JP6548544B2 - 排気浄化触媒及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、排気浄化触媒及びその製造方法に関する。
従来、内燃機関から排出される排気中に含まれる窒素酸化物(以下、「NOx」という。)、炭化水素(以下、「HC」という。)及び一酸化炭素(以下、「CO」という。)を浄化することを目的として、内燃機関の排気系に排気浄化触媒が設けられている。特に近年では、有害物質の排出規制が厳しさを増しており、従来課題であった内燃機関の冷間始動(以下、「コールドスタート」という。)時等の低温条件において、排気を効率良く浄化できる排気浄化触媒の開発が求められている。
そこで例えば、鉄、銅、マンガン、クロム、コバルト、ニッケル、スズ等の卑金属と、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属と、ゼオライトと、を含むコールドスタート触媒が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この触媒によれば、コールドスタート時に排気中のNOx及びHCを効率良く吸着、浄化できるとされている。
特表2014−519975号公報
しかしながら、特許文献1の触媒は、低温条件下において優れたNOx吸着性能を有するものの、ストイキ又はリッチの低酸素濃度雰囲気で且つ高温の排気に晒されると、NOx吸着性能が著しく低下するという課題があった。
さらに、NOx吸着性能が確保できた場合であっても、NOx脱離温度が低すぎる場合、NOx浄化反応に必要な温度に到達しないため、NOx浄化反応が起こらず、NOxが浄化されずに排出されてしまう問題がある。また、NOx脱離温度が高すぎる場合、昇温制御等の燃費ロスが発生する問題がある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温条件下において優れたNOx吸着性能を有するとともに、低酸素濃度雰囲気における優れた耐熱性を有し、また、NOx脱離温度が調整可能であり、NOx脱離温度を適正に設定できる排気浄化触媒を提供することにある。
(1)上記目的を達成するため本発明は、内燃機関(例えば、後述のエンジン2)の排気系(例えば、後述の排気管3)に設けられ、排気中のNOxを浄化する排気浄化触媒(例えば、後述のNOx触媒12)であって、ゼオライトからなる担体と、前記担体に担持されたPdと、前記担体に担持され且つCe、Pr、Sr、Ba、La、Ga、In及びMnからなる群より選択される少なくとも1種の添加元素と、からなる排気浄化触媒を提供する。
ここで、通常、ゼオライトは、NOとして供給されたNOxをその細孔内に吸着する特性を有する。そのため、主として排気中のNOxを構成するNOをNOに変換するために、排気をリーンにして高酸素濃度且つ高温雰囲気下でPt等の活性種が必要である。ところが、内燃機関の暖機状態等の低温条件下においては、燃焼の安定化や排気浄化触媒の昇温を目的として混合気の空燃比がストイキ又はリッチに制御される。そのため、NOをNOに酸化させるための酸素濃度及び反応温度が不足するうえ、ゼオライトへのNOx吸着を阻害する水分子が排気中に多く含まれるため、NOxを効率良く吸着できない。
これに対して本発明に係る排気浄化触媒によれば、ゼオライトからなる担体にPdを担持させることで、低温条件下において優れたNOx吸着性能が得られる。即ち、本発明に係る排気浄化触媒では、Pdは、ゼオライトを構成するAl、Si及びOのうち、酸点であるAlの近傍に配置される。これにより、Pdは、Alとの相互作用によって電子状態が変化し、2価のPd2+として存在する。この2価のPd2+は、NOをそのまま吸着する特性を有する。従って、本発明に係る排気浄化触媒によれば、水分の吸着の影響を受け難く、また、NOをNOに酸化させる必要がないことから、排気がストイキ又はリッチの低温条件下においても、優れたNOx吸着性能が得られる。
また、NOxを吸着するサイトであるゼオライト上の2価のPd2+は、低酸素濃度雰囲気下で高温に晒されると、0価のPdに還元される。すると、ゼオライトとPdの相互作用が弱まり、Pdが移動して凝集することでPdの分散性が悪化する。従って、Pdが微粒子化された状態を維持できないため担持量を増加させても表面積が増大せず、担持量に見合ったNOx吸着性能が得られない。また、担持量を増加させない場合、NOxの吸着サイトが減少し、NOx吸着性能が低下する。
これに対して本発明に係る排気浄化触媒によれば、Pdに加えて、Ce、Pr、Sr、Ba、La、Ga、In及びMnからなる群より選択される少なくとも1種の添加元素をゼオライトに共担持させることで、低酸素濃度雰囲気下における耐熱性を向上できる。即ち、Pdの間に、Ce、Pr、Sr、Ba、La、Ga、In及びMnからなる群より選択される少なくとも1種の添加元素が介在することで、2価のPd2+が0価のPdに還元されるのを抑制できるとともに、Pdの移動及び凝集を抑制できるため、Pdの分散性の悪化を抑制できる。ひいては、優れたNOx吸着性能を維持でき、低酸素濃度雰囲気における耐熱性を向上できる。また、Pdの移動及び凝集を抑制できるため、Pdの担持量を増加させてもPdが微粒子化した状態を維持できるので、Pdの担持量を増加させてNOx吸着性能を増強することが可能となる。
さらに、本発明に係る排気浄化触媒によれば、Pdに加えて、Ce、Pr、Sr、Ba、La、Ga、In及びMnからなる群より選択される少なくとも1種の添加元素をゼオライトに共担持させることで、NOx脱離温度を調整することが可能となる。即ち、NOx脱離温度が低すぎる場合、NOx浄化反応が起こらず吸着したNOxが外部に放出されてしまう問題があり、NOx脱離温度が高すぎる場合、NOx脱離後、次回始動時のNOx吸着量を確保するための昇温制御等の燃費ロスが発生する問題があるが、NOx脱離温度が調整可能であることでNOx脱離温度を適正に設定でき、上記のような不具合を防止できる。
(2)前記添加元素は、Ceであり、前記排気浄化触媒全体に対するCeの含有量は、0.1〜13質量%であることが好ましい。
この発明では、Pdに加えてCeをゼオライトに担持するとともに、排気浄化触媒全体に対するCeの含有量を0.1〜13質量%とする。Ceの含有量がこの範囲内であれば、(1)の発明の効果がより確実に得られるうえ、Ceの含有量が多過ぎてPdの分散性を阻害することもない。
(3)前記添加元素は、Prであり、前記排気浄化触媒全体に対するPrの含有量は、0.05〜0.4質量%であることが好ましい。
この発明では、Pdに加えてPrをゼオライトに担持するとともに、排気浄化触媒全体に対するPrの含有量を0.05〜0.4質量%とする。Prの含有量がこの範囲内であれば、(1)の発明の効果がより確実に得られるうえ、Prの含有量が多過ぎてPdの分散性を阻害することもない。
(4)前記添加元素は、Srであり、前記排気浄化触媒全体に対するSrの含有量は、0.05〜0.03質量%であることが好ましい。
この発明では、Pdに加えてSrをゼオライトに担持するとともに、排気浄化触媒全体に対するSrの含有量を0.05〜0.03質量%とする。Srの含有量がこの範囲内であれば、(1)の発明の効果がより確実に得られるうえ、Srの含有量が多過ぎてPdの分散性を阻害することもない。
(5)前記添加元素は、Baであり、前記排気浄化触媒全体に対するBaの含有量は、0.01〜0.5質量%であることが好ましい。
この発明では、Pdに加えてBaをゼオライトに担持するとともに、排気浄化触媒全体に対するBaの含有量を0.01〜0.5質量%とする。Baの含有量がこの範囲内であれば、(1)の発明の効果がより確実に得られるうえ、Baの含有量が多過ぎてPdの分散性を阻害することもない。
(6)前記添加元素は、Laであり、前記排気浄化触媒全体に対するLaの含有量は、0.01〜4.1質量%であることが好ましい。
この発明では、Pdに加えてLaをゼオライトに担持するとともに、排気浄化触媒全体に対するLaの含有量を0.01〜4.1質量%とする。Laの含有量がこの範囲内であれば、(1)の発明の効果がより確実に得られるうえ、Laの含有量が多過ぎてPdの分散性を阻害することもない。
(7)前記添加元素は、Gaであり、前記排気浄化触媒全体に対するGaの含有量は、0.01〜2質量%であることが好ましい。
この発明では、Pdに加えてGaをゼオライトに担持するとともに、排気浄化触媒全体に対するGaの含有量を0.01〜2質量%とする。Gaの含有量がこの範囲内であれば、(1)の発明の効果がより確実に得られるうえ、Gaの含有量が多過ぎてPdの分散性を阻害することもない。
(8)前記添加元素は、Inであり、前記排気浄化触媒全体に対するInの含有量は、0.04〜1質量%であることが好ましい。
この発明では、Pdに加えてInをゼオライトに担持するとともに、排気浄化触媒全体に対するInの含有量を0.04〜1質量%とする。Inの含有量がこの範囲内であれば、(1)の発明の効果がより確実に得られるうえ、Inの含有量が多過ぎてPdの分散性を阻害することもない。
(9)前記添加元素は、Mnであり、前記排気浄化触媒全体に対するMnの含有量は、0.01〜0.26質量%であることが好ましい。
この発明では、Pdに加えてMnをゼオライトに担持するとともに、排気浄化触媒全体に対するMnの含有量を0.01〜0.26質量%とする。Mnの含有量がこの範囲内であれば、(1)の発明の効果がより確実に得られるうえ、Mnの含有量が多過ぎてPdの分散性を阻害することもない。
(10)(1)〜(9)の排気浄化触媒の製造方法であって、ゼオライトと、Pdを含むPd化合物と、前記添加元素を含む添加元素化合物と、を用いて調製された触媒粉末を、500〜700℃で焼成する触媒粉末焼成工程と、前記触媒粉末焼成工程で焼成された触媒粉末を用いて調製されたスラリーが塗布された支持体を、750〜950℃で焼成する支持体焼成工程と、を有する排気浄化触媒の製造方法を提供する。
本発明に係る排気浄化触媒の製造方法によれば、触媒粉末を500〜700℃で焼成する触媒粉末焼成工程を設けることにより、低酸素濃度雰囲気における耐熱性をより向上できる。
また、本発明に係る排気浄化触媒の製造方法によれば、触媒粉末焼成工程で焼成された触媒粉末を用いて調製されたスラリーが塗布された支持体を、触媒粉末焼成工程の焼成温度よりも高い750〜950℃で焼成する支持体焼成工程を設けることにより、Pdの分散性をより向上でき、低温条件下におけるNOx吸着性能をより向上できる。
本発明によれば、低温条件下において優れたNOx吸着性能を有するとともに、低酸素濃度雰囲気における優れた耐熱性を有し、また、NOx脱離温度が調整可能であり、NOx脱離温度を適正に設定できる排気浄化触媒を提供できる。
本発明の一実施形態に係るNOx触媒を備える内燃機関の排気浄化装置を示す図である。 上記実施形態に係るNOx触媒におけるNOxの吸着・脱離挙動を示す図である。 上記実施形態に係るNOx触媒におけるBa添加量とPd粒子径との関係、及び、Pd粒子径とNO吸着量との関係を示す図である。 上記実施形態に係るNOx触媒の触媒粉末焼成温度とエージング後におけるNOx吸着量との関係を示す図である。 上記実施形態に係るNOx触媒の支持体焼成温度と初期状態におけるNOx吸着量との関係を示す図である。 実施例1〜8及び比較例1に係るNOx触媒のNOx吸着量を示す図である。 実施例1及び比較例2に係るNOx触媒のNOx脱離温度を示す図である。 実施例2及び比較例2に係るNOx触媒のNOx脱離温度を示す図である。 実施例3及び比較例2に係るNOx触媒のNOx脱離温度を示す図である。 実施例4及び比較例2に係るNOx触媒のNOx脱離温度を示す図である。 実施例5及び比較例2に係るNOx触媒のNOx脱離温度を示す図である。 実施例6及び比較例2に係るNOx触媒のNOx脱離温度を示す図である。 実施例7及び比較例2に係るNOx触媒のNOx脱離温度を示す図である。 実施例8及び比較例2に係るNOx触媒のNOx脱離温度を示す図である。 実施例1−1〜1−5及び比較例1−1〜1−5に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。 実施例2−1〜2−2及び比較例1−1〜1−5に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。 実施例3−1〜3−2及び比較例1−1〜1−5に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。 実施例4−1〜4−4及び比較例1−1〜1−5に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。 実施例5−1〜5−3及び比較例1−1〜1−5に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。 実施例6−1〜6−4及び比較例1−1〜1−5に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。 実施例7−1〜7−4及び比較例1−1〜1−5に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。 実施例8−1〜8−4及び比較例1−1〜1−5に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るNOx触媒を備える内燃機関2の排気浄化装置1を示す図である。この内燃機関(以下、「エンジン」という。)2は、例えば、図示しない車両に搭載された4気筒のガソリンエンジンである。このエンジン2による混合気の燃焼により生じた排気は、後述の排気管3に排出される。
排気管3には、排気を浄化するための排気浄化装置1が設けられている。排気浄化装置1は、排気管3内に設けられた三元触媒(以下、「TWC」という。)11と、その下流側の排気管3内に設けられたNOx触媒12と、を備える。TWC11は、ハニカム支持体に担持された従来公知のTWCであり、その活性温度以上のときに、ストイキ雰囲気の排気を、HC及びCOの酸化とNOxの還元によって浄化する。
NOx触媒12は、主として、冷間始動時等の低温条件下において、TWC11で浄化されなかったNOxを吸着して浄化する。NOx触媒12は、従来公知の例えばコージェライト製のハニカム支持体に担持される。NOx触媒12は、ゼオライトからなる担体と、ゼオライトに担持されたPdと、ゼオライトに担持され且つCe、Pr、Sr、Ba、La、Ga、In及びMnからなる群より選択される少なくとも1種の添加元素と、を含む。
本実施形態のゼオライトは、ストイキ又はリッチ雰囲気下で排気中に多く含まれるHCを、低温条件下でその細孔内に取り込んで吸着し、吸着したHCを、高温条件下で脱離する特性を有する。HCの脱離が開始されるHC脱離温度は、後述するPdからNOxが脱離し始めるNOx脱離温度とほぼ同等である。
ゼオライトとしては、ZSM−5、フェリエライト、モルデナイト、Y型ゼオライト、ベータ型ゼオライト、CHA型ゼオライト、SAPO−34が挙げられる。本実施形態では、これらのうちいずれかを単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。これらのゼオライトに後述のPd及び添加元素を担持させることにより、優れたNOx吸着性能が発現する。
ここで、通常、ゼオライトは、NOとして供給されたNOxをその細孔内に吸着する特性を有する。そのため、主として排気中のNOxを構成するNOをNOに変換するために、排気をリーンにして高酸素濃度且つ高温雰囲気下でPt等の活性種が必要である。ところが、エンジンの暖機状態等の低温条件下においては、燃焼の安定化や排気浄化触媒の昇温を目的として混合気の空燃比がストイキ又はリッチに制御される。そのため、NOをNOに酸化させるための酸素濃度及び反応温度が不足するうえ、ゼオライトへのNOx吸着を阻害する水分子が排気中に多く含まれるため、NOxを効率良く吸着できない。
これに対して本実施形態のNOx触媒12では、Pdが、後述する添加元素の作用により良好な分散状態で、担体のゼオライトに担持されている。Pdは、ゼオライトを構成するAl、Si及びOのうち、酸点であるAlの近傍に配置される。これにより、Pdは、Alとの相互作用によって電子状態が変化し、2価のPd2+として存在する。この2価のPd2+は、従来のゼオライトのNOx吸着とは異なり、NOを酸化してNOとするまでもなくNOをそのまま吸着する特性を有する。これにより、本実施形態のNOx触媒12は、排気中の水分の影響を受け難く、排気がストイキ又はリッチの低温条件下においても優れたNOx吸着性能を発揮する。
NOx触媒12全体に対するPdの含有量は、0.01〜10質量%であることが好ましい。Pdの含有量がこの範囲内であれば、優れたNOx吸着性能が得られる。より好ましい含有量は、0.1〜3質量%である。
添加元素は、上記で列挙した元素のいずれかを単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。これら添加元素は、Pdとともにゼオライトに共担持され、Pd間に介在している。ここで、2価のPd2+は、低酸素濃度雰囲気下で高温に晒されると0価のPdに還元される特性を有するところ、本実施形態ではこれら添加元素がPd間に介在することによって、Pdへの還元が抑制されている。これにより、2価のPd2+とゼオライトとの強い相互作用が維持され、Pdの移動及び凝集が抑制される結果、Pdの良好な分散性が確保されており、Pdは微粒子化された状態を維持できる。また、Pdは担持量を増大させても微粒子化された状態を維持できるため、担持量を増大させてNOx吸着性能を増強することが可能となる。
ここで、図2は、本実施形態に係るNOx触媒12におけるNOxの吸着・脱離挙動を示す図である。この図2は、本実施形態に係るNOx触媒12に対して、以下の吸着条件で排気を導入してNOxを吸着させた後、以下の脱離条件で排気を導入してNOxを脱離させた場合における、NOx触媒12に流入する排気の温度とNOx触媒から流出する排気中のNOx濃度を示している。
図2中、横軸は時間(秒)を表し、右縦軸は触媒前温度、即ちNOx触媒12に流入する排気の温度を表している。また、左縦軸は、NOx触媒12から流出する排気中のNOx濃度(ppm)を示している。
[吸着条件]
排気組成:NO=100ppm、O=10%、Nバランスガス
排気流量:20L/分
排気温度:50℃
[脱離条件]
排気組成:O=10%、Nバランスガス
排気流量:20L/分
排気温度:50℃から500℃まで20℃/分で昇温
図2に示すように、先ず上記吸着条件に従って、排気温度が50℃の低温で且つNOを100ppm含む排気をNOx触媒12に導入し始めた直後においては、NOx触媒12から流出する排気中のNOx濃度はほぼ0ppmである。これは、NOx触媒12に流入する排気中に含まれるNOx(NO)のほぼ全てがNOx触媒12に吸着されていることを意味する。この結果から、本実施形態に係るNOx触媒12は、50℃の低温条件下においてNOx(NO)を効率良く吸着可能であることが分かる。
その後、NOx触媒12から流出する排気中のNOx濃度は徐々に上昇し、100ppmに近付く(図2中の400秒付近を参照)。これは、NOx触媒12が吸着し得るNOx量に近付くにつれて吸着するNOx量が減少し、ついには吸着可能な限界量を超えてこれ以上NOxを吸着できなくなることを意味する。図2中のハッチング領域T1は、NOx触媒12が吸着したNOxの総量を表している。
次いで、上記脱離条件に切り替えて、NOxを含まない排気を一定速度で昇温させながらNOx触媒12に導入し始めると、その直後に、NOx触媒12から流出する排気中のNOx濃度が一旦上昇する(図2中の500〜600秒付近を参照)。これは、NOx触媒12に弱い吸着力で吸着されていたNOxが脱離したことを意味する。
その後、導入する排気の温度が200℃付近に達すると、NOx触媒12から流出する排気中のNOx濃度が再び上昇する(図2中の1000秒以上を参照)。これは、NOx触媒12により強い吸着力で吸着されていたNOxが脱離し始めたことを意味する。そして、図2に示すように、このNOxの脱離は、排気温度が500℃に達するところで終了し、吸着されていたNOxが全て脱離する。図2中のハッチング領域T2は、NOx触媒12から脱離したNOxの総量を表し、これは、NOx触媒12が吸着したNOxの総量に相当する。
また、本実施形態に係るNOx触媒12は、Pdに共担持させる添加元素の種類によってNOx脱離温度を制御することができる。例えば、添加元素がLaである場合にはNOx脱離温度のピークが高温側にシフトするが、添加元素がCe、Pr、Sr、Ba、Ga、In及びMnである場合にはNOx脱離濃度のピークが低温側にシフトする。さらに、シフトの程度は添加元素によって異なる。従って、これらの元素の添加量を調整することで、NOx脱離温度を制御できる。
以上の通り、本実施形態に係るNOx触媒12は、低温域で吸着したNOxを、高温域で脱離する。このとき、上述したように、ゼオライトに吸着されたHCも脱離するため、脱離したHCによって、脱離したNOxが還元浄化される。またこのとき、排気の空燃比をストイキに制御することで、排気中に含まれるHC等の還元剤によって、脱離したNOxが還元浄化される。このHC等の還元剤による還元浄化反応には一定以上の温度が必要であるが、上記NOx脱離温度の制御方法によりNOx脱離温度は還元浄化反応を行い得る温度に調整される。このようにして、本実施形態のNOx触媒12は、NOxを吸着して浄化する。
なお、上記NOx脱離温度が高すぎる場合、NOx脱離のための温度制御や、NOx脱離後にNOx吸着を行う温度制御のためのエネルギーがより多く必要となるため、燃費ロスを伴う問題がある。しかし、本実施形態に係るNOx触媒12は、上記NOx脱離温度の制御方法によりNOx脱離時の触媒温度は燃費ロスを伴わない範囲に調整されるため、上記問題は生じない。
次に、上述の添加元素の種類とその含有量について説明する。
本実施形態のNOx触媒12は、添加元素の種類により、その好ましい含有量が相違する。例えば、添加元素がCeの場合には、NOx触媒12全体に対するCeの含有量は、0.1〜13質量%であることが好ましい。NOx触媒12全体に対するCeの含有量が0.1質量%未満である場合には、低酸素濃度雰囲気における耐熱性向上効果が十分得られない。また、Ceの含有量が13質量%を超えた場合には、Ceが多過ぎることでPdの分散性が阻害され、NOx吸着性能が低下する。より好ましいCe含有量は、0.1〜2.5質量%である。
以下、同様の理由により、添加元素がPrの場合には、NOx触媒12全体に対するPrの含有量は、0.05〜0.4質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜0.15質量%である。
添加元素がSrの場合には、NOx触媒12全体に対するSrの含有量は、0.05〜0.3質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜0.2質量%である。
添加元素がBaの場合には、NOx触媒12全体に対するBaの含有量は、0.01〜0.5質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜0.5質量%である。
添加元素がLaの場合には、NOx触媒12全体に対するLaの含有量は、0.01〜4.1質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜3質量%である。
添加元素がGaの場合には、NOx触媒12全体に対するGaの含有量は、0.01〜2質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜1.3質量%である。
添加元素がInの場合には、NOx触媒12全体に対するInの含有量は、0.04〜1質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜0.5質量%である。
添加元素がMnの場合には、NOx触媒12全体に対するMnの含有量は、0.01〜0.26質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜0.26質量%である。
ここで、図3は、本実施形態に係るNOx触媒12に対し、添加元素としてBaを添加した場合におけるNOx吸着量を示す図である。この図3は、Pdの担持量を一定(1.0質量%)とした場合において、本実施形態に係るNOx触媒12に対して添加するBaの量を変化させた場合に、Pdの粒子径とNO吸着量がどのように変化するかを示している。
図3中、横軸はBa添加量(質量%)を表し、右縦軸はPd粒子径(nm)を表す。また、左縦軸は、NOx触媒12にNOとして吸着されるNOx吸着量(g/L)を表している。また実線はBa添加量に対するNOx吸着量の変化を示し、破線はBa添加量に対するPd粒子径の変化を示している。
図3に示すように、Baの添加量が0.01〜0.5の範囲内である場合、NOx吸着量が向上する。また、同様の範囲において、Pdが微粒子化されていることが明らかである。従って、BaをNOx触媒に適量添加することで、同一の担持量であってもPdが微粒子化されるためにPdの表面積が増大し、NOx吸着量が向上しているものと推定される。また、Pdの微粒子化のためにはBaの添加量が適正範囲である必要があることが分かる。即ち添加量が少なすぎると効果が不十分であり、添加量が多すぎるとPdの分散性が阻害され、Pdの微粒子化が維持できないことが図3から明らかである。
次に、本実施形態に係るNOx触媒12の製造方法について説明する。
本実施形態に係るNOx触媒12は、触媒粉末調製工程と、触媒粉末焼成工程と、スラリー調製工程と、塗布工程と、支持体焼成工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
触媒粉末調製工程では、ゼオライトと、Pdを含むPd化合物と、上述の添加元素を含む添加元素化合物と、を用いて触媒粉末を調製する。具体的には、イオン交換水に分散させたゼオライトに対して、Pd化合物及び添加元素化合物を加えて混合する。混合後、減圧乾燥することにより、乾燥された触媒粉末を得る。
Pd化合物としては、例えば、硝酸Pdが用いられる。また、添加元素化合物としては、例えば、硝酸Ce、硝酸Pr、硝酸Sr、硝酸Ba、硝酸La、硝酸Ga、硝酸In、硝酸Mnが用いられる。
触媒粉末焼成工程では、触媒粉末調製工程で調製された触媒粉末を、500〜700℃で焼成する。本工程では、例えば、焼成時間を2時間とすることが好ましい。また、本工程は、例えば電気炉を用いて行われる。
ここで、図4は、本実施形態に係るNOx触媒12の触媒粉末焼成温度とエージング後におけるNOx吸着量との関係を示す図である。図4では、触媒粉末の焼成温度を段階的に変化させた各NOx触媒12について、800℃×5時間のエージング(ストイキガスを95秒間、リーンガスを5秒間、交互に切り替えて導入)を実施した後のNOx吸着量を示している。図4中、横軸は触媒粉末の焼成温度(℃)を表し、縦軸はNOx吸着量(g/L)を表している。
図4に示すように、触媒粉末の焼成温度が500℃未満である場合には、NOx吸着量が大きく低下することが分かる。これは、触媒粉末調製工程で用いた各硝酸塩等の分解が不足し、低酸素濃度雰囲気における耐熱性向上効果が十分得られなくなるためである。
また、触媒粉末の焼成温度が700℃を超えた場合にも、NOx吸着量が大きく低下することが分かる。これは、同様に低酸素濃度雰囲気における耐熱性向上効果が十分得られなくなるためである。
従って、触媒粉末を500〜700℃で焼成することにより、低酸素濃度雰囲気における耐熱性向上効果が得られるようになる。
スラリー調製工程では、触媒粉末焼成工程で焼成された触媒粉末を用いて、スラリーを調製する。具体的には、焼成された触媒粉末と、セラミックボールと、例えばアルミナゾル等のバインダと、を合わせて一晩ボールミルで湿式粉砕することで、スラリーを調製する。
塗布工程では、スラリー調製工程で調製されたスラリーを、例えばコージェライト製のハニカム支持体に対して、所望の量となるようにウォッシュコートする。具体的には、ハニカム支持体を、スラリー中に浸漬した後、引き上げて乾燥させることにより、NOx触媒を支持体上に塗布する。
支持体焼成工程では、NOx触媒が塗布された支持体を、750〜950℃で焼成する。本工程では、例えば、焼成時間を2時間とすることが好ましい。また、本工程は、例えば電気炉を用いて行われる。
ここで、図5は、本実施形態に係るNOx触媒12の支持体焼成温度と初期状態におけるNOx吸着量との関係を示す図である。図5では、支持体の焼成温度を段階的に変化させた各NOx触媒12について、初期状態(フレッシュ状態)におけるNOx吸着量を示している。図5中、横軸は支持体の焼成温度(℃)を表し、縦軸はNOx吸着量(g/L)を表している。
図5に示すように、支持体の焼成温度が750℃未満である場合には、NOx吸着量が大きく低下することが分かる。これは、Pdの分散性が不十分となり、NOx吸着性能が低下するためである。
また、支持体の焼成温度が950℃を超えた場合にも、NOx吸着量が低下することが分かる。これは、Pdが凝集し、NOx吸着性能が低下するためである。
従って、NOx触媒が塗布された支持体を750〜950℃で焼成することにより、Pdの良好な分散性が得られ、高いNOx吸着性能が得られるようになる。
以上説明した各工程を経ることにより、本実施形態に係るNOx触媒12が製造される。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
上記実施形態では、本発明を車両に搭載されたガソリンエンジンに適用したが、これに限定されない。例えば、車両に搭載されたディーゼルエンジンや車両以外のエンジンに本発明を適用してもよい。
また上記実施形態では、NOx触媒12の上流側にTWC11を設けたが、これに限定されない。例えばTWC11の代わりに、NOx触媒12の上流側又は下流側に、他の排気浄化触媒を設けてもよい。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜8及び比較例1、2>
実施例1〜8及び比較例1、2では、NOx触媒全体に対するPdの含有量が1質量%であり、且つ、NOx触媒全体に対する各添加元素の含有量の異なるNOx触媒を調製した。
NOx触媒の調製手順について、後述する実施例1−1のNOx触媒を例に挙げて説明する。
先ず、ゼオリスト製のZSM−5ゼオライト50.5gと、イオン交換水125gと、をフラスコに入れて混合することで、ゼオライトをイオン交換水に分散させた。その後、株式会社小島化学薬品製の5%硝酸Pd硝酸溶液10.18gと、硝酸Ceを0.21gと、を該フラスコ内に入れて混合し、ロータリーエバポレータで余分な水分を取り除いた。
なお、他の実施例や比較例では、硝酸Ceの代わりに、各添加元素の硝酸塩(実施例1では硝酸Ce、実施例2では硝酸Pr、実施例3では硝酸Sr、実施例4では硝酸Ba、実施例5では硝酸La、実施例6では硝酸Ga、実施例7では硝酸In、実施例8では硝酸Mn、比較例1では硝酸Fe)を、所望の添加元素量となる量配合した。また比較例2では、添加元素は添加せず硝酸Pdのみを用いてNOx触媒を調製した。
次いで、減圧乾燥炉を用いて200℃×2時間の乾燥を行った後、電気炉を用いて600℃×2時間の焼成を行った。これにより、実施例1〜8及び比較例1、2の触媒粉末を得た。
次いで、得られた触媒粉末35.3gと、日産化学工業株式会社製のアルミナゾルバインダ(アルミナ濃度20質量%)19.8gと、セラミックボール150gと、イオン交換水70gとを合わせてポリエチレン製容器に入れ、一晩ボールミルすることで実施例1〜8及び比較例1、2のスラリーを調製した。
次いで、調製された各スラリーに、コージェライト製のハニカム支持体(径:φ25.4mm×長さL60mm(容量30cc)、セル密度:400セル/in、壁厚:3.5ミル)を浸漬させた。ウォッシュコート量は、それぞれ200g/Lに設定した。ハニカム支持体をスラリーから取り出し、スラリーの過剰分をエア噴射で除去した後、200℃×2時間の乾燥を行った。この操作を、ウォッシュコート量200g/Lが得られるまで繰り返し行った。
ウォッシュコート量200g/Lが得られたハニカム支持体を、電気炉を用いて850℃×2時間の焼成を行った。これにより、実施例1〜8及び比較例1、2のNOx触媒を得た。
[実施例1−1〜1−5]
実施例1では、上述の調製手順に従って、添加元素Ceの含有量を5段階で変動させたNOx触媒を調製した。具体的には、添加元素Ceの含有量が、実施例1−1では0.1質量%、実施例1−2では0.7質量%、実施例1−3では2.5質量%、実施例1−4では6.7質量%、実施例1−5では13質量%となるように調製した。
[実施例2−1〜2−5]
実施例2では、上述の調製手順に従って、添加元素Prの含有量を5段階で変動させたNOx触媒を調製した。具体的には、添加元素Prの含有量が、実施例2−1では0.05質量%、実施例2−2では0.14質量%、実施例2−3では0.5質量%、実施例2−4では1.0質量%、実施例2−5では2.6質量%となるように調製した。
[実施例3−1〜3−5]
実施例3では、上述の調製手順に従って、添加元素Srの含有量を5段階で変動させたNOx触媒を調製した。具体的には、添加元素Srの含有量が、実施例3−1では0.05質量%、実施例3−2では0.1質量%、実施例3−3では0.5質量%、実施例3−4では1.0質量%、実施例3−5では1.7質量%となるように調製した。
[実施例4−1〜4−4]
実施例4では、上述の調製手順に従って、添加元素Baの含有量を5段階で変動させたNOx触媒を調製した。具体的には、添加元素Baの含有量が、実施例4−1では0.07質量%、実施例4−2では0.13質量%、実施例4−3では0.65質量%、実施例4−4では2.6質量%、実施例4−5では6.5質量%となるように調製した。
[実施例5−1〜5−5]
実施例1では、上述の調製手順に従って、添加元素Laの含有量を5段階で変動させたNOx触媒を調製した。具体的には、添加元素Laの含有量が、実施例5−1では0.14質量%、実施例5−2では1.3質量%、実施例5−3では3.0質量%、実施例5−4では4.1質量%、実施例5−5では6.6質量%となるように調製した。
[実施例6−1〜6−4]
実施例6では、上述の調製手順に従って、添加元素Gaの含有量を4段階で変動させたNOx触媒を調製した。具体的には、添加元素Gaの含有量が、実施例6−1では0.07質量%、実施例6−2では0.33質量%、実施例6−3では1.3質量%、実施例6−4では3.3質量%となるように調製した。
[実施例7−1〜7−6]
実施例7では、上述の調製手順に従って、添加元素Inの含有量を6段階で変動させたNOx触媒を調製した。具体的には、添加元素Inの含有量が、実施例7−1では0.04質量%、実施例7−2では0.08質量%、実施例7−3では0.1質量%、実施例7−4では0.5質量%、実施例7−5では1質量%、実施例7−6では5.4質量%となるように調製した。
[実施例8−1〜8−5]
実施例8では、上述の調製手順に従って、添加元素Mnの含有量を5段階で変動させたNOx触媒を調製した。具体的には、添加元素Mnの含有量が、実施例8−1では0.05質量%、実施例8−2では0.26質量%、実施例8−3では0.4質量%、実施例8−4では0.5質量%、実施例8−5では1質量%となるように調製した。
[比較例1−1〜1−5]
比較例1では、上述の調製手順に従って、添加元素Feの含有量を5段階で変動させたNOx触媒を調製した。具体的には、添加元素Feの含有量が、比較例1−1では0.06質量%、比較例1−2では0.26質量%、比較例1−3では1.0質量%、比較例1−4では2.6質量%、比較例1−5では5.2質量%となるように調製した。
[NOx吸着性能評価]
先ず、各実施例及び比較例で得られた各NOx触媒に対して、800℃×5時間のエージング(ストイキガスを95秒間、リーンガスを5秒間、交互に切り替えて導入)を実施した。次いで、エージング実施後の各NOx触媒に対して、以下の吸着条件で排気を導入してNOxを吸着させた後、以下の脱離条件で排気を導入してNOxを脱離させた。脱離したNOxの総量を、NOx吸着量とした。結果を図6〜図22に示した。
[吸着条件]
排気組成:NO=100ppm、O=10%、Nバランスガス
排気流量:20L/分
排気温度:50℃
[脱離条件]
排気組成:O=10%、Nバランスガス
排気流量:20L/分
排気温度:50℃から500℃まで20℃/分で昇温
図6は、各実施例及び比較例に係るNOx触媒のうち、最大のNOx吸着量を有するNOx触媒及びそのNOx吸着量を示す図である。図6中、縦軸はNOx吸着量(g/L)を表している。
図6に示すように、NOx吸着量が最大となる添加元素量は、添加元素種によって異なることが分かった。また、添加元素種が本発明で規定するCe、Pr、Sr、Ba、La、Ga、In又はMnである実施例1〜8のNOx触媒は、いずれも、添加元素種が本発明の範囲外のFeである比較例1のNOx触媒と比べて、より大きな最大NOx吸着量を有することが確認された。この結果から、Pdと、Ce、Pr、Sr、Ba、La、Ga、In又はMnからなる群より選択される少なくとも1種の添加元素と、をゼオライトに担持させてなる本発明のNOx触媒は、低温条件下において優れたNOx吸着性能を有するとともに、低酸素濃度雰囲気における優れた耐熱性を有することが確認された。
図7〜図14は、実施例1〜8及び比較例2に係るNOx触媒のNOx脱離温度を比較した図である。図7〜図14中、横軸は触媒温度を示し、縦軸はNOx脱離濃度相対値、即ちNOx触媒から脱離するNOx濃度の最大値を1とした場合における、NOx脱離濃度の相対値を示す。
また、実施例1〜8のNOx触媒は、上述の調製手順に従って、各添加元素の含有量がそれぞれCe(0.7質量%)、Pr(0.1質量%)、Sr(0.1質量%)、Ba(0.1質量%)、La(1.3質量%)、Ga(0.3質量%)、In(0.1質量%)、Mn(0.3質量%)となるようにNOx触媒を調製した。
図11に示す、添加元素がLaである実施例5のNOx触媒は、比較例2のNOx触媒と比較して、NOx脱離濃度のピークが高温側にシフトした。
それに対し図7〜10、12〜14に示す、添加元素がCe、Pr、Sr、Ba、Ga、In及びMnである実施例1〜4、6〜8のNOx触媒は、比較例2のNOx触媒と比較して、NOx脱離濃度のピークが低温側にシフトした。従って、添加する元素種の種類によってNOx脱離濃度のピークが低温側又は高温側にシフトすることが分かった。また同じ低温側へのシフトであってもその程度は添加元素によって異なり、図13における実施例7のInのようにシフトが小さいものもあれば、図14における実施例8のMnのようにシフトが大きいものもある。
この結果から、Pdと、Ce、Pr、Sr、Ba、La、Ga、In又はMnからなる群より選択される少なくとも1種の添加元素と、をゼオライトに担持させてなる本発明のNOx触媒は、各添加元素の添加量を調整することでNOx脱離温度が調整可能であり、NOx脱離温度を適正に設定できることが確認された。
図15は、実施例1−1〜1−5及び比較例1−1〜1−5に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。図6中、縦軸はNOx吸着量(g/L)を表している(図16〜図22についても同様である)。
図15に示すように、添加元素種が本発明で規定するCeであり且つCeの含有量が0.1〜13質量%の範囲内である実施例1−1〜1−5は、いずれも、添加元素種が本発明の範囲外のFeである比較例1−1〜1−5のNOx触媒と比べて、大きなNOx吸着量を有することが確認された。この結果から、添加元素のCeの含有量を0.1〜13質量%の範囲内とすることにより、低温条件下におけるNOx吸着性能をより向上できるとともに、低酸素濃度雰囲気における耐熱性をより向上できることが確認された。またこの結果から、より好ましいCe含有量は、0.1〜2.5質量%であると考えられた。
図16は、実施例2−1〜2−5及び比較例1−1〜1−4に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。
図16に示すように、添加元素種が本発明で規定するPrであり且つPrの含有量が0.05〜0.4質量%の範囲内である実施例2−1、2−2は、添加元素種が本発明の範囲外のFeである比較例1−1〜1−4のNOx触媒と比べて、大きなNOx吸着量を有することが確認された。この結果から、添加元素のPrの含有量を0.05〜0.4質量%の範囲内とすることにより、低温条件下におけるNOx吸着性能をより向上できるとともに、低酸素濃度雰囲気における耐熱性をより向上できることが確認された。また図16から、より好ましいPr含有量は0.05〜0.15質量%であると考えられた。
図17は、実施例3−1〜3−5及び比較例1−1〜1−3に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。
図17に示すように、添加元素種が本発明で規定するSrであり且つSrの含有量が0.05〜0.3質量%の範囲内である実施例3−1、3−2は、添加元素種が本発明の範囲外のFeである比較例1−1〜1−3のNOx触媒と比べて、大きなNOx吸着量を有することが確認された。この結果から、添加元素のSrの含有量を0.05〜0.3質量%の範囲内とすることにより、低温条件下におけるNOx吸着性能をより向上できるとともに、低酸素濃度雰囲気における耐熱性をより向上できることが確認された。また図17から、より好ましいSr含有量は、0.05〜0.2質量%であると考えられた。
図18は、実施例4−1〜4−4及び比較例1−1〜1−4に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。
図18に示すように、添加元素種が本発明で規定するBaであり且つBaの含有量が0.01〜0.5質量%の範囲内である実施例4−1及び実施例4−2は、添加元素種が本発明の範囲外のFeである比較例1−1〜1−4のNOx触媒と比べて、大きなNOx吸着量を有することが確認された。この結果から、添加元素のBaの含有量を0.01〜0.5質量%の範囲内とすることにより、低温条件下におけるNOx吸着性能をより向上できるとともに、低酸素濃度雰囲気における耐熱性をより向上できることが確認された。また図18から、より好ましいBa含有量は0.1〜0.5質量%であると考えられた。
図19は、実施例5−1〜5−5及び比較例1−1〜1−5に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。
図19に示すように、添加元素種が本発明で規定するLaであり且つLaの含有量が0.01〜4.1質量%の範囲内である実施例5−1〜5−4は、添加元素種が本発明の範囲外のFeである比較例1−1〜1−5のNOx触媒と比べて、大きなNOx吸着量を有することが確認された。この結果から、添加元素のLaの含有量を0.01〜4.1質量%の範囲内とすることにより、低温条件下におけるNOx吸着性能をより向上できるとともに、低酸素濃度雰囲気における耐熱性をより向上できることが確認された。また図19から、より好ましいLa含有量は0.05〜3質量%であると考えられた。
図20は、実施例6−1〜6−4及び比較例1−1〜1−4に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。
図20に示すように、添加元素種が本発明で規定するGaであり且つGaの含有量が0.01〜2質量%の範囲内である実施例6−1〜6−3は、添加元素種が本発明の範囲外のFeである比較例1−1〜1−4のNOx触媒と比べて、大きなNOx吸着量を有することが確認された。この結果から、添加元素のGaの含有量を0.01〜2質量%の範囲内とすることにより、低温条件下におけるNOx吸着性能をより向上できるとともに、低酸素濃度雰囲気における耐熱性をより向上できることが確認された。また図20から、より好ましいGa含有量は0.1〜1.3質量%であると考えられた。
図21は、実施例7−1〜7−6及び比較例1−1〜1−5に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。
図21に示すように、添加元素種が本発明で規定するInであり且つInの含有量が0.04〜1質量%の範囲内である実施例7−1〜7−5は、添加元素種が本発明の範囲外のFeである比較例1−1〜1−5のNOx触媒と比べて、大きなNOx吸着量を有することが確認された。この結果から、添加元素のInの含有量を0.04〜1質量%の範囲内とすることにより、低温条件下におけるNOx吸着性能をより向上できるとともに、低酸素濃度雰囲気における耐熱性をより向上できることが確認された。また図21から、より好ましいIn含有量は0.1〜0.5質量%であると考えられた。
図22は、実施例8−1〜8−5及び比較例1−1〜1−3に係るNOx触媒の添加元素量とNOx吸着量との関係を示す図である。
図22に示すように、添加元素種が本発明で規定するMnであり且つMnの含有量が0.01〜0.26質量%の範囲内である実施例8−1〜8−2は、添加元素種が本発明の範囲外のFeである比較例1−1〜1−3のNOx触媒と比べて、大きなNOx吸着量を有することが確認された。この結果から、添加元素のMnの含有量を0.01〜0.26質量%の範囲内とすることにより、低温条件下におけるNOx吸着性能をより向上できるとともに、低酸素濃度雰囲気における耐熱性をより向上できることが確認された。また図22から、より好ましいMn含有量は0.05〜0.26質量%であると考えられた。
1…排気浄化装置
2…エンジン(内燃機関)
3…排気管(排気系)
11…三元触媒
12…NOx触媒(排気浄化触媒)

Claims (9)

  1. 内燃機関の排気系に設けられ、排気中のNOxを浄化する排気浄化触媒であって、
    ゼオライトからなる担体と、
    前記担体には、Pdと、添加元素として少なくともCeと、が担持され、
    前記排気浄化触媒全体に対するCeの含有量は、0.7〜2.5質量%である排気浄化触媒。
  2. 内燃機関の排気系に設けられ、排気中のNOxを浄化する排気浄化触媒であって、
    ゼオライトからなる担体と、
    前記担体には、Pdと、添加元素として少なくともPrと、が担持され、
    前記排気浄化触媒全体に対するPrの含有量は、0.05〜0.4質量%である排気浄化触媒。
  3. 内燃機関の排気系に設けられ、排気中のNOxを浄化する排気浄化触媒であって、
    ゼオライトからなる担体と、
    前記担体には、Pdと、添加元素として少なくともSrと、が担持され、
    前記排気浄化触媒全体に対するSrの含有量は、0.05〜0.3質量%である排気浄化触媒。
  4. 内燃機関の排気系に設けられ、排気中のNOxを浄化する排気浄化触媒であって、
    ゼオライトからなる担体と、
    前記担体には、Pdと、添加元素として少なくともBaと、が担持され、
    前記排気浄化触媒全体に対するBaの含有量は、0.01〜0.5質量%である排気浄化触媒。
  5. 内燃機関の排気系に設けられ、排気中のNOxを浄化する排気浄化触媒であって、
    ゼオライトからなる担体と、
    前記担体には、Pdと、添加元素として少なくともLaと、が担持され、
    前記排気浄化触媒全体に対するLaの含有量は、0.14〜1.3質量%である排気浄化触媒。
  6. 内燃機関の排気系に設けられ、排気中のNOxを浄化する排気浄化触媒であって、
    ゼオライトからなる担体と、
    前記担体には、Pdと、添加元素として少なくともGaと、が担持され、
    前記排気浄化触媒全体に対するGaの含有量は、0.07〜0.33質量%である排気浄化触媒。
  7. 内燃機関の排気系に設けられ、排気中のNOxを浄化する排気浄化触媒であって、
    ゼオライトからなる担体と、
    前記担体には、Pdと、添加元素として少なくともInと、が担持され、
    前記排気浄化触媒全体に対するInの含有量は、0.04〜1質量%である排気浄化触媒。
  8. 内燃機関の排気系に設けられ、排気中のNOxを浄化する排気浄化触媒であって、
    ゼオライトからなる担体と、
    前記担体には、Pdと、添加元素として少なくともMnと、が担持され、
    前記排気浄化触媒全体に対するMnの含有量は、0.01〜0.26質量%である排気浄化触媒。
  9. 請求項1から8いずれかに記載の排気浄化触媒の製造方法であって、
    ゼオライトと、Pdを含むPd化合物と、前記添加元素を含む添加元素化合物と、を用いて調製された触媒粉末を、500〜700℃で焼成する触媒粉末焼成工程と、
    前記触媒粉末焼成工程で焼成された触媒粉末を用いて調製されたスラリーが塗布された支持体を、750〜950℃で焼成する支持体焼成工程と、を有する排気浄化触媒の製造方法。
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