無人で自律走行可能な自律走行作業車両(以下、無人車両と称することがある)1、及び、この自律走行作業車両1に協調して作業者(ユーザ)が操向操作する有人の走行作業車両(以下、有人車両と称することがある)100をトラクタとし、自律走行作業車両1及び走行作業車両100には作業機としてロータリ耕耘装置がそれぞれ装着されている実施例について説明する。但し、作業車両はトラクタに限定するものではなく、コンバイン等でもよく、また、作業機はロータリ耕耘装置に限定するものではなく、畝立て機や草刈機やレーキや播種機や施肥機等であってもよい。
本明細書において「自律走行」とは、トラクタが備える制御部(ECU)によりトラクタが備える走行に関する構成が制御されて予め定められた経路に沿ってトラクタが走行することを意味する。単一の圃場における農作業を、無人車両及び有人車両で実行することを、農作業の協調作業、追従作業、随伴作業などと称することがある。なお、農作業の協調作業としては、「単一圃場における農作業を、無人車両及び有人車両で実行すること」に加え、「隣接する圃場等の異なる圃場における農作業を同時期に無人車両及び有人車両で実行すること」が含まれてもよい。
図1は、自律走行作業車両及び走行作業車両の概略構成を示す側面図であり、図2は、それらの制御構成を示す制御ブロック図である。図1、図2において、自律走行作業車両1となるトラクタの全体構成について説明する。トラクタの車体部は、ボンネット2内にエンジン3が内設され、該ボンネット2の後部のキャビン11内にダッシュボード14が設けられ、ダッシュボード14上に操向操作手段となるステアリングハンドル4が設けられている。該ステアリングハンドル4の回動により操舵装置を介して前輪9・9の向きが回動される。操舵装置を作動させる操舵アクチュエータ40は制御部30を構成するステアリングコントローラ301と接続される。自律走行作業車両1の操舵方向は操向センサ20により検知される。操向センサ20はロータリエンコーダ等の角度センサからなり、前輪9の回動基部に配置される。但し、操向センサ20の検知構成は限定するものではなく操舵方向が認識されるものであればよく、ステアリングハンドル4の回動を検知したり、パワーステアリングの作動量を検知してもよい。操向センサ20により得られた検出値は制御部30のステアリングコントローラ301に入力される。
制御部30は、ステアリングコントローラ301、エンジンコントローラ302、変速制御コントローラ303、水平制御コントローラ304、作業制御コントローラ305、測位制御ユニット306、自律走行制御コントローラ307等を備え、それぞれCPU(中央演算処理装置)やRAMやROM等の記憶装置やインターフェース等を備え、記憶装置には動作させるためのプログラムやデータ等が記憶され、CAN通信によりそれぞれ情報やデータ等を送受信できるように通信可能としている。
前記ステアリングハンドル4の後方に運転席5が配設され、運転席5下方にミッションケース6が配置される。ミッションケース6の左右両側にリアアクスルケース8・8が連設され、該リアアクスルケース8・8には車軸を介して後輪10・10が支承される。エンジン3からの動力はミッションケース6内の変速装置(主変速装置や副変速装置)により変速されて、後輪10・10を駆動可能としている。変速装置は例えば油圧式無段変速装置で構成して、可変容量型の油圧ポンプの可動斜板をモータ等の変速手段44により作動させて変速可能としている。変速手段44は制御部30の変速制御コントローラ303と接続されている。後輪10の回転数は車速センサ27により検知され、走行速度として変速制御コントローラ303に入力される。但し、車速の検知方法や車速センサ27の配置位置は限定するものではない。
ミッションケース6内にはPTOクラッチやPTO変速装置が収納され、PTOクラッチはPTO入切手段45により入り切りされ、PTO入切手段45は表示手段49を介して制御部30の自律走行制御コントローラ307と接続され、PTO軸への動力の断接を制御可能としている。また、作業機として播種機や畦塗機等を装着した場合、作業機独自の制御ができるように作業機コントローラ308が備えられ、該作業機コントローラ308は情報通信配線(所謂、ISOBUS)を介して作業制御コントローラ305と接続される。
前記エンジン3を支持するフロントフレーム13にはフロントアクスルケース7が支持され、該フロントアクスルケース7の両側に前輪9・9が支承され、前記ミッションケース6からの動力が前輪9・9に伝達可能に構成している。前記前輪9・9は操舵輪となっており、ステアリングハンドル4の回動操作により回動可能とするとともに、操舵装置の駆動手段となるパワステシリンダからなる操舵アクチュエータ40により前輪9・9が左右操舵回動可能となっている。操舵アクチュエータ40は制御部30のステアリングコントローラ301と接続されて制御される。
エンジン回転制御手段となるエンジンコントローラ302にはエンジン回転数センサ61や水温センサや油圧センサ等が接続され、エンジンの状態を検知できるようにしている。エンジンコントローラ302では設定回転数と実回転数から負荷を検出し、過負荷とならないように制御するとともに、後述する遠隔操作装置112にエンジン3の状態を送信して表示装置113で表示できるようにしている。
また、ステップ下方に配置した燃料タンク15には燃料の液面を検知するレベルセンサ29が配置されて表示手段49と接続され、表示手段49は自律走行作業車両1のダッシュボードに設けられ、燃料の残量を表示する。そして、燃料の残量は自律走行コントローラ307で作業可能時間が演算され、通信装置110を介して遠隔操作装置112に情報が送信されて、遠隔操作装置112の表示装置113に燃料残量と作業可能時間が表示可能とされる。なお、回転計、燃料計、油圧、異常を表示する表示手段と、現在位置等を表示可能な表示手段とは別構成でもよい。
前記ダッシュボード14上にはエンジンの回転計や燃料計や油圧等や異常を示すモニタや設定値等を表示する表示手段49が配置されている。表示手段49は遠隔操作装置112と同様にタッチパネル式として、データの入力や選択やスイッチ操作やボタン操作等も可能としている。
また、トラクタの車体部の後部に作業機装着装置23を介して作業機としてロータリ耕耘装置24が昇降可能に装設させている。前記ミッションケース6上に昇降シリンダ26が設けられ、該昇降シリンダ26を伸縮させることにより、作業機装着装置23を構成する昇降アームを回動させてロータリ耕耘装置24を昇降できるようにしている。昇降シリンダ26は昇降アクチュエータ25の作動により伸縮され、昇降アクチュエータ25は制御部30の水平制御コントローラ304と接続されている。また、前記作業機装着装置23の左右一側のリフトリンクには傾斜シリンダが設けられ、該傾斜シリンダを作動させる傾斜アクチュエータ47は水平制御コントローラ304と接続されている。
位置検出部となる測位制御ユニット306には位置情報を検出可能とするための移動GPSアンテナ(測位アンテナ)34とデータ受信アンテナ38が接続され、移動GPSアンテナ34とデータ受信アンテナ38は前記キャビン11上に設けられる。測位制御ユニット306には、位置算出手段を備えて緯度と経度を算出し、現在位置を表示手段49や遠隔操作装置112の表示装置113で表示できるようにしている。なお、GPS(米国)に加えて準天頂衛星(日本) やグロナス衛星(ロシア)等の衛星測位システム(GNSS)を利用することで精度の高い測位ができるが、本実施形態ではGPSを用いて説明する。
自律走行作業車両1は、車体部の姿勢変化情報を得るためにジャイロセンサ31、および進行方向を検知するために方位角検出部32を具備し制御部30と接続されている。但し、GPSの位置計測から進行方向を算出できるので、方位角検出部32を省くことができる。ジャイロセンサ31は自律走行作業車両1の車体部前後方向の傾斜(ピッチ)の角速度、車体部左右方向の傾斜(ロール)の角速度、および旋回(ヨー)の角速度、を検出するものである。該三つの角速度を積分計算することにより、自律走行作業車両1の車体部の前後方向および左右方向への傾斜角度、および旋回角度を求めることが可能である。ジャイロセンサ31の具体例としては、機械式ジャイロセンサ、光学式ジャイロセンサ、流体式ジャイロセンサ、振動式ジャイロセンサ等が挙げられる。ジャイロセンサ31は制御部30に接続され、当該三つの角速度に係る情報を制御部30に入力する。
方位角検出部32は自律走行作業車両1の向き(進行方向)を検出するものである。方位角検出部32の具体例としては磁気方位センサ等が挙げられる。方位角検出部32はCAN通信手段を介して自律走行制御コントローラ307に情報が入力される。
こうして自律走行制御コントローラ307は、上記ジャイロセンサ31、方位角検出部32から取得した信号を姿勢・方位演算手段により演算し、自律走行作業車両1の姿勢(向き、車体部前後方向及び車体部左右方向の傾斜、旋回方向)を求める。
次に、自律走行作業車両1の位置情報を衛星測位システムの一つであるGPS(グローバル・ポジショニング・システム)を用いて取得する。GPSを用いた測位方法としては、単独測位、相対測位、DGPS(ディファレンシャルGPS)測位、RTK−GPS(リアルタイムキネマティック−GPS)測位など種々の方法が挙げられ、これらいずれの方法を用いることも可能であるが、本実施形態では測定精度の高いRTK−GPS測位方式を採用する。
RTK−GPS測位は、位置が判っている基準局と、位置を求めようとする移動局とで同時にGPS観測を行い、基準局で観測したデータを無線等の方法で移動局にリアルタイムで送信し、基準局の位置成果に基づいて移動局の位置をリアルタイムに求める方法である。
本実施形態においては、自律走行作業車両1に移動局となる測位制御ユニット306と移動GPSアンテナ34とデータ受信アンテナ38が配置され、基準局となる固定通信機35と固定GPSアンテナ36とデータ送信アンテナ39が所定位置に配設される。本実施形態のRTK−GPS測位は、基準局および移動局の両方で位相の測定(相対測位)を行い、基準局の固定通信機35で測位したデータをデータ送信アンテナ39からデータ受信アンテナ38に送信する。
自律走行作業車両1に配置された移動GPSアンテナ34はGPS衛星37・37・・・からの信号を受信する。この信号は測位制御ユニット306に送信され測位される。そして、同時に基準局となる固定GPSアンテナ36でGPS衛星37・37・・・からの信号を受信し、固定通信機35で測位し測位制御ユニット306に送信し、観測されたデータを解析して移動局の位置を決定する。
こうして、自律走行コントローラ307は自律走行作業車両1を自律走行させる自律走行手段として備えられる。つまり、自律走行コントローラ307と接続された各種情報取得ユニットによって、自律走行作業車両1の走行状態を各種情報として取得し、自律走行コントローラ307と接続された各種制御ユニットによって、自律走行作業車両1の自律走行を制御する。具体的には、GPS衛星37・37・・・から送信される電波を受信して測位制御ユニット306において設定時間間隔で車体部の位置情報を求め、ジャイロセンサ31及び方位角検出部32から車体部の変位情報および方位情報を求め、これら位置情報と変位情報と方位情報に基づいて車体部が予め設定した経路(走行経路と作業経路)Rに沿って走行するように、操舵アクチュエータ40、変速手段44、昇降アクチュエータ25、PTO入切手段45、エンジンコントローラ302等を制御して自律走行し自動で作業できるようにしている。
また、自律走行作業車両1には障害物センサ41が配置されて制御部30と接続され、障害物に衝突しないようにしている。例えば、障害物センサ41はレーザセンサや超音波センサやカメラで構成して車体部の前部や側部や後部に配置して制御部30と接続し、制御部30によって車体部の前方や側方や後方に障害物があるかどうかを検出し、障害物が設定距離以内に近づくと走行を停止させるように制御する。
また、自律走行作業車両1には前方を撮影するカメラ42Fや後方の作業機や作業後の圃場状態を撮影するカメラ42Rが搭載され制御部30と接続されている。カメラ42F・42Rは本実施形態ではキャビン11のルーフの前部上と後部上に配置しているが、配置位置は限定するものではなく、キャビン11内の前部上と後部上や一つのカメラ42を車体部中心に配置して鉛直軸を中心に回転させて周囲を撮影しても、複数のカメラ42を車体部の四隅に配置して車体部周囲を撮影する構成であってもよい。また、キャビン11やボンネット2等に自律走行作業車両1の製造社のエンブレムが取り付けられている場合、当該エンブレムの背面側にカメラ42F・42Rを配することとしてもよい。その場合、エンブレム内には貫通穴或いは所定の隙間が設定され、カメラ42F・42Rのレンズが当該貫通穴或いは隙間の位置に相当することで撮影が妨げられない。カメラ42F・42Rで撮影された映像は走行作業車両100に備えられた遠隔操作装置112の表示装置113に表示される。
遠隔操作装置112は前記自律走行作業車両1の後述する経路Rを設定したり、自律走行作業車両1を遠隔操作したり、自律走行作業車両1の走行状態や作業機の作動状態を監視したり、作業データを記憶したりするものであり、制御部(CPUやメモリ)130や通信装置111や表示装置113や記憶装置114等を備える。
有人走行車両となる走行作業車両100は作業者が乗車して運転操作するとともに、走行作業車両100に遠隔操作装置112を搭載して自律走行作業車両1を操作可能としている。走行作業車両100の基本構成は自律走行作業車両1と略同じ構成であるので詳細な説明は省略する。なお、走行作業車両100(または遠隔操作装置112)にGPS用の制御ユニットを備える構成とすることも可能である。
遠隔操作装置112は、走行作業車両100及び自律走行作業車両1のダッシュボードやキャビン11のピラー等に設けられる取付部(不図示の例えば遠隔操作装置112を取り付け固定可能なアーム部材)に着脱可能としている。遠隔操作装置112は走行作業車両100の取付部に取り付けたまま操作することも、走行作業車両100の外に持ち出して携帯して操作することも、自律走行作業車両1の取付部に取り付けたまま操作することも可能である。遠隔操作装置112は例えばノート型やタブレット型のパーソナルコンピュータ等の無線通信端末で構成することができる。本実施形態ではタブレット型のコンピュータで構成している。
さらに、遠隔操作装置112と自律走行作業車両1は無線で相互に通信可能に構成しており、自律走行作業車両1と遠隔操作装置112には通信するための通信装置110・111がそれぞれ設けられている。通信装置111は遠隔操作装置112に一体的に構成されている。通信手段は例えばWiFi等の無線LANで相互に通信可能に構成されている。遠隔操作装置112は画面に触れることで操作可能なタッチパネル式の操作画面とした表示装置113を筐体表面に設け、筐体内に通信装置111や制御部(CPU)130や記憶装置114やバッテリ等を収納している。
次に、経路生成装置となる遠隔操作装置112により経路Rを設定する手順について説明する。図3は、遠隔操作装置112の表示装置113に表示される初期画面を示す。但し、自律走行作業車両1が備える制御部30によって経路Rを設定できるようにすることも可能である。遠隔操作装置112の表示装置113はタッチパネル式としており、電源をオンして遠隔操作装置112を起動させると初期画面が現れるようにしている。初期画面では、図3に示すように、トラクタ設定ボタン201、圃場設定ボタン202、経路生成設定ボタン203、データ転送ボタン204、作業開始ボタン205、終了ボタン206が表示される。
まず、トラクタ設定について説明する。トラクタ設定ボタン201をタッチすると、過去にこの遠隔操作装置112によりトラクタを用いて作業を行った場合、つまり、過去に設定したトラクタが存在する場合、そのトラクタ名(機種)が表示される。表示された複数のトラクタ名から今回使用するトラクタ名をタッチして選択すると、その後、後述する圃場設定に進み、或いは、初期画面に戻ることが可能である。新規にトラクタ設定を行う場合には、トラクタの機種を特定する。この場合、機種名を直接入力する。或いは、複数のトラクタの機種を表示装置113に一覧表示させて所望の機種を選択できるようにしている。
トラクタの機種が設定されると、トラクタに装着される作業機のサイズ、形状、作業機の位置の設定画面が現れる。作業機の位置は例えば前部か、前輪と後輪の間か、後部か、オフセットか、を選択する。作業機の設定が終了すると、作業中の車速、作業中のエンジン回転数、旋回時の車速、旋回時のエンジン回転数の設定画面が現れる。作業中の車速は往路と復路で異なる車速とすることも可能である。車速、及び、エンジン回転数の設定が終了すると、後述する圃場設定に進み、或いは、初期画面に戻ることが可能である。
次に、圃場設定について、説明する。図4は、圃場設定時において自律走行作業車両にユーザが搭乗して行う外周走行の様子を示す。図5は、作業領域、枕地領域等、圃場内の設定される領域を示す。圃場設定ボタン202をタッチすると、過去にこの遠隔操作装置112によりトラクタを用いて作業を行った場合、つまり、過去に設定した圃場が存在する場合、設定されている圃場の名前が表示される。表示された複数の圃場名から今回作業を行う圃場名をタッチして選択すると、その後、後述する経路生成設定に進み、或いは、初期画面に戻ることが可能である。なお、設定された圃場を編集又は新規に設定することも可能である。
登録された圃場がない場合には、新規の圃場設定となる。新規の圃場設定を選択すると、図4に示すように、トラクタ(自律走行作業車両1)を圃場H内の四隅のうちの一つの隅Aに位置させ、「測定開始」のボタンをタッチする。その後、トラクタを圃場Hの外周に沿って走行させて圃場形状を登録する。次に、作業者は、登録された圃場形状から、角位置A・B・C・Dや変曲点を登録して圃場形状を特定する。
圃場Hが特定されると、図5に示すように、作業開始位置Sと、作業開始方向Fと、作業終了位置Gを設定する。この圃場H内に障害物が存在する場合には、障害物の位置までトラクタを移動させ、「障害物設定」ボタンをタッチして、その周囲を走行して、障害物設定を行う。なお、表示装置113には圃場の地図画像を表示することが可能であり、当該地図画像に、上記特定された圃場形状が重畳表示される場合、表示装置113上で障害物の周囲を指定することで、障害物設定を行うことができてもよい。上記作業が終了すると、または、過去に登録した圃場を選択すると、確認画面となり、OK(確認)ボタンと「編集/追加」ボタンが表示される。過去に登録した圃場に変更がある場合には、「編集/追加」ボタンをタッチする。
前記圃場設定においてOKボタンをタッチすると、経路生成設定となる。経路生成設定は初期画面で経路生成設定ボタン203をタッチすることによっても経路生成設定が可能となる。経路生成設定では、自律走行作業車両1に対して走行作業車両100がどの位置で走行するかの選択画面が表示される。つまり、自律走行作業車両1と走行作業車両100の位置関係を設定する。具体的には、(1)走行作業車両100が自律走行作業車両1の左後方に位置する。(2)走行作業車両100が自律走行作業車両1の右後方に位置する。(3)走行作業車両100が自律走行作業車両1の真後ろに位置する。(4)走行作業車両100は随伴しない(自律走行作業車両1のみで作業を行う)。の4種類が表示され、タッチすることにより選択できる。
次に、走行作業車両100の作業機の幅を設定する。つまり、作業機の幅を数字で入力する。次に、スキップ数を設定する。つまり、自律走行作業車両1が圃場外周端部(枕地)に至り第一の経路から第二の経路に移動する時に、経路を何本飛ばすかを設定する。具体的には、(1)スキップしない。(2)1列スキップ。(3)2列スキップ。のいずれかを選択する。次に、オーバーラップの設定を行う。つまり、作業経路と隣接する作業経路における作業幅の重複量の設定を行う。具体的には、(1)オーバーラップしない。(2)オーバーラップする。を選択する。なお、「オーバーラップする」を選択すると、数値入力画面が表示され、数値を入力しないと次に進むことができない。
次に、外周設定が行われる。つまり、図5に示すような、自律走行作業車両1と走行作業車両100とにより、または、自律走行作業車両1により作業を行う作業領域HAの外側の領域が設定される。言い換えれば、圃場端で非作業状態として旋回走行する枕地HBと、枕地HBと枕地HBとの間の左右両側の圃場外周に接する非作業領域とする側部余裕地HCが設定される。よって、圃場H=作業領域HA+枕地HB+枕地HB+側部余裕地HC+側部余裕地HCとなる。通常、枕地HBの幅Wbと側部余裕地HCの幅Wcは、走行作業車両100が装着した作業機の幅の二倍以下の長さとして、自律走行作業車両1と走行作業車両100とによる随伴作業が終了した後に、作業者が走行作業車両100に乗り込み、手動操作で外周を二周することで、仕上げることができるようにしている。但し、圃場外周の形状が複雑でない場合には、自律走行作業車両1で外周を作業することも可能である。なお、外周設定において、枕地HBの幅Wb及び側部余裕地HCの幅Wcは、作業機の幅に応じて自動的に所定の幅に算出されるが、算出された枕地HBの幅Wb及び側部余裕地HCの幅Wcは、任意の幅に変更可能であり、ユーザは所望の幅に変更した上で、変更後の幅Wb、幅Wcを夫々、枕地HBの幅、側部余裕地HCの幅として設定可能である。但し、任意の幅に変更可能である場合、圃場内における走行、作業並びに安全性を考慮して算出される最小設定幅以下に設定することはできない。例えば、枕地HBや側部余裕地HCにおいて自律走行作業車両1が走行や旋回した場合に、作業機が圃場外に飛び出ないことを保証する幅が最小設定幅として算出される。
上記の各種設定の入力が終了すると、確認画面が現れ、確認をタッチすると、自動で経路Rが生成される。経路Rは作業経路Raと走行経路Rbからなり、作業経路Raは作業領域HA内で生成される経路で、作業を行いながら走行する経路であり、直線の経路となる。但し、作業領域HAが矩形でない場合には作業領域HA外の領域(枕地HBと側部余裕地(サイドマージン)HC)にはみ出すこともある。走行経路Rbは作業領域HA外の領域で生成される経路で、作業を行わずに走行する経路であり、直線と曲線を組み合わせた経路となる。主に、枕地HBでの旋回走行となる。
前記経路Rは自律走行作業車両1と走行作業車両100の経路Rが生成される。前記作業経路生成後にその作業経路を見たい場合は、経路生成設定ボタン203をタッチすることでシミユレーション画像が表示され、確認することができる。なお、経路生成設定ボタン203をタッチしなくても経路Rは生成されている。経路生成設定の各項目を設定すると、経路生成設定が表示され、その下部に、「経路設定ボタン」「データ転送する」「ホームへ戻る」が選択可能に表示される。
経路生成設定で生成された経路(経路R)に関する情報を転送するときは、初期画面において設けられたデータ転送ボタン204をタッチすることで転送できる。この転送は遠隔操作装置112で行われるため、これら設定した情報を自律走行作業車両1の制御装置に転送する必要がある。この転送は、(1)端子を用いて転送する方法と、(2)無線で転送する方法があり、本実施形態では、端子を用いる場合には、USBケーブルを用いて遠隔操作装置112と自律走行作業車両1の制御装置を直接つなぐ、あるいは、USBメモリに一旦記憶させてから、自律走行作業車両1のUSB端子に接続して転送する。また、無線で転送する場合は、WiFi(無線LAN)を用いて転送する。
前記圃場設定において、圃場H内に車体部の走行が禁止される軟弱地や岩等の障害物400が存在する場合について、詳述する。図6に示すように、圃場H内に障害物400が存在する場合、圃場設定時に、作業者は自律走行作業車両1に乗って障害物400の近傍位置まで移動し、障害物設定を選択して、障害物400の外周を走行する。このとき、四角形の頂点となる4点(ポイント)401・402・403・404を指定して第3領域(以下、進入禁止領域K)を登録する。この進入禁止領域Kの外周を形成する四角形の辺は圃場Hの外周の辺と略平行とされる。但し、遠隔操作装置112に表示される地図のみを用いて登録することも可能である。例えば、外観上は確認できないが進入を禁止したいような場合であり、軟弱地等で実際に周囲を走行すると深みにはまり脱出できないような事態が発生する場所や、大きな石が埋まっているような場所であり、このような障害は、走行せずに簡単に進入禁止領域Kとして登録できるようにする。
前記障害物400の形状が円形や尖った形状を有する場合、四角形で登録すると、余白部分(作業は可能であるが、進入が禁止される部分)が大きくなることがある。このような場合には、図7に示すように、進入禁止領域Kは指定する点を増加して(401〜405)多角形とすることも可能である。但し、点の数は限定しない。また、指定する点の位置は、表示装置113上で移動や変更を可能としている。つまり、通常自動で頂点が設定されるため、実際はもう少し広くしたい場合や狭くしたい場合や傾斜させたい場合や位置をズラしたい場合や多角形に設定したい場合等があるため、マニュアルで点の移動や変更を可能としている。なお、多角形の場合、少なくとも一つの特定の辺は圃場H内の第1領域(作業領域HA)の辺と略平行となるように設定し、経路生成したときの未作業地ができるだけ小さくなるようにしている。
そして、障害物400が収まる四角形(または多角形)の進入禁止領域Kが設定されると、次に、進入禁止領域Kの所定長さ(幅)外側に第4領域となる障害物枕地JBと障害物側部余裕地JCを設定して、作業領域HAの中に障害物領域Jが設定される。つまり、障害物領域Jは、走行が禁止される進入禁止領域Kと、作業経路Raは生成されないが走行経路Rbは生成可能とされる第4領域となる障害物枕地JBと障害物側部余裕地JCとを加えた領域である。障害物枕地JBと障害物側部余裕地JCの第4領域の幅は作業機の幅の2倍以下の長さとすることで2周回ることで作業を終了できる。
また、第2領域(枕地HBと側部余裕地HC)と第4領域(障害物枕地JBと障害物側部余裕地JC)の間には経路が設定されない第5領域(進入領域HD)が設定される。つまり、自律走行作業車両1と走行作業車両100とによる協調作業で作業領域HAの作業を行った後に、障害物枕地JBと障害物側部余裕地JCを作業者が手動で作業を行う必要があるため、枕地HBあるいは側部余裕地HCから障害物枕地JB或いは障害物側部余裕地JCに入る必要がある。このため第2領域と第4領域の間を繋ぐように進入路となる第5領域を設定して、協調作業終了後に、既作業地を荒らすことなく障害物枕地JBと障害物側部余裕地JCに入り作業ができるようにしている。従って、第5領域の幅は作業機(または車体部)の幅以上、作業機の幅の2倍以下の長さとする。第5領域の幅が作業機の幅に等しい場合、第4領域へ進入するときには第5領域で作業を行う必要がないが、第4領域から出るときに第5領域で作業を行うことで、未耕地をなくすことができる。一方、第5領域の幅が作業機の幅より大きい場合、第4領域へ進入するとき及び第4領域から出るときに作業を行うことで、未耕地をなくすことができる。第5領域の幅を作業機の幅の2倍に等しい大きさとすることで、第4領域へ進入するとき及び第4領域から出るときに第5領域で作業を行っても作業の重複を防ぐことができる。
前記進入領域HD(第5領域)は、第2領域と第4領域の間の距離が最も短い位置に設けて、第4領域に入るとき及び出るときの作業面積ができるだけ小さくなるようにする。しかし、側部余裕地HCと障害物側部余裕地JCの間の距離が最も短い場合、その間を繋ぐように進入領域HDを設けると、この進入領域HDは作業領域HAにおける長手方向の経路を分断することになり、作業効率を低下させる場合がある。そこで、枕地HBと障害物枕地JBとの間の距離が短い領域で経路Rと平行となる進入領域HDを設定することとすれば、作業効率を低下させることなく、仕上がりもきれいにすることができる。また、第1領域(作業領域HA)の作業終了後に第4領域の作業を行うので、進入領域HDは作業終了位置Gに近い側に設定することで走行移動距離を短くでき、作業効率を向上できる。
以上のように、制御部130において予め設定した経路Rに沿って、衛星測位システムを利用して自律走行及び作業を可能とする自律走行作業車両1と、該自律走行作業車両1に協調して作業者が操作して作業を行う走行作業車両100により作業を行う作業システムにおいて、経路生成装置となる自律走行作業車両1の制御部30、または、該制御部30と通信可能な遠隔操作装置112の制御部130は、圃場H内を自律走行及び作業可能な経路Rを生成可能とし、圃場設定時に、圃場H内に障害物400が存在する場合、前記圃場H(作業領域HA)で作業を行う作業経路Raが生成される第1領域と、作業経路Raは生成されないが走行するための走行経路Rbは生成可能とする前記第1領域の周囲に設定される第2領域と、前記圃場H内であって走行が禁止される第3領域と、作業経路Raは生成されないが走行するための走行経路Rbは生成可能とする前記第3領域の周囲に設定される第4領域とを設定可能とするので、走行が禁止されるような障害物400が圃場H内に存在する場合であっても、自動的に経路設定が行われて効率よく作業ができるようになる。
また、前記制御部130は、前記第1領域(作業領域HA)において、前記第4領域(障害物枕地JBと障害物側部余裕地JC)と第2領域(枕地HBと側部余裕地HC)とを接続し、作業経路Raが生成されない第5領域(進入領域HD)を設定可能とするので、作業領域HAを自律走行作業車両1と走行作業車両100とによる協調作業で作業を行った後に、既作業地を荒らすことなく第4領域に進入して作業を行い、その作業終了後に第5領域を作業しながら退出でき、第4領域を効率良くきれいに仕上げることができる。
また、前記制御部130は、前記第5領域を第1領域(作業領域HA)で生成される作業経路Raと平行に設けるので、第4領域を作業した後に第5領域を作業して退出した後の仕上がりは、他の作業経路Raを作業した仕上がりとほぼ同じとなり、全体の仕上がりをきれいにできる。
このように、障害物領域Jが設定され、経路Rに沿って作業を行うと、障害物領域Jが存在する長手方向の作業経路Raは圃場H全体から見ると分断されることになる。この長手方向で分断された作業領域HAは、自律走行作業車両1と走行作業車両100とによる協調作業で一方の領域の作業終了後に他方の領域を行う方法と、自律走行作業車両1と走行作業車両100が別々の領域を作業する方法がある。どちらを選択するかは、地形や障害物領域Jの位置によって異なり、効率が良いほうを自動で選択するようにしている。ただし、手動で(作業者が)任意に選択することも可能である。
具体的に説明すると、図6において、作業領域HA内に障害物領域Jが存在する場合、作業領域HA内の障害物領域Jの側方に位置し側部余裕地HCに隣接する領域を左側部作業領域HALと右側部作業領域HARとし、残りの障害物領域J以外の枕地HBに隣接する領域を前分断作業領域HAFと後分断作業領域HABとし、左側部作業領域HAL側から自律走行作業車両1と走行作業車両100とにより協調作業を行うものとする。
図8に示すように、左側部作業領域HALが偶数条の経路Rを備える場合、経路Rの長手方向を分断された作業領域HAは、自律走行作業車両1と走行作業車両100の2台で片方の領域ずつ作業を行う。つまり、左側部作業領域HALの作業が終了すると、一方の前分断領域HAF(左側部作業領域HALが例えば4条の場合後分断作業領域HAB)の作業を行い、次に、右側部作業領域HARの作業を行い、次に、他方の後分断作業領域HABの作業を行って終了する。
また、図9に示すように、左側部作業領域HALが奇数条の経路Rを備える場合、経路の長手方向を分断された作業領域HAは、自律走行作業車両1と走行作業車両100の2台がそれぞれ別々の領域の作業を行う。つまり、左側部作業領域HALの作業が終了すると、一方の前分断領域HAL(左側部作業領域HALが例えば3条の場合後分断作業領域HAB)の作業を走行作業車両100が行い、後分断作業領域HABは自律走行作業車両1が行う。次に、右側部作業領域HARを自律走行作業車両1と走行作業車両100とにより作業を行う。なお、進入領域HDを設ける場合は、条数に応じてその条を空けたり、作業せずに空走させたりする。
上記のように、前記制御部130は、前記第1領域において、前記第3領域、第4領域、第5領域、を除いた残りの領域で作業経路Raを生成可能とするので、全ての作業領域HAを順に作業して、作業効率を向上できる。
また、第4領域(障害物枕地JBまたは障害物側部余裕地JC)と第2領域(枕地HBまたは側部余裕地HC)が重複している場合には、両領域を統合するように設定される。例えば、図10に示すように、枕地HBと障害物枕地JBが重複している場合には、枕地HBと障害物枕地JBを統合する。この状態で、制御部130は、障害物枕地JBと障害物側部余裕地JCは枕地HBとみなして経路Rを設定することができ、障害物枕地JBと障害物側部余裕地JCを区別する必要がないため、プログラムの作成上簡略化ができる。
このように、衛星測位システムを利用して自律走行及び作業を可能とする自律走行作業車両1と、該自律走行作業車両1に協調して作業者が操作して作業を行う作業車両100により作業を行う作業システムにおいて、圃場H内を自律走行及び作業可能な経路を生成可能な経路生成装置となる自律走行作業車両1の制御部30、または、該制御部30と通信可能な遠隔操作装置112の制御部130は、前記圃場Hで作業を行う作業経路Raが生成される第1領域と、作業経路Raは生成されないが走行するための走行経路Rbは生成可能とする前記第1領域の周囲に設定される第2領域と、前記圃場H内であって走行が禁止される第3領域と、作業経路Raは生成されないが走行するための走行経路Rbは生成可能とする第3領域の周囲に設定される第4領域とを設定可能とするとともに、第2領域(枕地HBまたは側部余裕地HC)と第4領域(障害物枕地JBまたは障害物側部余裕地JC)とが重複する場合、第4領域を第2領域に含めて(統合して)設定可能とするので、障害物枕地JBと障害物側部余裕地JCの作業処理を考慮する必要がなくなり、経路生成が簡単になり、枕地HBと側部余裕地HCと障害物領域Jの後処理も簡単に行えるようになる。
また、第2領域(枕地HBと側部余裕地HC)と第4領域(障害物枕地JBまたは障害物側部余裕地JC)とが所定幅未満の第6領域HEを隔てて対向している場合に、第4領域および第6領域HEを第2領域に含めて設定可能としている。例えば、図11に示すように、枕地HBに対向して障害物枕地JBが幅Wj離れており、その幅Wjが所定幅T1未満の場合には、障害物枕地JBと枕地HBの間の作業領域HAに生じる第6領域HEを枕地HBに含めて統合し、作業経路Raは設定されず自律走行作業車両1または走行作業車両100とにより作業は行わないように設定される。この第4領域と第2領域の間の第6領域HEの幅は、例えば、作業機による作業長さがトラクタの全長程度であり、頻繁に旋回を繰り返すと却って作業効率を低下させるような距離である。
このように、第2領域と第4領域とが所定幅未満の第6領域HEを隔てて対向している場合に、第4領域および第6領域HEを第2領域に含めて設定可能とするので、第2領域と第4領域の間の狭い第6領域HEを自律走行作業車両1または走行作業車両100とにより旋回を繰り返して作業する必要がなくなり、作業効率を向上できる。また、第4領域が第2領域に統合される領域は、障害物枕地JBと障害物側部余裕地JCとして別の作業として考慮する必要がなくなり、枕地HBと側部余裕地HCと障害物領域Jが一度に処理ができるようになる。
また、圃場H内に障害物400を含む第3領域及び第4領域が複数存在する場合において、第4領域同士が所定幅未満の第7領域HFを隔てて対向している場合に、第7領域HFは何れか一方の第4領域に含めて設定可能される。例えば、図12に示すように、圃場H内に障害物400と障害物401が離れて存在し、第4領域(障害物枕地JBまたは障害物側部余裕地JC)と第4領域(障害物枕地JBまたは障害物側部余裕地JC)との間の幅Wkが所定距離T2未満の場合、第7領域HFは何れか一方の第4領域に含めて統合されるように設定される。なお、幅Wkが所定幅T2未満の場合、第4領域と第4領域が離れている場合も、その一部が重複する場合も含む。このように、第4領域同士が統合されることによって、障害物枕地JBと障害物側部余裕地JCが一体的となり、経路生成及び作業領域HAの作業後の処理が簡単となる。また、圃場H内に障害物400が複数存在し、その一つまたは複数の第4領域が第2領域に対して所定幅T1よりも短い場合には前記同様に統合される。図12に示すように、障害物401の第4領域と第2領域との間に凹部領域が形成される場合には、所定の条件を満たす場合に凹部をなくすように統合することもできる。所定の条件として、例えば、凹部の面積が閾値未満、凹部の横幅が閾値(例えばトラクタの幅)未満、凹部の縦方向の長さが閾値(例えばトラクタの全長×2)未満等である。この場合、経路生成及び作業領域HAの作業後の処理が簡単となる。
このように、前記制御部130は、前記圃場H内に第3領域及び第4領域が複数存在する場合において、第4領域同士が所定幅未満の第7領域HFを隔てて対向している場合に、第7領域HFを何れか一方の第4領域に含めて設定可能とされるので、経路生成を簡単にすることができる。
次に、自律走行作業車両1または走行作業車両100が枕地で旋回するときの長さについて説明する。枕地HBは、トラクタが圃場外周端において作業を行わずに次の作業経路Ra(条)へ移るための旋回領域であり、所定の枕地幅Wbを有する。枕地幅Wbは、圃場Hが矩形の場合、図13に示すように、機体の旋回中心Oから作業機後端までの距離L1と、機体中心Oにおける最小旋回半径(トラクタに対して設定された設定旋回半径)L2と、作業機幅若しくは機体幅の内大きい方の半分の長さL3と、安全余裕幅Lsmとを加えた長さとなる。つまり、枕地幅Wb=L1+L2+L3+Lsmとなる。
また、図14に示すように、圃場Hの形状が変形した四角形で、枕地HBが進行方向に対して角度θ傾斜している場合には、機体の旋回中心Oから作業機後端までの距離L1と、機体中心Oにおける最小旋回半径L2は傾斜方向となるので、傾斜した枕地HBにおける機体の旋回中心Oから作業機後端までの距離L1’は、L1cos(θ−90)=L1sinθとなり、傾斜した枕地HBにおける機体中心Oにおける最小旋回半径L2’は、L2−L2cosθとなる。L3とL4は前記と同じ長さとなる。つまり、枕地幅Wb’=L1’+L2’+L3+Lsm=L1sinθ+(L2−L2cosθ)+L3+L
smとなる。
また、側部余裕地HCの幅Wcをできるだけ狭くして作業領域HAを大きくしたい場合には、図15に示す二回切り返しターンが採用される。この二回切り返しターンにおける側部余裕地幅Wcは、スタート側で、機体の旋回中心Oから作業機後端までの距離L1と、機体中心Oにおける最小旋回半径L2から3/2作業幅W2を減じた長さと、安全余裕幅Lsmとを加えた長さとなる。つまり、Wc=L1+L2−3/2W2+Lsmとなる。終了側では、機体の旋回中心Oから作業機後端までの距離L1と機体中心Oにおける最小旋回半径L2とを加えた長さから3/2作業幅W2を減じた長さと、機体中心Oから機体先端までの長さL5と、安全余裕幅Lsmとを加えた長さとなる。つまり、側部余裕地幅Wc=L1+L2−3/2W2+L5+Lsmとなる。
前記L1、L2、L3、L5の長さはトラクタ設定において、予め、取得されているため、経路生成における外周設定において、安全余裕幅Lsmを入力することで、自動で計算される。枕地幅Wbおよび側部余裕地幅Wcを作業者が手動で設定した場合、その入力値は自動で計算された値と比較され、安全に旋回できるように、長い方が採用される。