JP6675218B2 - セパレータ付電気化学反応単セルの製造方法 - Google Patents

セパレータ付電気化学反応単セルの製造方法 Download PDF

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本明細書によって開示される技術は、セパレータ付電気化学反応単セルの製造方法に関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物を含む電解質層を備える固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という)が知られている。SOFCの構成単位である燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という)は、電解質層と、電解質層を挟んで所定の方向(以下、「第1の方向」という)に互いに対向する空気極および燃料極とを含む。
また、単セルには、空気極に面する空気室と燃料極に面する燃料室とを区画する金属製の部材であるセパレータが接合される。セパレータは、上記第1の方向に貫通する貫通孔が形成されたフレーム状の部材であり、セパレータにおける貫通孔を取り囲む部分である貫通孔周囲部が単セルの上記第1の方向の一方側の表面にろう付けされることにより、セパレータが単セルに接合される(例えば特許文献1参照)。なお、セパレータが接合された単セルをセパレータ付き燃料電池単セル(または単に「セパレータ付き単セル」)という。
特開2000−331692号公報
単セルの上記第1の方向の一方側の表面にセパレータをろう付けにより接合する際に、加熱後の温度低下に伴い、セパレータの熱収縮が発生する。この際、セパレータにおける単セル側の表面の一部がろう付け部により拘束されているため、セパレータにおける単セル側の表面の熱収縮量は、セパレータにおける反対側の表面の熱収縮量より小さくなる。そのため、このセパレータの熱収縮により、単セルを上記第1の方向の他方側(セパレータが接合される側とは反対側)に凸に反らせるような力が発生する。上記従来の技術では、単セルは略平坦形状となるように製造されるため、単セルの製造後に単セルの上記第1の方向の一方側の表面にセパレータをろう付けにより接合すると、セパレータ付単セルを構成する単セルが、上記第1の方向の他方側に凸に反った形状となるおそれがある。セパレータ付単セルを構成する単セルの反り量が大きくなると、例えば、複数のセパレータ付単セルを組み立てて燃料電池スタックとして構成する際や、燃料電池スタックの運転中に、単セルにおいて応力集中が発生し、セル割れによる性能低下が発生するおそれがある。
なお、このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という)の構成単位である電解単セルにセパレータを接合したセパレータ付き電解単セルにも共通の課題である。なお、本明細書では、燃料電池単セルと電解単セルとをまとめて電気化学反応単セルと呼ぶ。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示されるセパレータ付電気化学反応単セルの製造方法は、電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を含む電気化学反応単セルと、前記第1の方向に貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔を取り囲む部分である貫通孔周囲部が前記電気化学反応単セルの前記第1の方向の一方側の表面にろう付けされ、前記空気極に面する空気室と前記燃料極に面する燃料室とを区画する金属製のセパレータと、を備えるセパレータ付電気化学反応単セルの製造方法において、第1の熱処理によって、前記空気極と前記燃料極との内、前記第1の方向の他方側に配置される第1の電極の形成材料と、前記電解質層の形成材料とを焼成することにより、前記第1の電極と前記電解質層との積層体を形成する工程と、第2の熱処理によって、前記空気極と前記燃料極との内、前記第1の方向の前記一方側に配置される第2の電極の形成材料を焼成することにより、前記積層体の前記一方側に前記第2の電極を形成する工程と、第3の熱処理によって、前記電気化学反応単セルに前記セパレータをろう付けする工程と、を備え、前記第2の熱処理における温度は、前記第3の熱処理における温度より低い。本セパレータ付電気化学反応単セルの製造方法によれば、第2の熱処理における温度を第3の熱処理における温度より低くすることにより、第2の熱処理時に、単セルにおける追ってセパレータが取り付けられる面側に凸となるように単セルを反らせておき、第3の熱処理時にセパレータの収縮する力を利用することで、第2の熱処理時に凸とした面側とは反対の面側に向かって単セルを変形させることができ、セパレータ付電気化学反応単セルを構成する電気化学反応単セルの反りを抑制して平坦性を向上させることができる。
(2)上記セパレータ付電気化学反応単セルの製造方法において、さらに、第4の熱処理によって、ガラスを含む形成材料を溶融および硬化させることにより、前記セパレータの表面と前記電気化学反応単セルの表面との両方に接触して前記空気室と前記燃料室との間をシールするガラスシール部を形成する工程を備え、前記第4の熱処理における温度は、前記第2の熱処理における温度より低い構成としてもよい。本セパレータ付電気化学反応単セルの製造方法によれば、セパレータ付電気化学反応単セルにガラスシール部を形成する場合に、ガラスシール部の形成材料の収縮によって電気化学反応単セルが反る動きを抑制することができ、セパレータ付電気化学反応単セルを構成する電気化学反応単セルの反りを抑制して平坦性を向上させることができる。
(3)上記セパレータ付電気化学反応単セルの製造方法において、前記電気化学反応単セルは、燃料電池単セルであることを特徴とする構成としてもよい。本セパレータ付電気化学反応単セルの製造方法によれば、セパレータ付燃料電池単セルを構成する燃料電池単セルの反りを抑制して平坦性を向上させることができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電気化学反応単セル(燃料電池単セルまたは電解単セル)とセパレータとを備えるセパレータ付電気化学反応単セル、複数のセパレータ付電気化学反応単セルを備える電気化学反応セルスタック(燃料電池スタックまたは電解セルスタック)、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図である。 図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図である。 図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。 図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図である。 図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。 本実施形態における燃料電池スタック100の製造方法の一例を示すフローチャートである。 本実施形態における燃料電池スタック100の製造方法の内のセパレータ付単セル118の製造方法の概要を示す説明図である。 比較例におけるセパレータ付単セル118の製造方法の概要を示す説明図である。 各製造方法における各熱処理の温度を示す説明図である。 性能評価結果を示す説明図である。
A.実施形態:
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)発電単位102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿通されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の上端を構成するエンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の下端を構成するエンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24とエンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102に供給するガス流路である酸化剤ガス導入マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102に供給する燃料ガス導入マニホールド171として機能し、該辺の反対側の辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、図2に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス導入マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図3に示すように、燃料ガス導入マニホールド171を形成するボルト22Dの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス導入マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
図4および図5に示すように、発電の最小単位である発電単位102は、単セル110と、セパレータ120と、空気極側フレーム130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電体144と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150におけるZ方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿通される連通孔108に対応する孔が形成されている。
インターコネクタ150は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばフェライト系ステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100は一対のエンドプレート104,106を備えているため、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向(発電単位102が並ぶ配列方向)に互いに対向する空気極(カソード)114および燃料極(アノード)116とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で電解質層112および空気極114を支持する燃料極支持形の単セルである。
電解質層112は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、SDC(サマリウムドープセリア)、GDC(ガドリニウムドープセリア)、ペロブスカイト型酸化物等の固体酸化物により形成されている。空気極114は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)、LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)、LNF(ランタンニッケル鉄))により形成されている。燃料極116は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子からなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。このように、本実施形態の単セル110(発電単位102)は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の貫通孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。セパレータ120における貫通孔121を取り囲む部分(以下、「貫通孔周囲部122」という)は、単セル110における上下方向の一方側(図面中の上側)の表面の周縁部に対向している。なお、本実施形態では、空気極114はZ方向視における大きさが電解質層112より小さいため、セパレータ120における貫通孔周囲部122は、単セル110における上側の表面の内、電解質層112により構成された表面に対向している。セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、単セル110(電解質層112)と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画される。なお、セパレータ120が接合された単セル110をセパレータ付単セル118ともいう。
接合部124に対して空気室166側には、ガラスにより形成されたガラスシール部125が配置されている。ガラスシール部125は、セパレータ120の表面と、単セル110の表面(本実施形態では、単セル110の表面の内、電解質層112により構成された表面)との両方に接触するように形成されている。ガラスシール部125により、空気室166と燃料室176との間がシールされ、両者の間のガスリーク(クロスリーク)が効果的に抑制される。
空気極側フレーム130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。空気極側フレーム130は、セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス導入マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通孔132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通孔133とが形成されている。
燃料極側フレーム140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム140は、セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、燃料極側フレーム140には、燃料ガス導入マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通孔143とが形成されている。
燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ対向部146と、電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。電極対向部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102におけるインターコネクタ対向部146は、下側のエンドプレート106に接触している。燃料極側集電体144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。なお、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサー149が配置されている。そのため、燃料極側集電体144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電体144を介した燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との電気的接続が良好に維持される。
空気極側集電体134は、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、複数の略四角柱状の集電体要素135から構成されており、例えば、フェライト系ステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、上側のエンドプレート104に接触している。空気極側集電体134は、このような構成であるため、空気極114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)とを電気的に接続する。なお、本実施形態では、空気極側集電体134とインターコネクタ150とは一体の部材として形成されている。すなわち、該一体の部材の内の、上下方向(Z軸方向)に直交する平板形の部分がインターコネクタ150として機能し、該平板形の部分から空気極114に向けて突出するように形成された複数の凸部である集電体要素135が空気極側集電体134として機能する。また、空気極側集電体134とインターコネクタ150との一体部材は、導電性のコートによって覆われていてもよく、空気極114と空気極側集電体134との間には、両者を接合する導電性の接合層が介在していてもよい。
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通孔142を介して、燃料室176に供給される。
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
各発電単位102の空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、図2および図4に示すように、酸化剤ガス排出連通孔133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、各発電単位102の燃料室176から排出された燃料オフガスFOGは、図3および図5に示すように、燃料ガス排出連通孔143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出され、さらに燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
A−3.燃料電池スタック100の製造方法:
図6は、本実施形態における燃料電池スタック100の製造方法の一例を示すフローチャートである。また、図7は、本実施形態における燃料電池スタック100の製造方法の内のセパレータ付単セル118の製造方法の概要を示す説明図である。図7の第1〜第4列には、それぞれ、以下に説明する第1〜第4の熱処理における温度Tの時間変化が示されると共に、第1〜第4の熱処理中に各部材に作用する力が矢印により示されている。
図6に示すように、はじめに、第1の熱処理によって、電解質層112の形成材料と燃料極116の形成材料とを焼成することにより、電解質層112と燃料極116との積層体(以下、「ハーフセル」という)を形成する(S110)。より詳細には、例えば、BET法による比表面積が例えば5〜7m/gであるYSZ粉末に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるジオクチルフタレート(DOP)と、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調製する。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、例えば厚さ約10μmの電解質層用グリーンシートを得る。また、BET法による比表面積が例えば3〜4m/gであるNiOの粉末を、Ni重量に換算して55質量部となるように秤量し、BET法による比表面積が例えば5〜7m/gであるYSZの粉末45質量部と混合して混合粉末を得る。この混合粉末に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調製する。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、例えば厚さ270μmの燃料極用グリーンシートを得る。電解質層用グリーンシートと燃料極用グリーンシートとを貼り付けて、乾燥させる。その後、図7に示すように、第1の熱処理として、互いに貼り付けられた電解質層用グリーンシートおよび燃料極用グリーンシートを、温度T(1)(例えば1200℃〜1400℃)で焼成することにより、電解質層112と燃料極116との積層体(ハーフセル)を得る。なお、第1の熱処理における温度T(1)とは、昇温段階(図7のS1)および降温段階(同S3)ではなく、略定温段階(同S2)における温度を意味する。第2〜第4の熱処理についても同様である。
次に、第2の熱処理によって、空気極114の形成材料を焼成することにより、電解質層112と燃料極116との積層体(ハーフセル)に空気極114を形成して、単セル110を製造する(S120)。より詳細には、例えば、LSCF粉末と、アルミナ粉末と、有機バインダとしてのポリビニルアルコールと、有機溶媒としてのブチルカルビトールとを混合し、粘度を調整して、空気極用ペーストを調製する。調整された空気極用ペーストを、電解質層112と燃料極116との積層体(ハーフセル)における電解質層112側の表面に、例えばスクリーン印刷によって塗布し、乾燥させる。なお、空気極用ペーストの塗布方法として、例えば噴霧塗布といった他の方法も採用可能である。その後、図7に示すように、第2の熱処理として、塗布された空気極用ペーストを、第1の熱処理における温度T(1)より低い温度T(2)(例えば950℃〜980℃)で焼成することにより、電解質層112と燃料極116との積層体(ハーフセル)における電解質層112側に空気極114が形成され、単セル110が製造される。
次に、第3の熱処理によって、単セル110にセパレータ120をろう付けして、セパレータ付単セル118を製造する(S130)。より詳細には、例えば、セパレータ120の貫通孔周囲部122の表面と、単セル110におけるセパレータ120の貫通孔周囲部122に対向すべき表面(電解質層112により構成される表面)とに、例えばスクリーン印刷機やディスペンサ等によって、ペースト状のろう材(例えばAgろう材)を塗布する。その後、セパレータ120と単セル110とを、それぞれに塗布されたろう材が接触するように位置合わせした状態で、図7に示すように、第3の熱処理として、第1の熱処理における温度T(1)より低く、かつ、第2の熱処理における温度T(2)より高い温度T(3)(例えば990℃〜1100℃)で加熱することによりろう材を溶融させ、その後に冷却してろう材を硬化させることにより、単セル110とセパレータ120とをろう付け接合してセパレータ付単セル118を製造する。
次に、第4の熱処理によって、ガラスを含む形成材料を溶融および硬化させることにより、ガラスシール部125を形成する(S140)。より詳細には、ガラスを含むペーストを、例えばスクリーン印刷機やディスペンサ等によって、セパレータ付単セル118における単セル110の表面(電解質層112により構成される表面)とセパレータ120の表面との両方に接触するように塗布する。その後、図7に示すように、第4の熱処理として、第2の熱処理における温度T(2)より低い温度T(4)(例えば800℃〜900℃)で加熱することによりガラスを溶融させ、その後に冷却してガラスを硬化させることにより、ガラスシール部125を形成する。
上述した製造方法により複数のセパレータ付単セル118を製造し、製造された複数のセパレータ付単セル118や他の部材を組み立てる組み立て工程を行う(S150)。以上の工程により、上述した構成の燃料電池スタック100が製造される。なお、本実施形態の燃料電池スタック100の製造方法において、燃料極116は特許請求の範囲における第1の電極に相当し、空気極114は特許請求の範囲における第2の電極に相当する。
A−4.第1実施形態の効果:
図8は、比較例におけるセパレータ付単セル118の製造方法の概要を示す説明図である。図8に示す比較例のセパレータ付単セル118の製造方法では、第2の熱処理における温度T(2)は、第1の熱処理における温度T(1)より低く、第3の熱処理における温度T(3)は、第2の熱処理における温度T(2)より低く、第4の熱処理における温度T(4)は、第3の熱処理における温度T(3)より低い。すなわち、図8に示す比較例のセパレータ付単セル118の製造方法では、第2の熱処理における温度T(2)と第3の熱処理における温度T(3)との高低関係が、図7に示す本実施形態のセパレータ付単セル118の製造方法と逆になっており、第2の熱処理における温度T(2)が比較的高くなっている。
一般に、燃料極116等の電極は電解質層112と比較して多孔質であるため、第1の熱処理によって燃料極116と電解質層112との積層体(ハーフセル)を形成すると、図7および図8の第1列に示すように、電解質層112と比べて燃料極116の焼成収縮量が大きくなり、積層体は電解質層112側に凸に反った形状となる。
上述したように、図8に示す比較例におけるセパレータ付単セル118の製造方法では、空気極114の形成材料を焼成するための第2の熱処理における温度T(2)が比較的高い。そのため、図8の第2列に示すように、第2の熱処理において空気極114の焼成収縮が十分になされ、第2の熱処理の終了時において単セル110は略平坦形状になる。
また、その後の第3の熱処理における温度T(3)は第2の熱処理における温度T(2)より低いため、第3の熱処理において空気極114の焼成収縮はほとんど起こらない。一方、第3の熱処理において単セル110における空気極114側の表面にセパレータ120をろう付け接合すると、加熱後の温度低下に伴い、セパレータ120の熱収縮が発生する。この際、セパレータ120における単セル110側の表面の一部がろう付け部(接合部124)により拘束されているため、セパレータ120における単セル110側の表面の熱収縮量は、セパレータ120における反対側の表面の熱収縮量より小さくなる。そのため、図8の第3列に示すように、セパレータ120の熱収縮によって、単セル110を燃料極116側に凸に反らせるような力が発生する。従って、第3の熱処理の終了時には、セパレータ付単セル118を構成する単セル110が、燃料極116側に凸に反った形状となる。
また、図8の第4列に示すように、第4の熱処理によってガラスシール部125を形成すると、セパレータ付単セル118を構成する単セル110の燃料極116側への反りがさらに大きくなる。
このように、図8に示す比較例におけるセパレータ付単セル118の製造方法では、第2の熱処理の終了時において単セル110が略平坦形状になり、その後の第3の熱処理および第4の熱処理を経ると、セパレータ付単セル118を構成する単セル110が燃料極116側に反った形状となる。セパレータ付単セル118を構成する単セル110に反りが発生すると、複数のセパレータ付単セル118を組み立てて燃料電池スタック100を構成する際や、燃料電池スタック100の運転中に、単セル110において応力集中が発生し、セル割れによる性能低下が発生するおそれがある。
一方、本実施形態におけるセパレータ付単セル118の製造方法では、空気極114の形成材料を焼成するための第2の熱処理における温度T(2)が比較的低い。そのため、図7の第2列に示すように、第2の熱処理において空気極114の焼成収縮が十分になされず、第2の熱処理の終了時において単セル110は空気極114側に凸に反った形状に維持される。
また、図7の第3列に示すように、その後の第3の熱処理においても、空気極114の焼成収縮が起こる。また、上述したように、第3の熱処理における加熱後の温度低下に伴い、セパレータ120の熱収縮が発生し、単セル110を燃料極116側に凸に反らせるような力が発生する。これらの影響により、第3の熱処理の終了時には、第2の熱処理の終了時と比べて、単セル110の反りが緩和されて(反った形状の高さが低くなって)、単セル110は平坦形状になるか、ごくわずかに空気極114側に凸に反った形状になる。なお、第1の熱処理における温度T(1)は、第2の熱処理における温度T(2)および第3の熱処理における温度T(3)より高いため、第2の熱処理や第3の熱処理において燃料極116の焼成収縮はほとんど起こらず、燃料極116の焼成収縮を原因として単セル110が空気極114側に凸に反ることが抑制される。
また、図7の第4列に示すように、第4の熱処理によってガラスシール部125を形成すると、セパレータ付単セル118を構成する単セル110は、ごくわずかに燃料極116側に凸に反った形状になるか、平坦形状になる。
このように、図7に示す本実施形態のセパレータ付単セル118の製造方法によれば、第2の熱処理における温度T(2)が第3の熱処理における温度T(3)より低いため、第2の熱処理の終了後に単セル110が空気極114側に凸に反った形状となり、第3の熱処理の終了後に単セル110の凸に反った形状の高さが第2の熱処理の終了後よりも低くなる。そのため、単セル110の反りを抑制して平坦性を向上させることができ、複数のセパレータ付単セル118を組み立てて燃料電池スタック100を構成する際や、燃料電池スタック100の運転中に、単セル110に割れが発生することを抑制することができる。
また、本実施形態のセパレータ付単セル118の製造方法では、ガラスシール部125を形成するための第4の熱処理における温度T(4)が第2の熱処理における温度T(2)より低い。そのため、第4の熱処理におけるガラスシール部125の形成材料の収縮によって単セル110が燃料極116に凸に反る動きが抑制され、単セル110の反りを抑制して平坦性をさらに向上させることができる。
A−5.性能評価:
上述した本実施形態の製造方法と比較例の製造方法とによってセパレータ付単セル118のサンプルを製造し、製造された各サンプルを用いて性能評価を行った。図9は、各製造方法における各熱処理の温度を示す説明図であり、図10は、性能評価結果を示す説明図である。
図9に示すように、サンプルNo.1のセパレータ付単セル118の製造方法(本実施形態)では、第2の熱処理における温度T(2)を975℃とし、第3の熱処理における温度T(3)を1000℃とし、第4の熱処理における温度T(4)を800℃とした。一方、サンプルNo.2のセパレータ付単セル118の製造方法(比較例)では、第2の熱処理における温度T(2)を1075℃とし、第3の熱処理における温度T(3)を1000℃とし、第4の熱処理における温度T(4)を800℃とした。なお、いずれの製造方法においても、第2の熱処理における定温段階(図7および図8のS5)の継続時間は約60〜180分であり、第3の熱処理における定温段階(同S8)の継続時間は約30〜90分であり、第4の熱処理における定温段階(同S11)の継続時間は約60〜180分であった。また、いずれの製造方法においても、第1の熱処理における温度T(1)は1350℃であった。
図9に示す温度条件での第1〜第4の熱処理により、ガラスシール部125が形成されたセパレータ付単セル118のサンプルを製造し、各熱処理終了時における単セル110の反り量を算出した。具体的には、製造された単セル110を水平面に載置し、レーザー変位計で最上点と最下点との位置を計測し、それらの差を反り量として算出した。なお、図10に示す反り量に関し、正の数値は単セル110が空気極114側に凸に反っていることを示し、負の数値は単セル110が燃料極116側に凸に反っていることを示している。
図10に示すように、第2の熱処理の終了時には、本実施形態の製造方法により製造されたサンプルNo.1のセパレータ付単セル118でも、比較例の製造方法により製造されたサンプルNo.2のセパレータ付単セル118でも、単セル110が空気極114側に凸に反った状態であった。ただし、サンプルNo.1と比較して、サンプルNo.2では、反りの絶対値が小さく(反った形状の高さが低く)、平坦形状により近い状態であった。
また、第3の熱処理の終了時には、サンプルNo.1でもサンプルNo.2でも、単セル110が燃料極116側に凸に反った状態であった。ただし、サンプルNo.2と比較して、サンプルNo.1では、反りの絶対値が小さく(反った形状の高さが低く)、平坦形状により近い状態であった。
また、第4の熱処理の終了時には、サンプルNo.1でもサンプルNo.2でも、第3の熱処理の終了時より単セル110の燃料極116側への反り量が増加した。ただし、サンプルNo.2と比較して、サンプルNo.1では、反りの絶対値が小さく(反った形状の高さが低く)、平坦形状により近い状態であった。
以上説明した性能評価からも、上述した本実施形態のセパレータ付単セル118の製造方法によれば、単セル110の反りを抑制して平坦性を向上させることができることが確認された。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態(または変形例、以下同様)では、セパレータ120は単セル110における空気極114側の表面にろう付けされているが、反対に、セパレータ120は単セル110における燃料極116側の表面にろう付けされているとしてもよい。すなわち、空気極114が特許請求の範囲における第1の電極に相当し、燃料極116が特許請求の範囲における第2の電極に相当するとしてもよい。この場合には、セパレータ付単セル118の製造の際に、第1の熱処理によって空気極114と電解質層112との積層体が形成され、第2の熱処理によって該積層体の電解質層112側の表面に燃料極116が形成され、第3の熱処理によって単セル110における燃料極116側の表面にセパレータ120がろう付けされるとしてもよい。この場合においても、第2の熱処理の終了後に単セル110が燃料極116側に凸に反った形状となり、第3の熱処理の終了後に単セル110の凸に反った形状の高さが第2の熱処理の終了後よりも低くなっているとすれば、単セル110の反りを抑制して平坦性を向上させることができる。具体的には、第2の熱処理における温度を第3の熱処理における温度より低くすれば、単セル110の反りを抑制して平坦性を向上させることができる。
また、上記実施形態では、セパレータ付単セル118にガラスシール部125が形成されるとしているが、ガラスシール部125の形成は省略可能である。
また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる単セル110の個数は、あくまで一例であり、単セル110の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。また、上記実施形態における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。また、本明細書において、部材(または部材のある部分、以下同様)Aを挟んで部材Bと部材Cとが互いに対向するとは、部材Aと部材Bまたは部材Cとが隣接する形態に限定されず、部材Aと部材Bまたは部材Cとの間に他の構成要素が介在する形態を含む。例えば、電解質層112と空気極114との間に他の層が設けられていてもよい。このような構成であっても、空気極114と燃料極116とは電解質層112を挟んで互いに対向すると言える。
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の最小単位である電解セルや、複数の電解セルを備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2014−207120号に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替え、単セル110を電解セルと読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、連通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、連通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。
22:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 100:燃料電池スタック 102:発電単位 104:エンドプレート 106:エンドプレート 108:連通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 118:セパレータ付単セル 120:セパレータ 121:貫通孔 122:貫通孔周囲部 124:接合部 125:ガラスシール部 130:空気極側フレーム 131:孔 132:酸化剤ガス供給連通孔 133:酸化剤ガス排出連通孔 134:空気極側集電体 135:集電体要素 140:燃料極側フレーム 141:孔 142:燃料ガス供給連通孔 143:燃料ガス排出連通孔 144:燃料極側集電体 145:電極対向部 146:インターコネクタ対向部 147:連接部 150:インターコネクタ 161:酸化剤ガス導入マニホールド 162:酸化剤ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料ガス導入マニホールド 172:燃料ガス排出マニホールド 176:燃料室

Claims (2)

  1. 電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を含む電気化学反応単セルと、
    前記第1の方向に貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔を取り囲む部分である貫通孔周囲部が前記電気化学反応単セルの前記第1の方向の一方側の表面にろう付けされ、前記空気極に面する空気室と前記燃料極に面する燃料室とを区画する金属製のセパレータと、
    を備えるセパレータ付電気化学反応単セルの製造方法において、
    第1の熱処理によって、前記空気極と前記燃料極との内、前記第1の方向の他方側に配置される第1の電極の形成材料と、前記電解質層の形成材料とを焼成することにより、前記第1の電極と前記電解質層との積層体を形成する工程と、
    第2の熱処理によって、前記空気極と前記燃料極との内、前記第1の方向の前記一方側に配置される第2の電極の形成材料を焼成することにより、前記積層体の前記一方側に前記第2の電極を形成する工程と、
    第3の熱処理によって、前記電気化学反応単セルに前記セパレータをろう付けする工程と、
    第4の熱処理によって、ガラスを含む形成材料を溶融および硬化させることにより、前記セパレータの表面と前記電気化学反応単セルの表面との両方に接触して前記空気室と前記燃料室との間をシールするガラスシール部を形成する工程と、
    を備え、
    前記第2の熱処理における温度は、前記第3の熱処理における温度より低く、
    前記第4の熱処理における温度は、前記第2の熱処理における温度より低いことを特徴とする、セパレータ付電気化学反応単セルの製造方法。
  2. 請求項1に記載のセパレータ付電気化学反応単セルの製造方法において、
    前記電気化学反応単セルは、燃料電池単セルであることを特徴とする、セパレータ付電気化学反応単セルの製造方法。
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