JP4607549B2 - 空調制御システム - Google Patents

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Description

この発明は、空調機からの給気をVAVユニット(可変風量調節ユニット)などの吹出手段を介して空調対象空間へ送る空調制御システムに関するものである。
従来より、この種の空調制御システムとして、天井埋込式の空調機を室内(空調対象空間)に設け、この天井埋込式の空調機に給気の吹出部を複数設け、室内の温熱源や冷熱源(例えば、室外に面する南側の窓(温熱源)、冷気が放出されるショーケース(冷熱源))および人存在時間の多少を空調負荷要素として、各吹出部の吹出方向で分割された室内の各空調ゾーン(給気の供給エリア)における負荷検知センサのデータに応じて各吹出からの風量の分配と風量の調整を行うようにしたシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
また、これとは別の空調制御システムとして、空調対象空間を複数の空調ゾーンに区画し、空調機からの給気の吹出方向を各空調ゾーン間で変化させる風向変更機構を設けるとともに、複数の開口部(吹出部)を有する空気吹出口と、この空気吹出口の各開口部を開閉する開閉機構と、各空調ゾーンの空調負荷を検出する負荷検出手段と、この負荷検出手段の出力を受け、空調対象空間の空調負荷の分布を演算する演算手段と、この演算手段の演算結果に基づき、空調負荷分布の偏在の大きい空調ゾーンに給気の吹出方向を向け、かつ空調負荷分布の偏在が大きいほど空気吹出口の面積を絞るように風向変更機構および開閉機構を制御する制御手段とを設けたシステムがある(例えば、特許文献2参照)。
また、さらにきめの細かい空調制御システムとして、サービスエリアの固定局に対して識別子を無線データとして出力して位置登録を行う携帯無線端末と、固定局に位置登録された識別子に基づいて所定領域にいる個人を特定する個人特定手段と、空調制御における各個人の嗜好を記憶するデータベースと、個人特定手段の特定する個人に対応したデータベースからの嗜好データに基づいて空調設備機器を制御する制御手段とを設けたシステムがある(例えば、特許文献3参照)。このシステムでは、各空調ゾーンにおける在室者の要望(現在の空調制御における在室者の嗜好)が空調制御に反映される。
特開2002−098397号公報 特開平5−118618号公報 特開平9−116973号公報 特開2002−098397号公報
しかしながら、上述した引用文献1では、各空調ゾーンに供給される給気すなわち給気量の決定にあたっては、各空調ゾーン毎の人存在時間の多少を空調負荷要素として考慮するものの、これは予め各空調ゾーン毎に人が存在する時間(機会)の予測値であって、各空調ゾーンに現在存在する実際の人数ではないので、決定された給気量が適切なものであるかは保証されない。また、引用文献1では、例えば温熱源がある南1ゾーンと北3ゾーンとを風量分配においてリンクさせ分配比を125:75とするなど、各空調ゾーン間で風量分配を決めているが、空調ゾーン内に人がいないにも拘わらず、調和空気の供給が行われることがある。これでは、在室者の不快感を素早く取り除くことはできない。
また、上述した引用文献2では、空調対象空間を複数の空調ゾーンに分割して各空調ゾーン毎に空調負荷分布を求めてはいるが、一時に空調負荷分布の偏在の大きい空調ゾーンに対してのみ調和空気を送っているので、他の空調ゾーンは空調負荷を有していてもそれが最大とならなければ直接には調和空気が送られず、空調負荷の解消が遅れる。すなわち、引用文献2は、同時に複数の空調ゾーンに向けて直接調和空気を吹き出すようになってはおらず、空調ゾーン内に人がいるにも拘わらず、調和空気の供給が行われないことがある。これでは、在室者の不快感を素早く取り除くことはできない。
上述した引用文献3では、各空調ゾーンにおける在室者からの要望が空調制御に反映されるので、適切な量の給気を各空調ゾーンに供給することができ、また在室者の不快感を素早く取り除くことも可能であるが、オフィスなどの大空間で、人の移動はあるが出入りがあまりないような場合(トータルの室内負荷の変動があまり発生しないような場合)、在室者の好みに応じて空調ゾーンへの給気量を変更すると、空調対象空間へ供給すべき実負荷に応じた給気量(要求量)が変わらないにも拘わらず、空調対象空間への給気量が変化し、他の空調対象空間や空調機に大きな影響を及ぼしてしまう虞れがある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、在室者からの給気量の変更要求が他の空調対象空間や空調機に及ぼす影響を小さくすることができる空調制御システムを提供することにある。
このような目的を達成するために、第1発明(請求項1に係る発明)は、空調機からの給気を複数の吹出部を備えた吹出手段を介して空調対象空間へ送る空調制御システムにおいて、吹出手段の吹出部の少なくとも1つとして設けられた調整用吹出部と、吹出手段の吹出部のうち調整用吹出部を除く残りの吹出部として設けられた制御用吹出部と、制御用吹出部からの給気の供給エリアとして定められた制御ゾーンからの給気量の変更要求を受け付ける手段と、受け付けられた変更要求に応ずる制御用吹出部からの制御ゾーンへの給気の変更量の総量を求める手段と、求められた給気の変更量の総量に基づいて、空調対象空間への給気量が実負荷に応じて決定される給気量に保たれるように、調整用吹出部からの調整ゾーンへの給気量を調整する調整用吹出調整手段とを設けたものである。
この発明において、吹出手段の吹出部は、少なくともその1つが調整用吹出部とされ、残りが制御用吹出部とされる。制御ゾーン(制御用吹出からの給気の供給エリア)において、在室者は、給気量の変更要求を行うことができる。この変更要求に応ずる制御用吹出部からの給気量の変更によって、適切な量の給気をその制御ゾーンに供給し、その制御ゾーンにおける在室者の不快感を素早く取り除くことが可能となる。なお、本発明において、調整用吹出部からの給気の供給エリア(調整ゾーン)は、人の出入りがない或いは少ないエリアであることが望ましい。
一方、制御ゾーンからの給気量の変更要求が受け付けられると、この受け付けられた変更要求に応ずる制御用吹出部からの給気の変更量の総量が求められる。すなわち、複数の制御ゾーンから給気量の変更要求があれば、その変更要求に応ずる各制御用吹出部からの各制御ゾーンへの給気の変更量が合計される。この場合、給気の変更量の総量によっては、実負荷に応じて決定される空調対象空間への給気量(要求量)と制御ゾーンからの変更要求に従って変更される空調対象空間への給気量(変更量)との差ΔQT(ΔQT=要求量−変更量)プラス値となる場合もあるし、マイナス値となる場合もある。
ΔQTがプラス値となる場合、そのままでは、空調対象空間への給気量が実負荷に応じて決定される給気量(要求量)よりも少なくなる。ΔQTがマイナス値となる場合、そのままでは、空調対象空間への給気量が実負荷に応じて決定される給気量(要求量)よりも多くなる。これに対し、本発明では、空調対象空間への給気量が実負荷に応じて決定される給気量(要求量)に保たれるように、調整用吹出部からの調整ゾーンへの給気量が調整される。
第2発明(請求項2に係る発明)は、第1発明において、調整用吹出部からの給気量の調整だけでは空調対象空間への給気量を実負荷に応じて決定される給気量に保つことができない場合、その不足分を制御用吹出部からの制御ゾーンへの給気の変更量の調整によって補うようにしたものである。
この発明によれば、調整用吹出部からの給気量の調整だけでは空調対象空間への給気量を実負荷に応じて決定される給気量(要求量)に保つことができない場合、その不足分(吸収不可能分)が制御用吹出部からの制御ゾーンへの給気の変更量の調整によって補われる。
第3発明(請求項3に係る発明)は、第2発明において、制御ゾーン内の在室者の人数を検出する在室者検出手段を設け、制御用吹出部からの制御ゾーンへの給気の変更量を調整する際に、在室者検出手段が検出する制御ゾーン内の在室者の人数に基づく重み付けを行うようにしたものである。
この発明によれば、例えば、各制御ゾーン内における在室者の人数を空調対象空間の在室者のトータル数で除すことによって各制御ゾーンの重み係数を求め、在室者の人数が多い制御ゾーンについてはそこへの給気の変更量の調整分を大きくするなどして、各制御用吹出部からの給気の変更量を調整する際のバランスをとることができる。
第1明によれば、空調対象空間への給気量が実負荷に応じて決定される給気量に保たれるように、調整用吹出部からの調整ゾーンへの給気量が調整されるので、在室者からの変更要求が他の空調対象空間や空調機に及ぼす影響を小さくすることができるようになる。
第2発明によれば、調整用吹出部からの給気量の調整だけでは空調対象空間への給気量を実負荷に応じて決定される給気量(要求量)に保つことができない場合、その不足分(吸収不可能分)が制御用吹出部からの制御ゾーンへの給気の変更量の調整によって補われるものとなり、調整用吹出部での吸収不可能分がある場合でも空調対象空間への給気量を実負荷に応じて決定される給気量(要求量)に保つことができるようになる。
また、第3発明によれば、例えば、各制御ゾーン内における在室者の人数を空調対象空間の在室者のトータル数で除すことによって各制御ゾーンの重み係数を求め、在室者の人数が多い制御ゾーンについてはそこへの給気の変更量の調整分を大きくするなどして、各制御用吹出部からの給気の変更量を調整する際のバランスをとることができ、各制御ゾーン内における在室者の人数を考慮した合理的な給気の変更量の調整(調整用吹出部での吸収不可能分を補うことを目的とした制御用吹出部からの給気の変更量の調整)を行うことができるようになる。
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明の一実施の形態を示す空調制御システムの構成図である。同図において、1は空調機、2は空調機1からの給気が供給される室内(空調対象空間)、3は空調機1からの給気を室内2へ吹き出すVAVユニット(以下、吹出口と呼ぶ)であり、吹出口3はこの例では円周方向に4個の吹出AS(AS1〜AS4)を有している。このような吹出が周方向に分割して設けられたユニットは特許文献4などにも示されている。
この吹出口3において、各吹出ASは、その開度が開度変更アクチュエータ4によって、その水平方向,垂直方向の吹出角度が風向変更アクチュエータ5によって変更されるようになっている。なお、風向変更アクチュエータ5が変更する風向は、吹出AS毎の水平方向,垂直方向の吹出角度だけではなく、吹出口3全体として吹出ASを選択的に開閉(全閉/全開)することによって定まる給気の方向も含む。
室内2には複数の送信機能付き椅子6が設けられている。図2に送信機能付き椅子6の外観を例示する。図4に送信機能付き椅子6に搭載された装置のブロック図を示す。
送信機能付き椅子(以下、単に椅子と言う)6には、メッセージ生成プログラム6Aを実行するCPU6−1と、CPU6−1が生成した送信メッセージ(後述)をアンテナ6−2を介して無線信号として送信する送信モジュール6−3と、CPU6−1および送信モジュール6−3などの各部に電源を供給する電池6−4と、利用者の着席を検出するとともに、利用者の着席によりオンして自身の接点6−5を閉じて電池6−4からの電源をCPU6−1などに供給させる着席検出スイッチ6−6と、制御に必要な各種の情報を設定する設定器6−7と、椅子6に対して定められたID(椅子ID)を記憶する記憶部6−8と、タイマ6−9と、椅子6の移動距離を積算して相対座標(椅子相対座標)として記憶部6−10に記憶するエンコーダ6−11と、記憶部6−10の相対座標をクリアするリセットスイッチ6−12と、操作器6−13とが設けられている。
操作器6−13は、図2に示されているように、椅子6の肘掛けの部分に取り付けられている。操作器6−13は、ダイヤル型とされており、そのダイヤルの回転方向と回転量によって、ユーザの暑い寒いの感覚を開度設定要求として入力することが可能である。開度設定要求は、前回送信時からの相対値で送信され、着席時は相対値ゼロが送信される。
この椅子6に利用者が着席すると(図3参照)、これが着席検出スイッチ6−6によって検出され、この着席検出スイッチ6−6の検出情報(着席検出情報)と、記憶部6−8に記憶された椅子IDと、記憶部6−10に記憶された相対座標と、操作器6−13からの開度設定要求とからなる送信メッセージがCPU6−1により作成され、送信モジュール6−3よりアンテナ6−2を介して無線信号として送信される。以降、利用者の着席中は、椅子6から間欠的に送信メッセージが送信される。
利用者の着席中、椅子6は、エンコーダ6−11により現在の座標を検出し、その検出座標を、定位置座標を(0,0)とした相対座標(x,y)として記憶部6−10に記憶するとともに、この記憶部6−10に記憶されている椅子6の相対x座標と相対y座標とを椅子IDと着席検出情報と開度設定要求に付加した送信メッセージを送信する。エンコーダ6−11の座標の検出は、マウスと同一の原理であり、誤差が大となると定位置でリセットスイッチ6−12を押下することにより記憶部6−10の相対座標を「0」にすることができる。
吹出口3に対しては、開度変更アクチュエータ4および風向変更アクチュエータ5へ制御指令を送るVAVコントローラ(以下、吹出口コントローラと呼ぶ)7が設けられている。吹出口コントローラ7には、データベース71と、後述する椅子情報をデータベース71に登録する椅子情報登録プログラム7A、吹出口3からの給気の風向を制御する風向制御プログラム7B、吹出口3からの給気量を制御する給気量制御プログラム7Cを実行するCPU72と、室内2における各椅子6から送信されてくる送信メッセージ(椅子ID、椅子相対座標、着席検出情報、開度設定要求)を受信する受信器73とが設けられている。
受信器73には、図5に示すように、CPU7−31と、受信モジュール7−32と、通信モジュール7−33とが設けられ、椅子6からの無線信号が受信モジュール7−32で受信されると、CPU7−31は、メッセージ生成プログラム7Dを実行して、受信した無線信号に含まれる椅子ID、椅子相対座標、着席検出情報および開度設定要求からなる送信メッセージのプロトコル変換を行い、このプロトコル変換された送信メッセージを通信モジュール7−33を介してCPU72へ送る。
データベース71には、室内2に設けられた各椅子6の椅子IDに対してその椅子6の定位置座標が登録されている。CPU72は、受信器73からの送信メッセージを受信すると、椅子情報登録プログラム7Aを実行して、その送信メッセージに含まれる椅子IDに応じた椅子6の定位置座標をデータベース71から読み出し、この読み出した定位置座標と送信メッセージに含まれる椅子相対座標とに基づいてその椅子6の絶対座標(椅子絶対座標)を算出し、この算出した椅子6の絶対座標とその椅子6の椅子IDとその椅子6が位置するエリアをカバーする吹出ASの番号(吹出NO.)を椅子情報としてデータベース71に登録する。
なお、本実施の形態では、吹出口3の各吹出ASからの給気の供給エリア(空調ゾーン)として室内2を4つのエリアに区画しており、吹出AS1がエリアAR1をカバーし、吹出AS2がエリアAR2をカバーし、吹出AS3がエリアAR3をカバーし、吹出AS4がエリアAR4をカバーする。
また、CPU72は、室内2の各椅子6について、受信器73からの送信メッセージを受信する毎に、離席判定タイマ(ソフトタイマ)TMをリセットして再起動し、起動中の離席判定タイマTMがタイムアップすると、その椅子6から利用者が離席したと判断して、データベース71に格納されているその椅子6の椅子情報(椅子ID、椅子絶対座標,吹出NO.,開度設定要求)を削除する。なお、図1において、T0は室内2の温度を検出する室内温度センサ、T1は吹出口コントローラ3への給気の温度を検出する給気温度センサである。
以下、風向制御プログラム7B,給気量制御プログラム7Cによって実行される吹出口3の給気の風向制御および給気量制御について、図6および図7のフローチャートを参照しながら説明する。
〔在室者の増減がある場合〕
今、1つの例として、室内2の椅子61〜64に利用者が在席しているものとする(図8(a)参照)。ここで、室内2に新たな利用者が入り、その利用者が椅子65に着席したとする(図8(b)参照)。椅子65では、利用者が着席すると、着席検出スイッチ6−6がオンして自己の接点6−5を閉じ、これによって電池6−4からの電源がCPU6−1をはじめとする椅子65の各部に供給されるとともに、電源が供給されたCPU6−1が起動されてメッセージ生成プログラム6Aを実行する。
ここで、CPU6−1は、先ず着席検出スイッチ6−6の接点6−5のオンを検出すると、この検出情報(着席検出情報)と記憶部6−8および6−10からそれぞれ読み出した椅子65の椅子IDおよび椅子相対座標、操作器6−13を介する開度設定要求(着席時は相対値ゼロ)とからなる送信メッセージを作成する。そして、この作成した送信メッセージを送信モジュール6−3に出力し、送信モジュール6−3からアンテナ6−2を介して無線信号として送信する。
椅子65から送信された無線信号は吹出口コントローラ7の受信器73で受信される。受信器73のCPU7−31は、椅子65からの無線信号を受信すると、メッセージ生成プログラム7Dを実行して、この受信した無線信号に含まれる着席検出情報、椅子ID、椅子相対座標および開度設定要求からなる送信メッセージのプロトコル変換を行い、通信モジュール7−33を介してCPU72へ送る。
CPU72は、受信器73からの送信メッセージを受信すると、椅子情報登録プログラム7Aを実行する。図6はこの椅子情報登録プログラム7Aに従うCPU72の処理動作を示すフローチャートである。
CPU72は、受信器73からの送信メッセージに含まれる着席検出情報に基づき椅子65へ利用者が着席したと判断し(ステップ101の「在席」)、その送信メッセージに含まれる椅子IDがデータベース71に未登録であることを確認のうえ(ステップ102のNO)、その椅子IDをデータベース71に登録する(ステップ103)。この時、データベース71には、既に椅子61,62,63,64の椅子IDが登録されており、この椅子61,62,63,64の椅子IDに椅子65の椅子IDが追加されることになる。
そして、CPU72は、その送信メッセージに含まれる椅子IDによって特定される椅子65の定位置座標をデータベース71から読み出し、この読み出した定位置座標と送信メッセージに含まれる相対座標とに基づいてその椅子65の絶対座標を算出し、この算出した椅子65の絶対座標をデータベース71に登録する(ステップ104)。また、椅子65が位置するエリアAR3をカバーする吹出AS3の番号(吹出NO.3)を求め、椅子IDに対応づけてデータベース71に登録する(ステップ105)。また、送信メッセージに含まれる開度設定要求を椅子IDに対応づけてデータベース71に登録する(ステップ106)。この時、データベース71には、既に椅子61,62,63,64の絶対座標、吹出NO.および開度設定要求が登録されており、これに椅子65の絶対座標、吹出NO.および開度設定要求が追加されることになる。
椅子65は、利用者の着席中、間欠的に送信メッセージを送信する。この場合、図6に示したフローチャートでは、在席中ではあるがその送信メッセージに含まれる椅子IDはデータベース71に既に登録済みであると判断され(ステップ102のYES)、その椅子65の定位置座標と相対座標とから算出される絶対座標、吹出NO.および開度設定要求のみがデータベース71に更新・登録される。
なお、CPU72は、椅子65からの送信メッセージを受信する毎に、離席判定タイマTMをリセットして再起動する。起動中の離席判定タイマTMがタイムアップすると、椅子65から利用者が離席したと判断して(ステップ101の「離席」)、データベース71に登録されている椅子65の椅子IDと絶対座標と吹出NO.と開度設定要求を削除する(ステップ107〜111)。
CPU72は、次に風向制御プログラム7Bおよび給気量制御プログラム7Cを実行し、データベース71に登録された椅子IDと椅子絶対座標とに基づいて、吹出口3からの給気の風向および給気量を決定する。図7はこの風向制御プログラム7Bおよび給気量制御プログラム7Cに従うCPU72の処理動作を示すフローチャートである。
CPU72は、室内温度センサT0からの室内2の温度tpvと設定温度tspとの差に基づいて、室内2における空調の実負荷を求める(ステップ201)。また、CPU72は、データベース71に登録されている椅子IDの数から室内2における在室者の増減を判断する(ステップ202)。この例では、椅子65が増えたので、在室者が1人増えたと判断し、ステップ203へ進む。
ステップ203において、CPU72は、予め定められた1人当たりの熱負荷を増減した人数に乗じることによって熱負荷の増減量を求め、この熱負荷の増減量をステップ201で求めた実負荷に加算して室内2における空調負荷を求める。
この例では、在室者が1人増えたので、1人分の熱負荷を増加量とし、この増加量を実負荷に加算した値(実負荷+増加量(+値))を室内2における空調負荷とする。そして、この求めた空調負荷にみあった吹出口3からの室内2への給気量を決定する(ステップ204)。
なお、在室者が1人減ったような場合には、1人分の熱負荷の減少量が求められ、この減少量を実負荷に加算した値(実負荷+増加量(−値))が室内2における空調負荷とされる。
次に、CPU72は、データベース71に登録されている椅子絶対座標と、ステップ204で決定された給気量と、給気温度センサT1によって検出される室内2への給気の温度(風温)から、吹出口3からの給気の風向を決定する(ステップ205)。
ステップ205での給気の風向の決定では、吹出口3全体としての吹出ASの開閉による大まかな水平方向の給気の方向の決定と、個々の吹出ASの水平方向,垂直方向の吹出角度の決定を行う。
図8(b)の例では、吹出AS1,AS2からの給気が送られるエリアAR1,AR2には既に在室者がおり、吹出AS3からの給気が送られるエリアAR3に1人の在室者の増加が認められる。この場合、CPU72は、風向変更アクチュエータ5へ指令を送り、吹出AS3を開とする。また、エリアAR3における在室者の位置の重心を求め、この求めた重心の位置に給気が送られるように、吹出AS3の水平方向の吹出角度θ1(図9参照)と垂直方向の吹出角度θ2(図10参照)を調整する。
なお、吹出AS3の垂直方向の吹出角度θ2は、吹出口3の中心からエリアAR3における在室者の位置の重心までの距離を到達距離とし、データベース71に記憶されているテーブル(吹出角度θ2と到達距離との関係を風温,風量をパラメータとして表したテーブル)から求める。
また、CPU72は、開度変更アクチュエータ4へ指令を送り、吹出AS3の開度を調整することによって、ステップ204で決定された給気量を確保する。吹出AS3の開度の調整のみでは決定された給気量を確保できない場合には、吹出AS1,AS2の開度も調整する。吹出AS1〜AS3の開度の調整のみでは決定された給気量を確保できない場合には、空調機1へ給気量の増大を要求する。
〔在室者の増減がなく、在室者からの開度変更要求がある場合〕
次に、本発明に係る特徴部分として、在室者の増減がなく、在室者からの開度変更要求がある場合の給気量制御について説明する。なお、実施の形態の説明に入る前に、先ず参考例について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。この処理は、図7に示したフローチャートにおいて、在室人数の増減がない場合、すなわちステップ202での判断がNOとなる場合の処理に対応する。以下、図11のフローチャートに従う機能を参考例1と呼ぶ。
参考例1:吹出口1つ、調整用吹出なし〕
今、室内2の椅子61〜64に利用者が着席しているものとする(図8(a)参照)。ここで、エリアAR1内の椅子61,62に着席している利用者A,BやエリアAR2内の椅子63,64に着席している利用者C,Dから開度変更要求が与えられたとする。なお、利用者A,B,C,Dからの開度変更要求は、椅子61,62,63,64の肘掛けの部分に取り付けられている操作器6−13のダイヤル操作によって与えられる。
〔総開度変更量ΔTの演算〕
CPU72は、室内温度センサT0からの室内2の温度tpvと設定温度tspとの差に基づいて室内2における空調の実負荷を求め、この求めた実負荷にみあった室内2への給気量を決定し、吹出口3からの全体風量をその決定した給気量に変更するための総開度変更量ΔT(%)を算出する(ステップ301)。
〔吹出開度変更要求分ΔXk、吹出口開度変更要求総量ΔXTの演算〕
そして、CPU72は、k=1とし(ステップ302)、k≦n(n:吹出口3の吹出ASの数)であることを確認のうえ(ステップ303のYES)、ステップ304へ進む。ステップ304では、エリアAR1内からの開度変更要求に応じ、エリアAR1に対する吹出AS1の開度変更要求分ΔX1(%)を算出する。この例では、エリアAR1内の在室者Aからの開度変更要求をΔXA(%)、在室者Bからの開度変更要求をΔXB(%)とし、(ΔXA+ΔXB)/2=ΔX1をエリアAR1に対する吹出AS1の開度変更要求分とする。そして、この算出した吹出開度変更要求分ΔX1を開度変更アクチュエータ4に出力し(ステップ305)、ΔXT(初期値0)にΔX1を加算し(ステップ306)、k=k+1=2として(ステップ307)、ステップ303へ戻る。
エリアAR2についても同様にして、吹出AS2の吹出開度変更要求分ΔX2を算出し、この算出した吹出開度変更要求分ΔX2を開度変更アクチュエータ4に出力し、ΔXTにΔX2を加算し、k=k+1=3として、ステップ303へ戻る。この例では、エリアAR3,AR4には在室者がいないので、エリアAR3,AR4に対する吹出AS3,AS4の吹出開度変更要求分ΔX3,ΔX4は0となる。従って、この例において、ステップ306で求められる吹出口開度変更要求総量ΔXT(%)は最終的にはΔXT=ΔX1+ΔX2となる。
〔吹出開度変更調整分ΔYkの演算〕
ステップ303において、k>nとなると、k=1とし(ステップ308)、k≦nであることを確認のうえ(ステップ309のYES)、ステップ310へ進む。ステップ310では、エリアAR1に対する吹出AS1の開度変更調整分(吹出開度変更調整分)ΔY1(%)を算出する。この例では、エリアAR1における在室者の人数をM1とし、室内2における在室者の総人数をMTとし、β1=100×M1/MTとして吹出別重み係数β1を算出し、この吹出別重み係数β1を(ΔT−ΔXT)に乗じて吹出開度変更調整分ΔY1(ΔY1=(ΔT−ΔXT)×β1)とする。そして、この算出した吹出開度変更調整分ΔY1を開度変更アクチュエータ4に出力し(ステップ311)、k=k+1=2として(ステップ312)、ステップ309へ戻る。
エリアAR2についても同様にして、吹出AS2の吹出開度変更調整分ΔY2(ΔY2=(ΔT−ΔXT)×β2を算出し、この算出した吹出開度変更調整分ΔY2を開度変更アクチュエータ4に出力し、k=k+1=3として、ステップ309へ戻る。この例では、エリアAR3,AR4には在室者がいないので、ステップ310での吹出別重み係数β3,β4が0となり、エリアAR3,AR4に対する吹出AS3,AS4の吹出開度変更調整分ΔY3,ΔY4は0となる。
ここで、ステップ310での「ΔT−ΔXT」の演算は、ステップ301で算出された総開度変更量ΔTからステップ306で算出された吹出口開度変更要求総量ΔXTを差し引く演算である。この演算は、実負荷に応じて決定される吹出口3からの室内2への給気量(要求量)QTと、室内2の在室者からの変更要求にそのまま従った場合に変化する吹出口3からの室内2への給気量(変更量)QT’との差、すなわちQT−QT’=ΔQTを演算していることに他ならない(図12参照)。
図12に示した関係からも分かるように、吹出口開度変更要求総量ΔXTの値によっては、QTとQT’との差ΔQTがプラス値となる場合もあるし、マイナス値となる場合もある。ΔQTがプラス値である場合、そのまま在室者からの変更要求に従うと、室内2への給気量は実負荷に応じて決定される給気量(要求量)QTよりも少なくなる。ΔQTがマイナス値である場合、そのまま在室者からの変更要求に従うと、室内2への給気量は実負荷に応じて決定される給気量(要求量)QTよりも多くなる。
ステップ310において、ΔT−ΔXTがプラス値(ΔQTがプラス値)であれば、このΔT−ΔXTに吹出別重み係数βkを乗じて得られる吹出ASkの吹出開度変更調整分ΔYkもプラス値となる。この例では、β3,β4=0であるので、ΔY3,ΔY4が0となり、ΔY1,ΔY2がプラス値として得られる。ここで、ΔY1+ΔY2=ΔT−ΔXTであるので、ΔY1,ΔY2が開度変更アクチュエータ4に出力されることによって、吹出AS1,AS2の開度がΔY1,ΔY2だけ増加し、これによって室内2への給気量が要求量QTに保たれることになる。
ステップ310において、ΔT−ΔXTがマイナス値(ΔQTがマイナス値)であれば、このΔT−ΔXTに吹出別重み係数βkを乗じて得られる吹出ASkの吹出開度変更調整分ΔYkもマイナス値となる。この例では、β3,β4=0であるので、ΔY3,ΔY4が0となり、ΔY1,ΔY2がマイナス値として得られる。ここで、ΔY1+ΔY2=ΔT−ΔXTであるので、ΔY1,ΔY2が開度変更アクチュエータ4に出力されることによって、吹出AS1,AS2の開度がΔY1,ΔY2だけ減少し、これによって室内2への給気量が要求量QTに保たれることになる。
以上の説明から分かるように、この参考例1では、室内2への給気量が実負荷に応じて決定される給気量(要求量)QTに保たれるように、吹出口3の各吹出ASからの各エリアARへの給気の変更量が調整されるので、在室者からの変更要求が他の室内2や空調機1に及ぼす影響を小さくすることができるようになる。
また、この参考例1では、ステップ310において、βk=100×Mk/MTとして吹出別重み係数βkを算出し、この吹出別重み係数βkをΔT−ΔXTに乗じることによって吹出開度変更調整分ΔYkを求めるようにしているので、在室者の人数が多いエリア(空調ゾーン)についてはそこへの給気の変更量の調整分を大きくするようにして、各吹出からの給気の変更量を調整する際のバランスをとることができ、各空調ゾーン内における在室者の人数を考慮に入れた合理的な給気の変更量の調整を行うことができるようになる。
なお、上述においては、ステップ310での吹出別重み係数βkをβk=100×Mk/MTとして求めたが、例えば、在室者がいるエリアARkの床面積をFkとし、室内2の総床面積をFTとし、βk=100×Fk/FTとして求めるようにしてもよい。
図13にこの参考例1の特徴部分の機能ブロック図を示す。この参考例1において、吹出コントローラ7は、エリアAR1〜AR4からの給気量の変更要求を受け付ける給気量変更要求受付部BL1と、この給気量変更要求受付部BL1で受け付けられた変更要求に応ずる吹出AS1〜AS4からのエリアAR1〜AR4への給気の変更量ΔQ1,ΔQ2,ΔQ3,ΔQ4の総量ΔQを求める給気変更量総量算出部BL2と、この給気変更量総量算出部BL2で求められた給気の変更量の総量ΔQに基づいて、室内2への給気量が実負荷に応じて決定される給気量(要求量)に保たれるように、吹出AS1〜AS4からのエリアAR1〜AR4への給気の変更量ΔQ1,ΔQ2,ΔQ3,ΔQ4を調整し、ΔQ1’,ΔQ2’,ΔQ3’,ΔQ4’とする給気変更量調整部BL3とを有している。
参考として、図14を用いて、参考例1における吹出開度の変更例について説明する。なお、図14(a)は初期状態であり、図14(b)は調整後の状態を示している。また、この例は、冷房時の例とし、総開度変更量ΔTは0とする。
今、初期状態において、吹出AS1の元開度が20%、吹出AS2の元開度が40%、吹出AS3の元開度が80%、吹出AS4の元開度が20%とされているものとする。この場合、初期状態における吹出口3の総開度は、20%+40%+80%+20%=160%となる。また、初期状態において、エリアAR1には在室者Aが、エリアAR2には在室者B,Cが、エリアAR3には在室者D,E,F,Gが、エリアAR4には在室者Hがいるものとする。
ここで、在室者Bが暑いと感じて+5%の開度変更要求を、在室者C,Hが非常に暑いと感じて+10%の開度変更要求を、在室者D,Eが寒いと感じて−5%の開度変更要求を、在室者Gが非常に寒いと感じて−10%の開度変更要求を送ったとする。この場合、吹出AS1の変更後開度は20+0/1=20%、吹出AS2の変更後開度は40+(10+5)/2=47.5%、吹出AS3の変更後開度は80+(−5×2−10)/4=75%、吹出AS4の変更後開度は20+10/1=30%となる。ここで、吹出AS1〜AS4の変更後総開度は、20+47.5+75+30=172.5≒173となる。
従って、吹出AS1の調整後開度は20−(173−160)×1人/8人=18.38≒18%となり、吹出AS2の調整後開度は47.5−(173−160)×2人/8人=44.25≒44%となり、吹出AS3の調整後開度は75−(173−160)×4人/8人=68.5≒69%となり、吹出AS4の調整後開度は30−(173−160)×1人/8人=28.375≒29%となる。ここで、吹出AS1〜AS4の調整後総開度は、18+44+69+29=160%となり、初期状態における吹出口3の総開度160%と一致する。
実施の形態1:吹出口1つ、調整用吹出あり〕
参考例1では、室内2のエリアAR1〜AR4の全てを空調ゾーン(制御ゾーン)とし、室内2への給気量が実負荷に応じて決定される給気量(要求量)に保たれるように、エリアAR1〜AR4からの変更要求に応ずる吹出AS1〜AS4に対する給気の変更量を調整するようにした。
これに対して、実施の形態1では、図15に示すように、室内2のエリアAR1〜AR3を制御ゾーンとし、エリアAR4を調整ゾーンとし、吹出口3の吹出AS1〜AS3を制御用吹出、吹出口3の吹出AS4を調整用吹出とする。なお、この実施の形態1において、調整用吹出AS4からの給気の供給エリア(調整ゾーン)AR4は、人の出入りがない或いは少ないエリアとし、椅子6は設けられていないものとする。また、この例では、説明上、調整用吹出AS4の調整前の開度を50%とする。
今、図15において、室内2の椅子61〜64に利用者が着席しているものとする。ここで、エリアAR1内の椅子61,62に着席している利用者A,BやエリアAR2内の椅子63,64に着席している利用者C,Dから開度変更要求が与えられたとする。
〔総開度変更量ΔTの演算〕
CPU72は、室内温度センサT0からの室内2の温度tpvと設定温度tspとの差に基づいて室内2における空調の実負荷を求め、この求めた実負荷にみあった室内2への給気量を決定し、吹出口3からの全体風量をその決定した給気量に変更するための総開度変更量ΔT(%)を算出する(図16に示すステップ401)。
〔吹出開度変更要求分ΔXk、吹出口開度変更要求総量ΔXTの演算〕
そして、CPU72は、k=1とし(ステップ402)、k≦n(n:吹出口3の吹出ASの数)であることを確認のうえ(ステップ403のYES)、ステップ404へ進む。ステップ404では、エリアAR1内からの開度変更要求に応じ、エリアAR1に対する吹出AS1の開度変更要求分ΔX1(%)を算出する(ステップ404)。この例では、エリアAR1内の在室者Aからの開度変更要求ΔXA(%)、在室者Bからの開度変更要求ΔXB(%)とし、(ΔXA+ΔXB)/2=ΔX1をエリアAR1に対する吹出AS1の吹出開度変更要求分とする。そして、この算出した吹出開度変更要求分ΔX1を開度変更アクチュエータ4に出力し(ステップ405)、ΔXT(初期値0)にΔX1を加算し(ステップ406)、k=k+1=2として(ステップ407)、ステップ403へ戻る。
エリアAR2についても同様にして、吹出AS2の吹出開度変更要求分ΔX2(ΔX2=ΔXC+ΔXD)を算出し、この算出した吹出開度変更要求分ΔX2を開度変更アクチュエータ4に出力し、ΔXTにΔX2を加算し、k=k+1=3として、ステップ403へ戻る。この例では、エリアAR3には在室者がおらず、エリアAR4は調整ゾーンとされ椅子6自体がないので、エリアAR3,AR4に対する吹出AS3,AS4の吹出開度変更要求分ΔX3,ΔX4は0となる。従って、この例において、ステップ406で求められる吹出口開度変更要求総量ΔXT(%)は最終的にはΔXT=ΔX1+ΔX2となる。
〔調整用吹出開度変更量ΔXcの演算〕
ステップ403において、k>nとなると、ステップ408へ進む。ステップ408では調整用吹出AS4の現在開度Xcを読み取る。この場合、調整用吹出AS4の現在開度は、上述した前提条件により50%とされている。CPU72は、ステップ408で読み取った調整用吹出AS4の現在開度Xcとステップ406で求めた吹出口開度変更要求総量ΔXT(給気量の増大に対してはプラス値、給気量の減少に対してはマイナス値)とステップ401で求めた吹出口3の総開度変更量ΔTとから、Xc’=Xc+(ΔT−ΔXT)として調整用吹出AS4の調整後開度Xc’を予測する(ステップ409)。
そして、ステップ409で予測した調整用吹出AS4の調整後開度Xc’が0〜100%の範囲にあるか否かをチェックし(ステップ410)、Xc’が0〜100%の範囲にあれば(ステップ410のYES)、吸収不可能開度量ΔXzを0%とする(ステップ411)。これに対し、Xc’が100%<Xc’である場合には吸収不可能開度量ΔXzをΔXz=Xc’−100とし、Xc’<0%の場合には吸収不可能開度量ΔXzをΔXz=Xc’とする(ステップ412:図17参照)。
そして、ステップ413へ進み、ΔXc=ΔT−ΔXT−ΔXzとして、調整用吹出AS4の開度変更量ΔXcを算出する。そして、この算出した調整用吹出AS4の開度変更量ΔXcを開度変更アクチュエータ4に出力する(ステップ414)。
ここで、ステップ413での「ΔT−ΔXT」の演算は、ステップ401で算出された総開度変更量ΔTからステップ406で算出された吹出口開度変更要求総量ΔXTを差し引く演算である。この演算は、実負荷に応じて決定される吹出口3からの室内2への給気量(要求量)QTと、室内2の在室者からの変更要求にそのまま従った場合に変化する吹出口3からの室内2への給気量(変更量)QT’との差、すなわちQT−QT’=ΔQTを演算していることに他ならない(図18参照)。
図18に示した関係からも分かるように、吹出口開度変更要求総量ΔXTの値によっては、QTとQT’との差ΔQTがプラス値となる場合もあるし、マイナス値となる場合もある。ΔQTがプラス値である場合、そのまま在室者からの変更要求に従うと、室内2への給気量は実負荷に応じて決定される給気量(要求量)QTよりも少なくなる。ΔQTがマイナス値である場合、そのまま在室者からの変更要求に従うと、室内2への給気量は実負荷に応じて決定される給気量(要求量)QTよりも多くなる。
〔0%≦Xc’≦100%の場合:ΔXz=0〕
図18には一例として、調整用吹出AS4の予測される調整後開度Xc’が0%≦Xc’≦100%の範囲にある場合、すなわち吸収不可能開度量ΔXzが0である場合を示している。この場合、ステップ413で求められるΔXc=ΔT−ΔXTがプラス値(ΔQTがプラス値)であれば、このΔXcが開度変更アクチュエータ4に出力されることによって、調整用吹出AS4の開度がΔXcだけ増加し、室内2への給気量が要求量QTに保たれることになる。ΔXc=ΔT−ΔXTがマイナス値(ΔQTがマイナス値)であれば、このΔXcが開度変更アクチュエータ4に出力されることによって、調整用吹出AS4の開度がΔXcだけ減少し、室内2への給気量が要求量QTに保たれることになる。
〔Xc’<0%の場合:ΔXz=Xc’〕
図19に一例として、調整用吹出AS4の予測される調整後開度Xc’がXc’<0%の場合、すなわち吸収不可能開度量ΔXzがΔXz=Xc’の場合を示す。この場合、吹出口開度変更要求総量ΔXTがプラス値で、非常に大きく、調整用吹出AS4の現在の開度Xcを0%に減少しても室内2への給気量を要求量QTに保つことができない。
例えば、ΔTを+20%、ΔXTを+80%、Xcを50%とした場合、調整用吹出AS4の予測される調整後開度Xc’は、Xc’=Xc+(ΔT−ΔXT)=50%+(20%−80%)=−10%となる。この場合、調整用吹出AS4の現在の開度Xcを0%に減少しても、室内2への給気量は要求量QTに保たれることはなく、調整用吹出AS4の開度をさらに10%減少することが望まれる。しかし、調整用吹出AS4の開度はすでに0%まで減少しており、さらに10%減少することは不可能である。この例では、この減少不可能な調整用吹出AS4の開度、すなわちXc’=−10%が吸収不可能開度ΔXzとされる。
ステップ413では、この吸収不可能開度ΔXz=−10%を考慮し、調整用吹出開度変更量ΔXcをΔXc=ΔT−ΔXT−ΔXz=20%−80%−(−10%)=−50%とする。従って、この場合、調整用吹出開度変更量ΔXcとして−50%が開度変更アクチュエータ4に出力され、調整用吹出AS4の開度が吸収可能な最大値である0%まで減少する。
〔100%<Xc’の場合:ΔXz=Xc’−100〕
図20に一例として、調整用吹出AS4の予測される調整後開度Xc’が100%<Xc’の場合、すなわち吸収不可能開度量ΔXzがΔXz=Xc’−100の場合を示す。この場合、吹出口開度変更要求総量ΔXTがマイナス値で、非常に大きく、調整用吹出AS4の現在の開度Xcを100%に増大しても室内2への給気量を要求量QTに保つことができない。
例えば、ΔTを−20%、ΔXTを−80%、Xcを50%とした場合、調整用吹出AS4の予測される調整後開度Xc’は、Xc’=Xc+(ΔT−ΔXT)=50%+(−20%−(−80%))=110%となる。この場合、調整用吹出AS4の現在の開度Xcを100%に増大しても、室内2への給気量は要求量QTに保たれることはなく、調整用吹出AS4の開度をさらに10%増大することが望まれる。しかし、調整用吹出AS4の開度はすでに100%まで増大しており、さらに10%増大することは不可能である。この例では、この増大不可能な調整用吹出AS4の開度、すなわちXc’−100=+10%が吸収不可能開度ΔXzとされる。
ステップ413では、この吸収不可能開度ΔXz=+10%を考慮し、調整用吹出開度変更量ΔXcをΔXc=ΔT−ΔXT−ΔXz=−20%−(−80%)−(+10%)=+50%とする。従って、この場合、調整用吹出開度変更量ΔXcとして+50%が開度変更アクチュエータ4に出力され、調整用吹出AS4の開度が吸収可能な最大値である100%まで増大する。
〔吸収不可能分の制御用吹出による分担〕
上述したように、調整用吹出AS4の予測される調整後開度Xc’がXc’<0%の場合や100%<Xc’の場合、調整用吹出AS4の開度調整では吸収不可能であり、室内2への給気量を要求量QTに保つことができない。そこで、CPU72は、続くステップ415〜419の処理によって調整用吹出AS4での吸収不可能分を制御用吹出AS1〜AS3に分担させる。
先ず、CPU72は、k=1とし(ステップ415)、k≦nであることを確認のうえ(ステップ416のYES)、エリアAR1に対する吹出AS1の開度変更調整分ΔY1(%)を算出する(ステップ417)。この場合、エリアAR1における在室者の人数をM1とし、室内2における在室者の総人数をMTとし、β1=100×M1/MTとして吹出別重み係数β1を算出し、この吹出別重み係数β1をΔXzに乗じて吹出開度変更調整分ΔY1(ΔY1=ΔXz×β1)を求める。そして、この算出した吹出開度変更調整分ΔY1を開度変更アクチュエータ4に出力し(ステップ419)、k=k+1=2として(ステップ418)、ステップ416へ戻る。
エリアAR2についても同様にして、吹出AS2の吹出開度変更調整分ΔY2(ΔY1=ΔXz×β2を算出し、この算出した吹出開度変更調整分ΔY2を開度変更アクチュエータ4に出力し、k=k+13として、ステップ416へ戻る。この例では、エリアAR3には在室者がいないので、またエリアAR4には椅子6自体が存在しないので、ステップ417での吹出別重み係数β3,β4が0となり、吹出AS3,AS4の吹出開度変更調整分ΔY3,ΔY4は0となる。なお、エリアAR3に在室者がいれば、吹出AS3の吹出開度変更調整分ΔY3がΔY1,ΔY2と同様にして得られることは言うまでもない。
したがって、この例の場合、調整用吹出AS4の開度調整による吸収不可能分が制御用吹出AS1,AS2の開度調整によって吸収され、調整用吹出AS4の予測される調整後開度Xc’がXc’<0%の場合や100%<Xc’の場合であっても、室内2への給気量が要求量QTに保たれるようになる。
以上の説明から分かるように、この実施の形態1では、室内2への給気量が実負荷に応じて決定される給気量(要求量)QTに保たれるように、調整用吹出AS4からの給気量が調整されるので、在室者からの変更要求が他の室内2や空調機1に及ぼす影響を小さくすることができるようになる。
また、この実施の形態1では、ステップ417において、βk=100×Mk/MTとして吹出別重み係数βkを算出し、この吹出別重み係数βkをΔXzに乗じることによって吹出開度変更調整分ΔYkを求めるようにしているので、在室者の人数が多い制御ゾーンについてはそこへの給気の変更量を大きく調整するようにして、調整用吹出AS4での吸収不可能分を補うことを目的として行われる制御用吹出AS1〜AS3からの給気の変更量を調整する際のバランスをとることができ、各制御ゾーン内における在室者の人数を考慮に入れた合理的な給気の変更量の調整を行うことができるようになる。
なお、上述においては、ステップ417での吹出別重み係数βkをβk=100×Mk/MTとして求めたが、例えば、在室者がいるエリアARkの床面積をFkとし、室内2の総床面積をFTとし、βk=100×Fk/FTとして求めるようにしてもよい。
図21にこの実施の形態1の特徴部分の機能ブロック図を示す。この実施の形態1において、吹出口コントローラ7は、エリアAR1〜AR3からの給気量の変更要求を受け付ける給気量変更要求受付部BL1’と、この給気量変更要求受付部BL1’で受け付けられた変更要求に応ずる吹出AS1〜AS3からのエリアAR1〜AR3への給気の変更量ΔQ1,ΔQ2,ΔQ3の総量ΔQを求める給気変更量総量算出部BL2’と、この給気変更量総量算出部BL2’で求められた給気の変更量の総量ΔQに基づいて、室内2への給気量が実負荷に応じて決定される給気量(要求量)に保たれるように、吹出AS4からのエリアAR4への給気量Q4を調整してQ4’とする給気量調整部BL3’とを有している。
参考例2:吹出口複数、調整用吹出なし〕
参考例1では、1つの吹出口(VAVユニット)を吹出手段とし、この吹出手段の吹出を吹出部とした。これに対して、参考例2では、複数の吹出口(VAVユニット)を吹出手段とし、この吹出手段の吹出口を吹出部とする。
図22にこの参考例2のシステム構成の要部を示す。このシステムでは、室内2のエリアAR1〜AR4に吹出口(VAVユニット)3−1〜3−4が設けられており、吹出口3−1〜3−4を制御する吹出口コントローラ(VAVコントローラ)7−1〜7−4に対してセントラルコントローラ8が設けられている。吹出口3−1〜3−4に対しては空調機1からの給気がダクト9を介して供給される。また、室内2のエリアAR1は、そのエリアAR1に設けられた吹出口3−1の吹出AS1〜AS4によって、4つのサブエリアSB11〜SB14に区画されている。他のエリアAR2〜AR4もエリアAR1と同様とされている。
図23にこのシステムにおける各吹出口コントローラ7(7−1〜7−4)が行う特徴的な処理動作のフローチャートを示す。図24にこのシステムにおけるセントラルコントローラ8が行う特徴的な処理動作のフローチャートを示す。なお、図23には代表して、吹出口コントローラ7−1が行う処理動作のフローチャートを示している。これと同様の処理を他の吹出口コントローラ7−2〜7−4も実行する。
〔吹出口コントローラでの吹出開度変更要求分ΔXk、吹出口開度変更要求総量ΔXTiの演算〕
吹出口コントローラ7−1は、k=1とし(ステップ501)、k≦nであることを確認のうえ(ステップ502のYES)、エリアAR1のサブエリアSB11に対する吹出AS1の開度変更要求分ΔX1を算出する(ステップ503)。そして、この算出した吹出開度変更要求分ΔX1を開度変更アクチュエータ4−1に出力し(ステップ504)、ΔXT1(初期値0)にΔX1を加算し(ステップ505)、k=k+1=2として(ステップ506)、ステップ502へ戻る。
以下同様にして、吹出AS2,AS3,AS4の吹出開度変更要求分ΔX2,ΔX3,ΔX4を算出し、この算出した吹出開度変更要求分ΔX2,ΔX3,ΔX4を開度変更アクチュエータ4−1に出力し、ステップ505,506を経てステップ502へ戻る。これにより、ステップ505での吹出口開度変更要求総量ΔXT1は、ΔXT1=ΔX1+ΔX2+ΔX3+ΔX4となる。そして、ステップ502において、k>nとなると、吹出口コントローラ7−1は、ステップ505で求めた吹出口開度変更要求総量ΔXT1をセントラルコントローラ8へ送る(ステップ507)。
〔セントラルコントローラでの総開度変更量ΔTの演算〕
セントラルコントローラ8は、室内2の温度tpvと設定温度tspとの差に基づいて室内2における空調の実負荷を求め、この求めた実負荷にみあった室内2への給気量を決定し、吹出口3−1〜3−4からの全体風量をその決定した給気量に変更するための総開度変更量ΔTを算出する(ステップ601)。
〔セントラルコントローラでの吹出口開度変更量ΔYiの演算〕
次に、セントラルコントローラ8は、i=1とし(ステップ602)、i≦Nであることを確認のうえ(ステップ603のYES)、ステップ604へ進む。ステップ604において、セントラルコントローラ8は、吹出口コントローラ7−1からの吹出口開度変更要求総量ΔXT1を受信する。そして、吹出口開度変更要求総量ΔXS(初期値0)にΔXT1を加算し(ステップ605)、i=i+1=2として(ステップ606)、ステップ603へ戻る。吹出口コントローラ7−2〜7−4からの吹出口開度変更要求総量ΔXT2〜ΔXT4についても同様にしてで受信し、処理する。これにより、ステップ605での吹出口開度変更要求総量ΔXSは、ΔXS=ΔXT1+ΔXT2+ΔXT3+ΔXT4となる。そして、ステップ603において、i>Nとなると、ステップ607へ進む。
〔セントラルコントローラでの吹出口開度変更量ΔYiの演算〕
ステップ607では、i=1とし、i≦Nであることを確認のうえ(ステップ608のYES)、ステップ609へ進む。ステップ609では、エリアAR1における吹出口3−1の開度変更量ΔY1を算出する。
この場合、エリアAR1における在室者の人数をM1とし、室内2における在室者の総人数をMTとし、α1=100×M1/MTとして吹出口別重み係数α1を算出し、この吹出口別重み係数α1を(ΔT−ΔXS)に乗じて吹出口開度変更量ΔY1(ΔY1=(ΔT−ΔXS)×α1)とする。
そして、この算出した吹出口開度変更量ΔY1を吹出口コントローラ7−1に送信し(ステップ610)、i=i+1=2として(ステップ611)、ステップ608へ戻る。以下同様にして、吹出口3−2,3−3,3−4の吹出口開度変更量ΔY2,ΔY3,ΔY4を算出し、吹出口コントローラ7−3,7−4に送信する。
〔吹出口コントローラでの吹出開度変更調整分ΔZkの演算〕
吹出口コントローラ7−1は、ステップ508において、セントラルコントローラ8からの吹出口開度変更量ΔY1を受信する。そして、k=1とし(ステップ509)、k≦nであることを確認のうえ(ステップ510のYES)、ステップ511へ進む。ステップ511では、サブエリアSB11に対する吹出AS1の開度変更調整分ΔZ1を算出する。
この場合、サブエリアSB11における在室者の人数をMS1とし、エリアAR1における在室者の総人数をMA1とし、β1=100×MS1/MA1として吹出別重み係数β1を算出し、この吹出別重み係数β1をΔY1に乗じて吹出開度変更調整分ΔZ1(ΔZ1=ΔY1×β1)とする。
そして、この算出した吹出開度変更調整分ΔZ1を開度変更アクチュエータ4−1に出力し(ステップ512)、k=k+1=2として(ステップ513)、ステップ510へ戻る。以下同様にして、吹出AS2,AS3,AS4の吹出開度変更調整分ΔZ2,ΔZ3,ΔZ4を算出し、この算出した吹出開度変更調整分ΔZ3,ΔZ4を開度変更アクチュエータ4−1に出力する。
実施の形態2:吹出口複数、調整用吹出あり〕
実施の形態1では、1つの吹出口(VAVユニット)を吹出手段とし、この吹出手段の吹出口の複数の吹出のうちその1つを調整用吹出部とし、残りの吹出を制御用吹出部とした。これに対して、実施の形態2では、複数の吹出口(VAVユニット)を吹出手段とし、この吹出手段の複数の吹出口のうちその1つを調整用吹出部とし、残りの吹出口を制御用吹出部とする。
図25にこの実施の形態2のシステム構成の要部を示す。このシステムにおいても、参考例2と同様に、室内2のエリアAR1〜AR4のそれぞれに吹出口(VAVユニット)3−1〜3−4が設けられており、吹出口3−1〜3−4の制御を行う吹出口コントローラ(VAVコントローラ)7−1〜7−4に対してセントラルコントローラ8が設けられている。吹出口3−1〜3−4に対しては空調機1からの給気がダクト9を介して供給される。
但し、このシステムでは、吹出口3−1〜3−3を制御用吹出口とし、吹出口3−4を調整用吹出口とし、エリアAR1〜AR3を制御ゾーン、エリアAR4を調整ゾーンとしている。なお、この参考例2では、便宜上、吹出口コントローラ7−1〜7−3を制御用吹出コントローラ、吹出口コントローラ7−4を調整用吹出コントローラと呼ぶことにする。
図26にこのシステムにおける各制御用吹出コントローラ7(7−1〜7−3)が行う特徴的な処理動作のフローチャートを示す。図27にこのシステムにおけるセントラルコントローラ8が行う特徴的な処理動作のフローチャートを示す。図28にこのシステムにおける調整用吹出コントローラ7−4が行う特徴的な処理動作のフローチャートを示す。なお、図26には代表して、制御用吹出口コントローラ7−1が行う処理動作のフローチャートを示している。これと同様の処理を他の制御用吹出口コントローラ7−2,7−3も実行する。
〔制御用吹出口コントローラでの吹出開度変更要求分ΔXk、吹出口開度変更要求総量ΔXTiの演算〕
制御用吹出口コントローラ7−1は、k=1とし(ステップ701)、k≦nであることを確認のうえ(ステップ702のYES)、エリアAR1のサブエリアSB11に対する吹出AS1の吹出開度変更要求分ΔX1を算出する(ステップ703)。そして、この算出した吹出開度変更要求分ΔX1を開度変更アクチュエータ4−1に出力し(ステップ704)、ΔXT1(初期値0)にΔX1を加算し(ステップ705)、k=k+1=2として(ステップ706)、ステップ702へ戻る。
以下同様にして、吹出AS2,AS3,AS4の吹出開度変更要求分ΔX2,ΔX3,ΔX4を算出し、この算出した吹出開度変更要求分ΔX2,ΔX3,ΔX4を開度変更アクチュエータ4−1に出力する。これにより、ステップ705での吹出口開度変更要求総量ΔXT1は、ΔXT1=ΔX1+ΔX2+ΔX3+ΔX4となる。そして、ステップ702において、k>nとなると、制御用吹出口コントローラ7−1は、ステップ705で求めた吹出口開度変更要求総量ΔXT1をセントラルコントローラ8へ送る(ステップ707)。
〔セントラルコントローラでの総開度変更量ΔTの演算〕
セントラルコントローラ8は、室内2の温度tpvと設定温度tspとの差に基づいて室内2における空調の実負荷を求め、この求めた実負荷にみあった室内2への給気量を決定し、吹出口3−1〜3−4からの全体風量をその決定した給気量に変更するための総開度変更量ΔTを算出する(ステップ801)。
〔セントラルコントローラでの調整用用吹出口開度変更要求量ΔCの演算〕
次に、セントラルコントローラ8は、i=1とし(ステップ802)、i≦Nであることを確認のうえ(ステップ803のYES)、ステップ804へ進む。ステップ804において、セントラルコントローラ8は、吹出口コントローラ7−1〜7−3からの吹出口開度変更要求総量ΔXT1〜ΔXT3を受信し(ステップ803〜805)、制御用吹出口開度変更要求総量ΔXS(ΔXS=ΔXT1+ΔXT2+ΔXT3)を求める(ステップ806)。そして、ステップ807において、ΔC=ΔT−ΔXSとして調整用吹出口開度変更要求量ΔCを算出し、総開度変更量ΔTと合わせて調整用吹出コントローラ7−4に送信する。
〔調整用吹出コントローラでの調整用用吹出口開度変更量ΔXcの演算〕
調整用吹出コントローラ7−4は、ステップ901において、セントラルコントローラ8からの調整用吹出口開度変更要求量ΔCおよび総開度変更量ΔTを受信する。そして、テップ902において、調整用吹出口3−4の現在開度Xcを読み取る。そして、ステップ902で読み取った調整用吹出口3−4の現在開度Xcとステップ901で受信した調整用吹出口開度変更要求量ΔCとから、調整用吹出口3−4の調整後開度Xc’(Xc’=Xc−ΔC)を予測する(ステップ903)。
そして、ステップ903で求めた調整用吹出口3−4の予測される調整後開度Xc’が0〜100%の範囲にあるか否かをチェックし(ステップ904)、Xc’が0〜100%の範囲にあれば(ステップ904のYES)、吸収不可能開度量ΔXzを0%とする(ステップ905)。これに対し、Xc’が100%<Xcである場合には吸収不可能開度量ΔXzをΔXz=Xc’−100とし、Xc’がXc’<0%の場合には吸収不可能開度量ΔXzをΔXz=Xc’とする(ステップ906)。
そして、ステップ905,906で求めた吸収不可能開度量ΔXzをセントラルコントローラ8に送信のうえ(ステップ907)、ステップ908へ進み、ΔXc=ΔT−ΔXT−ΔXzとして、調整用吹出口3−4の開度変更量ΔXcを算出する。そして、この算出した調整用吹出口開度変更量ΔXcを開度変更アクチュエータ4−4に出力する(ステップ909)。
〔セントラルコントローラでの制御用吹出口の吹出口開度変更量ΔYiの演算〕
セントラルコントローラ8は、調整用吹出コントローラ7−4からの吸収不可能開度量ΔXzを受信すると(ステップ808)、i=1とし(ステップ809)、i≦Nであることを確認のうえ(ステップ810のYES)、ステップ811へ進む。ステップ811では、制御吹出口AS1の開度変更量ΔY1を算出する。
この場合、エリアAR1における在室者の人数をM1とし、室内2における在室者の総人数をMTとし、α1=100×M1/MTとして吹出口別重み係数α1を算出し、この吹出口別重み係数α1をΔXzに乗じて吹出口開度変更量ΔY1(ΔY1=ΔXz×β1)とする。そして、この算出した吹出口開度変更量ΔY1を制御用吹出口コントローラ7−1に送信し(ステップ812)、i=i+1=2として(ステップ813)、ステップ809へ戻る。以下同様にして、制御吹出口3−2,3−3の吹出口開度変更量ΔY2,ΔY3を算出し、この算出した吹出口開度変更量ΔY2,ΔY3を制御用吹出口コントローラ7−2,7−3に送信する。
〔吸収不可能分の制御用吹出口による分担〕
制御用吹出コントローラ7−1は、セントラルコントローラ8からの吹出口開度変更量ΔY1を受信すると(ステップ708)、k=1とし(ステップ709)、k≦nであることを確認のうえ(ステップ710のYES)、ステップ711へ進む。ステップ711では、制御用吹出口3−1の吹出AS1の開度変更調整分ΔZ1を算出する。
この場合、サブエリアSB11における在室者の人数をMS1とし、エリアAR1における在室者の総人数をMA1とし、β1=100×MS1/MA1として吹出別重み係数β1を算出し、この吹出別重み係数β1をΔY1に乗じて吹出開度変更調整分ΔZ1(ΔZ1=ΔY1×β1)とする。そして、この算出した吹出開度変更調整分ΔZ1を開度変更アクチュエータ4−1に出力し(ステップ712)、k=k+1=2として(ステップ713)、ステップ7106へ戻る。以下同様にして、制御吹出口AS2,AS3の吹出開度変更調整分ΔZ2,ΔZ3を算出し、この算出した吹出開度変更調整分ΔZ2,ΔZ3を開度変更アクチュエータ4−1に出力する。
なお、上述した実施の形態1,2では、室内2における在室者の位置および人数を送信機能付き椅子6からの送信メッセージに基づいて検出するようにしたが、例えばカメラからの映像を解析して在室者の位置や人数を検出するようにしてもよく、在室者の位置や人数の検出には他にも色々な方法が考えられる。
また、上述した実施の形態1,2では、円周方向に複数の吹出ASを有する吹出口(VAVユニット)3を用いた例で説明したが、このようなタイプの吹出口に限られるものではない。また、室内2への給気の吹出口は、VAVユニットのように空調機と別体となった吹出口に限られるものではなく、空調機と一体となった吹出口などであってもよい。
本発明の一実施の形態を示す空調制御システムの構成図である。 この空調制御システムに用いる送信機能付き椅子の外観を例示する図である。 送信機能付き椅子に利用者が着席した状態を示す図である。 送信機能付き椅子に搭載された装置のブロック図である。 この空調制御システムに用いるVAVコントローラの要部を示すブロック図である。 VAVコントローラにおける椅子情報登録プログラムに従うCPUの処理動作を示すフローチャートである。 VAVコントローラにおける風向制御プログラムおよび給気量制御プログラムに従うCPUの処理動作を示すフローチャートである。 吹出口からの給気の風向の変更例を示す図である。 吹出口の吹出口の水平方向の吹出角度を調整する例を説明する図である。 吹出口の吹出口の垂直方向の吹出角度を調整する例を説明する図である。 在室者の増減がなく在室者からの開度変更要求がある場合の参考例1(吹出口1つ、調整吹出なし)における給気量制御を示すフローチャートである。 吹出口の各吹出からの給気の変更量の調整によって室内への給気量が実負荷に応じて決定される給気量(要求量)に保たれる様子を示す図である。 参考例1の特徴部分の機能ブロック図である。 参考例1における吹出開度の変更例について説明する図である。 実施の形態1における調整用吹出、制御用吹出、制御ゾーンおよび調整ゾーンを説明する図である。 在室者の増減がなく在室者からの開度変更要求がある場合の実施の形態1(吹出口1つ、調整吹出あり)における給気量制御を示すフローチャートである。 予測される調整後開度Xc’と吸収不可能開度量ΔXzの関係を示す図である 調整用吹出からの給気量の調整によって室内への給気量が実負荷に応じて決定される給気量(要求量)に保たれる様子を示す図である。 予測される調整後開度Xc’がXc’<0%の場合の調整用吹出での吸収不可能開度を説明する図である。 予測される調整後開度Xc’が100%<Xc’の場合の調整用吹出での吸収不可能開度を説明する図である。 実施の形態1の特徴部分の機能ブロック図である。 参考例2のシステム構成の要部を示す図である。 このシステムにおける各吹出口コントローラが行う特徴的な処理動作を示すフローチャートである。 このシステムにおけるセントラルコントローラが行う特徴的な処理動作を示すフローチャートである。 実施の形態2のシステム構成の要部を示す図である。 このシステムにおける各制御用吹出口コントローラが行う特徴的な処理動作を示すフローチャートである。 このシステムにおけるセントラルコントローラが行う特徴的な処理動作を示すフローチャートである。 このシステムにおける調整用吹出口コントローラが行う特徴的な処理動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1…空調機、2…室内、3(3−1〜3−4)…吹出口(VAVユニット)、AS(AS1〜AS4)…吹出口、AR(AR1〜AR4)…エリア、SB11〜SB14…サブエリア、4(4−1〜4−4)…開度変更アクチュエータ、5…風向変更アクチュエータ、6(61〜68)…送信機能付き椅子、6−13…操作器、7(7−1〜7−4)…VAVコントローラ、71…データベース、72…CPU、73…受信器、7A…椅子情報登録プログラム、7B…風向制御プログラム、7C…給気量制御プログラム、TM…離席判定タイマ、T0…室内温度センサ、T1…給気温度センサ、8…セントラルコントローラ、9…ダクト、BL1,BL1’…給気量変更要求受付部、BL2,BL2’…給気変更量総量算出部、BL3…給気変更量調整部、BL3’…給気量調整部。

Claims (3)

  1. 空調機からの給気を複数の吹出部を備えた吹出手段を介して空調対象空間へ送る空調制御システムにおいて、
    前記吹出手段の吹出部の少なくとも1つとして設けられた調整用吹出部と、
    前記吹出手段の吹出部のうち前記調整用吹出部を除く残りの吹出部として設けられた制御用吹出部と、
    前記吹出手段の制御用吹出部からの給気の供給エリアとして定められた制御ゾーンからの給気量の変更要求を受け付ける手段と、
    前記受け付けられた変更要求に応ずる前記制御用吹出部からの前記制御ゾーンへの給気の変更量の総量を求める手段と、
    前記求められた給気の変更量の総量に基づいて、前記空調対象空間への給気量が実負荷に応じて決定される給気量に保たれるように、前記調整用吹出部からの前記調整ゾーンへの給気量を調整する調整用吹出調整手段と
    を備えたことを特徴とする空調制御システム。
  2. 請求項1に記載された空調制御システムにおいて、
    前記調整手段による前記調整用吹出部からの給気量の調整だけでは前記空調対象空間への給気量を実負荷に応じて決定される給気量に保つことができない場合、その不足分を前記制御用吹出部からの前記制御ゾーンへの給気の変更量の調整によって補う制御用吹出調整手段を備えたことを特徴とする空調制御システム。
  3. 請求項2に記載された空調制御システムにおいて、
    前記制御ゾーン内の在室者の人数を検出する在室者検出手段を備え、
    前記制御用吹出調整手段は、前記制御用吹出部からの前記制御ゾーンへの給気の変更量を調整する際に、前記在室者検出手段が検出する制御ゾーン内の在室者の人数に基づく重み付けを行うことを特徴とする空調制御システム。
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