JP2018029023A - 電気化学反応単セルおよび電気化学セルスタック - Google Patents

電気化学反応単セルおよび電気化学セルスタック Download PDF

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Abstract

【課題】中間層に起因する電気化学反応単セルの特性低下を抑制する。【解決手段】電解質層と、電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、電解質層と、空気極または燃料極との間に配置されている中間層と、を備える電気化学反応単セルにおいて、中間層の電解質層とは反対側の表面状態は、以下の式(1)により規定される条件と式(2)により規定される条件とをともに満たすことを特徴とする、電気化学反応単セル。0.19(μm)<粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)<1.5(μm)・・・(1)5(μm)<粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)<34(μm)・・・(2)【選択図】図6

Description

本明細書に開示される技術は、電気化学反応単セルに関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」という)が知られている。SOFCの構成単位である燃料電池単セル(以下、「単セル」という)は、固体酸化物を含む電解質層と、電解質層を挟んで所定の方向(以下、「配列方向」という)に互いに対向する空気極および燃料極とを備える。このようなセルの中には、例えば、電解質層と空気極との境界面付近で、空気極に含まれる物質が電解質層に含まれる物質と反応して高抵抗層が形成されることを抑制するために、空気極と電解質層との間にイオン伝導性材料を含む中間層が配置されたものが知られている(例えば特許文献1)。
特開2010−3478号公報
中間層の上記配列方向の厚さ(以下、「中間層の厚さ」という)が厚くなると、セルの抵抗値が増大するため、中間層の厚さを薄くすることが好ましい。しかし、中間層の厚さが薄すぎると、中間層にクラック(割れ)が生じ易くなり、クラックが生じることにより、中間層が上述の高抵抗層の形成を抑制するという役割を果たせなくなるおそれがある。
なお、このような課題は、SOFCの単セルに限らず、他のタイプの燃料電池(金属−空気電池システムを含む)の単セルにも共通の課題である。また、このような課題は、燃料電池単セル限らず、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う電解セルの構成単位である電解単セルにも共通の課題である。なお、本明細書では、燃料電池単セルと電解単セルとをまとめて電気化学反応単セルという。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される電気化学反応単セルは、電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、電解質層と、前記空気極または前記燃料極との間に配置されている中間層と、を備える電気化学反応単セルにおいて、前記中間層の前記電解質層とは反対側の表面状態は、以下の式(1)により規定される条件と四式(2)により規定される条件とをともに満たす。
0.19(μm)<粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)<1.5(μm)・・・(1)
5(μm)<粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)<34(μm)・・・(2)
本願発明者は、中間層の電解質層とは反対側の表面状態が、上記式(1)により規定される条件と式(2)により規定される条件とをともに満たす場合、電気化学反応単セルの特性低下を抑制することができることを実験により発見した。該条件を満たす場合、中間層を薄く形成する場合でも、中間層の電解質とは反対側の表面の状態の凹凸の大きさが中間層の厚みに対して比較的に小さい状態であることによって、中間層にクラックが発生することを抑制することができる。また、中間層の電解質層とは反対側の表面の所定長さにおける、凹凸の量が多く設定でき、中間層と電解質とは反対側の層との接触面積が確実に確保されることが想定される。これにより、本電気化学反応単セルによれば、中間層に起因する電気化学反応単セルの特性低下(例えば、中間層自身が持つ抵抗値の増加や、中間層と他の層との界面抵抗の増加)を抑制することができる。
(2)上記電気化学反応単セルにおいて、前記中間層の前記第1の方向の厚さは、以下の式(3)により規定により規定される条件を満たす構成としてもよい。
1.5(μm)<前記中間層の前記第1の方向の厚さ≦8.7(μm)・・・(3)
本電気化学反応単セルによれば、中間層が薄くなり過ぎて、中間層に欠陥(厚み方向の貫通)やクラックが発生することを抑制できる。また、中間層が厚くなり過ぎることによる中間層自身の抵抗値の上昇を抑えることができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電気化学反応単セル(燃料電池単セルまたは電解セル)、電気化学反応単位(燃料電池発電単位)、複数の電気化学反応単セルを備える電気化学反応セルスタック(燃料電池スタックまたは電解セルスタック)、その製造方法等の形態で実現することが可能である。
実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図である。 図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図である。 図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。 図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図である。 図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。 燃料極116の性能評価の結果を示す説明図である。 単セル110の性能評価の結果を示すグラフである。 中間層300と空気極114との境界付近の断面の状態と、谷の深さおよびピーク量との関係を示す説明図である。
A.実施形態:
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を「上方向」といい、Z軸負方向を「下方向」というものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。なお、燃料電池スタックは、特許請求の範囲における電気化学反応セルスタックに相当する。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)発電単位102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、「連通孔108」という。
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿入されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の上端を構成するエンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の下端を構成するエンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24とエンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102に供給するガス流路である酸化剤ガス導入マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102に供給する燃料ガス導入マニホールド171として機能し、該辺の反対側の辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、図2に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス導入マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図3に示すように、燃料ガス導入マニホールド171を形成するボルト22Dの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス導入マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
図4および図5に示すように、発電の最小単位である発電単位102は、単セル110と、セパレータ120と、空気極側フレーム130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電体144と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150におけるZ方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿入される連通孔108に対応する孔が形成されている。単セル110は、特許請求の範囲における電気化学反応単セルに相当する。
インターコネクタ150は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばフェライト系ステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100は一対のエンドプレート104,106を備えているため、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向(発電単位102が並ぶ配列方向)に互いに対向する空気極(カソード)114および燃料極(アノード)116と、電解質層112と空気極114との間に配置される中間層300とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で電解質層112と中間層300と空気極114とを支持する燃料極支持形の単セルである。
電解質層112は、略矩形の平板形状部材であり、少なくともZrを含んでおり、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、CaSZ(カルシア安定化ジルコニア)等の固体酸化物により形成されている。空気極114は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)、LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)、LNF(ランタンニッケル鉄))により形成されている。燃料極116は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子からなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。このように、本実施形態の単セル110(発電単位102)は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。
図4および図5に示すように、中間層300は、電解質層112と空気極114との間に配置されている。中間層300は、空気極114より一周り大きいサイズの方形の平板形状部材である。このため、上記配列方向(上下方向)視で、中間層300の電解質層112とは反対側の表面(空気極114側の表面 以下、「中間層300の電極側表面301」という)の周縁部分は、空気極114より外側に張り出している。また、中間層300は、例えば、SDC、GDC、ペロブスカイト型酸化物といったイオン伝導性を有する固体酸化物により形成されている。仮に、電解質層112と空気極114との間に中間層300が無い場合、燃料電池スタック100の運転動作時のような高温条件下において、空気極114に含まれる金属の元素(例えばSrやLa (以下、「拡散元素」ともいう))と、電解質層112に含まれる遷移元素(例えばZr)とが反応して空気極114と電解質層112との境界付近に高抵抗層(例えばSrZrO)が形成されることにより、単セル110の発電効率が低下することがある。
これに対して、本実施形態の単セル110では、中間層300が、電解質層112と空気極114との間に配置されている。このため、中間層300は、空気極114に含まれる金属の元素と、電解質層112に含まれる遷移元素とが反応して高抵抗層が形成されることを防止する反応防止層としての機能を有する。また、中間層300は、イオン伝導性を有する固体酸化物により形成されている。このため、中間層300は、酸化剤ガスOGに含まれる酸素分子のイオン化反応により空気極114にて生成された酸化物イオンを電解質層112へと見かけ上移動させる機能を有する。
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。セパレータ120における孔121の周囲部分は、電解質層112における空気極114の側の表面の周縁部に対向している。セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、電解質層112(単セル110)と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリークが抑制される。なお、セパレータ120が接合された単セル110を「セパレータ付き単セル」という。
空気極側フレーム130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。空気極側フレーム130は、セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス導入マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通孔132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通孔133とが形成されている。
燃料極側フレーム140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム140は、セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、燃料極側フレーム140には、燃料ガス導入マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通孔143とが形成されている。
燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ対向部146と、電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。電極対向部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102におけるインターコネクタ対向部146は、下側のエンドプレート106に接触している。燃料極側集電体144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。なお、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサー149が配置されている。そのため、燃料極側集電体144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電体144を介した燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との電気的接続が良好に維持される。
空気極側集電体134は、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、複数の略四角柱状の集電体要素135から構成されており、例えば、フェライト系ステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、上側のエンドプレート104に接触している。空気極側集電体134は、このような構成であるため、空気極114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)とを電気的に接続する。なお、空気極側集電体134とインターコネクタ150とが一体の部材として形成されていてもよい。
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通孔142を介して、燃料室176に供給される。
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
各発電単位102の空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、図2および図4に示すように、酸化剤ガス排出連通孔133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、各発電単位102の燃料室176から排出された燃料オフガスFOGは、図3および図5に示すように、燃料ガス排出連通孔143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出され、さらに燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
A−3.中間層300の詳細構成:
中間層300の電極側表面301の状態は、以下の式(1)により規定される条件1と式(2)により規定される条件2とをともに満たす。
0.19(μm)<粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)<1.5(μm)・・・(1)
5(μm)<粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)<34(μm)・・・(2)
なお、RtおよびRSmの定義は、JIS B 0601 2013に準拠するものとする。さらに、0.5(μm)<Rt<1.5(μm)、かつ、15(μm)<RSm<20(μm)であることがより好ましい。
また、中間層300の配列方向(上下方向)の厚さは、以下の式(3)により規定により規定される条件3を満たす。
1.5(μm)<中間層300の前記第1の方向の厚さ≦8.7(μm)・・・(3)
さらに、中間層300の配列方向の厚さは、次の条件4を満たすことが好ましい。
1.5(μm)<中間層300の前記第1の方向の厚さ<4.0・・・(4)
A−4.単セル110の製造方法:
本実施形態における単セル110の製造方法の一例は、次の通りである。
まず、BET法による比表面積が例えば5〜7(m/g)であるYSZの粉末に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるジオクチルフタレート(DOP)と、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合してスラリーを調製する。得られたスラリーをドクターブレード法によって薄膜化することにより、例えば厚さ10(μm)の電解質層用グリーンシートを得る。
また、BET法による比表面積が例えば3〜4(m/g)であるNiOの粉末を、Ni重量に換算して例えば55質量部となるように秤量し、BET法による比表面積が例えば5〜7(m/g)である例えば45質量部のYSZ粉末と混合して混合粉末を得る。この混合粉末に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合してスラリーを調製する。得られたスラリーをドクターブレード法によって薄膜化することにより、例えば厚さ10(μm)の燃料極用グリーンシートを得る。
電解質層用グリーンシートと燃料極用グリーンシートとを貼り合わせて乾燥させ、例えば1400(℃)にて同時焼成を行い、電解質層112と燃料極116との積層体を得る。
次に、BET法による比表面積が例えば11〜17(m/g)であるGDC粉末を、例えば0〜80(hr)の時間だけ粉砕し、粉砕後のGDC粉末に、アクリルバインダーとイソプロピルアルコールとからなる溶媒を添加し、混合し、中間層形成用のスラリーを調製する。調整したスラリーを、電解質層112と燃料極116との積層体における電解質層112側の表面にスクリーン印刷法にて印刷する。スラリーが印刷された積層体に、例えば1250〜1310(℃)にて焼成を行うことにより、中間層300を形成する。ここで、GDC粉末の初期(粉砕前)のBET法による比表面積(以下、「初期BET」という)と、GDC粉末の粉砕時間と、中間層300の焼成温度とを適宜調整することにより、中間層300の電極側表面301を、上記条件1および条件2を満たす表面状態にすることができる。また、積層体における電解質層112側の表面に印刷する中間層形成用のスラリーの厚さを調整することによって、中間層300の配列方向(上下方向)の厚さを、上記条件3を満たす厚さにすることができる。
次に、LSCF(例えばLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8)の粉末とイソプロピルアルコールとからなる混合液を作成し、この混合液を、中間層300が形成された上記積層体における中間層300側の表面に塗布し、例えば1100(℃)以上の温度にて焼成を行うことにより、空気極114を形成する。
A−5.性能評価:
図6は、燃料極116の性能評価の結果を示す説明図である。図7は、単セル110の性能評価の結果を示すグラフである。図6に示すように、性能評価には、上述の単セル110であって、中間層300の電極側表面301のRtとRSmとの組み合わせが互いに異なる10種類のサンプルを用いた。なお、図7は、サンプル1〜8の性能評価を示す。
(サンプル)
10種類のサンプルは、上述の製造方法において、初期BET(11〜17(m/g))と、GDC粉末の粉砕時間(0〜80(hr))と、中間層300の焼成温度(1250〜1310(℃))との組み合わせを適宜変えることにより作製される。作製された各サンプルについて、中間層300の電極側表面301の側方に張り出した上記周縁部分のRtとRSmとを、公知の測定方法により測定し、その測定結果を、当該電極側表面301の内、空気極114に対向(接触)する部分(導電路として機能する部分)のRtとRSmとであるものとする。
サンプル1〜3では、初期BETと中間層300の焼成温度とが互いに同じであるのに対し、GDC粉末の粉砕時間が互いに異なる。サンプル1〜3によれば、GDC粉末の粉砕時間が長いほど、Rtが小さくなることが分かる。サンプル3,4では、初期BETとGDC粉末の粉砕時間とが互いに同じであるのに対し、中間層300の焼成温度が互いに異なる。サンプル3,4によれば、中間層300の焼成温度が高いほど、RtとRSmとがいずれも大きくなることが分かる。サンプル1,8では、GDC粉末の粉砕時間と中間層300の焼成温度とが互いに同じであるのに対し、初期BETが互いに異なる。サンプル1,8によれば、初期BETが大きいほど、Rtは小さくなり、RSmは大きくなることが分かる。
(初期特性評価)
初期特性評価では、各サンプルの単セル110について、約700(℃)で空気極114に酸化剤ガスOGを供給し、燃料極116に燃料ガスFGを供給し、電流密度が0.55(A/cm)のときの単セル110の出力電圧を測定し、その測定値を、初期電圧(定格発電運転前の出力電圧)とした。そして、各サンプルについて、初期電圧が判定電圧(例えば0.93(V))以上である場合「○」とし、判定電圧未満である場合「×」とした。
その結果、図6に示すように、サンプル1,2,5,8,9,10のいずれも、中間層300の電極側表面301について、Rtは0.19(μm)より大きく、1.5(μm)未満であり、RSmは、5(μm)より大きく、34(μm)未満である。すなわち、サンプル1,2,5,8,9,10のいずれも、中間層300の電極側表面301の表面状態が上記条件1および条件2の両方を満たす。そして、サンプル1,2,5,8,9,10のいずれも、初期特性評価が「○」になっている。一方、サンプル6では、中間層300の電極側表面301について、Rtは1.5(μm)より大きい。また、サンプル3,4,7のいずれも、中間層300の電極側表面301について、RSmは、34(μm)以上である。すなわち、サンプル3,4,6,7のいずれも、中間層300の電極側表面301の表面状態が上記条件1および条件2の少なくとも一方を満たさない。そして、サンプル3,4,6,7のいずれも、初期特性評価が「×」になっている。
より具体的には、サンプル5とサンプル6とは、RSmは互いに同じだが、サンプル5では、Rtは0.89(μm)であり、初期特性評価は「○」になっているのに対して、サンプル6では、Rtは1.97(μm)であり、初期特性評価は「×」になっている。また、サンプル6とサンプル8とは、RSmは互いにほぼ同じだが、サンプル6では、Rtは01.97(μm)であり、初期特性評価は「×」になっているのに対して、サンプル8では、Rtは0.86(μm)であり、初期特性評価は「○」になっている。これらのことは、Rtが小さいほど、単セル110の初期電圧が高くなることを意味する。
しかし、Rtが小さければ、初期特性評価は「○」になるとは限らない。サンプル3のRtは、0.39(μm)であり、サンプル6,8のRtに比べて小さいにもかかわらず、初期特性評価は「×」になっている。サンプル3のRSmが37.3(μm)であり、サンプル6,8のRSmより大きい。このことは、Rtが小さくても、RSmが大き過ぎると、単セル110の初期電圧が低くなることを意味する。なお、LSCFをGDCが構成する谷に入り込ませて所定のアンカー効果を得るために、Rtは、0.19(μm)より大きいことが好ましい。また、LSCFの平均粒径は、0.08(μm)〜0.33(μm)が好ましい。また、サンプル10とサンプル8とは、RtとRsmとが互いに近似しているが、中間層の厚みはサンプル8よりサンプル10の方が薄い。このことは、RtとRsmとを同程度としたときには、中間層300が薄いほど、中間層300自身の抵抗値を小さくでき、初期特性を向上させることができることを意味する。
次に、RtとRSmと初期特性との関係について想定されるメカニズムを説明する。図8は、中間層300と空気極114との境界付近の断面の状態と、谷の深さおよびピーク量との関係を示す説明図である。上述したように、Rtは、粗さ曲線の最大断面高さであり、具体的には、中間層300の電極側表面301において互いに隣り合う山と谷との高低差の最大値(図8のH1,H2 以下、「谷の深さ(ピーク高さ)」という)を意味する。Rtが大きいほど谷の深さが深いことを意味する。一方、RSmは、粗さ曲線要素の平均長さであり、具体的には、電極側表面301の単位長さ当たりの山の数(以下「ピーク量」という)を意味する。RSmが大きいほど、ピーク量が多く、これに伴って、隣り合う山の頂点同士の距離(図8のD1,D2 以下、「谷の開口幅」という)が狭くなることを意味する。
図8の左上に示す表面状態(1)では、谷の深さがH1であり、谷の開口幅はD1であり、図8の左下に示す表面状態(2)では、谷の深さは、H2(<H1)であり、表面状態(1)より浅く、谷の開口幅は、表面状態(1)と同じである。表面状態(1)と表面状態(2)とを比較すると、谷の深さが浅いほど、LSCFが、中間層300の谷の奥まで入り込むことができるため、谷を構成するGDCの内、LSCFと接触しないGDCが少なくなる。すなわち、Rtが小さいほど、谷を構成するGDCとLSCFとの接触面積が大きくなる。谷を構成するGDCとLSCFとの接触面積が大きいことは、空気極114と中間層300との間のイオン伝導性向上の要因になり得る。
次に、図8の右上に示す表面状態(3)では、谷の深さは、表面状態(1)と同じであり、谷の開口幅は、D2(<D1)であり、表面状態(1)より狭い。表面状態(1)と表面状態(3)とを比較すると、谷の開口幅が狭いほど、ピーク量が多くなる分だけ、山の頂点を構成するGDCとLSCFとの接触面積が大きくなる。しかし、谷の開口幅が狭いほど、LSCFが、GDCの谷の奥まで入り込みにくくなるため、谷を構成するGDCの内、LSCFと接触しないGDCが多くなる。すなわち、RSmが大きいほど、山の頂点を構成するGDCとLSCFとの接触面積は大きくなるが、谷を構成するGDCとLSCFとの接触面積が小さくなる。
そうすると、谷の深さは浅く、かつ、谷の開口幅は広い表面状態(2)が最も好ましいようにも思える。しかし、表面状態(1)(2)のように、谷の開口幅が広いほど、谷内において、GDCと接触しないLSCFの数が増えるため、GDCに比べてイオン伝導性が低いLSCFだけで形成されるイオン伝導経路の数が増え、その結果、空気極114と中間層300との間のイオン伝導性低下の要因になり得る。そうすると、図8の右下に示すように、谷の深さはある程度浅く、かつ、谷の開口幅はある程度狭い表面状態(4)が最も好ましいと言える。上記条件1および条件2は、上記性能評価の結果に基づき定められた谷の深さと谷の開口幅との適切な範囲を意味する。
以上のことから、中間層300の電極側表面301のRtとRSmとのいずれか一方だけを調整するだけでは、空気極114と中間層300との間のイオン伝導性を向上させることができず、RtとRSmとの両方を調整することによって、空気極114と中間層300との間のイオン伝導性を向上させ、単セル110の初期電圧を高くすることができると言える。
なお、図6に示すように、単に、中間層300の電極側表面301の算術平均粗さ(Ra)を調整するだけでは、空気極114と中間層300との間のイオン伝導性を向上させることができるとは限らない。例えば、サンプル7のRaは、0.11(μm)であり、サンプル1のRa(0.15(μm))より小さいにもかかわらず、サンプル7の初期特性評価は「×」であるのに対し、サンプル1の初期特性評価は「○」になっている。
A−6.本実施形態の効果:
例えば図8の表面状態(1)(3)のように、中間層300の電極側表面301の谷の深さが深い(Rtが大きい)ほど、アンカー効果により、電解質層112と中間層300との密着性が向上し、空気極114と中間層300との間のイオン伝導性を向上させることができる。しかし、中間層300の電極側表面301の谷の深さが深いほど、中間層300にクラックが生じ易くなり、クラックが生じることにより、中間層300が上述の高抵抗層の形成を抑制するという役割を果たせなくなるおそれがある。これに対して、クラックの発生を抑制するために、中間層300の厚さを厚くすると、セルの抵抗値が増大し、結局、単セル110の発電性能が低下するおそれがある。
上述したように、本願発明者は、中間層300の電極側表面301の谷の深さを深くしなくても、中間層300の電極側表面301の表面状態が上記条件1と条件2とをともに満たす場合、単セル110の特性低下を抑制することができることを実験により発見した。すなわち、Rtを1.5(μm)未満にしても、RSmを5(μm)より大きく、かつ、34(μm)未満にすることによって、単セル110の特性低下を抑制することができる。また、Rtを1.5(μm)未満とすることにより、中間層300の厚さを、1.5(μm)より大きく、かつ、8.7(μm)以下の比較的薄いものにしてもクラックの発生を抑制することができる。さらに、中間層300が比較的薄いので、中間層300自身の抵抗値を小さくすることができる。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態では、中間層として、電解質層112と空気極114との間に配置される中間層300を例示したが、これに限定されず、電解質層112と燃料極116との間に配置される中間層でもよい。この場合、当該中間層の116側の表面の状態が、上述の式(1)により規定される条件と式(2)により規定される条件とをともに満たせば、本発明の効果を得ることができる。また、当該中間層の配列方向(上下方向)の厚さは、上述の式(3)により規定により規定される条件を満たすことが好ましい。
上記実施形態において、中間層300と空気極114との間に別の層が配置された構成でもよい。
また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる発電単位102の個数は、あくまで一例であり、発電単位102の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。
また、上記実施形態では、ボルト22の両側にナット24が嵌められているとしているが、ボルト22が頭部を有し、ナット24はボルト22の頭部の反対側にのみ嵌められているとしてもよい。
また、上記実施形態では、エンドプレート104,106が出力端子として機能するとしているが、エンドプレート104,106の代わりに、エンドプレート104,106のそれぞれと接続された別部材(例えば、エンドプレート104,106のそれぞれと発電単位102との間に配置された導電板)が出力端子として機能するとしてもよい。
また、上記実施形態では、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間の空間を各マニホールドとして利用しているが、これに代えて、各ボルト22の軸部に軸方向の孔を形成し、その孔を各マニホールドとして利用してもよい。また、各マニホールドを各ボルト22が挿入される各連通孔108とは別に設けてもよい。
また、上記実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合には、1つのインターコネクタ150が隣接する2つの発電単位102に共有されるとしているが、このような場合でも、2つの発電単位102がそれぞれのインターコネクタ150を備えてもよい。また、上記実施形態では、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102の上側のインターコネクタ150や、最も下に位置する発電単位102の下側のインターコネクタ150は省略されているが、これらのインターコネクタ150を省略せずに設けてもよい。
また、上記実施形態において、燃料極側集電体144は、空気極側集電体134と同様の構成であってもよく、燃料極側集電体144と隣接するインターコネクタ150とが一体部材であってもよい。また、空気極側フレーム130ではなく燃料極側フレーム140が絶縁体であってもよい。また、空気極側フレーム130や燃料極側フレーム140は、多層構成であってもよい。
また、上記実施形態における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。例えば、燃料極116に含まれるセラミックス粒子は、YSZに限らず、ScSZ、SDC、GDCなどでもよい。要するに、酸素イオン伝導性を有するセラミックス粒子であればよい。また、燃料極116に含まれる金属粒子は、Niに限らず、Fe(鉄)、Pt(白金)、Ag(銀)、Cu(銅)などでもよい。
また、上記実施形態において、都市ガスを改質して水素リッチな燃料ガスFGを得るとしているが、LPガスや灯油、メタノール、ガソリン等の他の原料から燃料ガスFGを得るとしてもよいし、燃料ガスFGとして純水素を利用してもよい。
また、上記実施形態(または変形例、以下同様)では、燃料電池スタック100に含まれるすべての単セル110について、上記実施例範囲を満たす構成であるとしているが、燃料電池スタック100に含まれる少なくとも1つの発電単位102について、そのような構成となっていれば、中間層300に起因する単セル110の特性低下を抑制することができる。
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(SOEC)の最小単位である電解セル単位や、複数の電解セル単位を備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2016−81813号公報に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、連通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、連通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解セル単位および電解セルスタックにおいても、上記実施形態と同様に、中間層300を上記実施形態の構成とすれば、中間層300に起因する単セル110の特性低下を抑制することができる。
22:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 100:燃料電池スタック 102:発電単位 104,106:エンドプレート 108:連通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 120:セパレータ 121,131,141:孔 124:接合部 130:空気極側フレーム 132:酸化剤ガス供給連通孔 133:酸化剤ガス排出連通孔 134:空気極側集電体 135:集電体要素 140:燃料極側フレーム 142:燃料ガス供給連通孔 143:燃料ガス排出連通孔 144:燃料極側集電体 145:電極対向部 146:インターコネクタ対向部 147:連接部 149:スペーサー 150:インターコネクタ 161:酸化剤ガス導入マニホールド 162:酸化剤ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料ガス導入マニホールド 172:燃料ガス排出マニホールド 176:燃料室 300:中間層 301:電極側表面 FG:燃料ガス FOG:燃料オフガス OG:酸化剤ガス OOG:酸化剤オフガス

Claims (3)

  1. 電解質層と、
    前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、
    電解質層と、前記空気極または前記燃料極との間に配置されている中間層と、を備える電気化学反応単セルにおいて、
    前記中間層の前記電解質層とは反対側の表面状態は、以下の式(1)により規定される条件と式(2)により規定される条件とをともに満たすことを特徴とする、電気化学反応単セル。
    0.19(μm)<粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)<1.5(μm)・・・(1)
    5(μm)<粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)<34(μm)・・・(2)
  2. 請求項1に記載の電気化学反応単セルにおいて、
    前記中間層の前記第1の方向の厚さは、以下の式(3)により規定により規定される条件を満たすことを特徴とする、電気化学反応単セル。
    1.5(μm)<前記中間層の前記第1の方向の厚さ≦8.7(μm)・・・(3)
  3. 前記第1の方向に並べて配置された複数の電気化学反応単セルを備える電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記複数の電気化学反応単セルの少なくとも1つは、請求項1または請求項2に記載の電気化学反応単セルであることを特徴とする、電気化学反応セルスタック。
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