上述したような画像形成装置では、プラテンにおける空気吸引孔が形成されている部位に記録媒体が載置されている場合には、記録媒体を密着させながら搬送方向に搬送することができる。しかしながら、プラテンにおける空気吸引孔が形成されている部位に記録媒体が載置されない場合には、記録媒体をプラテンに密着させながら搬送することができない。また、空気吸引孔が形成されている部位に配置された記録媒体をプラテンに密着させようとすると、吸引力を増加させるために、吸引ファンの数を増やすこと、または、吸引ファンの吸引力を増加させる必要が生じる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸引力を増加させることなく、プラテンに載置された記録媒体がプラテンに密着しながら搬送されることが可能な媒体搬送装置およびそれを備えた印刷装置を提供することである。
本発明の媒体搬送装置は、プラテンと、グリッドローラと、空間形成部材と、囲み部材と、吸引装置とを備えている。前記プラテンには、配置孔が形成され、記録媒体が載置される。前記グリッドローラは、上部が前記配置孔を通じて前記プラテンの上方に露出するように前記プラテンに設けられ、前記記録媒体を所定の第1の方向に搬送する。前記空間形成部材は、前記プラテンの下方において、前記プラテンと共に仕切られた空間を形成する。前記囲み部材は、前記空間内に位置し、前記グリッドローラにおける上部以外の部位を前記プラテンと共に囲む。前記吸引装置は、前記空間のうち前記プラテンと前記囲み部材とによって囲まれた空間を除いた外空間の空気を吸引する。前記プラテンには、前記配置孔よりも前記第1の方向の下流側に位置する複数の第1吸引孔と、前記配置孔よりも前記第1の方向の上流側に位置する複数の第2吸引孔とが形成されている。前記第1吸引孔および前記第2吸引孔は、前記外空間に連通している。
上記媒体搬送装置によれば、吸引装置が外空間の空気を吸引することによって、第1吸引孔、第2吸引孔、および、外空間に吸引装置による吸引力が与えられる。よって、本発明では、グリッドローラ、および、グリッドローラよりも第1の方向の下流側のプラテンの部位にのみ記録媒体の全体が載置されている場合、第1吸引孔に吸引装置の吸引力が与えられることによって、記録媒体はプラテンに密着しながら搬送される。一方、グリッドローラ、および、グリッドローラよりも第1の方向の上流側のプラテンの部位にのみ記録媒体の全体が載置されている場合、第2吸引孔に吸引装置の吸引力が与えられることによって、記録媒体はプラテンに密着しながら搬送される。したがって、記録媒体がプラテンのどの部位に載置されているかに関わらず、記録媒体をプラテンに密着させながら搬送することができる。また、上記媒体搬送装置によれば、グリッドローラの上部をプラテンから上方に露出させるために、プラテンには、比較的広い配置孔が形成されている。囲み部材は、グリッドローラにおける上部以外の部位をプラテンと共に囲んでいる。比較的広い配置孔は、囲み部材によって囲まれている。よって、配置孔には、吸引装置による吸引力が与えられない。したがって、第1吸引孔および第2吸引孔に吸引力が与えられることで、記録媒体をプラテンに確実に密着させることができる。
本発明の好ましい一態様によれば、前記外空間は、複数の区切り部材によって複数の空間である複数の分割空間に区切られる。前記吸引装置は、複数の前記分割空間に対して1つずつ設けられている。
上記態様によれば、分割空間ごとに吸引装置が設けられているため、記録媒体が載置されていないプラテンの部位の真下に位置する分割空間に設けられた吸引装置を停止させることができる。記録媒体が載置されているプラテンの部位の真下に位置する分割空間に設けられた吸引装置のみを作動させることで、記録媒体をプラテンに密着させながら搬送することができる。したがって、吸引装置が使用する電力を抑えることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、平面視において、前記第1の方向と直交する方向を第2の方向としたとき、前記分割空間は、前記第2の方向に並んでいる。
上記態様によれば、第2の方向とは、記録媒体の幅方向である。よって、記録媒体の幅に応じて、作動させる吸引装置と停止させる吸引装置とを選択することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記区切り部材は、スポンジによって形成されている。
上記態様によれば、プラテンの下方に形成された外空間を区切る際、区切り部材を最適な形状に形作ることが容易にできる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1の方向において、下流側を前側、上流側を後側とする。前記空間形成部材は、前壁と、後壁と、左壁と、右壁と、底壁とを有している。前記前壁は、前記プラテンの下面から下方に延びている。前記後壁は、前記プラテンの下面から下方に延び、前記前壁の後方に位置している。前記左壁は、前記プラテンの下面から下方に延び、前端が前記前壁の左端と連続し、後端が前記後壁の左端と連続している。前記右壁は、前記プラテンの下面から下方に延び、前端が前記前壁の右端と連続し、後端が前記後壁の右端と連続している。前記底壁は、前記前壁、前記後壁、前記左壁および前記右壁のそれぞれの下端と連続している。
上記態様によれば、プラテンの下方の空間を、プラテンと、前壁と、後壁と、左壁と、右壁と、底壁とによって仕切ることで形成することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記囲み部材は、前板と、後板と、底板とを有している。前記前板は、前記グリッドローラよりも前方、かつ、前記前壁よりも後方に配置され、前記プラテンの下面から下方に延びている。前記後板は、前記グリッドローラよりも後方、かつ、前記後壁よりも前方に配置され、前記プラテンの下面から下方に延びている。前記底板は、前記前板と前記後板との間であって、前記底壁よりも上方に配置され、前端が前記前壁の下端と連続し、後端が前記後壁の下端と連続している。前記第1吸引孔と前記第2吸引孔とは、前記外空間のうち前記底壁と前記底板との間の空間によって連通している。
上記態様によれば、第1吸引孔と第2吸引孔とは、外空間のうち底壁と底板との間の空間によって互いに連通している。そのため、吸引装置によって第1吸引孔と第2吸引孔の両方に吸引力を与え、グリッドローラの上流側および下流側に位置する記録媒体をプラテンに確実に密着させることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、平面視において、前記プラテンのうち前記前板と前記後板との間の部位には、前記第1吸引孔および前記第2吸引孔が形成されていない。
上記態様によれば、プラテンのうち前板と後板との間の部位の下方にはグリッドローラが囲み部材によって囲まれている。そのため、プラテンのうち前板と後板との間の部位の下方近傍では、吸引装置によって空気は吸引されない。よって、吸引装置によって空気が吸引されない第1吸引孔および第2吸引孔は形成されないようにすることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1吸引孔は、平面視において、前記プラテンのうち前記前板よりも前方であって、前記前壁よりも後方の部位に形成されている。前記第2吸引孔は、平面視において、前記プラテンのうち前記後板よりも後方であって、前記後壁よりも前方の部位に形成されている。
上記態様によれば、第1吸引孔および第2吸引孔に吸引装置の吸引力を与えることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記吸引装置は、前記外空間の空気を吸引する吸引部を備えている。前記空間形成部材の前記底壁には、前記吸引部が配置される吸引配置孔が形成されている。前記吸引装置は、前記吸引部が前記吸引配置孔に設けられるようにして、前記底壁の下面に取り付けられている。
上記態様によれば、吸引部がプラテン側に向くように吸引装置が配置されている。よって、吸引装置は外空間の空気をより確実に吸引することができるため、記録媒体をプラテンに密着させ易くすることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記吸引装置は、平面視において、前記グリッドローラよりも前記第1の方向の下流側に配置されている。
上記態様によれば、吸引装置は、外空間のうち第1吸引孔の下方に位置する空間の空気を吸引することで、第1吸引孔に吸引力を与えることができる。一方、吸引装置は、外空間のうち第2吸引孔の下方に位置する空間、および、第1吸引孔および第2吸引孔を連通する空間の空気を吸引することで、第2吸引孔に吸引力を与えることができる。したがって、1つの吸引装置で、第1吸引孔と第2吸引孔とに吸引力を与えることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記記録媒体は、平板状の媒体である。
上記態様によれば、平板状の記録媒体をプラテンに密着させながら搬送することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記配置孔は、前記第1吸引孔および前記第2吸引孔よりも開口面積が大きい。
上記態様によれば、配置孔が第1吸引孔および第2吸引孔よりも大きいため、仮に、配置孔に吸引力を与えることで記録媒体がプラテンに密着するとき、配置孔に沿って吸引方向に記録媒体が凹むおそれがある。その凹みによって、記録媒体を円滑に搬送することができないおそれがある。しかし、上記態様では、グリッドローラはプラテンと囲み部材とによって囲まれているため、グリッドローラの上部が挿入される配置孔に、吸引装置による吸引力は与えられない。よって、記録媒体がプラテンに密着するとき、配置孔に沿って吸引方向に記録媒体が凹むことを防ぐことができる。その結果、記録媒体を円滑に搬送することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記囲み部材は、金属によって形成されている。
上記態様によれば、囲み部材に隙間が生じにくくなるため、吸引装置の吸引力が配置孔に与えられるのを防ぐことができる。
本発明の印刷装置は、上述した何れかの媒体搬送装置と、前記プラテンの上方に配置され、下方に向かってインクを吐出する記録ヘッドとを備えている。
上記印刷装置によれば、上述した何れかに記載された媒体搬送装置を備えた印刷装置を提供することができる。
本発明によれば、プラテンに載置された記録媒体がプラテンに密着しながら搬送されることが可能な媒体搬送装置およびそれを備えた印刷装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態に係る媒体搬送装置を備えた印刷装置について説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
本実施形態に係る印刷装置について説明する。図1は、本実施形態に係る印刷装置1の正面図である。図2は、印刷装置1の側面断面図である。図3は、印刷装置1の主要要素を示すブロック図である。なお、図1および図2では、印刷装置1のうち、上部、すなわち、プラテン31およびその周辺の部位のみを図示し、その他の部位は適宜省略している。例えば、図1および図2では、印刷装置1の下部に配置された脚などは省略されている。
以下の図面において、符号F、Rr、LおよびRは、それぞれ前、後、左および右を示している。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、印刷装置1の設置態様を何ら限定するものではない。また、符号Yは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Yとは、左右方向のことである。符号Xは、平面視において、主走査方向Yと直交する副走査方向を示している。ここでは、副走査方向Xとは、前後方向のことである。ただし、主走査方向Yおよび副走査方向Xの各方向は特に限定されない。主走査方向Yおよび副走査方向Xは、印刷装置1の形態などに応じて適宜に設定可能である。なお、本実施形態では、副走査方向Xにおける後から前に向かう搬送方向X1が本発明の「第1の方向」に対応し、主走査方向Yが本発明の「第2の方向」に対応する。
図1に示すように、印刷装置1は、インクジェット式のプリンタである。しかし、印刷装置1は、インクジェット式のプリンタに限定されない。図2に示すように、印刷装置1は、記録媒体5に印刷を行うものである。ここでは、記録媒体5は、平板状の媒体であり、例えば剛性が高い材質で形成された媒体である。ここで、「剛性が高い材質」とは、撓みにくい材質であり、例えば、ロール状に巻くことができない材質のことである。記録媒体5は、例えば、プラスチックまたはガラスなどによって形成された媒体である。ただし、記録媒体5は、段ボールであってもよい。また、記録媒体5は、ロール紙などのロール状の媒体であってもよい。
印刷装置1は、ガイドレール10と、キャリッジ14と、記録ヘッド15と、媒体搬送装置30を備えている。図1に示すように、ガイドレール10は、主走査方向Yに延びている。図2に示すように、ガイドレール10の右端部分の近傍には、駆動プーリ11が配置されている。ガイドレール10の左端部分の近傍には、従動プーリ(図示せず)が配置されている。駆動プーリ11と上記従動プーリとには、無端状のベルト13(図1参照)が巻き掛けられている。ここでは、図3に示すように、駆動プーリ11には、サーボモータ11aが接続されている。このサーボモータ11aが駆動すると駆動プーリ11が回転し、駆動プーリ11と上記従動プーリとの間においてベルト13が走行する。
図2に示すように、キャリッジ14は、ガイドレール10に係合している。図示は省略するが、キャリッジ14は、ベルト13に取り付けられている。そのため、キャリッジ14は、ベルト13の走行に従って、ガイドレール10に沿って主走査方向Yに移動する。
記録ヘッド15は、後述するプラテン31に向かってインクを吐出するものである。記録ヘッド15は、下方に向かってインクを吐出する。記録ヘッド15は、プラテン31の上方に配置されている。ここでは、記録ヘッド15の後部には、キャリッジ14が取り付けられている。記録ヘッド15は、キャリッジ14と共に、ガイドレール10に沿って主走査方向Yに移動する。ここでは、図示は省略するが、記録ヘッド15は、下方に開口した複数のノズルを備えている。これらノズルからインクが吐出される。インクの種類は特に限定されない。例えば、記録ヘッド15から吐出されるインクは、紫外線が照射されると硬化するインク(いわゆるUVインク)であってもよいし、溶剤インクであってもよい。
次に、本実施形態に係る媒体搬送装置30について説明する。媒体搬送装置30は、印刷装置1内に設けられている。媒体搬送装置30は、平板状の記録媒体5を搬送する装置である。ここでは、媒体搬送装置30は、搬送方向X1、すなわち、後から前に向かって記録媒体5を搬送する。本実施形態では、媒体搬送装置30は、プラテン31と、グリッドローラ32と、ピンチローラ33と、吸引装置34と、第1駆動ローラ35と、第2駆動ローラ36と、第1従動ローラ37と、第2従動ローラ38とを備えている。
プラテン31には、記録媒体5が載置される。記録媒体5への印刷は、プラテン31上で行われる。ここでは、プラテン31は、ガイドレール10および記録ヘッド15よりも下方に配置されている。図1に示すように、プラテン31は、主走査方向Yに延びている。ここでは、図2に示すように、プラテン31は、中央部材31aと、中央部材31aの前端に取り付けられた前側部材31bと、中央部材31aの後端に取り付けられた後側部材31cとから構成されている。プラテン31の前側部材31bは、前斜め下向きに傾斜している。プラテン31の後側部材31cは、後斜め下向きに傾斜している。
図4は、プラテン31の平面図である。図4では、プラテン31の前側部材31bおよび後側部材31cは省略されている。図4に示すように、プラテン31には、複数の配置孔41と、複数の第1吸引孔42と、複数の第2吸引孔43が形成されている。複数の配置孔41は、それぞれグリッドローラ32の上部が挿入される孔である。図4では、グリッドローラ32は省略されている。複数の配置孔41は、主走査方向Yに並ぶようにしてプラテン31に形成されている。ここでは、隣り合う配置孔41の間隔は等しいが、異なっていてもよい。ここでは、複数の配置孔41は、平面視において、プラテン31の中央部材31aの前後方向の中間位置よりも後側に形成されており、中間位置よりも少し後側に形成されている。配置孔41の数は特に限定されないが、グリッドローラ32の数と同じであることが好ましい。
第1吸引孔42および第2吸引孔43は、吸引装置34によって吸われた空気が通る孔である。複数の第1吸引孔42は、配置孔41よりも搬送方向X1の下流側、すなわち、配置孔41よりも前方におけるプラテン31の部位(ここでは、中央部材31aの前部)に形成されている。複数の第2吸引孔43は、配置孔41よりも搬送方向X1の上流側、すなわち、配置孔41よりも後方におけるプラテン31の部位(ここでは、中央部材31aの後部)に形成されている。第1吸引孔42および第2吸引孔43は、配置孔41よりも開口面積が小さい孔である。本実施形態では、「第1吸引孔42の開口面積」とは、複数の第1吸引孔42の開口面積の総和のことである。同様に、「第2吸引孔43の開口面積」とは、複数の第2吸引孔43の開口面積の総和のことであり、「配置孔41の開口面積」とは、複数の配置孔41の開口面積の総和のことである。なお、第1吸引孔42および第2吸引孔43は、配置孔41よりも開口面積が大きくてもよい。また、第1吸引孔42、第2吸引孔43、および配置孔41の開口面積は、それぞれ同じであってもよい。ここでは、第1吸引孔42の数は、第2吸引孔43の数よりも多い。しかし、第1吸引孔42の数は、第2吸引孔43の数よりも少なくてもよいし、第2吸引孔43の数と同じであってもよい。第1吸引孔42の大きさと第2吸引孔43の大きさとは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図2に示すように、グリッドローラ32は、記録媒体5を搬送方向X1に搬送するローラである。図5は、図4のV−V線における断面図である。図6は、プラテン31の底面図であり、一部が切り欠かれた図である。図6では、空間形成部材60の底壁65が省略されている。図7は、図4のVII−VII線における断面図である。図5に示すように、グリッドローラ32は、プラテン31に設けられている。詳述すると、グリッドローラ32は、その上部がプラテン31の配置孔41を通じてプラテン31の上方に露出するようにしてプラテン31に設けられている。図8は、グリッドローラ32の模式図である。図8に示すように、グリッドローラ32は、複数設けられている。本実施形態では、複数のグリッドローラ32が主走査方向Yに並ぶように配置されている。複数のグリッドローラ32は、互いが等間隔になるように配置されている。ここでは、複数のグリッドローラ32は、主走査方向Yに延びた軸45に設けられている。図5に示すように、軸45は、プラテン31の下方に配置されている。軸45が回転すると、複数のグリッドローラ32は、軸45と一体になって回転する。本実施形態では、図3に示すように、軸45には、駆動モータ32aが接続されている。駆動モータ32aが駆動することによって、複数のグリッドローラ32は軸45を介して回転する。
図2に示すように、ピンチローラ33は、グリッドローラ32と共に記録媒体5を挟むローラである。ピンチローラ33は、グリッドローラ32の上方に配置されている。図示は省略するが、ピンチローラ33の数は、複数であり、グリッドローラ32の数と同じである。ピンチローラ33は、いわゆる従動ローラである。ピンチローラ33は、上下方向に移動可能に構成されている。ここでは、図3に示すように、ピンチローラ33には、上下移動用のモータ33aが接続されている。例えば、ピンチローラ33とモータ33aとの間には、カム機構(図示せず)が設けられている。モータ33aが駆動することによって、ピンチローラ33は、上記カム機構を介して上下方向に移動する。ただし、ピンチローラ33は、手動によって上下方向に移動可能に構成されていてもよい。ここでは、ピンチローラ33が下方に移動すると、プラテン31に載置された記録媒体5は、ピンチローラ33およびグリッドローラ32によって挟まれる。このとき、グリッドローラ32が回転すると、記録媒体5はピンチローラ33とグリッドローラ32とに挟まれた状態で搬送方向X1に搬送される。
図5に示すように、本実施形態では、プラテン31(ここでは、中央部材31a)の下方には、空間51が設けられている。以下の説明において、プラテン31の中央部材31aのことを単にプラテン31と称している。この空間51は、プラテン31と、空間形成部材60とによって仕切られた空間である。ここで、空間形成部材60は、前壁61と、後壁62と、左壁63(図7参照)と、右壁64(図7参照)と、底壁65を有している。前壁61は、プラテン31の下面の前部から下方に延びている。後壁62は、プラテン31の下面の後部から下方に延びている。後壁62は、前壁61の後方に位置している。図7に示すように、左壁63は、プラテン31の下面の左部から下方に延びている。図6に示すように、左壁63の前端は前壁61の左端と連続し、左壁63の後端は後壁62の左端と連続する。図7に示すように、右壁64は、プラテン31の下面の右部から下方に延びている。図6に示すように、右壁64の前端は前壁61の右端と連続し、右壁64の後端は後壁62の右端と連続する。図5に示すように、底壁65は、前壁61、後壁62、左壁63および右壁64のそれぞれの下端と連続している。空間51は、プラテン31と、前壁61と、後壁62と、左壁63と、右壁64と、底壁65とによって囲まれた空間である。なお、前壁61と、後壁62と、左壁63と、右壁64と、底壁65との間に、隙間が形成され、上記隙間から空間51内の空気が出入りしてもよい。空間形成部材60には、空間51と外部とが連通する隙間が形成されていてもよい。
なお、空間51は、図5に示すように、後述する囲み部材70によって、囲み部材70の内側の空間と、囲み部材70の外側の空間である外空間51aとに仕切られている。すなわち、外空間51aは、空間51から囲み部材70の内側の空間を除いた空間である。
本実施形態では、図6に示すように、外空間51aは、複数の区切り部材67によって、複数の空間(以下、分割空間という。)52a〜52eに分割されている。これら区切り部材67は、副走査方向Xに延びた部材であり、外空間51aを副走査方向Xで区切る部材である。ここでは、区切り部材67は、空間形成部材60の左壁63および右壁64と同様の形状をしている。区切り部材67において、前端は前壁61の後面と連続し、後端は後壁62の前面と連続する。図7に示すように、区切り部材67の上端は、プラテン31の下面と連続し、区切り部材67の下端は、底壁65の上面と連続している。複数の区切り部材67は、主走査方向Yに並ぶように配置されている。図6に示すように、各区切り部材67は、底面視において、複数の配置孔41のうち、隣り合う2つの配置孔41の間に設けられている。区切り部材67の材質は特に限定されないが、ここでは、区切り部材67は、スポンジによって形成されている。ここでは、底面視において、隣り合う2つの区切り部材67の間には、2つの配置孔41およびグリッドローラ32が配置されている。しかし、平面視において、隣り合う2つの区切り部材67の間に配置される配置孔41およびグリッドローラ32の数は特に限定されない。
これら分割空間52a〜52eは、主走査方向Yに並んでいる。区切り部材67によって区切られた分割空間52a〜52eの数は、特に限定されない。
本実施形態では、図5に示すように、プラテン31の下方において、グリッドローラ32は、プラテン31と囲み部材70によって囲まれている。詳しくは、複数のグリッドローラ32および軸45が一体となって、プラテン31と囲み部材70に囲まれている。囲み部材70は、プラテン31に取り付けられた部材であり、プラテン31と別体である。しかし、囲み部材70は、プラテン31と一体であってもよい。ここでは、囲み部材70は、前板71と、後板72と、底板73を有している。前板71、後板72および底板73は、金属によって形成された板であり、図6および図7に示すように、主走査方向Yに延びた板である。ただし、前板71、後板72および底板73の材質は、金属に限定されず、例えば、プラスチックであってもよい。
図5に示すように、前板71は、グリッドローラ32および軸45よりも前方、かつ、前壁61よりも後方に配置されており、プラテン31の下面から下方に向かって延びている。前板71の上端は、プラテン31の下面と連続している。後板72は、グリッドローラ32および軸45よりも後方、かつ、後壁62よりも前方に配置されており、プラテン31の下面から下方に向かって延びている。ここでは、後板72の上端は、プラテン31の下面と連続している。
前板71と後板72との間に位置するプラテン31の部位には、グリッドローラ32の上部が挿入される配置孔41が形成されているが、第1吸引孔42および第2吸引孔43は形成されていない。第1吸引孔42は、前板71よりも前方に位置するプラテン31の部位に形成され、第2吸引孔43は、後板72よりも後方に位置するプラテン31の部位に形成されている。
底板73は、グリッドローラ32および軸45よりも下方に配置されている。底板73は、配置孔41の下方に配置されている。図6に示すように、底板73は、底面視において、前板71と、後板72との間に配置されている。図5に示すように、底板73の前端は、前板71の下端と連続し、底板73の後端は、後板72の下端と連続している。
次に、空間形成部材60と囲み部材70との位置関係について説明する。囲み部材70は、側面視において、空間形成部材60の内部、すなわち、空間51内に配置されている。具体的には、囲み部材70は、空間形成部材60の前壁61よりも後方、後壁62よりも前方、かつ、底壁65よりも上方に配置されている。ここでは、底壁65の上方に囲み部材70の底板73が位置している。底壁65と底板73との間には、吸引装置34が吸引する空気が通る吸引通路53が形成されている。吸引通路53は、第1吸引孔42と第2吸引孔43とを連通している。吸引通路53は、外空間51aのうち第1吸引孔42の下方に位置する空間と、第2吸引孔43の下方に位置する空間とを連通している。ここでは、吸引通路53は、底壁65と底板73との間の空間に形成されているが、吸引通路53の位置は特に限定されない。
吸引装置34は、外空間51aの空気を吸引する装置である。吸引装置34は、吸引力を外空間51aに与える装置である。そして、吸引装置34の吸引力によって、プラテン31に載置された記録媒体5はプラテン31に引きつけられ、密着される。詳しくは、吸引装置34は、プラテン31に形成された複数の第1吸引孔42および第2吸引孔43、外空間51aに吸引力を与えて、外空間51aを負圧にすることで、記録媒体5をプラテン31に密着させる装置である。吸引装置34は、吸引部34aと、ファン34bと、排出部34cとを備えている。吸引部34aには、外空間51aの空気が通過する。吸引部34aは、上方に向かって開口している。吸引部34aは、プラテン31に向かって開口している。ファン34bは、吸引部34aを通じて外空間51aの空気を吸引装置34内に吸引する。排出部34cは、ファン34bによって吸引された空気が外部へ排出されるために通過するものである。本実施形態では、排出部34cは、下方に向かって開口しているが、開口する向きは特に限定されない。ここでは、図7に示すように、吸引装置34は、プラテン31の下方に複数設けられている。複数の吸引装置34は、主走査方向Yに並ぶように配置されている。吸引装置34の数は、区切り部材67によって区切られた分割空間52a〜52eの数と同じ(本実施形態では、5つ)である。本実施形態では、空間形成部材60の底壁65には、吸引装置34を設置するための吸引配置孔68が複数形成されている。これら吸引配置孔68は、平面視において、隣り合う区切り部材67の間、左壁63と最も左に位置する区切り部材67との間、および、右壁64と最も右に位置する区切り部材67との間に、それぞれ1つずつ形成されている。ただし、吸引装置孔68は、平面視において、隣り合う区切り部材67の間、左壁63と最も左に位置する区切り部材67との間、および、右壁64と最も右に位置する区切り部材67との間のそれぞれに、複数形成されていてもよい。複数の吸引装置34は、吸引を行う吸引部34aがそれぞれ吸引配置孔68に取り付けられるようにして、底壁65の下面に取り付けられている。
図2に示すように、第1駆動ローラ35および第2駆動ローラ36は、記録媒体5を搬送方向X1に搬送するローラである。図示は省略するが、第1駆動ローラ35および第2駆動ローラ36は、それぞれ主走査方向Yに延びたローラである。第1駆動ローラ35は、プラテン31よりも後方、すなわち、プラテン31よりも搬送方向X1の上流側に設けられている。第2駆動ローラ36は、プラテン31よりも前方、すなわち、プラテン31よりも搬送方向X1の下流側に設けられている。第1駆動ローラ35において、左端部は、プラテン31の左方に配置された左ガイド板81Lに回転可能に支持され、右端部は、プラテン31の右方に配置された右ガイド板81R(図9参照)に回転可能に支持されている。第2駆動ローラ36において、左端部は、プラテン31の左方に配置された左ガイド板82Lに回転可能に支持され、右端部は、プラテン31の右方に配置された右ガイド板82R(図9参照)に回転可能に支持されている。本実施形態では、図3に示すように、第1駆動ローラ35には、駆動モータ35aが接続され、第2駆動ローラ36には、駆動モータ36aが接続されている。駆動モータ35a、36aがそれぞれ駆動することで、第1駆動ローラ35、第2駆動ローラ36は駆動する。ここでは、第1駆動ローラ35および第2駆動ローラ36の表面はゴム製である。このことによって、記録媒体5が第1駆動ローラ35および第2駆動ローラ36上で滑ることなく、記録媒体5を滑らかに搬送することができる。
第1従動ローラ37および第2従動ローラ38は、それぞれ第1駆動ローラ35および第2駆動ローラ36と共に、記録媒体5を搬送方向X1に搬送するローラである。図9に示すように、第1従動ローラ37および第2従動ローラ38は、それぞれ主走査方向Yに延びたローラである。図2に示すように、第1従動ローラ37は、第1駆動ローラ35の真上に配置されている。第2従動ローラ38は、第2駆動ローラ36の真上に配置されている。図9に示すように、第1従動ローラ37において、左端部は、左ガイド板81Lに回転可能に支持され、右端部は、右ガイド板81Rに回転可能に支持されている。第2従動ローラ38において、左端部は、左ガイド板82Lに回転可能に支持され、右端部は、右ガイド板82Rに回転可能に支持されている。記録媒体5は、第1駆動ローラ35と第1従動ローラ37に挟まれた状態、または、第2駆動ローラ36と第2従動ローラ38に挟まれた状態で搬送される。
本実施形態では、図3に示すように、印刷装置1は、制御装置80を備えている。制御装置80は、マイクロコンピュータからなっており、印刷装置1の内部に設けられている。制御装置80は、ベルト13が巻き掛けられた駆動プーリ11に接続されたサーボモータ11aと、グリッドローラ32に軸45を介して接続された駆動モータ32aと、ピンチローラ33に接続された上下移動用モータ33aと、第1駆動ローラ35および第2駆動ローラ36にそれぞれ接続された駆動モータ35a、36aと、吸引装置34と、記録ヘッド15とを制御する。
制御装置80は、サーボモータ11aを制御することで、駆動プーリ11の駆動およびベルト13(図1参照)の走行を制御する。制御装置80は、駆動モータ32aを制御することで、グリッドローラ32が記録媒体5を搬送することを制御する。制御装置80は、モータ33aを制御することで、ピンチローラ33の上下方向の移動を制御する。
また、制御装置80は、駆動モータ35aを制御することで第1駆動ローラ35の回転を制御し、かつ、駆動モータ36aを制御することで第2駆動ローラ36の回転を制御することで、記録媒体5の搬送を制御する。このように、前後の第1駆動ローラ35および第2駆動ローラ36を駆動させることで、記録媒体5の上流端および下流端への印刷、いわゆる縁無し印刷が可能となる。しかし、前後の第1駆動ローラ35および第2駆動ローラ36の両方を駆動させず、何れか一方の駆動ローラのみを駆動させてもよい。
制御装置80は、吸引装置34を制御することで、記録媒体5をプラテン31に密着させる。また、制御装置80は、記録ヘッド15のインクの吐出動作を制御する。
以上、本実施形態に係る媒体搬送装置30を備えた印刷装置1について説明した。次に、媒体搬送装置30が記録媒体5を搬送する動作について説明する。ここでは、記録媒体5は、第1駆動ローラ35と第1従動ローラ37とによって挟まれた状態である。このとき、駆動モータ35aが駆動して、第1駆動ローラ35が回転することで、記録媒体5は、第1駆動ローラ35と第1従動ローラ37とに挟まれた状態で、搬送方向X1、すなわち、プラテン31に向かって搬送される。その後、記録媒体5は、プラテン31に載置される。このとき、記録媒体5は、プラテン31に載置されている状態で記録ヘッド15からインクが吐出されることによって印刷される。記録媒体5に印刷が行われているとき、吸引装置34によって記録媒体5はプラテン31に密着している。
ここでは、吸引装置34によって、記録媒体5がプラテン31に密着されることについて説明する。例えば、グリッドローラ32よりも搬送方向X1の上流側のプラテン31の部位に記録媒体5が載置されている場合、図5に示すように、第2吸引孔43、分割空間(例えば、分割空間52a)のうち囲み部材70の後板72と空間形成部材60の後壁62との間の空間、および、吸引通路53に吸引装置34の吸引力が与えられる。例えば、グリッドローラ32よりも搬送方向X1の下流側のプラテン31の部位に記録媒体5が載置されている場合、第1吸引孔42、および、分割空間(例えば、分割空間52a)のうち前板71と前壁61との間の空間に吸引装置34の吸引力が与えられる。以上のように、吸引装置34の吸引力を分割空間52aに与えることで、第1吸引孔42および第2吸引孔43を通じて、プラテン31上に載置された記録媒体5は、プラテン31に密着する。
なお、本実施形態では、グリッドローラ32は、プラテン31と囲み部材70とによって囲まれている。そのため、グリッドローラ32の上部が配置される配置孔41には、吸引装置34の吸引力は及ばない。
プラテン31に載置された記録媒体5が平板状の媒体の場合、ピンチローローラ33を上昇させ、記録媒体5は、グリッドローラ32上に載置された状態で、プラテン31に密着している。なお、記録媒体5がロール状の媒体の場合、記録媒体5は、グリッドローラ32とピンチローラ33とに挟まれた状態で、プラテン31に密着している。この状態で、駆動モータ32aが駆動し、グリッドローラ32が回転することで、記録媒体5は、図2に示すように、搬送方向X1に搬送される。その後、グリッドローラ32によって搬送された記録媒体5は、第2駆動ローラ36に到達する。このとき、記録媒体5は、第2駆動ローラ36と第2従動ローラ38とによって挟まれる。挟まれた記録媒体5は、駆動モータ36aが駆動して第2駆動ローラ36が回転することで、更に搬送方向X1に搬送される。このようにして、記録媒体5は、プラテン31に載置されている場合、プラテン31に密着しながら搬送方向X1に搬送される。
以上、本実施形態では、記録媒体5がプラテン31のどの部位に載置されているかに関わらず、記録媒体5をプラテン31に密着させながら搬送方向X1に搬送することができる。記録媒体5をプラテン31に密着させることができるため、記録媒体5への印刷時、記録媒体5がプラテン31から浮き上がることを防ぐことができる。したがって、記録媒体5がプラテン31から浮き上がることに起因して、印刷が失敗することを防止することができる。また、本実施形態によれば、グリッドローラ32の上部をプラテン31から上方に露出させるために、プラテン31には、比較的広い(本実施形態では、第1吸引孔42および第2吸引孔43よりも広い)配置孔41が形成されている。囲み部材70は、グリッドローラ32における上部以外の部位をプラテン31と共に囲んでいる。よって、比較的広い配置孔41は、囲み部材70によって囲まれている。よって、配置孔41には、吸引装置34による吸引力が与えられない。したがって、第1吸引孔42および第2吸引孔43に吸引力が与えられることで、記録媒体5をプラテン31に確実に密着させることができる。
本実施形態では、図5に示すように、吸引装置34がプラテン31の下方の分割空間(例えば、分割空間52a)の空気を吸引することによって、第1吸引孔42に吸引力を与えることができる。ここでは、分割空間52a内において、底板73と底壁65との間には、吸引通路53が形成されている。このことによって、吸引装置34は、吸引通路53を通じて第2吸引孔43に吸引力を与えることができる。したがって、分割空間52a内において、1つの吸引装置34で、第1吸引孔42と第2吸引孔43とに吸引力を与えることができる。
本実施形態では、図4に示すように、配置孔41は、第1吸引孔42および第2吸引孔43よりも開口面積が大きい。仮に、配置孔41に吸引力を与えることで記録媒体5がプラテン31に密着するような構成の場合、配置孔41の形状に沿って吸引方向に記録媒体5が凹むおそれがある。その凹みによって、印刷に失敗することがあり得ると共に、記録媒体5を円滑に搬送することが困難なことがあり得る。しかし、本実施形態では、図5に示すように、グリッドローラ32はプラテン31と囲み部材70とによって囲まれているため、配置孔41に吸引力は与えられない。よって、記録媒体5がプラテン31に密着するとき、配置孔41に沿って吸引方向に記録媒体5が凹むことを防ぐことができる。その結果、記録媒体5を円滑に搬送することができる。
本実施形態では、図7に示すように、プラテン31の下方に形成された外空間51aは、区切り部材67によって複数の分割空間52a〜52eに区切られている。吸引装置34は、複数の分割空間52a〜52eごとに設けられている。このことによって、記録媒体5が載置されていないプラテン31の部位の真下に位置する分割空間に設けられた吸引装置34を停止させることができる。本実施形態では、記録媒体5が載置されているプラテン31の部位の真下に位置する分割空間に設けられた吸引装置34のみを作動させることで、記録媒体5をプラテン31に密着させながら搬送することができる。したがって、吸引装置34が使用する電力を抑えることができる。
本実施形態では、複数の分割空間52a〜52eは、主走査方向Yに並んでいる。このことによって、記録媒体5の主走査方向Yの長さに応じて、作動させる吸引装置34と、停止させる吸引装置34とを選択することができる。例えば、主走査方向Yの長さが短い記録媒体5、例えば、分割空間52a、52b、52c上のプラテン31の部位のみに載置され、分割空間52d、52e上のプラテン31の部位には載置されない記録媒体5の場合、分割空間52a、52b、52cの下方に位置する吸引装置34を作動し、分割空間52d、52eの下方に位置する吸引装置34を停止するとよい。以上のように、記録媒体5の主走査方向Yの長さに応じて、吸引装置34の作動の有無を制御することができるため、無駄な電力を使用することを抑制することができる。
本実施形態では、図5に示すように、プラテン31の下方の空間51を、プラテン31と空間形成部材60とによって仕切ることで容易に形成することができる。詳しくは、プラテン31と、前壁61と、後壁62と、左壁63(図7参照)と、右壁64(図7参照)と、底壁65とによって仕切ることで、空間51を容易に形成することができる。
本実施形態では、図5に示すように、グリッドローラ32における上部以外の部位は、プラテン31と囲み部材70とによって囲まれている。詳しくは、グリッドローラ32は、プラテン31と、前板71と、後板72と、底板73とによって囲まれている。そして、第1吸引孔42と第2吸引孔43とは、外空間51aのうち底壁65と底板73との間の空間によって互いに連通している。そのため、吸引装置によって第1吸引孔42と第2吸引孔43の両方に吸引力を与え、グリッドローラ32の上流側および下流側に位置する記録媒体5をプラテン31に確実に密着させることができる。
本実施形態では、第1吸引孔42は、平面視において、プラテン31のうち前板71よりも前方であって、前壁61よりも後方の部位に形成されている。第2吸引孔43は、平面視において、プラテン31のうち後板72よりも後方であって、後壁62よりも前方の部位に形成されている。平面視において、プラテン31のうち前板71と後板72との間の部位には、第1吸引孔42および第2吸引孔43が形成されていない。ここでは、前板71と後板72との間におけるプラテン31の部位の下方にはグリッドローラ32がプラテン31と囲み部材70によって囲まれている。そのため、前板71と後板72との間におけるプラテン31の部位の下方近傍では、吸引装置34によって空気は吸引されない。よって、吸引装置34によって空気が吸引されない第1吸引孔42および第2吸引孔43は形成されないようにすることができる。
本実施形態では、吸引装置34は、底壁65に形成された吸引配置孔68に吸引部34aが設けられるようにして、底壁65の下面に取り付けられている。このことによって、吸引部34aがプラテン31側に向くようにして吸引装置34が配置される。したがって、吸引装置34は、外空間51aの空気をより確実に吸引することができるため、記録媒体5をプラテン31に密着させ易くすることができる。
本実施形態では、区切り部材67は、スポンジによって形成されている。このことによって、プラテン31の下方に形成された外空間51aを区切る際、区切り部材67を最適な形状に形作ることが容易にできる。ここでは、区切り部材67は、空間形成部材60の左壁63および右壁64と同様の形状である。よって、区切り部材67を左壁63および右壁64と同様に形状に容易にすることができる。
本実施形態では、囲み部材70は、金属によって形成されている。このことによって、囲み部材70を構成する部位の間に隙間が生じにくくなるため、吸引装置34の吸引力が配置孔41に与えられるのを防ぐことができる。
撓みにくい平板状の記録媒体5は、プラテン31に密着させながら搬送されることで、より円滑に記録媒体5を搬送することができる。よって、本実施形態に係る媒体搬送装置30は、平板状の記録媒体5に対して特に有用である。
上記実施形態では、吸引装置34は、底壁65に形成された吸引配置孔68に吸引部34aが設けられるようにして、底壁65の下面に取り付けられていた。しかし、吸引装置34の配置位置は特に限定されない。例えば、吸引装置34は、プラテン31と空間形成部材60とによって形成された外空間51aであって、分割空間52a〜52e内に配置されていてもよい。例えば、吸引装置34は、空間形成部材60の底壁65の上面に配置されていてもよい。このとき、吸引装置34の吸引部34aは、上方に向かって開口していることが好ましい。
上記実施形態では、吸引装置34は、分割空間52a〜52eごとに設けられていた。しかし、1つの吸引装置34が、分割空間52a〜52eのうち複数の分割空間内から空気を吸引するようにして、吸引装置34が配置されていてもよい。例えば、吸引配置孔68は、隣り合う分割空間をまたがるようにして、底壁65に形成され、その吸引配置孔68に吸引装置34の吸引部34aが設置されていてもよい。