JP6563279B2 - 燃料電池単セルの製造方法 - Google Patents

燃料電池単セルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6563279B2
JP6563279B2 JP2015171971A JP2015171971A JP6563279B2 JP 6563279 B2 JP6563279 B2 JP 6563279B2 JP 2015171971 A JP2015171971 A JP 2015171971A JP 2015171971 A JP2015171971 A JP 2015171971A JP 6563279 B2 JP6563279 B2 JP 6563279B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
fuel cell
fuel
ceramic
solid electrolyte
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015171971A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016058382A (ja
Inventor
学 脇田
学 脇田
多賀 茂
茂 多賀
貴久 牛田
貴久 牛田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Publication of JP2016058382A publication Critical patent/JP2016058382A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6563279B2 publication Critical patent/JP6563279B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Inert Electrodes (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、燃料極、空気極及び固体電解質層を有する燃料電池単セル製造方に関するものである。
従来より、燃料電池として、例えば固体電解質層(固体酸化物層)を備えた固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell ;SOFC)が知られている。この燃料電池は、発電の最小単位である単セル(燃料電池単セル)を複数積層してなる燃料電池スタックを備えている。単セルは、空気極、燃料極及び固体電解質層を有して構成され、発電反応により電力を発生する。
単セルは、電解質支持型のセルと電極支持型のセルとに大別される。電解質支持型のセルは、空気極及び燃料極の電極よりも固体電解質層が厚く形成され、固体電解質層がセル全体の強度を担っている(例えば、特許文献1,2参照)。一方、電極支持型のセルは、電極が固体電解質層よりも厚く形成され、電極がセル全体の強度を担っている。特許文献1,2に開示されている電解質支持型のセルでは、電極がスリット溝により分割されている。このスリット溝を設けることにより、セルが撓んだ場合でも、固体電解質層と電極との界面部分(中間層)に働く応力が緩和されるため、中間層にクラックが発生することが防止される。
また、電極支持型のセルとして、例えばアノード支持型のセルが開発されている。このセルは、異なる材料を積層した異種積層体であり、アノード側電極となる燃料極が多孔質金属体からなる。このため、焼成時における各層の収縮率の違いによって、大きな反りが生じてしまうといった問題がある。この対策として、燃料極と固体電解質層との積層体を得る際に、反りを防止するための拘束層を別途積層し、層構成を対称構造(拘束層、電極層、固体電解質層)として焼成する。拘束層は、固体電解質層と同じ材料かつ同じ形状(例えば、厚み、外径、等)で形成されるダミーの固体電解質層である。焼成工程の後、拘束層を削除し、燃料極と固体電解質層との積層体を得る。そして、積層体の固体電解質層において燃料極とは反対側の表面に、空気極の形成材料を印刷し、固体電解質層の周縁部にセパレータをロウ付けするのと同時に空気極を固体電解質層の表面に焼き付ける。この製造方法を採用することにより、単セルの反り量が抑えられる。
特開2010−27349号公報 特開2010−27350号公報 特開2012−69418号公報
ところで、上記のように層構成を対称構造にしてアノード支持型のセルを製造する場合、反り量は小さくなるが、反りの方向が一定ではなくなる。つまり、燃料極側が凸になるように反ったりその逆に凹(電解質層側が凸)になるように反ったりする。このような燃料電池単セルにおいて、燃料電池単セルとセパレータとを接合する時には、中央部が開口したセパレータを固体電解質層の周縁部に押しつけた状態でセパレータがロウ付けされる。従って、燃料電池単セルの燃料極側に向かって凸状に反っている場合、燃料極の中央部に大きな力が作用する(点接触の状態となる)ため、燃料電池単セルの割れが生じることがある。さらに、燃料電池スタックを組み上げる場合、複数の燃料電池単セルを積層し、積層方向から燃料電池単セル面に負荷(面圧)をかけた状態で組み付けることとなる。従って、各単セルの反り方向が一定でない場合、単セル面内に大きな力が作用する箇所(例えば、燃料極側に凸で反った単セルと空気極側に凸で反った単セルとにより組み上げる場合、凸方向の反り同士が対向する箇所)が存在するため、燃料電池単セルの割れが生じることがある。
特許文献1,2に開示されている電解質支持型のセルでは、スリット溝によって電極が複数に分割されている。この分割構造は、電極と電解質層との界面部分でのクラック(電極の剥離)を回避するためのものであり、セルの反り方向を制御することは、熱膨張の異なる電極材料を電解質の表裏に用いるので困難である。
また、特許文献3に開示されている燃料電池単セルでは、電解質シートの表面にエンボス加工(凹状加工)を施し、その表面に空気極及び燃料極の電極を形成している。この単セルでは、電解質シートにエンボス加工を施すことでセル全体として厚みの差を有する構造となり、セル強度が低下してしまう。さらに、製造時において、焼成時の反りを制御することは難しく、反りの方向がばらつく場合には、セパレータ接合時又は燃料電池スタック組み上げ時の荷重負荷に対してセル割れが生じることがある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、反りの方向を揃えることができ、セパレータ接合時又は燃料電池スタック組み上げ時におけるセル割れを確実に防止することができる燃料電池単セルの製造方法を提供することにある
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、燃料極、空気極及び固体電解質層を有する燃料電池単セルの製造方法であって、前記燃料電池単セルの支持基体となる未焼成支持基体層と、前記未焼成支持基体層の一方の面側に接する第1セラミック層となる第1未焼成セラミック層と、前記一方の面の裏面である他方の面側に接する第2セラミック層となる第2未焼成セラミック層とを積層して未焼成積層体を形成する積層工程と、前記未焼成積層体において前記第2未焼成セラミック層に凹部を形成する凹部形成工程と、前記未焼成積層体を焼成することにより、前記第1セラミック層、前記支持基体、前記凹部が形成された第2セラミック層を有するセラミック焼成体を得るセラミック焼成工程と、前記セラミック焼成体における前記第2セラミック層を除去する除去工程とを含むことを特徴とする燃料電池単セルの製造方法がある。
手段1に記載の発明によると、積層工程において、第1セラミック層となる第1未焼成セラミック層と、支持基体となる未焼成支持基体層と、第2セラミック層となる第2未焼成セラミック層とがこの順で積層されて未焼成積層体が形成される。なお、本発明において、第1セラミック層となる第1未焼成セラミック層及び第2セラミック層となる第2未焼成セラミック層は、1層から構成されていてもよいし複数層で構成されていてもよい。また、凹部形成工程では、未焼成積層体において第2未焼成セラミック層に凹部が形成される。第2未焼成セラミック層が複数層で構成される場合、凹部は、深さ方向で最表層を貫通しないようにその最表層の一部に形成されていてもよいし、第2未焼成セラミック層の全ての層を貫通するように形成されていてもよい。その後、セラミック焼成工程において、未焼成積層体が焼成され、第1セラミック層、支持基体、凹部が形成された第2セラミック層を有するセラミック焼成体が得られる。このとき、未焼成積層体の第2未焼成セラミック層には凹部が形成されているため、その凹部に向けてセラミック材料が収縮する結果、セラミック焼成体は、第1セラミック層側が凸となるように反った形状となる。さらに、除去工程において、反りを生じさせるために形成した第2セラミック層(凹部)をセラミック焼成体から除去することで支持基体の表面が露出される。このようにすると、セラミック焼成体の反り方向がばらつくことなく、第1セラミック層の表面方向に凸となるように反った形状となる。この後、セラミック焼成体を用いて燃料電池単セルを構成し、燃料電池単セルとセパレータとを接合する際に、第1セラミック層の表面を上側に向けて台座に燃料電池単セルを配置させることにより、燃料電池単セルの中央部に荷重を加えず接合することができる。また、燃料電池スタックを組み上げる際に、第1セラミック層の表面を上側に向けて燃料電池単セルを配置させることにより、燃料電池単セルの反りの方向を統一し、単セル面内において単セルの反り方向に起因する負荷を抑制することができる。この結果、セパレータ接合時又は燃料電池スタック組み上げ時の荷重負荷に対する燃料電池単セル強度を十分に確保することができ、従来技術のようなセル割れの問題を確実に回避することができる。
凹部形成工程では、未焼成積層体において、第1未焼成セラミック層の表面に、凹部に対応した凸部を形成してもよい。具体的には、未焼成積層体において、第2未焼成セラミック層の表面に凹部を形成するのに伴いその凹部側から押し上げて第1未焼成セラミック層の表面を膨らませるようにして凸部を形成する。このように、未焼成積層体の表面に凸部を形成すると、その凸部を形成した分だけ厚みが増し、セル強度を高めることができる。従って、セパレータ接合時におけるセル割れを確実に回避することができる。
凹部形成工程では、第2未焼成セラミック層の表面に対して溝加工を行い、凹部として、中心が同じで枠状の溝部を複数形成してもよい。具体的には、凹部として、例えば同心円状の複数の溝部を形成してもよい。このように、複数の溝部を多重に形成すると、反り量の小さいセラミック焼成体を同一方向に確実に反らせることができる。
なお、本発明における溝部は、深さが10μm以上100μm以下であり、幅が200μm以下であることが好ましい。また、凸部の高さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。このようにすると、セラミック焼成体が必要以上に反ることがなく適度な反り量となるため、セル割れをより確実に回避することができる。
複数の溝部は、隣り合う溝部同士の間隔が等間隔で形成された3つ以上の円形状の溝であってもよい。またこの場合、同心円状の溝部同士の間隔は、5mm以上20mm以下であることが好ましい。このように等間隔で複数の溝部を形成することにより、セラミック焼成体の表面を均一に反らせることができる。また、溝部同士の間隔を5mm以上20mm以下とすることで、セラミック焼成体が必要以上に反ることがなく適度な反り量となる。この結果、セパレータ接合時又は燃料電池スタック組み上げ時に燃料電池単セル面内に加わる応力が集中することなく均一に分散するため、燃料電池単セル割れをより確実に回避することができる。
さらに、凹部形成工程では、未焼成積層体において、第2未焼成セラミック層の表面に凹部としての複数の溝部を形成するのと同時に、第1未焼成セラミック層の表面に凸部としての複数の凸条部を形成してもよい。このように凸条部を形成すると、セル強度を確実に向上させることができる。
凹部形成工程では、レーザ加工によって凹部を形成してもよいし、トムソン刃を用いた溝加工によって凹部を形成してもよい。この場合、未焼成積層体において第2未焼成セラミック層の表面に凹部を形成するのと同時に、第1未焼成セラミック層の表面に凸部を容易に形成することができる。また、レーザ加工を行う場合、比較的細い線状の凹部を形成することができるため、セラミック焼成体の反り量を正確に調整することができる。なおこの場合、凹部の深さの寸法よりも凸部の高さの寸法が小さくなる。
除去工程では、表面研磨処理を行うことによりセラミック焼成体の表面を研磨し、第2セラミック層を除去することで支持基体の表面を露出させるとともにその表面を平坦化してもよい。また、除去工程では、表面研磨処理以外にエッチング処理等によって、セラミック焼成体の表面の第2セラミック層を除去してもよい。
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、燃料極、空気極及び固体電解質層を有するとともに、前記燃料極及び前記空気極のいずれか一方が支持基体を有する燃料電池単セルであって、前記支持基体の一方の面側に前記固体電解質層を有し、前記固体電解質層において、前記支持基体側の面に対して裏側となる表面には、凸部が形成されていることを特徴とする燃料電池単セルがある。
手段2に記載の発明によると、燃料電池単セルにおける固体電解質層の表面に凸部が形成されるので、セル強度を高めることができ、セパレータ接合時におけるセル割れを回避することができる。
固体電解質層は、凸部の形成部位及び非形成部位とで同じ厚さを有していることが好ましい。このようにすると、固体電解質層の各表面において、電極(空気極及び燃料極)との接触面積が増すため、電極の密着強度を高めることができる。また、固体電解質層が均一な厚さで形成されるため、燃料電池単セルにおいて安定した発電性能を確保することができる。
固体電解質層における凸部が形成された表面上に、支持基体を含む電極とは異なる電極が形成される。具体的には、支持基体を含む電極が燃料極である場合、固体電解質層における凸部が形成された表面上には空気極が形成される。このようにすると、固体電解質層の表面と電極(空気極)との密着強度を高めることができる。また、固体電解質層における凸部が形成された表面上に周知の反応防止層を形成し、反応防止層上に電極形成してもよい。この場合、反応防止層と固体電解質層との密着強度を高めることができる。
また、上記課題を解決するための別の手段(手段3)としては、手段2に記載の燃料電池単セルと、前記燃料極に燃料ガスを供給する燃料室と、前記空気極に酸化剤ガスを供給する空気室とを備える燃料電池スタックであって、前記燃料電池単セルは、前記凸部を有する前記固体電解質層の表面側が前記燃料室と前記空気室とのうちガス圧が高くなる側に向けて配置されることを特徴とする燃料電池スタックがある。
従って、手段3に記載の発明によると、燃料電池単セルは、ガス圧に対して強い構造となるため、燃料電池スタックの耐久性を高めることができる。また、ガス圧が低くなる側に配置される電極の表面が平坦面となっていてもよい。具体的には、空気室のガス圧が燃料室よりも高くなる場合、燃料電池単セルは、凸部を有する固体電解質層の表面側が空気室側に向けて配置され、燃料極の表面が平坦面となる。この場合、燃料電池単セルはガス圧に対して強い構造となるため、燃料電池スタックの耐久性をより高めることができる。
また、燃料電池スタックでは、燃料電池単セルにおける固体電解質層の周縁部に、セパレータがロウ付けされるが、手段2の燃料電池単セルを用いることにより、ロウ付け時におけるセル割れを確実に回避することができる。
燃料電池単セルを構成する固体電解質層の形成材料としては、例えばZrO系セラミック、LaGaO系セラミックなどが用いられる。
空気極は、酸化剤となる酸化剤ガス(例えば空気中の酸素)と接触し、燃料電池単セルにおけるカソードとして機能する。ここで、空気極の形成材料としては、例えば、金属材料、金属の複合酸化物などを挙げることができる。金属材料の好適例としては、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru、Rh等やそれらの合金などがある。金属の複合酸化物の好適例としては、例えば、La、Pr、Sm、Sr、Ba、Co、Fe、Mnを含有する複合酸化物(La1−xSrCoO系複合酸化物、La1−xSrFeO系複合酸化物、La1−xSrCo1−yFe系複合酸化物、La1−xSrMnO系複合酸化物、Pr1−xBaCoO系複合酸化物、Sm1−xSrCoO系複合酸化物)などがある。
燃料極は、還元剤となる燃料ガス(例えば水素)と接触し、燃料電池単セルにおけるアノードとして機能する。ここで、燃料極の形成材料としては、例えば、希土類元素(Sc、Yなど)により安定化されたZrO系セラミック、及び、希土類元素(Sm、Gdなど)をドープしたCeO系セラミック等のうち、少なくとも1つのセラミック材料と、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru、Rh、Ni、Fe等の金属材料及びそれら金属材料の合金のうちの少なくとも1つと、を混合した金属セラミック材料の混合物(サーメット)を使用することができる。
一実施の形態における燃料電池スタックの概略構成を示す斜視図。 図1のA−A線断面図。 燃料電池スタックにおける1つの発電単位の概略構成を示す分解断面図。 各グリーンシートの配置を示す説明図。 積層工程を示す説明図。 凹部形成工程を示す説明図。 複数の凹部を示す未焼成積層体の平面図。 セラミック焼成工程を示す説明図。 除去工程を示す説明図。 固体電解質層の表面における凸形状の測定結果を示す説明図。 凸形状の測定位置を示す固体電解質層の平面図。 セパレータと単セルとのロウ付け工程を示す説明図。 別の実施の形態における凹部形成工程を示す説明図。 別の実施の形態における四角形状の複数の凹部を示す未焼成積層体の平面図。 別の実施の形態における点線状の複数の凹部を示す未焼成積層体の平面図。 別の実施の形態における渦巻状の凹部を示す未焼成積層体の平面図。
以下、本発明を燃料電池スタックに具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1及び図2に示されるように、本実施の形態の燃料電池スタック1は、固体酸化物形燃料電池スタック(SOFC)である。燃料電池スタック1は、発電単位2を複数個(例えば20個)備えている。燃料電池スタック1には、発電単位2の連続する方向における両端部(図1では上端部と下端部)に、エンドプレート8,9が配置されている。さらに、燃料電池スタック1の周縁部には、同スタック1を発電単位2が連続する方向に貫通する複数の貫通穴4が形成されている。なお、燃料電池スタック1の四隅にある4つの貫通穴4に締結ボルト5を挿通させ、燃料電池スタック1の下面から突出する締結ボルト5の下端部分にナット(図示略)を螺着させる。また、残り4つの貫通穴4にガス流通用締結ボルト6を挿通させ、燃料電池スタック1のエンドプレート8,9から突出するガス流通用締結ボルト6の両端部分にナット7を螺着させる。その結果、複数の発電単位2が固定され燃料電池スタック1が得られる。また、燃料電池スタック1の両端部に配置されるエンドプレート8,9は、燃料電池スタック1から出力される電流の出力端子となっていてもよいし、エンドプレート8と発電単位2との間、及びエンドプレート9と発電単位2との間に電流の出力端子を電気的に接続する導電板を配置してもよい。さらに、エンドプレート8,9に最も近い発電単位2においては、エンドプレート8,9と燃料電池単セル(以下、単に「単セル」ともいう)との間にインタコネクタを配置しなくてもよい。
図2及び図3に示されるように、本実施の形態の各発電単位2は、発電の最小単位である。また発電単位2の中でも、平板状の単セル11と、セパレータ12と、燃料極フレーム13と、インタコネクタ14(図3においては下側のインタコネクタ14)とを積層し、各部材を溶接にて接合してなる接合体をインタコネクタ−燃料電池単セル複合体300と呼ぶこともある。また、インタコネクタ−燃料電池単セル複合体300を空気極絶縁フレーム15を介して積層し、図2に示す燃料電池スタック1を構成する。燃料電池スタック1内において隣接する単セル11同士の間に配置されるインタコネクタ14は1枚配置されていればよい。従って、燃料電池スタック1内の1つの発電単位2の下側のインタコネクタ14は隣接する発電単位2の上側のインタコネクタ14と共用となっている。
単セル11は、空気極21、燃料極220及び固体電解質層23を有して構成され、発電反応により電力を発生する。インタコネクタ14は、ステンレスなどによって方形板状に形成されており、単セル11の厚み方向の両側に一対配置される。燃料電池スタック1においては、各インタコネクタ14により板厚方向での単セル11間の電気的接続が確保される。単セル11の間に配置されるインタコネクタ14は、隣り合う単セル11を区分する。
セパレータ12は、ステンレスなどによって形成されており、方形状の開口部19を中央部に有する方形枠状をなしている。セパレータ12は、1つの発電単位2において燃料ガスと酸化剤ガスとを離間する仕切り板として機能する。燃料極フレーム13は、ステンレスなどによって方形枠状に形成され、単セル11の側面を囲むように配置される。空気極絶縁フレーム15は、例えばマイカシートによって方形枠状に形成されている。
固体電解質層23は、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)などのセラミック材料(酸化物)によって、方形板状に形成されている。固体電解質層23は、セパレータ12の下面に固定されるとともに、セパレータ12の開口部19を塞ぐように配置されている。固体電解質層23は、酸素イオン伝導性固体電解質体として機能するようになっている。なお、固体電解質層23の厚さは、10μm程度である。
固体電解質層23の上側の表面23a(上面)には、燃料電池スタック1に供給された酸化剤ガスに接する空気極21が形成される。また、固体電解質層23の下側の表面23b(下面)には、燃料電池スタック1に供給された燃料ガスに接する燃料極220が形成されている。即ち、空気極21及び燃料極220は、固体電解質層23の両側に配置されている。本実施の形態の単セル11は、燃料極220を支持基体とする電極支持型(アノード支持型)の燃料電池単セルであり、燃料極220は単セル11の強度を得るための支持層22と発電反応を行うための活性層24とを有している。
具体的には、単セル11において、燃料極220は、固体電解質層23の下面全体を覆うように形成されている。燃料極220は、0.8mm程度の厚さを有し、固体電解質層23よりも厚く形成されている。また、活性層24の厚さは、20μm程度であり、支持層22の厚さは0.82mmである。活性層24とは、燃料極220における電気化学的反応(発電反応)効率を高めるための層のことである。なお、単セル11において、固体電解質層23と活性層24とが第1セラミック層に相当し、支持層22が支持基体に相当する。
空気極21は、固体電解質層23の表面23a(図3では上面)において、外周部を避けて形成されている。つまり、単セル11において、固体電解質層23の表面23aの外周部は空気極21が形成されておらず露出している。そして、その固体電解質層23の外周部において、銀を含むロウ材25を用いてセパレータ12にロウ付けされている。また、固体電解質層23において、空気極21との接触面となる表面23aには複数の凸部27が形成される。固体電解質層23は、凸部27の形成部位及び非形成部位とで同じ厚さを有し、凸部27が形成される表面23aの裏側となる他方の表面23b(図3では下面)に、複数の凹部29が形成されている。つまり、固体電解質層23において、複数の凹部29は、複数の凸部27の裏側となる位置に形成されている。そして、複数の凹部29が形成された固体電解質層23の表面23bは、燃料極220に接触している。
複数の凸部27は、固体電解質層23の表面23aにおいて、その中心を共有する同心円状に形成された複数の凸状部である。各凸部27は、隣り合う凸部27間の間隔P1が等間隔で形成されている。各凸部27の間隔P1、つまり隣り合う内側の円と外側の円の間隔は、例えば10mmである。また、各凸部27の高さH1は、10μm〜20μm程度となっている。
単セル11における空気極21は、セパレータ12の開口部19内に配置され、セパレータ12と接触しないようになっている。なお、本実施の形態の発電単位2では、セパレータ12の下方に燃料室17が形成されるとともに、セパレータ12の上方に空気室18が形成されている。
本実施の形態の単セル11において、空気極21は、金属の複合酸化物であるLSCF(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8)によって方形板状に形成されている。また、燃料極220は、ニッケルとイットリア安定化ジルコニアとの混合物(Ni−YSZ)によって方形板状に形成されている。支持層22と活性層24とは、同様の材料で形成されているが気孔率が異なる。具体的には支持層22は活性層24に比べ気孔率が大きい。
空気極21は、空気極側集電体37によってインタコネクタ14に電気的に接続されている。燃料極220は、燃料極側集電体38によってインタコネクタ14に電気的に接続されている。本実施の形態において、空気極側集電体37は、インタコネクタ14と一体的に形成されている。なお、空気極側集電体37は、インタコネクタ14とは別部材で形成されていてもよい。また、燃料極側集電体38は、燃料ガスの通過が可能なように、例えばニッケル製の多孔質金属体からなる。なお、燃料極集電体38は従来公知の機構を採用してもよい。
図3に示されるように、発電単位2を構成するセパレータ12、燃料極フレーム13、インタコネクタ14及び空気極絶縁フレーム15の各部材の外縁側には、複数の穴部40が貫通形成されている。各穴部40は、締結ボルト5やガス流通用締結ボルト6を挿通させる貫通穴4(図2参照)の一部を構成する穴部である。そして、セパレータ12、燃料極フレーム13及びインタコネクタ14(図3における下側のインタコネクタ14)の各金属部材に対してレーザ溶接を行い、各穴部40の周囲を封止するとともに各金属部材を接合し、インタコネクタ−燃料電池単セル複合体300を得る。これに空気極絶縁フレーム15を介して図中上側に別に用意したインタコネクタ−燃料電池単セル複合体300を積層して、燃料電池スタック1における一対のインタコネクタ14に挟まれた1つの発電単位2が構成されている。なお、図3において上側に配置されているインタコネクタ−燃料電池単セル複合体300は便宜上、インタコネクタ14以外図示を省略している。
図2に示されるように、燃料電池スタック1(各発電単位2)には、酸化剤ガス及び燃料ガスを流すガス流路が形成されている。具体的には、燃料電池スタック1のガス流路として、各発電単位2の燃料室17に燃料ガスを供給する燃料供給経路50と、燃料室17から燃料ガスを排出する燃料排出経路51とが形成されている。燃料供給経路50は、ガス流通用締結ボルト6の中心部において軸方向に沿って延びる燃料供給孔52と、燃料供給孔52及び燃料室17を連通させる燃料供給横孔53とによって構成されている。また、燃料排出経路51は、ガス流通用締結ボルト6の中心部において軸方向に沿って延びる燃料排出孔54と、燃料排出孔54及び燃料室17を連通させる燃料排出横孔55とによって構成されている。よって、燃料ガスは、燃料供給孔52及び燃料供給横孔53を順番に通過して燃料室17に供給され、燃料排出横孔55及び燃料排出孔54を順番に通過して燃料室17から排出される。
さらに燃料電池スタック1のガス流路として、各発電単位2の空気室18に空気を供給する空気供給経路(図示略)と、空気室18から空気を排出する空気排出経路(図示略)とを備えている。空気供給経路は、燃料供給経路50と略同様の構造を有しており、ガス流通用締結ボルト6の中心部において軸方向に沿って延びる空気供給孔(図示略)と、空気供給孔及び空気室18を連通させる空気供給横孔(図示略)とによって構成されている。また、空気排出経路は、燃料排出経路51と略同様の構造を有しており、ガス流通用締結ボルト6の中心部において軸方向に沿って延びる空気排出孔(図示略)と、空気排出孔及び空気室18を連通させる空気排出横孔(図示略)とによって構成されている。よって、空気は、空気供給孔及び空気供給横孔を順番に通過して空気室18に供給され、空気排出横孔及び空気排出孔を順番に通過して空気室18から排出される。なお、本実施の形態の燃料電池スタック1では、燃料室17よりも空気室18のほうが供給されるガスの圧力が高くなっている。
上記のように構成した燃料電池スタック1において、例えば、その燃料電池スタック1を稼働温度に加熱した状態で、燃料供給経路50から燃料室17に燃料ガスを導入するとともに、空気供給経路から空気室18に空気を供給する。その結果、燃料ガス中の水素と空気中の酸素とが固体電解質層23を介して反応(発電反応)し、空気極21を正極、燃料極220を負極とする直流の電力が発生する。なお、本実施の形態の燃料電池スタック1は、単セル11を複数積層して直列に接続しているため、空気極21に電気的に接続される上側エンドプレート8が正極となり、燃料極220に電気的に接続される下側エンドプレート9が負極となる。
次に、燃料電池スタック1の製造方法を説明する。
先ず、単セル11を製造するための複数のグリーンシート61a,61b,62,63a,63bを準備する(図4参照)。具体的には、YSZ粉末に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエン及びエタノールの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調整した。得られたスラリーをドクターブレード法により、厚さ10μmの固体電解質層用グリーンシート61a,61bを作製した。
また、NiO粉末とYSZ粉末との混合粉末に対して、造孔材である有機ビーズと、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエン及びエタノールの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調整した。得られたスラリーをドクターブレード法により、厚さ1.2mmの燃料極支持層用グリーンシート62を作製した。
さらに、NiO粉末とYSZ粉末との混合粉末に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエン及びエタノールの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調整した。得られたスラリーをドクターブレード法により、厚さ20μmの燃料極活性層用グリーンシート63a,63bを作製した。
そして、図4に示されるように、燃料極支持層用グリーンシート62(未焼成支持基体層)の一方の面64側及びその裏面である他方の面66側に、燃料極活性層用グリーンシート63a,63bを介して固体電解質層用グリーンシート61a,61bをそれぞれ配置する。なおここでは、燃料極支持層用グリーンシート62の一方の面64側(図4では上面側)に配置される各グリーンシート61a,63aは、第1セラミック層としての固体電解質層23及び活性層24となる第1未焼成セラミック層である。一方、燃料極支持層用グリーンシート62の一方の面64の裏面である他方の面66側(図4では下面側)に配置される各グリーンシート61b,63bは、第2セラミック層としての拘束層(ダミーの固体電解質層及び活性層)となる第2未焼成セラミック層である。そして、図5に示されるように、各グリーンシート61a,63a,62,63b,61bを積層して圧着することで、層構成が対称構造である未焼成積層体65を形成する(積層工程)。
未焼成積層体65において、第2セラミック層となる固体電解質層用グリーンシート61bの表面67に対し、溝加工を施すことにより、その表面67に複数の凹部を形成する(凹部形成工程)。具体的には、本実施の形態の凹部形成工程では、溝加工として、図示しないレーザ照射装置(例えばファイバーレーザなどの照射装置)を用いたレーザ加工を行う。このレーザ加工では、図6に示されるように、所定の照射条件(例えば、出力が1.0W〜3.5W、ビーム径が100μm程度)にてレーザL1を照射することにより、第2未焼成セラミック層を構成する下側の固体電解質層用グリーンシート61bの表面67に複数の凹部70を形成する。図7に示されるように、複数の凹部70は、中心を共有する同心円状の複数の溝であり、隣り合う溝同士の間隔P1が等間隔(10mmのピッチ)で形成されている。各凹部70の深さは20μm程度であり、凹部70の幅は100μm程度である。
本実施の形態の凹部形成工程では、未焼成積層体65において、第1未焼成セラミック層を構成する上側の固体電解質層用グリーンシート61aの表面68に、各凹部70に対応した複数の凸部27が形成されている。具体的には、未焼成積層体65において、下側のグリーンシート61b(第2未焼成セラミック層)の表面67に凹部70を形成するのに伴いその凹部70側から押し上げて上側のグリーンシート61a(第1未焼成セラミック層)の表面68を膨らませるようにして複数の凸部27を形成する。複数の凸部27は、未焼成積層体65の表面において同心円状に形成された凸条部である。各凸部27の高さの寸法は、凹部70の深さの寸法よりも小さく、例えば10μm程度である。また、固体電解質層23となる上側のグリーンシート61aにおいて、凸部27が形成される表面68の裏側となる他方の表面69に凹部29が形成される。
そして、未焼成積層体65を、250℃で脱脂した後、1350℃で焼成することで、図8に示されるようなセラミック焼成体75を得る(セラミック焼成工程)。セラミック焼成体75は、固体電解質層23、活性層24、支持層22(支持基体)、ダミーの活性層76及び固体電解質層77がこの順で積層されたセラミック積層体である。未焼成積層体65において下側のグリーンシート61bの表面67には凹部70が形成されているため、焼成時に凹部70に向けてセラミック材料が収縮する結果、セラミック焼成体75は、固体電解質層23側が凸となるように反った形状となる。
さらに、図9に示されるように、セラミック焼成体75におけるダミーの活性層76及び固体電解質層77(第2セラミック層)を除去することで、支持基体である支持層22の表面22aを露出させる(除去工程)。この工程では、表面研磨処理を行うことにより、セラミック焼成体75の第2セラミック層側表面を研磨し、ダミーの活性層76及び固体電解質層77を除去する。この結果、セラミック焼成体75において、燃料極220における支持層22の表面22aを露出させるとともにその表面22aを平坦化する。つまり、セラミック焼成体75における固体電解質層23の表面23aは凸となるように反った形状であり、燃料極220の支持層22の表面22aは平坦面となる。
図10には、セラミック焼成体75における固体電解質層23の表面23aの凸形状の測定結果を示している。具体的には、表面粗さ測定機(メーカ:株式会社ミツトヨ、型式:CS−5000CNC)を用い、図11に示されるように、セラミック焼成体75の表面(固体電解質層23の表面23a)において、対角線上に沿って高さを測定し、その測定結果を図10に示している。なお、表面粗さ測定機の接触式はスタイラスであり、触針径が0.25mm、走査速度が0.2mm/secの条件で測定した。図10に示されるように、固体電解質層23の表面23aは、外縁部に比べて中央部が0.22mm程度高くなっており、凸形状となっていることが確認できた。また、固体電解質層23の表面23aには、10μm程度の高さを有する凸部27が等間隔(10mm間隔)で形成されていることも確認することができた。なお、図10において、矢印で示す位置が凸部27の形成位置に対応している。
除去工程の後、セラミック焼成体75における固体電解質層23の表面23aにおいて、外周部を除く領域に空気極21の形成材料を印刷する。さらに、固体電解質層23の外周部にロウ材25を塗布する。その後、固体電解質層23の外周部にロウ材25を介してセパレータ12の内周部を押し付けるとともに所定温度に加熱し、固体電解質層23にセパレータ12をロウ付けする。また、このロウ付け時の加熱処理によって空気極21が焼成されて固体電解質層23の表面23aに焼き付けられる。この結果、図12に示されるように、セパレータ12を接合した単セル11が作製される。
その後、単セル11に接合されたセパレータ12と燃料極フレーム13とをレーザ溶接によって接合する。さらに、燃料極フレーム13とインタコネクタ14とをレーザ溶接によって接合する。なおここでは、セパレータ12、燃料極フレーム13、インタコネクタ14の各金属部材において、各穴部40の周囲や外周部を封止するようにレーザ溶接が行われる。このようにレーザ溶接を行うことで、各部材11〜14の接合体であるインタコネクタ−燃料電池単セル複合体300が作製される。
そして、インタコネクタ−燃料電池単セル複合体300が空気極絶縁フレーム15と交互に複数積層して一体化することにより、燃料電池スタック1が得られる。
次に、本実施の形態の燃料電池スタック1の製造後、単セル11の固体電解質層23の表面23aに形成された凸部27の有無を確認する手法について説明する。先ず、燃料電池スタック1から締結ボルト5、ガス流通用締結ボルト6やナット7を取り外して、燃料電池スタック1を複数のインタコネクタ−燃料電池単セル複合体300に分解する。またこのとき、単セル11の周囲におけるセパレータ12を破断し、インタコネクタ−燃料電池単セル複合体300から単セル11を分離する。そして、単セル11における空気極21を除去する。具体的には、グラインダやサンドペーパなどによって空気極21の研削を行い、固体電解質層23と空気極21との密着部分以外を除去する。次に、超音波洗浄装置等を用い、水中にて超音波を作用させて固体電解質層23の表面に残った電極材料を除去する。その後、上述した表面粗さ測定機を用いて、固体電解質層23の表面を測定することで凸部27が確認される。このようにすると、燃料電池スタック1の使用後においても、固体電解質層23の表面23aにおける凸部27の有無を確認することが可能となる。
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施の形態では、層構成が対称構造である未焼成積層体65において、下側のグリーンシート61bの表面67に凹部70を形成した後、セラミック焼成工程が行われる。この焼成工程では、未焼成積層体65において凹部70に向けてセラミック材料が収縮する。このため、セラミック焼成体75の反り方向がばらつくことなく、固体電解質層23の表面23a方向に凸となるように反った形状となる。そして、セラミック焼成体75を用いて単セル11を構成し、単セル11とセパレータ12とを接合する際に、固体電解質層23の表面23aを上側に向けて単セル11を接合台に配置させ接合することにより、単セル11の中央部に荷重を加えず接合することができる。また、燃料電池スタック1を組み上げる際に、固体電解質層23の表面23aを上側に向けて単セル11を配置させることにより、単セル11の反りの方向を統一し、単セル11面内において単セル11の反り方向に起因する負荷を抑制することができる。この結果、セパレータ12の接合時又は燃料電池スタック1の組み上げ時における荷重負荷に対してセル強度を十分に確保することができ、従来技術のようなセル割れの問題を確実に回避することができる。
(2)本実施の形態では、未焼成積層体65において、第1未焼成セラミック層である上側の固体電解質層用グリーンシート61aの表面68に、各凹部70に対応した複数の凸部27が形成されている。このように、未焼成積層体65に凸部27を形成すると、その凸部27を形成した分だけ厚みが増す。この結果、単セル11のセル強度を高めることができ、セパレータ12の接合時におけるセル割れを確実に回避することができる。
(3)本実施の形態では、未焼成積層体65の表面に形成される複数の凹部70は、隣り合う溝同士の間隔P1が等間隔で形成された複数(本実施の形態では5つ)の円形状の溝であるので、セラミック焼成体75の表面を均一に反らせることができる。この結果、セパレータ12の接合時に加わる応力が集中することなく均一に分散するため、セル割れをより確実に回避することができる。
(4)本実施の形態では、表面研磨処理を行うことによりセラミック焼成体75の表面を研磨し、第2セラミック層であるダミーの活性層76及び固体電解質層77を除去することで燃料極220の支持層22の表面22aを露出させるとともにその支持層22の表面22aを平坦化している。この場合、セパレータ12の接合時に加わる荷重を支持層22の表面22aの平坦面で確実に支持することができ、セル割れをより確実に回避することができる。
(5)本実施の形態では、レーザ加工を行うことによって、100μm程度の線幅を有する比較的細い線状の凹部70(溝部)を形成することができるため、セラミック焼成体75の反り量を正確に調整することができる。
(6)本実施の形態の単セル11において、固体電解質層23の表面23aに凸部27が形成されるとともに、その裏面23bに凹部29が形成されている。このようにすると、固体電解質層23の表面23a,23bと空気極21及び燃料極220との接触面積が増すため、それらの密着強度を高めることができる。また、固体電解質層23は、凸部27の形成部位及び非形成部位とで同じ厚さを有するので、単セル11において安定した発電性能を確保することができる。
(7)本実施の形態の燃料電池スタック1において、空気室18のガス圧は燃料室17のガス圧よりも高くなっている。そして、燃料電池スタック1を構成する各単セル11は、凸部27を有する固体電解質層23の表面23a側が空気室18側に向けて配置され、燃料極220における支持層22の表面22aが平坦面となっている。この場合、単セル11はガス圧に対して強い構造となるため、燃料電池スタック1の耐久性を高めることができる。
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、凹部形成工程において、未焼成積層体65における下側のグリーンシート61bの表面67に複数の凹部70を形成するのと同時に上側のグリーンシート61aの表面68に複数の凸部27を形成していたが、これに限定されるものではない。図13に示されるように、レーザL1の照射条件を調整し、未焼成積層体65におけるグリーンシート61bの表面67に複数の凹部70を形成するとともに、グリーンシート61aの表面68には凸部27を形成しないようにして凹部形成工程を行ってもよい。このようにしても、セラミック焼成工程において、固体電解質層23側が凸となるように反った形状を有するセラミック焼成体75を焼成することができる。この結果、セパレータ接合時又は燃料電池スタック1の組み上げ時の荷重負荷による、従来技術のようなセル割れの問題を確実に回避することができる。
・上記実施の形態では、凹部形成工程において、凹部70として同心円状の複数の溝部を未焼成積層体65の表面67に形成していたが、図14に示される凹部70Aのように、中心が同じで四角形の枠状に形成された複数の溝部を未焼成積層体65の表面67に形成してもよい。複数の溝部の形状としては、円形や四角形に限定されるものではなく、三角形や楕円形などの枠状に形成された溝部であってもよい。また、凹部70,70Aとしては、線状に連続して形成されるものに限定されるものではなく、図15に示されるように、同心円となる位置において複数の凹部70Bを点線状に形成してもよい。さらに、図16に示される凹部70Cのように、1本の連続する溝部を渦巻状に形成してもよい。図14〜図16のような凹部70A〜70Cを未焼成積層体65におけるグリーンシート61bの表面67に形成した場合でも、セラミック焼成工程において、固体電解質層23方向に凸となるように反った形状を有するセラミック焼成体75を焼成することができる。この結果、セパレータ接合時又は燃料電池スタック1の組み上げ時の荷重負荷による、従来技術のようなセル割れの問題を確実に回避することができる。
・上記実施の形態では、積層工程において、図4に示されるように、燃料極支持層用グリーンシート62(未焼成支持基体層)の一方の面64側及びその裏面である他方の面66側に、燃料極活性層用グリーンシート63a,63bを介して固体電解質層用グリーンシート61a,61bをそれぞれ配置していたが、これに限定されるものではない。例えば、第2セラミック層としての拘束層は、燃料極活性層用グリーンシート63bを積層せず、ダミーの固体電解質層のみでもよい。この場合でも、未焼成積層体の一方の面側とその裏面である他方の面側の各最表層に同様の性質のグリーンシートが各々配置されることで、セラミック焼成工程において、固体電解質層23側が凸となるように反った形状を有するセラミック焼成体75を焼成することができる。この結果、セパレータ接合時又は燃料電池スタック1の組み上げ時の荷重負荷による、従来技術のようなセル割れの問題を確実に回避することができる。
・上記実施の形態では、インタコネクタ−燃料電池単セル複合体300を形成し、インタコネクタ−燃料電池単セル複合体300と空気極絶縁フレーム15とを交互に複数積層して燃料電池スタック1を得たが、燃料電池スタック1の製造方法はこれに限定されるものではない。例えば、インタコネクタ−燃料電池単セル複合体300を形成していた各部材を溶接しない状態で、順に積層して燃料電池スタック1を得るようにしてもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)手段1において、前記燃料電池単セルは、平板状に形成されることを特徴する燃料電池単セルの製造方法。
(2)手段1において、前記除去工程では、表面研磨処理を行うことにより、前記セラミック焼成体の表面を研磨し、前記第2セラミック層を除去することで前記支持基体の表面を露出させるとともにその表面を平坦化することを特徴する燃料電池単セルの製造方法。
(3)手段1において、前記凹部形成工程では、前記未焼成積層体において、前記第2未焼成セラミック層の表面に前記凹部としての複数の溝部を形成するのと同時に、前記第1未焼成セラミック層の表面に前記凸部としての複数の凸条部を形成することを特徴する燃料電池単セルの製造方法。
(4)技術的思想(3)において、前記溝部の深さの寸法よりも前記凸条部の高さの寸法が小さいことを特徴する燃料電池単セルの製造方法。
(5)技術的思想(3)において、前記溝部の深さは、10μm以上100μm以下であることを特徴する燃料電池単セルの製造方法。
(6)技術的思想(3)において、前記溝部の幅は、200μm以下であることを特徴する燃料電池単セルの製造方法。
(7)手段1において、前記凸部の高さは、5μm以上20μm以下であることを特徴する燃料電池単セルの製造方法。
(8)手段1において、前記凹部としての同心円状の溝部の間隔は、5mm以上20mm以下であることを特徴する燃料電池単セルの製造方法。
(9)手段2において、前記凸部として、同心円状の複数の凸条部を有することを特徴する燃料電池単セル。
(10)手段3において、前記凸部が形成された前記固体電解質層の表面が前記空気室側に向けて配置され、前記燃料極の表面が平坦面となっていることを特徴する燃料電池スタック。
(11)手段3において、前記燃料電池単セルにおける前記固体電解質層の周縁部に、セパレータがロウ付けされることを特徴とする燃料電池スタック。
1…燃料電池スタック
2…発電単位
11…燃料電池単セル(単セル)
17…燃料室
18…空気室
21…空気極
22…支持層
23…第1セラミック層を構成する固体電解質層
23a…固体電解質層の表面
24…第1セラミック層を構成する活性層
27…凸部
61a…第1未焼成セラミック層を構成する固体電解質層用グリーンシート
61b…第2未焼成セラミック層を構成する固体電解質層用グリーンシート
62…未焼成支持基体層としての燃料極支持層用グリーンシート
63a…第1未焼成セラミック層を構成する燃料極活性層用グリーンシート
63b…第2未焼成セラミック層を構成する燃料極活性層用グリーンシート
64…一方の面
65…未焼成積層体
66…他方の面
67,68…表面
70,70A,70B,70C…凹部
76…第2セラミック層を構成するダミーの活性層
77…第2セラミック層を構成するダミーの固体電解質層
220…燃料極
300…インタコネクタ−燃料電池単セル複合体

Claims (5)

  1. 燃料極、空気極及び固体電解質層を有する燃料電池単セルの製造方法であって、
    前記燃料電池単セルの支持基体となる未焼成支持基体層と、前記未焼成支持基体層の一方の面側に接する第1セラミック層となる第1未焼成セラミック層と、前記一方の面の裏面である他方の面側に接する第2セラミック層となる第2未焼成セラミック層とを積層して未焼成積層体を形成する積層工程と、
    前記未焼成積層体において前記第2未焼成セラミック層に凹部を形成する凹部形成工程と、
    前記未焼成積層体を焼成することにより、前記第1セラミック層、前記支持基体、前記凹部が形成された第2セラミック層を有するセラミック焼成体を得るセラミック焼成工程と、
    前記セラミック焼成体における前記第2セラミック層を除去する除去工程と
    を含むことを特徴とする燃料電池単セルの製造方法。
  2. 前記凹部形成工程では、前記未焼成第2セラミック層の表面に対して溝加工を行い、前記凹部として、中心が同じで枠状の溝部を複数形成することを特徴とする請求項に記載の燃料電池単セルの製造方法。
  3. 前記凹部形成工程では、前記凹部として、同心円状の複数の溝部を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池単セルの製造方法。
  4. 前記複数の溝部は、隣り合う溝部同士の間隔が等間隔で形成された3つ以上の円形状の溝であることを特徴とする請求項に記載の燃料電池単セルの製造方法。
  5. 前記凹部形成工程では、レーザ加工によって前記凹部を形成することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の燃料電池単セルの製造方法。
JP2015171971A 2014-09-05 2015-09-01 燃料電池単セルの製造方法 Active JP6563279B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014181756 2014-09-05
JP2014181756 2014-09-05

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016058382A JP2016058382A (ja) 2016-04-21
JP6563279B2 true JP6563279B2 (ja) 2019-08-21

Family

ID=55758957

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015171971A Active JP6563279B2 (ja) 2014-09-05 2015-09-01 燃料電池単セルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6563279B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102066239B1 (ko) 2017-09-18 2020-01-14 롯데케미칼 주식회사 분리막 복합체 및 레독스 흐름 전지
CN115064709B (zh) * 2022-06-24 2024-02-13 中国科学院长春应用化学研究所 一种高温固体氧化物燃料电池/电解池有序电极构筑的方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3116455B2 (ja) * 1991-10-03 2000-12-11 株式会社村田製作所 固体電解質型燃料電池
JP3392995B2 (ja) * 1995-10-20 2003-03-31 リンナイ株式会社 固体酸化物燃料電池の製造方法
JP2010287441A (ja) * 2009-06-11 2010-12-24 Dainippon Printing Co Ltd 固体酸化物形燃料電池の製造方法
JP2011060695A (ja) * 2009-09-14 2011-03-24 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 固体酸化物形燃料電池
JP2012142241A (ja) * 2011-01-06 2012-07-26 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016058382A (ja) 2016-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5819099B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池
KR102133161B1 (ko) 연료 전지 스택
JP5679893B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池及びその製造方法
JP6563279B2 (ja) 燃料電池単セルの製造方法
TWI509869B (zh) 具有陽極陣列式孔洞結構之燃料電池膜電極組的製備方法
JP6162572B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池単セルの製造方法及び固体酸化物形燃料電池スタックの製造方法
JP2006221884A (ja) 単室型固体酸化物形燃料電池
JP4476721B2 (ja) 平板型固体酸化物形燃料電池およびその作製方法
JP2009009738A (ja) 固体電解質形燃料電池及びその製造方法
JP5727915B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形燃料電池セル本体、及び固体酸化物形燃料電池の製造方法
JP5650443B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池及びその製造方法
JP5734582B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池及びその製造方法
JP5326330B2 (ja) 固体電解質形燃料電池とその製造方法
JP2005317241A (ja) 支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック及びその作製方法
JP6965041B2 (ja) 電気化学反応単セルおよび電気化学反応セルスタック
JP6675218B2 (ja) セパレータ付電気化学反応単セルの製造方法
JP7288928B2 (ja) 電気化学反応単セルおよび電気化学反応セルスタック
CN112166518B (zh) 电池堆装置
WO2015045926A1 (ja) 固体酸化物形燃料電池スタック
JP5650019B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP6734707B2 (ja) 集電部材−電気化学反応単セル複合体および電気化学反応セルスタック
JP2016024951A (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP2009245625A (ja) 固体電解質および発電セルならびに平板型の固体酸化物形燃料電池
JP4513396B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP2015204219A (ja) 燃料電池及び燃料電池スタック

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180509

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190423

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190507

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190613

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190702

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190724

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6563279

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250