本発明においては、グラビア印刷、スクリーン印刷及びオフセット印刷などにおいて、印刷媒体に対してインキを印刷する際、階調度を示す指令網点面積率に対応した網点が印刷媒体表面に形成される。このグラビア印刷における網点は、インキが印刷される印刷媒体表面の面積(面積変調階調表現)と、印刷されるインキの厚さ(濃度変調階調表現)とが、指令網点面積率に応じて変化する。例えば、印刷において形成される網点は、山の構造に相似しているということもでき、大きな山ほど裾野が広く高さも高く、この大きな山に比較して小さな山ほど裾野が狭く高さも低い。すなわち、印刷における網点は、インキが印刷される面積だけでなく、印刷されるインキの厚さも、指令網点面積率に応じて変化する。
このため、本発明においては、印刷における網点の構造を、指令網点面積率に対応して、インキが印刷された網点の印刷媒体表面の面積と、印刷される網点におけるインキの厚さとを表す計算モデル(後述するコアフリンジモデル)を用いる。本実施形態においては、印刷媒体(例えば、用紙)に対して印刷された原色あるいは特色の各階調度の色予測を行う際、指令網点面積率で生成される各階調度の網点が、複数の濃度階調領域(等高線と同様な構成)から生成されている網点形状をモデル化した計算モデルを用いる。
また、原色インキあるいは特色インキを掛け合わせた印刷を行う場合、各色の版毎に重ね塗りをするため、理想的なコアフリンジの網点形状を元とした上記コアフリンジモデルに対して、実際の印刷においてはインキの印刷された網点の厚さや形状(以下、単に厚さも含めて形状と示す)が異なり、すなわち実際に印刷したインキの網点形状が理想的なコアフリンジの網点形状に対して差分が生じてしまう。上記差分には、トラッピングによる印刷されたインキの膜厚変化、重ね塗りの重なり(網点同士の重なり)具合によるインキの網点形状の変化、先刷りの版により印刷されたインキの網点形状のつぶれ、などのモデル化し難い特性が含まれている。この差分が生じることにより、モデルによる色予測の結果が実際の印刷結果と合わないため、本発明においては、網点形状の形状変化に対応して印刷色を予測する必要がある。本実施形態においては、上記差分が最小となるように求めた補正パラメータを、モデルに基づいて印刷色の予測に用いる計算モデルの関数あるいは式における係数に対して乗ずることにより、モデルにおける実際の印刷結果との誤差を補正する。
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による色予測システム1の構成例を示すブロック図である。この図1において、色予測システム1は、入力部101、濃度階調分光反射率算出部102、濃度階調出現率算出部103、濃度階調出現率テーブルデータベース104、測定分光反射率データベース105、吸収係数・散乱係数データベース106、吸収係数・散乱係数算出部107、分光反射率予測部108、色予測テーブル作成部109、出力部110、分光光学濃度予測部111、補正パラメータ算出部112、補正パラメータテーブル記憶部113、混合予測部114、特色インキ分光反射率算出部121、特色インキ配合比決定部122、特色インキ濃度階調出現率算出部123、一時記憶部125、予測パラメータデータベース126、網点面積率初期値セットデータベース127、近似色データベース128、特色インキ再現色算出部129、特色分解テーブル作成部130、濃度階調分光光学濃度算出部202、濃度階調出現率算出部203及び濃度階調出現率テーブルデータベース204を備えている。
入力部101は、例えば、外部のコンピュータと接続されており、ユーザが設定する原色インキや特色インキの各原色の指令網点面積率の指定値などのデータを入力する。
また、入力部101は、キーボードあるいはタッチパネルなどの入力手段を有し、この入力手段から入力されるユーザが設定するインキの各原色の指令網点面積率の指定値などのデータを、色予測システム1内部の各部に出力する構成としても良い。
吸収係数・散乱係数データベース106には、原色インキ毎に、指令網点面積率が100%、すなわちベタで印刷媒体(例えば、コート紙などの用紙)に印刷された印刷部分から求めたインキの着色層の散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)が、上記外部のコンピュータなどにより予め書き込まれて記憶されている。ここで、散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)を求める際、白地及び黒地の各々の印刷媒体に対して、それぞれ原色インキをベタで印刷して上記印刷部分を作成する。
そして、白地及び黒地の各々の印刷媒体表面にベタで印刷されたインキの着色層の分光反射率をそれぞれ測定する。ここで、白地の印刷媒体表面における印刷部分の分光反射率を白地測定分光反射率とし、黒地の印刷媒体表面における印刷部分の分光反射率を黒地測定分光反射率とする。
この求めた白地測定分光反射率及び黒地測定分光反射率から、原色インキをベタで印刷媒体に印刷した印刷部分における散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)を求める。また、散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)は、所定の波長の範囲で複数の波長λで求められている。
近似色データベース128には、配合された原色インキの組合せが異なる複数種類の特色インキ(参照特色インキ)について、この特色インキの測色値と、原色の配合比が予め書き込まれて記憶されている。
測定分光反射率データベース105には、原色インキ毎の複数の指令網点面積率で印刷媒体に印刷された印刷部分の測定分光反射率Rs(λ)が上記外部のコンピュータなどにより予め書き込まれて記憶されている。例えば、この印刷部分はm段階の指令網点面積率で印刷されたステップチャートとなっている。測定分光反射率Rs(λ)を求める際、原色インキを用いて、複数の指令網点面積率の網点を、実際の印刷に用いる印刷媒体に対してそれぞれ印刷する。ここで、sは指令網点面積率である。そして、印刷媒体に印刷された印刷部分の分光反射率を、指令網点面積率の網点を有する印刷部分毎に測定する。
また、測定分光反射率データベース105には、実際の印刷に用いられる印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)が、上述した測定分光反射率Rs(λ)と同様に、上記外部のコンピュータなどにより予め書き込まれて記憶されている。また、後述する補正パラメータの算出に用いる原色、例えば所定の刻み幅で指令網点面積率を刻んで(0%から100%の範囲において、任意の刻み幅で複数個の指令面積率を用いるが、本実施形態においては20%刻みで、指令網点面積率を0%、20%、40%、60%、80%、100%の6種類として説明している)、C(Cyan)M(Magenta)Y(Yellow)K(Black)の各々をそれぞれの指令網点面積率の組合せで印刷したカラーチャートの測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)も、指令網点面積率の組合せ毎に測定分光反射率データベース105に書き込まれて記憶されている。
一時記憶部125は、本実施形態における各部の途中計算結果が記憶される記憶部であり、内部に散乱吸収係数テーブル、特色インキ配合比テーブル、特色インキ濃度階調出現率テーブル、ノイゲバウア原色テーブル、分光反射率テーブル、色予測テーブル、特色分解テーブルなどが書き込まれて記憶される。
予測パラメータデータベース126には、本実施形態においては混合予測部114で用いる後述する重み係数wが、記憶されている。この重み係数wは、教師となるデータを印刷して、重み係数により作成したモデルから得られた分光反射率と、印刷された教師データとしての分光反射率との誤差が最小となるようにして求められている。また、印刷色の分光反射率予測モデルとしてユール・ニールセン修正ノイゲバウアモデルを用いる場合には、n値が設定されていても良い。
網点面積率初期値セットデータベース127には、特色分解テーブル作成部130が使用する指令網点面積率の初期値が、使用する特色インキの色数毎に予め書き込まれて記憶されている。
<分光反射率による濃度階調出現率の算出>
濃度階調分光反射率算出部102は、入力部101より供給される原色インキの種類に応じて、吸収係数・散乱係数データベース106から、対応する原色インキの吸収係数K(λ)及び散乱係数S(λ)を読み出す。また、濃度階調分光反射率算出部102は、測定分光反射率データベース105から、入力部101より供給される原色インキの種類及び印刷媒体の種類に応じて、指令網点面積率毎の測定分光反射率Rs(λ)と、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)との各々を読み出す。
そして、濃度階調分光反射率算出部102は、吸収係数・散乱係数データベース106測定分光反射率データベース105から読み出した原色インキの吸収係数K(λ)及び散乱係数S(λ)と、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と濃度階調の膜厚係数Xm(後述するように、膜厚係数Xmは濃度階調領域毎に変更する)との各々を、下記の(1)式(クベルカ・ムンクの式)に代入し、濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)の各々を算出する。
以下の(1)式において、a(λ)は、散乱係数S(λ)と吸収係数K(λ)とを加算し、加算結果を散乱係数S(λ)により除算した数値である。b(λ)は、a(λ)を二乗した数値から1を減算し、減算結果の平方根を計算した数値である。
本実施形態において、上述したクベルカ・ムンクの式、すなわち(1)式における印刷されたインキの膜厚係数Xmは、印刷媒体に原色インキがベタで印刷された印刷部分を基にし、印刷部分の濃度階調を示す数値として用いる。すなわち、膜厚係数Xmは任意に設定されており、例えば、最もインキの膜厚が厚いベタの印刷部分を膜厚が100%として、上記膜厚係数を1とし、この1を濃度階調領域の膜厚の段階数mに対応させてm分割する。例えば、指令網点面積率の示す濃度階調領域の膜厚の段階が5段階であれば、m=1、2、3、4、5であり、膜厚係数Xmは、それぞれの濃度階調領域の膜厚の段階に対応して、X1=1.0、X2=0.8、X3=0.6、X4=0.4、X5=0.2とする。
膜厚係数Xmを、すでに述べたように、下地の印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と、吸収係数K(λ)と、散乱係数S(λ)とともにクベルカ・ムンクの式である(1)式に代入し、それぞれの指令網点面積率の網点が含む濃度階調領域の分光反射率として、濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)の各々を算出する。この濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)が、後述する計算モデルで用いる、網点を構成する複数の濃度階調領域の各々の分光反射率として用いられる。
濃度階調出現率算出部103は、濃度階調分光反射率算出部102から、濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)の各々を読み込む。また、濃度階調出現率算出部103は、指令網点面積率毎の測定分光反射率Rs(λ)の各々を、測定分光反射率データベース105から読み込む。
そして、濃度階調出現率算出部103は、以下の(2)式(計算モデル)に対して、濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)の各々を代入し、後述する処理により算出分光反射率R’(s,λ)を算出する。
ここで、濃度階調出現率算出部103は、以下の(3)式において、出現率(用紙の印刷部分における網点を構成する各濃度階調の濃度階調領域の面積の比率)の数値を変更しつつ、算出分光反射率R’(s,λ)を算出する。そして、濃度階調出現率算出部103は、算出された算出分光反射率R’(s,λ)の各々と、測定分光反射率Rs(λ)との平均二乗誤差RMSEを、指令網点面積率毎に所定の波長範囲において求める。
濃度階調出現率算出部103は、算出分光反射率R’(s,λ)と測定分光反射率Rs(λ)との平均二乗誤差が最も小さくなる濃度階調領域の各々の出現率を求める。ここで、sは指令網点面積率である。
そして、濃度階調出現率算出部103は、濃度階調領域の各々の出現率により、各濃度階調領域の出現率関数a1(s)、a2(s)、a3(s)、…、am(s)を求める。ここで、濃度階調出現率算出部103は、濃度階調領域毎に、得られた出現率を用いて、この出現率を指令網点面積率sの2次関数などをフィッティングし、出現率関数a1(s)、a2(s)、a3(s)、…、am(s)を求めてもよい。濃度階調出現率算出部103は、求めた各濃度階調領域の出現率関数a1(s)、a2(s)、a3(s)、…、am(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104に書き込んで記憶させる。
上記(3)式において、濃度階調出現率算出部103は、波長λが380nmから730nmをn分割した刻み幅により、各波長λにおける誤差の二乗を加算した平均二乗誤差RMSEを、指令網点面積率毎に求めている。
上述したように、濃度階調出現率算出部103は、(2)式の計算モデルを用いて、指令網点面積率によるインキが印刷された印刷部分において、網点が含む濃度階調毎に、濃度階調の濃度階調分光反射率Rim(λ)と濃度階調の出現率関数a1(s)、a2(s)、a3(s)、…、am(s)とを乗算した結果を加算して、指令網点面積率の印刷部分の分光反射率R’(s,λ)(算出分光反射率)を算出する。
図2は、指令網点面積率と、指令網点面積率で形成される網点における濃度階調領域の出現率との対応関係を説明する図である。図2(a)において、横軸が指令網点面積率sを示し、縦軸が出現率aを示している。出現率関数am(s)により、指令網点面積率における各濃度階調領域の出現率を求めることができる。濃度階調出現率算出部103は、すでに説明したように濃度階調領域毎の出現率関数am(s)の各々を、(3)式で求めた指令網点面積率に対応した濃度階調領域毎の出現率を2次関数の近似式として関数化することにより求める。この図2(a)は、m=4の場合、すなわち4階調の濃度階調の濃度階調領域の各々の出現率関数a1(s)、a2(s)、a3(s)、a4(s)の各々を示している。
また、図2(b)は、図2(a)における指令網点面積率s1、s2、s3、s4の各々における網点の平面視における形状を示す図である。指令網点面積率s1においては、濃度階調領域P1のみが形成されている。また、指令網点面積率s2においては、濃度階調領域P1の内部に濃度階調領域P2が形成される。指令網点面積率s3においては、濃度階調領域P2のみが形成されている。また、指令網点面積率s4においては、濃度階調領域P3の内部に濃度階調領域P4が形成される。上述したように、本実施形態においては、(2)式の計算モデルを用いて、この図2(b)に示す網点構造として、グラビア印刷における網点の構造をモデル化している。
図1に戻り、濃度階調出現率算出部103は、求めた濃度階調領域の指令網点面積率における各濃度階調領域の出現率を示す出現率関数am(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104に対し、濃度階調領域の濃度階調分光反射率と対応させて書き込んで記憶させる。同様に、濃度階調出現率算出部103は、他の原色インキの各々に対しても、濃度階調領域の指令網点面積率における各濃度階調領域の出現率を示す出現率関数am(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104に対して、書き込んで記憶させる。
特色インキ分光反射率算出部121は、近似色データベース128における原色インキの組み合わせが異なる特色インキから、測色値が色見本の測色値と最も近い特色インキを読み出す。この近似色データベース128には特色インキの測色値と原色の配合比が記憶されており、読み出した特色インキの原色の配合比を、色見本を再現する特色インキの原色の配合比として設定する。
また、特色インキ分光反射率算出部121は、測定分光反射率データベース105から、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)を読み出す。
吸収係数・散乱係数算出部107は、吸収係数・散乱係数データベース106から、設定した配合比に含まれる原色インキ、例えば原色インキ#1及び原色インキ#2の各々の吸収係数K1(λ)及びK2(λ)と、散乱係数S1(λ)及びS2(λ)との各々を読み出す。
そして、吸収係数・散乱係数算出部107は、以下の(4)式により、原色インキを混色した特色インキの吸収係数Kt(λ)及び散乱係数St(λ)を算出する。この特色インキの場合、混ぜ合わせる原色インキの比率に応じて、以下の(4)式において、特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)を算出する。また、特色インキ分光反射率算出部121は、求めた特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)の各々を、一時記憶部125の散乱吸収係数テーブルに書き込んで記憶させる。
上記(4)式において、係数α及び係数βの各々は、原色インキ#1及び原色インキ#2それぞれの混ぜ合わせる比率を示す係数である。原色インキ#1の吸収係数K1(λ)に対して係数αを乗算し、原色インキ#2の吸収係数K2に対して係数βを乗算し、加算した数値を、特色インキの吸収係数Kt(λ)としている。同様に、原色インキ#1の散乱係数S1(λ)に対して係数αを乗算し、原色インキ#2の散乱係数S2(λ)に対して係数βを乗算し、加算した数値を、特色インキの散乱係数St(λ)としている。
これにより、特色インキ分光反射率算出部121は、(1)式に対して、吸収係数Kt(λ)及び散乱係数St(λ)と、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と濃度階調の膜厚係数Xmとの各々を代入し、特色インキの分光反射率RKM(λ)を求める。
特色インキ再現色算出部129は、特色インキ分光反射率算出部121が算出した特色インキの分光反射率RKM(λ)に対して観察環境の光源の分光分布と、標準観測者を設定し、測色値(例えばL*a*b*値)に変換し、特色インキ配合比決定部122に対して出力する。
特色インキ配合比決定部122は、特色インキ再現色算出部129が求めた測色値と、色見本の測色値との色差を確認する。そして、特色インキ配合比決定部122は、この色差が予め設定された許容範囲内である場合、特色インキ分光反射率算出部121が求めた色における原色インキ各々の配合比を、見本の特色インキを構成する原色インキの種類と、その配合比として、一時記憶部125の特色インキ配合比テーブルに対し、特色インキの識別情報である特色インキ識別情報とともに書き込んで記憶させる。
図3は、特色インキを構成する原色インキの配合比を決定し、特色インキの吸収係数Kt(λ)、散乱係数St(λ)を算出するフローチャートである。
ステップS101:
ユーザは再現に用いる色見本の測色値を測定し、色予測システム1に対して入力する。
ステップS102:
特色インキ分光反射率算出部121は、印刷媒体の分光反射率である下地分光反射率R0(λ)を、測定分光反射率データベース105から読み出す。
ステップS103:
次に、特色インキ分光反射率算出部121は、特色インキを構成する原色インキの組み合わせを、近似色データベース128から読み出す。例えば、このとき、特色インキ分光反射率算出部121は、色見本から取得した測色値と最も近い測色値を持つ特色インキを、近似色データベース128から抽出して選択する。
ステップS104:
吸収係数・散乱係数算出部107は、ステップS103において選択された特色インキを構成する原色インキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)を、吸収係数・散乱係数データベース106から読み出す。
ステップS105:
特色インキ配合比決定部122は、特色インキを構成する原色インキ各々の配合比に初期値を設定する。初期値には、ステップS103で近似色データベース128から抽出した特色の配合比を設定する。
ステップS106:
次に、吸収係数・散乱係数算出部107は、(4)式に示すように、原色インキの各々の配合比を、それぞれ原色インキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)に乗じる。
そして、吸収係数・散乱係数算出部107は、乗算結果を加算することにより、その配合比(例えば、(4)式におけるα、β)における特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)を算出する。
特色インキ分光反射率算出部121は、(1)式に対し、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と、散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)とを代入して、特色インキの分光反射率を算出する。さらに、特色インキ再現色算出部129は、特色インキ分光反射率算出部121が算出した特色インキの分光反射率から、測色値を算出する。
特色インキ配合比決定部122は、色見本の測色値L*a*b*値と、特色インキ再現色算出部129の求めた測色値L*a*b*値との色差を求める。
ステップS107:
そして、特色インキ配合比決定部122は、上記色差が予め設定した許容範囲内であるか否かの判定を行う。
このとき、特色インキ配合比決定部122は、色差が予め設定した許容範囲内である場合、処理をステップS108へ進める。一方、特色インキ配合比決定部122は、色差が予め設定した許容範囲内にない場合、処理をステップS110へ進める。
ステップS108:
次に、特色インキ配合比決定部122は、色見本に対応する特色インキにおける原色インキの配合比を現在の配合比とする。
そして、特色インキ配合比決定部122は、特色インキにおける原色インキの種類と、原色インキ各々の配合比を、一時記憶部125の配合比テーブルに書き込んで記憶させる。
ステップS109:
次に、特色インキ配合比決定部122は、色見本に対応する特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)を、現在の散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)とする。
そして、特色インキ配合比決定部122は、特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)を、一時記憶部125の散乱吸収係数テーブルに書き込んで記憶させる。
ステップS110:
特色インキ配合比決定部122は、配合比の変更回数が予め設定された規定以内か否かの判定を行う。
このとき、特色インキ配合比決定部122は、配合比の変更回数が予め設定された規定回数以内である場合、処理をステップS111へ進める。一方、特色インキ配合比決定部122は、配合比の変更回数が予め設定された規定回数を超えた場合、処理をステップS112へ進める。
ステップS111:
特色インキ配合比決定部122は、特色インキを構成する原色インキの各々の配合比を変更する。
そして、特色インキ配合比決定部122は、配合比の変更回数を計数するカウンタをインクリメント(1つカウント値を上げる)し、処理をステップS106へ進める。
ステップS112:
特色インキ配合比決定部122は、原色インキの組み合わせを変更するか否かの選択画面を、色予測システム1の図示しない表示部に表示する。
特色インキ配合比決定部122は、ユーザが原色インキの組み合わせの変更を選択した場合、処理をステップS113へ進める。一方、特色インキ配合比決定部122は、ユーザが原色インキの組み合わせを変更しない選択をした場合、処理をステップS108へ進める。
ステップS113:
特色インキ配合比決定部122は、配合比の変更回数を計数するカウンタをリセットし、計数値、すなわち変更回数を「0」とする。
ステップS114:
特色インキ配合比決定部122は、 特色インキ分光反射率算出部121に対し、原色インキの組み合わせを変更する制御信号を出力する。
特色インキ分光反射率算出部121は、特色インキを構成する原色インキの組み合わせを、近似色データべース128から新たに読み出す。
図1に戻り、特色インキ濃度階調出現率算出部123は、原色インキを所定の比率で混ぜ合わせて生成した特色インキの濃度階調領域毎の出現率関数am(s)を求める。そして、特色インキ濃度階調出現率算出部123は、求めた出現率関数am(s)を一時記憶部125の特色インキ濃度階調出現率テーブルに対して書き込んで記憶させる。ここで、特色インキ濃度階調出現率算出部123は、特色インキを構成する原色インキのいずれかの出現率関数am(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104から読み出し、この特色インキの出現率関数am(s)とする。また、特色インキ濃度階調出現率算出部123は、特色インキを構成する原色インキの各々の出現率関数am(s)を、それぞれの原色インキの配合比により組合わせ、特色インキの出現率関数am(s)としても良い。
<分光反射率予測部108の動作>
次に、分光反射率予測部108は、拡張ノイゲバウア原色算出部1081、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082及び分光反射率算出部1083を備えている。
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、重ね合わせる色の順番に従い、下地になるインキ(原色インキあるいは特色インキ)と、下地の表面に印刷されるインキとを決定する。また、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、重ね合わせるインキの各々の指令網点面積率を、入力部101から読み込む。
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地のインキに対して重なる原色インキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)を、吸収係数・散乱係数データベース106から読み込む。また、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地のインキに対して重なる特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)を、一時記憶部125の散乱吸収係数テーブルから読み込む。
次に、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、(1)式に下地となるインキ(特色インキまたは原色インキ)の網点における濃度階調領域の濃度階調分光反射率Rim(λ)を下地分光反射率R0(λ)として代入し、下地のインキに対して重なるインキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)と、濃度階調領域の膜厚係数Xmとの各々を代入することにより、下地のインキの上に重なって印刷されるインキの網点を構成する濃度階調領域における濃度階調分光反射率Rim(λ)を算出する。
ここで、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、上述した下地のインキの網点の濃度階調領域と、この下地のインキの上に印刷されるインキの網点を構成する濃度階調領域の各々の重なり部分の濃度階調分光反射率Rim(λ)の計算を、下地のインキの網点における濃度階調領域と、下地のインキの網点上に印刷されるインキ(特色インキまたは原色インキ)の網点の濃度階調領域との組合わせの全てにおいて行う。
図4は、下地としてのインキの上に重ねて印刷されるインキの濃度階調分光反射率Rim(λ)の算出を説明する図である。
濃度階調分光反射率算出部102は、印刷媒体の分光反射率を下地の分光反射率R0(λ)とし、インキ1000の領域の吸収係数K(λ)と散乱係数S(λ)とを用いて、(1)式から印刷媒体に対して印刷されたインキ1000(特色インキまたは原色インキ)の領域の網点の濃度階調領域の分光反射率Rim(λ)を求める。
そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、領域1002に示す分光反射率のインキ1000の上に対し、インキの領域1004の上部に印刷された領域1005に示す分光反射率RKM(λ)を算出する。ここで、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、インキ1000の領域における網点の濃度階調領域の分光反射率RKM(λ)を下地の分光反射率R0(λ)とし、領域1003に示すインキ1001の吸収係数K(λ)と散乱係数S(λ)と、濃度階調領域の膜厚係数Xmを、(1)式に代入して、領域1004におけるインキ1000の領域に重ねて印刷されたインキ1001(特色インキまたは原色インキ)の領域1004の網点における濃度階調領域の分光反射率RKM(λ)を求める。
これにより、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地のインキ(特色インキまたは原色インキ)の網点における濃度階調領域と、下地のインキの網点上に印刷されるインキの網点の濃度階調領域との組合わせにおいて、下地のインキの網点上に印刷される上部のインキ(特色インキまたは原色インキ)の網点の濃度階調領域の重なり領域における分光反射率RKM(λ)を、後述するように、下地のインキの網点と上部のインキ網点とにおける濃度階調領域との組合わせの全てについて算出することにより、インキが重ねて印刷された印刷部分における分光反射率RKM(λ)を求める。
このとき、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、重ね塗りするインキの指令網点面積率の組合せ毎に、補正パラメータテーブル記憶部113から対応する補正パラメータHXmを読み出す。この補正パラメータHXmは、後述する補正パラメータ算出部112の算出したパラメータであり、(1)式における膜厚係数Xmに対して乗算し、膜厚係数Xmを補正する係数である。この補正パラメータHXmは、重ね塗りされるインキの指令網点面積率の組合せ毎に設定され、予め補正パラメータ算出部112により算出されて、補正パラメータテーブル記憶部113に書き込まれて記憶されている。
そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、補正パラメータテーブル記憶部113から読み出した補正パラメータHXmを、(1)式における膜厚係数Xmに対して乗算して、補正後の膜厚係数Xmを用いて、インキの重ね塗り部分における濃度階調領域の組合せの各領域の分光反射率RKM(λ)を求める。拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、求めた分光反射率RKM(λ)を、下層のインキの網点上に印刷される上部のインキの網点の濃度階調領域の組合せ各々の領域(例えば、Q1からQ9の各々)に対応させて一時記憶部125のノイゲバウア原色テーブルに書き込んで記憶させる。
図5は、特色インキの重ね合わせによりノイゲバウア原色を算出する処理を示すフローチャートである。また、重ね合わせるインキとしては特色インキだけでなく、原色インキと特色インキとを組み合わせても良い。
ステップS201:
ユーザは、特色インキの組み合わせに対応し、それぞれの組み合わせにおける特色インキの刷り順を入力し、色予測システムに対して設定する。
ステップS202:
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、印刷媒体の分光反射率である下地分光反射率R0(λ)を、測定分光反射率データベース105から読み出す。
ステップS203:
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、重ね合わせる特色インキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)の各々を、一時記憶部125の散乱吸収係数テーブルから読み込む。
ステップS204:
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、特色インキの重ね合わせにおける指令網点面積率の組合せに対応した補正パラメータHXmを、補正パラメータテーブル記憶部113の補正パラメータテーブルから読み出す。そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、コア部あるいはフリンジ部の重なり部分の濃度階調領域の組合せにおける各領域の分光反射率を算出する際、読み出した補正パラメータHXmを(1)式における膜厚係数Xmに対して乗算し、補正パラメータHXmを拡張ノイゲバウア原色の分光反射率の算出に反映させる。
ステップS205:
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、特色インキあるいは原色インキを下地として印刷した印刷物の分光反射率RKM(λ)を、補正パラメータHXmが乗ぜられて補正された膜厚係数Xmを用いて、(1)式により算出する。このとき、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、重ね合わせる特色インキにおけるそれぞれの膜厚係数の組み合わせの全てのノイゲバウア原色を算出する。すなわち、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地の印刷媒体に印刷した特色インキの分光反射率RKM(λ)を求め、この求めた分光反射率RKM(λ)を新たな下地の分光反射率とする。そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、求めた分光反射率RKM(λ)の特色インキに対して、新たな特色インキを重ね合わせた際の分光反射率を算出し、これを拡張ノイゲバウア原色の分光反射率RKM(λ)とする。
ここで、下地がプロセスインキのベタなど、予め分光反射率の実測値が既知である場合、媒体に印刷した際の分光反射率を算出するのではなく、実測値である分光反射率を、重ね合わせる下地の分光反射率として用いても良い。
そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、算出した分光反射率RKM(λ)を、一時記憶部125の拡張ノイゲバウア原色テーブルに書き込んで記憶させる。
ステップS206:
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、特色インキの組み合わせの全ての拡張ノイゲバウア原色の算出が終了したか否かの判定を行う。
このとき、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、全ての拡張ノイゲバウア原色の算出が終了した場合、処理を終了する。一方、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、全ての拡張ノイゲバウア原色の算出が終了していない場合、処理をステップS207へ進める。
ステップS207:
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、特色インキの組み合わせを変更し、重ね合わせる特色インキの順番を、次の特色インキの組み合わせの順番とし、処理をステップS205に進める。
図1に戻り、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、下地のインキの濃度階調領域と、下地のインキに重ねて印刷されるインキの濃度階調領域との重なりの出現率の割合を算出する。
図6は、下地のインキの濃度階調領域と、下地のインキ(特色インキまたは原色インキ)に重ねて印刷されるインキの濃度階調領域との重なりの出現率の割合の算出を説明する図である。
図6においては、簡単のため重ね合わせるインキを2種類とし、濃度階調領域の種類も2種類としている。しかしながら、重ね合わせるインキと濃度階調領域の種類との各々が3以上の複数でも、下地のインキの濃度階調領域と、下地のインキに重ねて印刷されるインキの濃度階調領域との重なりの出現率の割合の算出は、以下の説明と同様に行うことができる。
図6(a)は、濃度階調領域が2種類ある場合を示しており、インキ#1の指令網点面積率(設定網%)と、指令網点面積率における網点に出現する濃度階調領域であるコア及びフリンジの各々の出現率との対応関係を示している。また、インキ#2もインキ#1と同様の対応関係を有している。インキ#1及びインキ#2の各々は、原色インキあるいは特色インキのいずれかである。また、インキ#1及びインキ#2の各々において、濃度階調領域が濃度階調コア領域1及び濃度階調フリンジ領域2のそれぞれ2種類があり、濃度階調コア領域1は膜厚100%であり、濃度階調フリンジ領域2は膜厚50%である。また、他インキも同様の対応関係を有している。
図6(b)は、濃度階調コア領域1及び濃度階調フリンジ領域2の各々の重なりを示している。図6(b)において、例えばインキ#1がシアン(C)であり、インキ#2がマジェンダ(M)である。濃度階調コア領域1及び濃度階調フリンジ領域2の各々の重なりの組み合わせとしては、領域Q1から領域Q9の9種類がある。領域Q1は、シアンの濃度階調コア領域1のみの領域である。領域Q2は、シアンの濃度階調フリンジ領域2のみの領域である。領域Q3は、マジェンダの濃度階調コア領域1のみの領域である。領域Q4は、マジェンダの濃度階調フリンジ領域2のみの領域である。領域Q5は、シアン及びマジェンダ各々の濃度階調コア領域1が重なった領域である。領域Q6は、マジェンダの濃度階調フリンジ領域2とシアンの濃度階調コア領域1が重なった領域である。領域Q7は、マジェンダの濃度階調コア領域1とシアンの濃度階調フリンジ領域2が重なった領域である。領域Q8は、シアン及びマジェンダの各々の濃度階調フリンジ領域2が重なった領域である。領域Q9は、シアン及びマジェンダのいずれのインキも存在しない領域である。
図7は、図6における領域Q1から領域Q9のそれぞれの出現率の算出結果を示すテーブルの図である。図7においては、原色インキC(シアン)及びM(マジェンダ)で説明しているが、特色インキでも同様に出現率が算出される。このテーブルにおいて、Cはシアンの濃度階調領域であり、Mはマジェンダの濃度階調領域であり、CMはシアン及びマジェンダの濃度階調領域が重なった領域であり、Wはシアン及びマジェンダのいずれのインキも存在しない領域を示している。図7において、出現率α1はシアンの濃度階調コア領域1の出現率であり、出現率α2はシアンの濃度階調フリンジ領域2の出現率である。出現率α0は、出現率α1及び出現率α2の各々を加算したものである(α0=α1+α2)。出現率β1はマジェンダの濃度階調コア領域1の出現率であり、出現率β2はマジェンダの濃度階調フリンジ領域2の出現率である。出現率β0は、出現率β1及び出現率β2の各々を加算したものである(β0=β1+β2)。
領域Q1及び領域Q2の単次の出現率は、シアンのインキが出現する出現率α0に対し、マジェンダのインキが出現しない率である(1−β0)を乗算したα0*(1−β0)となり、シアンのインキのみの領域の出現率を示す。本実施形態において、*は乗算を示している。
領域Q3及び領域Q4の単次の出現率は、マジェンダのインキが出現する出現率β0に対し、シアンのインキが出現しない率である(1−α0)を乗算したβ0*(1−α0)となり、マジェンダのインキのみの領域の出現率を示す。
領域Q5から領域Q8の単次の出現率は、シアンのインキが出現する出現率α0に対し、マジェンダのインキが出現する出現率β0を乗算したα0*β0となり、シアンのインキとマジェンダのインキとが重なっている領域の出現率を示す。
領域Q9の単次の出現率は、シアンのインキが出現しない率である(1−α0)に対し、マジェンダのインキが出現しない率である(1−β0)を乗算した(1−α0)*(1−β0)となり、シアンのインキとマジェンダのインキとの双方が存在しない領域の出現率を示す。
領域Q1の副次の出現率は、シアンのインキの網点の濃度階調コア領域1のみの出現率を示しており、濃度階調コア領域1の出現率α1を、濃度階調コア領域1の出現率α1及び濃度階調フリンジ領域2の出現率α2の加算結果により除算した率である。
領域Q2の副次の出現率は、シアンのインキの網点の濃度階調フリンジ領域2のみの出現率を示しており、濃度階調コア領域1の出現率α1を、濃度階調コア領域1の出現率α1及び濃度階調フリンジ領域2の出現率α2の加算結果により除算し、この除算結果を1から減算した率である。
領域Q3の副次の出現率は、マジェンダのインキの網点の濃度階調コア領域1のみの出現率を示しており、濃度階調コア領域1の出現率β1を、濃度階調コア領域1の出現率β1及び濃度階調フリンジ領域2の出現率β2の加算結果により除算した率である。
領域Q4の副次の出現率は、マジェンダのインキの網点の濃度階調フリンジ領域2のみの出現率を示しており、濃度階調コア領域1の出現率β1を、濃度階調コア領域1の出現率β1及び濃度階調フリンジ領域2の出現率β2の加算結果により除算し、この除算結果を1から減算した率である。
領域Q5の副次の出現率は、シアン及びマジェンダの各々のインキの網点の濃度階調コア領域1の重なり部分の出現率を示しており、シアンのインキの網点の濃度階調コア領域1の出現率α1を、濃度階調コア領域1の出現率α1及び濃度階調フリンジ領域2の出現率α2の加算結果により除算した率と、マジェンダのインキの網点の濃度階調コア領域1の出現率β1を、濃度階調コア領域1の出現率β1及び濃度階調フリンジ領域2の出現率β2の加算結果により除算した率とを乗算した結果の率である。
領域Q6の副次の出現率は、シアンのインキの網点の濃度階調コア領域1とマジェンダのインキの網点の濃度階調フリンジ領域2の重なり部分の出現率を示しており、シアンのインキの網点の濃度階調コア領域1の出現率α1を、濃度階調コア領域1の出現率α1及び濃度階調フリンジ領域2の出現率α2の加算結果により除算した率と、マジェンダのインキの網点の濃度階調コア領域1の出現率β1を、濃度階調コア領域1の出現率β1及び濃度階調フリンジ領域2の出現率β2の加算結果により除算した率を1から減算した率とを乗算した結果の率である。
領域Q7の副次の出現率は、シアンのインキの網点の濃度階調フリンジ領域2とマジェンダのインキの網点の濃度階調コア領域1の重なり部分の出現率を示しており、シアンのインキの網点の濃度階調コア領域1の出現率α1を、濃度階調コア領域1の出現率α1及び濃度階調フリンジ領域2の出現率α2の加算結果により除算した率を1から減算した率と、マジェンダのインキの網点の濃度階調コア領域1の出現率β1を、濃度階調コア領域1の出現率β1及び濃度階調フリンジ領域2の出現率β2の加算結果により除算した率とを乗算した結果の率である。
領域Q8の副次の出現率は、シアンのインキの網点の濃度階調フリンジ領域2とマジェンダのインキの網点の濃度階調フリンジ領域2の重なり部分の出現率を示しており、シアンのインキの網点の濃度階調コア領域1の出現率α1を、濃度階調コア領域1の出現率α1及び濃度階調フリンジ領域2の出現率α2の加算結果により除算した率を1から減算した率と、マジェンダのインキの網点の濃度階調コア領域1の出現率β1を、濃度階調コア領域1の出現率β1及び濃度階調フリンジ領域2の出現率β2の加算結果により除算した率を1から減算した率とを乗算した結果の率である。
領域Q9の副次の出現率は、シアンのインキとマジェンダのインキとの双方が存在しない領域の出現率を示し、「1」である。
上述したように、使用するインキの重ね合わせに用いる出現率の式は、予め設定され図7に示すテーブルとして、濃度階調出現率テーブルデータベース104に書き込んで記憶されている。
図1に戻り、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、重ね合わせるインキの種類と、重ね合わせるインキの網点を示す指令網点面積率との各々の組み合わせにより、濃度階調出現率テーブルデータベース104の図7のテーブルの式を読み込む。
また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、濃度階調出現率テーブルデータベース104から、シアンとマジェンダとの各々の濃度階調コア領域1及び濃度階調フリンジ領域2それぞれの出現率関数から出現率α1、α2、β1、β2を読み込む。
このとき、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、重ね塗りするインキの指令網点面積率の組合せ毎に、補正パラメータテーブル記憶部113の補正パラメータテーブルから指令網点面積率の組合せに対応する補正パラメータH1、H2の各々を読み出す。この補正パラメータH1及びH2の各々は、後述する補正パラメータ算出部112の算出した網点の出現率関数a1(s)(例えば、濃度階調領域1の出現率を求める関数)、a2(s)(例えば、濃度階調領域2の出現率を求める関数)それぞれに対して乗算し、出現率関数a1(s)、a2(s)それぞれを補正する係数である。この補正パラメータH1及びH2の各々は、下地のインキの指令網点面積率と上に印刷されるインキの指令網点面積率との組合せ毎に設定され、予め補正パラメータ算出部112により算出されて、補正パラメータテーブル記憶部113に書き込まれて記憶されている。
そして、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、補正パラメータテーブル記憶部113から読み出した補正パラメータH1及びH2の各々を、各領域の出現率を算出する際に、出現率関数a1(s)、a2(s)から求めた出現率α1、α2、β1、β2それぞれに対して乗算して、補正後の出現率α1、α2、β1、β2それぞれを用いて、インキの重ね塗り部分の濃度階調領域の組合せにおける各領域の出現率(副次の出現率)を求める。ここで、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、下地のインキの指令網点面積率と上に印刷するインキの指令網点面積率の組合せ毎に、インキの重ね塗り部分の濃度階調領域の組合せにおける各領域の出現率(副次の出現率)を求める。ここで、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、重ね塗りに用いるインキが特色インキの場合、特色インキ濃度階調出現率算出部123が求めた特色インキの濃度階調領域毎の出現率関数am(s)に対し、補正パラメータH1、H2、…を用いて、出現率α1、α2、β1、β2それぞれの補正を行う。
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、シアンが下地で、マジェンダがシアンに重ね合わされる場合、シアンの分光反射率を下地の分光反射率R0(λ)として、指令網点面積率で出現するマジェンダの濃度階調領域の膜厚を用い、(1)式により、重なり部分における濃度階調領域の分光反射率RKM(λ)を算出する。例えば、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、領域Q5における分光反射率RKM(λ)を求める際、印刷媒体上のシアンのインキの膜厚100%における濃度階調分光反射率Rim(λ)を下地の分光反射率R0(λ)として、マジェンダのインキの膜厚100%を重ねた際の重なり部分における印刷部分の分光反射率RKM(λ)を算出する。
同様に、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、領域Q7における分光反射率RKM(λ)を求める際、印刷媒体上のシアンのインキの膜厚50%における濃度階調分光反射率Rim(λ)を下地の分光反射率R0(λ)とし、マジェンダのインキの膜厚100%を重ねた際の分光反射率RKM(λ)を算出する。同様に、インキの指令網点面積率の組合せ毎に、重ね合わされるインキの濃度階調領域の組合せにおける拡張ノイゲバウア原色の全ての組み合わせについて、分光反射率RKM(λ)を算出する。
そして、分光反射率算出部1083は、下地のインキと上に印刷するインキの指令網点面積率の組合せ毎に、補正パラメータHXmを乗算した膜厚係数Xmを用いて算出した領域Q1から領域Q9の拡張ノイゲバウア原色の各々の分光反射率に対し、補正パラメータH1、H2を乗じて補正した出現率関数を用いて算出した各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率を乗算し、波長毎に加算する。
これにより、分光反射率算出部1083は、シアンのインキの網点が印刷された印刷媒体に対し、マジェンダのインキの網点を重ねて印刷した際における印刷部分の第1予測分光反射率RD1(λ)を算出する。
<分光反射率による色予測に用いる補正パラメータの算出>
原色インキあるいは特色インキを掛け合わせた印刷を行う場合、各色のインキの版により順次印刷する重ね塗りをするため、理想的なインキの網点形状を元としたコアフリンジモデルに対して、実際の印刷においてはインキの厚さや形状が異なり、すなわち理想的なインキの網点形状との間に誤差が生じていることが考えられる。この誤差が生じることにより、モデルによる色予測の結果が実際の印刷結果と合わないため、網点の形状変化に対応して第1予測分光反射率RD1(λ)を算出する必要がある。また、上記誤差には、トラッピングによる印刷されたインキの膜厚変化、重ね塗りの重なり(網点同士の重なり)具合によるインキの網点形状の変化、先刷りの版により印刷されたインキの網点形状のつぶれ、などのモデル化し難い特性が含まれている。本実施形態における補正パラメータは、上述した誤差の全てを含んでおり、計算モデルの係数を補正パラメータにより補正することにより、上記誤差の影響を容易に排除することができる。
また、印刷されるインキの網点の形状変化は、印刷する際に重ね合わせるインキの指令網点面積率の組合せ毎に異なるため、この指令網点面積率の組合せ毎に異なった補正パラメータを生成し、計算モデルの関数及び式の補正を行う。本実施形態においては、すでに述べたように、単色ステップにおける濃度階調領域の出現率関数a1(s)、a2(s)を補正するための補正パラメータH1、H2、…と、拡張ノイゲバウア原色を(1)式を用いて算出する際の膜厚係数Xmを補正する補正パラメータHXmとを、それぞれ重ね合わせる指令網点面積率の組合せ毎に生成し、各色の版を順番に重ね塗りした際の予測色を求めるために用いる。
上述した補正パラメータH1、H2、…と、補正パラメータHXmとを求める際、以下に説明するように、これら補正パラメータを全て1.0(補正無し)として算出した第1予測分光反射率RD1(λ)と、実際に印刷した印刷部分の分光反射率である測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)との差分を最小とする補正パラメータH1、H2、…と、補正パラメータHXmとを算出する。
例えば、上述した測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)を得るため、原色インキCMYKの4色を、所定の網点面積率の組合せにより、重ね塗りしたカラーチャートを作成する。ここで、各原色インキの網点面積率は、本実施形態において、CMYKそれぞれの色毎に0%から100%までを20%刻みとしている。したがって、64=1296通りの組合せのカラーチャートの印刷を行う。このカラーチャート全てにおける印刷部分の測定分光反射率、すなわち単色インキ各々の指令網点面積率の組合せ毎の測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)を測定し、入力部101を介して測定分光反射率データベース105に、予め書き込んで記憶させておく。
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、インキの重なり合う領域Q1からQ9の各々に対し、下層のインキの指令網点面積率とその直上の上層に印刷されるインキの指令網点面積率との組合せ毎に、拡張ノイゲバウア原色出現率を求める。このとき、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、拡張ノイゲバウア原色出現率を求める際に用いる出現率関数a1(s)、a2(s)を補正する補正パラメータH1、H2の数値を変化させつつ、拡張ノイゲバウア原色出現率の算出を行う。
また、分光反射率算出部1083は、拡張ノイゲバウア原色算出部1081が算出したインキの重ね合わせの各領域の分光反射率と、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082が算出した各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率とにより、インキの網点を重ねて印刷した際における印刷部分の第1予測分光反射率RD1(λ)を算出する。
補正パラメータ算出部112は、カラーチャートの印刷部分の分光反射率を測定した測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)と、対応する重ね合わせるインキの指令網点面積率の組合せの第1予測分光反射率RD1(λ)との差分Rerrorを求める。そして、補正パラメータ算出部112は、指令網点面積率の組合せ毎に、第1予測分光反射率RD1(λ)と測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)との差分Rerrorが最小となる、(1)式における膜厚係数Xmに乗算する補正パラメータHxと、拡張ノイゲバウア原色の出現率を算出する際に用いる濃度階調出現率関数a1(s)、a2(s)、a3(s)、…、am(s)の各々に乗算する補正パラメータH1、H2、H3、…、Hmそれぞれを算出する。
すなわち、補正パラメータ算出部112は、拡張ノイゲバウア原色算出部1081に対して、膜厚係数Xmに乗算するための補正パラメータHXmを順次出力し、拡張ノイゲバウア原色算出部1081に対して、網点のコア部及びフリンジ部の濃度階調領域の各々の重なりの組合せにおける各領域の分光反射率を算出させる。拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、第1予測分光反射率RD1(λ)を算出するため、インキの濃度階調コア領域1及び濃度階調フリンジ領域2との重なりにおける濃度階調領域の各々が重なり合う領域それぞれの分光反射率RKM(λ)を求める際、指令網点面積率の組合せ毎に補正パラメータ算出部112から供給される補正パラメータHXmを(1)式における膜厚係数Xmに乗じて、各領域の分光反射率RKM(λ)を算出する。
また、補正パラメータ算出部112は、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082に対して、各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率を求める際に用いる出現率関数a1(s)、a2(s)を補正するための補正パラメータH1、H2を順次出力し、図7のテーブルにおける濃度階調領域の重なりの出現率を示す式を用いて各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出させる。拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、指令網点面積率の組合せ毎の各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する際、インキの濃度階調コア領域1及び濃度階調フリンジ領域2との階調濃度領域の重なりにおける各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率を求めるとき、補正パラメータ算出部1から供給される補正パラメータH1、H2の各々を、出現率関数a1(s)、a2(s)それぞれに乗じて、指令網点面積率に応じて各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する。また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、指令網点面積率に応じて、出現率関数a1(s)、a2(s)それぞれから求めた出現率に対し、補正パラメータH1、H2の各々を、乗算して補正するようにしても良い。
次に、補正パラメータ算出部112は、拡張ノイゲバウア原色算出部1081が順次算出する重ね合わせの各領域の分光反射率と、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082が順次算出する各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率とにより、分光反射率算出部1083に対して第1予測分光反射率RD1(λ)を求めさせる。そして、補正パラメータ算出部112は、第1予測分光反射率RD1(λ)と測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)との差分Rerrorが最小となる分光反射率とノイゲバウア原色出現率との組合せを抽出する。この最小化の手法については一般的な手法が使用されるため、本実施形態においては説明を省略する。
そして、補正パラメータ算出部112は、測定分光反射率との差分が最小となる算出分光反射率を算出した際に用いた、補正パラメータHXmの数値及びノイゲバウア原色出現率を算出した際に用いた補正パラメータH1、H2の数値の各々を抽出し、その指令網点面積率の組合せにおける補正パラメータHXm、補正パラメータH1、H2とする。補正パラメータ算出部112は、上記補正パラメータHXm、補正パラメータH1、H2の抽出を、下層のインキの指令網点面積率とその直上の上層に印刷されるインキの指令網点面積率との組合せ毎に求める。そして、補正パラメータ算出部112は、抽出した補正パラメータHXm、補正パラメータH1、H2を補正パラメータテーブルとして、それぞれ指令網点面積率の組合せに対応させて、補正パラメータテーブル記憶部113に書き込んで記憶させる。
図8は、補正パラメータを求める補正パラメータ算出部112の動作を説明する図である。図8においては、測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)の測定対象として、例えば、Cの指令網点面積率を、0%から100%までにおいて20%刻みの6種類とし、この6種類の指令網点面積率の各々で印刷した下層に対して、Mを0%から100%までにおいて20%刻みの6種類の指令網点面積率それぞれとを組合わせて重ね合わせて印刷したカラーチャートを生成する(図8(a)に対応する動作)。このとき、指令網点面積率はC及びMの各々とも6種類ずつであるため、指令網点面積率の組合せは、62=36種類となる。
図8(a)は、上述した単色インキの掛け合わせのカラーチャートにおける指令網点面積率の組合せを示す図である。すなわち、図8(a)は、横軸の各ドットがCの指令網点面積率0%、20%、40%、60%、80%、100%それぞれを示し、縦軸の各ドットがMの指令網点面積率0%、20%、40%、60%、80%、100%それぞれを示している。C及びMの各々の指令網点面積率に対応する線の交点である格子点(ノード)は、C及びMの各々の指令網点面積率の組合せを示している。図8(a)における黒丸が配置された各ノードにおける指令網点面積率の組合せの印刷部分の分光反射率を測定し、指令網点面積率の組合せ毎の測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)を得る。
補正パラメータ算出部112は、CとMとの組合せで印刷したカラーチャートのなかから、下地分光反射率R0(λ)とベタの印刷における測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)とを抽出する(図8(b))。補正パラメータ算出部112は、すでに求められている単色ステップにおいて求められた出現率関数a1(s)、a2(s)、…を、濃度階調出現率テーブルデータベース104から読み込む(図8(c))。そして、補正パラメータ算出部112は、抽出した下地分光反射率R0(λ)を拡張ノイゲバウア原色算出部1081に供給する。また、補正パラメータ算出部112は、拡張ノイゲバウア原色算出部1081に対して、補正パラメータHXmを順次送信する。これにより、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、補正パラメータHXmを膜厚係数Xmに乗算することでこの膜厚係数Xm(=HXm×Xm)を補正し、下層のインキと上層のインキとにおけるコア部及びフリンジ部の階調濃度領域の各々の重なる領域毎の分光反射率を求める。
また、補正パラメータ算出部112は、順次補正パラメータH1、H2、…を拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082に供給する。これにより、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、下層のインキとその直上の上層に印刷されるインキの網点の階調濃度領域の重なりにおける各領域の出現率(ノイゲバウア原色出現率)を、補正パラメータH1、H2、…により補正された出現率関数a1(s)、a2(s)、…により算出する。このときの算出率は濃度階調出現率テーブルデータベース104に記憶されている出現率のテーブルの式に基づいて行われる。次に、分光反射率算出部1083は、算出された各領域の分光反射率と出現率とを乗算して波長毎に加算することにより、第1予測分光反射率TD1(λ)を求める。この第1予測分光反射率は、白丸が配置されたノードにおける指令網点面積率の組合せ毎に求められる(図8(d))。
補正パラメータ算出部112は、第1予測分光反射率RD1(λ)と測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)との差分Rerrorを求める。このとき、補正パラメータ算出部112は、ノードの指令網点面積率の組合せ毎に、補正パラメータHXmと補正パラメータH1、H2、…とを変更しつつ求められた第1予測分光反射率RD1(λ)の各々と、測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)との差分Rerrorを求める。そして、補正パラメータ算出部112は、この差分Rerrorが最小となる補正パラメータHXmと補正パラメータH1、H2、…との組合せを算出する。これにより、補正パラメータ算出部112は、差分Rerrorが最小となる第1予測分光反射率RD1(λ)を算出した際の補正パラメータHXmと補正パラメータH1、H2、H3、…、HXmとの組合せを、そのノードの指令網点面積率の組合せにおける補正パラメータとする(図8(e))。補正パラメータ算出部112は、上述した処理により、全てのノードの指令網点面積率の組合せに対応した補正パラメータHXmと補正パラメータH1、H2、H3、…、Hmの各々とを求める。
次に、補正パラメータ算出部112は、求めた補正パラメータHXmと補正パラメータH1、H2、H3、…、Hmの各々とを、それぞれ指令網点面積率の組合せに対応させて、補正パラメータテーブル記憶部113に対して書き込んで記憶させる(図8(f))。
上述した処理により求めた補正パラメータHXm及び補正パラメータH1、H2、…の各々は、原色インキ及び特色インキの各々の色に特定されるものではなく、指令網点面積率の組合せにのみ対応し、フリンジモデルと、実際の印刷におけるインキの形態との誤差を補正するための補正係数である。したがって、原色インキ及び特色インキの色に関係なく、上述した処理で求めた補正パラメータHXm及び補正パラメータH1、H2、…を、印刷部分の色予測に用いることができる。
次に、上述したように求めた補正パラメータHXm及び補正パラメータH1、H2、…を用いて、分光反射率による特色印刷の再現色の予測について説明する。
吸収係数・散乱係数算出部107は、吸収係数・散乱係数データベース106から読み出した、設定した配合比に含まれる原色インキ、例えば原色インキ#1及び原色インキ#2の各々の吸収係数K1(λ)及びK2(λ)と、散乱係数S1(λ)及びS2(λ)との各々を上記(4)式に代入し、原色インキを混色した特色インキの吸収係数Kt(λ)及び散乱係数St(λ)を算出する。この特色インキの場合、混ぜ合わせる原色インキの比率に応じて、上記(4)式において、特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)を算出する。また、特色インキ分光反射率算出部121は、求めた特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)の各々を、一時記憶部125の散乱吸収係数テーブルに書き込んで記憶させる。
そして、特色インキ分光反射率算出部121は、上記(1)式に対して、吸収係数Kt(λ)及び散乱係数St(λ)と、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と濃度階調の膜厚係数Xmとの各々を代入し、特色インキの分光反射率RKM(λ)を求める。
特色インキ再現色算出部129は、特色インキ分光反射率算出部121が算出した特色インキの分光反射率RKM(λ)に対して観察環境の光源の分光分布と、標準観測者を設定し、測色値(例えばL*a*b*値)に変換し、特色インキ配合比決定部122に対して出力する。
特色インキ配合比決定部122は、特色インキ再現色算出部129が求めた測色値と、色見本の測色値との色差を確認する。そして、特色インキ配合比決定部122は、この色差が予め設定された許容範囲内である場合、特色インキ分光反射率算出部121が求めた色における原色インキ各々の配合比を、見本の特色インキを構成する原色インキの種類と、その配合比として、一時記憶部125の特色インキ配合比テーブルに対し、特色インキの識別情報である特色インキ識別情報とともに書き込んで記憶させる。
次に、特色インキ濃度階調出現率算出部123は、原色インキを所定の比率で混ぜ合わせて生成した特色インキの濃度階調領域毎の出現率関数am(s)を求める。そして、特色インキ濃度階調出現率算出部123は、求めた出現率関数am(s)を一時記憶部125の特色インキ濃度階調出現率テーブルに対して書き込んで記憶させる。ここで、特色インキ濃度階調出現率算出部123は、特色インキを構成する原色インキのいずれかの出現率関数am(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104から読み出し、この特色インキの出現率関数am(s)とする。
そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、重ね合わせる色の順番に従い、下地になるインキ(原色インキあるいは特色インキ)と、下地の表面に印刷されるインキとを決定する。また、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、重ね合わせるインキの各々の指令網点面積率を、入力部101から読み込む。
拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地のインキに対して重なる原色インキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)を、吸収係数・散乱係数データベース106から読み込む。また、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地のインキに対して重なる特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)を、一時記憶部125の散乱吸収係数テーブルから読み込む。
次に、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、重ね塗りするインキの指令網点面積率の組合せ毎に、補正パラメータテーブル記憶部113から対応する補正パラメータHXmを読み出す。そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、膜厚係数Xmに対して読み出した補正パラメータHXmを乗算し、膜厚係数Xmの補正を行う。
そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、(1)式に下地となるインキ(特色インキまたは原色インキ)の網点における濃度階調領域の濃度階調分光反射率Rim(λ)を下地分光反射率R0(λ)として代入し、下地のインキに対して重なるインキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)と、濃度階調領域の補正した膜厚係数Xmとの各々を代入することにより、下地のインキの上に重なって印刷されるインキの網点を構成する濃度階調領域における濃度階調分光反射率Rim(λ)を算出する。
これにより、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地のインキ(特色インキまたは原色インキ)の網点における濃度階調領域と、下地のインキの網点上に印刷されるインキの網点の濃度階調領域との組合わせにおいて、下地のインキの網点上に印刷される上部のインキ(特色インキまたは原色インキ)の網点の濃度階調領域の重なり領域における分光反射率RKM(λ)を、後述するように、下地のインキの網点と上部のインキ網点とにおける濃度階調領域との組合わせの全てについて算出することにより、インキが重ねて印刷された印刷部分における分光反射率RKM(λ)を求める。
次に、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、下地のインキの濃度階調領域と、下地のインキに重ねて印刷されるインキの濃度階調領域との重なりの出現率の割合を算出する。拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、重ね合わせるインキの種類と、重ね合わせるインキの網点を示す指令網点面積率との各々の組み合わせにより、濃度階調出現率テーブルデータベース104の図7のテーブルの式を読み込む。また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、濃度階調出現率テーブルデータベース104から、シアンとマジェンダとの各々の濃度階調コア領域1及び濃度階調フリンジ領域2それぞれの出現率関数から出現率α1、α2、β1、β2を読み込む。また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、重ね塗りするインキの指令網点面積率の組合せ毎に、補正パラメータテーブル記憶部113の補正パラメータテーブルから指令網点面積率の組合せに対応する補正パラメータH1、H2の各々を読み出す。
そして、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、補正パラメータテーブル記憶部113から読み出した補正パラメータH1及びH2の各々を、各領域の出現率を算出する際に、出現率関数a1(s)、a2(s)から求めた出現率α1、α2、β1、β2それぞれに対して乗算して、補正後の出現率α1、α2、β1、β2それぞれを用いて、インキの重ね塗り部分の濃度階調領域の組合せにおける各領域の出現率(副次の出現率)を求める。ここで、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、下地のインキの指令網点面積率と上に印刷するインキの指令網点面積率の組合せ毎に、インキの重ね塗り部分の濃度階調領域の組合せにおける各領域の出現率(副次の出現率)を求める。ここで、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、重ね塗りに用いるインキが特色インキの場合、特色インキ濃度階調出現率算出部123が求めた特色インキの濃度階調領域毎の出現率関数am(s)に対し、補正パラメータH1、H2、…を用いて、出現率α1、α2、β1、β2それぞれの補正を行う。
上述したように、分光反射率算出部1083は、重ね塗りされる下地のインキと上に印刷するインキの指令網点面積率の組合せ毎に、補正パラメータHXmを乗算した膜厚係数Xmを用いて算出した領域Q1から領域Q9の拡張ノイゲバウア原色の各々の分光反射率に対し、補正パラメータH1、H2を乗じて補正した出現率関数を用いて算出した各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率を乗算し、波長毎に加算する。
上述したように、分光反射率算出部1083は、下層にインキの網点が印刷された印刷媒体に対し、上層に他のインキの網点を重ねて印刷した際における印刷部分の第1予測分光反射率RD1(λ)を算出する。
また、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、補正パラメータの生成に用いたカラーチャートに含まれない指令網点面積率の組合せ、すなわち補正パラメータテーブルに存在しない指令網点面積率の組合せの色予測を行う場合、この色予測の対象とする指令網点面積率の組合せに近い複数の指令網点面積率の組合せに対する補正パラメータ(第1補正パラメータである膜厚係数Xmを補正する補正パラメータ)を用い、(1)式における膜厚係数Xmを補正する補正パラメータ(第1補正パラメータ)を補間計算により算出する。拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、拡張ノイゲバウア原色算出部1081が補間に用いた複数の指令網点面積率の組合せに対する補正パラメータ(第2補正パラメータである出現率関数a1(s)、a2(s)、…の各々を補正する補正パラメータ)を用い、出現率関数a1(s)、a2(s)、…の各々を補正する補正パラメータ(第2補正パラメータ)を補間計算により算出する。
図9は、補正パラメータテーブル記憶部113に書き込まれている補正パラメータテーブルの一例を示す図である。この補正パラメータテーブルにおいて、行方向(横方向)の欄の並びが1層目、すなわち下層として印刷されたインキの指令網点面積率に対応し、列方向(縦方向)の欄の並びが2層目、すなわち下地の紙の表面に印刷された1層目のインキを下層として、1層目の直上の上層に印刷されるインキの指令網点面積率に対応している。また、図9は、2色のインキの掛け合わせに対応した補正パラメータに対応する補正パラメータテーブルを示す図である。
この図9において、補正パラメータテーブルには、1層目(例えば、C)と2層目(例えばM)とのそれぞれの指令網点面積率がクロスした欄には、1層目の指令網点面積率と2層目の指令網点面積率との組合せ(それぞれの指令網点面積率が0%から100%までの20%刻みのため、62=36通り)における補正パラメータHXmと補正パラメータH1、H2、H3、…、HXmの各々とが書き込まれて記憶されている。例えば、この補正パラメータテーブルにおいて、欄RAN3_2には、1層目のインキの指令網点面積率40%と、2層目のインキの指令網点面積率20%との組合せにおける第1予測分光反射率RD1(λ)を求める際に用いる補正パラメータHXm及び補正パラメータH1、H2、…が書き込まれて記憶されている。
したがって、拡張ノイゲバウア原色算出部1081及び拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082の各々は、それぞれ分光反射率、ノイゲバウア原色出現率を求める際に、補正パラメータHXm及び補正パラメータH1、H2、…を、補正パラメータテーブル記憶部113の補正パラメータテーブルから読み出す。
図10は、補正パラメータテーブル記憶部113に書き込まれている補正パラメータテーブルの一例を示す図である。この補正パラメータテーブルにおいて、行方向(横方向)の欄の並びが1層目及び2層目におけるインキの指令網点面積率の組合せ、すなわち下層として印刷されたインキの指令網点面積率の組合せに対応し、列方向(縦方向)の欄の並びが3層目、すなわち下地の紙の表面に印刷された1層目及び2層目のインキを下層として、この下層の直上に上層として印刷される3層目のインキの指令網点面積率に対応している。また、図10は、3色のインキの掛け合わせに対応した補正パラメータに対応する補正パラメータテーブルを示す図である。
この図10において、補正パラメータテーブルには、1層目(例えば、C)及び2層目(例えばM)とのそれぞれの指令網点面積率の組合せと、3層目(例えば、Y)の指令網点面積率がクロスした欄には、1層目及び2層目の各々の指令網点面積率の組合せと、3層目の指令網点面積率との組合せ(それぞれの指令網点面積率が0%から100%までの20%刻みのため、63=216通り)における補正パラメータHXmと補正パラメータH1、H2、H3、…、HXmの各々とが書き込まれて記憶されている。例えば、この補正パラメータテーブルにおいて、欄RAN2_2_2には、1層目のインキの指令網点面積率20%と、2層目のインキの指令網点面積率20%と、3層目のインキの指令網点面積率20%との組合せにおける第1予測分光反射率RD1(λ)を求める際に用いる補正パラメータHXm及び補正パラメータH1、H2、…が書き込まれて記憶されている。
図11は、補正パラメータテーブル記憶部113に書き込まれている補正パラメータテーブルの一例を示す図である。この補正パラメータテーブルにおいて、行方向(横方向)の欄の並びが1層目、2層目及び3層目におけるインキの指令網点面積率の組合せ、すなわち下地として印刷されたインキの指令網点面積率の組合せに対応し、列方向(縦方向)の欄の並びが4層目、すなわち下地の紙の表面に印刷された1層目、2層目及び3層目をのインキを下層として、この下層の直上の上層に印刷される4層目のインキの指令網点面積率に対応している。また、図11は、4色のインキの掛け合わせに対応した補正パラメータに対応する補正パラメータテーブルを示す図である。
この図11において、補正パラメータテーブルには、1層目(例えば、C)、2層目(例えばM)及び3層目(例えば、Y)とのそれぞれの指令網点面積率の組合せと、4層目(例えば、K)の指令網点面積率がクロスした欄には、1層目、2層目及び3層目の各々の指令網点面積率の組合せと、4層目の指令網点面積率との組合せ(それぞれの指令網点面積率が0%から100%までの20%刻みのため、64=1296通り)における補正パラメータHXmと補正パラメータH1、H2、H3、…、Hmの各々とが書き込まれて記憶されている。例えば、この補正パラメータテーブルにおいて、欄RAN2_2_2_3には、1層目のインキの指令網点面積率20%と、2層目のインキの指令網点面積率20%と、3層目のインキの指令網点面積率20%と、4層目のインキの指令網点面積率40%との組合せにおける第1予測分光反射率RD1(λ)を求める際に用いる補正パラメータHXm及び補正パラメータH1、H2、…が書き込まれて記憶されている。
<分光光学濃度による濃度階調出現率の算出>
また、濃度階調分光光学濃度算出部202は、入力部101より供給される原色インキの種類に応じて、吸収係数・散乱係数データベース106から、原色インキがベタで印刷媒体に印刷された印刷部分から求めた着色層の吸収係数K(λ)及び散乱係数S(λ)を読み出す。また、濃度階調分光光学濃度算出部202は、測定分光反射率データベース105から、入力部101より供給される原色インキの種類及び印刷媒体の種類に応じて、指令網点面積率毎の測定分光反射率Rs(λ)と、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)との各々を読み出す。
そして、濃度階調分光光学濃度算出部202は、読み出した原色インキの吸収係数K(λ)及び散乱係数S(λ)と、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と、濃度階調の膜厚係数Xmとの各々を、すでに説明した(1)式(クベルカ・ムンクの式)に代入し、濃度階調領域の分光反射率として、濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)を算出する。
また、濃度階調分光光学濃度算出部202は、求めた濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)の各々を、以下の(5)式により、濃度階調分光光学濃度ODi1(λ)、ODi2(λ)、ODi3(λ)、…、ODim(λ)にそれぞれ変換する。
濃度階調分光光学濃度算出部202においても、濃度階調分光反射率算出部102と同様に、(1)式(クベルカ・ムンクの式)における印刷されたインキの膜厚係数Xmは、印刷媒体に原色インキがベタで印刷された印刷部分を基にし、印刷部分の濃度階調を示す数値として用いる。すなわち、膜厚係数Xmは任意に設定されており、例えば、最もインキの膜厚が厚いベタの印刷部分を100%として、上記膜厚係数を1とし、この1を濃度階調領域の膜厚の段階数mに対応させてm分割する。例えば、指令網点面積率の示す濃度階調領域の膜厚の段階が5段階であれば、m=1、2、3、4、5であり、膜厚係数Xmは、それぞれの濃度階調領域の膜厚の段階に対応して、X1=1.0、X2=0.8、X3=0.6、X4=0.4、X5=0.2とする。
膜厚係数Xmを、すでに述べたように、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と、吸収係数K(λ)と、散乱係数S(λ)とともに、クベルカ・ムンクの式である(1)式に代入し、それぞれの指令網点面積率の網点が含む濃度階調領域の分光反射率として、濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)の各々を算出する。そして、濃度階調分光反射率Ri1(λ)、Ri2(λ)、Ri3(λ)、…、Rim(λ)の各々を、(5)式により、濃度階調分光光学濃度ODi1(λ)、ODi2(λ)、ODi3(λ)、…、ODim(λ)にそれぞれ変換する。この濃度階調分光光学濃度ODi1(λ)、ODi2(λ)、ODi3(λ)、…、ODim(λ)が、後述する計算モデルで用いる、網点を構成する複数の濃度階調領域の各々の分光光学濃度として用いられる。
濃度階調出現率算出部203は、濃度階調分光光学濃度算出部202から、濃度階調分光光学濃度ODi1(λ)、ODi2(λ)、ODi3(λ)、…、ODim(λ)の各々を読み込む。また、濃度階調出現率算出部203は、指令網点面積率毎の測定分光反射率Rs(λ)の各々を、測定分光反射率データベース105から読み込む。
そして、濃度階調出現率算出部203は、(5)式を用いることにより、測定分光反射率Rs(λ)の各々を、測定分光光学濃度ODs(λ)にそれぞれ変換する。
次に、濃度階調出現率算出部203は、以下の(6)式(計算モデル)に対して、濃度階調分光光学濃度ODi1(λ)、ODi2(λ)、ODi3(λ)、…、ODim(λ)の各々を代入し、後述する処理により算出分光光学濃度OD’(s,λ)を算出する。
ここで、濃度階調出現率算出部203は、以下の(7)式において、出現率(用紙の印刷部分における網点を構成する各濃度階調の濃度階調領域の面積の比率)の数値を変更しつつ、算出分光光学濃度OD’(s,λ)を算出する。そして、濃度階調出現率算出部203は、算出された算出分光光学濃度OD’(s,λ)の各々と、測定分光光学濃度ODs(λ)との平均二乗誤差RMSEを、指令網点面積率毎に所定の波長範囲において求める。濃度階調出現率算出部203は、算出分光光学濃度OD’(s,λ)と測定分光光学濃度ODs(λ)との平均二乗誤差が最も小さくなる濃度階調領域の各々の出現率を求める。ここで、sは指令網点面積率である。
そして、濃度階調出現率算出部203は、濃度階調領域の各々の出現率により、各濃度階調領域の出現率関数a1(s)、a2(s)、a3(s)、…、am(s)を求める。ここで、濃度階調出現率算出部203は、濃度階調領域毎に、得られた出現率を用いて、この出現率を指令網点面積率sの2次関数などをフィッティングし、出現率関数を求めてもよい。濃度階調出現率算出部203は、求めた各濃度階調領域の出現率関数a1(s)、a2(s)、a3(s)、…、am(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース204に書き込んで記憶させる。出現率関数a1(s)、a2(s)、a3(s)、…、am(s)については、分光反射率予測部108における説明と同様に、(6)式の計算モデルで用いる濃度階調領域の出現率を求める関数であり、図2の説明におけるように、グラビア印刷による網点の構造をモデル化するために用いている。
上記(7)式において、濃度階調出現率算出部203は、波長λが380nmから730nmをn分割した刻み幅により、算出分光光学濃度OD’(s,λ)と測定分光光学濃度ODs(λ)とにおける各波長λに誤差の二乗を加算した平均二乗誤差RMSEを、指令網点面積率毎に求めている。
上述したように、濃度階調出現率算出部203は、(6)式の計算モデルを用いて、指令網点面積率によるインキ(原色インキ)が印刷された印刷部分において、網点が含む濃度階調毎に、濃度階調の濃度階調分光光学濃度ODim(λ)と濃度階調の出現率関数a1(s)、a2(s)、a3(s)、…、am(s)とを乗算した結果を加算して、指令網点面積率の印刷部分の分光光学濃度を算出する。
また、濃度階調出現率算出部203は、求めた濃度階調領域の指令網点面積率における各濃度階調領域の出現率を示す出現率関数am(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース204に対し、濃度階調領域の濃度階調分光光学濃度と対応させて書き込んで記憶させる。同様に、濃度階調出現率算出部203は、他の原色インキの各々に対しても、濃度階調領域の指令網点面積率における各濃度階調領域の出現率を示す出現率関数am(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース204に対して、書き込んで記憶させる。
また、原色インキを所定の比率で混ぜ合わせて生成した特色インキの場合、上述した原色インキの濃度階調領域の出現率関数am(s)を濃度階調出現率テーブルデータベース204から読み出して用いる。ここで、特色インキで混ぜ合わせる原色インキのいずれかの出現率関数am(s)を用いても良いし、また混ぜ合わせる原色インキそれぞれの出現率関数am(s)を配合率に応じて組合わせて用いても良い。
この特色インキの場合、分光反射率予測部108における説明と同様に、混ぜ合わせる原色インキの比率に応じて、すでに説明した(4)式において、特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)を算出する。
上記(4)式において、係数α及び係数βの各々は、原色インキ#1及び原色インキ#2それぞれの混ぜ合わせる比率を示す係数である。原色インキ#1の吸収係数K1(λ)に対して係数αを乗算し、原色インキ#2の吸収係数K2に対して係数βを乗算し、加算した数値を、特色インキの吸収係数Kt(λ)としている。同様に、原色インキ#1の散乱係数S1(λ)に対して係数αを乗算し、原色インキ#2の散乱係数S2(λ)に対して係数βを乗算し、加算した数値を、特色インキの散乱係数St(λ)としている。
<分光光学濃度予測部111の動作>
次に、分光光学濃度予測部111は、拡張ノイゲバウア原色算出部1111、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112、分光光学濃度算出部1113及び分光反射率算出部1114を備えている。
拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、重ね合わせる色の順番に従い、下地になるインキ(原色インキあるいは特色インキ)と、下地の表面に印刷されるインキとを決定する。また、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、重ね合わせるインキの各々の指令網点面積率を、入力部101から読み込む。
また、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、下地のインキの上に印刷されるインキ(原色インキあるいは特色インキ)の散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)を読み込む。
次に、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、すでに図4で説明されたように、(1)式に下地となるインキの濃度階調分光反射率Rim(λ)と、下地のインキの上に印刷されるインキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)と、濃度階調領域の膜厚係数Xmとの各々を代入し、下地のインキの上に印刷される(重ね塗りされる)網点(上層のインキの網点)の濃度階調分光反射率Rim(λ)を算出する。このとき、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、指令網点面積率の組合せ毎に補正パラメータHHXmを、補正パラメータテーブル記憶部113の補正パラメータテーブルから読み出し、(1)式における膜厚係数Xmに対して乗算し、膜厚係数Xmの補正を行って濃度階調分光反射率Rim(λ)を算出する。
ここで、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、上述した下地(下層)のインキの網点上に印刷される(重ね塗りされる)インキの網点の濃度階調分光反射率Rim(λ)の計算を、下地のインキの網点における濃度階調領域と、下地のインキの網点上に印刷されるインキの網点の濃度階調領域との重ね合う部分の組合わせの全てにおいて行う。そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、得られた下地のインキの網点上に印刷されるインキの濃度階調分光反射率Rim(λ)を、(5)式により、濃度階調分光光学濃度ODim(λ)に変換する。拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、求めた濃度階調分光光学濃度ODim(λ)を一時記憶部125のノイゲバウア原色テーブルに書き込んで記憶させる。
図1に戻り、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、図6の説明と同様に、下地のインキの濃度階調領域と、下地のインキに重ねて印刷されるインキの濃度階調領域との重なりの出現率の割合を算出する。
また、使用するインキ(原色インキあるいは特色インキ)の重ね合わせに用いる出現率の式は、分光反射率予測部108において説明したように、図7に示す出現率のテーブルとして濃度階調出現率テーブルデータベース204に書き込んで記憶されている。
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、重ね合わせるインキの種類と、重ね合わせるインキの網点を示す指令網点面積率との各々の組み合わせにより、濃度階調出現率テーブルデータベース204の図7のテーブルの式を読み込む。
また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、濃度階調出現率テーブルデータベース204から、シアンとマジェンダとの各々の濃度階調コア領域1及び濃度階調フリンジ領域2それぞれの出現率α1、α2、β1、β2を読み込む。
このとき、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082と同様に、補正パラメータテーブル記憶部113から読み出した補正パラメータHH1及びHH2の各々を、各領域の出現率を算出する際に、濃度階調出現率テーブルデータベース204における出現率関数a1(s)、a2(s)の各々から求めた出現率α1、α2、β1、β2それぞれに対して乗算して、補正後の出現率α1、α2、β1、β2それぞれを用いて、図7のテーブルにおける出現率を示す式に応じて、インキの重ね塗りにおける濃度階調領域の重なりの組合せにおける各領域の出現率(副次の出現率)を求める。拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、下層に印刷されるインキの指令網点面積率と、この下層のインキの直上の上層に印刷されるインキの指令網点面積率の組合せ毎に、インキの重ね塗りにおける濃度階調領域の重なりの組み合わせにおける各領域の出現率(副次の出現率)を求める。
また、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、シアンが下地で、マジェンダがシアンに重ね合わされる場合、シアンの分光反射率を下地の分光反射率R0(λ)として、指令網点面積率で出現するマジェンダの濃度階調領域の膜厚を用い、(1)式により、重なり部分における濃度階調領域の分光反射率RKM(λ)を算出する。例えば、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、領域Q5における分光反射率RKM(λ)を求める際、印刷媒体上のシアンのインキの膜厚100%における濃度階調分光反射率Rim(λ)を下地の分光反射率R0(λ)として、マジェンダのインキの膜厚100%を下地に重ねた際の重なり部分における印刷部分の分光反射率RKM(λ)を算出する。そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、算出した分光反射率RKM(λ)を、(5)式により、分光濃度階調光学濃度ODKM(λ)に変換する。
同様に、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、領域Q7における分光反射率RKM(λ)を求める際、印刷媒体上のシアンのインキの膜厚50%における濃度階調分光反射率Rim(λ)を下地の分光反射率R0(λ)とし、マジェンダのインキの膜厚100%を重ねた際の分光反射率RKM(λ)を算出する。そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、算出した分光反射率RKM(λ)を、(5)式により、分光光学濃度ODKM(λ)に変換する。同様に、拡張ノイゲバウア原色の全ての組み合わせについて分光光学濃度ODKM(λ)を算出する。
そして、分光光学濃度算出部1113は、上述した領域Q1から領域Q9の拡張ノイゲバウア原色の各々の分光光学濃度に拡張ノイゲバウア原色出現率を乗算し、波長毎に加算する。
分光光学濃度算出部1113は、シアンのインキの網点が印刷された印刷媒体に対し、マジェンダのインキの網点を重ねて印刷した際における印刷部分の予測分光光学濃度ODD(λ)を算出する。
分光反射率算出部1114は、分光光学濃度算出部1113が算出した予測分光光学濃度ODD(λ)を、以下の(8)式を用い、第2予測分光反射率RD2(λ)に変換する。
<光学濃度による色予測に用いる補正パラメータの算出>
光学濃度による色予測においても、分光反射率の色予測と同様に、単色ステップにおける濃度階調領域の(5)式の出現率関数a1(s)、a2(s)を補正するための補正パラメータHH1、HH2、…と、拡張ノイゲバウア原色を(1)式を用いて算出する際の膜厚係数Xmを補正する補正パラメータHHXmとを、それぞれ重ね合わせる指令網点面積率の組合せ毎に生成し、各色の版を順番に重ね塗りした際の予測色を求めるために用いる。
上述した補正パラメータHH1、HH2、…と、補正パラメータHXmとを求める際、以下に説明するように、これら補正パラメータを全て1.0(補正無し)として算出した第2予測分光反射率RD2(λ)と、実際に印刷した印刷部分の分光反射率である測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)との差分を最小とする補正パラメータHH1、HH2、…と、補正パラメータHHXmとを算出する。上記測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)は、すでに分光反射率の色予測における補正パラメータの算出において述べたように、各原色インキの網点面積率 CMYKそれぞれの色毎に0%から100%までを20%刻みとした、64=1296通りの組合せのカラーチャートの測定結果として、測定分光反射率データベース105に、予め書き込んで記憶されている。
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、インキの重なり合う領域Q1からQ9の各々に対し、下層のインキの指令網点面積率とその直上の上層に印刷されるインキの指令網点面積率との組合せ毎に、拡張ノイゲバウア原色出現率を求める。このとき、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、拡張ノイゲバウア原色出現率を求める際に用いる出現率関数a1(s)、a2(s)を補正する補正パラメータHH1、HH2の数値を変化させつつ、拡張ノイゲバウア原色出現率の算出を行う。
また、分光光学濃度算出部1113は、拡張ノイゲバウア原色算出部1111が算出したインキの重ね合わせの各領域の分光光学濃度と、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112が算出した各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率とにより、インキの網点を重ねて印刷した際における印刷部分の予測分光光学濃度ODD(λ)を算出する。そして、分光反射率算出部1114は、分光光学濃度算出部1113が算出した予測分光光学濃度ODD(λ)を(8)式により、第2予測分光反射率RD2(λ)に変換する。
補正パラメータ算出部112は、カラーチャートの印刷部分の分光反射率を測定した測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)と、対応する重ね合わせるインキの指令網点面積率の組合せの第2予測分光反射率RD2(λ)との差分Rerrorを求める。そして、補正パラメータ算出部112は、指令網点面積率の組合せ毎に、第1予測分光反射率RD1(λ)と測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)との差分Rerror2が最小となる、(1)式における膜厚係数Xmに乗算する補正パラメータHHXmと、拡張ノイゲバウア原色の出現率を算出する際に用いる濃度階調出現率関数a1(s)、a2(s)、a3(s)、…、am(s)の各々に乗算する補正パラメータHH1、HH2、HH3、…、HHmそれぞれを算出する。
すなわち、補正パラメータ算出部112は、拡張ノイゲバウア原色算出部1111に対して、膜厚係数Xmに乗算するための補正パラメータHHXmを順次出力し、拡張ノイゲバウア原色算出部1111に対して、網点のコア部及びフリンジ部の濃度階調領域の各々の重なりの組合せにおける各領域の分光反射率を算出させる。拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、第2予測分光反射率RD2(λ)を算出するため、インキの濃度階調コア領域1及び濃度階調フリンジ領域2との重なりにおける濃度階調領域の各々が重なり合う領域それぞれの分光反射率RKM(λ)を求める際、指令網点面積率の組合せ毎に補正パラメータ算出部112から供給される補正パラメータHHxを(1)式における膜厚係数Xmに乗じて、各領域の分光反射率RKM(λ)を算出する。
また、補正パラメータ算出部112は、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112に対して、各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率を求める際に用いる出現率関数a1(s)、a2(s)を補正するための補正パラメータHH1、HH2を順次出力し、図7のテーブルにおける濃度階調領域の重なりの出現率を示す式を用いて各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出させる。拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、指令網点面積率の組合せ毎の各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する際、インキの濃度階調コア領域1及び濃度階調フリンジ領域2との階調濃度領域の重なりにおける各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率を求めるとき、補正パラメータ算出部112から供給される補正パラメータHH1、HH2の各々を、出現率関数a1(s)、a2(s)それぞれに乗じて、指令網点面積率に応じて各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率を算出する。また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、指令網点面積率に応じて、出現率関数a1(s)、a2(s)それぞれから求めた出現率に対し、補正パラメータHH1、HH2の各々を、乗算して補正するようにしても良い。
次に、補正パラメータ算出部112は、拡張ノイゲバウア原色算出部1111が順次算出する重ね合わせの各領域の分光光学濃度と、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112が順次算出する各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率とにより、分光光学濃度算出部1113に対して予測分光光学濃度ODD(λ)を求めさせる。そして、分光反射率算出部1114は、分光光学濃度算出部1113が求めた予測分光光学濃度ODD(λ)を、第2予測分光反射率RD2(λ)に変換する。そして、補正パラメータ算出部112は、第2予測分光反射率RD2(λ)と測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)との差分Rerror2が最小となる分光反射率とノイゲバウア原色出現率との組合せを抽出する。この最小化の手法については一般的な手法が使用されるため、本実施形態においては説明を省略する。
そして、補正パラメータ算出部112は、測定分光反射率との差分が最小となる算出分光反射率を算出した際に用いた、補正パラメータHHXmの数値及びノイゲバウア原色出現率を算出した際に用いた補正パラメータHH1、HH2の数値の各々を抽出し、その指令網点面積率の組合せにおける補正パラメータHHXm、補正パラメータHH1、HH2とする。補正パラメータ算出部112は、上記補正パラメータHHXm、補正パラメータHH1、HH2の抽出を、下層のインキの指令網点面積率とその直上の上層に印刷されるインキの指令網点面積率との組合せ毎に求める。そして、補正パラメータ算出部112は、抽出した補正パラメータHHXm、補正パラメータHH1、HH2を補正パラメータテーブルとして、それぞれ指令網点面積率の組合せに対応させて、補正パラメータテーブル記憶部113に書き込んで記憶させる。
以下、分光反射率による色予測の補正パラメータの生成と同様に、図8を用いて光学濃度による補正パラメータの算出を説明する。図8(a)は、すでに説明したように、上述した単色インキの掛け合わせのカラーチャートにおける指令網点面積率の組合せを示す図である。すなわち、図8(a)は、横軸の各ドットがCの指令網点面積率0%、20%、40%、60%、80%、100%それぞれを示し、縦軸の各ドットがMの指令網点面積率0%、20%、40%、60%、80%、100%それぞれを示している。C及びMの各々の指令網点面積率に対応する線の交点である格子点(ノード)は、C及びMの各々の指令網点面積率の組合せを示している。図8(a)における黒丸が配置された各ノードにおける指令網点面積率の組合せの印刷部分の分光反射率を測定し、指令網点面積率の組合せ毎の測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)を得る。
補正パラメータ算出部112は、CとMとの組合せで印刷したカラーチャートのなかから、下地分光反射率R0(λ)とベタの印刷における測定分光反射率Rs(λ)とを抽出する(図8(b))。補正パラメータ算出部112は、すでに求められている単色ステップにおいて求められた出現率関数a1(s)、a2(s)、…を、濃度階調出現率テーブルデータベース104から読み込む(図8(c))。そして、補正パラメータ算出部112は、抽出した下地分光反射率R0(λ)を拡張ノイゲバウア原色算出部1111に供給する。また、補正パラメータ算出部112は、拡張ノイゲバウア原色算出部1111に対して、補正パラメータHHXmを順次送信する。これにより、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、補正パラメータHHXmを膜厚係数Xmに乗算することでこの膜厚係数Xm(=HHXm×Xm)を補正し、下層のインキと上層のインキとにおけるコア部及びフリンジ部の階調濃度領域の各々の重なる領域毎の予測分光光学濃度ODD(λ)を求める。
また、補正パラメータ算出部112は、順次補正パラメータHH1、HH2、…を拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112に供給する。これにより、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、下層のインキとその直上の上層に印刷されるインキの網点の階調濃度領域の重なりにおける各領域の出現率(ノイゲバウア原色出現率)を、補正パラメータHH1、HH2、…により補正された出現率関数a1(s)、a2(s)、…により算出する。このときの算出率は濃度階調出現率テーブルデータベース104に記憶されている出現率のテーブルの式に基づいて行われる。次に、分光反射率算出部1113は、算出された各領域の分光光学濃度と出現率とを乗算して波長毎に加算することにより、予測分光光学濃度ODD(λ)を求める。そして、分光反射率算出部1114は、予測分光光学濃度ODD(λ)を、第2予測分光反射率RD2(λ)に変換する。この第2予測分光反射率RD2(λ)は、白丸が配置されたノードにおける指令網点面積率の組合せ毎に求められる(図8(d))。
補正パラメータ算出部112は、第2予測分光反射率RD2(λ)と測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)との差分Rerror2を求める。このとき、補正パラメータ算出部112は、ノードの指令網点面積率の組合せ毎に、補正パラメータHHXmと補正パラメータHH1、HH2、…とを変更しつつ、求められた第2予測分光反射率RD2(λ)の各々と、測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)との差分Rerror2を求める。そして、補正パラメータ算出部112は、この差分Rerror2が最小となる補正パラメータHHXmと補正パラメータHH1、HH2、…との組合せを算出する。これにより、補正パラメータ算出部112は、差分Rerror2が最小となる第2予測分光反射率RD2(λ)を算出した際の補正パラメータHHXmと補正パラメータHH1、HH2、HH3、…、HHXmとの組合せを、そのノードの指令網点面積率の組合せにおける補正パラメータとする(図8(e))。補正パラメータ算出部112は、上述した処理により、全てのノードの指令網点面積率の組合せに対応した補正パラメータHHXmと補正パラメータHH1、HH2、HH3、…、HHmの各々とを求める。
次に、補正パラメータ算出部112は、求めた補正パラメータHXmと補正パラメータH1、H2、H3、…、Hmの各々とを、それぞれ指令網点面積率の組合せに対応させて、補正パラメータテーブル記憶部113に対して書き込んで記憶させる(図8(f))。
上述した処理により求めた補正パラメータHXm及び補正パラメータHH1、HH2、…の各々は、原色インキ及び特色インキの各々の色に特定されるものではなく、指令網点面積率の組合せにのみ対応し、フリンジモデルと、実際の印刷におけるインキの形態との誤差を補正するための補正係数である。したがって、原色インキ及び特色インキの色に関係なく、上述した処理で求めた補正パラメータHHXm及び補正パラメータHH1、HH2、…を、印刷部分の色予測に用いることができる。
次に、上述したように求めた補正パラメータHHXm及び補正パラメータHH1、HH2、…を用いて、特色印刷の再現色の分光光学濃度による予測について説明する。
吸収係数・散乱係数算出部107は、吸収係数・散乱係数データベース106から読み出した、設定した配合比に含まれる原色インキ、例えば原色インキ#1及び原色インキ#2の各々の吸収係数K1(λ)及びK2(λ)と、散乱係数S1(λ)及びS2(λ)との各々を上記(4)式に代入し、原色インキを混色した特色インキの吸収係数Kt(λ)及び散乱係数St(λ)を算出する。この特色インキの場合、混ぜ合わせる原色インキの比率に応じて、上記(4)式において、特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)を算出する。また、特色インキ分光反射率算出部121は、求めた特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)の各々を、一時記憶部125の散乱吸収係数テーブルに書き込んで記憶させる。
そして、特色インキ分光反射率算出部121は、上記(1)式に対して、吸収係数Kt(λ)及び散乱係数St(λ)と、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)と濃度階調の膜厚係数Xmとの各々を代入し、特色インキの分光反射率RKM(λ)を求める。
特色インキ再現色算出部129は、特色インキ分光反射率算出部121が算出した特色インキの分光反射率RKM(λ)に対して観察環境の光源の分光分布と、標準観測者を設定し、測色値(例えばL*a*b*値)に変換し、特色インキ配合比決定部122に対して出力する。
特色インキ配合比決定部122は、特色インキ再現色算出部129が求めた測色値と、色見本の測色値との色差を確認する。そして、特色インキ配合比決定部122は、この色差が予め設定された許容範囲内である場合、特色インキ分光反射率算出部121が求めた色における原色インキ各々の配合比を、見本の特色インキを構成する原色インキの種類と、その配合比として、一時記憶部125の特色インキ配合比テーブルに対し、特色インキの識別情報である特色インキ識別情報とともに書き込んで記憶させる。
次に、特色インキ濃度階調出現率算出部123は、原色インキを所定の比率で混ぜ合わせて生成した特色インキの濃度階調領域毎の出現率関数am(s)を求める。そして、特色インキ濃度階調出現率算出部123は、求めた出現率関数am(s)を一時記憶部125の特色インキ濃度階調出現率テーブルに対して書き込んで記憶させる。ここで、特色インキ濃度階調出現率算出部123は、特色インキを構成する原色インキのいずれかの出現率関数am(s)を、濃度階調出現率テーブルデータベース104から読み出し、この特色インキの出現率関数am(s)とする。また、特色インキ濃度階調出現率算出部123は、特色インキを構成する原色インキの各々の出現率関数am(s)を、それぞれの原色インキの配合比により組合わせ、特色インキの出現率関数am(s)としても良い。
分光光学濃度予測部111において、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、重ね合わせる色の順番に従い、下地になるインキ(原色インキあるいは特色インキ)と、下地の表面に印刷されるインキとを決定する。また、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、重ね合わせるインキの各々の指令網点面積率を、入力部101から読み込む。
拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、下地のインキに対して重なる原色インキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)を、吸収係数・散乱係数データベース106から読み込む。また、拡張ノイゲバウア原色算出部1081は、下地のインキに対して重なる特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)を、一時記憶部125の散乱吸収係数テーブルから読み込む。
次に、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、重ね塗りするインキの指令網点面積率の組合せ毎に、補正パラメータテーブル記憶部113から対応する補正パラメータHHXmを読み出す。そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、濃度階調領域における膜厚係数Xmに対して、読み出した補正パラメータHHXmを乗算し、膜厚係数Xmの補正を行う。
拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、(1)式に下地となるインキ(特色インキまたは原色インキ)の網点における濃度階調領域の濃度階調分光反射率Rim(λ)を下地分光反射率R0(λ)として代入し、下地のインキに対して重なるインキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)と、濃度階調領域の補正された膜厚係数Xmとの各々を代入することにより、下地のインキの上に重なって印刷されるインキの網点を構成する濃度階調領域における濃度階調分光反射率Rim(λ)を算出する。
これにより、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、下地のインキ(特色インキまたは原色インキ)の網点における濃度階調領域と、下地のインキの網点上に印刷されるインキの網点の濃度階調領域との組合わせにおいて、下地のインキの網点上に印刷される上部のインキ(特色インキまたは原色インキ)の網点の濃度階調領域の重なり領域における分光反射率RKM(λ)を、後述するように、下地のインキの網点と上部のインキ網点とにおける濃度階調領域との組合わせの全てについて算出することにより、インキが重ねて印刷された印刷部分における分光反射率RKM(λ)を求める。そして、拡張ノイゲバウア原色算出部1111は、求めた分光反射率RKM(λ)を、分光光学濃度ODKMに変換する。
次に、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、下地のインキの濃度階調領域と、下地のインキに重ねて印刷されるインキの濃度階調領域との重なりの出現率の割合を算出する。拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、重ね合わせるインキの種類と、重ね合わせるインキの網点を示す指令網点面積率との各々の組み合わせにより、濃度階調出現率テーブルデータベース104の図7のテーブルの式を読み込む。また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、濃度階調出現率テーブルデータベース104から、シアンとマジェンダとの各々の濃度階調コア領域1及び濃度階調フリンジ領域2それぞれの出現率関数から出現率α1、α2、β1、β2を読み込む。また、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、重ね塗りするインキの指令網点面積率の組合せ毎に、補正パラメータテーブル記憶部113の補正パラメータテーブルから指令網点面積率の組合せに対応する補正パラメータHH1、HH2の各々を読み出す。
そして、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、補正パラメータテーブル記憶部113から読み出した補正パラメータHH1及びHH2の各々を、各領域の出現率を算出する際に、出現率関数a1(s)、a2(s)から求めた出現率α1、α2、β1、β2それぞれに対して乗算して、補正後の出現率α1、α2、β1、β2それぞれを用いて、インキの重ね塗り部分の濃度階調領域の組合せにおける各領域の出現率(副次の出現率)を求める。ここで、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、下地のインキの指令網点面積率と上に印刷するインキの指令網点面積率の組合せ毎に、インキの重ね塗り部分の濃度階調領域の組合せにおける各領域の出現率(副次の出現率)を求める。ここで、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、重ね塗りに用いるインキが特色インキの場合、特色インキ濃度階調出現率算出部123が求めた特色インキの濃度階調領域毎の出現率関数am(s)に対し、補正パラメータHH1、HH2、…を用いて、出現率α1、α2、β1、β2それぞれの補正を行う。
上述したように、分光光学濃度算出部1113は、重ね塗りされる下地のインキと上に印刷するインキの指令網点面積率の組合せ毎に、補正パラメータHHXmを乗算した膜厚係数Xmを用いて算出した領域Q1から領域Q9の拡張ノイゲバウア原色の各々の分光反射率に対し、補正パラメータHH1、HH2を乗じて補正した出現率関数を用いて算出した各領域の拡張ノイゲバウア原色出現率を乗算し、波長毎に加算する。
上述したように、分光光学濃度算出部1113は、下層にインキの網点が印刷された印刷媒体に対し、上層に他のインキの網点を重ねて印刷した際における印刷部分の予測分光光学濃度ODD(λ)を算出する。そして、分光反射率算出部1114は、予測分光光学濃度ODD(λ)を、第2予測分光反射率RD2(λ)に変換する。
<混合予測部114の動作>
混合予測部114は、予測パラメータデータベース126から、第1予測分光反射率RD1(λ)及び第2予測分光反射率RD2(λ)に乗算する重み係数wを読み出す。例えば、混合予測部114は、wRD1(λ)と(1−w)RD2(λ)とを加算して、統合予測分光反射率RD(λ)を求める。
色予測テーブル作成部109は、この統合予測分光反射率RD(λ)に基づき、観測光源を定めて、三刺激値XYZやCIELAB値等を算出し、再現色の予測を行う色予測テーブルを作成する。つまり、この色予測テーブル作成部109は、色予測処理の対象である入力データ(本実施例ではCMY値)の情報と、統合予測分光反射率RD(λ)に基づき予測される再現色を表現する再現色情報とを対応付ける色予測テーブルを作成する。なお、本実施例においては、色予測テーブル作成部109がこの色予測テーブルを公知のICC(International Color Consortium)プロファイルフォーマットで作成し、出力部110を介して出力する。
<色予測テーブルの生成>
図12は、本実施形態における色予測テーブル作成部109の色予測テーブルの生成処理の動作例を説明するフローチャートである。
ステップS401:
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、一時記憶部125のノイゲバウア原色テーブルから、重なり合う領域の特色インキのノイゲバウア原色の分光反射率RKM(λ)を読み込む。
同様に、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112は、一時記憶部125のノイゲバウア原色テーブルから、重なり合う領域の特色インキのノイゲバウア原色の分光光学濃度ODKM(λ)を読み込む。
ステップS402:
混合予測部114は、分光反射率予測部108が予測した第1予測分光反射率RD1(λ)と、分光光学濃度予測部111が予測した第2予測分光反射率RD2(λ)を統合する際、第1予測分光反射率RD1(λ)及び第2予測分光反射率RD2(λ)の各々に乗算する重み係数wを、予測パラメータデータベース126から読み出す。
ステップS403:
次に、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、一時記憶部125における色予測テーブルにおける重ね合わせるインキの指令網点面積率のマトリクスにおいて、未計算の指令網点面積率を抽出する。
そして、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、抽出した指令網点面積率の組み合わせを、計算対象として設定する。上述した処理は、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112が行う構成としても良い。
ステップS404:
分光反射率予測部108は、上記指令網点面積率の組み合わせにより、第1予測分光反射率RD1(λ)を算出する。
分光光学濃度予測部111は、上記指令網点面積率の組み合わせにより、第2予測分光反射率RD2(λ)を算出する。
また、混合予測部114は、第1予測分光反射率RD1(λ)及び第2予測分光反射率RD2(λ)にステップS402で読み出した重み係数wと(1−w)を積算し、wRD1(λ)と(1−w)RD2(λ)とを加算して、統合予測分光反射率RD(λ)を求める。さらに、算出した統合予測分光反射率RD(λ)に対して、観察光源の分光分布と標準観測者を設定することにより、測色値を算出する。
ステップS405:
そして、混合予測部114は、算出した測色値を、重ね合わせるインキ(特色インキあるいは原色インキ)の指令網点面積率の組み合わせに対応させ、一時記憶部125の色予測テーブルに書き込んで記憶させる。
ステップS406:
拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、一時記憶部125の色予測テーブルにおける全ての指令網点面積率の組み合わせの統合予測分光反射率RD(λ)の算出が終了したか否かの判定を行う。
そして、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、全ての指令網点面積率の組み合わせの統合予測分光反射率RD(λ)の算出が終了した場合、処理をステップS407へ進める。一方、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1082は、全ての指令網点面積率の組み合わせの統合予測分光反射率RD(λ)の算出が終了していない場合、処理をステップS403へ進める。上述した処理は、拡張ノイゲバウア原色出現率算出部1112が行う構成としても良い。
ステップS407:
色予測テーブル作成部109は、一時記憶部125の色予測テーブルのデータを読み出し、公知のICCプロファイルフォーマットに変換し、変換後の色予測プロファイルのデータを出力部110を介して出力する。
<特色分解テーブルの生成>
特色分解テーブル作成部130は、特色分解テーブルを作成する。特色分解テーブルとは、重ね刷りする特色インキの組み合わせ毎に生成され、特色インキを組合わせて印刷される色空間(本実施形態においてはL*a*b*の色空間)における各座標に対して、その座標が表す測色値を再現するために必要な特色インキ毎の指令網点面積率の組合わせが記憶されているテーブルである。この座標点は、色空間を所定の周期で分割して離散的に設定されている。
すなわち、特色分解テーブル作成部130は、XYZやCIELAB値等の入力値と、これを再現する特色インキの指令網点面積率の出力値とを対応付ける特色分解テーブルを作成し、一時記憶部125の特色分解テーブルに書き込んで記憶させる。また、本実施例においては、特色分解テーブル作成部130は、この一時記憶部125の特色分解テーブルを公知のICCプロファイルフォーマットに変換し、変換後の特色分解プロファイルのデータを出力部110を介して出力する。
図13は、本実施形態における特色分解テーブル作成部130の特色分解テーブルの生成処理の動作例を説明するフローチャートである。
ステップS501:
特色分解テーブル作成部130は、一時記憶部125のノイゲバウア原色テーブルから、重なり合う領域の特色インキのノイゲバウア原色の分光反射率RKM(λ)を読み込む。
ステップS502:
特色分解テーブル作成部130は、予測パラメータデータベース126から、分光反射率予測部108が予測した第1予測分光反射率RD1(λ)と、分光光学濃度予測部111が予測した第2予測分光反射率RD2(λ)を統合する際、第1予測分光反射率RD1(λ)及び第2予測分光反射率RD2(λ)の各々に乗算する重み係数wを読み出す。
ステップS503:
特色分解テーブル作成部130は、組合わせる特色インキ各々の指令網点面積率の初期値が予めセットとして記憶されている網点面積率初期値セットデータベース127から、組合わせる特色インキ各々の指令網点面積率の初期設定値のセットを読み出す。
そして、特色分解テーブル作成部130は、読み出した初期設定値を以下の計算を行う指令網点面積率の初期値として設定する。
ステップS504:
特色分解テーブル作成部130は、指令網点面積率を修正(調整)する際における指令網点面積率の変化量の許容範囲を設定する。
ステップS505:
特色分解テーブル作成部130は、特色分解テーブルの色空間において、未計算である座標のL*a*b*値を目標L*a*b*値(目的のL*a*b*値)として選択する。このとき、特色分解テーブル作成部130は、修正回数が「0」の場合、読み出した初期設定値を指令網点面積率として用いる。
ステップS506:
特色分解テーブル作成部130は、指令網点面積率に対して、分光反射率予測部108と分光光学濃度予測部111との各々と同様の処理により、第1予測分光反射率RD1(λ)及び第2予測分光反射率RD2(λ)の各々を生成する。
そして、特色分解テーブル作成部130は、第1予測分光反射率RD1(λ)及び第2予測分光反射率RD2(λ)の各々に、読み出した重み係数w、(1−w)それぞれを乗算する。特色分解テーブル作成部130は、乗算結果のwRD1(λ)と(1−w)RD2(λ)とを加算して、統合予測分光反射率RD(λ)を求める。さらに、算出した統合予測分光反射率RD(λ)に対して、観察光源の分光分布と標準観測者を設定することにより、測色値を算出する。
ステップS507:
次に、特色分解テーブル作成部130は、目標L*a*b*値と統合予測分光反射率RD(λ)から算出したL*a*b*値との色差を算出する。
ステップS508:
特色分解テーブル作成部130は、目標L*a*b*値と算出されたL*a*b*値との色差が予め設定された範囲内に含まれているか否かの判定を行う。
このとき、特色分解テーブル作成部130は、色差が予め設定された範囲内に含まれている場合、処理をステップS509へ進め、一方、色差が予め設定された範囲内に含まれていない場合、処理をステップS514へ進める。
ステップS509:
特色分解テーブル作成部130は、指令網点面積率の修正回数のカウンタをリセットし、修正回数を「0」とする。
ステップS510:
特色分解テーブル作成部130は、現在の統合予測分光反射率RD(λ)を算出した際の指令網点面積率を、一時記憶部125の特色分解テーブルにおける目標L*a*b*値に対応させて書き込んで記憶させる。
ステップS511:
特色分解テーブル作成部130は、特色分解テーブルの色空間において、所定周期の座標値におけるL*a*b*値の全てを算出したか否かの判定を行う。
このとき、特色分解テーブル作成部130は、色空間におけるL*a*b*値の全てを算出した場合、処理をステップS512へ進め、一方、色空間におけるL*a*b*値の全てを算出していない場合、処理をステップS505へ進める。
ステップS512:
特色分解テーブル作成部130は、特色分解テーブルの作成ループ回数が規定内であるか否かの判定を行う。
このとき、特色分解テーブル作成部130は、特色分解テーブルの作成ループ回数が規定内である場合、処理をステップS516へ進め、一方、特色分解テーブルの作成ループ回数が規定内でない場合、処理をステップS513へ進める。
ステップS513:
特色分解テーブル作成部130は、一時記憶部125の特色分解テーブルのデータを読み出し、公知のICCプロファイルフォーマットに変換し、変換後の特色分解プロファイルのデータを出力部110を介して出力する。
ステップS514:
特色分解テーブル作成部130は、指令網点面積率の修正回数が予め設定された規定回数であるか否かの判定を行う。
特色分解テーブル作成部130は、指令網点面積率の修正回数が規定回数内である場合、処理をステップS515へ進め、指令網点面積率の修正回数が規定回数を超えた場合、処理をステップS509へ進める。
ステップS515:
特色分解テーブル作成部130は、特色インキ各々の指令網点面積率を修正許容範囲における変化量により修正する。
このとき、特色分解テーブル作成部130は、指令網点面積率の修正回数を計数するカウンタをインクリメント(「1」を加算)する。
ステップS516:
特色分解テーブル作成部130は、特色分解テーブルの色空間において、全てのL*a*b*値に対応する指令網点面積率を特色インキ毎にそれぞれ平滑化する。平滑化の方法としては、隣接する座標値に対して設定されている指令網点面積率を、特色インキ毎に平均化した値を用いたり、あるいは、所定周期で分割されたL*a*b*値の三次元空間に対して、一般的な平滑化フィルタを適用するなど、どのような方法を用いても良い。
そして、特色分解テーブル作成部130は、指令網点面積率の初期設定値のセットに代え、平滑化した指令網点面積率の数値のセットを新たな初期値とする。
このとき、特色分解テーブル作成部130は、テーブル作成ループ回数を計数するカウンタをインクリメントする。
ステップS517:
特色分解テーブル作成部130は、指令網点面積率の変化量の許容範囲を現在の数値に対し、所定の割合(例えば1/2)を乗じて、より小さな許容範囲に変更(再定義)する。さらに、色分解テーブルの色空間において設定した全ての座標を、未計算の状態に戻す。
そして、特色分解テーブル作成部130は、処理をステップS505に進める。
上述したように、本実施形態によれば、原色インキから特色インキの吸収特性及び散乱特性を推定し、特色インキの分光反射率を算出し、特色インキの重ね刷りされた際の重なり領域の分光反射率を求めることができる。
また、本実施形態によれば、計算モデルで予測した算出分光反射率と、実際に印刷したカラーチャートから測定した測定分光反射率との差分が最小となるように求めた補正パラメータを、コアフリンジモデルに基づいて印刷色の予測に用いる計算モデル式における係数に対して乗ずることにより、コリアフリンジモデルにおける実際の印刷結果との誤差を補正しているため、実際に印刷した印刷物の分光反射率を高い精度で求めることができる。
このため、本実施形態によれば、面積変調階調表現と、濃度変調階調表現との双方の色表現を有するグラビア印刷などの印刷において特色インキを重ね刷りした印刷物における再現色の色予測を高い精度で容易に行うことができる。
また、本実施形態によれば、拡張ノイゲバウア原色の分光反射率と、その出現率から算出した予測分光反射率RD1(λ)と、拡張ノイゲバウア原色の分光光学濃度と、その出現率から算出した予測分光反射率RD2(λ)とを、予め求めた重み係数wにより混合するため、より実測値の分光反射率に近い予測分光反射率として混合予測分光反射率RW(λ)を求めることができる。
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
図14は、本発明の第2の実施形態による色予測システム2の構成例を示すブロック図である。図14の構成において、図1における第1の実施形態と同様の構成には同一の符号を付してある。図14において、色予測システム2は、入力部101、吸収係数・散乱係数データベース106、色予測テーブル作成部109、出力部110、特色分解部124、一時記憶部125、網点面積率初期値セットデータベース127、近似色データベース128、特色分解テーブル作成部130、ノイゲバウア原色分光反射率予測部150、特色インキ任意階調分光反射率算出部300、網点掛け合わせ分光反射率計算部304、印刷色予測部305、補正パラメータ算出部312、補正パラメータテーブル記憶部313を備えている。
ノイゲバウア原色分光反射率算出部150は、吸収係数・散乱係数データベース106に記憶されている原色インキの散乱係数S(λ)及び吸収係数K(λ)から、特色インキの吸収・散乱特性を算出し、これを基にノイゲバウア原色の分光反射率を算出する。
特色インキ任意階調分光反射率算出部300は、原色インキの階調特性テーブルデータベース201から、特色インキの階調特性を算出し、これを基に特色インキの任意の階調の分光反射率を算出する。
以下、ノイゲバウア原色分光反射率算出部150及び特色インキ任意階調分光反射率算出部300における各部の動作を説明する。
ノイゲバウア原色分光反射率算出部150は、吸収係数・散乱係数算出部107、特色インキ配合決定部151、ノイゲバウア原色分光反射率予測部152を備えている。また、特色インキ任意階調分光反射率算出部300は、特色インキ階調特性パラメータ決定部302、特色インキ階調分光反射率予測部303を備えている。
特色インキ配合決定部151は、図3のフローチャートに従い、見本色の測色値が与えられた特色に対して、その特色を構成する原色の組み合わせとその配合比を決定する。
すなわち、特色インキ配合決定部151は、第1の実施形態における特色インキ分光反射率算出部121及び特色インキ配合比決定部122の双方と同様の動作を行う。
吸収係数・散乱係数算出部107は、特色インキ配合決定部151が決定した特色インキにおける原色インキの配合比から、第1の実施形態と同様に、特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)を算出する。
ノイゲバウア原色分光反射率予測部152は、特色インキの散乱係数St(λ)及び吸収係数Kt(λ)、印刷媒体の下地分光反射率R0(λ)、膜厚係数Xmを(1)式に代入することにより、特色ベタの分光反射率RKM(λ)を算出する。また、ノイゲバウア原色分光反射率予測部152は、複数の使用する特色(原色を含んでも良い)の組み合わせと、その刷り順が指定された際、全ての使用する特色の組み合わせに対して、その重ね合わせの分光反射率(すなわちノイゲバウア原色の分光反射率)を(1)式により算出する。算出したノイゲバウア原色の分光反射率Rl(λ)は、一時記憶部125のノイゲバウア原色テーブルに書き出して記憶する。このノイゲバウア原色の分光反射率Rl(λ)を算出する際、ノイゲバウア原色分光反射率予測部152は、補正パラメータテーブル記憶部113から読み出した補正値HHHXmを膜厚係数Xmに対して乗算し、膜厚係数Xmの補正を行っている。
階調特性テーブルデータベース301には、原色インキの階調特性を表すパラメータ(後述する階調特性パラメータ)があらかじめ計算されて記憶されている。本実施形態では、単色の階調特性を(9)式で示すモデルで表すものとし、(9)式のa1(s)、a2(s)を階調特性パラメータとする。原色インキの階調特性パラメータは、第1の実施形態と同様、指令網点面積率毎の測定分光反射率RS(λ)と、(9)式により算出される算出分光反射率の誤差が最小となるよう、事前に求めておくことができる。
特色インキ階調特性パラメータ決定部302は、第1の実施形態における特色濃度階調出現率算出部123と同様に、上記特色インキ配合決定部151が決定した特色の配合比に基づいて、階調特性テーブルデータベース301から原色の階調特性を読み出し、特色の階調特性を決定する。第1の実施形態と同様に、読み出したいずれかの原色の階調特性を特色の階調特性としても良いし、配合比に基づいてそれぞれの原色の階調特性を組み合わせて用いても良い。また、特色インキ階調分光反射率予測部303は、求めた特色の階調特性パラメータa1(s)、a2(s)に対し、補正値HHH1、HHH2それぞれを乗算して補正する。そして、特色インキ階調特性パラメータ決定部302は、ノイゲバウア原色分光反射率予測部152が算出した特色ベタの分光反射率RKM(λ)を読み出し、この読み出した分光反射率RKM(λ)を、補正結果の階調特性パラメータa1(s)、a2(s)とともに(9)式に代入することにより、特色インキ毎に、各指令網点面積率に対応する分光反射率R’(s,λ)を求め、一時記憶部125の特色インキ階調分光反射率テーブルに記録する。
図15は、特色インキの階調毎の分光反射率を算出する処理を示すフローチャートである。
ステップS301:
特色インキ階調分光反射率予測部303は、階調毎の分光反射率を算出する特色インキのベタの分光反射率を、一時記憶部125のノイゲバウア原色テーブルから読み込む。
ステップS302:
特色インキ階調分光反射率予測部303は、一時記憶部125の特色インキの配合比テーブルから、上記設定した特色インキの配合比を読み出す。
ステップS303:
特色インキ階調特性パラメータ決定部302は、特色インキを構成する原色インキの階調特性パラメータa1(s)、a2(s)を階調特性テーブルデータベース301から読み出す。
ステップS304:
特色インキ濃度階調特性パラメータ決定部302は、階調特性テーブルデータベース301から読み出した原色インキの階調特性パラメータa1(s)、a2(s)を基にし、すでに述べた処理によって特色インキの階調特性パラメータa1(s)、a2(s)を求める。
ステップS305:
特色インキ階調分光反射率予測部303は、原色インキを所定の比率で混ぜ合わせて生成した特色インキの指令網点面積率sに対応する分光反射率R’(s,λ)を、特色インキ階調特性パラメータ決定部302が求めた階調特性パラメータa1(s)、a2(s)に対して、補正値HHH1、HHH2のそれぞれを乗算して補正し、補正後の階調特性パラメータa1(s)、a2(s)を、上記(9)式に代入して求める。
ステップS306:
そして、特色インキ階調分光反射率予測部303は、求めた分光反射率R’(s,λ)を一時記憶部125の特色階調分光反射率テーブルに対して書き込んで記憶させる。
網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、特色インキの指令網点面積率に対応する分光反射率R’(s,λ)を、一時記憶部125の特色階調分光反射率テーブルから読み出す。
そして、網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、分光反射率R’(s,λ)、特色インキベタの分光反射率RKM(λ)、印刷下地の紙の分光反射率R0(λ)を、以下の
(10)式に対して代入して、分光実効網点面積率aeff,i(λ)を求める。
網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、求めた実効網点面積率aeff,i(λ)から所定のデミシェルの式により、ノイゲバウア原色lの分光実効網点面積率Fa,l(λ)を求める。ここで、lはノイゲバウア原色を示している。
また、網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、ノイゲバウア原色lの分光実効網点面積率Fa,l(λ)及びノイゲバウア原色の分光反射率Rl(λ)を、以下の(11)式に代入して、再現色の分光反射率Rj(λ)を算出する。
印刷色予測部305は、この再現色の分光反射率Rj(λ)に対して、観察光源の分光
分布と標準観測者を設定することにより、測色値を求める。
そして、印刷色予測部305は、ノイゲバウア原色分光反射率予測部152の算出した測色値を、一時記憶部125の色予測テーブルに対し、重ね合わせる特色インキの指令網点面積率の組み合わせに対応させて書き込み、記憶させる。
色予測テーブル作成部109は、第1の実施形態と同様に、一時記憶部125の予測テーブルにおける指令網点面積率の未計算の組み合わせの測色値を網点掛け合わせ分光反射率計算部305および印刷色予測部305に対して算出させる。そして、色予測テーブル作成部109は、所定の特色インキの組み合わせに対応した色予測テーブルにおける指令網点面積率の掛け合わせの全てに対して測色値を求める。
また、出力部110、特色分解部124及び特色分解テーブル作成部130の各々は、第1の実施形態と同様のため、説明を省略する。
第2の実施形態における色予測においても、第1の実施形態と同様に、単色ステップにおける(9)式の階調特性パラメータa1(s)、a2(s)を補正するための補正パラメータHHH1、HHH2、…と、拡張ノイゲバウア原色を(1)式を用いて算出する際の膜厚係数Xmを補正する補正パラメータHHHXmとを、それぞれ重ね合わせる指令網点面積率の組合せ毎に生成し、各色の版を順番に重ね塗りした際の予測色を求めるために用いる。
上述した補正パラメータHHH1、HHH2、…それぞれと、HHHXmとを求める際、以下に説明するように、これら補正パラメータを全て1.0(補正無し)として算出した分光反射率Rj(λ)と、実際に印刷した印刷部分の分光反射率である測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)との差分を最小とする補正パラメータHHH1、HHH2、…と、補正パラメータHHHXmとを算出する。上記測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)は、すでに第1の実施形態において述べたように、各原色インキの網点面積率 CMYKそれぞれの色毎に0%から100%までを20%刻みとした、64=1296通りの組合せのカラーチャートの測定結果として、測定分光反射率データベース128に、予め書き込んで記憶されている。
特色インキ濃度階調特性パラメータ決定部302は、階調特性テーブルデータベース301から読み出した原色インキの階調特性パラメータa1(s)、a2(s)を基にし、すでに述べた処理によって特色インキの階調特性パラメータa1(s)、a2(s)を求める。
特色インキ階調分光反射率予測部303は、階調特性パラメータa1(s)、a2(s)に対して乗じて補正する補正パラメータHHH1、HHH2の数値を変化させつつ、分光反射率R’(s,λ)の算出を行う。
また、ノイゲバウア原色分光反射率予測部152は、指令網点面積率に対応したノイゲバウア原色の分光反射率Rl(λ)を、膜厚係数Xmに対して乗算する補正値HHHXmを変化させつつ求める。
網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、分光反射率R’(s,λ)と、分光反射率RKM(λ)と、用紙の分光反射率R0(λ)とを(10)式に代入して、分光実効網点面積率aeff,i(λ)を算出する。
次に、網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、求めた分光実効網点面積率aeff,i(λ)から所定のデミシェルの式により、ノイゲバウア原色lの分光実効網点面積率Fa,l(λ)を求める。ここで、lは、ノイゲバウア原色を示している。
そして、網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、求めた分光実効網点面積率Fa,l(λ)と、ノイゲバウア原色の分光反射率Rl(λ)を、(11)式に代入して、再現色の分光反射率Rj(λ)を求める。
補正パラメータ算出部312は、カラーチャートの印刷部分の分光反射率を測定した測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)と、対応する重ね合わせるインキの指令網点面積率の組合せの分光反射率Rj(λ)との差分Rerror3を求める。
また、補正パラメータ算出部312は、指令網点面積率の組合せ毎に、分光反射率Rj(λ)と測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)との差分Rerror3が最小となる、(1)式における膜厚係数Xmに乗算する補正パラメータHHHXmと、分光反射率R’(s,λ)を算出する際に用いる階調特性パラメータa1(s)、a2(s)、a3(s)、…、am(s)の各々に乗算する補正パラメータHHH1、HH2、HHH3、…、HHHmそれぞれを算出する。
すなわち、補正パラメータ算出部312は、ノイゲバウア原色分光反射率予測部152に対して、膜厚係数Xmに乗算するための補正パラメータHHHXmを順次出力する。そして、補正パラメータ算出部312は、ノイゲバウア原色分光反射率予測部152が特色の重ね合わせの分光反射率Rl(λ)、すなわち(ノイゲバウア原色の分光反射率)に対して、指令網点面積率の各々の重なりの組合せにおける各領域のノイゲバウア原色の分光反射率Rl(λ)を算出させる。ノイゲバウア原色分光反射率予測部152は、重なり合う領域それぞれのノイゲバウア原色の分光反射率Rl(λ)を算出する際、指令網点面積率の組合せ毎に補正パラメータ算出部312から供給される補正パラメータHHHxを(1)式における膜厚係数Xmに乗じて、各領域の分光反射率Rl(λ)を算出する。
そして、網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、分光反射率R’(λ)、分光反射率RKM(λ)及び分光反射率R0(λ)を、(10)式に代入し、分光実効網点面積率aeff,i(λ)を求める。
網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、求めた実効網点面積率aeff,i(λ)から所定のノイゲバウア式により、ノイゲバウア原色lの分光実効網点面積率Fa,l(λ)を求める。ここで、lはノイゲバウア原色を示している。
また、網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、ノイゲバウア原色lの分光実効網点面積率Fa,l(λ)及びノイゲバウア原色の分光反射率Rl(λ)を、(11)式に代入して、再現色の分光反射率Rj(λ)を算出する
補正パラメータ算出部312は、分光反射率Rj(λ)と測定分光反射率Rc,m,y,k(λ)との差分Rerror2が最小となる分光反射率R’(s,λ)と分光反射率Rl(λ)との組合せを抽出する。この最小化の手法については一般的な手法が使用されるため、本実施形態においては説明を省略する。
そして、補正パラメータ算出部112は、測定分光反射率との差分が最小となる算出分光反射率を算出した際に用いた、補正パラメータHHHXmの数値及びノイゲバウア原色出現率を算出した際に用いた補正パラメータHHH1、HHH2の数値の各々を抽出し、その指令網点面積率の組合せにおける補正パラメータHHHXm、補正パラメータHHH1、HHH2とする。補正パラメータ算出部112は、上記補正パラメータHHXm、補正パラメータHHH1、HHH2の抽出を、下層のインキの指令網点面積率とその直上の上層に印刷されるインキの指令網点面積率との組合せ毎に求める。そして、補正パラメータ算出部312は、抽出した補正パラメータHHHXm、補正パラメータHHH1、HHH2を補正パラメータテーブルとして、それぞれ指令網点面積率の組合せに対応させて、補正パラメータテーブル記憶部313に書き込んで記憶させる。
特色インキ階調分光反射率予測部303は、階調毎の分光反射率を算出する特色インキのベタの分光反射率を、一時記憶部125のノイゲバウア原色テーブルから読み込む。
そして、特色インキ階調分光反射率予測部303は、一時記憶部125の特色インキの配合比テーブルから、上記設定した特色インキの配合比を読み出す。
次に、特色インキ階調特性パラメータ決定部302は、特色インキを構成する原色インキの階調特性パラメータa1(s)、a2(s)を階調特性テーブルデータベース301から読み出す。
特色インキ濃度階調特性パラメータ決定部302は、階調特性テーブルデータベース301から読み出した原色インキの階調特性パラメータa1(s)、a2(s)を基にし、すでに述べた処理によって特色インキの階調特性パラメータa1(s)、a2(s)を求める。
特色インキ階調分光反射率予測部303は、補正パラメータテーブル記憶部113から指令網点面積率に対応する補正値HHH1、HHH2のそれぞれを読み出す。
特色インキ階調分光反射率予測部303は、上記階調特性パラメータa1(s)、a2(s)に対して、補正値HHH1、HHH2のそれぞれを乗算して補正し、補正後の階調特性パラメータa1(s)、a2(s)を、上記(9)式に代入し、特色インキの指令網点面積率に対応する分光反射率R’(s,λ)を求める。
特色インキ階調分光反射率予測部303は、求めた分光反射率R’(s,λ)を一時記憶部125の特色階調分光反射率テーブルに対して書き込んで記憶させる。
次に、網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、特色インキの指令網点面積率に対応する分光反射率R’(s,λ)を、一時記憶部125の特色階調分光反射率テーブルから読み出す。
そして、網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、分光反射率R’(s,λ)、特色インキベタの分光反射率RKM(λ)、印刷下地の紙の分光反射率R0(λ)を、(10)式に対して代入して、分光実効網点面積率aeff,i(λ)を求める。
網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、求めた実効網点面積率aeff,i(λ)から所定のデミシェルの式により、ノイゲバウア原色lの分光実効網点面積率Fa,l(λ)を求める。
また、網点掛け合わせ分光反射率計算部304は、ノイゲバウア原色lの分光実効網点面積率Fa,l(λ)及びノイゲバウア原色の分光反射率Rl(λ)を、(11)式に代入して、再現色の分光反射率Rj(λ)を算出する。ただし、この計算で用いるノイゲバウア原色の分光反射率Rl(λ)は、指令網点面積率の組み合わせに対応する補正値HHHXmを適用して算出されたものを利用する。
印刷色予測部305は、この再現色の分光反射率Rj(λ)に対して、観察光源の分光分布と標準観測者を設定することにより、測色値を求める。
そして、印刷色予測部305は、ノイゲバウア原色分光反射率予測部152の算出した測色値を、一時記憶部125の色予測テーブルに対し、重ね合わせる特色インキの指令網点面積率の組み合わせに対応させて書き込み、記憶させる。
色予測テーブル作成部109は、第1の実施形態と同様に、一時記憶部125の予測テーブルにおける指令網点面積率の未計算の組み合わせの測色値を網点掛け合わせ分光反射率計算部305および印刷色予測部305に対して算出させる。そして、色予測テーブル作成部109は、所定の特色インキの組み合わせに対応した色予測テーブルにおける指令網点面積率の掛け合わせの全てに対して測色値を求める。
また、出力部110、特色分解部124及び特色分解テーブル作成部130の各々は、第1の実施形態と同様のため、説明を省略する。
第2の実施形態では、構成を簡便にするために、ノイゲバウア原色の分光反射率から求めた予測分光反射率を、印刷色予測に用いているが、第1の実施形態のようにノイゲバウア原色の分光光学濃度を算出し、分光光学濃度から求めた第2の予測分光反射率を求める構成を追加し、分光反射率から求めた第1の予測分光反射率と、分光光学濃度から求めた第2の予測分光反射率から、混合モデルにより統合予測分光反射率を求め、この統合予測分光反射率から印刷色の測色値を算出する構成としても良い。
上述したように、本実施形態によれば、オフセット印刷等のような面積変調階調表現の印刷において、原色インキから特色インキの吸収特性及び散乱特性を推定し、特色インキの分光反射率を算出し、特色インキの重ね刷りされた際の重なり領域の分光反射率を求めることができる。
本実施形態によれば、計算モデルで予測した算出分光反射率と、実際に印刷したカラーチャートから測定した測定分光反射率との差分が最小となるように求めた補正パラメータを、面積変調階調表現の印刷における印刷色の予測に用いる計算モデル式における係数に対して乗ずることにより、面積変調階調表現の印刷における実際の印刷結果との誤差を補正しているため、実際に印刷した印刷物の分光反射率を高い精度で求めることができる。
また、本実施形態によれば、ノイゲバウア原色の分光反射率と特色インキの任意階調の分光反射率から、分光拡張ノイゲバウア混合モデルにより、網点の掛け合せにより再現されるあらゆる色の測色値や分光反射率を算出可能である。
すなわち、本実施形態によれば、原色インキの特性から特色インキの特性を求め、これを基に特色インキで再現されるあらゆる色の測色値や分光反射率を高精度に求めるという本発明に関わる基本的な機能はいずれの実施形態においても同様である。また、本実施形態は、上述したように、主にオフセット印刷など、網点の面積により階調を表現する面積変調階調表現の印刷方式に適用されると高い予測精度を得ることが可能である。
また、本実施形態に基づけば、伝統的なノイゲバウア方程式の発展により展開されるいずれの色予測方法においても容易に適用可能な特色インキの色予測方法を提供することが可能となる。
なお、本発明における図1の色予測システム1及び色予測システム2の各々の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより色予測の制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。