以下に図面を用いて、本発明に係る物品整列装置の実施形態を説明する。なお、本発明における平面視方向とは物品整列装置Aを上方から鉛直下向きに見下ろす方向である。図1は、物品整列装置Aの平面図である。本実施例では、物品整列装置Aは、物品搬送装置としてのベルトコンベアB1とB2との間に設けられている。物品Mは、物品整列装置Aによって搬送経路Pに沿って搬送方向(図中下から上方向)に搬送される。物品Mは、ベルトコンベアB1上を搬送方向(図中上方向)に搬送され、物品整列装置Aに受け渡される。その後、ベルトコンベアB2に受け渡され、搬送方向に搬送される。このとき、後述するように、物品整列装置Aの働きによって、連続する物品Mの間には一定の間隔が形成される。なお、物品Mが物品整列装置Aの所定位置まで進入すると、物品整列装置Aによって物品Mに対して搬送方向への力が作用するため、その位置から下流側に物品整列装置Aの下方にはベルトコンベア等の搬送力を作用させる機器を設置する必要がない。ただし、物品整列装置Aによって物品Mがスムーズに搬送されるように、物品整列装置Aの下方に、摩擦力が小さな平面を有する板状部材や、ローラーコンベア等を配置することが好ましい。
本発明に係る物品整列装置Aが搬送する物品Mは略四角柱形状であり、その平面視形状は略矩形である。ここで、略矩形とは、丸まった角を持つものや、外方に突出する部分を持つもの、内方に引退する部分を持つもの等を含んでいる。なお、本発明における物品の平面視形状の重心とは、突出部分や引退部分を除外した矩形部分の重心を指す。本実施形態では、物品Mの平面視形状は短辺長さa,長辺長さbの略長方形形状である。また、本実施形態では、ベルトコンベアB1上の物品Mは、長辺が搬送方向に平行となる姿勢(以下、初期搬送姿勢と称する)で、連続する物品Mが密接する状態で搬送される。
以下の説明では、搬送方向下流側を前、搬送方向上流側を後として説明する場合がある。したがって、物品の前端部および後端部はそれぞれ、物品の搬送方向下流側端部および上流側端部を意味する。また、搬送方向上流側および搬送方向下流側をそれぞれ上流側および下流側と略称する。
図に示すように、物品整列装置Aは第1スクリュー1と第2スクリュー2とを備えている。第1スクリュー1および第2スクリュー2は、略棒状に形成され、各々の軸心C1,C2の方向が物品の搬送方向に平行となるように、搬送経路Pを挟むように配置されている。第1スクリュー1および第2スクリュー2にはモーター等の動力源(図示せず)からの駆動力が伝達され、各々の軸心C1およびC2周りに同じ角速度で同期的に回転駆動される。本実施形態では、第1スクリュー1と第2スクリュー2とは互いに反対方向に回転駆動される。具体的には、搬送方向視で、第1スクリュー1は反時計回り、第2スクリュー2は時計回りに回転駆動される。
第1スクリュー1および第2スクリュー2の周面には、各々螺旋状の溝11,21が形成されている。物品Mは対向する溝11,21の間に挟持され、第1スクリュー1および第2スクリュー2の回転によって搬送方向に搬送される。このとき、物品Mは平面視方向に平行な回転軸周りに回転させられるとともに、連続する物品Mの間に一定の間隔が形成される。すなわち、溝11および溝21は、物品Mを平面視において回転させる作用と、搬送方向において連続する物品Mどうしの間に一定の間隔を形成する作用とを有するように構成されている。
先ず、図2を用いて、物品整列装置Aによって、物品Mを平面視において回転させる方法を説明する。図は、物品整列装置Aの上流側の一部を示している。図に示している領域では、物品整列装置Aは、ベルトコンベアB1上を搬送される物品Mをそのままの姿勢(初期搬送姿勢)で受け入れた後に、物品Mを搬送方向に搬送しつつ、平面視方向に平行な回転軸周りに回転させるよう作用する領域である。この領域を第1回転領域3と称し、本発明における回転領域に相当する。
本実施形態では、第1回転領域3においては、第1スクリュー1の溝11の谷部12が、物品Mの上流側の第1スクリュー1側の角部Ma付近に当接し、第2スクリュー2の溝21の谷部22が、物品Mの下流側の第2スクリュー2側の角部Mb付近に当接する。
また、本実施形態では、第1回転領域3においては、第1スクリュー1および第2スクリュー2は、谷部12による搬送距離と、谷部22による搬送距離と、が異なるように構成されている。ここで、谷部による搬送距離とは、第1スクリュー1および第2スクリュー2が所定の角度回転した際に、物品Mの谷部に当接している部分が搬送方向に移動する距離である。本実施形態では、角部Maと角部Mbとが搬送方向に移動する距離である。平面視においては、谷部による搬送距離は、連続する谷部の間の搬送方向に沿う方向の距離(以下、搬送方向距離と称する)として表される。
本実施形態では、谷部12による搬送距離が、谷部22による搬送距離よりも大きくなるように構成されている。したがって、第1スクリュー1および第2スクリュー2は、第1スクリュー1の連続する谷部12間の搬送方向距離D1が、第2スクリュー2の連続する谷部22間の搬送方向距離D2よりも、大きくなるように構成されている。図2を用いてより具体的に説明する。図2において、物品Mの時刻tと時刻t+Tにおける位置および姿勢(以下、状態と総称する)をそれぞれM(t),M(t+T)として表している。ここで、物品MがM(t)の状態にあるときにその角部Maが当接する谷部12の部分を谷部12a、物品MがM(t+T)の状態にあるときに角部Maが当接する谷部12の部分を谷部12bとし、谷部12aと谷部12bとの間の搬送方向距離をD1とする。また、物品MがM(t)の状態にあるときにその角部Mbが当接する谷部22の部分を谷部22a、物品MがM(t+T)の状態にあるときに角部Mbが当接する谷部22の部分を谷部22bとし、谷部22aと谷部22bとの間の搬送方向距離をD2とする。このとき、D1>D2となるように、第1スクリュー1の谷部12および第2スクリュー2の谷部22が構成されている。この構成により、角部Maの搬送方向への移動距離が角部Mbの搬送方向への移動距離よりも大きくなる。この角部の移動距離の差により、物品Mは搬送方向に搬送されつつ、平面視において反時計回りに回転する。物品Mの平面視における回転の速さは搬送方向距離D1と搬送方向距離D2との距離差によって決定することができる。
次に、図3を用いて、連続する物品Mの間に一定の間隔を生成する方法を説明する。上述したように、本実施形態では、複数の物品MはベルトコンベアB1上を初期搬送姿勢、かつ、連続する物品Mどうしが密接する状態で搬送される(図3(a))。図では、2つの物品M1,M2が密接状態で搬送されている。なお、以下の説明では特に言及はしないが、第1スクリュー1および第2スクリュー2は、上流側からの物品Mの供給量等に応じて、適宜、加速,減速,停止等の制御が行われる。
ベルトコンベアB1から物品整列装置Aに受け渡された物品M1は、第1スクリュー1と第2スクリュー2との間に進入し、物品M1全体が第1スクリュー1と第2スクリュー2との間に挟まれる位置まで、初期搬送姿勢のままで搬送される(図3(b))。この物品M1の位置および姿勢が本発明における第1位置および第1姿勢の例であり、以下、第1状態と総称する。このとき、物品M1に後続する物品M2は、物品M1と密接状態のまま搬送されている。なお、本実施形態では、物品Mが第1状態にあるときには、下流側への搬送力として、ベルトコンベアB1の搬送力または後続する物品Mからの押圧力が作用している。
第1スクリュー1の回転に伴って、第1状態にある物品M1の角部Maに第1スクリュー1の谷部12の上流側の端部が当接すると、次第に物品M1の角部Maが搬送方向に案内される。このとき、物品M1の角部Mbは第2スクリュー2の谷部22に当接しており、物品Maの搬送方向に交差する方向への移動が規制されている。そして、第1スクリュー1および第2スクリュー2の回転に伴って、物品M1は搬送方向に搬送される。このとき、上述したように、物品M1は平面視において反時計回りに回転する(図3(c))。このときの物品M1の位置および姿勢が本発明における第2位置および第2姿勢の例であり、以下、第2状態と総称する。
第2状態では、物品M1上流側かつ第2スクリュー2側の角部Mcが角部Maよりも上流側に位置している。このとき、物品M1の角部Mcが物品M2の前端面に当接する。これにより、物品M2は搬送方向への移動が規制される。図2を用いてこの動きを説明すると、物品M1はM(t)で表される状態(第2状態の例)にある。後続する物品M2は、物品M1が存在しない場合には、角部Mbが第2スクリュー2の谷部22に当接する位置、すなわち、第1位置(図2において点線で示される位置M’)まで移動することができる。しかしながら、上述したように、先行する物品M1は平面視において反時計回りに回転し、角部Mcが物品M2の前面に当接するため、物品M2は角部Mcよりも下流側に移動することができない。そのため、物品M2は、第1位置M’よりも上流側の図2において実線で示される位置Mに留まる。図3(c)はこのようにして物品M2の移動が規制された状態を表している。
その後、物品M1が搬送方向に移動し、その移動量が所定の長さに達すると、物品M1と物品M2との間に所定の間隔が生成され、物品M1は物品M2から離間する。これにより、物品M1による物品M2に対する搬送方向への移動の規制が解除され、物品M2も搬送方向へ移動し、第1状態へと変位する(図3(d))。このような動作によって、連続する物品Mの間に一定の間隔が形成される。
このように、第1回転領域3のうち、先行する物品M1の後端部が後続する物品M2の前端部に当接するように構成された部分が本発明の当接領域に相当する。これらの図に示すように当接領域を設定することにより、物品M2が第2スクリュー2の山に当接しない状態、すなわち、物品M2の前端部が第2スクリュー2の山よりも上流側に位置した状態で第1スクリュー1と第2スクリュー2との間に受け入れられる。そのため、物品M2の角が第2スクリュー2の山に当接することがなく、物品M2の前端部が第2スクリュー2の山によって破損等することを回避することができる。
次に、図4を用いて、連続する物品Mの間に一定の間隔が形成される方法を数学的に説明する。ここでは、先行する物品M1と後続する物品M2の平面視形状を各々矩形R1と矩形R2と表す。なお、物品M2は第1姿勢としての初期搬送姿勢であり、物品M1は、平面視において初期搬送姿勢から反時計回りにβ回転した第2姿勢となっている。この姿勢において、矩形R1の点Q1が矩形R2の辺P2P4に接している。また、矩形R2の重心G2を原点Oとし、搬送方向(図中右方向)に沿ってx軸、搬送方向に直交する方向(図中上方向)に沿ってy軸を設定する。そうすると、矩形R2のx軸方向長さおよびy軸方向長さはそれぞれ、b,aとなる。
図のように矩形R2の4つの角に点P1,P2,P3,P4を定めると、各々の座標はP1(−b/2,a/2),P2(b/2,a/2),P3(−b/2,−a/2),P4(b/2,−a/2)となる。また、矩形R1および矩形R2の重心をそれぞれG1,G2とし、G2とG1との距離をsとすると、G1(s,0),G2(0,0)である。
上述した物品M1の状態と物品M2の状態との関係から、矩形R1は矩形R2を原点を中心に反時計回りにβ回転させ、(s,0)平行移動させたものである。したがって、矩形R1の4つの角の点Q1,Q2,Q3,Q4の座標は以下となる。
ここで、sはG2とG1とのx軸方向の距離であるから、矩形R1の水平フィレ径(搬送方向フィレ径)と矩形R2の水平フィレ径(搬送方向フィレ径)の和の1/2となる。矩形R2の水平フィレ径はその長辺の長さであるから、bである。一方、矩形R1の水平フィレ径は、図よりb*cosβ+a*sinβである。したがって、sは以下の式で表すことができる。
すなわち、物品Mが初期搬送姿勢である第1姿勢から、平面視において初期搬送姿勢からβ回転した姿勢である第2姿勢になるまでの搬送距離をs未満にすることにより、第2状態にある先行する物品M1の角部Mcを、後続する物品M2の前端面に当接させ、物品M2の搬送方向への移動を規制することができる。
先行する物品M1の角部Mcが、後続する物品M2の前端面に当接した状態、すなわち、点Q1が辺P2P4に接した状態で、物品M1は反時計回りに回転しつつ、下流方向に搬送される。一方、物品M2は、物品M1との当接のために、その角部Mbが谷部22に当接しない位置に規制されつつ、下流方向に搬送される。物品M1の搬送と回転が継続し、重心G1と重心G2との間の搬送方向距離が上述のsよりも大きくなったとき、物品M1と物品M2とが別離する。これにより、物品M2は、その角部Mbが谷部22に当接する位置まで移動することができる。
このようにして、連続する物品Mの間に一定の間隔を形成することができる。本実施形態では、谷部12,22によって物品Mの平面視における回転速度を制御することができる。また、物品Mの搬送方向への搬送速度(搬送距離)は、第1スクリュー1と第2スクリュー2とのリードの大きさによって制御することができる。したがって、連続する物品Mの間の距離,搬送速度等を考慮して、上述の数式を満たすように、第1スクリュー1の溝11および第2スクリュー2の溝21を構成すればよい。
上述の説明では、後続する物品M2は初期搬送姿勢であるとしたが、物品M2の姿勢はこれに限定されるものではなく、平面視において回転していても構わない。図5は、図4と同様に、先行する物品M1および後続する物品M2の平面視形状をそれぞれ矩形R1および矩形R2として表したものである。ただし、図5では、物品M2は初期搬送姿勢ではなく、平面視において反時計回りに初期搬送姿勢からα回転した状態であり、この例ではこの状態が第1姿勢に相当する。その他は、図4と同様である。
このとき、矩形R2の角の点P1,P2,P3,P4および矩形R1の角の点Q1,Q2,Q3,Q4の座標は以下となる。
ここで、点P2および点P4を通る直線Lは以下の式で表すことができる。
点Q1は直線L上にあることから、sは以下の式で表すことができる。
すなわち、物品Mが初期搬送姿勢から反時計回りにα回転した姿勢である第1姿勢から、平面視において初期搬送姿勢からβ回転した姿勢である第2姿勢になるまでの搬送距離をs未満にすることにより、第2状態にある先行する物品M1の角部Mcを、後続する物品M2の前端面に当接させ、物品M2の搬送方向への移動を規制することができる。この場合におけるsの値も上述した場合と同様の考え方に基づいて求めることができる。
このように、本発明に係る物品整列装置Aを用いることにより、物品Mを搬送しつつ、連続する物品Mの間に一定の間隔を形成することができる。
なお、少なくとも第1回転領域3において、搬送方向への搬送速度が漸増するように物品Mを搬送すると、物品Mに対する加速度変化が緩やかになり、結果として優しい搬送が可能となるため、好ましい。この場合には、少なくとも第1回転領域3において、第1スクリュー1および第2スクリュー2の所定回転に対する物品Mの搬送距離、すなわち、リードの大きさが漸増するように構成すればよい。当然ながら、第1回転領域3において、物品Mの搬送方向への搬送速度が一定であっても構わない。
本実施例における物品整列装置Aは、物品Mを搬送方向に搬送しつつ、平面視における姿勢を初期搬送姿勢から90°回転させる。したがって、本実施例では、第1スクリュー1および第2スクリュー2の全体が第1回転領域3となる。
本実施例における物品整列装置Aの基本的な構成および動作は上述した通りである。しかしながら、本実施例のように物品を大きく回転させる場合には、連続する物品Mの角部どうしが当接するおそれがある。その場合には、物品Mの回転を阻害したり、物品Mが破損したりするおそれがあるため、角部どうしが当接しないように留意する必要がある。そのため、本実施例では、物品Mの搬送方向への搬送速度と、平面視における回転速度(角速度)と、を仮定した場合に、理論的に連続する物品Mの角部どうしが当接する搬送位置において、先行する物品M1が理論的な搬送位置よりも下流側に位置するように、第1スクリュー1と第2スクリュー2とを構成している。具体的には以下の通りである。
先ず、図6を用いて、先行する物品M1の角部と、後続する物品M2の角部とが当接する条件を求める。先ず、時刻0において初期搬送姿勢にある物品Mの平面視形状を矩形R0とし、矩形R0の重心G0を原点Oとする。また、時刻Tおよび時刻T+ΔTにおける物品Mの平面視形状をそれぞれ矩形R2,R1で表す。矩形R2は、矩形R0から搬送方向に平行移動し、初期搬送姿勢からα回転した姿勢である。一方、矩形R1は、矩形R2からさらに搬送方向に平行移動し、初期搬送姿勢からβ回転した姿勢である。ここでは、矩形R2の前端部である点P4と、矩形R1の後端部である点Q1とは一致している。すなわち、このとき、先行する物品M1の後端部の搬送方向に直交する方向の座標と、後続する物品M2の前端部の搬送方向に直交する方向の座標とが一致している。したがって、矩形R2の位置および姿勢が本発明の第3位置および第3姿勢の例である。また、矩形R1の姿勢が本発明の第4姿勢の例である。また、矩形R1の搬送方向位置が先行する物品M1の理論的な搬送位置である。
ここで、物品Mの搬送方向への搬送速度をv、平面視における回転速度(角速度)をωとする。なお、簡単化のために、搬送速度、回転速度は一定とするが、当然ながら、可変であっても同様の考え方で以下の条件を求めることができる。そうすると、矩形R0から矩形R2までの移動距離はvT、矩形R0から矩形R1までの移動距離はv(T+ΔT)となる。また、各々の矩形の回転角はα=ωT、β=ω(T+ΔT)となる。
このとき、先行する物品M1の角部Maと、後続する物品M2の角部Mcとが当接する条件は、点Q1と点P4とが一致する条件と同値であるため、
である。ここで、sは重心G2と重心G1との距離であり、vΔTと同値である。
これらの式をsについて解くと、
となる。
したがって、時刻T+ΔTにおける物品M1の位置、すなわち、本発明における第4位置を矩形R1の位置よりも下流側に設定する、すなわち、第3位置から第4位置までの搬送距離が
よりも大きければ、先行する物品M1の角部Maと、後続する物品M2の角部Mcと、の当接を回避することができる。第1回転領域3のうち、このように構成された部分が本発明の非当接領域に相当する。
このような搬送は、第1スクリュー1および第2スクリュー2が物品Mを搬送する速度、すなわち、各々のスクリューのリードの大きさを変更することにより実現することができる。具体的には、以下の通りである。先ず、第1スクリュー1および第2スクリュー2の部分のうち、物品Mを図6における矩形R1の位置まで搬送する際に寄与する部分の最も下流位置、すなわち、物品Mが矩形R1の位置にあるときに当接している部分の最も下流位置、を特定する。この特定された位置から少し上流側に点Kを定め、物品Mの搬送速度が、点Kより上流側では速度vより小さくなるよう、点Kより下流側では速度vより大きくなるように、第1スクリュー1および第2スクリュー2のリードの大きさを決定する。図7は、搬送速度(リードの大きさ)とスクリュー端部からの距離との関係を表したグラフである。図7(a)では、点Kよりも上流側では搬送速度がv−Δv、点Kよりも下流側では搬送速度がv+Δvとなるように、第1スクリュー1および第2スクリュー2のリードの大きさを設定することを表している。すなわち、図7(a)の場合には、点Kを挟んで搬送速度(リードの大きさ)が急激に変化している。このような搬送速度の急激な変化は物品Mにとって好ましくない。一方、図7(b)の場合には、点Kを挟む搬送速度の変化が緩やかになっている。搬送速度(リードの大きさ)の変化はこれらに限定されるものではなく、本発明の目的を達する範囲において適宜変更可能である。また、点Kの定め方も適宜変更可能である。
このように、本実施例における物品整列装置Aによれば、物品Mを搬送しつつ、90°回転させるとともに、連続する物品Mの間に一定の間隔を形成する際に、連続する物品Mの角部どうしが当接することを回避することができる。また、後続する物品Mが第1スクリュー1と第2スクリュー2との間に受け入れられる際に、物品Mの前端部が第2スクリュー2の山よりも上流側に位置するため、物品Mの前端部が第2スクリュー2の山に当接することを回避することができる。これにより、物品Mの前端部が破損することを回避することができる。
本実施例における物品整列装置Aは、初期搬送姿勢の物品Mを受け入れ、物品Mを所定の角度回転させることにより、連続する物品Mの間に一定の間隔を形成した後に、物品Mを初期搬送姿勢に戻すものである。そのため、図8に示すように、本実施例における物品整列装置Aは、第1回転領域3と第2回転領域4とを備えている。
第1回転領域3は、上述した通りの構成であり、物品Mを平面視において反時計回りに回転させる機能を有している。一方、第2回転領域4は、物品Mを平面視において時計回りに回転させる機能を有している。そのため、第2回転領域4では、谷部12による搬送距離が、谷部22による搬送距離よりも小さくなるよう構成されている。
以下に、本実施例における物品整列装置Aによって物品Mがどのように搬送されるかを説明する。初期搬送姿勢の物品MがベルトコンベアB1から物品整列装置Aに受け渡されると、物品Mは第1回転領域3に進入する。第1回転領域3では、谷部12による搬送距離が谷部22による搬送距離よりも大きくなるように構成されている。本実施例では、平面視において、第1スクリュー1の連続する谷部12間の搬送方向距離D13が、第2スクリュー2の連続する谷部22間の搬送方向距離D23よりも、大きくなるように構成されている。このような構成により、第1回転領域3では、物品Mは、搬送方向に搬送されつつ、平面視で反時計回りに回転する。このとき、後続する物品Mとの間に一定の間隔が形成される。
この状態で、物品Mは第2回転領域4に進入する。上述したように、第2回転領域4では、谷部12による搬送距離が谷部22による搬送距離よりも小さくなるように構成されている。本実施例では、平面視において、第1スクリュー1の連続する谷部12間の搬送方向距離D14が、第2スクリュー2の連続する谷部22間の搬送方向距離D24よりも、小さくなるように構成されている。そのため、物品Mの角部Maより角部Mbの方が、移動速度が早くなっている。この移動速度の差によって、第2回転領域4では、第1回転領域3とは反対に、物品Mは平面視で時計回りに回転する。その後、物品Mは初期搬送姿勢に戻り、連続する物品Mとの間に一定の間隔が形成された状態でベルトコンベアB2に受け渡される。
本実施例における物品Mは、その側面に外方に突出する凸部Mpを備えている。本実施例における物品Mは、その側面にストローが貼り付けられた飲料容器であり、ストローが凸部Mpに相当する。このような物品Mを上述の実施例における物品整列装置Aで搬送すると、ストローが押しつぶされ、製品価値がなくなってしまう。
そのため、本実施例における物品整列装置Aでは、図9に示すように、第2スクリュー2の溝21には螺旋状の凹部21aが形成されている。この凹部21aは、ストローが嵌まり込む形状に構成されている。このように第2スクリュー2を構成することにより、その側面に突出する部分を有する物品Mであっても、物品整列装置Aによって搬送することができる。
本実施例における第1スクリュー1および第2スクリュー2は、いわゆる2条ネジ状に形成されている。図10に示すように、第1スクリュー1は、その周面に2つの螺旋状の溝11aおよび溝11bが形成されている。第2スクリュー2も同様に、その周面に2つの螺旋状の溝21aおよび溝21bが形成されている。本実施例における溝11aおよび溝21aは、実施例1と同様に物品Mを搬送しつつ、90°回転するよう構成されている。一方、溝11bおよび溝21bは、実施例2と同様に物品Mを搬送しつつ、物品Mを所定の角度回転させることにより、連続する物品Mの間に一定の間隔を形成した後に、物品Mを初期搬送姿勢に戻すように構成されている。
本実施例における物品整列装置Aでは、ある物品M1が溝11aと溝21aとに挟持されると、その物品の直後の物品M2は溝11bと溝21bとに挟持される。そのため、物品M1は、搬送方向に搬送されつつ、初期搬送姿勢から平面視方向で反時計回りに90°回転した姿勢に変更されてベルトコンベアB2に受け渡される。一方、物品M2は、搬送方向に搬送されつつ、初期搬送姿勢から平面視方向で反時計回りに所定角度回転した後に初期搬送姿勢に戻された後にベルトコンベアB2に受け渡される。
本実施例における物品整列装置Aによれば、連続する物品Mの間に所定の間隔を形成するとともに、連続する物品Mの姿勢を交互に異ならせることができる。
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態では、ベルトコンベアB1上で物品どうしが密接状態で搬送されたが、連続する物品どうしが密接状態である必要はない。本物品整列装置Aによって形成される間隔以下の隙間をあけて連続する状態であれば、本物品整列装置によって、連続する物品の間に一定の間隔が形成される。
(2)上述の実施形態では、物品整列装置AをベルトコンベアB1,B2の間に配置する構成としたが、物品整列装置Aを単一のベルトコンベアの搬送経路上に配置する構成としても構わない。
(3)上述の実施形態では、長辺が搬送方向に平行となる姿勢初期搬送姿勢をとしたが、短辺が搬送方向に平行となる姿勢を初期搬送姿勢としても構わない。
(4)上述の実施形態では、物品搬送装置としてベルトコンベアを用いたが、物品搬送装置としは、トップチェーンコンベア,ローラーチェーンコンベア等の他の物品搬送装置を使用しても構わない。
(5)上述の実施例1,3,4では、搬送される物品Mの姿勢を初期搬送姿勢から平面視方向で反時計回りに90°回転させた姿勢に変更したが、当然ながら、回転角は180°でもあっても構わないし、他の回転角度および方向であっても構わない。
(6)本発明の物品整列装置Aは平面視形状が矩形である物品Mの搬送に好適であるが、他の形状であっても適用することは可能である。例えば、四面体や平面視形状が矩形以外の多角形であっても構わない。