JP6553317B2 - ポリアミド系合成繊維処理剤及びポリアミド系合成繊維の処理方法 - Google Patents
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有機リン酸エステル化合物Bは、下記の化2で示される有機リン酸エステル及び/又は下記の化2で示される有機リン酸エステルの塩である。
R1,R2,R3:炭素数4〜24の脂肪族1価アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数4〜24の脂肪族1価アルコール1モル当たりエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1〜20モル付加したものから水酸基を除いた残基。
P化1:化1で示される有機リン酸エステルのカリウム塩に帰属されるP核NMR積分値、
P化2:化2で示される有機リン酸エステルのカリウム塩に帰属されるP核NMR積分値。)
P化1:化1で示される有機リン酸エステルのカリウム塩に帰属されるP核NMR積分値
P化2:化2で示される有機リン酸エステルのカリウム塩に帰属されるP核NMR積分値
有機リン酸化合物AのP核積分比率は、有機リン酸エステル及び/又は有機リン酸エステルの塩を過剰の水酸化カリウムを加えて中和し、31P−NMRの測定値から算出することができる。一般的におおよそ、化1に帰属されるピークは0ppm以下、化2に帰属されるピークは0ppm超4ppm未満に現れるので、それぞれのピークの積分値を求め、前記した数2により算出する。
上記実施形態の構成により、ポリアミド系合成繊維の高温加工に起因する黄変を効果的に防止すると共に、ポリアミド系合成繊維に優れた染色性を付与することができる。
・有機リン酸エステル化合物(P−1)の合成
反応容器に1−デカノール381部を仕込み、120℃で0.05MPa以下の条件下に2時間脱水処理した後、常圧に戻し、撹拌しながら60±5℃で五酸化二燐81部を1時間かけて投入した。80℃にて3時間熟成した後、30%水酸化ナトリウム水溶液543部を50℃で滴下して中和を行ない、有機リン酸エステル化合物(P−1)を得た。
有機リン酸エステル化合物(P−1)に過剰のKOHを加えてpHを12以上にした条件下で、31P−NMRを用いてP核積分比率を算出したところ、化1で示される有機リン酸エステルが85%、化2で示される有機リン酸エステルが15%であった。
有機リン酸化合物(P−1)と同様にして、その他の有機リン酸エステル化合物(P−2〜P−14)を得た。
反応容器にオレイルアルコール327部及びイオン交換水3部を仕込み、撹拌しながら60±5℃で五酸化二燐69部を1時間かけて投入した。80℃にて3時間熟成した。イオン交換水4部を添加し、100℃で2時間加水分解を行なった後、ラウリルアミン-ポリオキシエチレン4モル付加物604部を50℃で滴下して中和を行い、有機リン酸エステル化合物(RP−1)を得た。有機リン酸エステル化合物(RP−1)に過剰のKOHを加えてpHを12以上にした条件下で、31P−NMRを用いてP核積分比率を算出したところ、化1で示されるリン酸エステルが45%、化2で示される有機リン酸エステルが55%であった。
有機リン酸エステル化合物(RP−1)と同様にして、その他の有機リン酸エステル化合物(RP−2〜RP−4)を調製した。以上で調製した各有機リン酸化合物の内容を表1及び表2にまとめて示した。
アルキレンオキサイドの付加モル数:脂肪族1価アルコール当たりのアルキレンオキサイドの付加モル数
PO:プロピレンオキサイド
EO:エチレンオキサイド
試験区分2(ポリアミド系合成繊維処理剤の調製)
・実施例1
平滑剤としてイソトリデシルステアレート(L−1)を50部、オクチルパルミテート(L−2)を15部、有機リン酸エステル化合物として表1及び表2に記載の有機リン酸エステル化合物(P−1)を3部、有機リン酸エステル化合物(P−7)を5部、イミダゾリン型両性界面活性剤としてN−オレイル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチル−エチレンジアミンナトリウム(A−1)を3部、ノニオン界面活性剤としてポリオキシプロピレン(2モル)ポリオキシエチレン(6モル)ノニルエーテル(N−1)を14部、ポリオキシエチレン(3モル)ドデシルエーテル/ポリオキシエチレン(3モル)トリデシルエーテル=5/5(質量比)の混合物(N−4)を10部の割合で均一混合して、実施例1の合成繊維用処理剤を調製した。
実施例1のポリアミド系合成繊維処理剤と同様にして、実施例2、参考例3及び比較例1〜6のポリアミド系合成繊維処理剤を調製した。以上で調製した各例のポリアミド系合成繊維処理剤の内容を、実施例1も含めて、表3及び表4にまとめて示した。
・実施例1
・ポリアミドフィラメントへの処理剤の付着
硫酸相対粘度ηr2.4、酸化チタン含有量0.3質量%のナイロン−6,6チップを常法により乾燥した後、エクストルーダー型紡糸機により290℃にて溶融紡糸した。紡糸口金から吐出して冷却固化した後の走行糸条に試験区分2で調製した実施例1のポリアミド系合成繊維処理剤の10%水性エマルションをガイド給油法にて付着させた。そして、40℃に加熱した4200m/分の速度で回転する第1ゴデットローラーで引き取り、185℃に加熱した第2ゴデットローラーに至る間で1.2倍に延伸し、第2ゴデットローラーとワインダーとの間に設置したエア交絡ノズルにて2.5kg/cm2の圧空により交絡処理を施した。そして、5300m/分の速度で捲き取り、処理剤付着量が0.1〜3%の範囲にはいる50デニール24フィラメントの処理済みポリアミド直接紡糸延伸糸を5kg捲きケークとして得た。
実施例1と同様にして実施例2、参考例3及び比較例1〜6の合成繊維用処理剤を付着させた。
前記で得た5kg捲きケークの延伸糸を用い、筒編機で直径70mm、長さ1.2mの編地を作製した。作製した編地を熱風式乾燥機中で、温度180℃において5分加熱し、目視により黄変の程度を下記の基準で評価した。結果を、表3及び表4にまとめて示した。
3:黄変した部分がない。
2:黄変部分が編地全体の10%以下。
1:黄変部分が編地全体の50%以下。
×:黄変部分が編地全体の90%以上。
前記で得た5kg捲きケークの延伸糸を用い、筒編機で直径70mm、長さ1.2mの編地を作製した。作製した編地を、80℃で精練し、リラックス処理した後、酸性染料(クラリアント社製の商品名サンドランブルーE−HRLN)を用いて常圧染色法により染色した。染色した編地を、常法に従い水洗し、乾燥した後、直径70mm、長さ1mの鉄製の筒に装着して、編地表面の濃染部分の点数を肉眼で数え、以下の基準で評価した。結果を表3及び表4にまとめて示した。
3:濃染部分がない。
2:濃染部分が1〜3点ある。
1:濃染部分が4〜7点ある。
×:濃染部分が8点以上ある。
前記の処理済みポリアミド直接紡糸延伸糸1トン当たりの断糸回数を算出し、下記の基準で評価した。結果を表3及び表4にまとめて示した。
3:断糸回数が0.5回未満。
2:断糸回数が0.5回以上〜1.0回未満。
1:断糸回数が1.0回以上〜2.0回未満。
×:断糸回数が2.0回以上。
前記で得た5kg捲きケークを用い、以下の編立て条件で連続して編立を行い、ガイドへの白粉の堆積によって発生する張力変動による編み欠点が発生するまでの日数を測定し、以下の基準で評価した。結果を表3及び表4にまとめて示した。
編み機:K式丸編機(永田精機株式会社製)
給糸速度:600m/分
・・加工性の評価基準
3:編立て開始から4日間以上で編み欠点が発生した。
2:編立て開始から2日間以上〜4日間未満で編み欠点が発生した。
1:編立て開始から1日間以上〜2日間未満で編み欠点が発生した。
×:編立て開始から1日間未満で編み欠点が発生した。
L−1:イソトリデシルステアレート
L−2:オクチルパルミテート
L−3:ジイソセチルチオジプロピオナート
P−1〜P−14,RP−1〜RP−4:表1及び表2に記載のもの
N−1:ポリオキシプロピレン(2モル)ポリオキシエチレン(6モル)ノニルエーテル
N−4:ポリオキシエチレン(3モル)ドデシルエーテル/ポリオキシエチレン(3モル)トリデシルエーテル=5/5(質量比)混合物
N−5:ポリオキシエチレン(4モル)ジラウリルエーテル
N−7:ポリオキシエチレン(25モル)硬化ひまし油エーテルトリラウレート
A−1:N−オレイル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチル−エチレンジアミンナトリウム
O−1:1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸
O−2:オレイン酸
表1及び表2に対応する表3及び表4の結果からも明らかなように、本発明によると、ポリアミド系合成繊維の高温加工に起因する黄変を効果的に防止すると共に、ポリアミド系合成繊維に優れた染色性を付与し、更には優れた紡糸性及び加工性を付与することができる。
Claims (3)
- 平滑剤を62〜89質量%、ノニオン界面活性剤を10〜35質量%及び有機リン酸エステル化合物を1〜25質量%(合計100質量%)の割合で含有して成るポリアミド系合成繊維処理剤であって、該有機リン酸エステル化合物が下記の有機リン酸エステル化合物A及び下記の有機リン酸エステル化合物Bを含有しており、且つ該有機リン酸エステル化合物Aを該有機リン酸エステル化合物Bよりも多く含有し、
有機リン酸エステル化合物が、下記の数1から求められる有機リン酸エステル化合物AのP核積分比率が70〜99.9となる場合のものであることを特徴とするポリアミド系合成繊維処理剤。
有機リン酸エステル化合物A:下記の化1で示される有機リン酸エステル及び/又は下記の化1で示される有機リン酸エステルの塩。
有機リン酸エステル化合物B:下記の化2で示される有機リン酸エステル及び/又は下記の化2で示される有機リン酸エステルの塩。
R1,R2,R3:炭素数4〜24の脂肪族1価アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数4〜24の脂肪族1価アルコール1モル当たりエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを合計で1〜20モル付加したものから水酸基を除いた残基)
P化1:化1で示される有機リン酸エステルのカリウム塩に帰属されるP核NMR積分値、
P化2:化2で示される有機リン酸エステルのカリウム塩に帰属されるP核NMR積分値。) - ノニオン界面活性剤が、エーテル型ノニオン界面活性剤、多価アルコール部分エステル型ノニオン界面活性剤、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤、アルキルアミド型ノニオン界面活性剤及びポリオキシアルキレン脂肪酸アミド型ノニオン界面活性剤から選ばれるものである請求項1に記載のポリアミド系合成繊維処理剤。
- 請求項1又は2に記載のポリアミド系合成繊維処理剤をポリアミド系合成繊維に対して0.1〜10質量%となるように付着させることを特徴とするポリアミド系合成繊維の処理方法。
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