JP5908276B2 - 水性塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、低温で硬化可能な水性塗料組成物に関する。
塗装分野においては、環境保護の観点などから、溶剤型塗料による塗装から水性塗料による塗装への転換が求められている。また一方では、塗装工程における省エネルギー化の要望、そして熱に弱い基材を被塗物とする塗装を目的とした、低温硬化が可能な塗料も求められている。これらの要件を満たすものとして、ポリオールをバインダー成分とし、ポリイソシアネート化合物を硬化剤として用いる、ウレタン系水性塗料が挙げられる。しかし、ウレタン系水性塗料は低温での硬化性が十分でないという課題がある。
低温硬化性の要求を達成する手段の1つとして、ポリカルボジイミド化合物の使用が検討されている。例えば特表平9−510747号公報(特許文献1)には、水に希釈可能な水酸基と酸基とを有する樹脂(A)、ポリイソシアネート成分(B)、およびポリエーテル鎖を有するカルボジイミド成分(C)を含有する水性多成分−ポリウレタン−被覆剤が開示されている(請求項1など)。しかしながらこの特許文献1の被覆剤で用いられているカルボジイミド成分(C)は、十分な水分散性を有していないため、得られる被覆剤の安定性も劣るという問題がある。さらに、特許文献1の被覆剤を用いて得られる被膜は、実際の使用において要求される架橋密度と比較して著しく低いという問題もある。
特開2011−094102号公報(特許文献2)には、(A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂、(B)ポリイソシアネート化合物、および、(C)分子内に、−OCONH−X−NHCOOY[Xは少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であり、Yはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造である。]で表される構造単位を複数個有する、親水化変性ポリカルボジイミド化合物、を含む水性塗料組成物が記載されている(請求項1など)。この特許文献2記載の水性塗料組成物は、優れた塗料安定性と優れた低温硬化性という、2つの性能が高位に両立されていると記載されている。しかしながら、この特許文献2の水性塗料組成物によって形成される塗膜もまた、実際の使用において要求される架橋密度を有していないことが判明した。
水性塗料組成物においては一般に、耐水性、耐候性といった塗膜性能が、溶剤型塗料組成物と比べて低くなる傾向がある。これは、水性塗料組成物の調製において、分散安定性を確保するために、樹脂成分などを水性化する際に導入される水性官能基が、形成される塗膜中に残存するなどの要因に起因すると考えられる。そのため、水性塗料組成物において、塗膜の耐候性や強い衝撃や力に対する密着性を向上させるために、形成される塗膜において十分な架橋密度を確保することは、重要な課題の1つである。しかしながら、十分な架橋密度を確保することを目的として、単に、樹脂成分の反応性を高くすると、塗料安定性が劣ることとなる。このため、低温硬化型の水性塗料組成物において、塗料安定性などを確保しつつ、得られる塗膜の架橋密度を高めて、優れた耐水性、耐候性、密着性などを確保することは、極めて困難であった。
特表平9−510747号公報 特開2011−094102号公報
本発明は上記従来技術の問題点を解決することを課題とする。より特定すれば、本発明は、低温で硬化可能であって塗料安定性に優れた水性塗料組成物であって、さらに、十分な架橋密度を有する塗膜が得られる、水性塗料組成物を提供することを課題とする。
本発明は、
(A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂、
(B)ポリイソシアネート化合物、および、
(C)親水化変性カルボジイミド化合物、
を含む水性塗料組成物であって、
この(A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂は、樹脂固形分換算で、80〜200mgKOH/gの水酸基価、および、10〜40mgKOH/gの酸価を有し、
この(A)水性樹脂の酸価の値に対する水酸基価の値の比が3〜15であり、
この(B)ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の当量に対する、この(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比が、0.01〜0.20であり、
この(C)親水化変性カルボジイミド化合物が、下記一般式(I)、(II)または(III)で表されるものであり、
この(A)水性樹脂が含有する水酸基の当量に対する、この(B)ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の当量の比が、0.6〜1.5であり、
この(A)水性樹脂が有する酸基の当量に対する、この(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比が、0.1〜1.0である、
水性塗料組成物、
Figure 0005908276
[Xは、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であり、Yは、同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造であり、Zは、数平均分子量200〜5000の2官能ポリオールから水酸基を除いた構造である。]
Figure 0005908276
[Xは少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であり、Yは、同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造であり、Rは、水素、メチル基、またはエチル基であり、Rは、炭素数4以下のアルキレン基であり、nは0または1であり、mは0〜60である。]
Figure 0005908276
[Xは、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であり、Yは、同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造である。]
を提供するものであり、これにより上記課題が解決される。
上記(B)ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の当量に対する上記(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比が、0.01〜0.09であるのが好ましい。
また、上記(A)水性樹脂が有する酸基の当量に対する、上記(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比が、0.1〜0.6であるのが好ましい。
また、上記(A)水性樹脂は、数平均分子量が10,000〜80,000であるアクリルエマルションを含むのが好ましい。
上記式(III)で表される(C)親水化変性カルボジイミド化合物が、下記化合物である態様が好ましい。
Figure 0005908276
[Xは、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であり、Yは、下記(i)または(ii):
(i)繰り返し数6〜20のポリエチレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜3のアルキル基がエーテル結合した、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルから、水酸基を除いた構造、
(ii)繰り返し数4〜60のポリプロピレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜8のアルキル基がエーテル結合した、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルから、水酸基を除いた構造:
から選択される、同一または異種の構造である。]
上記式(III)で表される(C)親水化変性カルボジイミド化合物において、何れか一方のYが(i)であって他方のYが(ii)であり、および、上記構造(i)および(ii)の比率が、(i):(ii)=1:0.7〜1:8の範囲内であるのがより好ましい。
本発明はまた、上記水性塗料組成物を塗装して得られる塗膜も提供する。
本発明の水性塗料組成物は、(A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂、(B)ポリイソシアネート化合物、および(C)親水化変性カルボジイミド化合物を含み、そして各成分が有する官能基の当量比などが特定範囲であることを特徴とする。本発明の水性塗料組成物は、低温硬化型の水性塗料組成物において、優れた塗料安定性が達成されており、かつ、得られる塗膜の架橋密度が高いという、極めて優れた塗料性能および塗膜性能が達成されていることを特徴とする。
本発明の水性塗料組成物は、(A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂、(B)ポリイソシアネート化合物、および(C)親水化変性カルボジイミド化合物を含む。そして本発明の水性塗料組成物においては、(A)水性樹脂の酸価の値に対する水酸基価の値の比が3〜15であり、(B)ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の当量に対する(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比が、0.01〜0.20であり、そして、(A)水性樹脂が有する酸基の当量に対する、(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比が0.1〜1.0であることなどを特徴とする。以下、各成分(A)〜(C)およびこれらの特徴について詳述する。
(A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂
(A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂は、後述する(B)ポリイソシアネート化合物および(C)親水化変性カルボジイミド化合物と硬化反応するバインダー成分である。そして本発明において用いられる(A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂は、
・樹脂固形分換算での水酸基価が80〜200mgKOH/gであり、
・樹脂固形分換算での酸価が10〜40mgKOH/gであり、かつ、
・酸価の値に対する水酸基価の値の比が3〜15である、
ことを要件とする。
また、樹脂固形分換算での水酸基価は80〜160mgKOH/gがより好ましく、樹脂固形分換算での酸価は15〜35mgKOH/gがより好ましい。
本発明において用いられる(A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂は、酸価の値に対する水酸基価の値が3〜15と、水酸基価の値が、酸価の値と比べて非常に多いことを特徴とする。この比率は、4〜10がより好ましい。このような(A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂を用いることによって、塗料安定性を確保しつつ、十分な架橋密度を有する塗膜が得られることとなる。
酸価または水酸基価が上記範囲に満たない場合は、硬化性が十分でないおそれがある。一方で、酸価または水酸基価が上記範囲を超える場合は、得られる塗膜の耐水性が十分でないおそれがある。
また、酸価の値に対する水酸基価の値の比が3未満である場合は、十分な架橋密度を有する塗膜が得られない。一方で、この比が15を超える場合は、十分な水分散性が得られないおそれがある。
上記(A)水性樹脂は、樹脂固形分換算での水酸基価および酸価についての上記要件を満たす単一の樹脂で構成されてもよく、または、水酸基価および酸価についての上記要件を満たす組み合わせである複数の樹脂から構成されていてもよい。
上記(A)水性樹脂は、硬化に関与する反応性基として、水酸基およびカルボキシル基の2種類の官能基を有している。そして本発明の水性塗料組成物において、(A)水性樹脂の水酸基は(B)ポリイソシアネート化合物と反応し、(A)水性樹脂のカルボキシル基は(C)親水化変性カルボジイミド化合物と反応する。
上記(A)水性樹脂は、上記水酸基およびカルボキシル基についての要件を満たしていれば、その種類は特に限定されないが、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂であることが製造および入手が容易なことから好ましい。塗膜物性の調整の観点から、上記(A)水性樹脂として、アクリル樹脂単独、または、アクリル樹脂およびポリエステル樹脂の混合物、を用いることが好ましい。
(A)水性樹脂として好適に用いることができるアクリル樹脂は、例えば、水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーおよびカルボキシル基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含むモノマーを、上記水酸基およびカルボキシル基について上記水酸基価および酸価の要件を満たす量でアクリル共重合することによって、目的とする樹脂が得られる。
上記水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタクリルアルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物を挙げることができる。これらの中で好ましいものは、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物である。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とはアクリルとメタクリルとの両方を意味するものとする。
また、カルボキシル基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などを挙げることができる。これらの中で好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸である。
上記(A)水性樹脂を得るためのアクリル共重合において、必要に応じて、その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーを用いることができる。上記その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニルなど)、重合性アミド化合物(例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなど)を挙げることができる。
上記(A)水性樹脂を得る方法として、溶液重合を行ってアクリル樹脂を得た後に水性化する方法と、水性媒体中で乳化重合を行ってエマルションを得る方法とが挙げられる。
上記乳化重合を行ってエマルションを得る場合には、上記その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーとして、架橋性モノマーを使用することができる。上記架橋性モノマーは、分子内に2つ以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記溶液重合は、加熱条件下において、原料として使用するα,β−エチレン性不飽和モノマーを混合したものを重合開始剤と共に溶媒中へ滴下しながら撹拌する方法が一般的である。溶液重合する際の条件は、例えば、重合温度が60〜160℃、滴下時間が0.5〜10時間である。上記原料として使用するα,β−エチレン性不飽和モノマーは、2段階に分けて重合することも可能である。この場合、原料として使用するα,β−エチレン性不飽和モノマー全体として、上記水酸基およびカルボキシル基についての要件を満たしていればよい。
上記重合開始剤は、通常の重合に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、アゾ系化合物や過酸化物が挙げられる。一般に、モノマー混合物100質量部に対する重合開始剤の量は0.1〜18質量部であり、好ましくは0.3〜12質量部である。
また、ここで用い得る溶媒は反応に悪影響を与えないものであれば特に限定されず、例えば、アルコール、ケトン、エーテルおよび炭化水素系溶媒などが挙げられる。さらに、分子量を調節するために、ラウリルメルカプタンのようなメルカプタン、および、α−メチルスチレンダイマーなどの連鎖移動剤を必要に応じて用いることができる。
このように溶液重合で得られるアクリル樹脂の数平均分子量は、4,000〜20,000であるのが好ましい。本明細書において、溶液重合で得られるアクリル樹脂の数平均分子量は、ポリスチレン標準サンプル基準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定することができる。
また、アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は−20〜80℃の範囲内であることが好ましい。ガラス転移温度は示差走査型熱量計(DSC)によって測定することができる。
上記溶液重合で得られたアクリル樹脂は、必要に応じて溶剤を除去した後、塩基性化合物を加えて水性化することにより、上記(A)水性樹脂が得られる。上記塩基性化合物としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、トリエタノールアミンなどが挙げられる。上記塩基性化合物を加える量は、上記溶液重合で得られたアクリル樹脂が有するカルボキシル基に対して中和率が60〜100%であることが好ましい。中和率が60%未満だと、水性化が十分でなく、貯蔵安定性に劣るおそれがある。このようにして得られる(A)水性樹脂の樹脂固形分は、25〜55質量%とすることが一般的である。
こうして得られたアクリル樹脂は、アクリル水分散体として用いることができる。このようなアクリル水分散体は、体積平均粒子径が0.01〜1μmの範囲内であることが好ましい。体積平均粒子径が上記範囲内であることによって、水分散体の安定性が良好となり、さらに、得られる塗膜の外観が良好となるという利点がある。また、後述するアクリルエマルションについても同様であり、体積平均粒子径の調節は、モノマー組成および/または乳化重合条件を調整することにより可能である。
上記(A)水性樹脂の調製において、水性媒体中での乳化重合を行う場合は、例えば、水、または必要に応じてアルコールなどのような有機溶剤を含む水性媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下、原料として使用するα,β−エチレン性不飽和モノマーを混合したものおよび重合開始剤を滴下することにより行うことができる。原料として使用するα,β−エチレン性不飽和モノマーを混合したものは、乳化剤と水とを用いて予め乳化しておいてもよい。
乳化重合に好適に用いることができる重合開始剤としては、アゾ系の油性化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など)、および水性化合物(例えば、アニオン系の4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジンおよびカチオン系の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン));並びにレドックス系の油性過酸化物(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびt−ブチルパーベンゾエートなど)、および水性過酸化物(例えば、過硫酸カリおよび過硫酸アンモニウムなど)が挙げられる。
乳化剤は、当業者が通常用いる一般的な乳化剤を用いることができる。乳化剤として、反応性乳化剤、例えば、アントックス(Antox)MS−60(日本乳化剤社製)、エレミノールJS−2(三洋化成工業社製)、アデカリアソープNE−20(旭電化社製)およびアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)、ラテムルPD−104(花王社製)などが特に好ましい。また、分子量を調節するために、ラウリルメルカプタンのようなメルカプタンおよびα−メチルスチレンダイマーなどのような連鎖移動剤を必要に応じて用いることができる。
反応温度は開始剤により決定され、例えば、アゾ系開始剤や過酸化物では60〜90℃であり、レドックス系では30〜70℃で行うことが好ましい。一般に、反応時間は1〜8時間である。一般にモノマー混合物100質量部に対する開始剤の量は、0.1〜5質量%である。上記乳化重合は多段階で行うことができ、例えば、二段階で行うことができる。すなわち、まず上記原料として使用するα,β−エチレン性不飽和モノマーを混合したもののうちの一部を乳化重合し、ここに上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の残りをさらに加えて乳化重合を行うものである。
上記エマルションは、貯蔵安定性の観点から、塩基性化合物で中和することにより、pH5〜10で用いることができる。上記塩基性化合物は、先の溶液重合で得られるアクリル樹脂の水性化の際に使用するのと同じであってよい。上記中和は、乳化重合の前または後に、上記塩基性化合物を系に添加することによって行うことが好ましい。
(A)水性樹脂としてアクリルエマルションを用いる場合は、数平均分子量が10,000〜80,000であるのが好ましい。アクリルエマルションの水酸基価が80〜200mgKOH/gであり、酸価が10〜40mgKOH/gであり、酸価の値に対する水酸基価の値の比が3〜15であり、かつ、数平均分子量が10,000〜80,000の範囲であることによって、塗料安定性を良好に確保しつつ、得られる塗膜における架橋密度がより良好な範囲となるという利点がある。これは、数平均分子量の範囲が10,000〜80,000と比較的高い範囲であり、かつ、アクリルエマルションが水酸基を上記範囲のように多く有することによって、(A)水性樹脂が有する水酸基と反応する(B)ポリイソシアネート化合物の低温硬化性が確保され、これにより、得られる塗膜における架橋密度がより良好な範囲となるためと考えられる。
なお、アクリルエマルションの数平均分子量は、水分を減圧乾燥などにより除去した後、ポリスチレン標準サンプル基準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定することができる。
上記(A)水性樹脂は、ポリエステル樹脂を含んでもよい。(A)水性樹脂として用いることができるポリエステル樹脂は、一般的には、多価アルコール成分と多塩基酸成分とを、上記水酸基およびカルボキシル基についての要件を満たすよう縮合することによって、調製することができる。
上記多価アルコール成分の例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオールなどのヒドロキシカルボン酸成分を挙げることができる。
上記多塩基酸成分の例としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸などの芳香族多価カルボン酸および酸無水物;ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、1,4−および1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族多価カルボン酸および無水物;無水マレイン酸、フマル酸、無水コハク酸、アジピン酸、セバチン酸などの脂肪族多価カルボン酸および無水物などの多塩基酸成分およびそれらの無水物などを挙げることができる。必要に応じて安息香酸やt−ブチル安息香酸などの一塩基酸を併用してもよい。
また、反応成分として、更に、1価アルコール、カージュラE(商品名:シエル化学製)などのモノエポキサイド化合物、およびラクトン類(β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトンなど)を併用してもよい。
上記成分に加えてヒマシ油、脱水ヒマシ油などの脂肪酸、およびこれらの脂肪酸のうち1種、または2種以上の混合物である油成分を、上記酸成分およびアルコール成分に加えてもよい。また、アクリル樹脂やビニル樹脂をグラフト化したり、ポリイソシアネート化合物を反応させたりすることも、上記水酸基およびカルボキシル基についての要件を満たしていれば可能である。
このようにして得られるポリエステル樹脂の数平均分子量は、500〜20,000であるのが好ましく、1,500〜10,000であるのがより好ましい。数平均分子量が500未満であるとポリエステル樹脂を水分散させた時の貯蔵安定性が低下するおそれがある。また数平均分子量が20,000を超えると、ポリエステル樹脂の粘度が上がるため、塗料にした場合の固形分濃度が下がり、塗装作業性が低下するおそれがある。
また、上記ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、−20〜80℃であることが好ましい。上記ガラス転移温度が−20℃未満である場合、得られる塗膜の硬度が低下するおそれがあり、80℃を超える場合、下地隠蔽性が低下する恐れがある。ガラス転移温度は0〜60℃であるのがより好ましい。ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、アクリル樹脂の場合と同様に、DSCによって測定することができる。
このようにして得られるポリエステル樹脂に対して、先に挙げた塩基性化合物で中和することによって、(A)水性樹脂を得ることができる。
(B)ポリイソシアネート化合物
本発明の水性塗料組成物は、上記(A)水性樹脂を硬化させる成分として、(B)ポリイソシアネート化合物および(C)親水化変性カルボジイミド化合物の2種の成分が含まれる。ここで(B)ポリイソシアネート化合物は、水分散性であってもよく、また疎水性であってもよい。疎水性であっても、後述する水分散性に優れた(C)親水化変性カルボジイミド化合物との相互作用により、水分散性が確保される。
上記(B)ポリイソシアネート化合物で疎水性のものとして、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタキシリレンジイソシアネート(MXDI)などの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添MDIなどの脂環式ジイソシアネート;これらのジイソシアネート化合物を不揮発性化し、毒性を低くした形態の化合物;これらのジイソシアネート化合物のビューレット体、ウレトジオン体、イソシアヌレート体またはアロハネート体などのアダクト体;比較的低分子のウレタンプレポリマー;などのポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
一方、上記(B)ポリイソシアネート化合物で水分散性を有するものとしては、上記ポリイソシアネート化合物に親水性基を導入したもの、および、界面活性剤を混合乳化させて、いわゆる自己乳化させたものを挙げることができる。
上記親水性基として、カルボキシル基およびスルホン酸基などのアニオン性基、第三級アミノ基などのカチオン性基およびポリオキシアルキレン基などのノニオン性基が挙げられる。これらの中で、得られる塗膜の耐水性を考慮すると、上記親水性基はノニオン性基であることが好ましい。具体的なノニオン性基として、親水性が高いポリオキシエチレン基が好ましい。
上記ポリイソシアネート化合物と界面活性剤とを混合し乳化させた、自己乳化ポリイソシアネート化合物の調製に好適に用いられる界面活性剤として、例えば、カルボキシル基およびスルホン酸基などのアニオン性基を有するアニオン界面活性剤、第三級アミノ基などのカチオン性基を有するカチオン界面活性剤、およびポリオキシアルキレン基などのノニオン性基を有するノニオン界面活性剤が挙げられる。これらの中で、得られる塗膜の耐水性を考慮すると、ノニオン界面活性剤を用いるのがより好ましい。
水分散性を有する(B)ポリイソシアネート化合物として、市販品を用いてもよい。市販されているものとしては、アクアネート100、アクアネート110、アクアネート200およびアクアネート210(日本ポリウレタン工業社製)、バイヒジュールTPLS−2032、SUB−イソシアネートL801、バイヒジュールVPLS−2319、バイヒジュール3100、VPLS−2336およびVPLS−2150/1、バイヒジュール305、バイヒジュールXP−2655(住化バイエルウレタン社製)、タケネートWD−720、タケネートWD−725およびタケネートWD−220(三井武田ケミカル社製)、レザミンD−56(大日精化工業社製)などが挙げられる。
本発明においては、(B)ポリイソシアネート化合物として、水分散性を有するものを用いるのがより好ましい。なお、(B)ポリイソシアネート化合物として、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)親水化変性カルボジイミド化合物
本発明の水性塗料組成物に含まれる(C)親水化変性カルボジイミド化合物は、分子内に、
−OCONH−X−NHCOOY
[Xは少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であり、Yはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造である。]
で表される構造単位を1個または複数個有している。上記構造単位を有することで、優れた水分散性および優れた硬化性の両方の性能が得られると考えられる。
上記(C)親水化変性カルボジイミド化合物として、上記構造単位を1個有するもの、2個有するもの、そして3個有するもの、の3種がある。
上記構造単位を2個有するものとしては、下記一般式(I)で表されるものがある。
Figure 0005908276
上記一般式(I)において、Xは少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であり、Yは同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造であり、Zは数平均分子量200〜5000の2官能ポリオールから水酸基を除いた構造である。
さらにここで、上記Xは、下記一般式(a)で表すことができる。
Figure 0005908276
上記一般式(a)において、Rは、炭素数6〜15の炭化水素基であることが好ましい。具体的なものとして、フェニレン基、ジフェニレンメチル基、ジフェニレン(ジメチル)メチル基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、テトラメチルキシリレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、ジシクロヘキシレンメチル基などを挙げることができる。好ましいものは、ジシクロヘキシレンメチル基である。また、上記pは、1〜10である。pは上記構造単位に存在するカルボジイミド基の個数であり、硬化性の観点から2以上であることが好ましく、その上限値は8以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、上記pに限らず、繰り返し数は平均値として表されるものである。
上記Yは、下記一般式(b)または(c)で表すことができる。
Figure 0005908276
上記一般式(b)および(c)において、Rは、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましい。具体的なものとして、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ステアリル基などを挙げることができる。また、Rは水素原子またはメチル基であり、水素原子であることが好ましい。qは4〜40である。なお上記一般式(b)および(c)において、Rが水素である場合は、上記一般式(b)および(c)は同じ構造を示すこととなる。
なお、上記Zは、エーテル結合、エステル結合、またはカーボネート結合によって構成されている重合体構造であり、一般式化することは困難である。これについては、後述する数平均分子量200〜5,000の2官能ポリオールについての説明を参照されたい。
上記構造単位を2個有する(C)親水化変性カルボジイミド化合物は、1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有する原料カルボジイミド化合物と、分子末端に水酸基を有し、数平均分子量200〜5,000である2官能ポリオールとを、上記原料カルボジイミド化合物のイソシアネート基のモル量が上記ポリオールの水酸基のモル量を上回る比率で反応させて得られた反応生成物に、さらにポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを反応させて得ることができる。
上記分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有する原料カルボジイミド化合物は、反応性の観点から、両末端にイソシアネート基を有していることが好ましい。上記両末端にイソシアネート基を有する原料カルボジイミド化合物の製造方法は、当業者によってよく知られており、例えば、有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応を利用することができる。
上記有機ジイソシアネートとしては、具体的には、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、およびこれらの混合物を用いることができ、具体的には1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。反応性の観点から、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネートが好ましい。
上記縮合反応には、通常、カルボジイミド化触媒が用いられる。上記カルボジイミド化触媒としては、具体的には、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドや、これらの3−ホスホレン異性体などのホスホレンオキシドなどを挙げることができる。反応性の観点から、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好ましい。
次に、分子末端に水酸基を有する2官能ポリオールは、特に限定されないが、反応効率の観点から、数平均分子量が200〜5,000であることが好ましい。上記分子末端に水酸基を有する2官能ポリオールとして、具体的には、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールを挙げることができ、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテルグリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートなどのポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ−3−メチルバレロラクトンジオールなどのポリラクトンジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどのポリカーボネートジオールおよびこれらの混合物などを例示することができる。
上記1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有する原料カルボジイミド化合物と、上記分子末端に水酸基を有し、数平均分子量200〜5,000である2官能ポリオールとの反応は、上記原料カルボジイミド化合物のイソシアネート基のモル量が上記ポリオールの水酸基のモル量を上回る比率で反応させて行われる。上記イソシアネート基のモル量が上記水酸基のモル量を下回るかまたは同量である場合は、後述のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの反応を十分に行うことができない。
上記原料カルボジイミド化合物のイソシアネート基のモル量と上記分子末端に水酸基を有するポリオールの水酸基のモル量との比率は、反応効率および経済性の観点から、1.0:1.1〜1.0:2.0であることが好ましい。なお、この工程によって得られる反応生成物における原料カルボジイミド化合物と分子末端に水酸基を有する2官能ポリオールとの重合度は、反応効率の観点から、1〜10が好ましい。
このようにして得られた反応生成物に、さらにポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを反応させることにより、上記構造単位を2個有する(C)親水化変性カルボジイミド化合物を得ることができる。ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、下記一般式(b’)または(c’)で表されるものが用いられる。
Figure 0005908276
上記一般式(b’)および(c’)において、R、R、およびqは、先の一般式(b)および(c)のところで説明した内容がそのまま適用される。上記ユニットにおけるRの種類およびqは、貯蔵安定性、水分散性および水が揮発した後の反応性を考慮して、それぞれ上記範囲内において適宜設定される。水分散性の観点から、上記モノアルコキシポリアルキレングリコールにおけるRはメチル基であり、Rは水素原子であることが好ましい。さらに、上記qは、水分散性および水が揮発した後の反応性の観点から、4〜20が好ましく、6〜12がさらに好ましい。
上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、数平均分子量が200〜5,000である、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく用いられる。このポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルのアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であるのが好ましい。ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの具体例として、例えば、炭素数1〜20のアルキル基で片末端が封鎖された、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはそれらの混合物からなるものなどが挙げられる。このようなポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルのより詳細な具体例として、例えば、数平均分子量200〜5,000である、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ポリプロピレングリコールモノラウリルエーテルなどを挙げることができる。
上記反応生成物と上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとは、上記反応生成物のイソシアネート基のモル量が上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの水酸基のモル量と同量または上回る比率で反応を行う。上記イソシアネート基のモル量が上記水酸基のモル量を下回る場合は、上記反応生成物に対する上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの反応を充分に行うことができない。なお、上記反応生成物のイソシアネート基のモル量は直接測定により求められる他、仕込み配合から計算される値を採用しても構わない。
上記原料カルボジイミド化合物と上記分子末端に水酸基を有する2官能ポリオールとの反応、および上記反応生成物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの反応においては、触媒を使用することができる。上記反応時の温度は、特に限定されないが、反応系の制御や、反応効率の観点から、60〜120℃が好ましい。また、上記反応においては活性水素を含有しない有機溶媒を用いることが好ましい。
このような2段階の反応を経ることによって、上記構造単位を2個有する(C)親水化変性カルボジイミド化合物を得ることができる。このようにして製造された(C)親水化変性カルボジイミド化合物は、先に示した一般式(I)のみの構造を有するわけではなく、用いた原料に由来する、種々のその他の反応生成物を含む混合物である。しかし、一般的には、上記一般式(I)の構造を有していると見なして差し支えない。
また、上記(C)親水化変性カルボジイミド化合物として、上記構造単位を3個有するものとしては、下記一般式(II)で表されるものがある。
Figure 0005908276
上記一般式(II)において、XおよびYは、先の上記構造単位を2個有するものについてのXおよびYの説明をそのまま適用することができる。また、Rは水素、メチル基、またはエチル基である。Rは炭素数4以下のアルキレン基であり、同一であっても異なっていてもよい。具体的なアルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。nは0または1、mは0〜60である。
、R、nおよびmは、(C)親水化変性カルボジイミド化合物を製造する際に用いる3官能ポリオールによって決定される。
mが11以上である場合、疎水部に対する親水部の割合が2.0〜6.3であることが好ましい。上記疎水部に対する親水部の割合は、カルボジイミド化合物中に存在するオキシメチレン基またはオキシエチレン基の部分の分子量を、カルボジイミド化合物の分子量で除して求めることができる。
上記構造単位を3個有する(C)親水化変性カルボジイミド化合物は、1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有する原料カルボジイミド化合物と、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを、上記原料カルボジイミド化合物のイソシアネート基の当量が上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの水酸基の当量を上回る比率で得られた反応生成物に、さらに3官能ポリオールを反応させて得ることができる。
上記1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有する原料カルボジイミド化合物は、先の上記構造単位を2個有する(C)親水化変性カルボジイミド化合物の原料カルボジイミド化合物についての説明がそのまま適用される。
上記原料カルボジイミド化合物と、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの反応は、反応後に3官能ポリオールとさらに反応させるため、イソシアネート基が残存している必要がある。このため、上記反応においては、イソシアネート基の当量が水酸基の当量を上回っている必要があり、好ましくは、イソシアネート基と水酸基との当量比が2/1になる量であることが好ましい。反応は通常、当業者によく知られた条件で行うことができ、必要に応じてスズ系の触媒を使用することができる。
上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、先の上記構造単位を2個有する(C)親水化変性カルボジイミド化合物のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルについての説明がそのまま適用される。
次に、このようにして得られた反応生成物に、3官能ポリオールを反応させる。反応に用いられる上記3官能ポリオールの量は、反応物のイソシアネート当量以上の水酸基当量になる量であることが好ましく、上記イソシアネート当量と水酸基当量とが等しいことがさらに好ましい。なお、上記反応生成物のイソシアネート当量は、直接測定する以外に、先の工程におけるジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの配合比から計算によって求めることも可能である。反応は先の原料カルボジイミド化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの反応と同様に行うことができる。
上記3官能ポリオールは、トリメチロールプロパン、グリセリン、またはそれらのアルキレンオキサイド付加物であることが、入手が容易な点から好ましい。上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどが挙げられる。グリセリンのアルキレンオキサイド付加物は三洋化成社からGPシリーズとして市販されている。得られる3鎖型親水性カルボジイミド化合物の硬化反応性を考慮すると、1つの水酸基に対してアルキレンオキサイドがそれぞれ付加した構造を持つものが特に好ましい。先のGPシリーズの中で、このような構造を持つものはGP−250、GP−3000などが挙げられる。
このような2段階の反応を経ることによって、上記構造単位を3個有する(C)親水化変性カルボジイミド化合物を得ることができる。このようにして製造された(C)親水化変性カルボジイミド化合物は、先に述べたように、一般式(II)のみの構造を有するわけではないが、上記一般式(II)の構造を有していると見なして差し支えない。
上記(C)親水化変性カルボジイミド化合物として、上記構造単位を1個有するものとしては、下記一般式(III)で表されるものがある。
Figure 0005908276
[Xは、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であり、Yは、同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造である。]
一般式(III)におけるXは、上記の一般式(I)における式(a)で表すことができる基である。
一般式(III)におけるYは、同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造である。このYは、上述の一般式(I)におけるYと同様のものを示すことができる。一般式(III)で示される(C)親水化変性カルボジイミド化合物を用いることによって、架橋密度がより高いレベルで保持されるという利点がある。考えられる理由としては、カルボジイミドのユニットが複数ある一般式(I)(II)では水性樹脂の酸価が低い中で、酸との反応効率が低いこと、また、一般式(III)は一般式(I)(II)のようにかさ高い構造を有していないため、水性樹脂の水酸基とイソシアネートの架橋を阻害することがないことより、一般式(III)で示される(C)親水化変性カルボジイミド化合物の架橋密度が高くなったと考えている。
一般式(III)におけるYは、好ましくは、下記(i)または(ii):
(i)繰り返し数6〜20のポリエチレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜3のアルキル基がエーテル結合した、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルから、水酸基を除いた構造
(ii)繰り返し数4〜60のポリプロピレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜8のアルキル基がエーテル結合した、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルから、水酸基を除いた構造:
から選択される、同一または異種の構造であるのがより好ましい。
さらに好ましくは、前記(ii)のポリプロピレンオキサイドユニットの繰り返し数が15〜60である。
上記(i)および(ii)を有する、一般式(III)で示される(C)親水化変性カルボジイミド化合物を用いることによって、水分散性に優れ、安定性が向上し、さらに架橋密度がより高いレベルで保持されるという利点がある。
一般式(III)で示される(C)親水化変性カルボジイミド化合物は、上述した有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応によって得られた、原料カルボジイミド化合物に、同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルを反応させることによって調製することができる。
上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、
・繰り返し数6〜20のポリエチレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜3のアルキル基がエーテル結合した、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、または、
・繰り返し数4〜60のポリプロピレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜8のアルキル基がエーテル結合した、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、
であるのがより好ましい。一般式(III)で示される(C)親水化変性カルボジイミド化合物の調製において、これらのポリエチレングリコールモノアルキルエーテルおよびポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルは、単独で用いてもよく、併用してもよい。
上記ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、具体的にはポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテルが挙げることができ、特にポリエチレングリコールモノメチルエーテルが好適である。
上記ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、具体的にはポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコール2−エチルヘキシルエーテル等を挙げることができ、特にポリプロピレングリコールモノブチルエーテルが好適である。
上記一般式(III)で示される(C)親水化変性カルボジイミド化合物において、何れか一方のYが(i)であって他方のYが(ii)であり、そして、上記(i)繰り返し数6〜20のポリエチレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜3のアルキル基がエーテル結合した、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルから、水酸基を除いた構造、および(ii)繰り返し数4〜60のポリプロピレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜8のアルキル基がエーテル結合した、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルから、水酸基を除いた構造の比率が、(i):(ii)=1:0.7〜1:8の範囲内であるのがより好ましい。
一般式(III)で示される(C)親水化変性カルボジイミド化合物において、塗膜が形成したときに耐水性を向上させるため、カルボジイミド基の周辺がある程度疎水性となっていることが好ましい。また、水によるカルボジイミドの失活を抑止し、安定性を保持するため、カルボジイミド基の周辺がある程度疎水性となっており、水分子との接触が低い状態に保たれているのが好ましい。その一方で、一般式(III)で示されるカルボジイミド化合物において、親水性を維持するためには、ポリエチレングリコール構造を一定量有することが必要となる。ここで、上記(i)および(ii)の構造が、(i):(ii)=1:0.7〜1:8の範囲内で存在する場合において、カルボジイミド化合物の親水性を確保しつつ、一方でカルボジイミド基の周辺においてある程度疎水性を保つことができる。これにより、低温硬化性により優れ、かつ、塗料安定性にもより優れた水性塗料組成物が得られるという利点がある。なお、上記比率(i):(ii)は、(i):(ii)=1:0.7〜1:1.5の範囲内であるのがさらに好ましい。
水性塗料組成物
本発明の水性塗料組成物は、(A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂、(B)ポリイソシアネート化合物、および、(C)親水化変性カルボジイミド化合物を含む。
本発明の水性塗料組成物においては、(B)ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の当量に対する(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比が、0.01〜0.20の範囲であることを条件とする。このように本発明においては、イソシアネート基の当量に対して、カルボジイミド基の当量が非常に少ないことを特徴としている。本発明の水性塗料組成物においては、このようにイソシアネート基の当量に対するカルボジイミド基の当量の比が0.01〜0.20の範囲であることによって、低温硬化性を確保しつつ、得られる塗膜の架橋密度が高くなり、良好な塗膜物性が確保されることとなるという利点がある。この当量比は、0.01〜0.09の範囲であるのがより好ましい。
本発明において用いられる(A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂は、上述の通り、酸価の値に対する水酸基価の値が3〜15と、水酸基価の値が、酸価の値と比べて非常に多いことを特徴とする。そしてこのような(A)水性樹脂を用いることに加えて、(B)ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の当量に対する(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比が0.01〜0.20の範囲であることによって、塗料安定性を確保しつつ、十分な架橋密度を有する塗膜が得られることとなった。例えば、上記のような(A)水性樹脂を用いることなく、(B)ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の当量に対する(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比を単に低くした場合は、塗料安定性が大幅に低下するおそれがある。これは、水性塗料組成物中において、(C)親水化変性カルボジイミド化合物が存在することによって、(B)ポリイソシアネート化合物の塗料内における安定性が向上していることに由来する。
本発明においては、(B)ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の当量に対する(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比が0.01〜0.20の範囲と、カルボジイミド基の量が極めて少ないことに加えて、酸価の値に対する水酸基価の値が3〜15である(A)水性樹脂を用いることを特徴としている。本発明において用いられる(A)水性樹脂は、酸価に対して水酸基価が非常に高い状態となっている。(A)水性樹脂の水酸基価がこのように高いことによって、得られる塗膜において高い架橋密度が達成されることとなる。また、(A)水性樹脂の酸価が低いことによって、(A)水性樹脂の酸基と(B)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基と間によって生じうる、望ましくない副反応の抑制が達成される。
このように本発明においては、上記要件を組み合わることによって、塗料保存後においても十分な架橋密度が達成されることとなった。これにより、塗料安定性を確保しつつ、十分な架橋密度を有する塗膜が得られることとなった。
また本発明の水性塗料組成物において、(A)水性樹脂が含有する水酸基の当量に対する、(B)ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の当量の比は、0.6〜1.5の範囲内である。(A)水性樹脂の水酸基および(B)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基は、互いに反応しあう基である。そしてこれらの基の当量比が上記範囲であることによって、低温においても硬化反応が良好に進行し、これにより、望ましい架橋密度を有する塗膜が得られるという利点がある。
本発明の水性塗料組成物においては、さらに、(A)水性樹脂が有する酸基の当量に対する、(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比が、0.1〜1.0の範囲であることを条件とする。この当量比は0.1〜0.6の範囲であるのが好ましい。このように本発明の水性塗料組成物においては、互いに反応するカルボジイミド基および酸基の当量において、酸基の方が過剰量存在している。これにより、形成される硬化塗膜中においては基本的にはカルボジイミド基が残存しない状態となる一方で、酸基が残存することとなり、被塗物に対する塗膜密着性が向上するという利点がある。
本発明の水性塗料組成物は、上記成分(A)〜(C)以外に、必要に応じて、顔料、硬化触媒、表面調整剤、消泡剤、顔料分散剤、可塑剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含有することができる。本発明の水性塗料組成物は、低温での反応性に優れているため、塗装現場で製造することが好ましい。本発明の水性塗料組成物は、上記成分(A)〜(C)成分を混合することによって得ることができる。
本発明の水性塗料組成物は、上記(C)親水化変性カルボジイミド化合物が水分散性に優れているため、上記(B)ポリイソシアネート化合物の水分散性が十分でない場合においても、上記硬化剤組成物を形成することで水性塗料組成物の貯蔵安定性を高めることができる。
本発明の水性塗料組成物の樹脂固形分濃度は、塗装条件によって異なるが、一般的には、15〜60質量%に設定することが好ましい。
水性塗料組成物から得られる塗膜
上記水性塗料組成物を、被塗物に塗装することによって、塗膜を形成することができる。被塗物として、特に限定されず、種々の基材を用いることができる。本発明の水性塗料組成物は低温での硬化が可能であるため、一般的な金属素材に加えて、プラスチック素材に対しても行うことができる。上記金属素材として、鉄板、鋼板、アルミニウム板などが挙げられる。また、上記プラスチック素材として、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアマイド、ポリフェニレンオキサイド、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリプロピレン、不飽和ポリエステル(SMC樹脂)などが挙げられる。これらの基材は表面処理が施されていてもよい。
本発明の塗膜は、自動車車体に設けることが好ましい。自動車車体の表面には、通常、複層塗膜が形成される。この複層塗膜は、電着塗膜、第1ベース塗膜、第2ベース塗膜、クリア塗膜などから構成されているが、本発明の塗膜は、ウレタン結合を多数含み耐チッピング性に優れると考えられるので、上記第1ベース塗膜として用いられることが好ましい。なお、第1ベース塗膜は中塗り塗膜、第2ベース塗膜は着色ベース塗膜と同じ意味である。上記第1ベース塗膜は、電着塗膜やプライマーまたはシーラーから形成された塗膜上に形成される。第1ベース塗膜の形成は、本発明の水性塗料組成物をエアースプレー、エアレススプレーなどを用いて静電塗装した後、加熱することによって行われる。硬化膜厚としては特に限定されず、例えば、10〜50μmになるよう設定することができる。
硬化のための加熱は、被塗装物の耐熱性に応じて設定される。被塗装物が金属素材のように耐熱性が高い被塗装物である場合、120℃を超える温度を適用することができる。一方、耐熱性の低いプラスチック素材である場合には、加熱温度は120℃以下が好ましく、80℃以下で行われることがさらに好ましい。加熱時間は、上記温度に応じて適宜設定することができる。
本発明の水性塗料組成物を塗装して未硬化の第1ベース塗膜を形成した後、この塗膜を硬化させることなく、第2ベース塗膜を形成するための第2ベース塗料を塗装する、いわゆるウェットオンウェット塗装で行うことができる。本発明の水性塗料組成物は、極めて優れた低温硬化性を有しているという特徴がある。そのため、通常のウェットオンウェット塗装において、第1ベース塗膜を形成した後に必要とされるプレヒート処理を行うことなく第2ベース塗膜を形成しても、第1ベース塗膜が硬化しているため、混層などの不具合を伴うことなく、複層塗膜を形成することができるという利点がある。
なお、必要に応じて、上記ウェットオンウェット塗装において、未硬化の第1ベース塗膜を形成した後、ごく低温で加熱するプレヒートを行ってもよい。本発明の水性塗料組成物は、低温硬化性に優れているので、このプレヒートによって硬化が一部進行して、第2ベース塗料の塗装によって混層されない界面が形成されるという特徴がある。これにより、塗膜外観に極めて優れた複層塗膜を得ることができる。
上記ウェットオンウェット塗装は、第1ベース塗膜と第2ベース塗膜とに加えて、第2ベース塗膜とクリア塗膜との間にも行い得る。この場合の複層塗膜の形成は3ウェット塗装と呼ばれており、クリア塗膜を形成するクリア塗料の塗装後に、第1ベース塗膜、第2ベース塗膜、およびクリア塗膜を同時に所定の温度で焼き付けることによって複層塗膜が得られる。なお、上記第2ベース塗料およびクリア塗料、ならびにそれらの塗装については、当業者によく知られている塗料および塗装方法を用いることができる。
本発明の水性塗料組成物を塗装する被塗物として好適である他の被塗物として、例えば、産業機械および建設機械などが挙げられる。産業機械および建設機械などは、一般に大型であり、そして強い荷重に耐えうるため、自動車車体などと比較して構成基材(鋼板)の厚みがあるという特徴がある。そのため、このような産業機械、建設機械が被塗物である場合は、被塗物の熱容量が大きく、加熱炉中において被塗物に熱が十分に伝達しないという問題がある。本発明の水性塗料組成物は、低温で硬化可能であること、そして低温で硬化させた場合であっても高い架橋密度を有する塗膜が得られることを、特徴の1つとする。そのため、本発明の水性塗料組成物は、このように被塗物の熱容量が大きく、塗装後の高温加熱硬化処理が困難である、産業機械・建設機械を被塗物とする塗装においても、好適に用いることができる。これらを被塗物とした塗装においては、本発明の水性塗料組成物を、被塗物の形状に応じた、当業者において通常用いられる塗装方法によって塗装した後、例えば50〜100℃で10分〜2時間加熱することによって、硬化塗膜を形成する態様が挙げられる。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下「部」は、「質量部」を意味する。
製造例1 水酸基およびカルボキシル基を有するアクリルエマルションの製造
撹拌機、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に、脱イオン水1,000部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら80℃に昇温した。
スチレン103部、メタクリル酸n−ブチル290部、アクリル酸n−ブチル280部、アクリル酸ヒドロキシエチル302部、アクリル酸26部、ドデシルメルカプタン3部および乳化剤としてのラテムルPD−104(花王社製、20%水溶液)100部を脱イオン水1,000部に加えて乳化したプレエマルションを、過硫酸アンモニウム3部を脱イオン水300部に溶解した開始剤水溶液とともに2時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに80℃ で1時間反応を継続した後冷却し、N、N−ジメチルアミノエタール8.2部を加え樹脂固形分30質量%のアクリルエマルションを得た。モノマー組成から計算される、このアクリルエマルションの樹脂固形分換算での水酸基価は130mgKOH/g、酸価は20mgKOH/gであった。また、得られたアクリルエマルションにおけるアクリル樹脂の、水分除去後のGPC測定による数平均分子量は、45,000であった。
製造例2 水酸基およびカルボキシル基を有するアクリルエマルションの製造
製造例1のモノマー混合物におけるモノマーの量を、スチレン90部、アクリル酸n−ブチル249部、メタクリル酸n−ブチル403部、アクリル酸ヒドロキシエチル232部、アクリル酸26部、ドデシルメルカプタン3部にそれぞれ変更する以外は同様にして重合した後、N、N−ジメチルアミノエタノール8.2部を添加し樹脂固形分30質量%のアクリルエマルションを得た。モノマー組成から計算される、このアクリルエマルションの樹脂固形分換算での水酸基価は100mgKOH/g、酸価は20mgKOH/gであった。また、得られたアクリルエマルションにおけるアクリル樹脂の、水分除去後のGPC測定による数平均分子量は、43,000であった。
製造例3 水酸基およびカルボキシル基を有するアクリル水分散体の製造
撹拌機、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に、2−メトキシ−1−プロパノール712部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃に昇温した。
スチレン50部、アクリル酸2−エチルヘキシル20部、メタクリル酸2−エチルヘキシル122部、メタクリル酸n−ブチル426部、メタクリル酸ヒドロキシエチル182部のモノマー混合物を、カヤエステルO(化薬アクゾ社製のtert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサネート)24部を2−メトキシ−1−プロパノール160部に溶解した開始剤溶液とともに1.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、120℃で1時間保ち、次いで、メタクリル酸n−ブチル50部、メタクリル酸ヒドロキシエチル119部、アクリル酸31部のモノマー混合物を、カヤエステルO 6部を2−メトキシ−1−プロパノール40部に溶解した開始剤溶液とともに1時間かけて滴下した。
滴下終了後、120℃で0.5時間保った後、後ショットとして、さらにカヤエステルO 3部を2−メトキシ−1−プロパノール55部に溶解した開始剤溶液を0.5時間かけて滴下し、さらに120℃で1時間攪拌して、樹脂固形分50質量%、GPC測定による数平均分子量6,000のアクリル樹脂を得た。
減圧加熱して溶剤を留去した後、N、N−ジメチルアミノエタノール39部を添加した後、さらに脱イオン水1206部を投入、攪拌することによって、樹脂固形分45質量%のアクリル樹脂水分散体を得た。モノマー組成から計算される、このアクリル水分散体の樹脂固形分換算での水酸基価は130mgKOH/g、酸価は24mgKOH/gであった。
製造例4 水酸基およびカルボキシル基を有するポリエステル水分散体の製造
撹拌機、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサー、デカンターを備えた反応容器に、トリメチロールプロパン250部、アジピン酸824部、シクロヘキサンジカルボン酸635部を加え、180℃に昇温して、水が留出しなくなるまで縮合反応を行った。60℃まで冷却した後、無水フタル酸120部を加え、140℃まで昇温して、これを60分間保ち、GPC測定による数平均分子量2,000のポリエステル樹脂を得た。ジメチルアミノエタノール59部(樹脂が有する酸価の80%相当(中和率80%))を80℃で加え、さらに脱イオン水1920部を投入、攪拌することによって、樹脂固形分45質量%のポリエステル水分散体を得た。このポリエステル水分散体の樹脂固形分換算での水酸基価は90mgKOH/g、酸価は35mgKOH/gであった。
製造例5 親水化変性カルボジイミド化合物(1)の製造
4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート700部および3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド7部を170℃で7時間反応させ、上記一般式(a)で表される構造の、1分子にカルボジイミド基を3個有し、両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物を得た。
次に、製造したイソシアネート末端を有する4,4−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド180部に、PTMG−1000(三菱化学社製の数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール、数平均分子量から計算されるテトラメチレンオキサイドの繰り返し単位13.6)95部およびジブチル錫ジラウレート0.2部を加えて、85℃に加熱し、これを2時間保った。
次いで、メチルポリグリコール130(日本乳化剤社製のポリエチレングリコールモノメチルエーテル、水酸基価130mgKOH/gから計算されるエチレンオキサイドの繰り返し数9)86.4部を加え、85℃で3時間保った。IR測定によりNCOのピークが消失していることを確認して反応を終了し、60℃に冷却した後、脱イオン水を加えて、樹脂固形分40質量%の親水化変性カルボジイミド化合物(1)の水分散体を得た。得られた親水化変性カルボジイミド化合物は、上記一般式(I)で表される化合物であった。
製造例6 親水化変性カルボジイミド化合物(2)の製造
製造例5において製造したイソシアネート末端を有する4,4−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド90部に、繰り返し数が平均19のポリプロピレングリコールモノブチルエーテル120部、メチルポリグリコール130 43.2部およびジブチル錫ジラウレート0.07部を加え、IRでNCOの吸収がなくなるまで80℃で保った。60℃に冷却した後、脱イオン水を加えて樹脂固形分25%の親水化変性カルボジイミド化合物(2)の水分散体を得た。得られた親水化変性カルボジイミド化合物は、上記一般式(III)で表される化合物であった。
また、得られた親水化変性カルボジイミド化合物における、(i)ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造、および(ii)ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造の比率は、(i):(ii)=1.0:1.0であった。
製造例7 親水化変性カルボジイミド化合物(3)の製造
4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート393部および3−メチル−1―フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド8 部を180℃で16時間反応させ、下記式で表される構造の、1分子にカルボジイミド基を4個有し、両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物を得た。ここに、オキシエチレン基の繰り返し数が9であるポリエチレングリコールモノメチルエーテル130部およびジブチル錫ジラウレート0.2部を加え、90℃で2時間加熱して、下記式で表される構造の、末端がイソシアネート基および親水性基であるカルボジイミド化合物を得た。さらに、GP−3000(三洋化成工業社製のグリセリンの3つの水酸基に、プロピレンオキサイドを平均で17モルずつ付加した構造を有する3価のポリオール)300部を加え、90℃で6時間反応させた。IR測定によりNCOのピークが消失していることを確認して反応を終了し、親水化変性カルボジイミド化合物(3)を得た。ここに脱イオン水を加えて撹拌し、樹脂固形分30質量%の親水化変性カルボジイミド化合物(3)の水分散体を得た。得られた親水化変性カルボジイミド化合物は、上記一般式(II)で表される化合物であった。
製造例8 着色顔料ペーストの製造
分散剤「Disperbyk 190」(ビックケミー社製)9.2部、イオン交換水17.2部、ルチル型二酸化チタン73.0部を予備混合を行った後、ペイントコンディショナー中でビーズ媒体を加え、室温で粒度5μm以下となるまで混合分散し、ビーズ媒体を濾過にて取り除いて着色顔料ペーストを得た。
製造例9 比較用アクリル水分散体の製造
撹拌機、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に、
2−メトキシ−1−プロパノール161部とジプロピレングリコールモノメチルエーテル239部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃に昇温した。
スチレン100部、アクリル酸エチル545部、メタクリル酸メチル125部、アクリル酸ヒドロキシエチル145部、メタクリル酸85部のモノマー混合物を、カヤエステルO(化薬アクゾ社製のtert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサネート)20部をジプロピレングリコールモノメチルエーテル100部に溶解した開始剤溶液とともに3時間かけて滴下した。
滴下終了後、120℃で0.5時間保った後、後ショットとして、さらにカヤエステルO 3部をジプロピレングリコールモノメチルエーテル50部に溶解した開始剤溶液を0.5時間かけて滴下し、さらに120℃で1時間攪拌して、樹脂固形分64質量%、GPC測定による数平均分子量9,000のアクリル樹脂を得た。
減圧加熱して溶剤を161部留去した後、N、N−ジメチルアミノエタノール71部(樹脂が有するカルボキシル基の量の100%相当)を添加した後、さらに脱イオン水1872部を投入、攪拌することによって、樹脂固形分30質量%のアクリル樹脂水分散体を得た。モノマー組成から計算される、このアクリル水溶液の樹脂固形分換算での水酸基価は70mgKOH/g、酸価は55.5mgKOH/gであった。
製造例10 比較用アクリルエマルションの製造
製造例1のモノマー混合物におけるモノマーの量を、スチレン103部、アクリル酸n−ブチル305部、メタクリル酸n−ブチル219部、アクリル酸ヒドロキシエチル302部、アクリル酸71部、ドデシルメルカプタン2.5部にそれぞれ変更する以外は同様にして重合した後、N、N−ジメチルアミノエタノール22部を添加し樹脂固形分30質量%のアクリルエマルションを得た。モノマー組成から計算される、このアクリルエマルションの樹脂固形分換算での水酸基価は130mgKOH/g、酸価は55.5mgKOH/gであった。また、得られたアクリルエマルションにおけるアクリル樹脂の、水分除去後のGPC測定による数平均分子量は、42,000であった。
実施例1 水性塗料組成物(1)の製造
製造例1で得られたアクリルエマルション100部に、バイヒジュール305(住化バイエルウレタン社製のエチレンオキサイド基を有するポリイソシアネート化合物、エチレンオキサイド含有量:20質量%、イソシアネート基含有量:16質量%)22部を攪拌しながら加え、さらに、製造例5で得られた親水化変性カルボジイミド化合物(1)の水分散体7部を加えて攪拌することにより、水性塗料組成物を得た。得られた水性塗料組成物について、下記評価を行った。結果を表1に示す。
<耐水性>
電着塗装を施した試験板上に、エアースプレー塗装で乾燥膜厚が30μmとなるよう塗装を行い、80℃で25分間焼付け乾燥を行った。次いで、塗膜が形成された試験板を40℃の水槽に10日間浸漬し、その後、目視で塗膜異常(フクレ)の発生の有無を確認した。この目視評価を、下記表中において「塗膜異常」として示す。加えて、水槽から引き上げてから1時間後に、カッターナイフで2mm角の碁盤目の切込み(10×10)を入れ、ここにセロハンテープを貼り付けて引き剥がす付着性試験を行い、マス目の剥がれた個数を数えた。この評価を、下記表中において「付着性」として示す。この「付着性」評価では、剥がれた個数が少ないほど耐水性が良好である。
<塗料安定性>
水性塗料組成物を調製した後、室温で放置し、塗料液中に流動性のない塊ができるまでの時間、または塗料液全体が流動性をなくするまでの時間を測定した。6時間を超えるものが合格である。
<架橋密度>
実施例および比較例において調製した直後の塗料組成物を、ポリプロピレン板上に乾燥膜厚30μmとなるようにエアースプレー塗装した。この板を80℃で25分加熱した後、ポリプロピレン板から塗膜を剥離してフリーフィルムを得た。得られたフリーフィルムをバイブロンDDV−II−EA型(東洋ボールドウィン社製動的粘弾性測定器、試験条件:周波数11Hz、昇温2℃/分)によって架橋密度を測定した。ここで測定した架橋密度は、下記表中において「初期架橋密度」として示した。
初期架橋密度は、1.0mmol/cc以上を合格と評価し、1.5mmol/cc以上がより好ましい。

<架橋密度保持率>
実施例および比較例において調製した後、室温で6時間放置した後の塗料組成物を用いて、上記と同様にして同様にフリーフィルムを作成した。得られたフリーフィルムの架橋密度を、上記と同様にして測定した。ここで測定した架橋密度は、下記表中において「6H後架橋密度」として示した。
架橋密度保持率(%)を、下記式
「6H後架橋密度」/「初期架橋密度」×100
によって算出した。
架橋密度保持率は80%以上を合格と評価し、95%以上がより好ましい。

<可使時間>
得られた水性塗料組成物の可使時間を、上記架橋密度保持率に基づいて評価した。上記架橋密度保持率(%)の値が80%以上である場合を合格と評価した。6時間後に架橋密度保持率が80%以上になった場合、「可使時間>6H」と示した。
実施例2〜10 水性塗料組成物(2)〜(10)の製造
表1に示す配合を用いたこと以外は、実施例と同様の手順により、それぞれ水性塗料組成物を得た。また、実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例11 水性塗料組成物(11)の製造
製造例1のアクリルエマルション85部および製造例3のアクリルディスパージョン10部の混合液に製造例8で得られた着色顔料ペースト74部を撹拌しながら加えた後、バイヒジュール305の22部および製造例6で得られた親水化変性カルボジイミド化合物(2)の水分散体7部を加えて攪拌することにより、水性塗料組成物を得た。実施例1と同様にして各種評価を行った。
架橋密度は3.5mmol/ccであり、6時間後の架橋密度保持率は97%であった。塗料安定性も6時間以上確保されており、耐水性にも問題は見られなかった。
実施例12 水性塗料組成物(12)の製造
実施例11のアクリルディスパージョンを製造例4で得られるポリエステルディスパージョンに変更する以外は同様の手順により水性塗料組成物を得た。実施例1と同様にして各種評価を行った。
架橋密度は3.3mmol/ccであり、6時間後の架橋密度保持率は91%であった。塗料安定性も6時間以上確保されており、耐水性にも問題は見られなかった。
比較例1〜5 比較用水性塗料組成物(1)〜(5)の製造
表2に示す配合を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順により、それぞれ比較用水性塗料組成物を得た。実施例と同様にして、各種評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005908276
Figure 0005908276
上記実施例において示されるように、本発明の水性塗料組成物は、被塗物に塗装した後、80℃での焼付け乾燥によって、高い架橋密度を有する塗膜が得られることが確認された。このように塗膜が高い架橋密度を有することで、耐候性に優れ、チッピング性や強い力に対する密着性に優れたものとなる。そして得られた水性塗料組成物を用いて形成した塗膜は、耐水性も良好であった。加えて、得られた水性塗料組成物の可使時間も6時間以上と、低温硬化性塗料組成物であるにも関わらず十分に長い可使時間を有していることが確認された。
比較例1の水性塗料組成物は、(B)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量に対する(C)親水化変性カルボジイミド化合物のカルボジイミド基の当量の比が0.20を超え、(A)水性樹脂の酸基の当量に対する(C)親水化変性カルボジイミド化合物のカルボジイミド基の当量の比が1.0を超える例である。この比較例1の水性塗料組成物においては、得られた塗膜の架橋密度が1未満と低いことが確認された。塗膜の架橋密度が1未満である場合は、例えば強い力がかかった時に塗膜が剥離するなどの塗膜不具合が生じることがある。
比較例2の水性塗料組成物は、(C)親水化変性カルボジイミド化合物が含まれない例である。この比較例2の水性塗料組成物においては、製造後室温で2時間経過した時点で、流動性のない塊の発生が確認された。さらに6時間経過後においては、塗料組成物全体がゲル化しており、塗装することができなかった。
比較例3の水性塗料組成物は、(B)ポリイソシアネート化合物が含まれない例である。この比較例3の水性塗料組成物を用いて得られた塗膜は、耐水性が著しく低いことが確認された。
比較例4の水性塗料組成物は、(A)水性樹脂の樹脂固形分換算での水酸基価が80mgKOH/g未満であり、かつ、酸価に対する水酸基価の比が3未満である例である。この比較例4の水性塗料組成物においては、得られた塗膜の架橋密度が1未満と低いことが確認された。塗膜の架橋密度が1未満である場合は、例えば強い力がかかった時に塗膜が剥離するなどの塗膜不具合が生じることがある。この比較例4は、(A)水性樹脂の水酸基価が低い場合は、十分な架橋密度が得られないことを示している。
比較例5の水性塗料組成物は、(A)水性樹脂の樹脂固形分換算での酸価が40mgKOH/gを超え、かつ、酸価に対する水酸基価の比が3未満である例である。この比較例5の水性塗料組成物においては、得られた塗膜の架橋密度が1未満と低いことが確認された。さらに、製造後室温で2時間経過した時点で、流動性のない塊の発生が確認された。さらに6時間経過後においては、塗料組成物全体がゲル化しており、塗装することができなかった。この比較例5で示されるように、(A)水性樹脂の酸価が高く、酸価に対する水酸基価の比が3未満である場合においては、塗料安定性が顕著に低下してしまうことがわかる。
実施例13 複層塗膜の形成方法
電着塗装を施した鋼板上に、実施例10で得られた水性塗料組成物を乾燥膜厚30μmとなる条件でエアースプレーを用いて塗装した後、10分間セッティングを行った。ここに、日本ペイント株式会社製の水性メタリックベース塗料AR−2000をエアースプレーで塗装し、80℃で3分間のプレヒートを行った後、2液ウレタン硬化型のクリア塗料を塗布した。塗布後、80℃で焼き付けて複層塗膜を得た。得られた複層塗膜について、目視で外観を評価したところ、特に異常は見られなかった。また、耐水性試験について実施したところ、塗膜外観に異常はなく、付着性も0/100で剥離がなく、良好な結果が得られた。さらに、下記に示す耐チッピング評価についても素地に達する剥離がなく、良好な結果が得られた。
<耐チッピング性>
ノズルから吹きつけられた石が、塗装板に対して垂直に当たるようグラベロ試験機に塗装板を設置した。塗装板を−20℃に冷却した後、7号砕石(玄武岩)100gを0.3MPaのエアーにより塗装板に吹きつけた。テスト後の塗装板を目視で下記に示す基準により評価した。
○:素地に達する剥離が認められない
△:素地に達する剥離が微かに認められる
×:素地に達する剥離が多く認められる
本発明の水性塗料組成物は、低温硬化型の水性塗料組成物において、優れた塗料安定性が達成されており、かつ、得られる塗膜の架橋密度が高いという、極めて優れた塗料性能および塗膜性能が達成されていることを特徴とする。本発明の水性塗料組成物は、耐熱性の低いプラスチック素材、被塗物の熱容量が大きく塗装後の高温加熱硬化処理が困難である産業機械・建設機械などを被塗物とする場合であっても、優れた架橋密度を有する塗膜を形成することができるという特徴を有する。

Claims (5)

  1. (A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂、
    (B)ポリイソシアネート化合物、および、
    (C)親水化変性カルボジイミド化合物、
    を含む、ウェットオンウェット塗装用水性塗料組成物であって、
    該(A)水酸基およびカルボキシル基を有する水性樹脂は、樹脂固形分換算で、80〜200mgKOH/gの水酸基価、および、10〜40mgKOH/gの酸価を有し、
    該(A)水性樹脂の酸価の値に対する水酸基価の値の比が3〜15であり、
    該(B)ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の当量に対する、該(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比が、0.01〜0.09であり、
    該(C)親水化変性カルボジイミド化合物が、下記一般式(I)、(II)または(III)で表されるものであり、
    該(A)水性樹脂が含有する水酸基の当量に対する、該(B)ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基の当量の比が、0.6〜1.5であり、
    該(A)水性樹脂が有する酸基の当量に対する、該(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比が、0.1〜1.0である、
    ウェットオンウェット塗装用水性塗料組成物。
    Figure 0005908276
    [Xは、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であって
    下記一般式(a)
    Figure 0005908276
    [一般式(a)において、R は、炭素数6〜15の炭化水素基であり、pは、1〜10である。]
    で表される基であり、
    Yは、同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造であり、
    Zは、数平均分子量200〜5,000の2官能ポリオールから水酸基を除いた構造である。]
    Figure 0005908276
    [Xは少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であって
    下記一般式(a)
    Figure 0005908276
    [一般式(a)において、R は、炭素数6〜15の炭化水素基であり、pは、1〜10である。]
    で表される基であり、
    Yは、同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造であり、
    は、水素、メチル基、またはエチル基であり、Rは、炭素数4以下のアルキレン基であり、nは0または1であり、mは0〜60である。]
    Figure 0005908276
    [Xは、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であって
    下記一般式(a)
    Figure 0005908276
    [一般式(a)において、R は、炭素数6〜15の炭化水素基であり、pは、1〜10である。]
    で表される基であり、
    Yは、同一または異種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造である。]
  2. 前記(A)水性樹脂が有する酸基の当量に対する、前記(C)親水化変性カルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基の当量の比が、0.1〜0.6である、
    請求項記載のウェットオンウェット塗装用水性塗料組成物。
  3. 前記(A)水性樹脂は、数平均分子量が10,000〜80,000であるアクリルエマルションを含む、請求項1または2記載のウェットオンウェット塗装用水性塗料組成物。
  4. (C)親水化変性カルボジイミド化合物が、下記式(III)で表される化合物である、請求項1〜いずれかに記載のウェットオンウェット塗装用水性塗料組成物。
    Figure 0005908276
    [Xは、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基であって
    下記一般式(a)
    Figure 0005908276
    [一般式(a)において、R は、炭素数6〜15の炭化水素基であり、pは、1〜10である。]
    で表される基であり、
    Yは、下記(i)または(ii):
    (i)繰り返し数6〜20のポリエチレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜3のアルキル基がエーテル結合した、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルから、水酸基を除いた構造、
    (ii)繰り返し数4〜60のポリプロピレンオキサイドユニットの末端に、炭素数1〜8のアルキル基がエーテル結合した、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルから、水酸基を除いた構造:
    から選択される、同一または異種の構造である。]
  5. 前記式(III)で表される(C)親水化変性カルボジイミド化合物において、何れか一方のYが(i)であって他方のYが(ii)であり、および、
    前記構造(i)および(ii)の比率が、(i):(ii)=1:0.7〜1:8の範囲内である、
    請求項1〜4いずれかに記載のウェットオンウェット塗装用水性塗料組成物。
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