JP6639165B2 - 乳母車 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動源により車輪を駆動させる乳母車に関する。
例えば特許文献1には、電動モータ付きの乳母車が開示されている。特許文献1に記載の乳母車では、レバーが押圧されると、車輪に接続された電動モータが駆動される。とりわけ、特許文献1に記載の乳母車は、電源に接続された電動モータにより自走する。すなわち、特許文献1に記載の乳母車は、操作者によって押されなくても、電動モータの駆動力のみで独立して走行することが可能である。
特開2011−68336号公報
しかしながら、特許文献1に記載の乳母車では、長時間の利用等によって電源の充電が切れてしまう場合も想定され得る。電源の充電が切れた場合、乳母車を押し進めるべく車輪を回転させようとしても、電動モータが負荷として作用し、乳母車を押し進めるのは容易ではない。とりわけ、走行面にある段差を乗り越える際には、前輪を浮かせて後輪で乳母車を走行させる必要があるため、電動モータが負荷として後輪に作用すると、乳母車の操作性が大きく悪化してしまう。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、駆動源により車輪を駆動させる乳母車の操作性を改善することを目的とする。
本発明による乳母車は、複数の車輪と、
座ユニットと、
前記複数の車輪を支持するベースフレーム、及び、前記ベースフレームに連結され前記座ユニットを支持する上部フレーム、を有する乳母車本体と、
前記乳母車本体に支持され、前記複数の車輪のうちの少なくとも1つに駆動力を提供する駆動源と、を備え、
前記ベースフレームは、最も後方に位置する車輪の回転軸線よりも後方に突き出たティッピングバーを有する。
本発明による乳母車において、前記乳母車本体に入力される走行操作に関する情報を検知する検知要素と、前記検知要素が検知した情報に基づいて前記駆動源を制御して、当該駆動源から前記車輪への駆動力を調整する制御装置と、をさらに備えてもよい。
本発明による乳母車において、前記乳母車本体は、前記上部フレームに接続されたハンドルをさらに有し、前記検知要素は、前記ハンドルに設けられ、当該ハンドルに加えられる荷重に関する情報を検知してもよい。
本発明による乳母車において、前記複数の車輪のうち、前記駆動源から駆動力を提供される車輪が後輪であり、前記複数の車輪のうちの前輪は、キャスターを介して前記ベースフレームに支持されていてもよい。
本発明による乳母車において、前記駆動源は、前記複数の車輪のうちの少なくとも1つに駆動力を提供する第1駆動要素と、前記複数の車輪のうちの前記第1駆動要素から駆動力を提供される車輪とは異なる車輪に駆動力を提供し、前記第1駆動要素とは別個に設けられた第2駆動要素と、を有してもよい。
本発明による乳母車において、前記第1駆動要素及び前記第2駆動要素は、前記ティッピングバーよりも前方に配置されていてもよい。
本発明による乳母車において、前記ベースフレームは、左右方向に離間して配置された一対の側ベースフレームをさらに有し、前記ティッピングバーは、前記一対の側ベースフレームの後端同士を連結していてもよい。
本発明による乳母車において、前記上部フレームは、リンク部材を介して前記ベースフレームに接続され、前記リンク部材に対して回動することで当該ベースフレームに対して折り畳み可能になっていて、前記上部フレームが前記ベースフレームに対して折り畳まれた状態において、前記上部フレームに接続された前記乳母車本体のハンドルが、前記一対の側ベースフレームと前記ティッピングバーとにより囲まれる空間内に挿入されてもよい。
本発明によれば、後方に突き出たティッピングバーを利用することで、乳母車の操作性を改善することができる。
一実施の形態による乳母車を展開状態にて正面から示す図。 図1に示す展開状態にある乳母車を座ユニットを取り外した状態で側方から示す図。 図2に示す乳母車を折畳状態にて側方から示す図。 図1に示す乳母車の構成を模式的に示すブロック図。 図1に示す乳母車の駆動要素及び車輪を後方から示す斜視図。 駆動要素を構成する直流モータの接続関係を示す回路図。 駆動要素及び制御装置に接続された電源を示す斜視図。 図1に示す乳母車のハンドルを拡大して示す上面図。 図1に示す乳母車のハンドルに設けられた検知要素の構成を説明するための図。 図9に示す検知要素の回路図。 検知要素からの情報に基づいて駆動要素による駆動力を調整する例を示すグラフ。 図1に示す乳母車のハンドルを前方に押し進めたときの検知要素の作用を説明するための図。 図1に示す乳母車のハンドルを下方に押し下げたときの検知要素の作用を説明するための図。 図1に示す乳母車のハンドルを後方に引いたとき及び坂道を下るときの検知要素の作用を説明するための図。 図1に示す乳母車を旋回させたときの状態を説明するための斜視図。 ティッピングバーを足で操作するようすを示す斜視図。 ベースフレームの後方部分を拡大して示す側面図。 ベースフレームの後方部分を拡大して模式的に示す背面図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図18は、一実施の形態による乳母車1を説明するための図である。このうち、図1は、一実施の形態による乳母車1を正面方向から示す図である。図1に示す乳母車1では、乳母車本体2に、第1座ユニット8a及び第2座ユニット8bが支持されている。第1座ユニット8a及び第2座ユニット8bは、乳幼児が着座する場所であり、左右に並べて配置されている。座ユニット8a、8bに着座した乳幼児を日差しや風から保護するよう、各座ユニット8a、8bには、幌9a、9bが設けられている。
なお、本明細書中において、乳母車1及びその構成要素に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」の用語は、特に指示がない場合、展開状態にある乳母車1を、ハンドル20を把持しながら操作する操作者を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」を意味する。さらに詳しくは、「前後方向d1」とは、図1における紙面の表裏方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、ハンドルを押す操作者が向く側であり、図1における紙面の表側が前となる。一方、「上下方向d3」とは前後方向に直交するとともに接地面に直交する方向である。したがって、接地面が水平面である場合、「上下方向d3」とは鉛直方向をさす。また、「左右方向d2」とは幅方向でもあって、「前後方向d1」及び「上下方向d3」のいずれにも直交する方向である。
図2に、乳母車1を座ユニット8a、8bを取り外した状態で側方から示す。図2に示す乳母車本体2は、フレーム本体10と、フレーム本体10に接続されたハンドル20とにより構成されている。
フレーム本体10において、複数の車輪4が支持されたベースフレーム11に、2つの座ユニット8a、8bを支持する上部フレーム12が接続されている。上部フレーム12は、ベースフレーム11に対して傾いた状態で支持されている。上部フレーム12の前方部分とベースフレーム11の前方部分とが前方リンク部材13を介して接続され、上部フレーム12の中間部分とベースフレーム11の後方部分とが中間リンク部材14を介して接続されている。前方リンク部材13及び中間リンク部材14は、リンクとして機能し、上部フレーム12がベースフレーム11に対して回動することを可能にする。
とりわけ、ベースフレーム11には、左右方向d2に離間して配置された左右の側ベースフレーム11a、11bが設けられている。左右の側ベースフレーム11a、11bは、前後方向d1に沿って延び、当該左右の側ベースフレーム11a、11bの後端に、ティッピングバー11cが連結されている。
各側ベースフレーム11a、11bには、前輪41及び後輪42が取り付けられている。本実施の形態では、各前輪41は、キャスター3を介して側ベースフレーム11a、11bに回転可能且つ旋回可能に支持されている。キャスター3は、回転軸線Ar1を中心として前輪41を回転可能に支持し、且つ、回転軸線Ar1と非平行、本実施の形態では直交する方向に平行な旋回軸線As1を中心として旋回可能である。すなわち、前輪41は、自転可能であると共にその向きを変更可能となるようにキャスター3によって支持されている。
一方、前輪41よりも後方に位置する各後輪42は、キャスターによって旋回可能に支持されていない。本実施の形態において、各後輪42は、後述する駆動源5の駆動軸51b(図5参照)に回転可能に支持され、旋回可能にはなっていない。
ティッピングバー11cは、後方連結フレームとも呼ばれる。ティッピングバー11cは、操作者が足を掛け乳母車1の操縦を補助するための部分である。また、本実施の形態によるティッピングバー11cは、ベースフレーム11の骨格の一部を構成し、ベースフレーム11の剛性を高めている。図2に示すように、ティッピングバー11cを構成する要素として、左右の側ベースフレーム11a、11bの後端に左右の湾曲部分11d、11eが接続され、左右の湾曲部分11d、11eの間を中間部分11fが連結している。
湾曲部分11d、11eは、前後方向d1に沿った側ベースフレーム11a、11bと、左右方向d2に沿った中間部分11fと、を繋ぐ部分を構成する。図2に示す各湾曲部分11d、11eは、前後方向d1に沿って後方に向かうほど、左右方向d2における中央に近づくように湾曲している。
中間部分11fは、ティッピングバー11cのうちの操作者の足が掛けられる部分を構成する。図2に示す中間部分11fは、後輪42よりも後方となる位置で左右方向d2に沿って直線状に延びている。
かかるティッピングバー11cを構成する左右の湾曲部分11d、11eと中間部分11fとは、一体に成形されている。さらには、ティッピングバー11cは、左右の側ベースフレーム11a、11bとも一体に成形され、ベースフレーム11を構成している。この場合、ベースフレーム11の強度を維持しつつ、部品点数を削減することに大きく貢献する。ただし、ティッピングバー11cは、別個に成形されたパイプを連結して構成されてもよく、その具体的な態様は特に限定されない。
上部フレーム12には、左右方向d2に離間して配置された左右の側上部フレーム12a、12bが設けられている。左右の側上部フレーム12a、12bの間には、中間フレーム12cが配置されている。本実施の形態では、左側の側上部フレーム12aと中間フレーム12cとの間に第1座ユニット8aが配置され、右側の側上部フレーム12bと中間フレーム12cとの間に第2座ユニット8bが配置されている。
左右の側上部フレーム12a、12b及び中間フレーム12cの後端は、後方上部フレーム12dにより連結されている。後方上部フレーム12dには、ハンドル20が取り付けられている。ハンドル20は、操作者の手で操作される部分である。ハンドル20については、図8乃至図15を参照して後述する。
なお、図示する例では、左右の側上部フレーム12a、12bと後方上部フレーム12dとが、単一のパイプを曲げて成形することにより一体に形成されている。ただし、左右の側上部フレーム12a、12bと後方上部フレーム12dとは、別個の部品として形成されていてもよい。
左右の側上部フレーム12a、12bの前端は、横連結バー12e及び上部側リンクフレーム13aにより連結されている。このうち、横連結バー12eは、左右方向d2に沿って直線状に形成され、横連結バー12eの中間部分に中間フレーム12cの前方部分が接続されている。
上部側リンクフレーム13aは、リンクとして機能し、横連結バー12eよりも前方となる領域に突き出した湾曲した形状をもつ。そして、上部側リンクフレーム13aの前方部分と左右の側ベースフレーム11a、11bの前端とに、ベース側リンクフレーム13bが掛け渡されている。ベース側リンクフレーム13bは、その前端において上部側リンクフレーム13aに固着され、その左右の後端は、横連結リンクバー13cを介して左右の側ベースフレーム11a、11bに回動可能に接続されている。横連結リンクバー13cは、左右方向d2に沿って直線状に形成され、左右の側ベースフレーム11a、11bの前端に回動可能に接続されている。上部側リンクフレーム13aとベース側リンクフレーム13bと横連結リンクバー13cとにより、リンクとして機能する前方リンク部材13が構成される。
なお、左右の中間リンク部材14は、左右の側上部フレーム12a、12bの中間部分と左右の側ベースフレーム11a、11bの後方部分とに掛け渡されている。各中間リンク部材14は、リンクとして機能し、側上部フレーム12a、12b及び側ベースフレーム11a、11bの両方に対して回動可能になっている。
以上のようなフレーム構造をもつ乳母車1は、図1及び図2に示す展開状態から、図3に示す折畳状態に折り畳むことができる。図3は、図2に示す乳母車1を折畳状態にて側方から示す図である。
まず、側上部フレーム12a、12bと上部側リンクフレーム13aとのロックを解除し、ハンドル20を自重を利用して下方に下ろしていく。この動作によって、上部側リンクフレーム13a、ベース側リンクフレーム13b及び中間リンク部材14が図2中反時計回り方向に回動して、上部フレーム12がベースフレーム11に重なるように折り畳まれていく。
以上の折り畳み動作の結果、図3に示すように、ベースフレーム11と上部フレーム12とが、乳母車1の側面視において接近して略平行に配置される。図3に示す状態において、ハンドル20は、一対の側ベースフレーム11bとティッピングバー11cとにより囲まれる空間S内に収まる。すなわち、折り畳み動作によって、ハンドル20は、一対の側ベースフレーム11bとティッピングバー11cとにより囲まれる空間S内に挿入される。
なお、乳母車1を図3に示す折り畳み状態から、図2に示す展開状態に戻すためには、上述した折畳操作と逆の手順を踏めばよい。
ところで、本実施の形態による乳母車1では、操作者の負担を軽減すべく、車輪4に駆動源5が接続されている。ただし、背景技術の欄で説明したように、従来の乳母車はいわゆる自走式の乳母車として構成されていたため、意図した通りに乳母車を操作することは容易ではなかった。そこで、本実施の形態による乳母車1は、操作者の走行操作に応じて車輪4に駆動力を提供する補助駆動式の手押し乳母車として構成されている。
図4に、車輪4の駆動を補助する機構をブロック図にて模式的に示す。図4に示すように、複数の車輪4のうちのいくつかに、駆動要素51、52が接続されている。駆動要素51、52は、車輪4を駆動させる構成要素、換言すれば、車輪4に駆動力を提供する構成要素である。本実施の形態では、2つの駆動要素すなわち第1駆動要素51及び第2駆動要素52が設けられ、第1駆動要素51が左側の後輪42を駆動し、第2駆動要素52が右側の後輪42を駆動するようになっている。
図5に、駆動要素51、52の構成の一例を示す。図5に示すように、各駆動要素51、52は、対応する側の後輪42に接続された駆動軸51a、52aと、駆動軸51a、52aを駆動させる直流モータ51b、52bと、により構成されている。駆動軸51a、52aの一端は、対応する側の後輪42に接続され、当該後輪42を回転軸線Ar2を中心として回転可能となるように支持し、旋回可能には支持していない。駆動軸51a、52aの他端は、直流モータ51b、52bの主軸に、不図示の動力伝達要素(例えばギア)を介して連結されている。なお、駆動軸51a、52aは、直流モータ51b、52bの主軸と一体に構成されていてもよいし、別個の部材として構成されていてもよい。
直流モータ51b、52bは、一対の側ベースフレーム11a、11bに掛け渡された収容ボックス70内に配置され、当該収容ボックス70内で後方ベースフレーム11cに支持されている。図6に、直流モータ51b、52bの接続関係を回路図にて示す。図6に示すように、2つの駆動要素51、52の直流モータ51b、52bは、バッテリーとしての電源75に対して直列に接続されている。2つの直流モータ51b、52bが直列に接続されていることにより、接地面からの負荷に応じて駆動力を調整することに貢献するが、この点については後述する。
図4に戻って、各駆動要素51、52は、収容ボックス70に収容された制御装置7に接続され、当該制御装置7により制御される。この制御装置7には、さらに検知要素6が接続されていて、検知要素6からの情報が入力として取り込まれる。そして、制御装置7は、検知要素6からの情報に基づいて各駆動要素51、52を制御して、各駆動要素51、52から車輪4への駆動力を調整する。このような制御装置7は、例えば、中央処理装置(CPU)及びレジスタ(REGISTER)を供えたマイクロコントローラや、プログラマブルコントローラ(PLC)の形態として実現され得る。
制御装置7は、電源75に電気的に接続されている。電源75は、制御装置7及び駆動源5に電流を供給するためのものである。典型的には、電源75は、充電可能になっていて、乳母車本体2から取り外された状態で充電され得る。
図7に、電源75を拡大して示す。図7に示すように、電源75は、バッテリーホルダー76に抜き差し可能に取り付けられている。バッテリーホルダー76は、収容ボックス70に取り付けられ、収容ボックス70を介してベースフレーム11に支持されている(図5参照)。バッテリーホルダー76は、電源75を収容する収容空間76aを有し、電源75は、上下方向d3から収容空間76aにアクセスすることが可能となっている。
バッテリーホルダー76の底部には、ホルダー端子76eが設けられていて、ホルダー端子76eは、配線77を介して制御装置7及び駆動源5に接続されている。電源75がバッテリーホルダー76に収容された状態において、ホルダー端子76eは、電源75に設けられたバッテリー端子75eと電気的に接続される。したがって、電源75がバッテリーホルダー76に収容された状態において、バッテリー75からの電流がホルダー端子76eを介して制御装置7及び駆動源5に送られる。
検知要素6は、乳母車本体2に入力される走行操作に関する情報を検知するものである。検知要素6が検知する走行操作に関する情報は、操作者から乳母車本体2に入力される情報であれば特に限定されない。走行操作に関する情報の一例として、ハンドル20を操作する手からの荷重に関する情報や、操作者が乳母車1を走行させる速度に関連する車輪4の回転数に関する情報を検知してもよい。
図2に戻って、本実施の形態による検知要素6は、ハンドル20に設けられ、当該ハンドル20に加えられる荷重に関する情報、換言すれば、ハンドル20に加えられる荷重を特定することが可能な情報を検知するように構成されている。先ず、ハンドル20の構成について説明し、その後、ハンドル20に設けられた検知要素6について説明していく。
図8に、ハンドル20を拡大して示す。図8に示すように、ハンドル20には、操作者の手が掛けられる操作部材21が配置され、操作部材21と乳母車本体2とをハンドル本体22が連結している。ハンドル本体22は、上部フレーム12との連結箇所c1において、当該上部フレーム12に締結されている。
とりわけ、ハンドル本体22を構成する要素として、後方上部フレーム12dからコラム22aが延び出し、コラム22aの両側にサイドバー22b、22cが配置されている。グリップ21は、左右方向d2に間隔を空けて並べられた2つのグリップ部分21a、21bとして構成され、左側のグリップ部分21aが、左側のサイドバー22bとコラム22aとの間に掛け渡され、右側のグリップ部分21bが、右側のサイドバー22cとコラム22aとの間に掛け渡されている。
図9に、コラム22aに設けられた検知要素6を拡大して示し、図10に、検知要素6の回路図を示す。図9及び図10に示すように、検知要素6としての複数の歪ゲージ61が、コラム22a内のインナー角材22dに貼り付けられている。複数の歪ゲージ61は、ハンドル本体22の歪みを計測するようブリッジ回路を構成している。図11に示す例では、角型のインナー角材22dの上側の面に2つの歪ゲージ61が配置され、インナー角材22dの下側の面に2つの歪ゲージ61が配置され、これら4つの歪ゲージ61は互いに同一に構成される。なお、図示するインナー角材22dは中空になっているが、中実であってもよい。
図11に、歪ゲージ61が検知した歪みに応じて、駆動要素51、52により提供される駆動力を決定する制御の一例をグラフとして示す。図11のグラフにおいて、横軸は、歪ゲージ61が検知した歪みを示し、インナー角材22dの上側の面に貼り付けられた歪ゲージ61が延びた場合乃至インナー角材22dの下側の面に貼り付けられた歪ゲージ61が縮んだ場合を正の値とし、インナー角材22dの上側の面に貼り付けられた歪ゲージ61が縮んだ場合乃至インナー角材22dの下側の面に貼り付けられた歪ゲージ61が延びた場合を負の値としている。縦軸は、車輪4を駆動させる駆動力を示し、車輪4を前進方向に回転させる駆動力を正の値とし、車輪4を後退方向に回転させる駆動力を負の値としている。
図11に示すように、歪ゲージ61が検知した歪みの大きさが下限値α1よりも小さい場合、制御装置7は、駆動要素51、52による駆動力を車輪4に提供しないように制御する。これにより、外乱や意図しない操作が乳母車1に加えられても、乳母車1が意図せず動いてしまうことを防止することができる。
歪ゲージ61が検知した歪みの大きさが下限値α1よりも大きくなると、制御装置7は、駆動要素51、52による駆動力を、歪ゲージ61が検知した歪みの大きさに比例して車輪4に提供するように制御する。図11のグラフでは、対象となる歪ゲージ61が延びた場合には、車輪4を前進方向に回転させる駆動力を提供し、対象となる歪ゲージ61が縮んだ場合には、車輪4を後退方向に回転させる駆動力を提供する。
一方、ハンドル20に加えられる歪みの大きさが上限値α2よりも大きくなると、制御装置7は、駆動要素51、52による駆動力を、上限駆動力Fとして車輪4に提供するように制御する。
次に、以上のような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
とりわけ、図2から理解されるように、検知要素6を構成する4つの歪ゲージ61は、操作部材21よりも上下方向d3における上方に位置し、操作部材21は、連結箇所c1よりも後方且つ下方となる位置に位置している。このような配置によれば、以下の図12乃至図15に示すように歪ゲージ61が作用する。図12乃至図15は、ハンドル20を操作したときの歪ゲージ61の作用を説明するための図である。なお、以下の説明では、インナー角材22dをその長手方向に平行な平面にて2つの部分に区画したときに、上側となる部分を上領域A1とし、下側となる部分を下領域A2とする(図9参照)。
図12に示すように、操作者が操作部材21を握って乳母車1を前後方向d1における前方に押し進めた場合、インナー角材22dの上領域A1が延び下領域A2が縮む。上領域A1が延び下領域A2が縮んだ情報は、4つの歪ゲージ61にて計測される。歪ゲージ61にて計測された情報は、制御装置7に送られる。情報を受け取った制御装置7は、操作部材21が前方に押し進められた若しくは下方に押し下げられたと認識し、2つの駆動要素51、52の直流モータ51b、52bが直列に接続された回路に、歪ゲージ61が計測した値に応じた電流を提供する。これにより、直流モータ51b、52bが回転し、直流モータ51b、52bに接続された駆動軸51a、52aが後輪42を前進方向に回転させる。このようにして、駆動軸51a、52aが後輪42の回転を補助することにより、操作者が乳母車1を前方に押す負担が軽減される。
走行面に段差がある場合には、操作者は操作部材21を上下方向d3における下方に押し下げて、前輪41を浮かせようとする。図13に示すように、操作者が操作部材21を下方に押し下げた場合、図12の場合と同様に、インナー角材22dの上領域A1が延び下領域A2が縮む。上領域A1が延び下領域A2が縮んだ情報は、4つの歪ゲージ61にて計測され制御装置7に送られる。情報を受け取った制御装置7は、操作部材21が前方に押し進められた若しくは下方に押し下げられたと認識し、2つの直流モータ51b、52bが直列に接続された回路に、歪ゲージ61が計測した値に応じた電流を提供する。これにより、直流モータ51b、52bが回転し、直流モータ51b、52bに接続された駆動軸51a、52aが後輪42を前進方向に回転させる。すなわち、操作部材21が下方に押し下げられた場合、操作部材21が前方に押し進められた場合と同様に、後輪42を前進方向に回転させる。結果として、段差を乗り越える動作中であっても、駆動源5による駆動力の補助を受けることができ、乳母車1を過度な負担なく押し進ませることができる。
一方、下り坂で乳母車1を押し進める場合には、図14に示すように、操作者が操作部材21を握って乳母車1を前後方向d1における後方に引き寄せることとなる。この場合、図12及び図13の場合とは逆に、インナー角材22dの上領域A1が縮み下領域A2が延びる。上領域A1が縮み下領域A2が延びた情報は、4つの歪ゲージ61にて計測され制御装置7に送られる。情報を受け取った制御装置7は、操作部材21が後方に引かれたと認識し、2つの直流モータ51b、52bが直列に接続された回路に、歪ゲージ61が計測した値に応じた電流を、図12及び図13の場合と逆向きに提供する。これにより、直流モータ51b、52bが回転し、直流モータ51b、52bに接続された駆動軸51a、52aが後輪42を後退方向に回転させる。このようにして、駆動軸51a、52aが後輪42の回転を補助することにより、操作者が乳母車1を後方に引く負担が軽減される。
次に、乳母車1を旋回させる際には、図15に示すように、2つのグリップ21a、21bを前方に押す力に差異を生じさせることにより、乳母車1を旋回させることができる。図15に示す例では、左側のグリップ21aよりも右側のグリップ21bに掛かる力を大きくすることにより、乳母車1を左回りに旋回させることができる。2つのグリップ21a、21bに異なる力を掛けても、図12の場合と同様に、インナー角材22dの上領域A1が延び下領域A2が縮む。上領域A1が延び下領域A2が縮んだ情報は、4つの歪ゲージ61にて計測され制御装置7に送られる。歪ゲージ61が検知した情報を受け取った制御装置7は、操作部材21が前方に押し進められた若しくは下方に押し下げられたと認識し、2つの直流モータ51b、52bが直列に接続された回路に、歪ゲージ61が計測した値に応じた電流を提供する。図6に示す直列回路では、2つの直流モータ51b、52bが同一に構成されている場合、2つの直流モータ51b、52bに流れる電流の大きさも等しいため、2つの直流モータ51b、52bが車輪4に提供する駆動力も相等しいとも思われる。
ただし、乳母車1を左回りに旋回させると、内輪となる左側の車輪4に外輪となる右側の車輪4よりも接地面からの大きな抵抗が掛かり、内輪となる左側の車輪4に接続された直流モータ51bが回転し難くなる。内輪となる左側の車輪4に接続された直流モータ51bの回転数が低下すると、当該直流モータ51bに生じる逆起電力が低下し、直列回路により多くの電流が流れやすくなる。結果として、外輪となる右側の車輪4に接続された直流モータ52bに流れる電流が相対的に多くなり、外輪となる右側の車輪4により大きな駆動力を提供することが可能となる。これにより、外輪となる右側の車輪4を回転させ易くなり、この結果、旋回動作をスムーズに行うことができる。
以上のように、本実施の形態による乳母車1は、乳母車本体2と、乳母車本体2に支持された複数の車輪4と、乳母車本体2に支持され、複数の車輪4のうちの少なくとも1つに駆動力を提供する駆動源5と、乳母車本体2に入力される走行操作に関する情報を検知する検知要素6と、検知要素6が検知した情報に基づいて駆動源5を制御して、駆動源5から車輪4への駆動力を調整する制御装置7と、を備える。このような形態によれば、乳母車1の走行操作に合わせて、駆動源5による車輪4への駆動力を調整することができるため、乳母車1を意図した通りに操作することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、複数の車輪4のうち、駆動源5から駆動力を提供される車輪が後輪42であり、複数の車輪4のうちの前輪41は、キャスター3を介してベースフレーム11に支持されている。前輪41がキャスター3を介してベースフレーム11に支持されていることで、乳母車1の旋回操作をスムーズに行うことができる。また、操作者が操作するハンドル20が後方に位置することや、乳母車1に乗車する乳幼児の重心を考慮すると、後輪42は荷重が掛かり易く接地面に安定して接地するといえる。安定して接地した後輪42に駆動源5からの駆動力が提供されることで、駆動源5による駆動補助を安定して実現することができる。
また、本実施の形態によれば、駆動源5は、複数の車輪4のうちの少なくとも1つに駆動力を提供する第1駆動要素51と、複数の車輪4のうちの第1駆動要素51から駆動力を提供される車輪4とは異なる車輪4に駆動力を提供し、第1駆動要素51とは別個に設けられた第2駆動要素52と、を有する。このような形態によれば、異なる車輪4に異なる駆動力を提供することにより、乳母車1の走行状態に応じた適切な駆動力の分配を実現することに寄与する。
また、本実施の形態によれば、第1駆動要素51から駆動力を提供される車輪4と、第2駆動要素52から駆動力を提供される車輪4とは、左右方向d2における位置が異なっており、第1駆動要素51及び第2駆動要素52は、直流モータをそれぞれ含み、第1駆動要素51の直流モータ51bと第2駆動要素52の直流モータ52bとは、バッテリーとしての電源75に対して直列に接続されている。乳母車1を旋回させる場合、内輪となる車輪4に外輪となる車輪4よりも接地面からの大きな抵抗が掛かる。このため、2つの駆動要素51、52の直流モータ51b、52bを直列に接続した場合、内輪となる車輪4に接続された直流モータ51bが回転し難くなる。内輪となる車輪4に接続された直流モータ51bの回転数が低下すると、直流モータ51bに生じる逆起電力が低下し、直列回路により多くの電流が流れやすくなる。結果として、外輪となる車輪4に接続された直流モータ52bに流れる電流が相対的に多くなり、外輪となる車輪4により大きな駆動力を提供することが可能となる。以上のことから、2つの駆動要素51、52の直流モータ51b、52bを直列に接続した場合、旋回動作中に外輪となる車輪4を回転させ易くなり、旋回動作をスムーズに行うことができる。
また、本実施の形態によれば、乳母車本体2は、複数の車輪4を支持するフレーム本体10と、フレーム本体10に接続されたハンドル20と、を有し、検知要素6は、ハンドル20に設けられ、当該ハンドル20に加えられる荷重に関する情報を検知する。乳母車本体2に入力される走行操作に関する情報として、ハンドル20に加えられる荷重に関する情報を選択することで、操作者の走行操作に関する意図に応じて駆動源5から車輪4に駆動力を提供することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、ハンドル20は、操作者の手が掛けられる操作部材21と、操作部材21と乳母車本体2とを連結するハンドル本体22と、を有し、制御装置7は、検知要素6によって、操作部材21が前方に押された情報または下方に押し下げられた情報が検知されると、駆動源5に車輪4を前進させる駆動力を提供させ、検知要素6によって操作部材21が後方に引かれた情報が検知されると、駆動源5に車輪4を後退させる駆動力を提供させる。このような形態によれば、操作者による操作部材21の操作に合わせて、駆動源5が車輪4を駆動させる向きを調整することができる。とりわけ、接地面の段差等を乗り越えるために前輪41を浮かせるよう操作部材21を下方に押し下げた場合であっても、駆動源5が車輪4を前進させるように駆動する。このため、段差を乗り越える動作中であっても、駆動源5による駆動力の補助を受けながら乳母車1を過度な負担なく押し進ませることができる。
また、本実施の形態によれば、検知要素6は、ハンドル20のハンドル本体22に取り付けられた複数の歪ゲージ61を含み、少なくとも1つの歪ゲージ61は、操作部材21が前方に押される若しくは下方に押し下げられると延び操作部材21が後方に引かれると縮む、または、操作部材21が前方に押される若しくは下方に押し下げられると縮み操作部材21が後方に引かれると延びるようになっている。このような形態によれば、検知要素6が歪ゲージ61によって実現されるため、操作者が操作部材21を操作する情報を、複雑な構造を回避しつつ安定して検知することができる。操作者が操作部材21を操作する情報をさらに安定して検知する観点から、操作部材21は、ハンドル本体22とフレーム本体10との連結箇所c1よりも後方且つ下方となる位置または前方且つ上方となる位置に位置しているのがよい。
とりわけ、本実施の形態によれば、操作部材21は、連結箇所c1よりも後方且つ下方となる位置に位置し、歪ゲージ61は、ハンドル本体22のうちの、操作部材21との接続箇所と連結箇所c1との間となる部分に取り付けられている。この場合、操作者から操作部材21に加えられる荷重に連動して、ハンドル本体22のうちの歪ゲージ61が貼り付けられた部分が感度良く伸縮する。このため、歪ゲージ61によって、操作者が操作部材21を操作する情報をさらに精度良く検知することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、複数の車輪4と、座ユニット8a、8bと、複数の車輪4を支持するベースフレーム11、及び、ベースフレーム11に連結され座ユニット8a、8bを支持する上部フレーム12、を有する乳母車本体2と、乳母車本体2に支持され、複数の車輪4のうちの少なくとも1つに駆動力を提供する駆動源5と、駆動源5に電流を供給する充電可能な電源75と、ベースフレーム11に支持され、電源75が抜き差し可能に取り付けられるバッテリーホルダー76と、を備え、電源75からの電流がバッテリーホルダー76に設けられた端子76aを介して駆動源5に送られる、乳母車1が提供される。このような形態によれば、バッテリーホルダー76から電源75を取り外して充電した後、再びバッテリーホルダー76に電源75を差し込めば、電源75から駆動源5に電流を供給することが可能となる。すなわち、本実施の形態による乳母車1は、電源75の充電及び装着を容易に行うことができる。
さて、長時間の利用等によって電源の充電が切れてしまう場合も想定され得る。電源75の充電が切れた場合、乳母車1を押し進めるべく車輪4を回転させようとしても、駆動要素51、52の直流モータ51b、52bが負荷として作用し、乳母車1を押し進めることは、直流モータを備えていない乳母車と比べて容易ではない。とりわけ、走行面にある段差を乗り越える際には、前輪41を浮かせて後輪42で乳母車1を走行させる必要がある。かかる場合、図16に示すように、ティッピングバー11cを利用して前輪41を浮かせることが便宜である。図16は、ティッピングバー11cを足で操作する状態を示す全体斜視図である。
図16に示す場合においては、操作者がハンドル20の操作部材21を手で下方に押し下げると共に、ティッピングバー11cを足で下方に踏み付ける。この操作により、乳母車1上の2箇所に互いに逆向きとなる水平方向の一対の力を負荷することができる。この互いに逆向きとなる一対の力からなる偶力は、乳母車1全体を回転させるモーメントを発生させる。この結果、後輪42を基準として、乳母車1全体を鉛直方向に対して後方に傾斜させ、前輪41を容易に浮き上がらせることができる。
前輪41を浮き上がらせた後、操作者は、今度はハンドル20の操作部材21を手で前方に押すと共に、ティッピングバー11cを足でそのまま前方に押し出す。これにより、足の力も利用しながら乳母車1を前方に比較的容易に押し進ませることができる。
とりわけ、操作者がハンドル20を把持しながら乳母車1を押し進ませているときには、ティッピングバー11cが足よりもやや前方に位置する場合に、ティッピングバー11cを足で前方に押し出し易い。この点を考慮して、ティッピングバー11cの後端11gは、乳母車1の展開状態において、ハンドル20の後端20aよりも前方に配置されている。
さらに、図17を参照してティッピングバー11cの配置について説明する。図17は、ベースフレーム11の後方部分を拡大して示す側面図である。
図17に示すように、ティッピングバー11cは、後輪42の回転軸線Ar2、さらには後輪42の後端42aよりも後方に突き出ている。すなわち、ティッピングバー11cの少なくとも一部は、後輪42の後端42aよりも後方に位置している。この場合、操作者がハンドル20を把持しながら乳母車1を押し進ませている状態において、無理のない姿勢でティッピングバー11cに足を掛けることに寄与する。ただし、ティッピングバー11cは、車輪41の回転軸線Ar2よりも後方に突き出ていなくてもよい。
また、図17において、ティッピングバー11cは、上下方向d3において後輪42の回転軸線Ar2と後輪42の上端42bとの間の高さにある。すなわち、ティッピングバー11cは、後輪42の回転軸線Ar2よりも上方で後輪42の上端42bよりも下方となる位置に配置されている。ティッピングバー11cが後輪42の回転軸線Ar2よりも上方に位置することで、高さの相違を利用して、乳母車1の走行中に足の指先がティッピングバー11cに接触し難くなる。一方、ティッピングバー11cが後輪42の上端42bよりも下方に位置することで、高さの相違を利用して、乳母車1の走行中に脚の脛がティッピングバー11cに接触し難くなる。
このように、本実施の形態によれば、複数の車輪4と、座ユニット8a、8bと、複数の車輪4を支持するベースフレーム11、及び、ベースフレーム11に連結され座ユニット8a、8bを支持する上部フレーム12、を有する乳母車本体2と、乳母車本体2に支持され、複数の車輪4のうちの少なくとも1つに駆動力を提供する駆動源5と、を備え、ベースフレーム11は、最も後方に位置する車輪42の回転軸線Ar2よりも後方に突き出たティッピングバー11cを有する、乳母車1が提供される。このような形態によれば、駆動源5が停止した状態であっても、ティッピングバー11cを足で操作することにより、前輪41を容易に浮かせ走行面にある段差を容易に乗り越えることができる。結果として、駆動源5により車輪4を駆動させる乳母車1の操作性を改善することができる。
また、本実施の形態によれば、ベースフレーム11は、左右方向d2に離間して配置された一対の側ベースフレーム11a、11bをさらに有し、ティッピングバー11cは、一対の側ベースフレーム11a、11bの後端同士を連結している。この場合、ティッピングバー11cがベースフレーム11のうちの左右方向d2に延びる骨格構造としても機能するため、ベースフレーム11の剛性を効果的に高めることに寄与する。
また、本実施の形態によれば、上部フレーム12は、リンク部材13、14を介しベースフレーム11に接続され、リンク部材13、14に対して回動することで当該ベースフレーム11に対して折り畳み可能になっていて、上部フレーム12がベースフレーム11に対して折り畳まれた状態において、上部フレーム12に接続された乳母車本体2のハンドル20が、一対の側ベースフレーム11a、11bとティッピングバー11cとにより囲まれる空間S内に挿入される。このような形態によれば、乳母車1を折り畳んだ状態において、ハンドル20が一対の側ベースフレーム11a、11bとティッピングバー11cとにより囲まれる空間S内に収容されるため、一対の側ベースフレーム11a、11bとティッピングバー11cとによってハンドル20を保護することができる。とりわけ、ハンドル20に検知要素6が配置されている場合、ハンドル20を保護することで検知要素6に物理的な衝撃が伝わることを抑制することができ、検知要素6が損傷を受けることを避けることもできる。
次に、ティッピングバー11cと他の構成要素の配置関係について説明する。図5によく示されているように、2つの駆動要素51、52、制御装置7及び電源75は、ティッピングバー11cよりも前後方向d1における前方に配置されている。より詳細には、2つの駆動要素51、52、制御装置7及び電源75は、一対の側ベースフレーム11a、11bとティッピングバー11cとにより囲まれる空間S内に配置されている。この場合、一対の側ベースフレーム11a、11bとティッピングバー11cとによって、2つの駆動要素51、52、制御装置7及び電源75を保護することができる。
ここで、2つの駆動要素51、52、制御装置7及び電源75に代表される車輪4を駆動させるための部品は、重量があり、乳母車1の重量バランスを崩させ易い。そこで、本実施の形態による乳母車1では、乳母車1の重量バランスを保つべく、以下のような工夫が施されている。図18に、ベースフレーム11の後方部分を背面図として模式的に示す。
図18に示すように、重量のある2つの駆動要素51、52、制御装置7及び電源75は、左右の後輪42の間に配置されている。この配置によれば、これらの部品51、52、7、75の高さが左右の後輪42の高さに相当する。このため、重量のあるこれらの部品51、52、7、75を相対的に低い位置に配置することができ、乳母車1の重心が安定する。さらに、この配置によれば、これらの部品51、52、7、75の前後方向d1における位置が後輪42の前後方向d1における位置に相当する。この場合、重量のあるこれらの部品51、52、7、75の自重は、主として左右の後輪42によって受け止められる。この結果、左右の後輪42を走行面に安定して押し付けることができ、駆動源5によって後輪42を駆動させた場合に、後輪42を安定して駆動させることに寄与する。
とりわけ、第1駆動要素51、第2駆動要素52及び制御装置7は、後輪42の上端42bよりも低い位置に配置されている。この場合、これらの部品51、52、7をさらに低い位置に配置することができ、乳母車1の重心がさらに安定する。
さらに、第1駆動要素51と第2駆動要素52の間に制御装置7が配置されている。この場合、左右方向d2において2つの駆動要素51、52及び制御装置7をバランスよく配置することができ、乳母車1の重量バランスを高めることに寄与する。
このように、本実施の形態によれば、前輪41及び後輪42を含む複数の車輪4と、座ユニット8a、8bと、複数の車輪4を支持するベースフレーム11、及び、ベースフレーム11に連結され座ユニット8a、8bを支持する上部フレーム12、を有する乳母車本体2と、乳母車本体2に支持され、複数の車輪4のうちの少なくとも1つに駆動力を提供する駆動源5と、を備え、駆動源5は、左右の後輪42の間に配置されている、という乳母車1が提供される。このような形態によれば、駆動源5の高さが左右の後輪42の高さに相当するため、重量のある駆動源5を相対的に低い位置に配置することができる。この結果、乳母車1の重心が安定し、駆動源5により車輪4を駆動させる乳母車1の操作性を改善することができる。加えて、駆動源5の前後方向d1における位置が後輪42の前後方向d1における位置に相当するため、重量のある駆動源5の自重が主として左右の後輪42によって受け止められる。この結果、左右の後輪42を走行面に安定して押し付けることができ、駆動源5によって後輪42を駆動させた場合に、後輪42を安定して駆動させることに寄与する。
また、本実施の形態によれば、駆動源5に加えて制御装置7及び電源75も、左右の後輪42の間に配置されている。この場合、重量のある制御装置7及び電源75も相対的に低い位置に配置することができるため、乳母車1の重心がさらに安定する。また、駆動源5、制御装置7及び電源75を、左右の後輪42の間にまとめて配置することで、これらを連結する配線の長さを短くし、コスト削減に貢献する。
また、本実施の形態によれば、ベースフレーム11は、左右方向d2に離間して配置された一対の側ベースフレーム11a、11bと、一対の側ベースフレーム11a、11bの後端同士を連結する後方連結フレーム11cと、を有し、一対の側ベースフレーム11a、11bに掛け渡された収容ボックス70に、駆動源5及び制御装置7が収容されている。この場合、収容ボックス70内に駆動源5及び制御装置7をまとめて配置することができ、組立作業を効率よく行うことができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
例えば、上述した実施の形態では、左右に並べて2つの座ユニット8a、8bが設けられる例を示したが、座ユニット8a、8bの数は、このような例に限定されない。例えば、単一の座ユニットが設けられていてもよいし、2つ以上の座ユニットが設けられ、この2つ以上の座ユニットが前後に並べられていてもよい。
また、上述した実施の形態では、2つの駆動要素51、52の直流モータ51b、52bが電源としての電源75に対して直列に接続された例を示したが、直流モータ51b、52bに関する回路設計は、上述した例に限定されない。2つの駆動要素51、52の直流モータ51b、52bが電源75に対して並列に接続されていてもよい。
また、上述した実施の形態では、検知要素6が歪ゲージ61からなる例を示したが、検知要素6の形態は、上述した例に限定されない。検知要素6は、乳母車本体2に入力される走行操作に関する情報を検知することができる限り任意であり、他の例として、ハンドル本体22に取り付けられたトルクセンサや圧力センサや磁歪センサ等として構成されていてもよい。例えば、圧力センサとしては、ハンドル20に加えられる荷重を作動流体の圧力の変化として捉え、この圧力の変化をダイヤフラムを介して感圧素子で計測した後、電気信号として出力するタイプのものであってもよい。
また、上述した実施の形態では、単一の支柱からなるコラム22aが、後方上部フレーム12dと操作部材21とを連結する例を示したが、コラム22aの形態は、上述した例に限定されない。コラム22aが複数の支柱からなり、後方上部フレーム12dと操作部材21とを連結してもよい。
また、上述した実施の形態では、操作部材21が連結箇所c1よりも後方且つ下方となる位置に位置した例を示したが、操作部材21の配置は、上述した例に限定されない。少なくとも1つの歪ゲージ61が、操作部材21が前方に押される若しくは下方に押し下げられると延び操作部材21が後方に引かれると縮む、または、操作部材21が前方に押される若しくは下方に押し下げられると縮み操作部材21が後方に引かれると延びるようになっている限り、操作部材21の配置は任意である。例えば、操作部材21が、連結箇所c1よりも前方且つ上方となる位置に位置し、歪ゲージ61が、操作部材21よりも後方となる位置でハンドル本体22に取り付けられていてもよい。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
1 乳母車
2 乳母車本体
10 フレーム本体
11 ベースフレーム
11a、11b 側ベースフレーム
11c ティッピングバー(後方連結フレーム)
12 上部フレーム
13 前方リンク部材
14 中間リンク部材
20 ハンドル
21 操作部材
21a、21b グリップ
22 ハンドル本体
3 キャスター
4 車輪
41 前輪
42 後輪
5 駆動源
51 第1駆動要素
52 第2駆動要素
51a、52a 駆動軸
51b、52b 直流モータ
6 検知要素
61 歪ゲージ
7 制御装置
70 収容ボックス
75 電源
76 バッテリーホルダー
76e ホルダー端子
d1 前後方向
d2 左右方向
d3 上下方向
c1 連結箇所

Claims (6)

  1. 複数の車輪と、
    座ユニットと、
    前記複数の車輪を支持するベースフレーム、及び、前記ベースフレームに連結され前記座ユニットを支持する上部フレーム、を有する乳母車本体と、
    前記乳母車本体に支持され、前記複数の車輪のうちの少なくとも1つに駆動力を提供する駆動源と、を備え、
    前記ベースフレームは、最も後方に位置する車輪の回転軸線よりも後方に突き出たティッピングバーを有し、
    前記ベースフレームは、左右方向に離間して配置された一対の側ベースフレームをさらに有し、
    前記ティッピングバーは、前記一対の側ベースフレームの後端同士を連結し、
    前記上部フレームは、リンク部材を介して前記ベースフレームに接続され、前記リンク部材に対して回動することで当該ベースフレームに対して折り畳み可能になっていて、
    前記上部フレームが前記ベースフレームに対して折り畳まれた状態において、前記上部フレームに接続された前記乳母車本体のハンドルが、前記一対の側ベースフレームと前記ティッピングバーとにより囲まれる空間内に挿入される、乳母車。
  2. 前記乳母車本体に入力される走行操作に関する情報を検知する検知要素と、
    前記検知要素が検知した情報に基づいて前記駆動源を制御して、当該駆動源から前記車輪への駆動力を調整する制御装置と、
    をさらに備える、請求項1に記載の乳母車。
  3. 前記乳母車本体は、前記上部フレームに接続されたハンドルをさらに有し、
    前記検知要素は、前記ハンドルに設けられ、当該ハンドルに加えられる荷重に関する情報を検知する、請求項2に記載の乳母車。
  4. 前記複数の車輪のうち、前記駆動源から駆動力を提供される車輪が後輪であり、
    前記複数の車輪のうちの前輪は、キャスターを介して前記ベースフレームに支持されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の乳母車。
  5. 前記駆動源は、前記複数の車輪のうちの少なくとも1つに駆動力を提供する第1駆動要素と、前記複数の車輪のうちの前記第1駆動要素から駆動力を提供される車輪とは異なる車輪に駆動力を提供し、前記第1駆動要素とは別個に設けられた第2駆動要素と、を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乳母車。
  6. 前記第1駆動要素及び前記第2駆動要素は、前記ティッピングバーよりも前方に配置されている、請求項5に記載の乳母車。
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