以下に、本発明の実施例1の現金出納機及びその電源管理ルーチンについて添付の図面を参照しつつ説明する。
[現金出納機の内部構成]
図1は、実施例1の現金出納機10の内部構成を示す構成図である。紙幣投入出金口11は、売上入金の際に、紙幣が投入される投入口である。また、紙幣投入出金口11は、売上入金の取り消しが行なわれたときに返却される紙幣、出金する出金紙幣、リジェクトされた入金リジェクト紙幣が出金(排出)される出金口ともなる。
紙幣一時保留部12は、紙幣投入出金口11から取り込まれた紙幣または紙幣投入出金口11へ排出される紙幣が一時的に集積、滞留される領域である。紙幣一時保留部12には、例えば、入金紙幣計数時又は売上金作成時に、一時的に紙幣を集積、滞留させることができる。
リサイクルカセット13〜15は、紙幣投入出金口11から投入された紙幣を収納する収納庫である。例えば、図1では、リサイクルカセット13が万券カセットであり、リサイクルカセット14が5千券カセットであり、リサイクルカセット15が千券カセットである場合を示す。また、紙幣投入出金口11から紙幣が出金される場合、リサイクルカセット13−15に収納されている紙幣が、紙幣投入出金口11に搬送されて出金される。なお、リサイクルカセット13−15は、通常時には施錠されており、収納されている紙幣の抜き取りが防止される。
精査カセット16は、紙幣の精査処理を自動で行う場合に、紙幣を一時的に退避させるカセットである。精査処理とは、入金処理時や出金処理時に搬送異常が発生した場合に、リサイクルカセット13−15に収納されている紙幣の金種と枚数とを確定させる処理である。具体的には、精査処理は、リサイクルカセット13−15の各々に収納されている紙幣を全て、一旦、繰り出して、紙幣の識別及び計数をし、その後、その紙幣を再び、収納部に戻すことで行う。
紙幣鑑別部17は、現金出納機10内を搬送される紙幣が正券・偽券であるか、紙幣が損券であるか、紙幣が表面・裏面であるか等の紙幣の状態を鑑別するものである。紙幣識別部17は、例えば、入金時に紙幣一時保留部12からリサイクルカセット13−15に紙幣が搬送されるとき、出金時にリサイクルカセット13−15から紙幣一時保留部12に紙幣が搬送されるとき、精査処理においてリサイクルカセット13−15から精査カセット16に紙幣が搬送されるときに、当該搬送される紙幣を鑑別する。
入金時において、紙幣鑑別部17による鑑別結果に応じて、正券の紙幣はリサイクルカセット13−15に搬送される。また、紙幣鑑別部17により損券等であると判断された紙幣は、後述するリジェクト部18に搬送される。
リジェクト部18は、紙幣鑑別部17により偽券、損券等と鑑別されたリジェクト紙幣を収納するものである。リジェクト部18は、例えば、売上入金時に紙幣一時保留部12からリサイクルカセット13−15に搬送される際に鑑別されたリジェクト紙幣、リサイクルカセット13−15から出金する際の搬送時に鑑別されたリジェクト紙幣、精査処理においてリサイクルカセット13−15から精査カセット16に搬送される際に鑑別されたリジェクト紙幣を集積する。
硬貨投入口19は、入金時に入金される硬貨が投入される投入口である。
硬貨鑑別部20は、硬貨投入口19から投入された硬貨が正常貨か否か鑑別するものである。
硬貨一時保留部21は、入金計数時に、投入された硬貨を一時的に集積、滞留させる領域である。
硬貨返却箱22は、売上入金の取り消しが行なわれたときに、返却される硬貨を収納するものである。
出金ホッパ23は、入金時に硬貨鑑別部20によって正常貨と鑑別された硬貨を収納しておく領域である。また、出金時には、出金ホッパ23から硬貨出金箱25に硬貨が搬送されて出金される。出金ホッパ23は、通常時には施錠されている。
硬貨回収庫24は、売上回収カセットであり、精算集計時に、出金ホッパ23から搬送され、売上金とされる硬貨を収納するものである。なお、硬貨回収庫24は、通常時には施錠されており、硬貨回収の際に開錠されるようになっている。
硬貨出金箱25は、出金の際に、出金ホッパ23から搬送されて出金される硬貨の出金口である。
カードリーダ部26は、取引開始時に、職員のIDカード等の記録媒体に格納されている情報を読み取るものである。カードリーダ部26は、例えば、IDカードの記録媒体に記録されている職員識別情報(例えば、氏名、ID等の識別情報)等の情報を読み取る。なお、カードリーダ部26は、磁気カード、ICカード等様々な媒体から職員識別情報等の情報を読取可能であってもよい。
入力受付部としての操作表示部27は、取引の際に、レジ担当者や管理者等の操作を受け付ける操作手段、現金出納機の状態等を表示する表示手段である。操作表示部27は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、タッチパネル、テンキー等から構成されているものである。
以下の説明では、紙幣投入出金口11、紙幣一時保留部12、リサイクルカセット13−15、精査カセット16、紙幣鑑別部17、リジェクト部18、硬貨投入口19、硬貨鑑別部20、硬貨一時保留部21、硬貨返却箱22、出金ホッパ23、硬貨回収箱24、硬貨出金箱25、カードリーダ部26及び操作表示部27、並びに紙幣及び硬貨の搬送部(図示せず)を処理部P(図中破線で囲んだ部分)とする。
処理制御部28は、現金出納機10の機能を実行する処理部又は装置である。処理制御部28は、例えば、CPU、記憶部(例えば、ROM、RAM、EEPROM等)、入出力インタフェース部等を有する回路で構成されるものであり、いわゆるソフトウェア処理により、各種機能が実現される。
電源部29は、外部からの電源(VD)の供給を受けて、上記処理部Pの各部分への駆動電源(VG)を供給する部分である。例えば、電源部29は、処理制御部28からの電源制御信号に応じて現金出納機10の処理部Pの各部分への電源の供給を行う。
[処理制御部の構成]
図2は、処理制御部28による主な機能を示すブロック図である。認証部201は、カードリーダ部26又は操作表示部27からの情報に基づいて、管理者や担当者の認証処理を行なうものである。認証部201による認証処理方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を適用することができる。
例えば、認証部201は、管理者識別情報や担当者識別情報を登録情報として保持しておき、カードリーダ部26からの担当者の識別情報等が登録情報と一致するか否かを判断したり、操作表示部27を介して入力されたパスワード等が登録情報と一致するか否かを判断したりすることが可能であってもよい。
また、例えば、売上入金取引、出金取引等のような取引の種類に応じて、認証部201が行う認証方法を変えることにしてもよい。例えば、セキュリティを高くする必要がある取引の際の認証においては、操作者の識別情報及び特定の暗証番号を認証する等の方法で認証を行うことにしてもよい。
入出金記憶部202は、入金及び出金に関する各種データを保持するものである。例えば、入出金記憶部202は、入金額及び出金額のデータを保持する。また、入出金記憶部202は、出金時の金種及び枚数等の出金パターンを保持していてもよい。
出金取引部203は、出金取引に関する処理を行なうものである。出金取引部203は、入出金記憶部202に事前に登録された金種及び枚数の出金パターンに基づいて出金したり、又は、操作者により指定された任意の金種及び枚数に基づいて出金したりする。
例えば、出金取引部203は、カードリーダ部26により読み込まれた情報に基づく認証部201による認証が成功すると、操作表示部27にメニュー画面を表示させる。そして、メニュー画面から「出金」ボタン(図示せず)が選択されると、その後の操作に従って、出金取引部203は、搬送機構(図示せず)に、リサイクルカセット13−15または出金ホッパ23から紙幣投入出金口11または硬貨出金箱25へ紙幣及び硬貨を搬送させて出金動作を行わせる。
また、出金取引部203は、出金した日時の情報である出金日時情報、担当者識別情報(例えば、氏名、ID等)、出金した金種及び枚数、出金金額等を対応付けて、入出金記憶部202に記憶させる。
入金取引部204は、入金取引に関する処理を行なうものである。入金取引部204は、例えば、認証部201による認証の成功後、操作表示部27によって現金の入金を誘導する。入金取引部204は入金処理が行われた日時の情報である入金日時情報、担当者識別情報、入金された金種及び枚数、並びに入金金額等を対応付けて、入出金記憶部202に記憶させる。
例えば、入金取引部204は、操作表示部27に表示されたメニュー画面から「売上入金」ボタン(図示せず)が選択されると、操作表示部27に紙幣及び硬貨の入金誘導画面を表示させる。紙幣及び硬貨(売上金)が紙幣投入出金口11または硬貨投入口19にセットされると、入金取引部204は、紙幣及び硬貨の搬送及び計数を開始させる。
紙幣及び硬貨の計数において、紙幣鑑別部13及び硬貨鑑別部20が正常と判別した紙幣及び硬貨は、紙幣一時保留部12及び硬貨一時保留部21に集積される。そして、正常と判別された紙幣及び硬貨の金額を、操作表示部27に表示させる。
例えば、操作表示部27を介して、担当者によって当該入金された金額の確認をした旨の入力が行われた後に、紙幣一時保留部12及び硬貨一時保留部21の紙幣及び硬貨が、リサイクルカセット13−15及び出金ホッパ23に収納される。
一方、例えば、計数において紙幣鑑別部13によってリジェクトされた(偽券または損券等と判定された)紙幣、いわゆるリジェクト紙幣は紙幣投入出金口11から返却される。また、硬貨鑑別部20によってリジェクトされた(偽硬貨等と判定された)硬貨、いわゆるリジェクト硬貨は硬貨返却箱22から返却される。
補充取引部205は、出金用の現金を補充するために、紙幣投入出金口11及び硬貨投入口19から投入された紙幣及び硬貨を、リサイクルカセット13−15及び出金ホッパ23に補充する補充取引に関する処理を処理部に行わせる。補充取引部205は、補充処理が行われた日時の情報である補充日時情報、補充された金種及び枚数、並びに補充金額を入出金記憶部202に記憶させる。
抜き取り取引部206は、入金過多となったときに、リサイクルカセット13−15及び出金ホッパ23に収納されている紙幣、硬貨を出金する抜き取り取引に関する処理を処理部に行わせるものである。抜き取り取引部206は、抜き取り取引を行った日時の情報である抜取日時情報、抜き取った金種及び枚数、並びに抜き取り金額等を、入出金記憶部202に記憶させる。
精算集計部としての締上げ取引部207は、出金取引情報及び入金取引情報を集計して、売上金の額を計上する精算集計取引に関する処理を行なうものである。
例えば、締上げ取引部207は、操作表示部27に表示されるメニュー画面から「精算集計」ボタン(図示せず)が選択されると、それまでの出金及び入金取引を集計し、売上額を算出(入金合計−出金合計)する。なお、締上げ取引部207は、現金出納機10の電源がオフになる際にそれまでの出金及び入金取引を集計し、売上額を算出(入金合計−出金合計)してもよい。
回収取引部208は、リサイクルカセット13−15及び硬貨回収庫24に収納された紙幣、硬貨の回収取引に関する処理を行なうものである。例えば、回収取引部208は、操作表示部27に表示されたメニュー画面から「売上回収」ボタンが選択されると、リサイクルカセット13−15、及び硬貨回収庫24を解錠する。
その後、操作表示部27に、リサイクルカセット13−15及び硬貨回収庫24の脱着に関する誘導を表示させる。リサイクルカセット13−15及び硬貨回収庫24が取り外されて売上金が回収され、その後、空のリサイクルカセット13−15及び硬貨回収庫24が取り付けられてセットが完了したところで取引終了となる。
なお、回収取引時に紙幣をリサイクルカセット13−15から精査カセット16または回収カセット(図示せず)に搬送し、当該精査カセット16または回収カセットを解錠することとしてもよい。この場合、精査カセット16または回収カセット並びに硬貨回収庫24が取り外されて売上金が回収され、その後、空の精査カセット16または回収カセット並びに硬貨回収庫24が取り付けられてセットが完了したところで取引終了となる。
電源制御部209は、電源部29によって行われる現金出納機10の処理部Pの各部分への電力供給を制御するものである。電源制御部209は、現金出納機10の電源スイッチ(図示せず)への電源投入操作に応じて、電源部29に処理部Pの各部分への電力供給を開始させ、電源遮断(オフ)操作に応じて、電源部29に処理部Pの各部分への電力供給を停止させる。また、電源制御部209は、時計機能及びタイマー機能を有しており、予め設定された時刻に基づいて電源部29による電力供給を制御する。
電源制御部209は、例えば、電源遮断時刻が予め設定されている場合には、当該電源遮断時刻の到来に応じて電源部29に電源遮断信号を送信し、電源部29に電源供給を停止させる。電源遮断時刻が到来した際に、現金出納機10による取引処理が行われている場合、または取引処理の終了から一定時間が経過していない待機状態である場合には、当該電源供給を停止させる電源遮断信号は、最後の取引処理の終了後一定時間が経過した際に送信される。
[電源管理ルーチン]
図3は、電源制御部209において、予め設定された電源遮断時刻に基づいて実行される電源管理ルーチン30を示した図である。電源制御部209は、例えば、現金出納機10の電源スイッチへの電源投入操作が行われると、電源管理ルーチン30を繰り返し実行する。
まず、予め設定された自動で電源供給を停止すべき電源遮断時刻(以下、本実施例において、自動電源オフ設定時刻という)を読み込む(ステップS1)。自動電源オフ設定時刻は、操作表示部27に表示されるメニュー画面を操作することで予め入力されていてもよい。また、自動電源オフ設定時刻は、工場出荷時にデフォルトの設定として既に入力されていてもよい。
次に、現在の時刻が自動電源オフ設定時刻以降か否かを判定する(ステップS2)。この判定は、例えば、電源制御部209の内部の時計機能から得られた時刻と自動電源オフ設定時刻とを比較することで行われる。現在の時刻が自動電源オフ設定時刻より前であると判定された場合(ステップS2:NO)、その後ルーチンは終了する。
現在の時刻が自動電源オフ設定時刻以降であると判定された場合(ステップS2:YES)、次に現在取引処理が行われているか否かが判定される(ステップS3)。例えば、取引中か否かの判定は、操作者による操作を受け付けた後、処理制御部28の各取引部203−208の制御下で行われる取引処理が終了する前か否かで判定される。
操作者による操作の受け付けとは、例えば、カードリーダ部26にICカードをかざす等の認証操作の受け付けまたは操作表示部27への入力の受け付け等である。取引中であると判定された場合(ステップS3:YES)、その後ルーチンは終了する。
ステップS3において、取引中ではないと判定された場合(ステップS3:NO)、次に最後に行われた取引処理の終了の時刻から、操作者による操作を受け付けずに予め設定された第1の判定時間としての所定の待機時間が経過したか否か、すなわち待機状態が終了したか否かが判定される(ステップS4)。
なお、当該待機時間は、操作表示部27に表示されるメニュー画面を操作することで予め入力されていてもよい。また、待機時間は、工場出荷時にデフォルトの設定として既に入力されていてもよい。最後に行われた取引処理の終了の時刻から所定の待機時間が経過していない、すなわち待機状態であると判定された場合(ステップS4:NO)、その後ルーチンは終了する。
ステップS4において、最後に行われた取引処理の終了時刻から所定の待機時間が経過した、すなわち待機状態が終了したと判定された場合(ステップS4:YES)、次に、電源部29に向けて電源遮断信号が送信され(ステップS5)、ルーチンが終了する。電源部29はこの電源遮断信号を受信すると、現金出納機10の処理部Pの各部への電源供給を停止する。
なお、電源制御部209の電源遮断信号の送信に応じて締上げ取引部207が精算集計処理を行うこととしてもよい。この場合、例えば、電源部29は、締上げ取引部207の精算集計処理の終了を待って、電源供給の停止を行う。また、電源部29は、電源供給を停止した後であっても、現金出納機10の各部に最低限必要な電力を供給することとしてもよい。
図4は、電源制御部209において、上記ルーチン30が実行される場合における電源自動遮断動作の例示の4つのパターンである。以下の説明において、待機時間をT1、取引中及び待機時間以外を電源ON運用中として図示して説明する。
図4(a)のパターンでは、取引処理の終了後、待機時間T1が経過し待機状態から脱した後に自動電源オフ設定時刻が到来する。この場合、自動電源オフ設定時刻に電源制御部209から電源部29に電源遮断信号が送信され、処理部Pへの電源の供給が停止(オフ)される。
図4(b)のパターンは、自動電源オフ設定時刻において、最後の取引処理終了後の待機時間T1が経過していない、すなわち待機状態であるパターンである。図4(b)のパターンでは、待機状態中に自動電源オフ設定時刻が到来する。この場合、電源制御部209からの電源遮断信号は、自動電源オフ設定時刻ではなく、最後の取引処理終了後の待機時間T1が経過した後、すなわち当該待機状態から脱した際に電源部29に送信され、現金出納機10の電源がオフされる。
図4(c)のパターンは、自動電源オフ設定時刻において、最後の取引処理中であるパターンである。図4(c)のパターンでは、電源制御部209からの電源遮断信号は、自動電源オフ設定時刻ではなく、最後の取引処理終了後の待機時間T1が経過した後、すなわち待機状態から脱した際に電源部29に送信され、現金出納機10の電源がオフされる。
図4(d)のパターンは、自動電源オフ設定時刻において、取引処理中であり、その後の待機状態中にさらに取引処理が開始されるパターンである。図4(d)のパターンでは、自動電源オフ設定時刻の後の待機状態中に取引処理が開始される。すなわち、自動電源オフ設定時刻の後に取引処理が終了し、その終了後待機時間T1の経過前に取引処理が開始される。
この場合、実際の電源オフ時刻は図4(c)のパターンよりさらに繰り延べられ、最後の取引処理後の待機状態が終了するまで、電源はオフされない。最後のさらなる取引処理が終了し、待機時間T1が経過した後、すなわち待機状態が終了すると電源制御部209から電源部29に電源遮断信号が送信され、現金出納機10の電源がオフされる。
このように、実施例1の現金出納機10によれば、取引処理中に自動電源オフ設定時刻が到来しても、当該取引処理後、さらに待機時間が経過した後でなければ電源はオフされない。また、取引処理後の待機状態中に自動電源オフ設定時刻が到来しても、当該待機状態が終了するまで電源はオフされない。
このように、実施例1の現金出納機10によれば、取引処理中に自動電源オフ設定時刻が到来しても、最後の取引処理後の待機時間が経過するまで実際の電源オフ時刻を繰り延べられる。すなわち、例えば、当日付で行いたい取引の終了まで電源オフ時間を自動で繰り延べることが可能である。従って、自動電源オフ設定時刻中に取引処理が行われており、さらに続けて取引を行いたい場合に、再度の電源オン操作を行う手間を省略することができる。
また、実施例1の現金出納機10によれば、自動の電源オフ後に取引処理を行うために電源を再度投入すること、すなわち自動の電源オフ機能が機能しない状態での再度の電源投入を防止することができる。従って、自動の電源オフを確実に行うことができ、消費電力の削減を確実にかつ効率的に行うことが可能である。
また、上述のように、実施例1の現金出納機10によれば、当日付で行いたい取引の終了まで電源オフ時間を自動で繰り延べることが可能である。よって、例えば、締上げ取引部207が現金出納機10の電源オフと連動して一日の売上金の額を計上する精算集計取引処理を行なう場合に、当該精算集計取引処理を、混乱を生じずに正確に行うことが可能である。
すなわち、自動の電源オフに応じて精算集計取引処理が行われた後に、再度電源をオンしてオフすることにより、同日の精算集計取引処理が2回に分割され、混乱が発生することを防止し、精算集計取引を正確に行うことが可能である。
以下に、本発明の実施例2の現金出納機及びその電源管理ルーチンについて添付の図面を参照しつつ説明する。なお、実施例2の現金出納機10は、実施例1の現金出納機10と電源制御部209の機能が異なる以外、同様の構成を有している。従って、実施例2の現金出納機10の内部構成については、電源制御部209以外の構成については説明を省略する。
実施例2の現金出納機10において、電源制御部209は、実施例1と同様に、電源部29によって行われる現金出納機10の処理部Pの各部分への電源供給を制御するものである。電源制御部209は、現金出納機10の電源スイッチ(図示せず)への電源投入操作に応じて、電源部29に電源供給を開始させ、電源遮断操作に応じて、電源部29に電源供給を停止させる。また、電源制御部209は、時計機能及びタイマー機能を有しており、予め設定された時刻に基づいて電源部29による電源供給を制御する。
例えば、自動電源遮断時刻が予め設定されている場合には、当該自動電源遮断時刻の到来に応じて電源部29に電源遮断信号を送信し、電源部29に電源供給を停止させる。電源遮断時刻が到来した際に、現金出納機10による取引処理が行われている場合、または取引処理の終了から一定時間が経過していない待機中である場合には、当該電源供給を停止させる電源遮断信号は、最後の取引処理の終了後一定時間が経過した際に送信される。
また、電源制御部209は、電源制御部209が電源遮断信号を送信する時刻が近づいた場合に、電源遮断信号を送信するまでの時間を操作表示部27に表示する。具体的には、例えば、取引処理の終了後の待機時間の終了予定時刻が、自動電源遮断時刻よりも後の時刻である場合に、待機時間の終了予定時刻、すなわち電源遮断信号の送信予定時刻までの残り時間を表示する。
[電源管理ルーチン]
図5は、電源制御部209において、予め設定された電源遮断時刻に基づいて実行される電源管理ルーチン50を示した図である。電源制御部209は、例えば、現金出納機10の電源スイッチへの電源投入操作が行われると、電源管理ルーチン50を繰り返し実行する。
まず、予め設定された自動で電源の供給を停止すべき電源遮断時刻(以下、本実施例において、自動電源オフ設定時刻という)を読み込む(ステップS1)。自動電源オフ設定時刻は、操作表示部27に表示されるメニュー画面を操作することで予め入力されていてもよい。また、自動電源オフ設定時刻は、工場出荷時にデフォルトの設定として既に入力されていてもよい。
次に、現在の時刻が自動電源オフ設定時刻以降か否かを判定する(ステップS2)。この判定は、例えば、電源制御部209の内部の時計機能から得られた時刻と自動電源オフ設定時刻とを比較することで行われる。現在の時刻が自動電源オフ設定時刻より前であると判定された場合(ステップS2:NO)、その後ルーチンは終了する。
現在の時刻が自動電源オフ設定時刻以降であると判定された場合(ステップS2:YES)、次に現在取引処理が行われているかが判定される(ステップS3)。例えば、取引中か否かの判定は、操作者による操作を受け付けた後、処理制御部28の各取引部203−208において取引処理が終了する前か否かで判定される。
操作者による操作の受け付けとは、例えば、カードリーダ部26にICカードをかざす等の認証操作の受け付けまたは操作表示部27への入力の受け付け等である。取引中であると判定された場合(ステップS3:YES)、その後ルーチンは終了する。
ステップS3において、取引中ではないと判定された場合(ステップS3:NO)、次に最後に行われた取引処理の終了の時刻から、操作者による操作を受け付けずに予め設定された第1の判定時間としての所定の待機時間が経過したか否か、すなわち待機状態であるか否かが判定される(ステップS4)。
なお、当該待機時間は、操作表示部27に表示されるメニュー画面を操作することで予め入力されていてもよい。また、待機時間は、工場出荷時にデフォルトの設定として既に入力されていてもよい。
ステップS4において、最後に行われた取引処理の終了時刻から所定の待機時間が経過した、すなわち待機状態が終了したと判定された場合(ステップS4:YES)、次に、電源部29に向けて電源遮断信号が送信され(ステップS5)、ルーチンが終了する。電源部29はこの電源遮断信号を受信すると、現金出納機10の処理部Pの各部への電源供給を停止する。
なお、電源制御部209の電源遮断信号の送信に応じて締上げ取引部207が精算集計処理を行うこととしてもよい。この場合、例えば、電源部29は、締上げ取引部207の精算集計処理の終了を待って、電源供給の停止を行う。また、電源部29は、電源供給を停止した後であっても、現金出納機10の処理部Pの各部に最低限必要な電力を供給することとしてもよい。
ステップS4において最後に行われた取引処理の終了の時刻から所定の待機時間が経過していない、すなわち待機状態であると判定された場合(ステップS4:NO)、処理はステップS6に進む。ステップS6において、電源制御部209は、操作表示部27に電源オフまでの時間、すなわち電源部29に電源遮断信号を送信するまでの時間を表示させて操作者に告知する。換言すれば、電源制御部209は、操作者に電源遮断(電源供給の停止)の予告を行う。
図6に、ステップS6において表示される画面の一例を示す。画面60では、上部破線61内において電源オフまでの時間が表示される。なお、図6に示すように、電源オフまでの時間を表示した上で「IDカードをかざして下さい」等、カードリーダ部26に対して認証操作を行って取引処理を開始させることを促すこととしてもよい。ステップS6の終了後、ルーチンが終了する
このように、実施例2の現金出納機10によれば、取引処理中に自動電源オフ設定時刻が到来しても、最後の取引処理後の待機時間が経過するまで実際の電源オフ時刻を繰り延べられる。すなわち、例えば、当日付で行いたい取引の終了まで電源オフ時間を自動で繰り延べることが可能である。従って、自動電源オフ設定時刻中に取引処理が行われており、さらに続けて取引を行いたい場合に、再度の電源オン操作を行う手間を省略することができる。
また、実施例2の現金出納機10によれば、自動の電源オフ後に取引処理を行うために電源を再度投入すること、すなわち自動の電源オフ機能が機能しない状態での再度の電源投入を防止することができる。従って、自動の電源オフを確実に行うことができ、消費電力の削減を確実にかつ効率的に行うことが可能である。
また、上述のように、実施例2の現金出納機10によれば、当日付で行いたい取引の終了まで電源オフ時間を自動で繰り延べることが可能である。よって、例えば、締上げ取引部207が現金出納機10の電源オフと連動して一日の売上金の額を計上する精算集計取引処理を行なう場合に、当該精算集計取引処理を、混乱を生じずに正確に行うことが可能である。
すなわち、自動の電源オフに応じて精算集計取引処理が行われた後に、再度電源をオンしてオフすることにより、同日の精算集計取引処理が2回に分割され、混乱が発生することを防止し、精算集計取引を正確に行うことが可能である。
また、実施例2の現金出納機10によれば、上述のように、電源制御部209は、電源遮断信号を送信する時刻が近づいた場合に、電源遮断信号を送信するまでの時間を操作表示部27に表示する。具体的には、例えば、取引処理の終了後の待機時間の終了予定時刻が、自動電源遮断時刻よりも後の時刻である場合に、待機時間の終了予定時刻、すなわち電源遮断信号の送信予定時刻までの残り時間を表示する。
これの表示により、現金出納機10を操作する取引担当者等の操作者が、自動電源オフまでの時間を把握することができる。従って、操作者の操作遅延により意図に反して現金出納機10の電源が自動にオフになってしまうことを防止することが可能である。
例えば、取引処理を行いたい操作者は、上記残り時間が少ない場合に、取り敢えずまずカードリーダ部26にIDカードを認識させる操作を行うことで、取引操作及び処理を開始することで、意図に反した現金出納機10の自動電源オフを防止することが可能である。
[変形実施例]
上記実施例の現金出納機10において、各取引処理の終了後、一定時間操作を受け付けなかった場合に、例えば、電源部29が現金出納機10の処理部Pの各部分への電力供給量を低減させる電力供給量低減モードとしての省電力モードに移行することとしてもよい。省電力モードは、例えば、電源制御部209が電源部29に電力供給量低減信号としての省電力モード移行信号を送信することで開始されてもよい。
省電力モードにおいては、例えば、操作表示部27のLCD等のバックライトを消灯させたり、例えば紙幣または硬貨搬送装置等の機械駆動系装置への電源供給を遮断したりしてもよい。また、現金出納機10の処理部Pの各部の電力供給量を減少させたり、特定の部分への電源供給を停止させたりすることとしてもよい。
また、省電力モードからの復帰は、例えば、カードリーダ部26への認証操作を受け付けた際または操作表示部27への入力を受け付けた際に、電源部29に復帰信号を送信することで、に行われてもよい。
[電源管理ルーチン]
図7に省電力モードを有する現金出納機10の電源制御部209が実行する電源管理ルーチン70の一例を示す。電源制御部209は、例えば、現金出納機10の電源スイッチへの電源投入操作が行われると、電源管理ルーチン70を繰り返し実行する。なお、電源管理ルーチン70は、上記実施例2における電源管理ルーチンと同様に、自動電源オフまでの時間を告知する、操作者に電源遮断の予告を行う処理を含んでいる(実施例2の図5のステップS6参照)。
まず、予め設定された自動で電源の供給を停止すべき電源遮断時刻(以下、自動電源オフ設定時刻という)を読み込む(ステップS1)。自動電源オフ設定時刻は、操作表示部27に表示されるメニュー画面を操作することで予め入力されていてもよい。また、自動電源オフ設定時刻は、工場出荷時にデフォルトの設定として既に入力されていてもよい。
次に、現在の時刻が自動電源オフ設定時刻以降か否かを判定する(ステップS2)。この判定は、例えば、電源制御部209の内部の時計機能から得られた時刻と自動電源オフ設定時刻とを比較することで行われる。現在の時刻が自動電源オフ設定時刻より前であった場合(ステップS2:NO),処理はステップS3に進む。
ステップS3において、最後に行われた取引処理の終了の時刻から、操作者による操作受け付けずに、予め設定された第2の判定時間としての待機時間すなわち省電力モードへの移行待機時間(以下、移行待機時間という)が経過したか否かが判定される。
操作者による操作の受け付けとは、例えば、カードリーダ部26への認証操作の受け付けまたは操作表示部27への入力の受け付け等である。また、当該移行待機時間は、操作表示部27に表示されるメニュー画面を操作することで予め入力されていてもよい。また、移行待機時間は、工場出荷時にデフォルトの設定として既に入力されていてもよい。
ステップS3において移行待機時間が経過したと判定された場合(ステップS3:YES)、電源制御部209は電源部29に省電力モード移行信号を送信し、電源部29ひいては現金出納機10が省電力モードに移行し(ステップS4)、その後ルーチンは終了する。
ステップS3において、移行待機時間が経過していないと判定された場合(ステップS3:NO)、現時点において省電力モード移行信号に基づく省電力モードであるか否かが判定される(ステップS5)。ステップS5において、省電力モードではないと判定された場合(ステップS5:NO)、その後ルーチンは終了する。
ステップS5において、省電力モードであると判定された場合(ステップS5:YES)、すなわち省電力モード中に電源制御部209は、電源部29に復帰信号を送信する(ステップS6)。これによって、電源部29ひいては現金出納機10を省電力モードから通常の電源供給を行う通常モードに移行され、その後ルーチンは終了する。
ステップS2において、現在の時刻が自動電源オフ設定時刻以降であると判定された場合(ステップS2:YES)、次に現在取引処理が行われているかが判定される(ステップS7)。例えば、取引中か否かの判定は、操作者による操作を受け付けた後、処理制御部28の各取引部203−208において取引処理が終了する前か否かで判定される。
操作者による操作の受け付けとは、例えば、カードリーダ部26にICカードをかざす等の認証操作の受け付けまたは操作表示部27への入力の受け付け等である。取引中であると判定された場合(ステップS7:YES)、その後ルーチンは終了する。
ステップS7において、取引中ではないと判定された場合(ステップS7:NO)、次に最後に行われた取引処理の終了の時刻から、操作者による操作を受け付けずに予め設定された第1の判定時間としての所定の待機時間、すなわち電源供給の停止までの待機時間(以下、供給停止待機時間という)が経過したか否か、すなわち待機状態であるか否かが判定される(ステップS8)。
なお、当該供給停止待機時間は、操作表示部27に表示されるメニュー画面を操作することで予め入力されていてもよい。また、供給停止待機時間は、工場出荷時にデフォルトの設定として既に入力されていてもよい。
ステップS8において、最後に行われた取引処理の終了時刻から所定の供給停止待機時間が経過した、すなわち待機状態が終了したと判定された場合(ステップS8:YES)、次に、電源部29に向けて電源遮断信号が送信され(ステップS9)、ルーチンが終了する。電源部29はこの電源遮断信号を受信すると、現金出納機10の処理部Pの各部への電源供給を停止する。
なお、電源制御部209の電源遮断信号の送信に応じて締上げ取引部207が精算集計処理を行うこととしてもよい。この場合、例えば、電源部29は、締上げ取引部207の精算集計処理の終了を待って、電源供給の停止を行う。また、電源部29は、電源供給を停止した後であっても、現金出納機10の処理部Pの各部に最低限必要な電力を供給することとしてもよい。
ステップS8において最後に行われた取引処理の終了の時刻から所定の供給停止待機時間が経過していない、すなわち待機状態であると判定された場合(ステップS8:NO)、処理はステップS10に進む。ステップS10において、電源制御部209は、操作表示部27に電源オフまでの時間、すなわち電源部29に電源遮断信号を送信するまでの時間を表示させて操作者に告知する。換言すれば、電源制御部209は、操作者に電源遮断の予告を行う。
ステップS10においては、例えば、上述の実施例2において説明した図6に示すような画面表示を行うこととしてもよい。ステップS10の終了後、ルーチンが終了する。
上記変形実施例の現金出納機10によれば、上記実施例1及び2と同様の効果を得ることができ、さらに、省電力モードを実行することにより現金出納機10における電力消費量をさらに低減することが可能である。
なお、上記変形実施例においては、実施例2の現金出納機10と同様に電源オフまでの時間を告知することとしたが、ステップS10を省き、実施例1と同様に電源オフまでの時間を告知しないこととしてもよい。
また、上記変形実施例において、移行待機時間及び供給停止待機時間は同一の時間であっても異なった時間であってもよい。移行待機時間及び遮断待機時間が同一である場合、自動電源オフ時刻の後に省電力モードに移行するタイミングで自動電源オフが行われることとなる。
また、上記実施例においては、電源オフまでの時間を操作表示部27の画面表示によって告知する場合を例に説明したが、画面表示に加えてまたは画面表示に変えて、電源オフまでの時間を音声で告知することとしてもよい。
また、上記実施例において、現金出納機10の電源が自動でオンすることとしてもよい。具体的には、例えば、電源自動オン時刻が設定され、当該設定された自動電源自動オン時刻が到来すると、電源制御部209が電源部29に電源供給開始信号を送信し、それに応じて電源部29が現金出納機10の処理部Pへの電源の供給を開始することとしてもよい。
また、上記実施例においては、電源部が電源遮断信号を受信すると、処理部Pへの電源供給を停止することとしたが、電源制御部209以外の全ての部分への電源供給を停止することとしてもよい。
また、上記実施例の現金出納機は、単体でオフラインで運用されてもよいし、ネットワークに接続されて、金融機関の管理システム等の上位サーバまたは他の機器と連携してオンラインで運用されてもよい。
また、上記実施例では現金出納機を例として説明したが、上記構成及びルーチンは小売店やスーパーマーケット等の流通及び商業施設等に設置されるキャッシュレジスタ等、出金及び入金を行う様々な現金処理装置に適用可能である。
上述した実施例における種々の構成、ルーチンは例示に過ぎず、用途等に応じて適宜選択及び変更可能である。