JP2020118627A - 色予測方法および色予測プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りによって得られる色を従来よりも精度良く予測する色予測方法を提供することを目的とする。【解決手段】色予測方法は、入力データを三刺激値とし出力データを分光反射率とするニューラルネットワークで機械学習を行う学習ステップ(S110)と、学習済みのニューラルネットワークによって処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率を求める推論ステップ(S130)と、分光反射率を補正する補正ステップ(S140)と、処理対象プロセスカラーインクの上に処理対象特色インクが塗られた状態の分光反射率を求める予測ステップ(S150)とを含む。補正ステップ(S140)では、補正前後の分光反射率の差の増大を抑制しつつ、予測元の三刺激値と補正後の分光反射率に対応する三刺激値との差が小さくなるよう、補正後の分光反射率が求められる。【選択図】図9

Description

本発明は、複数の色(特に、特色を含む複数の色)のインクの重ね刷りによって得られる色を予測する色予測方法に関する。
近年、印刷業界では、デジタル印刷装置の普及が進んでいる。しかしながら、ラベル・パッケージの分野では、近年でも印刷版を使用した印刷装置(以下、「従来方式の印刷装置」あるいは単に「印刷装置」という。)による印刷(オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷など)が行われることが多い。ところが、デザインやコンテンツの制作の短納期化の要求が高まっており、従来方式の印刷装置を使用している場合にはデザイン等の変更があったときに印刷版の再作製や工程の後戻りによって生じるコストが大きいことが問題となっている。この点、デジタル印刷装置によれば、印刷版を使用しないため、印刷版の交換・再作製という作業が発生することがない。すなわち、デジタル印刷装置を採用することにより、特に小ロットの印刷を低コストで行うことが可能となり、デザインやコンテンツの制作の短納期化の要求へも低コストで対応することが可能となる。
ところで、ラベル・パッケージの分野では、色の表現力を高めるために特色が多用される傾向にある。このため、従来方式の印刷装置での印刷用に生成された印刷データを用いてデジタル印刷装置で印刷を行うためには、特色のインクの重ね刷りによって得られる色の予測を行って、その予測した色をデジタル印刷装置で再現する必要がある。なお、以下においては、複数の色のインクの重ね刷りによって得られる色を特定する値(具体的には、反射率、あるいは、CIE1931XYZ色空間における三刺激値X,Y,およびZ)の予測値のことを「オーバープリント予測値」という。
後述する非特許文献1には、特色を含む複数の色のインクの重ね刷りによって得られる色(オーバープリント予測値)を比較的簡単に予測する手法(以下、「Deshpandeらの手法」という。)が開示されている。Deshpandeらの手法では、オーバープリント予測値は、三刺激値X,Y,およびZを用いて次式(1)〜(3)のように表される(図22参照)。
X=jx×(Xb×Xf)+kx ・・・(1)
Y=jy×(Yb×Yf)+ky ・・・(2)
Z=jz×(Zb×Zf)+kz ・・・(3)
ここで、Xb,Yb,およびZbは背景色の三刺激値であり、Xf,Yf,およびZfは前景色の三刺激値であり、jx,jy,およびjzはスケーリング係数であり、kx,ky,およびkzは定数である。以下、jx,jy,jz,kx,ky,およびkzをまとめて「オーバープリント係数」という。
ところで、色の再現方法には加法混色と減法混色とがあるが、印刷の場合には減法混色によって色の再現が行われる。これに関し、仮に理想的な減法混色が行われると、例えば、重ね刷りによって得られる色の刺激値Xは「Xb×Xf」で表される(刺激値Y,Zについても同様である)。しかしながら、より正確な値を得るためには、不透明インクの使用や表面での光の反射などに起因する誤差を考慮した補正が必要となる。そこで、Deshpandeらの手法では、上式(1)〜(3)に示したように、一次式を用いた補正が行われている。
Deshpandeらの手法では、例えば、模式的には図23に示すようなカラーチャートが使用される。このカラーチャートは「CxFチャート」と呼ばれている。図23に示す例では、CxFチャートは22個のパッチによって構成されている。上段の11個のパッチは、網点パーセントを10%刻みにして対象の特色のインクを紙などの基材上に印刷することによって得られるパッチである。下段の11個のパッチは、網点パーセントを10%刻みにして対象の特色のインクを黒色(墨ベタ)上に印刷することによって得られるパッチである。このようなCxFチャートのパッチの測色で得られる値(測色値)を用いて、オーバープリント予測値が算出される。
以下、図24に示すフローチャートを参照しつつ、背景色が網点パーセントを40%とする特色(便宜上「特色1」という。)であって前景色が網点パーセントを60%とする別の特色(便宜上「特色2」という。)である場合のオーバープリント予測値の算出を例に挙げて、Deshpandeらの手法について詳しく説明する。
まず、特色1のインクを用いてCxFチャートの印刷が行われ、さらに、特色2のインクを用いてCxFチャートの印刷が行われる(ステップS900)。
次に、特色2のインクを用いて印刷されたCxFチャート(便宜上「特色2チャート」という。)を使用して、特色2に関する上式(1)〜(3)のオーバープリント係数jx,jy,jz,kx,ky,およびkzが算出される(ステップS910)。これに関し、例えば、上式(1)に着目すると、Xb×Xfについての実用上の最大値および最小値は、それぞれ、基材上および黒色(墨ベタ)上に特色2のインクが塗られたことによって得られる値である。Yb×YfおよびZb×Zfについても同様である。そこで、オーバープリント係数を算出するために、上式(1)〜(3)を表す座標系(図25参照:但し、図25には上式(1)を表す座標系のみを示している。)において、黒色上に網点パーセントを60%とする特色2のインクが塗られた状態の刺激値を表す座標が第1校正点P91とされ、基材上に網点パーセントを60%とする特色2のインクが塗られた状態の刺激値を表す座標が第2校正点P92とされる。
三刺激値のうちの例えばXに着目すると、第1校正点P91については、上式(1)に対して次のように値の代入が行われる。特色2チャートのパッチPA93の測色によって得られる値(黒色の刺激値)がXbに代入され、特色2チャートのパッチPA92の測色によって得られる値(基材上に網点パーセントを60%とする特色2のインクが塗られた状態の刺激値)がXfに代入され、特色2チャートのパッチPA91の測色によって得られる値(黒色上に網点パーセントを60%とする特色2のインクが塗られた状態の刺激値)がXに代入される(図23参照)。また、第2校正点P92については、上式(1)に対して次のように値の代入が行われる。特色2チャートのパッチPA94の測色によって得られる値(基材の刺激値)がXbに代入され、特色2チャートのパッチPA92の測色によって得られる値(基材上に網点パーセントを60%とする特色2のインクが塗られた状態の刺激値)がXfおよびXに代入される(図23参照)。
第1校正点P91に関する方程式と第2校正点P92に関する方程式との連立方程式を解くことによってオーバープリント係数jx,kxが算出される。すなわち、図25で符号L91を付した直線を表す式が得られる。オーバープリント係数jy,jz,ky,およびkzについても、同様にして算出される。
なお、図23に示すCxFチャートでは10%刻みでパッチが設けられているが、線形補間によって得られる測色値に基づいて、左右方向に隣接する2つのパッチ間の網点パーセントに対応するオーバープリント係数を求めることができる。
次に、特色1のインクを用いて印刷されたCxFチャート(便宜上「特色1チャート」という。)を使用して、最終的なオーバープリント予測値を算出するための上式(1)〜(3)中のXb,Yb,およびZbの値(背景色の三刺激値)が取得される(ステップS920)。具体的には、特色1チャートのパッチPA95(図23参照)の測色によって、Xb,Yb,およびZbの値が取得される。
次に、特色2チャートを使用して、最終的なオーバープリント予測値を算出するための上式(1)〜(3)中のXf,Yf,およびZfの値(前景色の三刺激値)が取得される(ステップS930)。具体的には、特色2チャートのパッチPA92(図23参照)の測色によって、Xf,Yf,およびZfの値が取得される。
最後に、ステップS910〜S930で得られた値を上式(1)〜(3)に代入することによって、オーバープリント予測値としての三刺激値X,Y,およびZが算出される(ステップS940)。これは、例えば、図25で符号L91を付した直線において横軸が「ステップS920で取得されたXb」と「ステップS930で取得されたXf」との積であるときの縦軸の値をXの値として算出することに相当する。
なお、上記では、特色2チャートのパッチPA91,PA92,およびPA93をそれぞれ測色することによって、第1校正点P91(図25参照)に関するX,Xf,およびXbの値を取得している。しかし、高精度のオーバープリント予測値が必要とされないのであれば、簡単のために第1校正点P91を図25のグラフの原点に位置するとみなすこともできる。この場合には、特色2チャートのパッチPA91およびPA93の測色が不要になる(第2校正点P92のXおよびXfの値の取得のためにパッチPA92の測色は依然として必要である)。この場合、図23に示すCxFチャートのパッチPA91およびPA93等を含む下段のパッチ群を印刷しなくても、オーバープリント予測値としての三刺激値X,Y,およびZを算出することができる。このように、図23に示す上段のパッチ群を有し下段のパッチ群を備えないCxFチャートを本明細書では便宜上「簡易CxFチャート」という。
なお、本発明に関連して、特開平6−281501号公報には、或る測色装置で得られた色彩値から他の測色装置で得られる色彩値をニューラルネットワークを用いて求める色彩値修正装置の発明が開示されている。
特開平6−281501号公報
K. Deshpande, P. Green、"Recommendations for predicting spot colour overprints"、[online]、[平成30年6月7日検索]、インターネット<URL: http://www.color.org/ICC#white#paper#43#Draft2kd.doc>
ところで、分光測色機を用いてCxFチャートの各パッチの測色を行うことによって、分光反射率が得られる。分光反射率は、例えば、380〜730nmの波長範囲で10nm刻みで得られる。このとき、36個の分光反射率によって1つの色が特定される。Deshpandeらの手法でオーバープリント予測値を算出する際、三刺激値に代えてこのような分光反射率を用いることもできる。この場合、nを1以上36以下の整数として、オーバープリント予測値としての分光反射率R(n)は、次式(4)のように表される。
R(n)=j(n)×(R(n)b×R(n)f)+k(n) ・・・(4)
ここで、R(n)bは背景色の分光反射率であり、R(n)fは前景色の分光反射率であり、j(n)およびk(n)はオーバープリント係数である(詳しくは、j(n)はスケーリング係数であり、k(n)は定数である)。
オーバープリント予測値の算出の際に上式(1)〜(3)に代えて上式(4)を用いることによって、2つの特色インクの重ね刷りによって得られる色を精度良く予測することができる。
ここで、プロセスカラーインク(典型的には、C,M,Y,およびKのインクの組み合わせ)と特色インクの重ね刷りによって得られる色を予測することに着目する。これに関し、通常、これらの重ね刷りの際には、プロセスカラーインクの上に特色インクが塗られる。Deshpandeらの手法によれば、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りによって得られる色を予測する際、CMYK部(プロセスカラーインクが塗られた部分)については、ICCプロファイルを用いてCMYK値(C値,M値,Y値,およびK値の組み合わせ)から三刺激値が求められる。そして、それを背景色の三刺激値(上述のXb,Yb,およびZb)として、2つの特色インクの重ね刷りの場合と同様にオーバープリント予測値が算出される。
しかしながら、2つの特色インクの重ね刷りについては上述のように分光反射率を用いてオーバープリント予測値を求めることができるのに対して、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りについては三刺激値を用いてオーバープリント予測値が求められる。このため、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りについては、充分な精度でオーバープリント予測値が求められないことが懸念される。精度を高めるために仮に対象のプロセスカラーインクについてのCxFチャートの測色を行うことによって分光反射率のデータを取得しようとする場合、4つの値(C値,M値,Y値,およびK値)の組み合わせ毎にCxFチャートの印刷や測色の作業が必要となるので多大なコスト増となる。
そこで、本発明は、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りによって得られる色を従来よりも精度良く予測する色予測方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、プロセスカラーインクの上に特色インクを塗ることによって得られる色を予測する色予測方法であって、
入力データを色成分値とし出力データを分光特性とするニューラルネットワークによって、プロセスカラーインクについての色成分値とそれに対応する分光特性とを含む複数の教師データを用いて機械学習を行う学習ステップと、
前記学習ステップで得られた学習済みのニューラルネットワークに入力データとして予測対象色を構成するプロセスカラーインクである処理対象プロセスカラーインクの色成分値を与えることによって当該処理対象プロセスカラーインクについての分光特性を求める推論ステップと、
前記推論ステップで求められた分光特性を補正する補正ステップと、
前記補正ステップによる補正後の分光特性と前記予測対象色を構成する特色インクである処理対象特色インクについての分光特性とに基づいて、前記処理対象プロセスカラーインクの上に前記処理対象特色インクが塗られた状態の分光特性を求める予測ステップと
を含み、
前記補正ステップでは、補正前の分光特性と補正後の分光特性との差の増大を抑制しつつ、前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値と補正後の分光特性に対応する三刺激値との差が小さくなるよう、補正後の分光特性が求められることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値を所定の変換ファイルを用いて取得する三刺激値取得ステップを更に含み、
前記色成分値は、三刺激値であって、
前記推論ステップでは、前記三刺激値取得ステップで取得された三刺激値が前記学習済みのニューラルネットワークに入力データとして与えられることを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、
前記所定の変換ファイルは、ICCプロファイルであることを特徴とする。
第4の発明は、第2または第3の発明において、
各教師データを生成するためにプロセスカラーインクの色の印刷を行う印刷ステップと、
前記印刷ステップで印刷された色の分光特性を測定する分光特性測定ステップと、
前記分光特性測定ステップで測定された分光特性から所定の計算式に基づき三刺激値を求める三刺激値算出ステップと
を更に含むことを特徴とする。
第5の発明は、第1の発明において、
前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値を所定の変換ファイルを用いて取得する三刺激値取得ステップを更に含み、
前記色成分値は、CMYK値であって、
前記補正ステップでは、前記三刺激値取得ステップで取得された三刺激値と補正後の分光特性に対応する三刺激値との差が小さくなるよう、補正後の分光特性が求められることを特徴とする。
第6の発明は、第1の発明において、
前記処理対象プロセスカラーインクのLab値を所定の変換ファイルを用いて取得するLab値取得ステップと、
前記Lab値取得ステップで取得されたLab値を三刺激値に変換する変換ステップと
を更に含み、
前記色成分値は、Lab値であって、
前記推論ステップでは、前記Lab値取得ステップで取得されたLab値が前記学習済みのニューラルネットワークに入力データとして与えられ、
前記補正ステップでは、前記変換ステップで得られた三刺激値と補正後の分光特性に対応する三刺激値との差が小さくなるよう、補正後の分光特性が求められることを特徴とする。
第7の発明は、第1から第6までのいずれかの発明において、
前記補正ステップでは、前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値と補正後の分光特性に対応する三刺激値との差および補正前の分光特性と補正後の分光特性との差を考慮した目的関数の値が最小となるよう、補正後の分光特性が求められることを特徴とする。
第8の発明は、第7の発明において、
前記目的関数は、下記の式で表されることを特徴とする。
L=ΔX+ΔY+ΔZ+ΔS
ここで、Lは前記目的関数を表し、ΔX,ΔY,およびΔZはそれぞれ前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値X,Y,およびZと補正後の分光特性に対応する三刺激値X,Y,およびZとの差に応じて定まる値を表し、ΔSは補正前の分光特性と補正後の分光特性との差の2乗の総和を表す。
第9の発明は、第7の発明において、
前記目的関数は、下記の式で表されることを特徴とする。
L=C1・ΔX+C2・ΔY+C3・ΔZ+C4・ΔS
ここで、Lは前記目的関数を表し、ΔX,ΔY,およびΔZはそれぞれ前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値X,Y,およびZと補正後の分光特性に対応する三刺激値X,Y,およびZとの差に応じて定まる値を表し、ΔSは補正前の分光特性と補正後の分光特性との差の2乗の総和を表し、C1,C2,C3,およびC4は係数を表す。
第10の発明は、第1から第9までのいずれかの発明において、
前記分光特性は、分光反射率、分光吸収率、および分光吸収係数のいずれかであることを特徴とする。
第11の発明は、第10の発明において、
前記分光特性は、分光反射率であり、
前記ニューラルネットワークの出力データは、380nmから730nmまでの波長範囲または400nmから700nmまでの波長範囲を適宜の大きさの単位波長範囲で除することによって得られる数の分光反射率であることを特徴とする。
第12の発明は、プロセスカラーインクの上に特色インクを塗ることによって得られる色を予測する色予測プログラムであって、
コンピュータに、
入力データを色成分値とし出力データを分光特性とするニューラルネットワークによって、プロセスカラーインクについての色成分値とそれに対応する分光特性とを含む複数の教師データを用いて機械学習を行う学習ステップと、
前記学習ステップで得られた学習済みのニューラルネットワークに入力データとして予測対象色を構成するプロセスカラーインクである処理対象プロセスカラーインクの色成分値を与えることによって当該処理対象プロセスカラーインクについての分光特性を求める推論ステップと、
前記推論ステップで求められた分光特性を補正する補正ステップと、
前記補正ステップによる補正後の分光特性と前記予測対象色を構成する特色インクである処理対象特色インクについての分光特性とに基づいて、前記処理対象プロセスカラーインクの上に前記処理対象特色インクが塗られた状態の分光特性を求める予測ステップと
を実行させ、
前記補正ステップでは、補正前の分光特性と補正後の分光特性との差の増大を抑制しつつ、前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値と補正後の分光特性に対応する三刺激値との差が小さくなるよう、補正後の分光特性が求められることを特徴とする。
上記第1の発明によれば、処理対象プロセスカラーインクに関して、ニューラルネットワークを用いて色成分値から分光特性が求められる。そして、その分光特性に対して補正が施されるところ、補正後の分光特性は、予測元の三刺激値と補正後の分光特性に対応する三刺激値との差が小さくなるように求められる。このため、ニューラルネットワークによる分光特性の予測の精度が不充分であっても、補正によって、予測元の三刺激値にできるだけ近い三刺激値に対応する分光特性が得られる。そして、このようにして得られた分光特性(処理対象プロセスカラーインクについての分光特性)と処理対象特色インクについての分光特性とに基づいて、処理対象プロセスカラーインクの上に処理対象特色インクが塗られた状態の分光特性が求められる。このようにプロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りで得られる色の予測が分光特性を用いて行われるので、三刺激値を用いる従来の手法に比べて精度良く色の予測が行われる。また、プロセスカラーインクについては上述のように予測元の三刺激値にできるだけ近い三刺激値に対応する分光特性が用いられるので、ニューラルネットワークを用いることによる予測精度の低下が抑制される。以上より、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りによって得られる色を従来よりも精度良く予測することが可能となる。
上記第2から第4までのいずれかの発明によれば、ニューラルネットワークに入力データとして三刺激値を与える構成において、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
上記第5の発明によれば、ニューラルネットワークに入力データとしてCMYK値を与える構成において、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
上記第6の発明によれば、ニューラルネットワークに入力データとしてLab値を与える構成において、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
上記第7から第9までのいずれかの発明によれば、ニューラルネットワークを用いることによる分光特性の予測精度の低下をより確実に抑制することができ、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りによって得られる色の予測精度が顕著に向上する。
上記第10の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
上記第11の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
上記第12の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
本発明の一実施形態における印刷システムの全体構成図である。 上記実施形態における印刷データ生成装置のハードウェア構成図である。 上記実施形態において、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りについて説明するための図である。 上記実施形態において、処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率を求める方法について説明するための図である。 上記実施形態で用いられるニューラルネットワークの構造の一例を示す図である。 上記実施形態において、ニューラルネットワークを用いた学習時の処理について説明するための図である。 上記実施形態に関し、ニューラルネットワークを用いた分光反射率の予測に関する実験の結果を示す図である。 上記実施形態において、ニューラルネットワークによって求められた分光反射率の補正について説明するための図である。 上記実施形態における色予測処理の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態において、教師データの取得手順を示すフローチャートである。 上記実施形態において、教師データの取得の詳細について説明するためのブロック図である。 上記実施形態において、分光反射率の補正に用いられる目的関数について説明するための図である。 上記実施形態において、オーバープリント予測処理の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態において、オーバープリント予測処理について説明するための図である。 上記実施形態において、オーバープリント予測処理について説明するための図である。 上記実施形態において、1つのPDFファイルに対する処理の流れについて説明するためのブロック図である。 上記実施形態において、1つのPDFファイルに対する処理の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態の第1の変形例において、処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率を求める方法について説明するための図である。 上記実施形態の第1の変形例における色予測処理の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態の第2の変形例において、処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率を求める方法について説明するための図である。 上記実施形態の第2の変形例における色予測処理の手順を示すフローチャートである。 従来例に関し、Deshpandeらの手法について説明するための図である。 従来例に関し、CxFチャートの一例を模式的に示す図である。 従来例に関し、Deshpandeらの手法について説明するためのフローチャートである。 従来例に関し、Deshpandeらの手法について説明するための図である。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
<1.印刷システムの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態における印刷システムの全体構成図である。この印刷システムは、PDFファイルなどの入稿データに対して各種処理を施して印刷データを生成する印刷データ生成装置100と、印刷データに基づいて印刷版を作製する製版装置200と、その製版装置200で作製された印刷版を使用して印刷を行う印刷装置300と、印刷版を用いることなくデジタルデータである印刷データに基づいて印刷を行うインクジェット印刷機・コピー機等のデジタル印刷装置400と、色の測定を行う測色機500とによって構成されている。印刷データ生成装置100と製版装置200とデジタル印刷装置400と測色機500とは、通信回線600によって互いに通信可能に接続されている。なお、本実施形態で使用される測色機500は分光測色機である。
本実施形態では、印刷データ生成装置100において、入稿データに基づいて印刷データを生成する際に、当該入稿データに含まれている各画素データの色を予測する色予測処理が行われる。この色予測処理には、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りが行われた部分の色を予測する処理が含まれている。また、印刷データ生成装置100では、上述したCxFチャート(図23参照)やプロセスカラーについてのカラーチャートを作成するための印刷データの生成も行われる。さらに、印刷データ生成装置100では、色予測処理で得られたデータをデジタル印刷装置400での印刷出力が可能な形式の印刷データに変換する処理も行われる。なお、色予測処理についての詳しい説明は後述する。
<2.印刷データ生成装置の構成>
図2は、本実施形態における印刷データ生成装置100のハードウェア構成図である。この印刷データ生成装置100は、パソコンによって実現されており、CPU11と、ROM12と、RAM13と、補助記憶装置14と、キーボード等の入力操作部15と、表示部16と、光学ディスクドライブ17と、ネットワークインタフェース部18とを有している。通信回線600経由で送られてくる入稿データは、ネットワークインタフェース部18を介して印刷データ生成装置100の内部へと入力される。印刷データ生成装置100で生成された印刷データは、ネットワークインタフェース部18を介して通信回線600経由でデジタル印刷装置400に送られる。
色予測処理を行うプログラム(以下、「色予測プログラム」という。)141は補助記憶装置14に格納されている。この色予測プログラム141は、例えば、入稿データからデジタル印刷装置400用の印刷データを生成する一連の処理を行うためのプログラムの中に埋め込まれている。色予測プログラム141は、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されて提供される。すなわちユーザは、例えば、色予測プログラム141の記録媒体としての光学ディスク(CD−ROM、DVD−ROM等)170を購入して光学ディスクドライブ17に装着し、その光学ディスク170から色予測プログラム141を読み出して補助記憶装置14にインストールする。また、これに代えて、通信回線600を介して送られる色予測プログラム141をネットワークインタフェース部18で受信して、それを補助記憶装置14にインストールするようにしてもよい。
なお、色予測プログラム141が実行されると、膨大な量の計算処理が行われることが多い。そのため、プロセッサとしてCPU11に代えてGPUが設けられていても良いし、プロセッサとしてCPU11およびGPUが設けられていても良い。
<3.色予測処理>
次に、色予測処理について説明する。色予測処理には、複数の特色インクの重ね刷りによって得られる色を予測する処理やプロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りによって得られる色を予測する処理などがある。但し、ここでは、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りによって得られる色を予測する処理について説明し、それ以外の処理については本発明とは直接には関係がないので説明を省略する。また、以下の説明では、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りの際には図3に示すようにプロセスカラーインクの上に特色インクが塗られるものと仮定する。
<3.1 処理の内容>
本実施形態においては、分光反射率を用いて、上述したオーバープリント予測値の算出が行われる。これに関し、特色インクについては、従来と同様、CxFチャートの各パッチの測色を行うことによって分光反射率が取得される。これに対して、プロセスカラーインクについては、ニューラルネットワークを用いて分光反射率が取得される。但し、ニューラルネットワークから出力された分光反射率がそのまま用いられるのではなく、後述するように補正が施された分光反射率が用いられる。そして、その補正後の分光反射率を背景色の分光反射率とし、上記CxFチャートの測色で得られた分光反射率を前景色の分光反射率として、オーバープリント予測値が算出される。
なお、以下においては、オーバープリント予測値を求める対象となっている色を「予測対象色」といい、予測対象色を構成するプロセスカラーインク(典型的には、C,M,Y,およびKのインクの組み合わせ)を「処理対象プロセスカラーインク」といい、予測対象色を構成する特色インクを「処理対象特色インク」という。
図4を参照しつつ、処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率を求める方法について説明する。本実施形態では、三刺激値72に基づいて分光反射率73を予測するニューラルネットワーク720が用意される。処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率の予測に先だって、三刺激値と分光反射率との関係を予めニューラルネットワーク720に学習させる処理が行われる。そして、学習済みのニューラルネットワーク720を用いて、処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率の予測が行われる。
ニューラルネットワーク720での処理は、概略的には、学習段階の処理と予測(推論)段階の処理とに分けられる。学習段階では、ニューラルネットワーク720に教師データが与えられ、当該教師データを用いた機械学習がニューラルネットワーク720で行われる。教師データとして、ニューラルネットワーク720には、三刺激値および分光反射率が与えられる。なお、三刺激値は入力層への入力データとして与えられ、分光反射率は正解データとして与えられる。本実施形態においては、1つの教師データは、1つのプロセスカラーインクのパッチの測色によって得られる36個の分光反射率と当該36個の分光反射率から求められる三刺激値X,Y,およびZとによって構成される。三刺激値X,Y,およびZは、光源の分光分布と、分光反射率と、三刺激値X,Y,およびZにそれぞれ対応付けられる等色関数とから公知の手法により求められる。より具体的には、三刺激値X,Y,およびZは、次式(5)により算出される。
Figure 2020118627
ここで、Kmは最大視感効率を表し、Σはλ(波長)についての10nm毎の値(例えば、380〜730nmの波長範囲での10nm毎の値)の総和を表し、S(λ)は光源の分光分布を表し、R(λ)は分光反射率を表し、x(λ),y(λ),およびz(λ)はそれぞれ三刺激値X,Y,およびZに対応付けられる等色関数を表す。
予測段階では、まず、処理対象プロセスカラーインクのCMYK値(C値,M値,Y値,およびK値の組み合わせ)からICCプロファイル710を用いて三刺激値72が求められる。そして、その三刺激値72が学習済みのニューラルネットワーク720に与えられる。これにより、ニューラルネットワーク720から処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率73が出力される。
図5は、本実施形態で用いられるニューラルネットワーク720の構造の一例を示す図である。このニューラルネットワーク720は、入力層と隠れ層(中間層)と出力層とによって構成されている。入力層は、三刺激値72(1)〜72(3)を受け取る3個のユニット(ニューロン)によって構成されている。なお、符号72(1),72(2),および72(3)はそれぞれ刺激値X,刺激値Y,および刺激値Zを表している。隠れ層は36個のユニットによって構成されている。但し、隠れ層のユニット数は36には限定されない。また、図5に示す例では隠れ層の層数は1であるが、隠れ層の層数は2以上であっても良い。出力層は、36個の分光反射率73(1)〜73(36)を出力する36個のユニットによって構成されている。
入力層−隠れ層間の結合および隠れ層−出力層間の結合は、全結合である。隠れ層および出力層の活性化関数にはシグモイド関数が採用される。但し、シグモイド関数以外の関数を活性化関数として採用しても良い。
このニューラルネットワーク720を用いた学習時には、三刺激値72(1)〜72(3)が入力層に与えられる。これにより、ニューラルネットワーク720内で順伝播の処理が行われ、出力層から出力される分光反射率73(1)〜73(36)と正解データである分光反射率76(1)〜76(36)との2乗誤差の総和が求められる(図6参照)。そして、誤差の逆伝播の処理で得られる結果に基づいて勾配降下法を用いることによって、ニューラルネットワーク720のパラメータ(重み係数、バイアス)が更新される。以上のようにして学習が繰り返されることによって、上記パラメータが最適化される。なお、学習手法については、全ての教師データをまとめてニューラルネットワーク720に与えるバッチ学習を採用しても良いし、教師データを複数のグループに分割してグループ毎に教師データをニューラルネットワーク720に与えるミニバッチ学習を採用しても良いし、教師データを1つずつニューラルネットワーク720に与えるオンライン学習を採用しても良い。
このニューラルネットワーク720を用いた予測時(推論時)には、処理対象プロセスカラーインクについての三刺激値72(1)〜72(3)が入力層に与えられる。そして、ニューラルネットワーク720内で順伝播の処理が行われることによって、出力層から分光反射率73(1)〜73(36)が出力される。
ところで、或る色について上述のニューラルネットワーク720を用いて分光反射率(予測値)を求める実験をしたところ、予測値と実測値(実際に該当の色を測色することによって得られた値)との間に図7に示すような関係があった。36個の値をわずか3個の入力値から予測しているという点を考慮すると、図7より、予測の精度は比較的良好であることが把握される。
但し、ニューラルネットワーク720によって求められた分光反射率73に基づき上式(5)によって算出される三刺激値と予測元の三刺激値72との間にはいくらかの差異が生じ得る。そこで、本実施形態においては、ニューラルネットワーク720によって求められた分光反射率73に対して補正部730(図4参照)による補正が施される。なお、補正部730は、色予測プログラム141が実行されることによって実現される機能的構成要素である。補正部730は、補正前の分光反射率73と補正後の分光反射率74との差の増大を抑制しつつ、予測元の三刺激値72と補正後の分光反射率74に対応する三刺激値75との差が小さくなるよう、補正後の分光反射率74を求める。なお、補正後の分光反射率74に対応する三刺激値75は、上式(5)に示した計算式732によって算出される。この補正部730の処理によって、例えば、図8で符号77を付した実線で表される分光反射率73が図8で符号78を付した点線で表される分光反射率74へと補正される。
処理対象特色インクに関するデータと処理対象プロセスカラーインクに関するデータとに基づいてオーバープリント予測値を算出する処理(オーバープリント予測処理)が行われる前に、以上のようにして処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率が求められる。
<3.2 処理手順>
次に、図9に示すフローチャートを参照しつつ、色予測処理(ここでは、処理対象プロセスカラーインクと処理対象特色インクの重ね刷りによって得られる色を予測する処理)の手順について説明する。
まず、ニューラルネットワーク720での学習に必要な教師データを取得する処理が行われる(ステップS100)。ステップS100では、分光反射率の予測が精度良く行われるよう、充分な数の教師データを取得することが好ましい。なお、ここでは、ステップS100でQ個の教師データが取得されるものと仮定する。ステップS100は、詳しくは、図10に示すように、プロセスカラーの印刷を行うステップ(ステップS102)と、分光反射率を測定するステップ(ステップS104)と、分光反射率から三刺激値を求めるステップ(S106)とからなる。それらのステップの処理については、図11を参照しつつ、詳しく説明する。
ステップS102では、まず、Q個のプロセスカラーのパッチからなるカラーチャートを出力するための印刷データDchが印刷データ生成装置100で作成され、その作成された印刷データDchが製版装置200に送られる。製版装置200では、印刷データDchに基づいて印刷版PLが作製される。そして、その印刷版PLを用いて、印刷装置300で印刷が実行される。これにより、印刷装置300からカラーチャートCHが出力される。
ステップS104では、測色機500によって、ステップS102で印刷されたカラーチャートCHに含まれるパッチの測色が行われる。測色機500による測色で得られた測色データDcmは、印刷データ生成装置100に送られる。上述したように、本実施形態で使用される測色機500は分光測色機である。従って、測色で得られる測色データDcmは、分光反射率のデータである。本実施形態においては、分光反射率のデータは、380〜730nmの波長範囲で10nm刻みで得られる。但し、これには限定されない。例えば、分光反射率のデータを400〜700nmの波長範囲で適宜の大きさの単位波長範囲刻み(例えば10nm刻み)で得るようにしても良い。従って、カラーチャートCHの任意の1つのパッチの測色を行うことによって、波長範囲を単位波長範囲で除することによって得られる数(例えば36個)の分光反射率のデータが得られる。
ステップS106では、ステップS104で得られた36個の分光反射率から三刺激値X,Y,およびZが求められる。上述したように、三刺激値X,Y,およびZは上式(5)によって算出される。このように、ステップS106では、36個の分光反射率から三刺激値X,Y,およびZへの変換が行われる。
教師データの取得後、ニューラルネットワーク720によって、ステップS100で得られた教師データを用いた機械学習が行われる(ステップS110)。このステップS110での機械学習によって、ニューラルネットワーク720のパラメータ(重み係数、バイアス)が最適化される。その最適化されたパラメータを有するニューラルネットワーク720が、後述するステップS130の処理の際に使用される。
なお、ステップS100およびステップS110の処理(図9で符号81を付した部分の処理)については、1度だけ行われれば良く、1つの予測対象色(処理対象プロセスカラーインクと処理対象特色インクの重ね刷りによって得られる色)の処理毎に行われる必要はない。これに対して、ステップS120以降の処理(図9で符号82を付した部分の処理)は、1つの予測対象色の処理毎に行われる必要がある。
ステップS120では、処理対象プロセスカラーインクの三刺激値72を取得する処理が行われる。具体的には、処理対象プロセスカラーインクのCMYK値71がICCプロファイル710を用いて三刺激値72に変換される。
次に、ステップS110で得られた学習済みのニューラルネットワーク(最適化されたパラメータを有するニューラルネットワーク)720に入力データとしてステップS120で取得された三刺激値72を与えることによって、処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率73が求められる(ステップS130)。
次に、ステップS130で求められた分光反射率73を補正する処理が行われる(ステップS140)。このステップS140では、上述したように、補正前の分光反射率73と補正後の分光反射率74との差の増大を抑制しつつ、ステップ120で取得された三刺激値72と補正後の分光反射率74に対応する三刺激値75との差が小さくなるよう、補正後の分光反射率74が求められる。具体的には、次式(6)で表される目的関数Lの値が最小となるように、分光反射率74が求められる。なお、目的関数Lの値が最小となる分光反射率74は、例えば勾配法によって求められる。
L=ΔX+ΔY+ΔZ+ΔS ・・・(6)
ここで、ΔXは、三刺激値72のうちの刺激値Xと補正後の分光反射率74に対応する刺激値Xとの差に応じて定まる値(例えば、差の2乗や差の絶対値)であり(ΔYおよびΔZも同様)、ΔSは、補正前の分光反射率73と補正後の分光反射率74との差の2乗の総和である。補正前の分光反射率73が図12で符号83を付した実線で表され、補正後の分光反射率74が図12で符号84を付した点線で表されると仮定すると、補正前後のそれぞれについて分光反射率のデータは36個あるので、両者の差をd(1)〜d(36)で表すと、ΔSは次式(7)で表される。
Figure 2020118627
なお、上記目的関数Lに関し、各項に係数を設けるようにしても良い。この場合、目的関数Lは、次式(8)のように表される。
L=C1・ΔX+C2・ΔY+C3・ΔZ+C4・ΔS ・・・(8)
ここで、C1〜C4が係数である。例えば、補正前後の三刺激値の近さよりも補正前後の分光反射率の波形形状の近さを重視する場合、係数C4を大きくすれば良い。
以上のようにして分光反射率の補正が行われた後、ステップS140による補正後の分光反射率(処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率)74と処理対象特色インクについての分光反射率とに基づいて、オーバープリント予測処理が行われる(ステップS150)。以下、図13に示すフローチャートを参照しつつ、オーバープリント予測処理の手順について詳しく説明する。なお、ここでは、処理対象特色インクについての網点パーセントが60%であると仮定する。また、予め処理対象特色インクについてのCxFチャートの印刷および当該CxFチャートの各パッチの測色が行われているものと仮定する。
オーバープリント予測処理の開始後、まず、上式(4)のオーバープリント係数(スケーリング係数j(n)および定数k(n))が算出される(ステップS152)。これに関し、例えば、上式(4)に関して「n=1」のケースに着目すると、R(1)b×R(1)fについての実用上の最大値および最小値は、それぞれ、基材上および黒色(墨ベタ)上に処理対象特色インクが塗られたことによって得られる値である。「n=1」以外のケースについても同様である。そこで、オーバープリント係数を算出するために、上式(4)を表す座標系(図14参照)において、黒色上に網点パーセントを60%とする処理対象特色インクが塗られた状態の分光反射率を表す座標が第1校正点P11とされ、基材上に網点パーセントを60%とする処理対象特色インクが塗られた状態の分光反射率を表す座標が第2校正点P12とされる。
「n=1」のケースに着目すると、第1校正点P11については、上式(4)に対して次のように値の代入が行われる(図15参照)。CxFチャートのパッチPA13の測色によって得られている値(黒色の分光反射率)がR(1)bに代入され、CxFチャートのパッチPA12の測色によって得られている値(基材上に網点パーセントを60%とする処理対象特色インクが塗られた状態の分光反射率)がR(1)fに代入され、CxFチャートのパッチPA11の測色によって得られている値(黒色上に網点パーセントを60%とする処理対象特色インクが塗られた状態の分光反射率)がR(1)に代入される。また、第2校正点P12については、上式(4)に対して次のように値の代入が行われる(図15参照)。CxFチャートのパッチPA14の測色によって得られている値(基材の分光反射率)がR(1)bに代入され、CxFチャートのパッチPA12の測色によって得られている値(基材上に網点パーセントを60%とする処理対象特色インクが塗られた状態の分光反射率)がR(1)fおよびR(1)に代入される。
第1校正点P11に関する方程式と第2校正点P12に関する方程式との連立方程式を解くことによってオーバープリント係数j(1),k(1)が算出される。すなわち、図14で符号L11を付した直線を表す式が得られる。オーバープリント係数j(2)〜j(36)およびk(2)〜k(36)についても、同様にして算出される。
なお、図15に示すCxFチャートでは10%刻みでパッチが設けられているが、線形補間によって得られる測色値に基づいて、左右方向に隣接する2つのパッチ間の網点パーセントに対応するオーバープリント係数を求めることができる。
オーバープリント係数の算出後、上式(4)を用いて、オーバープリント予測値としての分光反射率R(1)〜R(36)が算出される(ステップS154)。これに関し、オーバープリント係数j(1)〜j(36)およびk(1)〜k(36)の値については、ステップS152で求められている。また、R(1)f〜R(36)fの値(前景色の分光反射率)については、予め処理対象特色インクについてのCxFチャートのパッチ(図15のパッチPA12)の測色を行うことによって得られている。さらに、R(1)b〜R(36)bの値(背景色の分光反射率)については、上述のステップS140で既に得られている。従って、それらの値を上式(4)に代入することによって分光反射率R(1)〜R(36)を求めることができる。
以上のようにしてオーバープリント予測値としての分光反射率R(1)〜R(36)が算出されることによって、図9に示したフローの色予測処理が終了する。
なお、本実施形態においては、ステップS110によって学習ステップが実現され、ステップS120によって三刺激値取得ステップが実現され、ステップS130によって推論ステップが実現され、ステップS140によって補正ステップが実現され、ステップS150によって予測ステップが実現されている。また、ステップS102によって印刷ステップが実現され、ステップS104によって分光特性測定ステップが実現され、ステップS106によって三刺激値算出ステップが実現されている。
<4.1つのPDFファイルに対する処理の流れ>
次に、図16に示すブロック図および図17に示すフローチャートを参照しつつ、印刷データ生成装置100に1つのPDFファイルが与えられてからデジタル印刷装置400で印刷が行われるまでの処理の流れについて説明する。
まず、印刷データ生成装置100に入稿データとしてPDFファイルPD1が入力される(ステップS10)。その後、印刷データ生成装置100では、1画素分の画素データの読み取りが行われる(ステップS20)。そして、ステップS20で読み取った画素データの色を予測する色予測処理が印刷データ生成装置100で行われる(ステップS30)。このステップS30では、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りが行われている部分については上述した手法で色予測処理が行われる。但し、図9に示した処理のうちステップS100,S110の処理については事前に行われているものと仮定する。複数の特色インクの重ね刷りが行われている部分についての色予測処理の具体的な手法は特に限定されない。
色予測処理の終了後、全ての画素データについて色予測処理が終了したか否かが判定される(ステップS40)。判定の結果、全ての画素データについて色予測処理が終了していればフローはステップS50に進み、そうでなければフローはステップS20に戻る。このようにして、全ての画素データの色が予測されるまで、ステップS20とステップS30とが繰り返される。
ステップS50では、印刷データ生成装置100において、ステップS30での色予測処理の結果に基づいて、三刺激値X,Y,およびZのデータであるXYZデータ(CIEXYZ色空間のデータ)が生成される。これに関し、本実施形態においては、色予測処理の結果のデータは分光反射率のデータである。従って、上式(5)によって、分光反射率から三刺激値X,Y,およびZが求められる。
XYZデータの生成後、印刷データ生成装置100では、デジタル印刷装置400への出力用のICCプロファイルを用いて、XYZデータをCMYKデータに変換する処理が行われる(ステップS60)。なお、XYZデータをLabデータ(CIELAB色空間のデータ)に変換し、LabデータをCMYKデータに変換するようにしても良い。
その後、ステップS60で生成されたCMYKデータは、印刷データPD2として、印刷データ生成装置100からデジタル印刷装置400へと送信される(ステップS70)。そして、デジタル印刷装置400では、CMYKデータである印刷データPD2に基づいて印刷(デジタル印刷)が実行される(ステップS80)。これにより、デジタル印刷装置400から印刷物PRが出力される。以上のようにして、一連の処理が終了する。
<5.効果>
本実施形態によれば、処理対象プロセスカラーインクに関して、ニューラルネットワークを用いて三刺激値から分光反射率が求められる。そして、その分光反射率に対して補正が施されるところ、補正後の分光反射率は、予測元の三刺激値と補正後の分光反射率に対応する三刺激値との差が小さくなるように求められる。このため、ニューラルネットワークによる分光反射率の予測の精度が不充分であっても、補正によって、予測元の三刺激値にできるだけ近い三刺激値に対応する分光反射率が得られる。そして、このようにして得られた分光反射率(処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率)と処理対象特色インクについての分光反射率とに基づいて、オーバープリント予測値が算出される。このようにプロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りに関して分光反射率を用いてオーバープリント予測値が算出されるので、三刺激値を用いる従来の手法に比べて精度良く色の予測が行われる。また、プロセスカラーインクについては上述のように予測元の三刺激値にできるだけ近い三刺激値に対応する分光反射率が用いられるので、ニューラルネットワークを用いることによる予測精度の低下が抑制される。以上より、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りによって得られる色を従来よりも精度良く予測することが可能となる。その結果、デジタル印刷装置によって、従来方式の印刷装置から出力された印刷物との誤差の小さい印刷物を得ることが可能となる。
<6.変形例など>
上記実施形態においては、処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率を予測する際に、ニューラルネットワーク720に入力データとして三刺激値が与えられていた。しかしながら、本発明はこれに限定されない。そこで、ニューラルネットワーク720に入力データとして三刺激値以外の値を与える例を上記実施形態の変形例として以下に説明する。
<6.1 第1の変形例>
<6.1.1 概要>
図18を参照しつつ、第1の変形例について説明する。図18から把握されるように、本変形例においては、ニューラルネットワーク720に入力データとしてCMYK値71が与えられる。すなわち、CMYK値71から分光反射率73を予測するニューラルネットワーク720が用意される。なお、ニューラルネットワーク720の入力層は、C値,M値,Y値,およびK値を受け取る4個のユニットによって構成される。処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率の予測に先だって、CMYK値と分光反射率との関係を予めニューラルネットワーク720に学習させる処理が行われる。そして、学習済みのニューラルネットワーク720を用いて、処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率の予測が行われる。
また、処理対象プロセスカラーインクに関して、オーバープリント予測処理に用いる分光反射率74に対応する三刺激値75が予測元の三刺激値72にできるだけ近い値となるよう分光反射率(ニューラルネットワーク720から出力された分光反射率)73を補正するために、ICCプロファイル710を用いてCMYK値71から三刺激値72への変換が行われる。そして、上記実施形態と同様にして、分光反射率73の補正が行われる。
<6.1.2 処理手順>
図19は、本変形例における色予測処理の手順を示すフローチャートである。まず、ニューラルネットワーク720での学習に必要な教師データを取得する処理が行われる(ステップS200)。本変形例においては、1つの教師データは、1つのプロセスカラーインクのパッチの測色によって得られる36個の分光反射率と当該プロセスカラーインクのCMYK値(C値,M値,Y値,およびK値)とによって構成される。従って、上記実施形態とは異なり、教師データに関して分光反射率から三刺激値を求める処理(図10のステップS106の処理)は不要である。
教師データの取得後、ニューラルネットワーク720によって、ステップS200で得られた教師データを用いた機械学習が行われる(ステップS210)。これにより、ニューラルネットワーク720のパラメータ(重み係数、バイアス)が最適化される。なお、上記実施形態とは異なり、ニューラルネットワーク720には入力データとしてCMYK値71が与えられる。
その後、学習済みのニューラルネットワーク720に入力データとして処理対象プロセスカラーインクのCMYK値71を与えることによって、当該処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率73が求められる(ステップS220)。また、処理対象プロセスカラーインクのCMYK値71がICCプロファイル710を用いて三刺激値72に変換される(ステップS230)。
次に、上記実施形態と同様にして、ステップS220で求められた分光反射率73を補正する処理が行われる(ステップS240)。その際、補正前の分光反射率73と補正後の分光反射率74との差の増大を抑制しつつ、ステップS230で得られた三刺激値72と補正後の分光反射率74に対応する三刺激値75との差が小さくなるよう、補正後の分光反射率74が求められる。そして、上記実施形態と同様にして、オーバープリント予測処理が行われる(ステップS250)。
なお、本変形例においては、ステップS210によって学習ステップが実現され、ステップS220によって推論ステップが実現され、ステップS230によって三刺激値取得ステップが実現され、ステップS240によって補正ステップが実現され、ステップS250によって予測ステップが実現されている。
以上のように、ニューラルネットワーク720に入力データとしてCMYK値71を与えるようにしても、上記実施形態と同様、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りによって得られる色を従来よりも精度良く予測することが可能となる。
<6.2 第2の変形例>
<6.2.1 概要>
図20を参照しつつ、第2の変形例について説明する。図20から把握されるように、本変形例においては、ニューラルネットワーク720に入力データとしてLab値83が与えられる。すなわち、Lab値83から分光反射率73を予測するニューラルネットワーク720が用意される。このため、本変形例においてはCMYK値71をLab値83に変換するためのICCプロファイル712が設けられる。なお、ニューラルネットワーク720の入力層は、L値,a値,およびb値を受け取る3個のユニットによって構成される。処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率の予測に先だって、Lab値と分光反射率との関係を予めニューラルネットワーク720に学習させる処理が行われる。そして、学習済みのニューラルネットワーク720を用いて、処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率の予測が行われる。
また、処理対象プロセスカラーインクに関して、オーバープリント予測処理に用いる分光反射率74に対応する三刺激値75が予測元の三刺激値72にできるだけ近い値となるよう分光反射率(ニューラルネットワーク720から出力された分光反射率)73を補正するために、所定の変換式810によってLab値83から三刺激値72への変換が行われる。そして、上記実施形態と同様にして、分光反射率73の補正が行われる。
<6.2.2 処理手順>
図21は、本変形例における色予測処理の手順を示すフローチャートである。まず、ニューラルネットワーク720での学習に必要な教師データを取得する処理が行われる(ステップS300)。本変形例においては、1つの教師データは、1つのプロセスカラーインクのパッチの測色によって得られる36個の分光反射率と当該36個の分光反射率から求められるLab値(L値,a値,およびb値)とによって構成される。従って、教師データに関して分光反射率からLab値を求める処理が必要となる。
教師データの取得後、ニューラルネットワーク720によって、ステップS300で得られた教師データを用いた機械学習が行われる(ステップS310)。これにより、ニューラルネットワーク720のパラメータ(重み係数、バイアス)が最適化される。なお、上記実施形態とは異なり、ニューラルネットワーク720には入力データとしてLab値83が与えられる。
次に、処理対象プロセスカラーインクのLab値83を取得する処理が行われる(ステップS320)。具体的には、処理対象プロセスカラーインクのCMYK値71がICCプロファイル712を用いてLab値83に変換される。
その後、学習済みのニューラルネットワーク720に入力データとして処理対象プロセスカラーインクのLab値83を与えることによって、当該処理対象プロセスカラーインクについての分光反射率73が求められる(ステップS330)。また、処理対象プロセスカラーインクのLab値83が所定の変換式810によって三刺激値72に変換される(ステップS340)。
次に、上記実施形態と同様にして、ステップS330で求められた分光反射率73を補正する処理が行われる(ステップS350)。その際、補正前の分光反射率73と補正後の分光反射率74との差の増大を抑制しつつ、ステップS340で得られた三刺激値72と補正後の分光反射率74に対応する三刺激値75との差が小さくなるよう、補正後の分光反射率74が求められる。そして、上記実施形態と同様にして、オーバープリント予測処理が行われる(ステップS360)。
なお、本変形例においては、ステップS310によって学習ステップが実現され、ステップS320によってLab値取得ステップが実現され、ステップS330によって推論ステップが実現され、ステップS340によって変換ステップが実現され、ステップS350によって補正ステップが実現され、ステップS360によって予測ステップが実現されている。
以上のように、ニューラルネットワーク720に入力データとしてLab値83を与えるようにしても、上記実施形態と同様、プロセスカラーインクと特色インクの重ね刷りによって得られる色を従来よりも精度良く予測することが可能となる。
<7.その他>
本発明は、上記実施形態(変形例を含む)に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
上記実施形態では、カラーチャートのパッチ等を測色機500で測色し、分光反射率を得た上で、色予測モデルが構築されている。しかし、分光反射率以外の測定値に基づいて色予測モデルを構築することもできる。例えば、分光吸収率(1から分光反射率を減ずることによって得られる値)や次式(9)から得られる分光吸収係数αに基づいても本発明を実施することができる。なお、分光反射率、分光吸収率、および分光吸収係数等の測定値が「分光特性」に相当する。ある波長における紙白での反射率をR0とし、該当パッチの反射率をRとし、インクの厚みをxとすると、多重反射を考慮しない場合には、分光吸収係数αは次式(9)で表される。
α=−(1/(2x))・ln(R/R0) ・・・(9)
さらに、上記実施形態では図15に示すCxFチャートを用いて色予測モデルが構築されている。すなわち、上段の11個のパッチ(網点パーセントを変更しつつ対象の特色のインクを紙などの基材上に印刷したもの)および下段の11個のパッチ(網点パーセントを変更しつつ対象の特色のインクを黒色(墨ベタ)上に印刷したもの)からなるCxFチャートを用いて色予測モデルが構築されている。しかし、上段のパッチのみからなる「簡易CxFチャート」を用いて色予測モデルを構築することもできる。
100…印刷データ生成装置
141…色予測プログラム
200…製版装置
300…印刷装置
400…デジタル印刷装置
500…測色機
710,712…ICCプロファイル
720…ニューラルネットワーク
730…補正部

Claims (12)

  1. プロセスカラーインクの上に特色インクを塗ることによって得られる色を予測する色予測方法であって、
    入力データを色成分値とし出力データを分光特性とするニューラルネットワークによって、プロセスカラーインクについての色成分値とそれに対応する分光特性とを含む複数の教師データを用いて機械学習を行う学習ステップと、
    前記学習ステップで得られた学習済みのニューラルネットワークに入力データとして予測対象色を構成するプロセスカラーインクである処理対象プロセスカラーインクの色成分値を与えることによって当該処理対象プロセスカラーインクについての分光特性を求める推論ステップと、
    前記推論ステップで求められた分光特性を補正する補正ステップと、
    前記補正ステップによる補正後の分光特性と前記予測対象色を構成する特色インクである処理対象特色インクについての分光特性とに基づいて、前記処理対象プロセスカラーインクの上に前記処理対象特色インクが塗られた状態の分光特性を求める予測ステップと
    を含み、
    前記補正ステップでは、補正前の分光特性と補正後の分光特性との差の増大を抑制しつつ、前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値と補正後の分光特性に対応する三刺激値との差が小さくなるよう、補正後の分光特性が求められることを特徴とする、色予測方法。
  2. 前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値を所定の変換ファイルを用いて取得する三刺激値取得ステップを更に含み、
    前記色成分値は、三刺激値であって、
    前記推論ステップでは、前記三刺激値取得ステップで取得された三刺激値が前記学習済みのニューラルネットワークに入力データとして与えられることを特徴とする、請求項1に記載の色予測方法。
  3. 前記所定の変換ファイルは、ICCプロファイルであることを特徴とする、請求項2に記載の色予測方法。
  4. 各教師データを生成するためにプロセスカラーインクの色の印刷を行う印刷ステップと、
    前記印刷ステップで印刷された色の分光特性を測定する分光特性測定ステップと、
    前記分光特性測定ステップで測定された分光特性から所定の計算式に基づき三刺激値を求める三刺激値算出ステップと
    を更に含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の色予測方法。
  5. 前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値を所定の変換ファイルを用いて取得する三刺激値取得ステップを更に含み、
    前記色成分値は、CMYK値であって、
    前記補正ステップでは、前記三刺激値取得ステップで取得された三刺激値と補正後の分光特性に対応する三刺激値との差が小さくなるよう、補正後の分光特性が求められることを特徴とする、請求項1に記載の色予測方法。
  6. 前記処理対象プロセスカラーインクのLab値を所定の変換ファイルを用いて取得するLab値取得ステップと、
    前記Lab値取得ステップで取得されたLab値を三刺激値に変換する変換ステップと
    を更に含み、
    前記色成分値は、Lab値であって、
    前記推論ステップでは、前記Lab値取得ステップで取得されたLab値が前記学習済みのニューラルネットワークに入力データとして与えられ、
    前記補正ステップでは、前記変換ステップで得られた三刺激値と補正後の分光特性に対応する三刺激値との差が小さくなるよう、補正後の分光特性が求められることを特徴とする、請求項1に記載の色予測方法。
  7. 前記補正ステップでは、前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値と補正後の分光特性に対応する三刺激値との差および補正前の分光特性と補正後の分光特性との差を考慮した目的関数の値が最小となるよう、補正後の分光特性が求められることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の色予測方法。
  8. 前記目的関数は、下記の式で表されることを特徴とする、請求項7に記載の色予測方法:
    L=ΔX+ΔY+ΔZ+ΔS
    ここで、Lは前記目的関数を表し、ΔX,ΔY,およびΔZはそれぞれ前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値X,Y,およびZと補正後の分光特性に対応する三刺激値X,Y,およびZとの差に応じて定まる値を表し、ΔSは補正前の分光特性と補正後の分光特性との差の2乗の総和を表す。
  9. 前記目的関数は、下記の式で表されることを特徴とする、請求項7に記載の色予測方法:
    L=C1・ΔX+C2・ΔY+C3・ΔZ+C4・ΔS
    ここで、Lは前記目的関数を表し、ΔX,ΔY,およびΔZはそれぞれ前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値X,Y,およびZと補正後の分光特性に対応する三刺激値X,Y,およびZとの差に応じて定まる値を表し、ΔSは補正前の分光特性と補正後の分光特性との差の2乗の総和を表し、C1,C2,C3,およびC4は係数を表す。
  10. 前記分光特性は、分光反射率、分光吸収率、および分光吸収係数のいずれかであることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の色予測方法。
  11. 前記分光特性は、分光反射率であり、
    前記ニューラルネットワークの出力データは、380nmから730nmまでの波長範囲または400nmから700nmまでの波長範囲を適宜の大きさの単位波長範囲で除することによって得られる数の分光反射率であることを特徴とする、請求項10に記載の色予測方法。
  12. プロセスカラーインクの上に特色インクを塗ることによって得られる色を予測する色予測プログラムであって、
    コンピュータに、
    入力データを色成分値とし出力データを分光特性とするニューラルネットワークによって、プロセスカラーインクについての色成分値とそれに対応する分光特性とを含む複数の教師データを用いて機械学習を行う学習ステップと、
    前記学習ステップで得られた学習済みのニューラルネットワークに入力データとして予測対象色を構成するプロセスカラーインクである処理対象プロセスカラーインクの色成分値を与えることによって当該処理対象プロセスカラーインクについての分光特性を求める推論ステップと、
    前記推論ステップで求められた分光特性を補正する補正ステップと、
    前記補正ステップによる補正後の分光特性と前記予測対象色を構成する特色インクである処理対象特色インクについての分光特性とに基づいて、前記処理対象プロセスカラーインクの上に前記処理対象特色インクが塗られた状態の分光特性を求める予測ステップと
    を実行させ、
    前記補正ステップでは、補正前の分光特性と補正後の分光特性との差の増大を抑制しつつ、前記処理対象プロセスカラーインクの三刺激値と補正後の分光特性に対応する三刺激値との差が小さくなるよう、補正後の分光特性が求められることを特徴とする、色予測プログラム。
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