以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図18は、一実施の形態による乳母車1を説明するための図である。このうち、図1は、一実施の形態による乳母車1を正面方向から示す図である。図1に示す乳母車1では、乳母車本体2に、第1座ユニット8a及び第2座ユニット8bが支持されている。第1座ユニット8a及び第2座ユニット8bは、乳幼児が着座する場所であり、左右に並べて配置されている。座ユニット8a、8bに着座した乳幼児を日差しや風から保護するよう、各座ユニット8a、8bには、幌9a、9bが設けられている。
なお、本明細書中において、乳母車1及びその構成要素に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」の用語は、特に指示がない場合、展開状態にある乳母車1を、ハンドル20を把持しながら操作する操作者を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」を意味する。さらに詳しくは、「前後方向d1」とは、図1における紙面の表裏方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、ハンドルを押す操作者が向く側であり、図1における紙面の表側が前となる。一方、「上下方向d3」とは前後方向に直交するとともに接地面に直交する方向である。したがって、接地面が水平面である場合、「上下方向d3」とは鉛直方向をさす。また、「左右方向d2」とは幅方向でもあって、「前後方向d1」及び「上下方向d3」のいずれにも直交する方向である。
図2に、乳母車1を座ユニット8a、8bを取り外した状態で側方から示す。図2に示す乳母車本体2は、フレーム本体10と、フレーム本体10に接続されたハンドル20とにより構成されている。
フレーム本体10において、複数の車輪4が支持されたベースフレーム11に、2つの座ユニット8a、8bを支持する上部フレーム12が接続されている。上部フレーム12は、ベースフレーム11に対して傾いた状態で支持されている。上部フレーム12の前方部分とベースフレーム11の前方部分とが前方リンク部材13を介して接続され、上部フレーム12の中間部分とベースフレーム11の後方部分とが中間リンク部材14を介して接続されている。前方リンク部材13及び中間リンク部材14は、リンクとして機能し、上部フレーム12がベースフレーム11に対して回動することを可能にする。
とりわけ、ベースフレーム11には、左右方向d2に離間して配置された左右の側ベースフレーム11a、11bが設けられている。左右の側ベースフレーム11a、11bの後端は、後方ベースフレーム11cにより連結されている。本実施の形態では、単一のパイプを曲げて成形することにより、左右の側ベースフレーム11a、11bと後方ベースフレーム11cとが一体に形成されている。ただし、左右の側ベースフレーム11a、11bと後方ベースフレーム11cとは、別個の部品として形成されていてもよい。
各側ベースフレーム11a、11bには、前輪41及び後輪42が取り付けられている。本実施の形態では、各前輪41は、キャスター3を介して側ベースフレーム11a、11bに回転可能且つ旋回可能に支持されている。キャスター3は、回転軸線Ar1を中心として前輪41を回転可能に支持し、且つ、回転軸線Ar1と非平行、本実施の形態では直交する方向に平行な旋回軸線As1を中心として旋回可能である。すなわち、前輪41は、自転可能であると共にその向きを変更可能となるようにキャスター3によって支持されている。
一方、前輪41よりも後方に位置する各後輪42は、キャスターによって旋回可能に支持されていない。本実施の形態において、各後輪42は、後述する駆動源5の駆動軸51b(図5参照)に回転可能に支持され、旋回可能にはなっていない。
上部フレーム12には、左右方向d2に離間して配置された左右の側上部フレーム12a、12bが設けられている。左右の側上部フレーム12a、12bの間には、中間フレーム12cが配置されている。本実施の形態では、左側の側上部フレーム12aと中間フレーム12cとの間に第1座ユニット8aが配置され、右側の側上部フレーム12bと中間フレーム12cとの間に第2座ユニット8bが配置されている。
左右の側上部フレーム12a、12b及び中間フレーム12cの後端は、後方上部フレーム12dにより連結されている。後方上部フレーム12dには、ハンドル20が取り付けられている。ハンドル20は、操作者の手で操作される部分である。ハンドル20については、図7乃至図15を参照して後述する。
なお、図示する例では、左右の側上部フレーム12a、12bと後方上部フレーム12dとが、単一のパイプを曲げて成形することにより一体に形成されている。ただし、左右の側上部フレーム12a、12bと後方上部フレーム12dとは、別個の部品として形成されていてもよい。
左右の側上部フレーム12a、12bの前端は、横連結バー12e及び上部側リンクフレーム13aにより連結されている。このうち、横連結バー12eは、左右方向d2に沿って直線状に形成され、横連結バー12eの中間部分に中間フレーム12cの前端が接続されている。
上部側リンクフレーム13aは、リンクとして機能し、横連結バー12eよりも前方となる領域に突き出した湾曲した形状をもつ。そして、上部側リンクフレーム13aの前方部分と左右の側ベースフレーム11a、11bの前端とに、ベース側リンクフレーム13bが掛け渡されている。ベース側リンクフレーム13bは、その前端において上部側リンクフレーム13aに固着され、その左右の後端は、横連結リンクバー13cを介して左右の側ベースフレーム11a、11bに回動可能に接続されている。横連結リンクバー13cは、左右方向d2に沿って直線状に形成され、左右の側ベースフレーム11a、11bの前端に回動可能に接続されている。上部側リンクフレーム13aとベース側リンクフレーム13bと横連結リンクバー13cとにより、リンクとして機能する前方リンク部材13が構成される。
なお、左右の中間リンク部材14は、左右の側上部フレーム12a、12bの中間部分と左右の側ベースフレーム11a、11bの後方部分とに掛け渡されている。各中間リンク部材14は、リンクとして機能し、側上部フレーム12a、12b及び側ベースフレーム11a、11bの両方に対して回動可能になっている。
以上のようなフレーム構造をもつ乳母車1は、図1及び図2に示す展開状態から、図3に示す折畳状態に折り畳むことができる。図3は、図2に示す乳母車1を折畳状態にて側方から示す図である。
まず、側上部フレーム12a、12bと上部側リンクフレーム13aとのロックを解除し、ハンドル20を自重を利用して下方に下ろしていく。この動作によって、上部側リンクフレーム13a、ベース側リンクフレーム13b及び中間リンク部材14が図2中反時計回り方向に回動して、上部フレーム12がベースフレーム11に重なるように折り畳まれていく。
以上の折り畳み動作の結果、図3に示すように、ベースフレーム11と上部フレーム12とが、乳母車1の側面視において接近して略平行に配置される。一方、乳母車1を図3に示す折り畳み状態から、図2に示す展開状態に戻すためには、上述した折畳操作と逆の手順を踏めばよい。
ところで、本実施の形態による乳母車1では、操作者の負担を軽減すべく、車輪4に駆動源5が接続されている。ただし、背景技術の欄で説明したように、従来の乳母車はいわゆる自走式の乳母車として構成されていたため、意図した通りに乳母車を操作することは容易ではなかった。そこで、本実施の形態による乳母車1は、操作者の走行操作に応じて車輪4に駆動力を提供する補助駆動式の手押し乳母車として構成されている。
図4に、車輪4の駆動を補助する機構をブロック図にて模式的に示す。図4に示すように、複数の車輪4のうちのいくつかに、駆動要素51、52が接続されている。駆動要素51、52は、車輪4を駆動させる構成要素、換言すれば、車輪4に駆動力を提供する構成要素である。本実施の形態では、2つの駆動要素すなわち第1駆動要素51及び第2駆動要素52が設けられ、第1駆動要素51が左側の後輪42を駆動し、第2駆動要素52が右側の後輪42を駆動するようになっている。
図5に、駆動要素51、52の構成の一例を示す。図5に示すように、各駆動要素51、52は、対応する側の後輪42に接続された駆動軸51a、52aと、駆動軸51a、52aを駆動させる直流モータ51b、52bと、により構成されている。駆動軸51a、52aの一端は、対応する側の後輪42に接続され、当該後輪42を回転軸線Ar2を中心として回転可能となるように支持し、旋回可能には支持していない。駆動軸51a、52aの他端は、直流モータ51b、52bの主軸に不図示の動力伝達要素(例えばギア)を介して連結されている。なお、駆動軸51a、52aは、直流モータ51b、52bの主軸と一体に構成されていてもよいし、別個の部材として構成されていてもよい。
直流モータ51b、52bは、左右の側ベースフレーム11a、11bに架け渡された収容ボックス70内に配置され、当該収容ボックス70内で側ベースフレーム11a、11bに支持されている。図6に、直流モータ51b、52bの接続関係を回路図にて示す。図6に示すように、2つの駆動要素51、52の直流モータ51b、52bは、電源75に対して直列に接続されている。2つの直流モータ51b、52bが直列に接続されていることにより、接地面からの負荷に応じて駆動力を調整することに貢献するが、この点については後述する。
図4に戻って、各駆動要素51、52は、制御装置7に接続され、当該制御装置7により制御される。この制御装置7には、さらに検知要素6が接続されていて、検知要素6からの情報が入力として取り込まれる。そして、制御装置7は、検知要素6からの情報に基づいて各駆動要素51、52を制御して、各駆動要素51、52から車輪4への駆動力を調整する。また、制御装置7は、収容ボックス70に取り外し自在に固定された電源75に接続されている。このような制御装置7は、例えば、中央処理装置(CPU)及びレジスタ(REGISTER)を供えたマイクロコントローラや、プログラマブルコントローラ(PLC)の形態として実現され得る。
図2に戻って、検知要素6は、乳母車本体2に入力される走行操作に関する情報を検知するものである。本実施の形態による検知要素6は、ハンドル20に設けられ、当該ハンドル20に加えられる荷重に関する情報、換言すれば、ハンドル20に加えられる荷重を特定することが可能な情報を検知するように構成されている。先ず、ハンドル20の構成について説明し、その後、ハンドル20に設けられた検知要素6について説明していく。
図7に、ハンドル20を拡大して示す。図7に示すように、ハンドル20には、操作者の手が掛けられるグリップ21が配置され、グリップ21と乳母車本体2とをハンドル本体22が連結している。ハンドル本体22は、上部フレーム12との連結箇所c1において、当該上部フレーム12に締結されている。
とりわけ、ハンドル本体22を構成する要素として、後方上部フレーム12dからコラム22aが延び出し、コラム22aの両側にサイドバー22b、22cが配置されている。グリップ21は、左右方向d2に間隔を空けて並べられた2つのグリップ部分21a、21bとして構成され、左側のグリップ部分21aが、左側のサイドバー22bとコラム22aとの間に掛け渡され、右側のグリップ部分21bが、右側のサイドバー22cとコラム22aとの間に掛け渡されている。
図8に、コラム22aに設けられた検知要素6を拡大して示し、図9に、検知要素6の回路図を示す。図8及び図9に示すように、検知要素6としての複数の歪ゲージ61が、コラム22a内のインナー角材22dに貼り付けられている。複数の歪ゲージ61は、ハンドル本体22の歪みを計測するようブリッジ回路を構成している。図9に示す例では、角型のインナー角材22dの上側の面に2つの歪ゲージ61が配置され、インナー角材22dの下側の面に2つの歪ゲージ61が配置され、これら4つの歪ゲージ61は互いに同一に構成される。なお、図示するインナー角材22dは中空になっているが、中実であってもよい。
本実施の形態による乳母車1は、ハンドル20に加えられる荷重を歪ゲージ61にて計測し、この荷重の大きさに応じて駆動源5から車輪4に提供される駆動力の大きさを調整することで、走行操作に合わせて駆動力を調整することを可能とする。ただし、操作者の意図に反してハンドル20に誤って荷重を加えてしまった場合には、駆動源5からの駆動力が車輪4に伝わることを防止すべきである。そこで、本実施の形態では、図7に示すように、走行前に駆動源5からの駆動力を車輪4に提供可能な状態に切り換える駆動補助スイッチ81と、駆動源5からの駆動力を車輪4に提供すべく走行中に操作される操作部材91とが、ハンドル20に設けられていて、駆動源5から車輪4に駆動力が意に反して伝わることを二重に防止している。以下、先ず操作部材91について説明し、その後、駆動補助スイッチ81について説明していく。
操作部材91は、操作者によって操作される部材である。図7に示すように、操作部材91は、操作されていない非操作状態nop、換言すれば、負荷を受けていない非操作状態nopと、操作されている操作状態op、換言すれば、負荷を受けている操作状態opと、を切り換え可能になっている。操作部材91が非操作状態nopにある場合、仮にグリップ21に荷重が加えられても、駆動源5から車輪4に駆動力を伝えることができないようになっている。これに対して、操作部材91が操作状態opにある場合、グリップ21に加えられる手からの荷重に応じて、駆動源5からの駆動力を車輪4に伝えることができる状態となる。つまり、乳母車1は、操作部材91を操作状態opにしなければ、駆動源5からの駆動力を車輪4に伝えることができない。
とりわけ、図7に示す操作部材91は、コラム22aに設けられた操作レバーとして構成されている。操作レバーとしての操作部材91は、グリップ21に対向して配置されている。本実施の形態では、操作部材91が左右に1つずつ設けられ、左右の操作部材91は、左右のグリップ部分21a、21bにそれぞれ対向している。各操作部材91の長手軸は、非操作状態nopにおいて、対応する側のグリップ部分21a、21bの長手軸と沿うように設置されている。
各操作部材91は、基端部91aにおいてサイドバー22b、22cに枢動可能に取り付けられ、先端部91bにおいてグリップ21に対して接離可能になっている。図7に示す例では、左側の操作部材91の基端部91aが左側のサイドバー22bに枢動可能に取り付けられ、右側の操作部材91の基端部91aが右側のサイドバー22cに枢動可能に取り付けられている。
各操作部材91は、非操作状態nopにおいて、その先端部91bがグリップ21から離間し、操作状態opにおいて、その先端部91bがグリップ21に接近するようになっている。すなわち、操作部材91の先端部91bをグリップ21に近づけるように握ることで、操作部材91を非操作状態nopから操作状態opに切り換え可能となっている。
とりわけ、本実施の形態では、各グリップ部分21a、21bの長手軸及び各操作部材91の長手軸は左右方向d2に沿っている。そして、各操作部材91は、対応するグリップ部分21a、21bの下方且つ前方寄りに配置されている。この場合、操作者がグリップ部分21a、21bに手を掛けた状態で、操作部材91にも手を掛けることが容易となる。
各操作部材91が操作状態opまたは非操作状態nopのいずれの状態にあるかは、制御装置7によって監視される。本実施の形態による制御装置7は、操作部材91がいずれも操作状態opにある場合に、電源75から2つの直流モータ51b、52bが直列に接続された回路に電流を供給可能となるように制御し、操作部材91のいずれかが非操作状態nopにある場合には、電源75から2つの直流モータ51b、52bが直列に接続された回路に電流を供給できないように制御する。
次に、ハンドル20に設けられた駆動補助スイッチ81について説明する。駆動補助スイッチ81は、駆動源5からの駆動力を車輪4に伝えるべく、乳母車1を走行させる前に予め操作される入力要素である。操作部材91が乳母車1の走行中に操作されるレバーであるのに対し、駆動補助スイッチ81は、乳母車1を走行させる前に予め操作されるスイッチである点で大きく相違する。図7に示す駆動補助スイッチ81は、いわゆるボタンスイッチとして構成され、押し込みによって、入力状態onと非入力状態offとを切り換えられるようになっている。
駆動補助スイッチ81は、制御装置7に接続され、駆動補助スイッチ81の検知した情報は、制御装置7に取り込まれる。制御装置7は、駆動補助スイッチ81が操作された情報に基づいて、駆動源5からの駆動力を車輪4に伝えることができない非アシストモードnasと、駆動源5からの駆動力を車輪4に伝えることが可能なアシストモードasと、を切り換えるようになっている。とりわけ、非アシストモードnasが維持された場合、検知要素6が歪みを検知したとしても、駆動源5から車輪4に駆動力を提供することができない状態となる。一方、アシストモードasに切り換られた場合、検知要素6が検知した歪みに基づいて駆動源5から車輪4に駆動力を提供することが可能な状態となる。
図10は、制御装置7による制御の一例を示すフローチャートである。初期状態において、駆動補助スイッチ81は非入力状態offに維持され、操作部材91は、非操作状態nopに維持され、制御装置7は、非アシストモードnasに維持されている。
図10に示すように、乳母車1を走行させる際には、先ず駆動補助スイッチ81を短時間だけ押圧して非入力状態offから入力状態onに一時的に切り換える(STEP1)。続いて、制御装置7は、駆動補助スイッチ81が入力状態onにされると、検知要素6が検知している歪みαの大きさを検査する(STEP2)。
駆動補助スイッチ81が入力状態onにされている状態で、検知要素6が検知している歪みαの大きさが予め定められた設定値α0以上の場合、駆動源5からの駆動力が車輪4に伝わると乳母車1が急に動き出すおそれがある。そこで、制御装置7は、検知要素6が検知している歪みαの大きさが設定値α0以上の場合、駆動力が車輪4に伝わらない非アシストモードnasを維持する(STEP3−1)。なお、設定値α0は、駆動源5からの駆動力が車輪4に伝わっても乳母車1が急に動き出すおそれがないと判断される値となるように設定され、予め経験則に基づいて決定される。
続いて、操作者に、駆動力を伝えることが可能なアシストモードasに切り換えられていないことを知らせるべく、警告を発する(STEP4−1)。ここで、発せられる警告は、操作者にアシストモードasに切り換えられていないことを知らせることができるものであれば特に限定されない。典型的には、警告音を発したり、警告灯を点灯させたり、表示画面に所定の文字を表示したりして、操作者への警告を実行する。
一方、駆動補助スイッチ81が入力状態onにされている状態で、検知要素6が検知している歪みαの大きさが設定値α0よりも小さい場合、乳母車1が急に動き出すおそれはない。このため、制御装置7は、駆動力を車輪4に伝えることが可能なアシストモードasに切り換える(STEP3−2)。
続いて、アシストモードasにおいて、操作レバー91が操作状態op及び非操作状態nopのいずれにあるか検査される(STEP4−2)。操作レバー91が非操作状態nopにある場合、仮にハンドル20に手からの荷重が加えられたとしても、駆動源5から車輪4に駆動力が提供されないよう駆動源5を制御する(STEP5−1)。この場合、この状態が設定時間Taだけ連続して経過すると(STEP6)、制御装置7は、駆動力を車輪4に伝えることができない非アシストモードnasに切り換える(STEP7)。なお、設定時間Taは、操作者が乳母車1を走行させる意思がなくなったと判断し得るのに十分な時間となるように設定され、予め経験則に基づいて決定される値である。
一方、操作レバー91が操作状態opにある場合、図11のグラフに従い検知要素6が検知した歪みαの大きさに応じて駆動源5から車輪4に駆動力を提供させる(STEP5−2)。これにより、操作者が乳母車1を前方に押す負担が軽減される。
図11は、検知要素6が検知した歪みαに応じて、駆動要素51、52により提供される駆動力を決定する制御の一例を示すグラフである。図11のグラフにおいて、横軸は、検知要素6としての歪ゲージ61が検知した歪みを示し、インナー角材22dの上側の面に貼り付けられた歪ゲージ61が延びた場合乃至インナー角材22dの下側の面に貼り付けられた歪ゲージ61が縮んだ場合を正の値とし、インナー角材22dの上側の面に貼り付けられた歪ゲージ61が縮んだ場合乃至インナー角材22dの下側の面に貼り付けられた歪ゲージ61が延びた場合を負の値としている。縦軸は、車輪4を駆動させる駆動力を示し、車輪4を前進方向に回転させる駆動力を正の値とし、車輪4を後退方向に回転させる駆動力を負の値としている。
図11に示すように、歪ゲージ61が検知した歪みαの大きさが下限値α1よりも小さい場合、制御装置7は、駆動要素51、52による駆動力を車輪4に提供しないように制御する。これにより、外乱や意図しない操作が乳母車1に加えられても、乳母車1が意図せず動いてしまうことを防止することができる。
歪ゲージ61が検知した歪みαの大きさが下限値α1よりも大きくなると、制御装置7は、駆動要素51、52による駆動力を、歪ゲージ61が検知した歪みの大きさに比例して車輪4に提供するように制御する。図11のグラフでは、対象となる歪ゲージ61が延びた場合には、車輪4を前進方向に回転させる駆動力を提供し、対象となる歪ゲージ61が縮んだ場合には、車輪4を後退方向に回転させる駆動力を提供する。
一方、ハンドル20に加えられる歪みαの大きさが上限値α2よりも大きくなると、制御装置7は、駆動要素51、52による駆動力を、上限駆動力Fとして車輪4に提供するように制御する。
次に、以上のような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
図10のフローチャートに示すように、乳母車1を走行させる際には、先ず、操作者は、グリップ21に荷重を加えない状態で、駆動補助スイッチ81を押圧する。この場合、制御装置7は、検知要素6が検知している歪みαの大きさが設定値α0よりも小さい状態で、駆動補助スイッチ81が入力状態onに変更されたと判断するため(STEP1、2)、この操作を受けて駆動力を車輪4に伝えることが可能なアシストモードasに切り換える(STEP3−2)。
次に、操作者は、操作レバー91を握ってグリップ21に近づけ当該操作部材91を操作状態opに維持する(STEP4−2)。この状態で、乳母車1を走行させる種々の操作が行われる。乳母車1を走行中にグリップ21に加えられる手からの荷重は、検知要素6によって検知され制御装置7に送られる。その後、制御装置7は、検知要素6によって検知された歪みαの大きさに応じて駆動源5から車輪4に駆動力を提供するよう制御する(STEP5)。これにより、操作者が乳母車1を前方に押す負担が軽減される。
とりわけ、乳母車1を走行させる操作は、前進、段差乗り越え、後退並びに旋回に分類され得る。以下、各操作について説明していく。
ただし、前提として、検知要素6を構成する4つの歪ゲージ61は、グリップ21よりも上下方向d3における上方に位置し、グリップ21は、連結箇所c1よりも後方且つ下方となる位置に位置している(図2参照)。このような配置によれば、以下の図12乃至図15に示すように歪ゲージ61が作用する。図12乃至図15は、ハンドル20に各操作を行ったときの歪ゲージ61の作用を説明するための図である。なお、以下の説明では、インナー角材22dをその長手方向に平行な平面にて2つの部分に区画したときに、上側となる部分を上領域A1とし、下側となる部分を下領域A2とする(図8参照)。
図12に示すように、操作者が操作レバー91をグリップ21に引き寄せた状態(STEP4−2)でグリップ21を前後方向d1における前方に押し進めた場合、インナー角材22dの上領域A1が延び下領域A2が縮む。上領域A1が延び下領域A2が縮んだ情報は、4つの歪ゲージ61にて計測される。歪ゲージ61にて計測された情報は、制御装置7に送られる。情報を受け取った制御装置7は、グリップ21が前方に押し進められた若しくは下方に押し下げられたと認識し、2つの駆動要素51、52の直流モータ51b、52bが直列に接続された回路に、歪ゲージ61が計測した値に応じた電流を提供する(STEP5−2)。これにより、直流モータ51b、52bが回転し、直流モータ51b、52bに接続された駆動軸51a、52aが後輪42を前進方向に回転させる。このようにして、駆動軸51a、52aが後輪42の回転を補助することにより、操作者が乳母車1を前方に押す負担が軽減される。
走行面に段差がある場合には、操作者は操作レバー91をグリップ21に引き寄せた状態(STEP4−2)でグリップ21を上下方向d3における下方に押し下げて、前輪41を浮かせようとする。図13に示すように、操作者が乳母車1を下方に押し下げた場合、図12の場合と同様に、インナー角材22dの上領域A1が延び下領域A2が縮む。上領域A1が延び下領域A2が縮んだ情報は、4つの歪ゲージ61にて計測され制御装置7に送られる。情報を受け取った制御装置7は、グリップ21が前方に押し進められた若しくは下方に押し下げられたと認識し、2つの直流モータ51b、52bが直列に接続された回路に、歪ゲージ61が計測した値に応じた電流を提供する(STEP5−2)。これにより、直流モータ51b、52bが回転し、直流モータ51b、52bに接続された駆動軸51a、52aが後輪42を前進方向に回転させる。すなわち、グリップ21が下方に押し下げられた場合、グリップ21が前方に押し進められた場合と同様に、後輪42を前進方向に回転させる。結果として、段差を乗り越える動作中であっても、駆動源5による駆動力の補助を受けることができ、乳母車1を過度な負担なく押し進ませることができる。
一方、下り坂で乳母車1を押し進める場合には、図14に示すように、操作者が操作レバー91をグリップ21に引き寄せた状態(STEP4−2)でグリップ21を前後方向d1における後方に引き寄せる。この場合、図12及び図13の場合とは逆に、インナー角材22dの上領域A1が縮み下領域A2が延びる。上領域A1が縮み下領域A2が延びた情報は、4つの歪ゲージ61にて計測され制御装置7に送られる。情報を受け取った制御装置7は、グリップ21が後方に引かれたと認識し、2つの直流モータ51b、52bが直列に接続された回路に、歪ゲージ61が計測した値に応じた電流を、図12及び図13の場合と逆向きに提供する(STEP5−2)。これにより、直流モータ51b、52bが回転し、直流モータ51b、52bに接続された駆動軸51a、52aが後輪42を後退方向に回転させる。このようにして、駆動軸51a、52aが後輪42の回転を補助することにより、操作者が乳母車1を後方に押す負担が軽減される。
次に、乳母車1を旋回させる際には、図15に示すように、操作レバー91をグリップ21に引き寄せた状態(STEP4−2)で2つのグリップ部分21a、21bを前方に押す力に差異を生じさせることにより、乳母車1を旋回させることができる。図15に示す例では、左側のグリップ部分21aよりも右側のグリップ21bに掛かる力を大きくすることにより、乳母車1を左回り(反時計回り)に旋回させることができる。2つのグリップ部分21a、21bに異なる力を掛けても、図12の場合と同様に、インナー角材22dの上領域A1が延び下領域A2が縮む。上領域A1が延び下領域A2が縮んだ情報は、4つの歪ゲージ61にて計測され制御装置7に送られる。情報を受け取った制御装置7は、グリップ21が前方に押し進められた若しくは下方に押し下げられたと認識し、2つの直流モータ51b、52bが直列に接続された回路に、歪ゲージ61が計測した値に応じた電流を提供する(STEP5−2)。図6に示す直列回路では、2つの直流モータ51b、52bが同一に構成されている場合、2つの直流モータ51b、52bに流れる電流の大きさも等しいため、2つの直流モータ51b、52bが車輪4に提供する駆動力も相等しいとも思われる。
ただし、乳母車1を左回りに旋回させると、内輪となる左側の車輪4に外輪となる右側の車輪4よりも接地面からの大きな抵抗が掛かり、内輪となる左側の車輪4に接続された直流モータ51bが回転し難くなる。内輪となる左側の車輪4に接続された直流モータ51bの回転数が低下すると、当該直流モータ51bに生じる逆起電力が低下し、直列回路により多くの電流が流れやすくなる。結果として、外輪となる右側の車輪4に接続された直流モータ52bに流れる電流が相対的に多くなり、外輪となる右側の車輪4により大きな駆動力を提供することが可能となる。これにより、外輪となる右側の車輪4を回転させ易くなり、この結果、旋回動作をスムーズに行うことができる。
さて、図10に戻って、乳母車1の走行操作が完了し乳母車1を停止させると、グリップ21及び操作レバー91から手が離れる。この動作により、操作レバー91が操作状態opから非操作状態nopに切り換えられる。この状態で設定時間Taだけ連続して経過すると(STEP6)、制御装置7は、アシストモードasから非アシストモードnasに切り換える(STEP7)。非アシストモードnasに切り換えられると、操作者が意図せずハンドル20に荷重を加えてしまったとしても、駆動補助スイッチ81が入力状態onに操作されない限り、駆動源5から車輪4に駆動力を伝えることが防止される。
以上のように、本実施の形態による乳母車1は、複数の車輪4と、複数の車輪4を支持するフレーム本体10及びフレーム本体10に接続されたハンドル20を有する乳母車本体2と、フレーム本体10に支持され、少なくとも1つの車輪4に駆動力を提供する駆動源5と、ハンドル20に設けられ、当該ハンドル20に加えられる荷重に関する情報を検知する検知要素6と、ハンドル20に検知要素6とは別個に設けられ、操作状態opと非操作状態nopとを切り換え可能な操作部材91と、検知要素6が検知した情報に基づいて駆動源5を制御して、駆動源5から車輪4への駆動力を調整する制御装置7と、を備え、操作部材91が操作状態opにある間に、駆動源5から車輪4に駆動力を伝えることが可能となっている。このような形態によれば、検知要素6によって検知されたハンドル20に加えられる荷重に合わせて、駆動源5による車輪4への駆動力を調整することができるため、乳母車1を意図した通りに操作することが可能となる。その上、操作者が操作部材91を操作状態opに操作した状態でハンドル20に荷重が加えられなければ、駆動源5からの駆動力が車輪4に伝えられない。このため、操作者の意図に反して駆動源5からの駆動力が車輪4に伝えられることを防止することができ、乳母車1が予期せぬ動作をすることを回避することができる。
また、本実施の形態によれば、操作部材91が非操作状態nopにある間には、駆動源5から車輪4に駆動力を伝えることがでないようになっている。この場合、操作者の意図に反して駆動源5からの駆動力が車輪4に伝えられることを、さらに効果的に防止することができる。
また、本実施の形態によれば、ハンドル20は、操作者の手が掛けられるグリップ21と、グリップ21と乳母車本体2とを連結するハンドル本体22と、を有し、操作部材91及び検知要素6は、ハンドル本体22に設けられている。グリップ21と乳母車本体2とを連結するハンドル本体22に操作部材91が設けられていることにより、操作者がグリップ21に手を掛けて操作したときに、操作部材91にも容易に手を掛け易くなる。
また、本実施の形態によれば、操作部材91は、ハンドル本体22に設けられた操作レバー91を含む。この場合、操作レバー91を握ることで、操作状態opと非操作状態nopとを切り換えることができるため、グリップ21を手で操作する動作に連動して操作部材91を操作し易い。
また、本実施の形態によれば、操作レバー91は、グリップ21に対向して配置され、操作レバー91は、基端部91aにおいてハンドル本体22に枢動可能に取り付けられ、先端部91bにおいてグリップ21に対して接離可能になっている。この場合、操作レバー91をグリップ21に近づけるように握ることで、操作状態opと非操作状態nopとを切り換えることができるため、グリップ21を手で操作する動作に連動して操作部材91をますます操作し易くなる。
また、本実施の形態によれば、複数の車輪4と、複数の車輪4を支持するフレーム本体10及びフレーム本体10に接続されたハンドル20を有する乳母車本体2と、フレーム本体10に支持され、少なくとも1つの車輪4に駆動力を提供する駆動源5と、ハンドル20に設けられ、当該ハンドル20に加えられる荷重に関する情報を検知する検知要素6と、ハンドル20に検知要素6とは別個に設けられ、操作者によって操作される駆動補助スイッチ81と、検知要素6が検知した情報及び駆動補助スイッチ81が操作された情報に基づいて駆動源5を制御する制御装置7と、を備え、制御装置7は、駆動補助スイッチ81が操作された情報に基づいて、駆動源5からの駆動力を車輪4に伝えることが可能なアシストモードasと、駆動源5からの駆動力を車輪4に伝えることができない非アシストモードnasと、を切り換えるようになっており、制御装置7は、アシストモードasにおいて、検知要素6が検知した情報に基づいて駆動源5を制御して、駆動源5から車輪4への駆動力を調整する、という乳母車1が提供される。このような形態によれば、アシストモードasにおいて、検知要素6によって検知されたハンドル20に加えられる荷重に合わせて、駆動源5から車輪4への駆動力を調整することができる。このことにより、乳母車1を意図した通りに操作することに寄与する。その上、ハンドル20に誤って荷重が加えられても、駆動補助スイッチ81を操作してアシストモードasに設定した後でなければ、駆動源5からの駆動力を車輪4に伝えることができない。このため、操作者の意図に反して駆動源5からの駆動力が車輪4に伝えられることを防止することができ、乳母車1が予期せぬ動作をすることを回避することができる。
また、本実施の形態によれば、駆動補助スイッチ81は、入力状態onと非入力状態offとの間で切り換え可能になっており、制御装置7は、駆動補助スイッチ81が入力状態onに操作されると、非アシストモードnasからアシストモードasに切り換えることができるようになっている。この場合、駆動補助スイッチ81を入力状態onに操作することで、非アシストモードnasからアシストモードasに切り換えることができるため、アシストモードasへの切り換えが容易である。
また、検知要素6が検知している荷重の大きさが予め定められた大きさ以上の状態でアシストモードasに切り換えると、駆動源5からの駆動力が車輪4に突然伝わる結果、乳母車1が急に動き出すおそれがある。そこで、本実施の形態によれば、制御装置7は、検知要素6が予め定められた大きさ(設定値α0に対応する荷重の大きさ)以上の荷重を検知している状態で駆動補助スイッチ81が操作された場合には、非アシストモードnasからアシストモードasに切り換えないようになっている。これにより、駆動源5からの駆動力が車輪4に急に伝わることを防止し、乳母車1が急に動き出すおそれを低減することができる。
また、本実施の形態によれば、制御装置7は、検知要素6が前記予め定められた大きさ以上の荷重を検知している状態で駆動補助スイッチ81が操作された場合に、警告を発するようになっている。この場合、制御装置7が非アシストモードnasからアシストモードasに切り換えられていないことを、操作者に知らせることができる。これにより、操作者が乳母車1の状態を認識することができ、乳母車1を意図した通りに操作することを容易とする。
また、本実施の形態によれば、駆動補助スイッチ81は、ハンドル本体22に設けられている。グリップ21と乳母車本体2とを連結するハンドル本体22に駆動補助スイッチ81が設けられていることにより、駆動補助スイッチ81に容易に指を当てることができる。
また、本実施の形態によれば、複数の車輪4のうち、駆動源5から駆動力を提供される車輪が後輪42であり、複数の車輪4のうちの前輪41は、キャスター3を介して乳母車本体2に支持されている。前輪41がキャスター3を介して乳母車本体2に支持されていることで、乳母車1の旋回操作をスムーズに行うことができる。また、操作者が操作するハンドル20が後方に位置することや、乳母車1に乗車する乳幼児の重心を考慮すると、後輪42は荷重が掛かり易く接地面に安定して接地するといえる。安定して接地した後輪42に駆動源5からの駆動力が提供されることで、駆動源5による駆動補助を安定して実現することができる。
また、本実施の形態によれば、駆動源5は、複数の車輪4のうちの少なくとも1つに駆動力を提供する第1駆動要素51と、複数の車輪4のうちの第1駆動要素51から駆動力を提供される車輪4とは異なる車輪4に駆動力を提供し、第1駆動要素51とは別個に設けられた第2駆動要素52と、を有する。このような形態によれば、異なる車輪4に異なる駆動力を提供することにより、乳母車1の走行状態に応じた適切な駆動力の分配を実現することに寄与する。
また、本実施の形態によれば、第1駆動要素51から駆動力を提供される車輪4と、第2駆動要素52から駆動力を提供される車輪4とは、左右方向d2における位置が異なっており、第1駆動要素51及び第2駆動要素52は、直流モータをそれぞれ含み、第1駆動要素51の直流モータ51bと第2駆動要素52の直流モータ52bとは、電源75に対して直列に接続されている。乳母車1を旋回させる場合、内輪となる車輪4に外輪となる車輪4よりも接地面からの大きな抵抗が掛かる。このため、2つの駆動要素51、52の直流モータ51b、52bを直列に接続した場合、内輪となる車輪4に接続された直流モータ51bが回転し難くなる。内輪となる車輪4に接続された直流モータ51bの回転数が低下すると、直流モータ51bに生じる逆起電力が低下し、直列回路により多くの電流が流れやすくなる。結果として、外輪となる車輪4に接続された直流モータ52bに流れる電流が相対的に多くなり、外輪となる車輪4により大きな駆動力を提供することが可能となる。以上のことから、2つの駆動要素51、52の直流モータ51b、52bを直列に接続した場合、旋回動作中に外輪となる車輪4を回転させ易くなり、旋回動作をスムーズに行うことができる。
また、本実施の形態によれば、制御装置7は、アシストモードasで操作部材91が操作状態opにある間に、検知要素6によってグリップ21が前方に押された情報または下方に押し下げられた情報が検知されると、駆動源5に車輪4を前進させる駆動力を提供させ、検知要素6によってグリップ21が後方に引かれた情報が検知されると、駆動源5に車輪4を後退させる駆動力を提供させる。このような形態によれば、操作者によるグリップ21の操作に合わせて、駆動源5による車輪4への駆動力を調整することができる。とりわけ、本実施の形態によれば、接地面の段差等を乗り越えるために前輪41を浮かせるようグリップ21を下方に押し下げた場合であっても、駆動源5が車輪4を前進させるように駆動する。このため、段差を乗り越える動作中であっても、駆動源5による駆動力の補助を受けながら乳母車1を過度な負担なく押し進ませることができる。
また、本実施の形態によれば、検知要素6は、ハンドル20のハンドル本体22に取り付けられた複数の歪ゲージ61を含み、少なくとも1つの歪ゲージ61は、グリップ21が前方に押される若しくは下方に押し下げられると延びグリップ21が後方に引かれると縮む、または、グリップ21が前方に押される若しくは下方に押し下げられると縮みグリップ21が後方に引かれると延びるようになっている。このような形態によれば、検知要素6が歪ゲージ61によって実現されるため、操作者がグリップ21を操作する情報を、複雑な構造を回避しつつ安定して検知することができる。操作者がグリップ21を操作する情報をさらに安定して検知する観点から、グリップ21は、ハンドル本体22とフレーム本体10との連結箇所c1よりも後方且つ下方となる位置または前方且つ上方となる位置に位置しているのがよい。
とりわけ、本実施の形態によれば、グリップ21は、連結箇所c1よりも後方且つ下方となる位置に位置し、歪ゲージ61は、ハンドル本体22のうちの、グリップ21との接続箇所と連結箇所c1との間となる部分に取り付けられている。この場合、操作者からグリップ21に加えられる荷重に連動して、ハンドル本体22のうちの歪ゲージ61が貼り付けられた部分が感度良く伸縮する。このため、歪ゲージ61によって、操作者がグリップ21を操作する情報をさらに精度良く検知することが可能となる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
例えば、上述した実施の形態では、左右に並べて2つの座ユニット8a、8bが設けられる例を示したが、座ユニット8a、8bの数は、このような例に限定されない。例えば、単一の座ユニットが設けられていてもよいし、2つ以上の座ユニットが設けられ、この2つ以上の座ユニットが前後に並べられていてもよい。
また、上述した実施の形態では、2つの駆動要素51、52の直流モータ51b、52bが電源75に対して直列に接続された例を示したが、直流モータ51b、52bに関する回路設計は、上述した例に限定されない。2つの駆動要素51、52の直流モータ51b、52bが電源75に対して並列に接続されていてもよい。
また、上述した実施の形態では、検知要素6が歪ゲージ61からなる例を示したが、検知要素6の形態は、上述した例に限定されない。検知要素6は、ハンドル20に加えられる荷重に関する情報を検知することができる限り任意であり、他の例として、ハンドル本体22に取り付けられたトルクセンサや圧力センサや磁歪センサ等として構成されていてもよい。例えば、圧力センサとしては、ハンドル20に加えられる荷重を作動流体の圧力の変化として捉え、この圧力の変化をダイヤフラムを介して感圧素子で計測した後、電気信号として出力するタイプのものであってもよい。
また、上述した実施の形態では、単一の支柱からなるコラム22aが、後方上部フレーム12dとグリップ21とを連結する例を示したが、コラム22aの形態は、上述した例に限定されない。コラム22aが複数の支柱からなり、後方上部フレーム12dとグリップ21とを連結してもよい。
また、上述した実施の形態では、グリップ21が連結箇所c1よりも後方且つ下方となる位置に位置した例を示したが、グリップ21の配置は、上述した例に限定されない。少なくとも1つの歪ゲージ61が、グリップ21が前方に押される若しくは下方に押し下げられると延びグリップ21が後方に引かれると縮む、または、グリップ21が前方に押される若しくは下方に押し下げられると縮みグリップ21が後方に引かれると延びるようになっている限り、グリップ21の配置は任意である。例えば、グリップ21が、連結箇所c1よりも前方且つ上方となる位置に位置し、歪ゲージ61が、ハンドル本体22のうちの、グリップ21との接続箇所と連結箇所c1との間となる部分に取り付けられていてもよい。
また、上述した実施の形態では、操作部材91が操作レバーからなる例を示したが、操作部材91の形態は、上述した例に限定されない。図16及び図17に、操作部材91の他の例を示す。図16及び図17に示す例でも、ハンドル20には、操作者の手が掛けられるグリップ21が配置され、グリップ21と乳母車本体2とをハンドル本体22が連結している。図16及び図17に示す操作部材91は、操作ボタンとして構成されている。操作ボタン91は、例えば指で押し込まれることで、操作状態opと非操作状態nopとを切り換え可能になっている。
このうち、図16に示す例では、グリップ21が、左右方向d2に間隔を空けて並べられた2つのグリップ部分21a、21bとして構成されている。2つのグリップ部分21a、21bの間となるハンドル本体22の部分に、単一の操作ボタン91が設けられている。
図16に示す形態によれば、操作ボタン91を押し込むことで、操作状態opと非操作状態nopとを切り換えることができるため、グリップ21を手で操作する動作に連動して操作レバー91を操作し易い。その上、図16に示す形態では、単一の操作ボタン91が2つのグリップ部分21a、21bの間に設けられている。この場合、グリップ21に手を掛けた状態で、作業者にとって負担とならない姿勢で操作ボタン91に指を当てることができる。
一方、図17に示す例では、左右方向d2に長手軸をもつ単一のグリップ21が、ハンドル本体22に支持されている。単一のグリップ21の両端付近に、ハンドル本体22に支持された操作ボタン91が1つずつ配置されている。
図17に示す形態によっても、操作ボタン91を押し込むことで、操作状態opと非操作状態nopとを切り換えることができるため、グリップ21を手で操作する動作に連動して操作レバー91を操作し易い。その上、図17に示す形態では、2つの操作ボタン91が左右方向d2に間隔を空けて配置されている。この場合、左右の操作ボタン91の両方を操作状態opに変更しなければ、駆動源5からの駆動力が車輪4に伝えられない。このため、操作者の意図に反して駆動源5からの駆動力が車輪4に伝えられることをさらに効果的に防止することができる。
また、図16及び図17に示す形態のいずれにおいても、操作ボタン91は、ハンドル本体22のうちの乳母車本体2よりもグリップ21に近接した位置に設けられている。この場合、グリップ21に手を掛けた状態で、作業者にとってさらに負担とならない姿勢で操作ボタン91に指を当てることができる。
また、上述した実施の形態では、操作部材91が左右方向d2に沿った長手軸をもつ横握り式の操作レバー91からなる例を示したが、操作部材91の形態は、上述した例に限定されない。図18に、操作レバー91の他の例を示す。図18に示す例でも、ハンドル20には、操作者の手が掛けられるグリップ21が配置され、グリップ21と乳母車本体2とをハンドル本体22が連結している。図18に示す操作部材91は、縦握り式の操作レバー91として構成されている。
本実施の形態では、左右のグリップ部分21a、21bにそれぞれ対向して左右の操作部材91が設けられている。各操作部材91の長手軸は、非操作状態nopにおいて、対応する側のグリップ部分21a、21bの長手軸と沿うように設置されている。図18に示す例では、各操作部材91の長手軸及び各グリップ部分21a、21bの長手軸は、前後方向d1に沿っている。
各操作部材91は、基端部91aにおいてハンドル本体22に枢動可能に取り付けられ、先端部91bにおいてグリップ21に対して接離可能になっている。図18に示す例では、各操作部材91の基端部91aが前後方向d1における前方でハンドル本体22に枢動可能に取り付けられ、各操作部材91の先端部91bが前後方向d1における後方に位置している。
各操作部材91の先端部91bをグリップ21に対して接離させることで、操作部材91を操作状態opと非操作状態nopとの間で切り換え可能になっている。
以上のように、図18に示す形態によれば、操作レバー91は、グリップ21に対向して配置され、操作レバー91は、基端部91aにおいてハンドル本体22に枢動可能に取り付けられ、先端部91bにおいてグリップ21に対して接離可能になっている。この場合、グリップ21に近づけるように操作レバー91を握ることで、操作状態opと非操作状態nopとを切り換えることができるため、グリップ21を手で操作する動作に連動して操作部材91をますます操作し易くなる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。