JP6774287B2 - 電気化学反応単セルの製造方法および電気化学反応セルスタックの製造方法 - Google Patents
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Description
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
図2および図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通孔142を介して、燃料室176に供給される。
図6は、単セル110の詳細構成を示す説明図である。図6には、図4の領域X1における単セル110のXZ断面構成が示されている。
上述した構成の燃料電池スタック100の製造方法は、例えば以下の通りである。図7は、燃料電池スタック100の製造方法の一例を示すフローチャートである。
はじめに、電解質層112と燃料極116との積層体を形成する(S110)。具体的には、YSZ粉末に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるジオクチルフタレート(DOP)と、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調製する。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、電解質層用グリーンシートを得る。また、NiOの粉末とYSZの粉末との混合粉末に対して、造孔材である有機ビーズと、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調製する。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、燃料極用グリーンシートを得る。電解質層用グリーンシートと燃料極用グリーンシートとを貼り付けて乾燥させ、例えば1400℃にて焼成を行うことによって、電解質層112と燃料極116との積層体を得る。
次に、中間層180を形成する(S120)。具体的には、GDC粉末に、有機バインダとしてのポリビニルアルコールと、有機溶媒としてのブチルカルビトールとを加えて混合し、粘度を調整して中間層用ペーストを調製する。得られた中間層用ペーストを、上述した電解質層112と燃料極116との積層体における電解質層112側の表面に例えばスクリーン印刷によって塗布し、例えば1180℃にて焼成を行う。これにより、中間層180が形成され、燃料極116と電解質層112と中間層180との積層体(以下、「第1の積層体L1」という)が作製される(図6参照)。
次に、空気極114を形成する。はじめに、LSCF粉末と、GDC粉末と、有機バインダとしてのポリビニルアルコールと、有機溶媒としてのブチルカルビトールとを混合し、粘度を調整して、活性層220を形成するための材料である活性層用ペーストP2を調製(準備)する(S130)。このとき、各原料の配合比(主としてLSCF粉末とGDC粉末との配合比)を調整したりLSCFの種類を選択したりすることにより、活性層用ペーストP2におけるSrの含有率を5.5(mol%)以下に調整する。活性層用ペーストP2は、特許請求の範囲における第2の材料に相当する。
以上説明したように、本実施形態の単セル110は、電解質層112と、電解質層112の一方側に配置された燃料極116と、電解質層112の他方側に配置された空気極114とを備え、空気極114は、Srを含有する集電層210と、集電層210と電解質層112との間に配置され、Srを含有する活性層220とを含む。また、本実施形態の単セル110の製造方法は、燃料極116と電解質層112とを含む第1の積層体L1を作製する工程(S120)と、活性層220の形成のための材料である活性層用ペーストP2を準備する工程(S130)と、第1の積層体L1の燃料極116を基準としたときの電解質層112側の表面に活性層用ペーストP2を配置し、活性層用ペーストP2が配置された第1の積層体L1を、活性層用ペーストP2の焼結が始まる温度T0以上であり、かつ、活性層用ペーストP2の焼結による収縮の長さ変動が2%となる温度Tx以下である仮焼成温度T1で仮焼成することにより、燃料極116と電解質層112と活性層220の前駆体とを含む第2の積層体L2を形成する工程(S140、仮焼成工程)と、集電層210の形成のための材料である集電層用ペーストP1を準備する工程(S150)と、第2の積層体L2の活性層220の前駆体の表面に集電層用ペーストP1を配置し、集電層用ペーストP1が配置された第2の積層体L2を、仮焼成温度T1より高い本焼成温度T2で焼成することにより、燃料極116と電解質層112と活性層220と集電層210とを含む単セル110を形成する工程(S160、本焼成工程)とを備える。そのため、本実施形態の単セル110の製造方法によれば、以下に説明するように、空気極114にクラックが発生したり、空気極114の厚さのばらつきが発生したりすることを抑制することができる。
複数の単セル110のサンプルを作製し、作製された複数の単セル110のサンプルを用いて各種性能評価を行った。図11は、性能評価結果を示す説明図である。以下、この性能評価について説明する。
図11に示すように、各サンプルでは、空気極114の形成方法が互いに異なっている。具体的には、サンプル1〜8では、上述した仮焼成工程および本焼成工程の計2回の焼成工程により空気極114(活性層220および集電層210)が形成される。なお、サンプル1〜8では、本焼成温度T2はいずれも1100℃であるが、仮焼成温度T1は互いに異なっており、その結果、本焼成温度T2と仮焼成温度T1との温度差ΔT(=T2−T1)も互いに異なっている。一方、サンプル9では、本焼成工程のみにより空気極114(活性層220および集電層210)が形成される。すなわち、サンプル9では、活性層220および集電層210が同時焼成により形成される。なお、サンプル9では、本焼成温度T2は1100℃である。
本性能評価では、食い込み発生有無、クラック発生有無、および、SZO被覆率Cfについて評価を行った。
作製された各単セル110の断面(Z軸方向に略平行な断面)のSEM写真を取得し、目視によって、空気極114における集電層210の活性層220内部への食い込みの発生の有無、および空気極114におけるクラックの発生の有無を判定した。
作製された各単セル110について、各層の積層方向(Z軸方向)に垂直な方向から収束イオンビーム(FIB)加工装置を用いて、電解質層112と中間層180と空気極114とが含まれるように厚さ約100nmに加工した測定用サンプルを作製した。この測定サンプルを、透過型電子顕微鏡を用いて、200kVの電子線で観察した。観察した画像中で、電解質層112と中間層180との界面、および、中間層180と空気極114との界面が含まれるように約3.5μm四方の正方形を設定し、この正方形の内側においてSrマッピングを実施した。この時、最大カウント数が15カウントとなるように測定した。得られたSrマッピング画像上にて、電解質層112と中間層180との界面付近に所定のピッチ(例えば0.1μm)で複数の直線(Z軸方向に直交する直線)を引き、各直線の全体長さに対するSrが占める長さの割合をSZO被覆率として算出し、各直線におけるSZO被覆率の内の最も高い値を、該サンプルにおけるSZO被覆率Cfとした。SZO被覆率Cfが70%以上の場合には不合格(×)と判定し、SZO被覆率Cfが70%未満、かつ、50%以上の場合には合格(〇)と判定し、SZO被覆率Cfが50%未満の場合には特に良好(◎)と判定した。
空気極114における食い込み発生およびクラック発生が無く、かつ、SZO被覆率Cfが50%未満の場合に、総合的に特に良好(◎)と判定し、空気極114における食い込み発生およびクラック発生が無く、かつ、SZO被覆率Cfが50%以上、70%未満の場合に、総合的に合格(〇)と判定し、それ以外の場合には、総合的に不合格(×)と判定した。
図11に示すように、サンプル9では、空気極114における食い込みおよびクラックの発生が確認された。サンプル9では、活性層用ペーストP2と集電層用ペーストP1との同時焼成によって集電層210と活性層220とが形成される。そのため、活性層用ペーストP2上に集電層用ペーストP1を配置した際に、集電層用ペーストP1が活性層用ペーストP2の内部に入り込んだり活性層用ペーストP2を押し込んだりした結果、空気極114に食い込みやクラックが発生したものと考えられる。
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
Claims (4)
- 電解質層と、前記電解質層の一方側に配置された燃料極と、前記電解質層の他方側に配置された空気極であって、ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物を含有する第1の空気極層と、前記第1の空気極層と前記電解質層との間に配置され、ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物を含有する第2の空気極層と、を含む前記空気極と、を備える電気化学反応単セルの製造方法において、
前記燃料極と前記電解質層とを含む第1の積層体を作製する工程と、
前記第2の空気極層の形成のための第2の材料を準備する工程と、
前記第1の積層体の前記燃料極を基準としたときの前記電解質層側の表面に前記第2の材料を配置し、前記第2の材料が配置された前記第1の積層体を、前記第2の材料の焼結が始まる温度以上であり、かつ、前記第2の材料の焼結による収縮の長さ変動が2%となる温度以下である仮焼成温度で仮焼成することにより、前記燃料極と前記電解質層と前記第2の空気極層の前駆体とを含む第2の積層体を形成する工程と、
前記第1の空気極層の形成のための第1の材料を準備する工程と、
前記第2の積層体の前記第2の空気極層の前駆体の表面に前記第1の材料を配置し、前記第1の材料が配置された前記第2の積層体を、前記仮焼成温度より高い本焼成温度で焼成することにより、前記燃料極と前記電解質層と前記第2の空気極層と前記第1の空気極層とを含む前記電気化学反応単セルを形成する工程と、
を備えることを特徴とする、電気化学反応単セルの製造方法。 - 請求項1に記載の電気化学反応単セルの製造方法において、
前記仮焼成温度は、前記本焼成温度より50℃以上低いことを特徴とする、電気化学反応単セルの製造方法。 - 請求項2に記載の電気化学反応単セルの製造方法において、
前記仮焼成温度は、前記本焼成温度より200℃以上低いことを特徴とする、電気化学反応単セルの製造方法。 - 集電部材を間に介して複数の前記電気化学反応単セルが第1の方向に並べて配置された電気化学反応セルスタックの製造方法において、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電気化学反応単セルの製造方法により、複数の前記電気化学反応単セルを作製する工程と、
前記複数の電気化学反応単セルを、前記集電部材を間に介して、前記第1の方向に並べて配置する工程と、
を備えることを特徴とする、電気化学反応セルスタックの製造方法。
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