から選択される非塩基性揮発性溶媒、
を含有する低温硬化性被覆組成物。 - 前記水素供与性官能基が、水素原子と共有結合した酸素原子を有する基である請求項1記載の低温硬化性被覆組成物。
- 前記水素供与性官能基が、カルボキシ基および/またはヒドロキシ基である請求項2記載の低温硬化性被覆組成物。
- 前記水素受容性官能基が、環構造を有し、N−置換ラクタム基、環状イミノエーテル基、環状イミン基、N−置換水添環状イミノエーテル基、環状エーテル基、N−置換環状イミド基およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項1〜3いずれかに記載の低温硬化性被覆組成物。
- 前記水素受容性官能基が、N−置換ラクタム基および/または環状イミン基である請求項4記載の低温硬化性被覆組成物。
- 前記水素受容性官能基が、環構造を有さず、N−置換非環状イミド基および/または非環状3級アミド基である請求項1〜3いずれかに記載の低温硬化性被覆組成物。
- 前記非塩基性揮発性溶媒(C−1)が、エーテル基とヒドロキシ基とを有する低分子量エーテルアルコールである請求項1〜6いずれかに記載の低温硬化性被覆組成物。
- 前記非塩基性揮発性溶媒(C−2)が低分子量アルコールであり、非塩基性揮発性溶媒(C−3)が低分子量エーテルである請求項1〜6いずれかに記載の低温硬化性被覆組成物。
- (D)水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する水素供与性官能基と水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する水素受容性官能基との両方を有し、水素受容性官能基が環構造を有しても有さなくてもよく、環構造を有する場合はヘテロ原子が窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子であり、環構造を有さない場合はヘテロ原子が窒素原子のみまたは窒素原子と酸素原子の両方からなる、被膜形成性高分子、および
(C)分子内に水素原子と共有結合するヘテロ原子および水素原子と共有結合しないヘテロ原子の両方のヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−1);分子内に水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−2)と分子内に水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する非塩基性揮発性溶媒(C−3)との混合物;およびその組合せから成る群から選択される非塩基性揮発性溶媒、
を含有する低温硬化性被覆組成物。 - 更に、(A)水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する水素供与性官能基を有する被膜形成性高分子、または、(B)水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する水素受容性官能基を有し、水素受容性官能基が環構造を有しても有さなくてもよく、環構造を有する場合はヘテロ原子が窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子であり、環構造を有さない場合はヘテロ原子が窒素原子のみまたは窒素原子と酸素原子の両方からなる、被膜形成性高分子を含有する請求項9記載の低温硬化性被覆組成物。
- 前記水素供与性官能基が、水素原子と共有結合した酸素原子を有する基である請求項9または10記載の低温硬化性被覆組成物。
- 前記水素供与性官能基が、カルボキシ基および/またはヒドロキシ基である請求項11記載の低温硬化性被覆組成物。
- 前記水素受容性官能基が、環構造を有し、N−置換ラクタム基、環状イミノエーテル基、環状イミン基、N−置換水添環状イミノエーテル基、環状エーテル基、N−置換環状イミド基およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項9〜12いずれかに記載の低温硬化性被覆組成物。
- 前記水素受容性官能基が、N−置換ラクタム基および/または環状イミン基である請求項13記載の低温硬化性被覆組成物。
- 前記水素受容性官能基が、環構造を有さず、N−置換非環状イミド基および/または非環状3級アミド基である請求項9〜12いずれかに記載の低温硬化性被覆組成物。
- 被膜形成性高分子(D)が、カルボキシ基および/またはヒドロキシ基と、N−置換ラクタム基および/または環状イミン基とを、有する高分子である請求項9または10記載の低温硬化性被覆組成物。
- 被膜形成性高分子(A)が、カルボキシ基および/またはヒドロキシ基を有する高分子である請求項10記載の低温硬化性組成物。
- 被膜形成性高分子(B)が、N−置換ラクタム基および/または環状イミン基を有する高分子である請求項10または11記載の低温硬化性被覆組成物。
- 前記非塩基性揮発性溶媒(C−1)が、エーテル基とヒドロキシ基とを有する低分子量エーテルアルコールである、請求項9〜18いずれかに記載の低温硬化性被覆組成物。
- 前記非塩基性揮発性溶媒(C−2)が低分子量アルコールであり、非塩基性揮発性溶媒(C−3)が低分子量エーテルである、請求項9〜18いずれかに記載の低温硬化性被覆組成物。
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