以下に、本発明の実施の形態に係る室内機及び空調システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
まず、実施の形態1に係る空調システム1の構成を説明する。図1は、実施の形態1に係る空調システム1の構成を示す図である。空調システム1は、検出部21を含む室内機2と、室外機3と、室内機2及び室外機3を制御する制御装置4とを有する。室内機2は室外機3と配管及び配線によって接続されており、室内機2及び室外機3は冷凍サイクルを構成している。室内機2及び室外機3の各々は、配線によって制御装置4と接続されている。制御装置4は、受付部40及び制御装置側通信部42を有する。受付部40及び制御装置側通信部42の機能については、室内機2の構成を説明した後に説明する。
図2は、実施の形態1に係る空調システム1が有する室内機2の構成を示す図である。室内機2は、制御装置4と通信する室内機側通信部20と、室内機2が配置される部屋に存在する人の数を検出する検出部21とを有する。検出部21は、赤外線を用いて人を検出する赤外線センサ51と、赤外線センサ51を駆動する検出部用モータ52とを有する。
室内機2は、第1のタイミングに検出部21によって検出された数である第1数と第1のタイミングより後の第2のタイミングに検出部21によって検出された数である第2数とを比較して第2数が第1数より大きいか否かを判定する数判定部22を更に有する。数判定部22は、第1数が1以上であるか否かも判定する。すなわち、数判定部22は、第1数が0でないか否かも判定する。数判定部22は、第2数から第1数を減じた数である第3数が第1数より大きいか否かも判定する。
室内機2は、ファン23と、ファン23を駆動するファン用モータ24とを更に有する。
室内機2は、第2数が第1数より大きいと数判定部22によって判定された場合、第2のタイミング以後に、暖房運転時においては設定温度を上げると共にファン23の回転数を上げる制御を行い、冷房運転時においては設定温度を下げると共にファン23の回転数を上げる制御を行う制御部25を更に有する。
第2数が第1数より大きく第1数が1以上であると数判定部22によって判定された場合、制御部25は、第2のタイミング以後に、暖房運転時においては、設定温度の上げ幅を第1数が0であるときの上げ幅より小さくすると共に、ファン23の回転数の上げ幅を第1数が0であるときの上げ幅より小さくする制御を行う。冷房運転時においては、第2数が第1数より大きく第1数が1以上であると数判定部22によって判定された場合、制御部25は、第2のタイミング以後に、設定温度の下げ幅を第1数が0であるときの下げ幅より小さくすると共に、ファン23の回転数の上げ幅を第1数が0であるときの上げ幅より小さくする制御を行う。
制御部25は、第2数が第1数より大きく第1数が1以上であると数判定部22によって判定された場合、以下の制御を行う。すなわち、第2数から第1数を減じた数である第3数が第1数より大きいと数判定部22によって判定されたとき、制御部25は、第2のタイミング以後に、暖房運転時においては、設定温度の上げ幅を第3数が第1数以下であるときの上げ幅より大きくすると共に、ファン23の回転数の上げ幅を第3数が第1数以下であるときの上げ幅より大きくする制御を行う。冷房運転時においては、第3数が第1数より大きいと数判定部22によって判定されたとき、制御部25は、第2のタイミング以後に、設定温度の下げ幅を第3数が第1数以下であるときの下げ幅より大きくすると共に、ファン23の回転数の上げ幅を第3数が第1数以下であるときの上げ幅より大きくする制御を行う。
室内機2は、フラップ26と、フラップ26を駆動するフラップ用モータ27とを更に有する。制御部25は、フラップ用モータ27の動作を制御することによりフラップ26の動作も制御する。制御部25が行うフラップ26の動作の制御については、後に室内機2の動作を説明する際に説明する。なお、図2では、1個のフラップ26だけが示されているが、実施の形態1の室内機2は4個のフラップを有しており、図2におけるフラップ26は4個のフラップを代表している。4個のフラップは、複数のフラップの一例である。ただし、室内機2には1個のフラップだけが設けられてもよい。室内機2に1個のフラップだけが設けられている場合、図2のフラップ26は当該1個のフラップを示す。
室内機2は、室内機2が配置される部屋への入室者がいない時間を計測する計測部28と、計測部28によって計測された時間があらかじめ決められた時間を超えたか否かを判定する時間判定部29とを更に有する。第2のタイミングにおける第2数が第1のタイミングにおける第1数より大きく、第2のタイミング以降において当該部屋への入室者がいない場合を想定する。その場合、計測部28は、検出部21によって検出された数が第2数以下である状態が第2のタイミングから継続する時間を計測する。あらかじめ決められた時間は、例えば実験によって決定される。
計測部28によって計測された時間があらかじめ決められた時間を超えたと時間判定部29によって判定された場合、制御部25は、設定温度、ファン23の回転数及びフラップ26の動作を元に戻す制御を行う。上述の通り、実施の形態1の室内機2は4個のフラップを有しており、図2におけるフラップ26は4個のフラップを代表しているので、制御部25がフラップ26の動作を元に戻す制御を行う場合、制御部25は4個のフラップの各々の動作を元に戻す制御を行う。なお、室内機2に1個のフラップだけが設けられている場合、制御部25がフラップ26の動作を元に戻す制御を行うとき、制御部25は1個のフラップの動作を元に戻す制御を行う。
室内機2が有する室内機側通信部20、検出部21、数判定部22、制御部25、計測部28及び時間判定部29の機能の一部又は全部は、処理回路60によって実現されてもよい。図3は、実施の形態1に係る空調システム1における室内機2が有する室内機側通信部20、検出部21、数判定部22、制御部25、計測部28及び時間判定部29を構成する少なくとも一部の構成要素が処理回路60によって実現される場合の処理回路60を示す図である。
処理回路60は、専用のハードウェアである。すなわち、処理回路60は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものである。室内機側通信部20、検出部21、数判定部22、制御部25、計測部28及び時間判定部29の一部は、残部とは別個の専用のハードウェアであってもよい。
室内機2が有する室内機側通信部20、検出部21、数判定部22、制御部25、計測部28及び時間判定部29の一部又は全部は、メモリ61に格納されるプログラムを実行するプロセッサ62によって実現されてもよい。図4は、実施の形態1に係る空調システム1における室内機2が有する室内機側通信部20、検出部21、数判定部22、制御部25、計測部28及び時間判定部29を構成する少なくとも一部の構成要素がプロセッサ62によって実現される場合のプロセッサ62を示す図である。プロセッサ62は、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSP(Digital Signal Processor)である。図4には、メモリ61も示されている。
室内機側通信部20、検出部21、数判定部22、制御部25、計測部28及び時間判定部29を構成する少なくとも一部の構成要素がプロセッサ62によって実現される場合、当該一部の構成要素の機能は、プロセッサ62と、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ61に格納される。プロセッサ62は、メモリ61に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、室内機側通信部20、検出部21、数判定部22、制御部25、計測部28及び時間判定部29を構成する少なくとも一部の構成要素の機能を実現する。
すなわち、室内機側通信部20、検出部21、数判定部22、制御部25、計測部28及び時間判定部29を構成する少なくとも一部の構成要素がプロセッサ62によって実現される場合、室内機2は、室内機側通信部20、検出部21、数判定部22、制御部25、計測部28及び時間判定部29を構成する一部の構成要素によって実行されるステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ61を有する。メモリ61に格納されるプログラムは、室内機側通信部20、検出部21、数判定部22、制御部25、計測部28及び時間判定部29を構成する一部の構成要素が実行する手順又は方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
メモリ61は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク又はDVD(Digital Versatile Disk)等である。
室内機側通信部20、検出部21、数判定部22、制御部25、計測部28及び時間判定部29の複数の機能について、当該複数の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、当該複数の機能の残部をソフトウェア又はファームウェアで実現してもよい。このように、室内機側通信部20、検出部21、数判定部22、制御部25、計測部28及び時間判定部29の複数の機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって実現することができる。
図1に示す通り、制御装置4は受付部40及び制御装置側通信部42を有する。受付部40は、室内機2の制御部25が行う制御を実行させる指示を受け付ける。例えば、受付部40は、制御装置4に設けられるボタン又はスイッチがユーザによって利用されることにより、ボタン又はスイッチを介してユーザからの当該指示を受け付ける。制御装置側通信部42は、受付部40が当該指示を受け付けた場合、当該指示を室内機2の室内機側通信部20に送信する。室内機側通信部20が制御装置側通信部42から当該指示を受信した場合、制御部25は実施の形態1の制御を行う。受付部40及び制御装置側通信部42の機能の一部又は、全部は処理回路60と同等の機能を有する処理回路によって実現されてもよい。受付部40及び制御装置側通信部42の一部又は全部は、プロセッサ62と同等の機能を有するプロセッサによって実現されてもよい。
次に、室内機2の動作を説明する。以下では、制御装置4の受付部40が室内機2の制御部25が行う制御を実行させる指示を受け付けたことを想定する。図5は、実施の形態1に係る空調システム1が有する室内機2の動作の手順を示すフローチャートである。検出部21は、室内機2が配置されている部屋に存在する人の数を検出する(S1)。数判定部22は、第2のタイミングに検出部21によって検出された数である第2数が第2のタイミングの直前の検出タイミングである第1のタイミングにおいて検出部21によって検出された数である第1数より大きいか否かを判定する(S2)。以下では、第1数を「第1数N」と記載し、第2数を「第2数M」と記載する。図5のステップS2では、第2のタイミングに検出部21によって検出された第2数Mは「今回の数M」と記載されており、第1のタイミングに検出部21によって検出された第1数Nは「前回の数N」と記載されている。
数判定部22は、第2数Mが第1数Nより大きいと判定した場合(S2でYes)、第1数Nが「0」であるか否かを判定する(S3)。「0」は、零である。すなわち、数判定部22は、第2数Mが第1数Nより大きいと判定した場合(S2でYes)、第1数Nが1以上であるか否かを判定する(S3)。なお、第2数Mが第1数Nより大きいことは、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に室内機2が配置されている部屋の人の数が増加したことを意味する。すなわち、第2数Mが第1数Nより大きいことは、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に入室者がいたことを意味する。
第1数Nが「0」であると数判定部22によって判定された場合(S3でYes)、制御部25は、第2のタイミング以後に、暖房運転時においては設定温度を3℃上げる制御を行い(S4)、冷房運転時においては設定温度を3℃下げる制御を行い(S4)、暖房運転時及び冷房運転時のいずれにおいてもファン23の回転数を上げる制御を行う(S5)。第1数Nが「0」であることは、第1のタイミングに当該部屋には人は存在しておらず、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に当該部屋に人が入って第2のタイミングにおいて人が存在したことを意味する。すなわち、第1数Nが「0」であることは、第1のタイミングに当該部屋には人が存在しておらず、第2のタイミングにおいて入室者がいたことを意味する。
入室者は、暖房運転時においては気温が低い外部から部屋に入室するため、冷房運転時においては気温が高い外部から部屋に入室するため、空調制御を入室前よりも強めることを求める傾向がある。そのため、制御部25は、暖房運転時においては設定温度を3℃上げる制御を行い(S4)、ファン23の回転数を上げる制御を行う(S5)。冷房運転時においては、制御部25は、設定温度を3℃下げる制御を行い(S4)、ファン23の回転数を上げる制御を行う(S5)。上記の「3℃」は、一例である。
上述の通り、制御部25は、第2数Mが第1数Nより大きいと数判定部22によって判定された場合、第2のタイミング以後に、暖房運転時においては設定温度を上げると共にファン23の回転数を上げる制御を行い、冷房運転時においては設定温度を下げると共にファン23の回転数を上げる制御を行う。
第1数Nが「0」であると数判定部22によって判定された場合(S3でYes)は、第1のタイミングに当該部屋には人は存在しておらず、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に当該部屋に人が入って第2のタイミングにおいて人が存在したことを意味する。すなわち、第1数Nが「0」であると数判定部22によって判定された場合(S3でYes)、空調制御を求める者は第1のタイミングから第2のタイミングまでの間の入室者のみである。そのため、第1数Nが「0」であると数判定部22によって判定された場合(S3でYes)、当該入室者の要求だけが満たされればよい。
したがって、第1数Nが「0」であると数判定部22によって判定された場合(S3でYes)、制御部25は、第1数Nが「0」ではなく1以上であると数判定部22によって判定された場合(S3でNo)よりも、暖房運転時においては設定温度の上げ幅を大きくし、冷房運転時においては設定温度の下げ幅を大きくする制御を行う。加えて、制御部25は、暖房運転時及び冷房運転時のいずれにおいても、第1数Nが1以上であると数判定部22によって判定された場合(S3でNo)よりも、ファン23の回転数の上げ幅を大きくする制御を行う。その結果、当該入室者の要求は満たされる。なお、第1数Nが「0」ではなく1以上であると数判定部22によって判定された場合(S3でNo)は、第1のタイミングにおいても第2のタイミングにおいても当該部屋に人が存在していることを意味する。
数判定部22は、第1数Nが「0」ではなく1以上であると判定した場合(S3でNo)、第2数Mから第1数Nを減じた数である第3数が第1数Nより大きいか否かを判定する(S6)。以下では、第3数を「第3数(M−N)」と記載する。図5のステップS6では、第3数は(M−N)と記載されている。なお、第1数Nが1以上であることは、第1のタイミングに当該部屋に人が存在しており、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に当該部屋の人の数が増加したことを意味する。
第3数(M−N)が第1数Nより大きいと数判定部22によって判定された場合(S6でYes)、制御部25は、第2のタイミング以後に、暖房運転時においては設定温度を2℃上げる制御を行い(S7)、冷房運転時においては設定温度を2℃下げる制御を行い(S7)、暖房運転時及び冷房運転時のいずれにおいてもファン23の回転数を上げる制御を行う(S8)。
第3数(M−N)が第1数Nより大きいことは、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に当該部屋に入った人の数が第1のタイミングにおいて当該部屋に存在した人の数より多いことを意味する。言い換えると、第3数(M−N)が第1数Nより大きいことは、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間の入室者の数が第1のタイミングに当該部屋に存在していた元の在室者の数よりも多いことを意味する。第3数(M−N)が第1数N以下であることは、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間の入室者の数が元の在室者の数以下であることを意味する。
そのため、第3数(M−N)が第1数Nより大きいと数判定部22によって判定された場合(S6でYes)、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間の入室者のみが求める空調制御が行われると、空調制御が大きく変化し、変化後の空調制御は元の在室者に対して適切でなくなる。したがって、第3数(M−N)が第1数Nより大きいと数判定部22によって判定された場合(S6でYes)の空調制御の程度は、第1数Nが「0」であると数判定部22によって判定された場合(S3でYes)の空調制御の程度よりも弱い。
上述の通り、第3数(M−N)が第1数Nより大きいことは、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間の入室者の数が第1のタイミングに当該部屋に存在していた元の在室者の数よりも多いことを意味する。すなわち、第2のタイミングにおいて、相対的に強い空調制御が行われることを希望する入室者の数が相対的に弱い空調制御が行われることを希望する元の在室者の数より多い。
そのため、第3数(M−N)が第1数Nより大きいと数判定部22によって判定された場合(S6でYes)の空調制御の程度は、第3数(M−N)が第1数N以下であると数判定部22によって判定された場合(S6でNo)の空調制御の程度よりも強い。上述の通り、第3数(M−N)が第1数N以下であることは、第1のタイミングから第2のタイミングまでの入室者の数が元の在室者の数以下であることを意味する。すなわち、第2のタイミングにおいて、相対的に強い空調制御が行われることを希望する入室者の数が相対的に弱い空調制御が行われることを希望する元の在室者の数以下である。
したがって、第3数(M−N)が第1数Nより大きいと数判定部22によって判定された場合(S6でYes)、制御部25は、第3数(M−N)が第1数N以下であると数判定部22によって判定された場合(S6でNo)よりも、暖房運転時においては設定温度の上げ幅を大きくし、冷房運転時においては設定温度の下げ幅を大きくする制御を行う。加えて、第3数(M−N)が第1数Nより大きいと数判定部22によって判定された場合(S6でYes)、制御部25は、暖房運転時及び冷房運転時のいずれにおいても、第3数(M−N)が第1数N以下であると数判定部22によって判定された場合(S6でNo)よりも、ファン23の回転数の上げ幅を大きくする制御を行う。
その結果、室内機2の空調能力の変化が大きくなることが抑制され、ひいては第1のタイミングから第2のタイミングまでの間の入室者が求める空調制御に対する要求も満たされ、かつ、元の在室者の空調制御に対する要求も満たされる。上記の「2℃」は、一例である。
第3数(M−N)が第1数Nより大きくなく第1数N以下であると数判定部22によって判定された場合(S6でNo)、制御部25は、第2のタイミング以後に、暖房運転時においては設定温度を1℃上げる制御を行い(S9)、冷房運転時においては設定温度を1℃下げる制御を行い(S9)、暖房運転時及び冷房運転時のいずれにおいてもファン23の回転数を上げる制御を行う(S10)。
更に言うと、第3数(M−N)が第1数N以下であると数判定部22によって判定された場合(S6でNo)、制御部25は以下の制御を行う。すなわち、制御部25は、暖房運転時においては設定温度を上げる制御を行うものの、設定温度の上げ幅を、第3数(M−N)が第1数Nより大きいと数判定部22によって判定された場合(S6でYes)の上げ幅よりも小さくする。制御部25は、冷房運転時においては設定温度を下げる制御を行うものの、設定温度の下げ幅を、第3数(M−N)が第1数Nより大きいと数判定部22によって判定された場合(S6でYes)の下げ幅よりも小さくする。制御部25は、ファン23の回転数を上げる制御を行うものの、回転数の上げ幅を、第3数(M−N)が第1数Nより大きいと数判定部22によって判定された場合(S6でYes)の上げ幅よりも小さくする。
上述の通り、第3数(M−N)が第1数N以下であることは、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間の入室者の数が元の在室者の数以下であることを意味する。そのため、上述のように、第3数(M−N)が第1数N以下であると数判定部22によって判定された場合(S6でNo)の空調制御の程度は、第3数(M−N)が第1数Nより大きいと数判定部22によって判定された場合(S6でYes)の空調制御の程度よりも弱い。その結果、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間の入室者が求める空調制御に対する要求も満たされ、かつ、元の在室者の空調制御に対する要求も満たされる。上記の「1℃」は、一例である。
ここで、第1数Nが「0」であると数判定部22によって判定された場合(S3でYes)を第1の場合と定義し、第3数(M−N)が第1数Nより大きいと数判定部22によって判定された場合(S6でYes)を第2の場合と定義し、第3数(M−N)が第1数N以下であると数判定部22によって判定された場合(S6でNo)を第3の場合と定義する。上述の説明から理解できる通り、第1の場合、第2の場合及び第3の場合のなかでは、第1の場合の空調制御の程度が最も強く、第3の場合の空調制御の程度が最も弱い。
すなわち、3段階の空調制御の程度のなかでは、第1のタイミングに当該部屋に人が存在しておらず、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に当該部屋に人が入って第2のタイミングにおいて人が存在した場合、空調制御の程度は最も強い。第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に当該部屋に入った人の数が第1のタイミングにおいて当該部屋に存在した人の数以下である多い場合、空調制御の程度は最も弱い。第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に当該部屋に入った人の数が第1のタイミングにおいて当該部屋に存在した人の数より多い場合、空調制御の程度は最も強い制御と最も弱い制御との中間である。
そのため、図5では、ステップS5において「変更量:大」という文言が記載されており、ステップS8において「変更量:中」という文言が記載されており、ステップS10において「変更量:小」という文言が記載されている。「変更量:大」は3段階の空調制御の程度のなかで最も強い空調制御に対応しており、「変更量:小」は最も弱い空調制御に対応しており、「変更量:中」は最も強い空調制御と最も弱い空調制御との中間の空調制御に対応している。
ステップS5、ステップS8及びステップS10の各動作が行われると、室内機2の動作はステップS11に移行する。ステップS11において、フラップ26の動作が制御される。ステップS11において行われる動作については、図6から図10を用いて後述する。
上述の通り、ステップS2において、数判定部22は、第2数Mが第1数Nより大きいか否かを判定する。第2数Mが第1数Nより大きいことは、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に室内機2が配置されている部屋の人の数が増加したことを意味する。すなわち、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に入室者がいたことを意味する。したがって、第2数Mが第1数Nより大きくないこと、つまり第2数Mが第1数N以下であることは、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に入室者がいなかったことを意味する。
第2数Mが第1数Nより大きくないと数判定部22によって判定された場合(S2でNo)、計測部28は、当該部屋への入室者がいない時間を計測する(S12)。時間判定部29は、計測部28によって計測された時間があらかじめ決められた時間を超えたか否かを判定する(S13)。言い換えると、時間判定部29は、計測部28によって計測された時間があらかじめ決められた時間を経過したか否かを判定する(S13)。計測部28によって計測された時間があらかじめ決められた時間を超えたと時間判定部29によって判定された場合(S13でYes)、制御部25は、設定温度、ファン23の回転数及びフラップ26の動作を元に戻す制御を行う(S14)。
第2のタイミングにおける第2数Mが第1のタイミングにおける第1数Nより大きく、設定温度、ファン23の回転数及びフラップ26の動作を変更する制御が行われた後において、当該部屋への入室者がいない場合を想定する。その場合、計測部28は、検出部21によって検出された数が第2数M以下である状態が第2のタイミングから継続する時間を計測する。計測部28によって計測された時間があらかじめ決められた時間を超えたと時間判定部29によって判定された場合、制御部25は、設定温度、ファン23の回転数及びフラップ26の動作を元の動作に戻す制御を行う。
計測部28によって計測された時間があらかじめ決められた時間を超えていないと時間判定部29によって判定された場合(S13でNo)と、ステップS14の動作が行われた場合、室内機2の動作は終了する。ステップS11の動作が行われた場合、計測部28は計測時間をリセットし(S15)、室内機2の動作は終了する。
以下において、図5のステップS11において行われる動作について説明するが、当該動作を説明する前に、当該動作を説明するための事項を説明する。図6は、実施の形態1に係る空調システム1が有する室内機2が配置されている部屋70の天井の平面図である。室内機2は、部屋70の天井の中央に配置されている。部屋70の天井の外縁は四角形であって、室内機2の平面の外縁も四角形であり、部屋70の天井の四角形の各辺が室内機2の外縁の四角形のいずれかの辺と平行に、室内機2は部屋70の天井の中央に配置されている。
部屋70は、第1区域71、第2区域72、第3区域73及び第4区域74によって構成されている。第1区域71、第2区域72、第3区域73及び第4区域74は、複数の区域の一例である。部屋70の天井において、第1区域71は、部屋70の天井の外縁の四角形のひとつの辺と、室内機2の平面の外縁の四角形を構成する4辺のうちの部屋70の当該ひとつの辺と平行な2辺のうちの当該ひとつの辺に近い辺と、部屋70の当該ひとつの辺の両端部とで囲まれている。第1区域71は、部屋70の天井から床まで連続している。第2区域72、第3区域73及び第4区域74の各々も、図6に示される通り、第1区域71と同様に定義される区域である。部屋70の第1区域71の第2区域72側の端部において、部屋70に対する人の出入り口75が形成されている。
図7は、実施の形態1に係る空調システム1が有する室内機2を鉛直下方から鉛直上方の向きに見た場合の室内機2の平面図である。室内機2は、四角形の平面パネル30を更に有する。平面パネル30の中央には、四角形の吸込み口31が形成されている。平面パネル30には、検出部21が取り付けられている。上述の通り、室内機2は4個のフラップを有している。すなわち、図7に示す通り、室内機2は、平面パネル30に取り付けられた第1フラップ26a、第2フラップ26b、第3フラップ26c及び第4フラップ26dを有する。第1フラップ26a、第2フラップ26b、第3フラップ26c及び第4フラップ26dは、複数のフラップの一例である。
第1フラップ26a、第2フラップ26b、第3フラップ26c及び第4フラップ26dは、吸込み口31を囲んでいる。第1フラップ26aは部屋70の第1区域71に対応していて第1区域71へ風を送るためのものであり、第2フラップ26bは部屋70の第2区域72に対応していて第2区域72へ風を送るためのものである。第3フラップ26cは部屋70の第3区域73に対応していて第3区域73へ風を送るためのものであり、第4フラップ26dは部屋70の第4区域74に対応していて第4区域74へ風を送るためのものである。
室内機2には、第1フラップ26aに対応する第1吹出し口32aと、第2フラップ26bに対応する第2吹出し口32bと、第3フラップ26cに対応する第3吹出し口32cと、第4フラップ26dに対応する第4吹出し口32dとが形成されている。第1フラップ26a、第2フラップ26b、第3フラップ26c及び第4フラップ26dの各々は、対応する吹出し口から吹出す風の向きを制御する。第1フラップ26a、第2フラップ26b、第3フラップ26c及び第4フラップ26dの各々は、対応する吹出し口を覆うことができる。
図8は、実施の形態1に係る空調システム1が有する室内機2の第1の側面図である。室内機2は、室内機2を構成する上述の構成要素のうちの、検出部21、第1フラップ26a、第2フラップ26b、第3フラップ26c、第4フラップ26d、平面パネル30、吸込み口31、第1吹出し口32a、第2吹出し口32b、第3吹出し口32c及び第4吹出し口32dを除く構成要素が収められる箱体33を更に有する。箱体33は図6に示す部屋70の天井に取り付けられ、平面パネル30は箱体33の鉛直下方側に取り付けられている。
図8の実線は、フラップ26が閉じている状態を示している。図8における0°は、フラップ26が閉じていることを示している。図8の破線は、フラップ26が90°開いている状態を示している。図9は、実施の形態1に係る空調システム1が有する室内機2の第2の側面図である。図9の実線は、フラップ26が90°開いている状態を示している。図9の矢印34は、フラップ26が図8の閉じている状態から図9の90°開いている状態との間で回動可能であることを示している。つまり、矢印34は、フラップ26がスイング可能であることを示している。図9の破線は、フラップ26が0°から90°のうちのいずれかの角度で開いている状態を示している。
次に、ステップS11において行われる動作について説明する。図10は、実施の形態1に係る空調システム1が有する室内機2の動作のうちの図5のステップS11において行われる動作の手順を示すフローチャートである。検出部21、数判定部22及び制御部25は、第1区域71、第2区域72、第3区域73及び第4区域74の各々について、以下の通りに動作する。
検出部21は、存在する人の数を検出する。以下では、第1区域71において第1のタイミングに検出部21によって検出された数を第4数と定義し、第1区域71において第2のタイミングに検出部21によって検出された数を第5数と定義する。数判定部22は、第2のタイミングに検出部21によって検出された数である第5数が「0」であるか否かを判定する(S16)。第5数が「0」であると数判定部22によって判定された場合(S16でYes)、制御部25はフラップ26aを閉じる制御を行う(S17)。第5数が0であることは、第1区域71に人が存在しないことを意味する。
数判定部22は、第5数が「0」ではなく1以上であると判定した場合(S16でNo)、第1のタイミングに検出部21によって検出された数である第4数が「0」であるか否かを判定する(S18)。第4数が「0」であると数判定部22によって判定された場合(S18でYes)、制御部25は、フラップ26aからフラップ26dのうちのフラップ26aのみをスイングさせる制御を行う(S19)。第4数が「0」であることは、第1区域71において元の在室者は存在せず、新たな入室者しか存在しないことを意味する。
第4数が「0」ではなく1以上であると数判定部22によって判定された場合(S18でNo)、制御部25はフラップ26aの動作を維持する制御を行う(S20)。第4数が「0」ではなく1以上であると数判定部22によって判定された場合(S18でNo)は、第1区域71において元の在室者も新たな入室者も存在することを意味する。
すなわち、制御部25は、第1区域71において、人が存在しない場合にフラップ26aを閉じる制御を行い(S17)、新たな入室者しか存在しない場合にフラップ26aをスイングさせる制御を行い(S19)、元の在室者も新たな入室者も存在する場合にフラップ26aの動作を維持する制御を行う(S20)。第2区域72、第3区域73及び第4区域74の各々において、制御部25は、第1区域71に対応するフラップ26aに対して行う制御と同一の制御を、フラップ26b、フラップ26c、フラップ26dに対して行う。
上述の通り、室内機2は、部屋に人が存在する状態から当該部屋に人が入った場合において暖房運転時においては設定温度を上げると共にファン23の回転数を上げる制御を行い、冷房運転時においては設定温度を下げると共にファン23の回転数を上げる制御を行う。すなわち、室内機2は、空調制御の対象の部屋に既に人が存在していて当該部屋に新たな人が入った場合において、当該部屋に対して適切な空調制御を行うことができるという効果を奏する。
また、室内機2は、以下の3個の場合の各々において、空調制御の程度を異ならせる。すなわち、第1のタイミングに当該部屋には人が存在しておらず、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に当該部屋に人が入って第2のタイミングにおいて人が存在した第1の場合、3段階の空調制御のなかで、室内機2は空調制御の程度を最も強くする。第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に当該部屋に入った人の数が第1のタイミングにおいて当該部屋に存在した人の数以下である第3の場合、室内機2は空調制御の程度を最も弱くする。第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に当該部屋に入った人の数が第1のタイミングにおいて当該部屋に存在した人の数より多い第2の場合、室内機2は空調制御の程度を第1の場合の程度と第3の場合の程度との中間の程度にする。
上述の室内機2による制御により、室内機2は、第1の場合、第2の場合及び第3の場合のいずれにおいても、元の在室者に対しても新たな入室者に対しても適切に空調制御を行うことができる。
加えて、室内機2は、各区域において、人が存在しない場合にフラップ26を閉じる制御を行う。当該制御により、室内機2は、人が存在しない区域に対して風を送る無駄な動作を行わないことができる。また、室内機2は、各区域において、新たな入室者しか存在しない場合にフラップ26をスイングさせる制御を行い、元の在室者も新たな入室者も存在する場合にフラップ26の動作を維持する制御を行う。つまり、室内機2は、各区域において、各区域に存在する人に対して適切に風を向かわせることができる。
さらに、室内機2は、室内機2が配置される部屋への入室者がいない時間があらかじめ決められた時間を超えた場合、設定温度、ファン23の回転数及びフラップ26の動作を元に戻す制御を行う。当該制御により、室内機2は、通常より過剰な空調制御によって室内機2が配置されている部屋を冷やしすぎること及び暖めすぎることを抑制することができる。
実施の形態1では、制御装置4の受付部40が室内機2の制御部25が行う制御を実行させる指示を受け付けると、制御部25は上述した制御を行う。受付部40が室内機2の制御部25が行う制御の実行を停止する指示を受け付けた場合、当該指示は制御装置側通信部42によって室内機側通信部20に送信され、制御部25は実施の形態1の制御の実行を停止する。すなわち、空調システム1は、ユーザに対して、制御部25が上述した制御を実行させるか否かを決定させることができる。言い換えると、ユーザは、制御部25に上述した制御を実行させるか否かを決定することができる。なお、制御部25は、受付部40が室内機2の制御部25が行う制御を実行させる指示を受け付けるかどうかにかかわらずに上述した制御を行うと設計されてもよい。
なお、上述した実施の形態1では、図2に示す通り、室内機2は、1個のファン用モータ24と、1個のフラップ用モータ27とを有する。しかしながら、室内機2は、複数個のファン用モータ24を有してもよいし、複数個のフラップ用モータ27を有してもよい。同様に、上述した実施の形態1では、図2に示す通り、室内機2は、1個の赤外線センサ51と、1個の検出部用モータ52とを含む検出部21を有する。しかしながら、検出部21は、複数個の赤外線センサ51を有してもよいし、複数個の検出部用モータ52を有してもよい。
上述した実施の形態1では、図2に示す通り、室内機2が検出部21を有する。しかしながら、検出部21は室内機2以外の部位に設けられてもよい。例えば、検出部21は室内機2が設けられる部屋の天井に設けられてもよい。
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る空調システム1Aを説明する。まず、実施の形態2に係る空調システム1Aの構成を説明する。図11は、実施の形態2に係る空調システム1Aの構成を示す図である。空調システム1Aは、検出部21aを含む室内機2aと、検出部21bを含む室内機2bと、検出部21cを含む室内機2cと、検出部21dを含む室内機2dと、室外機3と、制御装置4aとを有する。室内機2a、室内機2b、室内機2c及び室内機2dは、ひとつの部屋に配置される。当該部屋は実施の形態1の部屋より大きく、実施の形態1の部屋と区別するため、以下では、実施の形態2の部屋を大部屋と記載する。室内機2a、室内機2b、室内機2c及び室内機2dは、複数の室内機の一例である。
検出部21a、検出部21b、検出部21c及び検出部21dの各々は、実施の形態1の検出部21と同一の機能を有する。室内機2b、室内機2c及び室内機2dの各々は、室内機2aと同一の機能を有する。制御装置4aは、室内機2a、室内機2b、室内機2c、室内機2d及び室外機3を制御する。
室内機2a、室内機2b、室内機2c及び室内機2dの各々は、配管及び配線によって室外機3と接続されていて、室内機2a、室内機2b、室内機2c、室内機2d及び室外機3は冷凍サイクルを構成している。室内機2a、室内機2b、室内機2c、室内機2d及び室外機3の各々は、配線によって制御装置4aと接続されている。
制御装置4aは、室内機2a、室内機2b、室内機2c及び室内機2dの各々の制御部が行う制御を実行させる指示を受け付ける受付部40と、制御装置4aに接続されている室内機の個数を判定する室内機判定部41とを有する。制御装置4aは、室内機2a、室内機2b、室内機2c及び室内機2dと通信する制御装置側通信部42と、制御装置側通信部42によって得られた数に関する情報をもとに当該数の合計を算出する算出部43とを更に有する。
制御装置4aは、第1のタイミングに算出部43によって得られた合計である第1合計と、第1のタイミングより後のタイミングである第2のタイミングに算出部43によって得られた合計である第2合計とを比較して、第2合計が第1合計より大きいか否かを判定する制御装置側数判定部44を更に有する。制御装置4aが有する各構成要素の上述の機能と異なる機能については、後に空調システム1Aの動作を説明する際に説明する。
次に、室内機2a、室内機2b、室内機2c及び室内機2dについて説明する。図12は、実施の形態2に係る空調システム1Aが有する室内機2a、室内機2b、室内機2c及び室内機2dが配置されている大部屋80を示す図である。大部屋80は、実施の形態1の部屋70より大きい。大部屋80は、第1領域81と、第2領域82と、第3領域83と、第4領域84とによって構成されている。第1領域81、第2領域82、第3領域83及び第4領域84の各々の大きさは、他のひとつの領域の大きさと同一である。大部屋80の第1領域81において、大部屋80に対する人の出入り口85が形成されている。
室内機2aは第1領域81の天井の中央に配置されており、室内機2bは第2領域82の天井の中央に配置されており、室内機2cは第3領域83の天井の中央に配置されており、室内機2dは第4領域84の天井の中央に配置されている。すなわち、第1領域81は室内機2aに対応しており、第2領域82は室内機2bに対応しており、第3領域83は室内機2cに対応しており、第4領域84は室内機2dに対応している。
次に、室内機2aの構成を説明する。図13は、実施の形態2に係る空調システム1Aが有する室内機2aの構成を示す図である。室内機2aは、実施の形態1の検出部21と同一の機能を有する検出部21aを有する。検出部21aは、大部屋80の内部の複数の領域のうちの対応する領域に存在する人の数を検出する。すなわち、検出部21aは、第1領域81に存在する人の数を検出する。検出部21aは、実施の形態1の赤外線センサ51と同一の機能を有する赤外線センサ51aと、実施の形態1の検出部用モータ52と同一の機能を有する検出部用モータ52aとを有する。
室内機2aは、第1のタイミングに検出部21aによって検出された数である第1数と第1のタイミングより後の第2のタイミングに検出部21aによって検出された数である第2数とを比較して第2数が第1数より大きいか否かを判定する室内機側数判定部22aを更に有する。室内機側数判定部22aは、上述の機能以外の機能も有するが、上述の機能以外の機能については、後に空調システム1Aの動作を説明する際に説明する。
室内機2aは、制御装置4aの制御装置側通信部42と通信する室内機側通信部53aと、制御部25aとを更に有する。制御部25aの機能については、後に動作を説明する際に説明する。制御装置4aの受付部40が室内機2a、室内機2b、室内機2c及び室内機2dの各々の制御部が行う制御を実行させる指示を受け付けると、制御装置側通信部42は当該指示を室内機側通信部53aに送信する。室内機側通信部53aが当該指示を受信すると、制御部25aは実施の形態2の制御を行う。すなわち、制御部25aは受付部40が当該指示を受け付けた場合、実施の形態2の制御を行う。
室内機2aは、実施の形態1のファン23と同一の機能を有するファン23aと、実施の形態1のファン用モータ24と同一の機能を有するファン用モータ24aと、実施の形態1のフラップ26と同一の機能を有するフラップ26eと、実施の形態1のフラップ用モータ27と同一の機能を有するフラップ用モータ27aとを更に有する。室内機2aは、実施の形態1の計測部28と同一の機能を有する計測部28aと、実施の形態1の時間判定部29と同一の機能を有する時間判定部29aとを更に有する。
上述の通り、室内機2b、室内機2c及び室内機2dの各々は室内機2aと同一の機能を有する。更に言うと、室内機2b、室内機2c及び室内機2dの各々の構成は、室内機2aの構成と同一である。そのため、室内機2b、室内機2c及び室内機2dの各々の構成の説明を省略する。
室内機2aが有する検出部21a、室内機側数判定部22a、制御部25a、計測部28a、時間判定部29a及び室内機側通信部53aの機能の一部又は全部は、実施の形態1において説明した処理回路60と同等の機能を有する処理回路によって実現されてもよい。室内機2aが有する検出部21a、室内機側数判定部22a、制御部25a、計測部28a、時間判定部29a及び室内機側通信部53aの一部又は全部は、実施の形態1において説明したプロセッサ62と同等の機能を有するプロセッサによって実現されてもよい。
同様に、制御装置4aが有する受付部40、室内機判定部41、制御装置側通信部42、算出部43及び制御装置側数判定部44の機能の一部又は全部は、実施の形態1において説明した処理回路60と同等の機能を有する処理回路によって実現されてもよい。受付部40、室内機判定部41、制御装置側通信部42、算出部43及び制御装置側数判定部44の一部又は全部は、実施の形態1において説明したプロセッサ62と同等の機能を有するプロセッサによって実現されてもよい。
次に、実施の形態2に係る空調システム1Aの動作を説明する。以下では、制御装置4aの受付部40が、室内機2a、室内機2b、室内機2c及び室内機2dの各々の制御部が行う制御を実行させる指示を受け付けたことを想定する。まず、空調システム1Aが有する制御装置4aの動作を説明する。図14は、実施の形態2に係る空調システム1Aが有する制御装置4aの動作の手順を示すフローチャートである。室内機判定部41は、制御装置4aに接続されている室内機の個数を判定する(S21)。制御装置4aに接続されている室内機の個数が1個であると室内機判定部41によって判定された場合(S21でYes)、制御装置側通信部42は、制御装置4aに接続されている室内機の個数が1個であることを示す個数情報を、制御装置4aに接続されている室内機に送信する(S22)。
制御装置4aに接続されている室内機の個数が1個でないと室内機判定部41によって判定された場合(S21でNo)、制御装置側通信部42は、制御装置4aに接続されているすべての室内機に対して、当該室内機に対応する領域に存在する人の数を特定する情報を送信することを要求し、すべての室内機から、当該室内機に対応する領域に存在する人の数を特定する情報を受信する(S23)。
算出部43は、制御装置側通信部42によって受信された情報をもとに、大部屋80に存在する人の数の合計を算出する(S24)。制御装置側数判定部44は、第1のタイミングに複数の室内機のすべての検出部によって検出された数である第1合計と第2のタイミングに複数の室内機のすべての検出部によって検出された数である第2合計とを比較し、第2合計が第1合計より大きいか否かを判定する(S25)。以下では、第1合計を「第1合計Nmax」と記載し、第2合計を「第2合計Mmax」と記載する。図14のステップS25では、第1のタイミングに複数の室内機のすべての検出部によって検出された数である第1合計は「前回の合計Nmax」と記載されており、第2のタイミングに複数の室内機のすべての検出部によって検出された数である第2合計は「今回の合計Mmax」と記載されている。
第2合計Mmaxが第1合計Nmaxより大きいと制御装置側数判定部44によって判定された場合(S25でYes)、制御装置側通信部42は、第2合計Mmaxが第1合計Nmaxより大きいことを示す増加情報を複数の室内機のすべてに送信する(S26)。第2合計Mmaxが第1合計Nmax以下であると制御装置側数判定部44によって判定された場合(S25でNo)、制御装置側通信部42は、第2合計Mmaxが第1合計Nmax以下であることを示す不増加情報を複数の室内機のすべてに送信する(S27)。
次に、実施の形態2に係る空調システム1Aが有する室内機2aの動作を説明する。上述の通り、室内機2b、室内機2c及び室内機2dの各々は室内機2aと同一の機能を有し、以下では室内機2aの動作を説明するので、室内機2b、室内機2c及び室内機2dの各々の動作の説明を省略する。図15は、実施の形態2に係る空調システム1Aが有する室内機2aの動作の手順を示すフローチャートである。
検出部21aは、室内機2aに対応する第1領域81に存在する人の数を検出する(S31)。制御部25aは、室内機側通信部53aが制御装置4aの制御装置側通信部42から増加情報を受信したか否かを判定する(S32)。室内機側通信部53aが増加情報を受信しないと制御部25aによって判定された場合(S32でNo)、室内機2aの動作はステップS46に移行する。なお、室内機側通信部53aが個数情報を受信したと制御部25aによって判定された場合、室内機2aは実施の形態1の室内機2と同一の動作を行う。
ステップS46の動作は、実施の形態1において説明した図5のステップS12の動作と同一である。ステップS46の動作の後、室内機2aの動作はステップS47に移行し、ステップS47の動作の後、室内機2aの動作はステップS48に移行する。ステップS47の動作は図5のステップS13の動作と同一であり、ステップS48の動作は図5のステップS14の動作と同一である。
すなわち、計測部28aは検出部21aによって検出された数が第2数以下である状態が第2のタイミングから継続する時間を計測し、時間判定部29aは検出部21aによって計測された時間があらかじめ決められた時間を超えたか否かを判定する。計測部28aによって計測された時間があらかじめ決められた時間を超えたと時間判定部29aによって判定された場合、制御部25aは、設定温度、ファン23aの回転数及びフラップ26aの動作を元に戻す制御を行う。
ステップS32において、室内機側通信部53aが増加情報を受信したと制御部25aによって判定された場合(S32でYes)、室内機側数判定部22aは、第2のタイミングに検出部21aによって検出された数である第2数が第2のタイミングの直前の検出タイミングである第1のタイミングにおいて検出部21aによって検出された数である第1数より大きいか否かを判定する(S33)。以下では、実施の形態2の第1数を「第1数n」と記載し、実施の形態2の第2数を「第2数m」と記載する。図15のステップS33では、第1のタイミングに検出部21aによって検出された第1数は「前回の数n」と記載されており、第2のタイミングに検出部21aによって検出された第2数は「今回の数m」と記載されている。
第2数mが第1数n以下であると室内機側数判定部22aによって判定された場合(S33でNo)、室内機2aの動作はステップS46に移行する。第2数mが第1数nより大きいと室内機側数判定部22aによって判定された場合(S33でYes)、制御部25aは、室内機側通信部53aが増加情報を受信したひとつ前のタイミングに、室内機側通信部53aが増加情報を受信したか否かを判定する(S34)。
制御部25aは、室内機側通信部53aが増加情報を受信したひとつ前のタイミングに、室内機側通信部53aが個数情報を受信せずに不増加情報を受信したと判定した場合(S34でNo)、第2のタイミング以後に、暖房運転時においては設定温度を3℃上げる制御を行い(S35)、冷房運転時においては設定温度を3℃下げる制御を行い(S35)、暖房運転時及び冷房運転時のいずれにおいてもファン23aの回転数を上げる制御を行う(S36)。ステップS35の動作の内容は実施の形態1のステップS4の動作の内容と同一であり、ステップS36の動作の内容は実施の形態1のステップS5の動作の内容と同一である。
室内機側通信部53aが増加情報を受信したひとつ前のタイミングに、室内機側通信部53aが増加情報を受信せずに不増加情報を受信したと制御部25aによって判定された場合(S34でNo)は、大部屋80において人の数が増加し、室内機2aに対応する第1領域81においても人の数が増加したことを意味する。
そのため、大部屋80において、実施の形態1において説明した最も強い空調制御が要求される。つまり、制御部25aは、室内機側通信部53aが増加情報を受信したひとつ前のタイミングに、室内機側通信部53aが増加情報を受信せずに不増加情報を受信したと制御部25aによって判定された場合(S34でNo)、実施の形態1において説明した最も強い空調制御を行う。
室内機側通信部53aが増加情報を受信したひとつ前のタイミングに、室内機側通信部53aが増加情報を受信したと制御部25aによって判定された場合(S34でYes)、室内機側数判定部22aは、第1数nが「0」であるか否かを判定する(S37)。第1数nが「0」であると室内機側数判定部22aによって判定された場合(S37でYes)、制御部25aは、第2のタイミング以後に、暖房運転時においては設定温度を3℃上げる制御を行い(S38)、冷房運転時においては設定温度を3℃下げる制御を行い(S38)、暖房運転時及び冷房運転時のいずれにおいてもファン23aの回転数を上げる制御を行う(S39)。
ステップS37の動作の内容は、実施の形態1のステップS3の動作の内容と同一である。そのため、第1数nが「0」であると室内機側数判定部22aによって判定された場合(S37でYes)、制御部25aは実施の形態1において説明した最も強い空調制御を行う。
室内機側数判定部22aは、第1数nが1以上であると判定した場合(S37でNo)、第2数mから第1数nを減じた数である第3数が第1数nより大きいか否かを判定する(S40)。以下では、第3数を「第3数(m−n)」と記載する。図15のステップS40では、第3数は(m−n)と記載されている。
第3数(m−n)が第1数nより大きいと室内機側数判定部22aによって判定された場合(S40でYes)、制御部25aは、第2のタイミング以後に、暖房運転時においては設定温度を2℃上げる制御を行い(S41)、冷房運転時においては設定温度を2℃下げる制御を行い(S41)、暖房運転時及び冷房運転時のいずれにおいてもファン23aの回転数を上げる制御を行う(S42)。ステップS40の動作の内容は、実施の形態1のステップS6の動作の内容と同一である。そのため、第3数(m−n)が第1数nより大きいと室内機側数判定部22aによって判定された場合(S40でYes)、制御部25aは実施の形態1において説明した中間の空調制御を行う。
第3数(m−n)が第1数n以下であると室内機側数判定部22aによって判定された場合(S40でNo)、制御部25aは、第2のタイミング以後に、暖房運転時においては設定温度を1℃上げる制御を行い(S43)、冷房運転時においては設定温度を1℃下げる制御を行い(S43)、暖房運転時及び冷房運転時のいずれにおいてもファン23の回転数を上げる制御を行う(S44)。ステップS40の動作の内容は、実施の形態1のステップS6の動作の内容と同一である。そのため、第3数(m−n)が第1数n以下であると室内機側数判定部22aによって判定された場合(S40でNo)、制御部25aは実施の形態1において説明した最も弱い空調制御を行う。
すなわち、第2合計が第1合計より大きいと制御装置4aの制御装置側数判定部44によって判定された場合、室内機2aの制御部25aは、第2数mが第1数nより大きいと室内機側数判定部22aによって判定されたとき、第2のタイミング以後に、暖房運転時においては設定温度を上げると共にファン23aの回転数を上げる制御を行い、冷房運転時においては設定温度を下げると共にファン23aの回転数を上げる制御を行う。
更に言うと、以下の場合A及び場合Bでは、制御部25aは、暖房運転時においては、設定温度の上げ幅を第1数nが1以上であるときの上げ幅より大きくすると共に、ファン23aの回転数の上げ幅を第1数nが1以上であるときの上げ幅より大きくする制御を行い、冷房運転時においては、設定温度の下げ幅を第1数nが1以上であるときの下げ幅より大きくすると共に、ファン23aの回転数の上げ幅を第1数nが1以上であるときの上げ幅より大きくする制御を行う。
場合Aは、第2数mが第1数nより大きいと室内機側数判定部22aによって判定された場合であって、制御装置側数判定部44による第2合計が第1合計より大きいとの判定の直前の判定において第2合計が第1合計以下であると制御装置側数判定部44によって判定された場合である。場合Bは、第2数mが第1数nより大きいと室内機側数判定部22aによって判定された場合であって、制御装置側数判定部44による第2合計が第1合計より大きいとの判定の直前の判定において第2合計が第1合計より大きいと制御装置側数判定部44によって判定されていて、かつ、第1数nが「0」であると室内機側数判定部22aによって判定された場合である。
更に、以下の場合Cでは、制御部25aは、暖房運転時においては、設定温度の上げ幅を、第1数nが「0」であるときの上げ幅より小さく第3数(m−n)が第1数n以下であるときの上げ幅より大きく設定すると共に、ファン23aの回転数の上げ幅を、第1数nが「0」であるときの上げ幅より小さく第3数(m−n)が第1数n以下であるときの上げ幅より大きく設定する制御を行う。加えて、場合Cでは、制御部25aは、冷房運転時においては、設定温度の上げ幅を、第1数nが「0」であるときの下げ幅より小さく第3数(m−n)が第1数n以下であるときの下げ幅より大きく設定すると共に、ファン23aの回転数の上げ幅を、第1数nが「0」であるときの上げ幅より小さく第3数(m−n)が第1数n以下であるときの上げ幅より大きく設定する制御を行う。
場合Cは、第2数mが第1数nより大きいと室内機側数判定部22aによって判定された場合であって、制御装置側数判定部44による第2合計が第1合計より大きいとの判定の直前の判定において第2合計が第1合計より大きいと制御装置側数判定部44によって判定されていて、第1数nが1以上であると室内機側数判定部22aによって判定され、かつ、第2数mから第1数nを減じた数である第3数(m−n)が第1数nより大きいと室内機側数判定部22aによって判定された場合である。
ステップS36、S39、S42及びS44の各動作が行われると、室内機2aの動作はステップS45に移行する。ステップS45の動作は図5のステップS11の動作と同一である。
すなわち、室内機側数判定部22aは、第2のタイミングに検出部21aによって検出された数である第5数が「0」であるか否かを判定する。室内機側数判定部22aは、第2のタイミングに検出部21aによって検出された数である第5数が1以上であると共に、第1のタイミングに検出部21aによって検出された数である第4数が「0」であるか否かを更に判定する。室内機側数判定部22aは、第2のタイミングに検出部21aによって検出された数である第5数が1以上であると共に、第1のタイミングに検出部21aによって検出された数である第4数が1以上であるか否かを更に判定する。
制御部25aは、第5数が「0」であると室内機側数判定部22aによって判定された場合、フラップ26eを閉じる制御を行う。制御部25aは、第5数が1以上であると共に第4数が「0」であると室内機側数判定部22aによって判定された場合、フラップ26eをスイングさせる制御を行う。制御部25aは、第5数が1以上であると共に第4数が1以上であると室内機側数判定部22aによって判定された場合、フラップ26eの動作を維持する制御を行う。
上述の通り、空調システム1Aでは、各室内機は、第2合計Mmaxが第1合計Nmaxより大きいことを示す増加情報を受信した場合、当該増加情報を受信するひとつ前に受信した情報が増加情報ではないとき、大部屋80の全体における空調制御の程度は弱いので、3段階の空調制御のなかで最も強い空調制御を行う。すなわち、各室内機は、大部屋80に存在する人が増えたことを示す増加情報を受信した場合、当該増加情報を受信するひとつ前に受信した情報が大部屋80に存在する人が増えたことを示す増加情報ではないとき、大部屋80における空調制御の程度は弱いので、最も強い空調制御を行う。つまり、空調システム1Aは、大部屋80の全体を考慮して空調制御を適切に行うことができる。
複数の室内機を有する空調システム1Aによって得られる効果のうちの、当該複数の室内機が配置される大部屋80の全体を考慮した上述の効果以外の効果は、実施の形態1に空調システム1によって得られる効果と同じである。
なお、実施の形態2の空調システム1Aでは、室内機2a、室内機2b、室内機2c及び室内機2dの各々は、配線によって制御装置4aと接続されている。しかしながら、室内機2a、室内機2b、室内機2c及び室内機2dのうちの少なくともひとつの室内機が制御装置4aと接続されていればよい。当該ひとつの室内機が制御装置4aと接続されている場合、他の室内機は当該ひとつの室内機と通信可能に設定される。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略又は変更することも可能である。