JP6557075B2 - シロキサン化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シロキサン化合物の製造方法に関する。
シロキサン化合物とは、Si−O結合(シロキサン結合)を有する化合物であり、従来から、各種工業製品の原料として広く使用されている。そして昨今では、シロキサン結合に起因する耐熱性等の特性から、様々な用途へ適用されている。従来のシロキサン化合物は、例えば、特許文献1、2、非特許文献1等で提案されている。
特許第5193207号公報 特開2012−136449号公報
Y カネコ(Y KANEKO)、外5名、「ケミストリー オブ マテリアルズ(Chemistry of Materials)」、(米国)、2004年、第16巻、p.3417−3423
シロキサン化合物に要求される特性は用途によって異なるため、更にシロキサン化合物の構造のバリエーションを増やすことは、用途に応じて最適な特性のシロキサン化合物の選択の幅を広げる点から好ましい。そこで、本発明者は、シロキサン結合及びアミド結合を含む所定構造のシロキサン化合物が、絶縁性等の点で有効な材料等であることを見いだしたが、このようなシロキサン化合物を得るのに従来のアミド化合物の合成方法を採用しても、安全性や収率の他、副生成物の除去工程が煩雑である等の点で課題があり、工業的に生産性良く製造することは困難であった。
例えば、従来のアミド化合物の合成方法を採用して目的のシロキサン化合物を得ようとする方法としては、例えば、(1)強酸又は強塩基の存在下でアミノ基含有シラン化合物をアミド化反応させる手法、(2)エステル化合物とアミノ基含有シラン化合物とをトランスエステル化反応させる手法、(3)カルボジイミド化合物を縮合剤として用いてアミノ基含有シラン化合物を縮合させる手法等が考えられる。だが、手法(1)では、生成物中に強酸又は強塩基が高濃度で残存することがあるため、生成物の洗浄工程が必要である他、収率や反応率が低く、手法(2)、(3)でも、大量の副生物を除去する必要があるうえ、1回の反応での収率が低く、反応率も高くない。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、シロキサン結合及びアミド結合を含む所定構造のシロキサン化合物を、安全かつ簡便に、しかも高収率で与えることができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、シロキサン結合及びアミド結合を含む所定構造のシロキサン化合物の製造方法について検討するうち、アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物とによるアミド化反応工程を含む製造方法を採用すると、安全かつ簡便に、しかも高収率でシロキサン化合物を得ることができることを見いだした。このような本発明の製造方法では、アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物との反応率が非常に高く、副生物である水による触媒失活もないため、高収率で所望のシロキサン化合物を得ることができる。また、製造時の副生物をほぼアルコールのみとすることができ、アルコールは反応時に乾溜塔で回収することができるため、副生物の除去工程が実質的に不要になる。そのうえ、生成物の洗浄工程も不要である他、反応基質の加水分解等を考慮する必要がないため、反応溶媒の脱水処理や反応装置の乾燥等も不要とすることができる。それゆえ、上述した手法(1)〜(3)に対して極めて有利な手法となり得る。
ここで、本発明者は、所望のシロキサン化合物を得る方法として、(4)反応基質としてアミノ基含有シラン化合物と疎水性酸塩化物とを反応させた後、加水分解・縮合させる手法も提案している。だが、本発明の製造方法は、この手法(4)に比較しても非常に有利である。というのも、本発明の製造方法は、原料コストが低く、原料の安全性や安定性が高いうえ、副生物の除去も容易であり、しかも著しく高い収率でシロキサン化合物を得ることができるためである。
すなわち本発明は、シロキサン結合を有し、かつ下記平均組成式(1):
SiO (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、アミド結合を含む有機基を表す。Yは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、同一又は異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選択される少なくとも1種の基を表し、置換基を有していてもよい。Zは、同一又は異なって、アミド結合を含まない有機基を表す。aは、0でない3以下の数であり、b及びcは、同一又は異なって、0又は3未満の数であり、dは、0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)で表されるシロキサン化合物を製造する方法であって、該製造方法は、アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物とによるアミド化反応工程を含む、シロキサン化合物の製造方法である。
上記アミド化反応工程は、Fe、Al、In、Zr、Co、Ni及びZnからなる群より選択される少なくとも1種を含む金属化合物の存在下で行われ、該金属化合物の使用量は、前記アミノ基含有シラン化合物1モルに対し、0.001〜0.2モルであることが好ましい。これにより、反応がより進行し、シロキサン化合物の製造効率をより一層高めることができる。
上記アミド化反応工程は、アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物との反応工程と、加水分解・縮合工程とを含むことが好ましい。前段の反応工程で生じた副生水を後段の加水分解・縮合工程でのゾルゲル反応に利用することで、製造時の副生物をほぼアルコールのみとすることができ、アルコールは反応時に乾溜塔で回収することができるため、実質的に副生物のろ過回収工程を不要とすることができる。そのため、製造効率をより一層高めることが可能になる。
以下に本発明を詳述する。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態である。
〔製造方法〕
本発明の製造方法は、アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物とによるアミド化反応工程を含む。このようなアミド化反応工程は、アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物との反応工程(単に「反応工程」とも称す)と、加水分解・縮合工程とを含むことが好ましいが、前段の反応工程で生じた副生水を後段の加水分解・縮合工程でのゾルゲル反応に利用することで、製造時の副生物はほぼアルコールのみとなる。アルコールは反応時に乾溜塔で回収することができるため、副生物のろ過回収工程を不要とすることができ、製造効率が良い。
−反応工程−
上記反応工程では、アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物とを用いるが、これら反応原料は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記アミノ基含有シラン化合物は、アミノ基とアルコキシシリル基とを有する化合物であることが好ましい。例えば、ケイ素原子に、(1)炭素数1〜6のアルキレン基を有する構造、(2)2級アミノ基を有する構造、又は、(3)3級アミノ基を有する構造、のいずれかの構造が結合し、該構造の、ケイ素原子とは反対側の末端に、アミノ基が結合した構造を有するものが好ましい。上記(1)〜(3)の中でも、(1)炭素数1〜6のアルキレン基を有する構造がより好ましい。
上記アミノ基含有シラン化合物として更に好ましくは、例えば、下記式(2):
Figure 0006557075
(式中、Rは、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基があってもよい。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表される化合物である。
上記式(2)中、xとzとの合計は、0以上10以下の整数であるが、3〜7であることが好ましく、より好ましくは3〜5、更に好ましくは3である。yは0であることが好ましい。また、Rとしては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
上記アミノ基含有シラン化合物として特に好ましくは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリ(イソプロポキシ)シラン、3−アミノプロピルトリブトキシシランである。
上記有機カルボン酸化合物とは、1分子中にカルボキシル基(COOH)を1個又は2個以上有する有機化合物であり、特に限定されるものではない。好ましくは、疎水基とカルボキシル基とを有する化合物であり、より好ましくは、R−C(=O)−OH(Rは、疎水基を表す)で表される化合物である。
上記Rで表される疎水基は、得られるシロキサン化合物に求められる物性(例えば、層状無機化合物や有機樹脂との相溶性等)を考慮して選択することが好適である。例えば、炭素数1〜30の飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基)、炭素数3〜30の飽和脂環式炭化水素基(シクロアルキル基)、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基等が好ましい。より好ましくは、炭素数3〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基であり、直鎖又は分岐鎖アルキル基の中でも直鎖アルキル基が好適である。中でも、耐熱性が特に求められる用途に用いる場合は、疎水基(R)は芳香族炭化水素基であることが特に好ましい。芳香族炭化水素基の中でも好ましくは、フェニル基である。
上記疎水基はまた、置換基を有していてもよい。置換基としては特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基等が挙げられる。
上記反応工程において、有機カルボン酸化合物の使用量(添加量)は、当該化合物が有するカルボキシル基の量が、アミノ基含有シラン化合物が有するアミノ基1モルに対し、0.5〜3モルとなるように設定することが好ましい。より好ましくは0.8〜1.2モル、更に好ましくは1モルである。
上記反応工程では、反応温度を室温〜250℃として行うことが好ましい。より好ましくは室温〜200℃である。反応時間としては、反応温度、反応組成によって変わるが、3分〜24時間が好ましい
上記反応工程は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。
溶媒としては、有機溶媒を1種又は2種以上を用いることが好適である。具体的には、例えば、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒等が挙げられるが、この中でも、アミド系溶媒やエーテル系溶媒が好ましい。
アミド系溶媒としては特に限定されないが、例えば、N−メチルピロリジノン、N,N’−ジメチルアセタミド、N,N’−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジフェニルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジフェニルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等が挙げられる。
−加水分解・縮合工程−
上記加水分解・縮合工程は、上記反応工程で得られた生成物中のアルコキシシリル基を加水分解反応させ、その後、縮合反応させる工程であることが好ましい。加水分解反応により得られたシラノール基(Si(OH))の縮合反応により、所望のシロキサン化合物を好適に得ることができる。
上記加水分解・縮合工程では、水を用いることが好ましい。この際、上記反応工程で副生した水を用いることが好ましいが、必要に応じて水を添加してもよく、添加形態は特に限定されず、滴下してもよいし、一括投入してもよい。
なお、水分濃度の管理は不要であるが、例えば、上記反応工程による生成物中の固形分100質量部に対し、10〜2000質量部の水を用いることが好ましい。より好ましくは10〜500質量部、更に好ましくは20〜400質量部である。
上記加水分解・縮合工程ではまた、触媒を1種又は2種以上用いることが好ましい。
触媒としては、Fe、Al、In、Zr、Co、Ni及びZnからなる群より選択される少なくとも1種を含む金属化合物が好適である。すなわち上記製造方法は、Fe、Al、In、Zr、Co、Ni及びZnからなる群より選択される少なくとも1種を含む金属化合物の存在下で行うことが好適である。これにより、反応がより進行し、シロキサン化合物の製造効率をより一層高めることができる。
上記金属化合物は、Fe、Al、In、Zr、Co、Ni及びZnからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含むものであれば特に限定されず、例えば、これらの金属の、ハロゲン化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機カルボン酸塩等が挙げられる。中でも、塩化物と有機カルボン酸塩が好適である。なお、金属化合物は1種又は2種以上を使用することができる。
上記金属化合物の使用量(存在量)は、上記反応工程に供されるアミノ基含有シラン化合物1モルに対し、0.001〜0.2モルであることが好ましい。これによって、金属化合物に由来する作用効果をより充分に発揮することができる。より好ましくは0.002モル以上、更に好ましくは0.003モル以上であり、また、より好ましくは0.15モル以下、更に好ましくは0.1モル以下、特に好ましくは0.05モル以下である。
上記加水分解・縮合工程における反応温度は、室温〜200℃であることが好ましい。より好ましくは室温〜160℃であり、更に好ましくは、副生物としてアルコールが生じる点から、アルコール、水及び溶媒の共沸還流下で保持することである。
上記加水分解・縮合工程は、常圧下、加圧下、減圧下のいずれで行ってよいが、副生アルコールを効率よく反応系外へ留去することで反応が進行しやすい点で、常圧以下で行うことが好ましい。また、反応時間としては、反応温度、反応組成によって変わるが、2〜48時間であることが好適である。
上記アミド化反応工程の一例として、有機カルボン酸化合物として安息香酸を用い、アミノ基含有シラン化合物として3−アミノプロピルトリエトキシシランを用いた例を下記式(3)に示す。
Figure 0006557075
〔生成物〕
上記製造方法は、シロキサン結合(Si−O結合)を有し、かつ上記平均組成式(1)で表される化合物を製造する方法である。このようなシロキサン化合物が有するシロキサン骨格(シロキサン結合を必須とする主鎖骨格)は、(SiOと表すこともできる。シロキサン化合物における(SiO以外の構造は、X、Y及びZであり、これらは主鎖骨格のケイ素原子に結合することとなる。
上記シロキサン化合物はまた、ポリシルセスキオキサンであることが好ましい。
上記シロキサン骨格は、例えば、鎖状(直鎖状又は分岐状)、ラダー状、網状、環状、籠状、キュービック状等であることが好ましい。中でも、シロキサン化合物が少量であっても効果が発揮されやすい観点から、ラダー状、網状、又は、籠状であることが好ましい。より好ましくは、ラダー状又は籠状である。なお、本明細書中、籠状構造とは、不完全型籠状構造も含むものとする。
X、Y及びZは、「鎖」の形態となった繰り返し単位に含まれてもよく、含まれていなくてもよい。例えば、Xは、側鎖として1分子に1つ以上含まれていればよい。
上記(SiOにおいて、nは重合度を表す。重合度は、主鎖骨格の重合度を表すが、アミド結合を有する有機基Xは、必ずしもn個存在していなくてもよい。言い換えれば、(SiOの1つの単位に必ず1つのアミド結合を有する有機基Xが存在していなくてもよい。また、アミド結合を有する有機基Xは、1分子中に1つ以上含まれていればよいが、複数含まれる場合、1つのケイ素原子に2以上のアミド結合を有する有機基が結合していてもよい。
上記主鎖骨格(SiOにおいて、mは、1以上、2未満の数であることが好ましい。より好ましくは1.5〜1.8である。nは重合度を表し、1〜5000であることが好ましい。より好ましくは1〜2000、更に好ましくは1〜1000であり、特に好ましくは1〜200である。
ここで、例えば、nが2である場合のシロキサン化合物としては、ケイ素原子にアミド結合を有する有機基(X)が少なくとも1個結合してなる構成単位(「構成単位(I)」とも称す)が2つ含まれる形態と、該構成単位(I)が1つしか含まれない形態が挙げられる。具体的には、下記式:
Figure 0006557075
(式中、AはY又はZであり、X、Y及びZは、各々上記と同様である。)等が好適であり、同一の構成単位(I)を2つ含むホモポリマーの形態と、異なる構成単位(I)を2つ含むホモポリマーの形態と、当該構成単位(I)を1つしか含まないコポリマーの形態(共縮合構造の形態)がある。
上記シロキサン化合物において、シロキサン骨格の占める割合は、シロキサン化合物100質量%中、10〜80質量%であることが好ましい。より好ましくは15〜70質量%、更に好ましくは20〜50質量%である。
上記平均組成式(1)において、Xは、アミド結合を含む有機基を表す。この有機基として好ましくは、アミド結合と、疎水基と、有機骨格とを含む基である。中でも、「−N(H)−C(=O)−R(Rは、疎水基を表す)」で表される基と、有機骨格とを含む基であることがより好ましい。Rで表される疎水基については上述したとおりである。
上記有機骨格としては、例えば、(1)炭素数1〜6の(ポリ)アルキレン基を有する構造、(2)2級アミノ基を有する構造、又は、(3)3級アミノ基を有する構造、のいずれか1以上の構造が好ましい。特に上記Xは、これらの有機骨格のいずれか1以上の構造の末端に、アミド結合を介して疎水基を有する構造であることがより好ましい。中でも、シロキサン化合物の熱的安定性がより高まる点で、炭素数1〜6の(ポリ)アルキレン基の末端に、アミド結合を介して疎水基を有する構造が更に好ましい。
なお、上記シロキサン化合物が籠状形状をとる場合、有機骨格層がシェル部分、無機骨格層がコア部分となる形態であることが特に好ましい。
上記Xとして特に好ましくは、下記一般式(4):
Figure 0006557075
(式中、Rは、上述した疎水基を表す。x及びzは、同一又は異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表される構造(基)である。式(4)中、x、y及びzはすべて上記式(2)における各記号と同じであり、yは0であることが好ましく、x及びzの合計は3であることが好ましい。
Xの係数aは、0でない3以下の数である。すなわち0<a≦3を満たす数である。このaは、Xで表される有機基が占める割合が、後述する好ましい範囲になるよう設定することが好適である。例えば、aは0.2以上であることが好ましく、これにより、耐熱性、耐加水分解性等がより向上するとともに、例えば、層状無機化合物と併用する場合に層状無機化合物の分散性がより高められ、絶縁性やガスバリア性等により優れた組成物が得られる。より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上であり、また、より好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下であり、最も好ましくは1である。
上記シロキサン化合物において、アミド基導入率は、20%以上であることが好ましい。これにより、耐熱性、耐加水分解性等がより向上するとともに、例えば、層状無機化合物と併用する場合に層状無機化合物の分散性がより高められ、絶縁性やガスバリア性等により優れた組成物が得られる。より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であり、また、好ましくは300%以下、より好ましくは200%以下、更に好ましくは150%以下であり、最も好ましくは100%以下である。
本明細書中、アミド基導入率は、後述する実施例で述べるとおり、ガスクロマトグラフィ(GC)を用いて反応基質の消費量を追跡することで算出することができる。
Yは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。中でも、水酸基又はOR基が好適である。より好ましくはOR基であり、更に好ましくは、Rが炭素数1〜8のアルキル基を表す場合のOR基である。
Zは、アミド結合を含まない有機基を表す。具体的には、アルキル基;アリール基、アラルキル基等の芳香族残基;不飽和脂肪族残基;等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。好ましくは、置換基を有していてもよい、炭素数1〜8のアルキル基、又は、芳香族残基である。
Yの係数b及びZの係数cは、それぞれ、0又は3未満の数である。すなわち0≦b<3、0≦c<3を満たす数である。酸素原子Oの係数dは、0でない2未満の数である。すなわち0<d<2を満たす数である。これらの係数は、Xの係数aが上述した好ましい範囲になるように設定すればよく、特に限定されるものではない。
上記シロキサン化合物はまた、下記計算式(α)で求められるシラノール基量が、0.1以下であることが好ましい。
[Si−OH結合モル数]/[Si−O結合モル数] (α)
これにより、上記組成物が著しく低粘度化する他、上記組成物やそれを用いて得た硬化物が耐吸湿性(低吸湿性)に極めて優れたものとなる。計算式(α)で求められるシラノール基量は、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.01以下である。特に好ましくは、上記シロキサン化合物が残存シラノール基を有さないことである。
ここで、[Si−OH結合モル数]とは、SiとOHとの結合数をモル数で表す。例えば、1モルのSi原子のそれぞれに2つのOH基が結合している場合には、[Si−OH結合モル数]は2モルとなる。Si−O結合モル数についても同様に数えるものとする。
上記シロキサン化合物として特に好ましくは、上述したように、籠状又はラダー状のシロキサン骨格(ポリシロキサン骨格)を有することである。ラダー状のシロキサン骨格(ポリシロキサン骨格)を有する場合、耐熱性により優れたものとなる。また、籠状のシロキサン骨格(ポリシロキサン骨格)を有する場合、耐熱性や低吸湿性により優れるとともに、粘度が低減されたものとなる。
ここで、ラダー状のシロキサン骨格とは、シロキサン結合(Si−O結合)からなる直鎖状のシロキサン鎖を2つ有し、1の直鎖状のシロキサン鎖を構成するケイ素原子と他の直鎖状のシロキサン鎖を構成するケイ素原子とが1つの酸素原子を介して結合することにより、当該2つの直鎖状のシロキサン鎖が、平行に位置している骨格を意味する。籠状のシロキサン骨格とは、シロキサン結合(Si−O結合)からなるシロキサン鎖が立体的に結合された骨格を意味し、例えば、〔RSiO1.5(nは2の倍数で、かつ4以上の整数である。Rは後述する。)で表すことができる。
以下に、これらのシロキサン化合物について、更に説明する。
1)籠状ポリシロキサン化合物
籠状ポリシロキサン化合物として好ましくは、下記式(1−a)〜(1−d)で表される化合物等である。式中、Rは、同一又は異なって、上記平均組成式(1)中のX、Y又はZを表し、Rのうち少なくとも1つは、上記平均組成式(1)中のXである。
Figure 0006557075
上記籠状ポリシロキサン化合物の重量平均分子量は、300以上、5000以下であることが好適である。これにより、例えば、層状無機化合物と併用する場合に層状無機化合物をより充分に分散することができるため、ナノコンポジット材用途等の各種用途により好適なものとなる。重量平均分子量の下限としてより好ましくは500以上、更に好ましくは1000以上、特に好ましくは1300以上である。また、重量平均分子量の上限としてより好ましくは5000未満、更に好ましくは4000以下、特に好ましくは3000以下、最も好ましくは2000以下である。
本明細書中、重量平均分子量及び数平均分子量は、後述する測定条件下、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
また各ポリシロキサン化合物の構造は、例えば、H−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MS、FT−IRを測定して同定することができる。
2)ラダー状ポリシロキサン化合物
ラダー状ポリシロキサン化合物として好ましくは、下記一般式(1−e)で表される化合物である。式中、Rは、同一又は異なって、上記平均組成式(1)中のX、Y又はZを表し、Rのうち少なくとも1つは、上記平均組成式(1)中のXである。Rは、同一又は異なって、Y又はZを表す。
Figure 0006557075
上記一般式(1−e)中、重合度nは、10〜1000であることが好ましい。重合度がこのような好ましい範囲にあれば、上記ラダー状ポリシロキサン化合物は耐熱性により優れたものとなる。より好ましくは15〜800、更に好ましくは20〜500である。
上記ラダー状ポリシロキサン化合物の重量平均分子量は、上述した籠状ポリシロキサン化合物の重量平均分子量よりも大きいことが好ましい。具体的には、5000以上であることが好ましく、より好ましくは6000以上、更に好ましくは8000以上である。また、重量平均分子量の上限は20万以下であることが好ましい。
〔用途〕
本発明の製造方法により得られるシロキサン化合物は、層状無機化合物の分散性や耐熱性、耐圧性、機械的・化学的安定性、熱伝導性等に優れ、各種材料に優れた特性を付与することができる他、部分放電現象による絶縁破壊や絶縁劣化の抑制に非常に有効な材料となり得る。特に上記シロキサン化合物と層状無機化合物とを併用した場合には、絶縁性やガスバリア性等に優れる組成物を与えることができ、この組成物は、部分放電現象による絶縁破壊や絶縁劣化の抑制に有効なものとなる。また、上記シロキサン化合物は、層状無機化合物の分散剤として有用である。
上記シロキサン化合物は、例えば、絶縁材料やガスバリア材等の用途に好適に使用することができる。その他、実装用途、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途等の各種用途の他、機械部品材料、電気・電子部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成形材料、塗料や接着剤の材料等にも好適に使用できる。
本発明の製造方法は、上述の構成よりなるので、シロキサン結合及びアミド結合を含む所定構造のシロキサン化合物を、安全かつ簡便に、しかも高収率で与えることができ、工業的に極めて有用な手法である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。なお、IR、NMRの分析装置、分子量の測定条件(GPC測定条件)を以下に示す。アミド基の導入率は、ガスクロマトグラフィを用いて反応基質の消費量を追跡し、以下の運転条件の下で算出した。
<IR、NMR分析装置>
FT−IR:Thermo-Nicolet社製、NEXUS-670
H−NMR:Varian Instruments社製、Unity Plus 400 MHz NMR system
13C−NMR:Varian Instruments社製、Unity Plus 400 MHz NMR system
<GPC測定条件>
計測機器:東ソー社製「HLC−8220GPC」
カラム:Shodex GF−7MHQを2本、
展開液:10mMol/L LiBr添加N,N’−ジメチルホルムアミド
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
<GC(ガスクロマトグラフィ)測定条件>
計測機器:島津製作所社製、製品名「GC−2010」
カラム:Agilent Technologies社製キャピラリーカラム、製品名「DB−1」、カラム長30m、カラム径0.25mm、フィルム厚0.25μm
実施例1
窒素導入管、温度センサ、撹拌翼、コンデンサーを取り付けた200mLの4つ口フラスコに3−アミノプロピルトリエトキシシラン88.6g、安息香酸48.9g及び蒸留処理を行っていないN,N’−ジメチルアセトアミド37.0g、蒸留処理を行っていないトルエン9.3g、酢酸亜鉛2水和物0.55gを投入して撹拌しながら均一な溶液にしたのち、オイルバスで加熱しながら5時間かけて内温を160℃まで昇温し3時間保持したのち室温まで冷却した。昇温途中の120℃到達時からコンデンサーを介してエタノールを回収し始め、160℃で3時間保持し終わったころには35gのエタノールを回収した。
反応液を一旦110℃まで冷却した後、14.4gのイオン交換水を投入した。反応液を110℃で2時間乾溜状態で保持した後、2時間かけて再度160℃まで昇温し、3時間保持した。保持し終わったころにはエタノール、水、トルエンからなる混合液38gをコンデンサーを介して回収した。得られた反応液を真空オーブンで乾燥させてN,N’−ジメチルアセトアミドを除去して化合物Aを得た。
収率は98%で、外観は白色固体であり、FT−IR、H−NMR、13C−NMR、GCによる分析結果からポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであり、ベンズアミド基の導入率は98.2%であった。
GPC測定では、数平均分子量Mnは4200、重量平均分子量Mwは7340、分子量分布Mw/Mnは1.75であった。
実施例2
実施例1の酢酸亜鉛2水和物の代わりに鉄(III)アセチルアセトナートを用いて、それ以外は実施例1と同等にして化合物Bを得た。
収率は98%で、外観は白色固体であり、FT−IR、H−NMR、13C−NMRによる分析結果からポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであり、ベンズアミド基の導入率は97.6%であった。
GPC測定では、数平均分子量Mnは4150、重量平均分子量Mwは7670、分子量分布Mw/Mnは1.85であった。
実施例3
実施例1の酢酸亜鉛2水和物の代わりに塩化アルミニウム(III)を用いて、それ以外は実施例1と同等にして化合物Cを得た。
収率は98%で、外観は白色固体であり、FT−IR、H−NMR、13C−NMRによる分析結果からポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであり、ベンズアミド基の導入率は95.3%であった。
GPC測定では、数平均分子量Mnは4330、重量平均分子量Mwは7200、分子量分布Mw/Mnは1.66であった。
実施例4
実施例1の酢酸亜鉛2水和物の代わりにインジウム(III)アセチルアセトナートを用いて、それ以外は実施例1と同等にして化合物Dを得た。
収率は98%で外観は白色固体であり、FT−IR、H−NMR、13C−NMRによる分析結果からポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであり、ベンズアミド基の導入率は96.1%であった。
GPC測定では、数平均分子量Mnは4490、重量平均分子量Mwは7810、分子量分布Mw/Mnは1.74であった。
実施例5
実施例1の酢酸亜鉛2水和物の代わりにジルコニウム(IV)アセチルアセトナートを用いて、それ以外は実施例1と同等にして化合物Eを得た。
収率は98%で、外観は白色固体であり、FT−IR、H−NMR、13C−NMRによる分析結果からポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであり、ベンズアミド基の導入率は94.7%であった。
GPC測定では、数平均分子量Mnは5400、重量平均分子量Mwは8310、分子量分布Mw/Mnは1.54であった。
実施例6
実施例1の酢酸亜鉛2水和物の代わりにステアリン酸コバルト(II)を用いて、それ以外は実施例1と同等にして化合物Fを得た。
収率は98%で、外観は白色固体であり、FT−IR、H−NMR、13C−NMRによる分析結果からポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであり、ベンズアミド基の導入率は95.5%であった。
GPC測定では、数平均分子量Mnは4150、重量平均分子量Mwは7300、分子量分布Mw/Mnは1.76であった。
実施例7
実施例1の酢酸亜鉛2水和物の代わりにp−トルエンスルホン酸ニッケル(II)六水和物を用いて、それ以外は実施例1と同等にして化合物Gを得た。
収率は98%で、外観は白色固体であり、FT−IR、H−NMR、13C−NMRによる分析結果からポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであり、ベンズアミド基の導入率は97.9%であった。
GPC測定では、数平均分子量Mnは5270、重量平均分子量Mwは8160、分子量分布Mw/Mnは1.55であった。
実施例8
実施例1のN,N’−ジメチルアセトアミドの代わりにプロピレングリコールモノプロピルエーテルを用いて、それ以外は実施例1と同等にして化合物Hを得た。
収率は98%で、外観は白色固体であり、FT−IR、H−NMR、13C−NMRによる分析結果からポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであり、ベンズアミド基の導入率は98.6%であった。
GPC測定では、数平均分子量Mnは12900、重量平均分子量Mwは56600、分子量分布Mw/Mnは4.37であった。
比較合成例1
窒素導入管、温度センサ、撹拌翼、コンデンサーを取り付けた200mLの4つ口フラスコに3−アミノプロピルトリエトキシシラン33.21g、トリエチルアミン15.18g及び事前に蒸留して水分を除去したN,N’−ジメチルアセトアミド50gを投入して撹拌しながら均一な溶液にし、オイルバスに浸けて室温に保持した。次に、ガラス製バイアルにベンゾイルクロリド21.09gと事前に蒸留して水分を除去したN,N’−ジメチルアセトアミド26gを投入して均一な溶液にしたのち、4つ口フラスコ中に撹拌を続けながら10分間かけて滴下投入した。フラスコ内部は滴下投入開始直後から白濁し始め、内温も60℃まで上昇した。滴下終了後、オイルバスで加熱しながら内温を80℃まで昇温し6時間保持したのち室温まで冷却した。
フラスコ内容物はスラリー状になっており、ろ過することにより白色沈殿物を除去し、白色沈殿物を更にトルエン10gで洗浄及びろ過する工程を2回繰り返し、濾液を回収した。濾液を再び4つ口フラスコに戻してイオン交換水27.03g及び2−エチルヘキサン酸亜鉛0.264gを加え、オイルバスで加熱しながら撹拌を続けた。87℃に到達したところで副生エタノールと水による還流が開始し、そのまま2時間保持したのちオイルバスで更に加熱を加えて副生エタノール、過剰水及びトルエンをコンデンサーを通じて回収しながら6時間かけて160℃に到達、更に3時間保持した。得られた反応液を真空オーブンで乾燥させてジグライムを除去して化合物Iを得た。
収率は72.0%で、外観は白色固体であり、FT−IR、H−NMR、13C−NMRによる分析結果からポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであり、ベンズアミド基の導入率は68%であった。
GPC測定では、数平均分子量Mnは3800、重量平均分子量Mwは6950、分子量分布Mw/Mnは1.85であった。
比較合成例2
比較合成例1で用いたN,N’−ジメチルアセトアミドを事前に蒸留せずに、購入したままで使用したところ、160℃に到達した時点で反応液がゲル化した。
比較合成例3
比較合成例1で用いた2−エチルヘキサン酸亜鉛の代わりに鉄(III)アセチルアセトナートを用いて、それ以外は実施例1と同等にして、化合物Jを得た。
収率は65.3%で、外観は白色固体であり、FT−IR、H−NMR、13C−NMRによる分析結果からポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンであり、ベンズアミド基の導入率は72%であった。
GPC測定では、数平均分子量Mnは3540、重量平均分子量Mwは6770、分子量分布Mw/Mnは1.91であった。
比較合成例4
比較合成例1で用いたN,N’−ジメチルアセトアミドの代わりにプロピレングリコールモノプロピルエーテルを蒸留せずに用いたところ、160℃に到達した時点で反応液がゲル化した。
以上より、本発明の製造方法は、シロキサン化合物を、安全かつ簡便に、しかも高収率で与えることができることを確認した。

Claims (3)

  1. シロキサン結合を有し、かつ下記平均組成式(1):
    SiO (1)
    (式中、Xは、同一又は異なって、アミド結合を含む有機基を表し、該アミド結合を含む有機基の少なくとも一部は、−N(H)−C(=O)−R (R は、炭素数1〜30の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の飽和脂環式炭化水素基、又は、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を表す。)で表される基を含む有機基である。Yは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、同一又は異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選択される少なくとも1種の基を表し、置換基を有していてもよい。Zは、同一又は異なって、アミド結合を含まない有機基を表す。aは、0でない3以下の数であり、b及びcは、同一又は異なって、0又は3未満の数であり、dは、0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)で表されるシロキサン化合物を製造する方法であって、
    該製造方法は、アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物とによるアミド化反応工程を含み、
    該有機カルボン酸化合物は、R −C(=O)−OH(R は、炭素数1〜30の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の飽和脂環式炭化水素基、又は、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を表す。)で表される化合物である
    ことを特徴とするシロキサン化合物の製造方法。
  2. 前記アミド化反応工程は、Fe、Al、In、Zr、Co、Ni及びZnからなる群より選択される少なくとも1種を含む金属化合物の存在下で行われ、
    該金属化合物の使用量は、前記アミノ基含有シラン化合物1モルに対し、0.001〜0.2モルであることを特徴とする請求項1に記載のシロキサン化合物の製造方法。
  3. 前記アミド化反応工程は、アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物との反応工程と、加水分解・縮合工程とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のシロキサン化合物の製造方法。
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