以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。同一部材は同一符号で示される。
本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置の一つの実施の形態である第一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
図1〜図8において、符号10Aは本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置の第一実施形態を示す。自動車用アクセル誤操作防止装置10Aは、少なくともブレーキペダル12の上に取り付けられ、ブレーキレバー26と連動せしめられるブレーキペダル可動踏板14と、前記ブレーキペダル可動踏板14に連結されてなり、アクセルレバー16への押圧力の伝達状態と非伝達状態とに変化可能な押圧力伝達部材18を備え、前記押圧力伝達部材18を介してアクセルレバー16と連動可能に構成されたアクセルレバー可動踏部20と、を有している。前記アクセルレバー可動踏部20は、前記ブレーキペダル可動踏板14の表面よりも突出しており且つ上下動可能に設けられている。前記アクセルレバー可動踏部20は、運転者が運転席に座ると前記ブレーキペダル可動踏板14の中心よりも少なくともアクセルレバー16側(図示例では右側)に位置してなるように構成されている。
そして、自動車用アクセル誤操作防止装置10Aは、前記ブレーキペダル可動踏板14が踏まれると前記ブレーキペダル可動踏板14の押圧力がブレーキレバー26に伝わることでブレーキ動作が行われ、前記アクセルレバー可動踏部20が踏まれると前記押圧力伝達部材18を介して前記アクセルレバー可動踏部20の押圧力がアクセルレバー16に伝わることでアクセル動作が行われ、前記ブレーキペダル可動踏板14が踏み込まれると、前記押圧力伝達部材18が非伝達状態となって、アクセル動作が遮断されるように構成されている。前記アクセルレバー可動踏部20は、前記ブレーキペダル可動踏板と並置して連結された板状のアクセルレバー可動踏部支持部材23に形成されている。図示例では、アクセルレバー可動踏部支持部材23に山状突起25を形成し、踏み易くした例を示した。
従来のブレーキペダルとアクセルペダルの構造では、ブレーキペダルとアクセルペダルとが互いに独立して位置しており、アクセル操作とブレーキ操作とが互いに独立した動作となっていることが、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違い等の誤操作の原因と考えられる。
このため、本発明の第一実施形態では、ブレーキ操作とアクセル操作とを足を踏み替えることなく同一の踏板上で行うことができるようにした。前記ブレーキペダル可動踏板14とアクセルレバー可動踏部支持部材23は並置して連結されているため、連結はされているものの同一の踏板とみなすことができる。また、本発明の第一実施形態では、アクセル動作中に足を踏み替えることなく、そのままブレーキペダルを踏んでブレーキ動作が行われても、ブレーキがかかって確実に制動されるように構成されている。
また、ブレーキペダル12にはブレーキレバー26が取り付けられている(図1)。なお、アクセルレバー16及びブレーキレバー26については、自動車の運転席に設けられている通常のアクセルレバー16及びブレーキレバー26である。なお、図2〜図4では、ブレーキペダル12及びブレーキレバー26の図示を省略してある。
図示例では、前記アクセルレバー可動踏部20としては、前記ブレーキペダル可動踏板14と並置して連結されたアクセルレバー可動踏部支持部材23に形成された例を示した。
また、アクセルレバー可動踏部支持部材23の側端部には、靴当て板70が立設せしめられており、運転者の靴が滑ってアクセルレバー可動踏部支持部材23から外れるのを防止する作用を果たし、アクセルレバー可動踏部20を確実に踏み込むことができる。
また、前記ブレーキペダル可動踏板14は、図1によく示される如く、ブレーキペダル12上にブレーキペダルセット下板15を介して取り付けられている。なお、ブレーキペダル可動踏板14に形成された孔13は主として軽量化のためである。
自動車用アクセル誤操作防止装置10Aの分解斜視図を図2によく示す。図2によく示されるように、前記アクセルレバー可動踏部支持部材23には、前記アクセルレバー16を押圧するための棒状の押圧被係合部材28が取り付けられ、前記押圧被係合部材28が押圧力伝達部材18とされている。また、アクセルレバー16にはアクセルペダル94が取り付けられており、アクセルペダル94が係合部材96とされている。
前記アクセルレバー可動踏部支持部材23の基部32は、湾曲せしめられて略S字状の段部34を形成している。そして、運転席の床面にはペダルベース部24が取り付けられており、前記アクセルレバー可動踏部支持部材23の基部32は、前記アクセルレバー可動踏部支持部材23の基部32とペダルベース部24とを繋ぐ連結部材36によって連結されている。連結部材36は、図示例では、一対のペダルピンプレートの例を示した。連結部材36には、上側ピン38と下側ピン40とが取り付けられており、前記上側ピン38及びと下側ピン40とのそれぞれを回動支点として、回動可能に構成されている。
すなわち、前記連結部材36には前記アクセルレバー可動踏部支持部材23を前記アクセルレバー16の押圧方向に傾倒可能とする回動支点である上側ピン38による第一の回動支点と前記アクセルレバー可動踏部支持部材23を前記ブレーキレバー26の押圧方向に傾倒可能とする回動支点である下側ピン40による第二の回動支点と、が備えられている。
また、図2によく示す如く、第一可動プレート44と第二可動プレート46とは、可動プレートピン48で接続されている。可動プレートピン48の第二可動プレート46側の端部は三日月状端部50とされており、また、その第二可動プレート46の取り付け孔も三日月状とされており、嵌合せしめることで、可動プレートピン48の第二可動プレート46側の三日月状端部50は、第二可動プレート46に固定されている。
図2によく示す如く、可動プレートピン48の第一可動プレート44側の端部は円柱状端部52とされているため、回転可能とされている。また、第一可動プレート44には、ブレーキペダル可動踏板ピン54も回転可能に接続されており、ブレーキペダル可動踏板14の側面に形成された取り付け孔42に回転可能に取り付けられる。
図1及び図2に示される如く、アクセルレバー可動踏部支持部材23の下面には取り付け孔56が形成されており、可動プレートピン48に回動可能に取り付けられる。
第二可動プレート46の先端部にはローラピン58が接続されており、前記ローラピン58の外周面にはローラ60が回転可能に取り付けられている。前記ローラピン58とローラ60によって押圧被係合部材28が形成されており、押圧力伝達部材18とされている。
ブレーキペダル可動踏板14の突起状端部62には、アクセルレバー可動踏部支持部材踏み過ぎ防止部材64が取り付けられており、アクセルレバー可動踏部支持部材23の下面と所定の距離を空けて位置せしめられる。これにより、アクセルレバー可動踏部支持部材23は前記アクセルレバー可動踏部支持部材踏み過ぎ防止部材64に当たって一定以上は踏み込めない構造となっているため、前記アクセルレバー可動踏部支持部材23を踏み込み過ぎてしまうことがない。
また、ペダルベース部24には、平面視コ字状のストッパ66が連結部材36の側面に対向して設けられており、連結部材36が傾斜し過ぎるとストッパ66に当たってさらに傾斜するのを防止する作用がある。
本発明の自動車用アクセル誤操作防止装置10Aは、ブレーキペダル12の位置よりもアクセルペダル94の位置の方が低い位置に設置されてなる自動車に取り付けるのが好適である。
このように構成された自動車用アクセル誤操作防止装置10Aを運転する場合を示す。運転する場合には運転者の靴Fは、図4に示すように、ブレーキペダル可動踏板14及びアクセルレバー可動踏部20に跨って靴底が置かれることとなる。
図5に、自動車用アクセル誤操作防止装置10Aの初期状態(通常状態)を示す。図5に示す初期状態では、ブレーキペダル可動踏板14又はアクセルレバー可動踏部20のいずれも踏み込まれていない。初期状態ではアクセルペダル94の上に押圧力伝達部材18である押圧被係合部材28が載置されており、係合状態となっている。これにより、アクセルレバー可動踏部20を踏み込むと押圧力伝達部材18を介してアクセルレバー16が連動してアクセル動作が行われる。
前記連結部材36には前記アクセルレバー可動踏部支持部材23を前記アクセルレバー16の押圧方向に傾倒可能とする回動支点である上側ピン38による第一の回動支点と前記アクセルレバー可動踏部支持部材23を前記ブレーキレバー26の押圧方向に傾倒可能とする回動支点である下側ピン40による第二の回動支点と、があるが、図5では、図によく示される如く、連結部材36は、上端がストッパ66から離れる方向に少し傾斜している。
図6に、図5の初期状態から、アクセルレバー可動踏部20を30mm踏み込んだ状態を示す。アクセルレバー可動踏部20が踏み込まれているので押圧被係合部材28が下方に変位している。連結部材36は、上端がストッパ66から離れる方向に傾斜したまま、上側ピン38による第一の回動支点を主な支点として、アクセルレバー可動踏部20が踏み込まれて押圧被係合部材28が下方に変位している。アクセルレバー可動踏部20を踏み込んだ分、押圧力伝達部材18を介してアクセルレバー16が連動してアクセル動作が行われる。
図6では、図によく示される如く、上側ピン38による第一の回動支点を主な支点として、押圧力伝達部材18である押圧被係合部材28が少し下方に変位している。つまり、連結部材36は、上端がストッパ66から離れる方向に傾斜したまま、上側ピン38による第一の回動支点を主な支点として、アクセルレバー可動踏部20が踏み込まれて押圧被係合部材28が少し下方に変位している。これにより、アクセルレバー可動踏部20を踏み込んだ分、押圧力伝達部材18を介してアクセルレバー16が連動してアクセル動作が行われる。
図7に、図5の初期状態から、ブレーキペダル可動踏板14を40mm踏み込んだ状態を示す。ブレーキペダル可動踏板14を40mm踏み込むと、ブレーキレバー26の押圧方向に傾倒可能とする回動支点である下側ピン40による第二の回動支点を主な支点として、アクセルレバー可動踏部20が踏み込まれて押圧力伝達部材18である押圧被係合部材28は、アクセルペダル94から離れる方向へと変位せしめられる。なお、連結部材36は、上端がストッパ66に近づく方向に傾斜する。このため、押圧被係合部材28はアクセルペダル94から離れてしまい、押圧力は発生しない。すなわち、前記押圧力伝達部材18が係合部材であるアクセルペダル94と非係合の状態に変位する。前記押圧力伝達部材18が係合部材であるアクセルペダル94と非係合の状態では、アクセルレバー可動踏部20を踏み込んでも前記アクセルレバー16への押圧力は伝達されず、非伝達状態となる。
図8に、図5の初期状態から、ブレーキペダル可動踏板14とアクセルレバー可動踏部20の両方を同時に踏み込んだ状態を示す。ブレーキペダル可動踏板14とアクセルレバー可動踏部20の両方を踏み込むと、図7と同様に、ブレーキレバー26の押圧方向に傾倒可能とする回動支点である下側ピン40による第二の回動支点を主な支点として、アクセルレバー可動踏部20が踏み込まれて押圧力伝達部材18である押圧被係合部材28は、アクセルペダル94から離れる方向へと変位せしめられる。なお、連結部材36は、上端がストッパ66に近づく方向に傾斜する。このため、押圧被係合部材28はアクセルペダル94から離れてしまい、押圧力は発生しない。すなわち、前記押圧力伝達部材18が係合部材であるアクセルペダル94とさらに非係合の状態に変位する。前記押圧力伝達部材18が係合部材であるアクセルペダル94と非係合の状態では、アクセルレバー可動踏部20を踏み込んでも前記アクセルレバー16への押圧力は伝達されず、非伝達状態となる。
即ち、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置10Aでは、アクセルレバー可動踏部20を踏み込みつつブレーキペダル可動踏板14を踏み込んだ状態であっても、前記アクセルレバー16への押圧力は伝達されず、非伝達状態となり、アクセル動作が遮断される。
そして、運転者が足を上げてブレーキペダル可動踏板14を踏み込まなくなると、自動車用アクセル誤操作防止装置10Aは図5の初期状態となり、アクセルペダル94の上に押圧力伝達部材18である押圧被係合部材28が載置されて、再び係合状態となる。これにより、アクセルレバー可動踏部20を踏み込むと押圧力伝達部材18を介してアクセルレバー16が連動してアクセル動作が行われる状態に戻る。
このように、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置10Aでは、ブレーキ操作とアクセル操作とを足を踏み替えることなく、アクセルレバー可動踏部20と連結された同一の踏板であるブレーキペダル可動踏板14上でブレーキ操作とアクセル操作とを容易に行うことができる。
また、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置10Aでは、アクセル操作中にそのままブレーキ操作をした場合でも、アクセル動作が自動的に遮断されるため、ブレーキをかけようと思って誤ってアクセルペダルを踏んでしまい、自動車が発進したのでさらに慌ててさらにアクセルペダルを踏み込むといったパニックによる事故が起きなくなる。
さらに、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置10Aは、市販されている自動車にそのまま短時間で設置することが可能である。
次に、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置の別の実施の形態である第二実施形態を図9〜図15に基づいて説明する。
図9〜図15において、符号10Bは本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置の第二実施形態を示す。自動車用アクセル誤操作防止装置10Bは、少なくともブレーキペダル12の上に取り付けられ、ブレーキレバー26と連動せしめられるブレーキペダル可動踏板114と、前記ブレーキペダル可動踏板114に連結されてなり、アクセルレバー16への押圧力の伝達状態と非伝達状態とに変化可能な押圧力伝達部材118を備え、前記押圧力伝達部材118を介してアクセルレバー16と連動可能に構成されたアクセルレバー可動踏部120と、を有している。
前記アクセルレバー可動踏部120は、運転者が足で踏み込めるように、上下動可能に設けられている。前記アクセルレバー可動踏部120は、運転者が運転席に座ると前記ブレーキペダル可動踏板114の中心よりも少なくともアクセルレバー16側(図示例では右側)に位置してなるように構成されている。また、前記ブレーキペダル可動踏板114は、運転者が踏み易いように、盛り上がり中央部121を有しており、起伏を有する形状とされている。
そして、自動車用アクセル誤操作防止装置10Bは、前記ブレーキペダル可動踏板114が踏まれると前記ブレーキペダル可動踏板114の押圧力がブレーキレバー26に伝わることでブレーキ動作が行われ、前記アクセルレバー可動踏部120が踏まれると前記押圧力伝達部材118を介して前記アクセルレバー可動踏部120の押圧力がアクセルレバー16に伝わることでアクセル動作が行われる。また、前記ブレーキペダル可動踏板114が踏み込まれると、前記押圧力伝達部材118が非伝達状態となって、アクセル動作が遮断されるように構成されている。
前記アクセルレバー可動踏部120は、前記ブレーキペダル可動踏板と並置して連結されたアクセルレバー可動踏部支持部材123に形成されている。図示例では、アクセルレバー可動踏部支持部材123の上端部125を、踏板下部168に回動可能に装着せしめ、前記アクセルレバー可動踏部120を上下動可能に構成した例を示した。
従来のブレーキペダルとアクセルペダルの構造では、ブレーキペダルとアクセルペダルとが互いに独立して位置しており、アクセル操作とブレーキ操作とが互いに独立した動作となっていることが、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違い等の誤操作の原因と考えられる。
このため、本発明の第二実施形態でも、ブレーキ操作とアクセル操作とを足を踏み替えることなく同一の踏板上で行うことができるようにした。前記ブレーキペダル可動踏板114とアクセルレバー可動踏部支持部材123は並置して連結されているため、連結はされているものの同一の踏板とみなすことができる。また、本発明の第二実施形態でも、アクセル動作中に足を踏み替えることなく、そのままブレーキペダルを踏んでブレーキ動作が行われても、ブレーキがかかって確実に制動されるように構成されている。
また、ブレーキペダル12にはブレーキレバー26が取り付けられている(図9)。なお、アクセルレバー16及びブレーキレバー26については、自動車の運転席に設けられている通常のアクセルレバー16及びブレーキレバー26である。なお、図10〜図15では、ブレーキペダル12又はブレーキレバー26の図示を省略することがある。
図示例では、前記アクセルレバー可動踏部120としては、前記ブレーキペダル可動踏板114と並置して連結されたアクセルレバー可動踏部支持部材123に形成された例を示した。
また、アクセルレバー可動踏部支持部材123の側方には、靴当て板126が立設せしめられており、運転者の靴が滑ってアクセルレバー可動踏部支持部材123から外れるのを防止する作用を果たし、アクセルレバー可動踏部120を確実に踏み込むことができる。なお、靴当て板126の位置は、取り付ける車や運転者の足の位置などによって、変えることが可能である。
また、前記ブレーキペダル可動踏板114は、ブレーキペダル12を図10に示されるブレーキペダルセット下板115との間で挟むようにしてブレーキペダル12上に取り付けられている。ブレーキペダル可動踏板114の表面には、滑り止めのゴムを貼付するのが好適である。
自動車用アクセル誤操作防止装置10Bの分解斜視図を図10によく示す。図10によく示されるように、前記アクセルレバー可動踏部支持部材123には、前記アクセルレバー16を押圧するための棒状の押圧被係合部材128が取り付けられ、前記押圧被係合部材128が押圧力伝達部材118とされている。また、アクセルレバー16にはアクセルペダル94が取り付けられており、アクセルペダル94が係合部材96とされている。
運転席の床面には、ペダルベース部124が取り付けられており、踏板下部168の基部132は、前記基部132とペダルベース部124とを繋ぐ連結部材136によって連結されている。連結部材136は、図示例では、一対のペダルピンプレートの例を示した。図示例では、踏板下部168の基部132に靴当て板126が一体的に形成されている。なお、運転席の床面に設置するにあたり、必要に応じて、運転席の床面に設置したマット部材などにペダルベース部124が取り付けられるようにしてもよい。本発明の他の実施形態でも、必要に応じて、運転席の床面に設置したマット部材などにペダルベース部を取り付けるようにしてもよいことはいうまでもない。
連結部材136には、上側ピン138と下側ピン140とが取り付けられており、前記上側ピン138及びと下側ピン140とのそれぞれを回動支点として、回動可能に構成されている。
すなわち、前記連結部材136には前記アクセルレバー可動踏部支持部材123を前記アクセルレバー16の押圧方向に傾倒可能とする回動支点である上側ピン138による第一の回動支点と前記アクセルレバー可動踏部支持部材123を前記ブレーキレバー26の押圧方向に傾倒可能とする回動支点である下側ピン140による第二の回動支点と、が備えられている。なお、アクセルレバー可動踏部支持部材123の表面には、滑り止めのゴムを貼付するのが好適である。
また、図10によく示す如く、第一可動プレート144と第二可動プレート146とは、可動プレートピン148で接続されている。可動プレートピン148の第二可動プレート146側の端部は三日月状端部150とされており、また、その第二可動プレート146の取り付け孔も三日月状とされており、嵌合せしめることで、可動プレートピン148の第二可動プレート146側の三日月状端部150は、第二可動プレート146に固定されている。
図10によく示す如く、可動プレートピン148の第一可動プレート144側の端部は円柱状端部152とされているため、回転可能とされている。また、第一可動プレート144には、ブレーキペダル可動踏板ピン154も回転可能に接続されており、ブレーキペダル可動踏板114の側面に形成された取り付け孔142に回転可能に取り付けられる。
図9及び図10に示される如く、アクセルレバー可動踏部支持部材123は踏板下部168の凹部178に、取り付け孔172を有する一端部が通されることで、取り付け孔170及び取り付け孔172を介して取付け部材(図示は省略)によって、踏板下部168に一端部が回動可能に取り付けられており、アクセルレバー可動踏部支持部材123が踏板下部168に対しても上下動可能に構成されている。
また、アクセルレバー可動踏部支持部材123をさらに踏み込むと踏板下部168と一緒になって、上側ピン138と下側ピン140とのそれぞれを回動支点として、回動可能に構成されているので、アクセルレバー可動踏部支持部材123は踏板下部168と合わさって上下動可能に構成されている。また、踏板下部168の下面には取り付け孔156が形成されており、可動プレートピン148に回動可能に取り付けられる。
アクセルレバー可動踏部支持部材123は、板状の突っ張り部材176によってその下面を支持されている。突っ張り部材176は、図11に示されるように、踏板下部168に形成された凹部178から突出するように構成されており、アクセルレバー可動踏部支持部材123の下面を支持している。
また、突っ張り部材176には、取り付け孔182が形成されており、踏板下部168の下面に形成された取り付け孔184と共に取り付けピン186によって回転可能に取り付けられている。これにより、突っ張り部材176は、アクセルレバー可動踏部支持部材123の下面を、固定されていないフリーな状態で支えていることになる。突っ張り部材176は、起きている時にはアクセルレバー可動踏部支持部材123の下面を支え、倒れている時には、アクセルレバー可動踏部支持部材123の下面を非支持の状態となるが、トーションバネの作用によりそれら起伏動作を行うことができる。可動プレートピン148には、アクセル解除ステー183が設けられており、前記アクセル解除ステー183によって押圧力が加えられると、突っ張り部材176が倒される構造とされている。前記アクセル解除ステー183としては、種々の形態が考えられるが、L字型の部材の例を示した。
第二可動プレート146の先端部にはローラピン158が接続されており、前記ローラピン158の外周面にはローラ160が回転可能に取り付けられている。前記ローラピン158とローラ160によって押圧被係合部材128が形成されており、押圧力伝達部材118とされている。
本発明の自動車用アクセル誤操作防止装置10Bは、ブレーキペダル12の位置よりもアクセルペダル94の位置の方が低い位置に設置されてなる自動車に取り付けるのが好適である。
このように構成された自動車用アクセル誤操作防止装置10Bを運転する場合を示す。運転する場合には運転者の靴Fは、上述した自動車用アクセル誤操作防止装置10Aと同様に、図12に示されるように、ブレーキペダル可動踏板114及びアクセルレバー可動踏部120に跨って靴底が置かれることとなる。運転者の足の図示は省略する。
図13に、自動車用アクセル誤操作防止装置10Bの初期状態を示す。図13に示す初期状態では、ブレーキペダル可動踏板114又はアクセルレバー可動踏部120のいずれも踏み込まれていない。初期状態ではアクセルペダル94の上に押圧力伝達部材118である押圧被係合部材128が載置されており、係合状態となっている。これにより、アクセルレバー可動踏部120を踏み込むと押圧力伝達部材118を介してアクセルレバー16が連動してアクセル動作が行われる。
図14に、図13の初期状態から、アクセルレバー可動踏部120を50%踏み込んだ状態を示す。前記連結部材136には前記アクセルレバー可動踏部120を前記アクセルレバー16の押圧方向に傾倒可能とする回動支点である上側ピン138による第一の回動支点と前記アクセルレバー可動踏部120を前記ブレーキレバー26の押圧方向に傾倒可能とする回動支点である下側ピン140による第二の回動支点とがあるが、図14では、図によく示される如く、上側ピン138による第一の回動支点によって、前記アクセルレバー可動踏部120が前記アクセルレバー16の押圧方向に傾倒せしめられている。
アクセルレバー可動踏部120を50%踏み込んだ状態でも、アクセルペダル94の上に押圧力伝達部材118である押圧被係合部材128が載置され、係合状態となっている。図14では、アクセルレバー可動踏部120が少し踏み込まれているので押圧力伝達部材118である押圧被係合部材128が少し下方に変位している。第二可動プレート146は下向きに回転している。
図14では、図によく示される如く、上側ピン138による第一の回動支点を主な支点として、押圧力伝達部材118である押圧被係合部材128が少し下方に変位している。つまり、連結部材136は、上側ピン138による第一の回動支点を主な支点として、アクセルレバー可動踏部120が踏み込まれて押圧被係合部材128が少し下方に変位し、アクセルペダル94を下方に押圧している。これにより、アクセルレバー可動踏部120を踏み込んだ分、押圧力伝達部材118を介してアクセルレバー16が連動してアクセル動作が行われる。
図15に、図13の初期状態から、ブレーキペダル可動踏板114を50%踏み込んだ状態を示す。ブレーキペダル可動踏板114を50%踏み込むと、今度は、ブレーキレバー26の押圧方向に傾倒可能とする回動支点である下側ピン140による第二の回動支点を主な支点として、アクセルレバー可動踏部120が踏み込まれて押圧力伝達部材118である押圧被係合部材128は、アクセルペダル94から離れる方向へと変位せしめられる。第二可動プレート146は上向きに回転している。
このため、押圧被係合部材128がアクセルペダル94にたとえ接していても、押圧力は発生しない。すなわち、前記押圧力伝達部材118が係合部材であるアクセルペダル94と非係合となる非係合状態に変位する。前記押圧力伝達部材118が係合部材であるアクセルペダル94と非係合の状態では、アクセルレバー可動踏部120を踏み込んでも前記アクセルレバー16へ押圧力は伝達されず、非伝達状態となる。さらに、図15に示すように、アクセル解除ステー183が、突っ張り部材176に当接しており、突っ張り部材176は、少し水平方向に倒れており、突っ張り部材176がアクセルレバー可動踏部支持部材123の下面を非支持の状態となる。
すなわち、前記押圧力伝達部材118が係合部材であるアクセルペダル94とさらに非係合の状態に変位する。前記押圧力伝達部材118が係合部材であるアクセルペダル94と非係合の状態では、アクセルレバー可動踏部120を踏み込んでも前記アクセルレバー16への押圧力は伝達されず、非伝達状態となる。
また、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置10Bでは、アクセルレバー可動踏部120を踏み込みつつブレーキペダル可動踏板114を踏み込んだ状態であっても、前記アクセルレバー16への押圧力は伝達されず、非伝達状態となり、アクセル動作が遮断される。
そして、運転者が足を上げてブレーキペダル可動踏板114を踏み込まなくなると、自動車用アクセル誤操作防止装置10Bは図13の初期状態となり、アクセルペダル94の上に押圧力伝達部材118である押圧被係合部材128が載置されて、再び係合状態となる。これにより、アクセルレバー可動踏部120を踏み込むと押圧力伝達部材118を介してアクセルレバー16が連動してアクセル動作が行われる状態に戻る。
このように、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置10Bでも、ブレーキ操作とアクセル操作とを足を踏み替えることなく、アクセルレバー可動踏部120と連結された同一の踏板であるブレーキペダル可動踏板114上でブレーキ操作とアクセル操作とを容易に行うことができる。
また、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置10Bでも、アクセル操作中にそのままブレーキ操作をした場合でも、アクセル動作が自動的に遮断されるため、ブレーキをかけようと思って誤ってアクセルペダルを踏んでしまい、自動車が発進したのでさらに慌ててさらにアクセルペダルを踏み込むといったパニックによる事故が起きなくなる。
さらに、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置10Bは、市販されている自動車にそのまま短時間で設置することが可能である。
次に、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置の他の実施の形態である第三実施形態を図16〜図25に基づいて説明する。
図16〜図25において、符号10Cは本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置の第三実施形態を示す。自動車用アクセル誤操作防止装置10Cは、図16〜図20によく示される如く、ブレーキレバー26と連動せしめられるブレーキペダル可動踏板214と、前記ブレーキペダル可動踏板214に連結されてなり、アクセルレバー16への押圧力の伝達状態と非伝達状態とに変化可能な押圧力伝達部材218を備え、前記押圧力伝達部材218を介して少なくともアクセルレバー16と連動可能に構成されたアクセルレバー可動踏部220と、を有している。アクセルレバー可動踏部220としては、図示例では板状の例を示した。
前記アクセルレバー可動踏部220は、運転者が足で踏み込めるように、上下動可能に設けられている。前記アクセルレバー可動踏部220は、運転者が運転席に座ると前記ブレーキペダル可動踏板214の中心よりも少なくともアクセルレバー16側(図示例では右側)に位置してなるように構成されている。また、前記ブレーキペダル可動踏板214は、運転者が踏み易いように、ゴムなどの滑りにくい材質の複数の突起部221が表面に設けられている。
そして、自動車用アクセル誤操作防止装置10Cは、前記ブレーキペダル可動踏板214が踏まれると前記ブレーキペダル可動踏板214の押圧力がブレーキレバー26に伝わることでブレーキ動作が行われ、前記アクセルレバー可動踏部220が踏まれると前記押圧力伝達部材218を介して前記アクセルレバー可動踏部220の押圧力がアクセルレバー16に伝わることでアクセル動作が行われる。また、前記ブレーキペダル可動踏板214が踏み込まれると、前記押圧力伝達部材218が非伝達状態となって、アクセル動作が遮断されるように構成されている。
前記アクセルレバー可動踏部220は、前記ブレーキペダル可動踏板214よりも突出して上下動可能に設けられている。前記アクセルレバー可動踏部220は、支承部材222a,222bによって支持されている。
従来のブレーキペダルとアクセルペダルの構造では、ブレーキペダルとアクセルペダルとが互いに独立して位置しており、アクセル操作とブレーキ操作とが互いに独立した動作となっていることが、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違い等の誤操作の原因と考えられる。
このため、本発明の第三実施形態でも、ブレーキ操作とアクセル操作とを足を踏み替えることなく同一の踏板上で行うことができるようにした。前記ブレーキペダル可動踏板214とアクセルレバー可動踏部220は並置して連結されているため、連結はされているものの同一の踏板とみなすことができる。そして、前記アクセルレバー可動踏部220は、前記ブレーキペダル可動踏板214よりも突出して上下動可能に設けられているので、前記ブレーキペダル可動踏板214上でブレーキ操作とアクセル操作とを行うことができる。また、本発明の第三実施形態でも、アクセル動作中に足を踏み替えることなく、そのままブレーキペダルを踏んでブレーキ動作が行われても、ブレーキがかかって確実に制動されるように構成されている。
また、ブレーキレバー26はブレーキペダル12に取り付けられている。アクセルレバー16には、係合部材96であるアクセルペダル94が取り付けられている。ブレーキレバー26及びアクセルレバー16は自動車の運転席に設けられている通常のアクセルレバー16及びブレーキレバー26である。
また、ブレーキペダル可動踏板214の側方には、アクセルレバー可動踏部220に隣接して靴当て板228が立設せしめられており、運転者の靴が滑ってブレーキペダル可動踏板214やアクセルレバー可動踏部220から外れるのを防止する作用を果たし、アクセルレバー可動踏部220を確実に踏み込むことができる。なお、靴当て板228の位置は、取り付ける車や運転者の足の位置などによって、変えることが可能である。
また、前記ブレーキペダル可動踏板214は、ブレーキペダル12を図10に示されたような、ブレーキペダルセット下板115との間で挟むようにしてブレーキペダル12上にボルト230で取り付けられている。
運転席の床面にはペダルベース部244が設けられており、前記ペダルベース部244には、運転者の靴Fを載せるための靴のせゴム板270が取り付けられている(図20)。
前記ペダルベース部244には図18によく示されるようにアクセルレバー可動踏部支持部材250が、サポートポール軸254を介して接続されている。
前記アクセルレバー可動踏部220は、前記ブレーキペダル可動踏板214と連結されたアクセルレバー可動踏部支持部材250に連結されている。そして、前記アクセルレバー可動踏部支持部材250には、前記アクセルレバー可動踏部220を下側から支承する支承状態と非支承状態とに変位可能に構成された支承部材222a,222bが取り付けられている。
前記アクセルレバー可動踏部支持部材250には、前記アクセルレバー16を押圧するための押圧被係合部材264が取り付けられており、前記押圧被係合部材が押圧力伝達部材218である。
前記押圧力伝達部材218は、係合状態と非係合状態とに変位可能に構成された押圧力伝達部材218であり、前記押圧力伝達部材218が前記係合部材96と係合状態のときに前記アクセルレバー16への押圧力の伝達状態とされ、前記押圧力伝達部材218が前記係合部材96と非係合状態のときには前記アクセルレバー16への押圧力の非伝達状態とされてなる。
前記アクセルレバー可動踏部220が踏まれると前記押圧被係合部材264を介して前記アクセルレバー可動踏部支持部材250の押圧力がアクセルレバー16に伝わることでアクセル動作が行われる。
また、前記ブレーキペダル可動踏板214が踏み込まれると、前記押圧被係合部材264が非伝達状態となるとともに、前記支承部材222a,222bが非支承状態となって、アクセル動作が遮断される構成とされている。
図18によく示されるように、前記アクセルレバー可動踏部支持部材250は、下部サポートポール272と上部サポートポール274、それを連結する連結サポートポール276を有する。上部サポートポール274には、アクセル可動金具278と、可動プレート280a,280bが取り付けられている。前記アクセルレバー可動踏部支持部材250の下部サポートポール272はペダルベース部244にサポートポール軸254によって回動可能に連結されている。
前記可動プレート280a,280bは、ブレーキペダル可動踏板214の下部に取り付けられた取付け孔266に、ブレーキホルダ軸240及び軸カラー242によって回動可能に連結されている。
また、アクセルレバー可動踏部220の基部には、その裏面に設けられたガイドフレーム235によって、スライドガイド部234が形成されており、前記スライドガイド部234には、支承部材222a,222bが、踏部スライドローラ288によって、スライド可能に当接せしめられている。支承部材222a,222bに取り付けられた踏部スライドローラ288はスライドガイド部234内をスライド可能とされている。図示例では、スライドガイド部234は、緩やかな三角形を形成している。
図18に示すように、アクセルレバー可動踏部220は、取り付けピン282によって、ブレーキペダル可動踏板214に設けられた可動踏部軸受284に取り付けられている。また、アクセルレバー可動踏部220の基部の端部にはバネ292が取り付けられており、バネ292が可動踏部軸受284と係合されて、バネ292の弾性力でアクセルレバー可動踏部220が上方へと付勢せしめられる。支承部材222a,222bには、取り付けピン286で踏部スライドローラ288が取り付けられており、取り付けピン290でアクセル可動金具278に回転可能に取り付けられている。また、支承部材222a,222bをガイドするための可動踏部ガイドピン226がブレーキペダル可動踏板214に取り付けられている。
そして、支承部材222a,222bがスライドガイド部234でスライドすることで、支承部材222a,222bがアクセルレバー可動踏部220の下側を支承する支承状態と、アクセルレバー可動踏部220の下側を支承しない非支承状態とに変位可能とされている。支承部材222a,222bがアクセルレバー可動踏部220の下側を支承する支承状態のときは、バネ292の弾性力により、アクセルレバー可動踏部220を踏み込んでも元の位置に復元せしめられる。
押圧力伝達部材218としては、前記アクセルレバー16を押圧するための棒状の押圧被係合部材264が取り付けられており、前記押圧被係合部材264が押圧力伝達部材218とされている。押圧被係合部材264はローラとされており、ローラ軸224が挿通されることで回転可能とされている。
また、押圧被係合部材264はアクセル押し金具236にローラ軸224によって取り付けられている。アクセル押し金具236には、可動主軸232の一端が連結されて固定されている。
可動主軸232の他端は、可動プレート280a,280bが連結されている。また、靴当て板228には、ガイド孔268が形成されており、図18によく示されるように、可動主軸232が挿通されてガイドされる構成となっている。
なお、運転席の床面に設置するにあたり、必要に応じて、運転席の床面に設置したマット部材などにペダルベース部244が取り付けられるようにしてもよい。本発明の他の実施形態でも、必要に応じて、運転席の床面に設置したマット部材などにペダルベース部を取り付けるようにしてもよいことはいうまでもない。
上述のように、前記押圧被係合部材264が押圧力伝達部材218とされており、前記アクセルレバー可動踏部220が踏まれると前記押圧力伝達部材218を介して前記アクセルレバー可動踏部220の押圧力がアクセルレバー16に伝わり、アクセル動作が行われる。
また、前記ブレーキペダル可動踏板214が踏まれると前記ブレーキペダル可動踏板214の押圧力がブレーキレバー26に伝わることでブレーキ動作が行われる。そして、前記ブレーキペダル可動踏板214が踏み込まれると、前記ブレーキホルダ軸240が下がるので、可動プレート280a,280bの基端が連動して下がる。可動プレート280a,280bの基端が下がると、可動主軸232とアクセル可動金具278は上部サポートポール274を支点として上がることとなる。
これにより、押圧力伝達部材218である押圧被係合部材264が、係合部材96であるアクセルペダル94から離れてフリーの状態となるため、前記押圧力伝達部材218が非伝達状態となり、アクセル動作が遮断される。また、それと同時に、アクセルレバー可動踏部220の裏面に形成されたスライドガイド部234に沿って、支承部材222a,222bの一端部及び踏部スライドローラ288が前進し、支承部材222a,222bが傾倒する。このため、支承部材222a,222bはアクセルレバー可動踏部220の下側を支承しない非支承状態となる。このため、ブレーキペダル可動踏板214をたとえどれだけ踏み込んだとしても、アクセル可動金具278への押圧力は存在せず、アクセル動作は完全に遮断されるように構成されている。このため、ブレーキペダル可動踏板214を充分に踏み込むことが可能となる。
本発明の第三実施形態でも、ブレーキ操作とアクセル操作とを足を踏み替えることなく同一の踏板上で行うことができるようにした。また、本発明の第三実施形態でも、アクセル動作中に足を踏み替えることなく、そのままブレーキペダルを踏んでブレーキ動作が行われても、ブレーキがかかって確実に制動されるように構成されている。
本発明の自動車用アクセル誤操作防止装置10Cは、ブレーキペダル12の位置よりもアクセルペダル94の位置の方が低い位置に設置されてなる自動車に取り付けるのが好適である。
このように構成された自動車用アクセル誤操作防止装置10Cを運転する場合を図20に示す。運転する場合には運転者の靴Fは、上述した自動車用アクセル誤操作防止装置10A及び10Bと同様に、図20に示されるように、ブレーキペダル可動踏板214及びアクセルレバー可動踏部220に跨って靴底が置かれることとなる。
図21に、ブレーキペダル可動踏板214又はアクセルレバー可動踏部220のいずれも踏み込まれていない初期状態を示す。図21は図20の一部を透視図としてある。
図21の初期状態から、アクセルレバー可動踏部220を50%踏み込んだ状態を図22に示す。
アクセルレバー可動踏部220を踏み込むと、その力がアクセル可動金具278に伝わり、連動してアクセル押し金具236が下方に動いて押圧力伝達部材218である押圧被係合部材264が少し下方に変位し、係合部材であるアクセルペダル94を下方に押圧する。これにより、アクセルレバー可動踏部220を踏み込んだ分、押圧力伝達部材218を介してアクセルレバー16が連動してアクセル動作が行われる。
図22からさらにアクセルレバー可動踏部220を踏み込み、図21の初期状態から、アクセルレバー可動踏部220を100%踏み込んだ状態を図23に示す。
押圧力伝達部材218である押圧被係合部材264がさらに下方に変位し、係合部材であるアクセルペダル94をさらに下方に押圧する。これにより、アクセルレバー可動踏部220を踏み込んだ分、押圧力伝達部材218を介してアクセルレバー16が連動してアクセル動作が行われる。
次に、図24に、図21の初期状態から、ブレーキペダル可動踏板214を50%踏み込んだ状態を示す。
ブレーキペダル可動踏板214を踏み込むと、ブレーキペダル可動踏板214の押圧力がブレーキレバー26に伝わることでブレーキ動作が行われるが、ブレーキペダル可動踏板214が踏み込まれると、ブレーキホルダ軸240が下がるので、可動プレート280a,280bの基端が連動して下がる。可動プレート280a,280bの基端が下がると、可動主軸232とアクセル可動金具278は上部サポートポール274を支点として上がることとなる。
これにより、押圧力伝達部材218である押圧被係合部材264が、係合部材96であるアクセルペダル94から離れてフリーの状態となるため、前記押圧力伝達部材218が非伝達状態となり、アクセル動作が遮断される。すなわち、前記押圧力伝達部材218が係合部材であるアクセルペダル94と非係合となる非係合状態に変位せしめられる。このため、前記押圧力伝達部材218が非伝達状態となり、押圧力は発生しない。
また、それと同時に、アクセルレバー可動踏部220の裏面に形成されたスライドガイド部234に沿って、支承部材222a,222bの一端部及び踏部スライドローラ288が前進し、支承部材222a,222bが傾倒する。このため、支承部材222a,222bはアクセルレバー可動踏部220の下側を支承しない非支承状態となる。このため、アクセル可動金具278への押圧力は存在せず、アクセル動作は完全に遮断される。
図24からさらにブレーキペダル可動踏板214を踏み込み、図21の初期状態から、ブレーキペダル可動踏板214を100%踏み込んだ状態を図25に示す。
押圧力伝達部材218である押圧被係合部材264が、係合部材96であるアクセルペダル94からさらに離れてフリーの状態となるため、前記押圧力伝達部材218がさらに非伝達状態となり、アクセル動作が遮断される。また、支承部材222a,222bは傾倒したままであり、アクセルレバー可動踏部220の下側を支承しない非支承状態のままである。このため、アクセル可動金具278への押圧力は存在せず、アクセル動作は完全に遮断されている。
また、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置10Cでは、アクセルレバー可動踏部220を踏み込みつつブレーキペダル可動踏板214を踏み込んだ状態であっても、前記アクセルレバー16への押圧力は伝達されず、非伝達状態となり、アクセル動作が遮断される。また、同時に支承部材222a,222bが傾倒してアクセルレバー可動踏部220の下側を支承しない非支承状態となるため、アクセル可動金具278への押圧力は存在せず、アクセル動作は完全に遮断されることとなる。
そして、運転者が足を上げてブレーキペダル可動踏板214を踏み込まなくなると、押圧力伝達部材218や支承部材222a,222bは元の位置に復帰し、再び、自動車用アクセル誤操作防止装置10Cは図21に示した初期状態となる。
このように、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置10Cでも、ブレーキ操作とアクセル操作とを足を踏み替えることなく、アクセルレバー可動踏部220と連結された同一の踏板であるブレーキペダル可動踏板214上でブレーキ操作とアクセル操作とを容易に行うことができる。
また、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置10Cでも、アクセル操作中にそのままブレーキ操作をした場合でも、アクセル動作が自動的に遮断されるため、ブレーキをかけようと思って誤ってアクセルペダルを踏んでしまい、自動車が発進したのでさらに慌ててさらにアクセルペダルを踏み込むといったパニックによる事故が起きなくなる。
さらに、本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置10Cは、市販されている自動車にそのまま短時間で設置することが可能である。
AT(オートマチック)車の場合、現在市販され使用されている自動車に設置されたブレーキペダル及びアクセルペダルは、運転する者が異なる車に乗り換えても同じ動作で操作できるようにするため、それぞれの自動車によってブレーキペダル及びアクセルペダルの幅や長さのサイズが異なっていても、ブレーキペダルとアクセルペダルの位置、間隔及び床からの高さが、ほぼ同じになるように設計されている。現在市販され使用されている自動車のブレーキペダルの高さは床からほぼ100mm、ブレーキペダルとアクセルペダルの間隔はほぼ70mmとされており、アクセルペダルはブレーキペダルよりほぼ20mm低くなっている。本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置は、それらの位置関係を考慮して装置を設計しており、既に販売使用されているほとんどの車に対して、高さや幅などを考慮して僅かな調整を加えることにより設置できるように構成されている。
なお、本発明では、アクセルレバー可動踏部は、アクセルレバーへの押圧力の伝達状態と非伝達状態とに変化可能な押圧力伝達部材を介して少なくともアクセルレバーを連動可能にアクセルレバーに取り付けられればよいものであるから、自動車の製造時や工場からの出荷時などに本発明に係る自動車用アクセル誤操作防止装置を予め設置することも可能である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、かつ同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。