JP6555805B2 - サージタンク付き吸気マニホールド - Google Patents

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本願発明は、内燃機関において、シリンダヘッドに装着されるサージタンク付き吸気マニホールドに関するものである(吸気マニホールドとサージタンクとは主従の関係ではないので、吸気マニホールド付きサージタンクと呼ぶことも可能である。)。
内燃機関においては、吸気は一般にサージタンクから吸気マニホールドを介してシリンダヘッドに送られており、サージタンクと吸気マニホールドとを一体化した構造も多く見られる。特に、近年は、サージタンク付き吸気マニホールドを合成樹脂製として、複数の部材を重ねて接合したものが多く見られる。
他方、特に自動車用の内燃機関においては、クランク室に吹き抜けたブローバイガスを気筒に還流させたり、排気ガスの一部(EGRガス)を吸気系に還流させたりすることが広く行われており、そこで、ブローバイガスやEGRガスをサージタンクに導入して、サージタンクの内部においてブローバイガスやEGRガスを吸気に混合させて各吸気枝通路に送出することが行われているが、単にブローバイガスやEGRガスをサージタンクに導いただけでは、ブローバイガスやEGRガスが均等に混合せずに、各気筒間においてガスの導入量が不均一になりやすいという問題があった。
このような分配の不均一性の問題に対して特許文献1では、EGRガスの均一分配ということを目的にして、サージタンクの内部に、吸気枝通路の並び方向に長いEGRガス取り入れ空間を設けて、EGRガス取り入れ空間に、各吸気枝通路に対応したEGRガス分配穴を設けることが開示されている。
実開平03−73649号のマイクロフィルム
特許文献1では、吸気枝通路の開口方向とEGRガス分配穴の開口方向とは略直交しており、従って、EGRガスは、各吸気枝通路の入り口の前方に向けて噴出する。そして、吸気が各吸気枝通路に吸引されるため、サージタンクの内部にも吸気の流れが生じており、各分配穴から噴出したEGRガスを対応した吸気枝通路に向かう吸気流に乗せることによって、各気筒へのEGRガスの分配の均等化を図っている。
しかし、特許文献1では、サージタンクの内部に噴出したEGRガスが吸気枝通路に向かう吸気流に乗ることなくサージタンクの内部で拡散してしまうことも懸念され、必ずしも各吸気枝通路への均一な分配を実現できるとは言い難い。特に、ブローバイガスに適用すると、ブローバイガスの場合は噴出の勢いが弱いため、吸気流まで届かずにサージタンクの内部に拡散してしまう現象が懸念される。
更に、各吸気枝通路に向かう吸気流には吸気弁の開閉に伴う強弱(脈動)が存在する一方、ブローバイガスは必ずしも脈動とは関係なくサージタンクに流入するため、特許文献1をブローバイガスの分配に適用しても、各吸気枝通路に向かう吸気流に乗らずにサージタンクに放散されるブローバイガスが相当割合にのぼると思われる。このため、サージタンクの内部でのブローバイガスの濃度が不均一になって、結果として、各吸気枝通路(各気筒)に対するブローバイガスの均一分配が阻害されると予想される。
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
本願発明はサージタンク付き吸気マニホールドに関し、このサージタンク付き吸気マニホールドは、
吸気導入口を有するサージタンクと、入り口を前記サージタンクの内部に開口させると共に前記サージタンクの周方向に延びるように並列状に配置された複数本の吸気枝通路とを有していて、前記各吸気枝通路の入り口は前記サージタンクの内周方向に開口しており、
前記サージタンクの内部に、前記吸気枝通路の群と一体化した中空部を設けることにより、前記吸気枝通路の入り口寄り部位の群よりも前記サージタンクの内側に位置した内段部が前記サージタンクの軸心方向に広がるように形成されていて、前記内段部の一側縁と前記各吸気枝通路の入り口とは、前記中空部を構成する端壁を介して繋がっている」
という基本構成である。
そして、上記基本構成において、
前記サージタンクの内段部のうち前記各吸気枝通路に対応した各部位に、トンネル状の吸気還流ガス吐出口、それぞれ各吸気枝通路の入り口の開口方向と同じ方向に開口するように形成されている一方、
前記端壁は、前記サージタンクの軸心方向から見て前記吸気還流ガス吐出口の開口方向に膨れた円弧状に形成されており、
かつ、前記端壁のうち隣り合った吸気枝通路の入り口の間に位置した部位に、吸気還流ガスを各吸気枝通路に向けて案内するガイドリブが形成されている」
という構成になっている。
既述のとおり、近年、軽量化等のために吸気マニホールドを複数の樹脂部材が重ねて接合された構造にすることが多く行われているが、本願発明も、複数樹脂部材方式に適用すると好適である。
本願発明では、吸気還流ガス吐出口をサージタンクの内部に開口させただけの簡単な構造でありながら、端壁のガイド作用により、各吸気還流ガス吐出口から噴出した吸気還流ガスを、特定の吸気還流ガス吐出口に対応した特定の吸気枝通路にスムースに導くことができる。
吸気還流ガスがブローバイガスである場合、噴出速度は低いため、ブローバイガスは内段部に沿って流れる傾向を呈することが多いが、本願発明では、内段部と吸気枝通路とに繋がった端壁が円弧状に形成されているため、ブローバイガスは、端壁のガイド面を舐めるような状態で吸気枝通路に導かれる。このような作用により、各気筒に還流するブローバイガスの均等化に大きく貢献できる。従って、ブローバイガスを還流させるマニホールドにも好適であるといえる。また、端壁(ガイド面)を各吸気枝通路ごとに仕切るガイドリブを設けているため、整流機能がより一層向上する
さて、特許文献1では、EGRガス取り入れ空間はサージタンクの内周部に設けており、このため、EGRガス取り入れ空間から噴出したEGRガスはサージタンクを横切る傾向を呈する。このため、EGRガスの拡散性は高くなっている。
これに対して本願発明では、吸気還流ガス吐出口はサージタンクの内部に位置していて、サージタンクの内周面を向いているため、仮に、吸気還流ガス吐出口から噴出した吸気還流ガスの勢いが強いと、吸気枝通路の開口方向の前方を横切ってサージタンクの内周面に向かう傾向を呈するが、サージタンクの内周面のうち吸気枝通路の前方の部位は、吸気を吸気枝通路に導くガイド作用を有するため、吸気還流ガス吐出口から噴出した吸気還流ガスがサージタンクの内周面に到達しても、その吸気還流ガスは、各吸気枝通路に向かうようにサージタンクの内面によってガイドされる。この面においても、吸気還流ガスの均一分配機能に優れている。
実施形態に係る吸気マニホールドの側面図である。 吸気マニホールドを図1の矢印IIの方向(背面視方向)から見た斜視図である。 吸気マニホールドの一部部材を省略した状態での図2と同じ方向からの斜視図である。 吸気マニホールドの背面図である。 吸気マニホールドの平面図である。 吸気マニホールドの正面図である。 中間メンバーの背面図である。 吸気マニホールドの各部材を表示した状態での図7の VIII-VIII視断面図である。
(1).概要
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1でシリンダヘッド1に取付けた状態を表示しているが、この図1に表示するように、本実施形態では、方向を特定するために、便宜的に、シリンダヘッド1の吸気側面1aを向いた方向を正面視として前後方向を定義している。図1において符号2で示すのはシリンダブロックである。本実施形態は、ブローバイガスを還流させるタイプの吸気マニホールドに適用している。
図1に示すように、吸気マニホールドは、主として前後方向に重なった3つの部材から成っている。すなわち、手前から後ろに向かって、フロントメンバー3、中間メンバー4、リアメンバー5の3つの部材が配置されている。これら各メンバー3〜5は合成樹脂製であり、前後に隣り合ったメンバーの相互間は、高周波や超音波によって溶着されている。
敢えて述べる必要はないが、吸気マニホールドを3つのメンバー3〜5で構成しているのは、各メンバー3〜5を射出成形法によって製造可能としつつ(型抜き可能としつつ)、吸気マニホールドを全体として中空構造にするためである。図1では中間メンバー4に平行斜線を施しているが、これは各メンバー3,4,5の位置関係を明確にするための措置であり、断面の表示ではない。図2の平行斜線も同様である。
吸気マニホールドは、サージタンク7を有していて全体として円筒に近い形態であり、気筒列の方向に長い形態になっており、並列状に並んだ第1〜第4の4本の吸気枝通路8を有している。吸気枝通路8は筒状になっており、例えば図8に示すように、その大部分はサージタンク7の手前側において半周程度の範囲で湾曲していて、入り口8bがサージタンク7の内部において当該サージタンク7の内周方向に開口している。吸気枝通路8の上部には、後ろ向きに延びるストレート状部(出口部)8aが形成されている。従って、吸気は、円周方向に流れてから接線方向に流れを変えて、シリンダヘッド1の吸気ポートに流入する。吸気枝通路8のストレート状部8aは、フロントメンバー3と中間メンバー4とリアメンバー5との三者で構成されている。
例えば図2に示すように、各吸気枝通路8のストレート状部8aは、リアメンバー5に形成した1つのフランジ9を介して左右方向に繋がっており、フランジ9がスペーサ10を介してシリンダヘッド1の吸気側面1aに固定される。フランジ9には、シリンダヘッド1に固定するためのボルト挿通穴11を設けている。
図8に示すように、吸気枝通路8の湾曲部は、概ね中間メンバー4とフロントメンバー3とによって構成されている。従って、中間メンバー4によって、サージタンク7の概ね前半部が構成されている。
また、図5や図6に示すように、リアメンバー5には、概ね前向きに開口した吸気導入口12が形成されており、吸気導入口12にスロットルボデー(図示せず)が固定される。図6に明瞭に示すように、吸気導入口12は、正面視において左側の2つの隣の吸気枝通路8の間に位置している。図3から理解できるように、吸気導入口12は中間メンバー4にも貫通している。
既述のとおり、各吸気枝通路8はその下端が入り口8bになっているが、隣り合った吸気枝通路8における出口(ストレート状部8a)の間隔は、シリンダヘッド1における吸気ポートの間隔と同じであるのに対して、隣り合った吸気枝通路8の入り口8bの間隔は出口の間隔より小さくなっている。そこで、図6に明示するように、各吸気枝通路8は、上に行くほど右に寄るように曲がったり傾斜したりしている。
(2).要部の詳細
既述のとおり、サージタンク7の前半部はおおむね中間メンバー4で構成されているが、図8に示すように、サージタンク7の後半部はリアメンバー5で構成されており、図2,4に示すように、リアメンバー5には、吸気を各吸気枝通路8に導くための4本のガイド溝13を形成している。従って、各ガイド溝13の終端と、各吸気枝通路8の入り口(始端)8bとは連通し、かつ、滑らかに連続している。
図8に示すように、吸気枝通路8はサージタンク7の内周に沿って延びており、かつ、吸気枝通路8の入り口8bはサージタンク7の下部に位置しているが、サージタンク7を構成する中間メンバー4に、吸気枝通路8の入り口寄り部位と一体化した中空部14を形成することにより、吸気枝通路8の入り口寄り部位からサージタンク7の軸心側にずれた内段部14aが形成されている。
そして、中空部14の内段部14aと各吸気枝通路8の入り口8bとは、中空部14を構成する端壁14bによって繋がっており、この端壁14bを側面視で後ろ向きに膨れた側面視円弧状に形成して、端壁14bの外面をガイド面と成している。
更に、中間メンバー4の内段部14aに補助メンバー6を重ねて溶着することにより、吸気枝通路8の並び方向(左右方向)に長いPCV分配通路15を形成し、かつ、補助メンバー6に、PCV分配通路15と直交して後ろ向きに開口した部分を形成することにより、PCV分配通路15から分岐して各吸気枝通路8の入り口8bと略同じ方向に開口したトンネル状の4つのブローバイガス吐出口16を形成している。
なお、図示の例では、PCV分配通路15は補助メンバー6の側に入り込んだ状態に形成されているが、内段部14aに溝を形成することによって形成したり、補助メンバー6と内段部14aとの両方に溝を設けることによって形成したりしてもよい。また、ブローバイガス吐出口16は端壁14bまで延出してもよい。
図3に示すように、PCV分配通路15の始端部(吸気導入口12に近い正面視左側の端部)には、吸気枝通路8の並び方向(左右方向)に向いたブローバイガス通路19が接続されており、ブローバイガス通路19は、ブローバイガス導入ポート(PCVポート)20と連通している。
ブローバイガス吐出口16は各吸気枝通路8に対応しているが、隣り合ったブローバイガス吐出口16の間隔は同じではなく、各ブローバイガス吐出口16が対応した吸気枝通路8の入り口8bの軸心の真上に位置しているわけではない。このような点も考慮して、図3,7,8に示すように、中空部14の端壁14bには、ブローバイガス吐出口から噴出したブローバイガスを対応した吸気枝通路8に導くためガイドリブ(ガイド突起)21を設けている。図7では、ガイドリブ21は図3の状態よりも小さく表示している。
(3).まとめ
以上の構成において、吸気導入口12からサージタンク7に入った吸気は、リアメンバー5のガイド溝13のガイド作用をうけながら、各吸気枝通路8に流れていく。そして、ブローバイガスは、各ブローバイガス吐出口16から後ろ向きに噴出するが、中空部14の端壁14bは、ブローバイガス吐出口16の前方において側面視円弧状のガイド面を成しているため、図8に矢印22で示すように、ブローバイガスは、端壁14bの外面に沿って各吸気枝通路8に流れていく。従って、ブローバイガスを各吸気枝通路8に均等に分配することができる。
特に、本実施形態のようにガイドリブ21を設けると、ブローバイガス吐出口16から噴出したブローバイガスの整流機能が各段に高くなるため、隣の吸気枝通路8に拡散してしまうことを防止して、ブローバイガスは、個々のブローバイガス吐出口16と対の関係にある吸気枝通路8に的確に導かれる。
また、本実施形態では、サージタンク7が概ね円筒状でかつ吸気枝通路8が周方向に延びていることにより、吸気がサージタンク7の内部において旋回流として周方向に流れる傾向を呈しており、この旋回流は吸気弁の開閉によって流れに強弱が発生しても消えることはないため、各ブローバイガス吐出口16から噴出したブローバイガスは、各吸気枝通路8に向かう吸気流に乗って、各ブローバイガス吐出口16と対の関係にある吸気枝通路8に的確に吸引される。
更に、仮にブローバイガスの流速が速いと、図8に点線矢印で示すように、リアメンバー5の内面に至ることが有り得るが、リアメンバー5の内面は湾曲しているため、ブローバイガスは吸気枝通路8に向かうようにスムースに方向変換する。しかも、本実施形態では、リアメンバー5にはガイド溝13が形成されているため、ブローバイガスは、ガイド溝13によって個々の吸気枝通路8に向かうようにガイドされる。従って、ブローバイガスの拡散を抑制して、特定の吸気枝通路8に的確に流入させることができる。これらは、本実施形態の利点である。
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、適用対象は4気筒用吸気マニホールドには限らず、3気筒等の他の多気筒内燃機関にも適用できることはいうまでもない。上記の実施形態では、各ブローバイガス吐出口を横長の1本のPCV分配通路15から分岐させたが、各ブローバイガス吐出口をそれぞれ吸気マニホールドの外側に開口させて、複数本のブローバイガス導入管を吸気マニホールドの外側において1本に束ねることも可能である。
更に、吸気マニホールドは、図示のような3メンバー(或いは4メンバー)接合方式に限らず、他の構造であってもよい。但し、実施形態のような接合方式を採用すると、ガイド面の形成や各ブローバイガス吐出口、PCV分配通路の形成を容易に行える利点がある。また、本願発明は、EGRガスの還流構造にも適用できる。
本願発明は、内燃機関の吸気マニホールドに具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 シリンダヘッド
3 フロントメンバー
4 中間メンバー
5 リアメンバー
6 補助メンバー
7 サージタンク
8 吸気枝通路
8a ストレート状部(出口部)
8b 入り口
12 吸気導入口
13 ガイド溝
14 中空部
14a 内段部
14b 端壁
15 PCV分配通路(吸気還流ガス分配通路)
16 ブローバイガス吐出口(吸気還流ガス吐出口)
20 ブローバイガス導入ポート(吸気還流ガス導入ポート))
21 ガイドリブ

Claims (1)

  1. 吸気導入口を有するサージタンクと、入り口を前記サージタンクの内部に開口させると共に前記サージタンクの周方向に延びるように並列状に配置された複数本の吸気枝通路とを有していて、前記各吸気枝通路の入り口は前記サージタンクの内周方向に開口しており、
    前記サージタンクの内部に、前記吸気枝通路の群と一体化した中空部を設けることにより、前記吸気枝通路の入り口寄り部位の群よりも前記サージタンクの内側に位置した内段部が前記サージタンクの軸心方向に広がるように形成されていて、前記内段部の一側縁と前記各吸気枝通路の入り口とは、前記中空部を構成する端壁を介して繋がっている構成であって、
    前記サージタンクの内段部のうち前記各吸気枝通路に対応した各部位に、トンネル状の吸気還流ガス吐出口、それぞれ各吸気枝通路の入り口の開口方向と同じ方向に開口するように形成されている一方、
    前記端壁は、前記サージタンクの軸心方向から見て前記吸気還流ガス吐出口の開口方向に膨れた円弧状に形成されており、
    かつ、前記端壁のうち隣り合った吸気枝通路の入り口の間に位置した部位に、吸気還流ガスを各吸気枝通路に向けて案内するガイドリブが形成されている、
    サージタンク付き吸気マニホールド。
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