JP6551504B2 - 培地供給装置 - Google Patents
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斯かる背景の下、新鮮な培地を保管する保管容器、保管容器内の培地をシャーレに注入するための配管、及びシャーレ内の培地を排出するための配管を備えた顕微鏡システムが提案されている。このような顕微鏡システムにおいては、顕微鏡は37度に維持された保温ケースの内部に収納され、保管容器は保温ケースの外部に配置される(例えば、特許文献1を参照。)。
培地保管容器に収納される交換用培地を生体試料収納容器へ導き注入するための注入配管と、前記注入配管に接続されており、先端が前記生体試料収納容器内の第1培地に接触しないように配置された注入ノズルと、を備えた注入配管装置と、
先端が前記生体試料収納容器中の生体試料に接触しないように配置された排出ノズルと、前記排出ノズルに接続されており、前記生体試料収納容器内の第1培地を排出するための第1の排出チューブと、を備えた第1の排出配管装置と、
前記第1の排出チューブとは異なる第2の排出チューブと、前記第2の排出チューブと前記注入配管とに接続された分岐部と、を備えた第2の排出配管装置と、を備え、
前記注入配管は、前記注入ノズルが設置された第1の注入チューブと、前記分岐部を介して前記第1の注入チューブと接続された第2の注入チューブとを備え、
前記第2の排出配管装置は、前記注入ノズル及び前記第1の注入チューブに停留していた第2培地を前記第2の排出チューブを経由して前記培地保管容器とは異なる排出容器へ排出する第1排出と、前記第2の注入チューブに停留していた前記第2培地を前記第2の排出チューブを経由して前記排出容器へ排出する第2排出とを行う培地供給装置を提供する。
(第1実施形態)
はじめに、本発明の第1実施形態に係る顕微鏡システムの全体的な構成を説明する。
図1に示すように本実施形態に係る顕微鏡システム1は、生体試料を培地中に生かしながら顕微鏡観察を行い、さらに培地交換を可能とするものであり、顕微鏡2、新鮮な培地の保管容器3、パーソナルコンピュータ(PC)4、培地交換用のポンプ(注入ポンプ5、第1排出ポンプ6、第2排出ポンプ7)及びポンプ制御装置8を有している。
斯かる顕微鏡2は、接眼レンズ16を除き、大きな箱状の保温ケース22で覆われて外気と隔離されている。保温ケース22の外部には保温装置23が備えられており、これによって保温ケース22内は所定温度(本実施形態では37度)に維持されている。なお、保温ケース22の内部には、チャンバ17内の温度、湿度、及び二酸化炭素濃度等を調整するための不図示の空調装置も備えられており、これによって培地20の乾燥を防止しながら試料19に好適な培養空間をチャンバ17内に維持することができる。
PC4は、顕微鏡2に備えられたカメラ15やステージ11等の電動装置、保温装置23、及びポンプ制御装置8等の制御を行う。
本実施形態において、チャンバ17内のシャーレ21には、培地20をシャーレ21に注入するための注入ノズル25と、シャーレ21内の培地20を排出するための排出ノズル26とが配置されている。注入ノズル25の先端及び排出ノズル26の先端はそれぞれシャーレ21内へ向かって屈曲しており、注入ノズル25の先端の注入口及び排出ノズル26の先端の排出口と、シャーレ21の底面との間隔は、注入時及び排出時には、各々一定に保持されている。
また、排出ノズル26の他端はチャンバ17の側壁からチャンバ17外へ露出して第1排出チューブ27と接続されており、第1排出チューブ27は保温ケース22から外部へ露出し、第1排出ポンプ6を介して第1排出容器28まで達している。一方、注入ノズル25の他端はチャンバ17の側壁から露出して第1注入チューブ31と接続されており、第1注入チューブ31はT字型の管状部材からなる分岐部30に接続されている。分岐部30には、第2排出チューブ32の先端と第2注入チューブ33の先端がさらに接続されており、第2排出チューブ32の他端は保温ケース22から外部へ露出し、第2排出ポンプ7を介して第2排出容器34まで達している。また、第2注入チューブ33の他端は保温ケース22から外部へ露出し、注入ポンプ5を介して保管容器3まで達している。
注入ポンプ5、第1排出ポンプ6、及び第2排出ポンプ7には、図1に示すように複数個のローラーを回転させる構成のペリスターポンプが採用されている。なお、ペリスターポンプに限られず、その他の電動ポンプを採用してもよい。
ポンプ制御装置8は、PC4からの指示に基づき、注入ポンプ5、第1排出ポンプ6、及び第2排出ポンプ7の駆動を制御するものである。
また、注入ポンプ5の駆動時には、注入ポンプ5の吸引力によって保管容器3から培地20を吸引し、これを第2注入チューブ33、分岐部30、及び第1注入チューブ31を順に経由して注入ノズル25よりシャーレ21内へ注入することができる。
さらに、第2排出ポンプ7の駆動時には、後に詳述するように、第2排出ポンプ7の吸引力によって第1注入チューブ31、分岐部30、及び第2注入チューブ33内の培地20を吸引し、これを第2排出チューブ32を経由して第2排出容器34へ排出することができる。
なお、以上に述べた保管容器3、PC4、注入ポンプ5、第2排出ポンプ7、ポンプ制御装置8、注入ノズル25、分岐部30、第1注入チューブ31、第2排出チューブ32、第2注入チューブ33、及び第2排出容器34を培地供給装置と称する。
また、第1注入チューブ31は分岐部30を介して第2注入チューブ33と接続されており、この第1、第2注入チューブ31、33からなる構成を注入配管と称し、この注入配管は培地20の保管容器3からシャーレ21の近傍まで延設された状態となる。
なお、顕微鏡システム1で培地交換ルーチンAを実行するにあたり、予めシャーレ21は培地20で満たされており、試料19がシャーレ21の底面に付着している。また、図1(b)に示すように注入ノズル25の先端(注入口)は、シャーレ21内の培地20に接触しないように、シャーレ21の側壁の上端と同程度の高さ位置に配置されている。そして、排出ノズル26の先端(排出口)は、シャーレ21の底面付近まで延在している。なお、斯かる前提は後述する培地交換ルーチンBにおいても同様である。
ステップS1:PC4がポンプ制御装置8に第1排出ポンプ6を駆動させる。これにより、シャーレ21内の培地20が第1排出容器28へ排出される。
ステップS2:PC4が所定時間経過後、ポンプ制御装置8に第1排出ポンプ6の駆動を停止させる。これにより、シャーレ21内の培地20の排出が完了する。
ここで、本ステップS3で第2排出ポンプ7を駆動しはじめてから次のステップS4で注入ポンプ5を駆動しはじめるまでの間の第2排出ポンプ7の送液量は、注入ノズル25、第1注入チューブ31、及び分岐部30に停留可能な培地20の合計量を十分に上回る値にすればよい。これにより、チューブ内の排出すべき培地20の排出残りを防止することができる。上述のように、注入ノズル25の先端はシャーレ21内の培地20に接触しないように十分に高い位置に配置されている。したがって、仮に第2排出ポンプ7の送液量が前記合計量を過剰に上回ったとしても、注入ノズル25の注入口から空気が吸引されるだけであるため、シャーレ21内の培地20が注入ノズル25を逆流してしまうことがない。なお、ポンプの送液量とは、ポンプの送液スピード(単位時間当たりの送液量)とポンプの駆動時間の積によって定義することができる。また、ノズルやチューブ内に停留可能な培地20の量は、ノズルやチューブの内径と長さから簡単に計算することができる。なお、第2排出チューブ32の太さを相対的に第1注入チューブ31、第2注入チューブ33の太さよりも大きくすれば、排出に要する時間をより短縮することができる。
また、本ステップS4における注入ポンプ5の送液スピードは、後のステップS5において保管容器3内の新鮮な培地20をシャーレ21内へ注入する送液スピードでもある。ここで、本実施形態では、上述のように新鮮な培地20は保管容器3内で冷却しながら保管されている。このため、新鮮な培地20をシャーレ21内へ注入する際には、この培地20の温度を所定温度(本実施形態では37度)近くまで上昇させる必要がある。また、上述のように保温ケース22内は所定温度(本実施形態では37度)に維持されているため、新鮮な培地20を保温ケース22内へ導くことで加温することができる。したがって、新鮮な培地20をシャーレ21内へ注入する前に前記所定温度近くまで十分に加温するためには、注入ポンプ5の送液スピードを十分に遅くすることが好ましい。しかし、培地20が保管容器3内で冷却保管されていない場合は、このような操作は不要である。
ここで、上記ステップS4で注入ポンプ5を駆動しはじめてから本ステップS5で第2排出ポンプ7を停止するまでの間の第2排出ポンプ7の送液量は、第2注入チューブ33に停留可能な培地20の培地量を十分に上回る値にすればよい。なお、仮に第2排出ポンプ7の送液量が前記培地量を過剰に上回った場合、保管容器3内の新鮮な培地20が第2排出容器34へ無駄に排出されることになるものの、第2排出ポンプ7の送液量が前記培地量よりも下回る場合に比べれば大きな問題ではない。これは、第2排出ポンプ7の送液量が前記培地量よりも下回ると、第2注入チューブ33に停留していた培地20がシャーレ21内へ注入されてしまうことになるためである。
ステップS6:PC4が所定時間経過後、ポンプ制御装置8に注入ポンプ5の駆動を停止させ、培地交換ルーチンAが終了する。これにより、シャーレ21内への新鮮な培地20の注入が完了する。
以上のように、顕微鏡システム1で培地交換ルーチンAが実行されることにより、注入ノズル25、第1注入チューブ31、分岐部30、第2注入チューブ33、及び第2排出チューブ32に停留して劣化した培地20がシャーレ21内へ注入されることを防止しながら培地交換を実現することができる。なお、顕微鏡システム1は、新鮮な培地20のロスを最小限に抑えながら上記培地交換を行うことができるという利点も備えている。また、顕微鏡システム1は、簡便な構成で、例えば分岐部30に電磁弁等の流路切換装置を用いることなく、培地交換ルーチンAに基づく各ポンプ5,6,7の駆動の切り換えのみで上記培地交換を行うことができるという利点も備えている。
本発明の第2実施形態に係る顕微鏡システムについて、上記第1実施形態と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
図4に示すように本実施形態に係る顕微鏡システム40では、T字型の管状部材からなる分岐部30の各管の先端に電磁弁B1,B2,B3がそれぞれ備えられており、各電磁弁B1,B2,B3の開閉を個別に制御する電磁弁制御装置41が備えられている。
また、顕微鏡システム40では、第2排出ポンプ7が備えられておらず、第2排出チューブ32が第2排出容器34へ直接導かれている。なお、第2排出チューブ32は、第2排出容器34側の先端が注入ノズル25の先端(注入口)よりも低い位置となるように配置されている。
なお、顕微鏡システム40で培地交換ルーチンBを実行するにあたり、分岐部30の各電磁弁B1,B2,B3は電磁弁制御装置41によって予め全て開放されている。
斯かる前提の下、培地交換ルーチンBは使用者が培地交換ルーチンBの開始の指示をPC4へ入力することによって開始される。
ステップT2:PC4が所定時間経過後、ポンプ制御装置8に第1排出ポンプ6の駆動を停止させる。これにより、シャーレ21内の培地20の排出が完了する。
ステップT3:PC4が電磁弁制御装置41に分岐部30の電磁弁B1を閉塞させる。
ステップT4:PC4がポンプ制御装置8に注入ポンプ5を駆動させる。これにより、分岐部30及び第2注入チューブ33に停留していた培地20が第2排出容器34へ排出される。そして、注入ポンプ5によって保管容器3から吸引された新鮮な培地20が第2注入チューブ33、分岐部30、及び第2排出チューブ32へ順に導かれる。なお、上記ステップT3で分岐部30の電磁弁B1が閉塞されているため、本ステップT4において注入ノズル25及び第1注入チューブ31に停留している培地20が移動することはない。
ここで、上記ステップT4で注入ポンプ5を駆動しはじめてから本ステップT5で注入ポンプ5を停止するまでの間の注入ポンプ5の送液量は、第2排出チューブ32、分岐部30、及び第2注入チューブ33に停留可能な培地20の合計量を十分に上回る値にすればよい。なお、仮に注入ポンプ5の送液量が前記合計量を過剰に上回った場合、保管容器3内の新鮮な培地20が第2排出容器34へ無駄に排出されることになるものの、注入ポンプ5の送液量が前記合計量よりも下回る場合に比べれば大きな問題ではない。これは、注入ポンプ5の送液量が前記合計量よりも下回ると、後述するステップT6において、注入ノズル25及び第1注入チューブ31に停留していた培地20がシャーレ21内へ注入されてしまうおそれがあるためである。
ステップT7:PC4が所定時間経過後、電磁弁制御装置41に分岐部30の電磁弁B2を閉塞させるとともに電磁弁B3を開放させる。これにより、第2排出チューブ32、分岐部30、第1注入チューブ31、及び注入ノズル25に停留していた培地20の排出が完了する。
ステップT9:PC4が所定時間経過後、ポンプ制御装置8に注入ポンプ5の駆動を停止させる。これにより、シャーレ21内への新鮮な培地20の注入が完了する。
ステップT10:PC4が電磁弁制御装置41に分岐部30の電磁弁B2を開放させ、これによって培地交換ルーチンBが終了する。
以上のように、顕微鏡システム40で培地交換ルーチンBが実行されることにより、上記第1実施形態と同様に、注入ノズル25、第1注入チューブ31、分岐部30、第2注入チューブ33、及び第2排出チューブ32に停留して劣化した培地20がシャーレ21内へ注入されることを効果的に防止しながら培地交換を実現することができる。なお、顕微鏡システム40は2つのポンプ5,6で上記培地交換を行うことができるため、安価であり省スペース化を図ることができるという利点も備えている。
また、上記各実施形態に係る顕微鏡システム1,40は、上述のようにPC4が培地交換ルーチンA,Bを実行することによって自動的に培地交換を行う構成である。しかしながらこれに限られず、使用者が培地交換ルーチンA,Bの手順に基づいて各ポンプ5,6,7や分岐部30の各電磁弁B1,B2,B3を手動で操作して培地交換を行うことも勿論可能である。
2 顕微鏡
3 保管容器
4 PC
5 注入ポンプ
6 第1排出ポンプ
7 第2排出ポンプ
8 ポンプ制御装置
19 試料
20 培地
21 シャーレ
25 注入ノズル
26 排出ノズル
27 第1排出チューブ
30 分岐部
31 第1注入チューブ
32 第2排出チューブ
33 第2注入チューブ
40 顕微鏡システム
B1 電磁弁
B2 電磁弁
B3 電磁弁
Claims (10)
- 培地保管容器に収納される交換用培地を生体試料収納容器へ導き注入するための注入配管と、前記注入配管に接続されており、先端が前記生体試料収納容器内の第1培地に接触しないように配置された注入ノズルと、を備えた注入配管装置と、
先端が前記生体試料収納容器中の生体試料に接触しないように配置された排出ノズルと、前記排出ノズルに接続されており、前記生体試料収納容器内の第1培地を排出するための第1の排出チューブと、を備えた第1の排出配管装置と、
前記第1の排出チューブとは異なる第2の排出チューブと、前記第2の排出チューブと前記注入配管とに接続された分岐部と、を備えた第2の排出配管装置と、を備え、
前記注入配管は、前記注入ノズルが設置された第1の注入チューブと、前記分岐部を介して前記第1の注入チューブと接続された第2の注入チューブとを備え、
前記第2の排出配管装置は、前記注入ノズル及び前記第1の注入チューブに停留していた第2培地を前記第2の排出チューブを経由して前記培地保管容器とは異なる排出容器へ排出する第1排出と、前記第2の注入チューブに停留していた前記第2培地を前記第2の排出チューブを経由して前記排出容器へ排出する第2排出とを行う培地供給装置。 - 前記生体試料収納容器内の前記第1培地を吸引するために前記第1の排出チューブに配される第1排出ポンプと前記交換用培地を前記注入配管を経由して前記生体試料収納容器へ注入するために前記第2の注入チューブに配される注入ポンプとを制御する制御装置を備える請求項1に記載の培地供給装置。
- 前記制御装置は前記注入配管内に停留している前記第2培地を吸引するために前記第2の排出チューブに配される第2排出ポンプをさらに制御する請求項2に記載の培地供給装置。
- 前記第2の排出配管装置は、前記制御装置が、前記第2排出ポンプを駆動することにより前記第1排出を行い、その後前記第2排出ポンプと前記注入ポンプを同時に駆動することにより前記第2排出を行う請求項3に記載の培地供給装置。
- 前記分岐部は前記制御装置によって流路の切換が可能であり、
前記第2の排出配管装置は、前記制御装置が、前記分岐部で前記第2の注入チューブの流路を遮断して前記第2排出ポンプを駆動することにより前記第1排出を行い、前記分岐部で前記第1の注入チューブの流路を遮断して前記注入ポンプを駆動することにより前記第2排出を行う請求項3に記載の培地供給装置。 - 前記分岐部は前記制御装置によって流路の切換が可能であり、
前記第2の排出配管装置は、前記制御装置が、前記分岐部で前記第1の注入チューブの流路を遮断して前記注入ポンプを駆動することにより前記第2排出を行い、前記分岐部で前記第2の注入チューブの流路を遮断することにより前記第1排出を行う請求項2に記載の培地供給装置。 - 前記制御装置は、前記分岐部で前記第2の排出チューブの流路を遮断し、前記注入ポンプを制御して前記交換用培地を前記注入配管を経由して前記生体試料収納容器へ注入する請求項5又は請求項6に記載の培地供給装置。
- 前記第2の排出チューブは前記第1の排出チューブと接続されていない請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の培地供給装置。
- 前記第1の排出配管装置は、前記生体試料収納容器内の前記第1培地を前記第1の排出チューブを経由して前記排出容器とは別の排出容器に排出する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の培地供給装置。
- 前記第2の排出チューブの先端が前記注入ノズルの先端よりも低い位置に配置されている請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の培地供給装置。
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