JP6540718B2 - 鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法および粒状材の製造方法 - Google Patents

鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法および粒状材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法および粒状材の製造方法に関する。
製造業において発生する粒状酸化物などの粒状材は、リサイクルされ、例えば、コンクリート骨材またはアスファルト舗装材として利用される。
アスファルト舗装により道路を施工する際には、下層路盤および上層路盤からなる路盤の層を形成し、その上にアスファルト混合物層を施工する。路盤の層を形成する際には、路盤材が敷き詰められるが、この路盤材として、天然砕石と共に、上記粒状材が使用される場合がある。上記粒状材としては、鉄鋼スラグなどの鉄含有酸化物を、代表的に挙げることができる(例えば、特許文献1を参照)。
鉄鋼スラグなどの鉄含有酸化物を路盤材として使用する場合、種々の基準または規格を満たすことが要求される。例えば、鉄鋼スラグの一種であり、製鉄プロセスにおいて発生する製鋼スラグは、基本的に塩基度(CaO/SiO)が高いスラグであるが、この塩基度が高すぎると、pHの高い水が溶出し、環境面から問題となり得る。このため、近年、塩基度を低くする傾向にある。
また、製鋼スラグは、精錬過程で完全に溶融しきれない未滓化のCaO成分(遊離CaO)を含む場合がある。この遊離CaOは、水分と反応(水和反応)して水和膨張する特性を有するが、水和膨張が路盤材に発生すると、路面の隆起または割れにつながるおそれがある。このような水和膨張を抑制する観点からも、CaOを少なくすること、すなわち、低塩基度にすることが要求される。
特開2014−196218号公報
鉄鋼スラグなどの鉄含有酸化物中には、酸化していない金属として鉄分(金属鉄分)が含まれる場合がある。
例えば、製鉄プロセスにおいては、溶融した鉄の精錬過程で純酸素ジェットが供給される際に、スラグ(製鋼スラグ)が発生する。このとき、スピッティングと呼ばれる溶鉄粒滴の飛散が生じ、製鋼スラグ中に金属鉄分が取り込まれる。
ところで、上述したように、近年、製鋼スラグには低い塩基度が要求される場合があるが、塩基度が低くなりすぎると、スラグ中の金属鉄分が腐食し、この腐食(錆び)によって膨張が発生することが懸念される。このような膨張が、土木用資材、特に路盤材として使用される粒状材に発生すると、路面の隆起または割れにつながるおそれがある。
しかしながら、現状では、鉄鋼スラグ中の金属鉄分に対する塩基度およびスラグ種などの影響は明確ではなく、鉄鋼スラグ中の金属鉄分が腐食しやすい環境にあるか否かを評価する方法が確立されていない。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、鉄含有酸化物中の金属鉄分が腐食しやすい環境にあるか否かを評価できる、鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法、および、この評価方法を用いた粒状材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記構成によって、上記目的が達成されることを見出した。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供する。
[1]水分を含む鉄含有酸化物に作用電極として鋼棒を挿入し、かつ、上記鉄含有酸化物の表面に参照電極を接触させた状態とし、上記鋼棒の自然電位を測定し、上記測定した自然電位に基づいて、上記鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境を評価する、鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法。
[2]上記鉄含有酸化物を、型枠の内部に敷き詰めて、バイブレータを用いて転圧締固めをした状態で、上記鋼棒の自然電位を測定する、上記[1]に記載の鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法。
[3]上記鉄含有酸化物の含水比が、最適含水比である、上記[1]または[2]に記載の鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法。
[4]鉄含有酸化物を準備し、上記準備した鉄含有酸化物に対して、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法における評価を含む評価を行ない、基準を満たす鉄含有酸化物を粒状材として用いる、粒状材の製造方法。
本発明によれば、鉄含有酸化物中の金属鉄分が腐食しやすい環境にあるか否かを評価できる、鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法、および、この評価方法を用いた粒状材の製造方法を提供することができる。
型枠の内部に鉄含有酸化物を敷き詰めた状態を示す断面図である。 型枠の内部に敷き詰めた鉄含有酸化物を、バイブレータを用いて転圧締固めしている状態を示す断面図である。 型枠の貫通孔に鋼棒を挿入した状態を示す断面図である。 型枠の内部に敷き詰めた鉄含有酸化物の上面に、さらに鉄含有酸化物を敷き詰めた状態を示す断面図である。 型枠の内部にさらに敷き詰めた鉄含有酸化物を、バイブレータを用いて転圧締固めしている状態を示す断面図である。 鉄含有酸化物に鋼棒を挿入し、かつ、鉄含有酸化物の表面に参照電極を接触させた状態を示す断面図である。 自然電位の測定結果を示すグラフである。 転炉スラグから引き抜いた鋼棒の外観を示す写真である。 溶銑予備処理スラグから引き抜いた鋼棒の外観を示す写真である。 高炉徐冷スラグから引き抜いた鋼棒の外観を示す写真である。 溶銑予備処理スラグから引き抜いた鋼棒の腐食状況を示す展開図である。 高炉徐冷スラグから引き抜いた鋼棒の腐食状況を示す展開図である。
[鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法]
本発明の鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法(以下、単に「本発明の評価方法」とも称する)は、水分を含む鉄含有酸化物に作用電極として鋼棒を挿入し、かつ、上記鉄含有酸化物の表面に参照電極を接触させた状態とし、上記鋼棒の自然電位を測定し、上記測定した自然電位に基づいて、上記鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境を評価する、鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法である。
以下、図1〜図6に基づいて、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
図1は、型枠1の内部に鉄含有酸化物2を敷き詰めた状態を示す断面図である。
本実施形態では、まず、図1に示すように、鉄含有酸化物2を、型枠1の内部に敷き詰めることが好ましい。
図1に示す型枠1は、上面が開口した矩形状の箱型部材である。型枠1は、絶縁体で構成されることが好ましく、一例として、木製である。型枠1の1つの側壁1aには、後述する鋼棒3を挿入するための貫通孔1bが形成されている。貫通孔1bの側壁1aにおける形成位置は、特に限定されないが、図1では、側壁1aの中央位置である。
本実施形態においては、型枠1の内部において、貫通孔1bの下端の高さまで、鉄含有酸化物2を敷き詰める。
鉄含有酸化物2としては、特に限定されないが、例えば、鉄鋼スラグが挙げられる。
鉄鋼スラグは、高炉スラグと製鋼スラグとに大別される。
高炉スラグは、鉄鉱石をコークスで還元する過程で、鉄分以外の鉄鉱石中の岩石分と成分調整のための石灰とが融合して生成するスラグである。高炉スラグは、その冷却方法によって、高炉徐冷スラグと高炉水砕スラグとに分類される。
製鋼スラグは、高炉で製造された銑鉄を鋼にする過程で副生するスラグである。製鋼スラグは、精錬炉の種類によって転炉スラグまたは電気炉スラグに分類されるほか、製鋼工程で生成する、溶銑予備処理スラグ(溶銑を転炉に装入する前に溶銑の脱硫、脱珪、脱燐等の処理をする際に生成するスラグ)および二次精錬スラグ(転炉等から出鋼した溶鋼に脱硫、脱燐、脱ガス等の処理をする場合があり、その際に生成するスラグ)なども含む。
鉄含有酸化物2中には、金属鉄分が含まれている。例えば、鉄含有酸化物2が鉄鋼スラグである場合、鉄鋼スラグが得られる過程で、鉄鋼スラグ中に金属鉄分が取り込まれる。
鉄含有酸化物2が鉄鋼スラグである場合、金属鉄分は、そのほとんどが、スラグ粒子の表面に固着しているか、または、スラグ粒子の内部に埋没しており、スラグ粒子から遊離して存在する金属鉄分は少ないものと推測される。金属鉄分は、一例として、粒状の鉄(粒鉄)であり、粒鉄のサイズは、例えば、100μm以下である。
型枠1の内部に敷き詰める鉄含有酸化物2には、水分を含ませる。これは、鉄含有酸化物2が乾燥状態である場合は、後述する自然電位の測定が困難となるからである。
鉄含有酸化物2の含水比は、最適含水比であることが好ましい。最適含水比とは、最大乾燥密度における含水比であり、JIS A 1210:2009に規定される。
一例として、鉄含有酸化物2は、まず、あらかじめ乾燥させておき、次いで、最適含水比となるように加水してから(または、加水しながら)混合したものを用いる。
なお、最適含水比は、一般的には、例えば、5〜15質量%であるが、この数値範囲に限定されないことは言うまでもない。
図2は、型枠1の内部に敷き詰めた鉄含有酸化物2を、バイブレータ5を用いて転圧締固めしている状態を示す断面図である。
型枠1の内部に鉄含有酸化物2を敷き詰めた後、図2に示すように、型枠1の敷き詰めた鉄含有酸化物2の表面(上面)に、バイブレータ5を押し当てて、転圧締固めを行なうことが好ましい。これにより、鉄含有酸化物2から空気が押し出され、粒子どうしの接触が密になって密度が高まり、実際の路盤に近い状態となる。バイブレータ5としては、締固めに使用される従来公知のバイブレータを適宜使用でき、特に限定されるものではない(以下、同様)。
なお、バイブレータ5を用いて締固めによって、鉄含有酸化物2の上面位置が、貫通孔1bの下端位置よりも大きく低下した場合には、鉄含有酸化物2の上面位置が、貫通孔1bの下端位置に到達するように、適量の鉄含有酸化物2を追加的に敷いてもよい。この場合も、再びバイブレータ5を用いて締固めすることが好ましい。
図3は、型枠1の貫通孔1bに鋼棒3を挿入した状態を示す断面図である。
バイブレータ5を用いて鉄含有酸化物2の転圧締固めを行なった後、図3に示すように、型枠1の側壁1aに形成された貫通孔1bに、鋼棒3を挿入する。型枠1に敷き詰めてある鉄含有酸化物2の上面位置が、貫通孔1bの下端位置に到達しているため、貫通孔1bから挿入された鋼棒3は、鉄含有酸化物2の上面に載置される。
鋼棒3は、その全部を型枠1の内部に入れてしまうのではなく、一部を、型枠1の外側に突出させた状態にする。この鋼棒3が、作用電極となる。
鋼棒3の材質は、鉄または鋼であれば、特に限定されないが、鉄含有酸化物2中に含まれる金属鉄分と同様の組成であることが好ましい。
図4は、型枠1の内部に敷き詰めた鉄含有酸化物2aの上面に、さらに鉄含有酸化物2bを敷き詰めた状態を示す断面図である。
先に型枠1の内部に敷き詰められ、かつ、転圧締固めされた鉄含有酸化物2(以下、便宜的に「鉄含有酸化物2a」とも称する)の上面に、図4に示すように、さらに、鉄含有酸化物2(以下、便宜的に「鉄含有酸化物2b」とも称する)を敷き詰める。これにより、鋼棒3は、鉄含有酸化物2aの上面に載置されている部分が、鉄含有酸化物2bによって覆われる。こうして、鉄含有酸化物2(鉄含有酸化物2aおよび鉄含有酸化物2b)に鋼棒3を挿入した状態となる。
図5は、型枠1の内部にさらに敷き詰めた鉄含有酸化物2bを、バイブレータ5を用いて転圧締固めしている状態を示す断面図である。
図5に示すように、鉄含有酸化物2bの表面(上面)にも、バイブレータ5を押し当てて、転圧締固めを行なうことが好ましい。これにより、鉄含有酸化物2bも実際の路盤に近い状態となる。また、鉄含有酸化物2bを転圧締固めすることにより、鉄含有酸化物2bが鋼棒3に密接するため、より安定的な測定および評価が行なえる。
図6は、鉄含有酸化物2に鋼棒3を挿入し、かつ、鉄含有酸化物2の表面に参照電極6を接触させた状態を示す断面図である。
次に、鉄含有酸化物2に挿入された鋼棒3の自然電位を測定できる状態にする。すなわち、図6に示すように、電位差計4を準備し、この電位差計4のプラス端子と、型枠1の外側に突出している鋼棒3の端部とを、リード線7を介して接続する。電位差計4のマイナス端子には、リード線7を介して参照電極6が接続されている。参照電極6の先端には、含水させたスポンジまたは脱脂綿などを巻きつけておくことが好ましい。この参照電極6の先端を、鉄含有酸化物2(鉄含有酸化物2b)の表面(型枠1から露出している露出面)に接触させた状態にする。
電位差計4としては、例えば、入力抵抗が100MΩ以上で、かつ、目量が1mV以下の直流電圧計が好適に挙げられる。電位差計4と参照電極6または鋼棒3とを接続するリード線7としては、被覆した軟銅より線を用いることが好ましい。また、電位差計4と参照電極6とを接続するリード線7としては、シールド線を用いることが好ましい。
なお、参照電極(基準電極または照合電極とも呼ばれる)6としては、特に限定されず、従来公知の参照電極を使用でき、例えば、銅−飽和硫酸銅電極(飽和硫酸銅電極)、飽和カロメル電極、銀−飽和塩化銀電極(飽和塩化銀電極)、および、鉛電極などが挙げられる。
以下の説明では、銅−飽和硫酸銅電極(飽和硫酸銅電極)を参照電極6として測定される電位を「mV vs.CSE」と表記する。
このような構成において、作用電極としての鋼棒3の自然電位を測定する。測定された自然電位は、電位差計4の表示部(図示せず)に表示される。自然電位の測定間隔および測定期間は、適宜設定される。
ここで、鉄含有酸化物2に挿入された鋼棒3の腐食について説明する。
鋼棒3の腐食は、電荷(電子およびイオン)の移動を伴う電気化学的反応である。腐食を起こしている箇所はアノード域と呼ばれ、鉄原子は、電子を失い鉄イオンとして周辺の鉄含有酸化物2に存在する水に溶け出す。この反応はアノード反応と呼ばれ、下記式(1)で表される。
Fe→Fe2++2e (1)
電子は鋼棒3の中に残り、カソード域と呼ばれる場所に移動し、そこで、周辺の鉄含有酸化物2に存在する水および酸素と結合し、水酸化物イオンとなる。この反応はカソード反応と呼ばれ、下記式(2)で表される。
O+1/2O+2e→2OH (2)
鉄イオンは、水酸化物イオンと反応して水酸化鉄(錆)となる。よって、鋼棒3が腐食しているときは、電子は鋼棒3の中を流れ、イオンは鉄含有酸化物2に存在する水の中を移動する。これら電子およびイオンの流れが腐食電流であり、腐食反応の速さ(腐食速度)を表している。鋼棒3が腐食していない場合には、電子およびイオンの移動はない。
鋼棒3が腐食しているアノード域の電位はマイナス側に変化することが多い。腐食状況に応じて変動する電位(自然電位)を測定することにより、鋼棒3の腐食環境(鋼棒3が腐食されやすい環境にあるか否か)が推定される。
そして、鉄含有酸化物2に挿入された鋼棒3の腐食と、鉄含有酸化物2中の金属鉄分の腐食との間には相関関係があると推測される。そこで、電位差計4を用いて鋼棒3の自然電位を測定し、測定した自然電位に基づいて、間接的に、鉄含有酸化物2中の金属鉄分の腐食環境(金属鉄分が腐食されやすい環境にあるか否か)を評価する。
評価の手法は特に限定されないが、例えば、測定開始から一定時間が経過した後の自然電位を、基準値と対比する手法が挙げられる。基準値は、一律に決まるものではなく、各種条件等に応じて適宜決定される。
例えば、長期間にわたって金属鉄分の腐食の問題がない(腐食が発生しない;腐食が発生しても膨張が生じない;膨張が生じても粒状材(路盤材)として使用した場合に路面の隆起等が起こらない;等)ことが実証されている鉄含有酸化物と同じスペックの鉄含有酸化物について、同様に自然電位を測定し、測定開始から一定時間が経過した後の自然電位を基準値とすることができる。
そして、基準値を−E[mV vs.CSE]としたときに、ある鉄含有酸化物2について測定される鋼棒3の自然電位が、基準値と同じまたは基準値よりも0[mV vs.CSE]に近い場合には、鉄含有酸化物2中の金属鉄分が腐食されにくい環境であると評価し、反対に、測定される自然電位が、基準値よりも0[mV vs.CSE]から遠い(マイナス値が大きい)場合には、鉄含有酸化物2中の金属鉄分が腐食されやすい環境であると評価することができる。
このように、本実施形態によれば、鉄含有酸化物中の金属鉄分が腐食しやすい環境にあるか否かを、非破壊的かつ容易に、評価することができる。
[粒状材の製造方法]
本発明の粒状材の製造方法は、鉄含有酸化物を準備し、上記準備した鉄含有酸化物に対して、本発明の評価方法における評価を含む評価を行ない、基準を満たす鉄含有酸化物を粒状材として用いる、粒状材の製造方法である。
粒状材は、一例として、路盤材である。鉄含有酸化物を路盤材などの粒状材として使用するに際しては、例えばJIS A 5015:2013に規定されるような各種の基準(規格)を満たすことが要求される。この基準を満たすか否かを確認するために各種の評価が行なわれるが、本発明の粒状材の製造方法は、要するに、この評価の1つとして、本発明の評価方法における評価を含む評価を行なうものである。そして、いずれの評価についても、決められた基準を満たす場合には、その鉄含有酸化物を、路盤材などの粒状材として使用する。
本発明の評価方法における評価を経た鉄含有酸化物である粒状材は、金属鉄分の腐食による膨張の発生が抑制される。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下の実施例は、鉄含有酸化物が鉄鋼スラグである場合の例である。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1〜図6に基づいて説明した実施形態に基づいて、試験を行なった。
このとき、型枠1は、木製とし、型枠1の寸法(内寸)は、縦150mm×横200mm×高さ100mmとした。
鉄鋼スラグである鉄含有酸化物2は、質量(水分を除く)が5kgであり、あらかじめ乾燥させたものを、最適含水比(9質量%)となるように加水し、混合してから用いた。なお、鉄鋼スラグである鉄含有酸化物2として、溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ、および、高炉徐冷スラグの3種類を使用した。
鋼棒3は、磨き鋼棒SGD−3(φ13×180mm)をアセトンで脱脂したものを用いた。
電位差計4および参照電極6としては、自然電位測定機(Proceq社製CANIN+)を用いた。
まず、型枠1の内部に、約35mmの高さまで鉄含有酸化物2(鉄含有酸化物2a)を敷き詰めてから(図1参照)、バイブレータ5を用いて鉄含有酸化物2aの表面を転圧締固めした(図2参照)。次いで、型枠1の貫通孔1bに鋼棒3を挿入し(図3参照)、その後、型枠1の内部に、約75mmの高さまで鉄含有酸化物2(鉄含有酸化物2b)を敷き詰めてから(図4参照)、バイブレータ5を用いて鉄含有酸化物2bの表面を転圧締固めした(図5参照)。そして、電位差計4と鋼棒3とを接続し、参照電極6の先端を、鉄含有酸化物2bの露出面に接触させた(図6参照)。
このような状態において、電位差計4を用いて、鋼棒3の自然電位を30日間測定した。3種類の鉄含有酸化物についての測定結果を図7のグラフに示す。
図7は、自然電位の測定結果を示すグラフである。いずれの鉄含有酸化物においても、測定開始から10日後程度までは、測定される自然電位の値は大きく変化していたが、その後、次第に、変化が小さくなる傾向が見られた。
そして、図7のグラフに示すように、30日後の自然電位は、高炉徐冷スラグ、溶銑予備処理スラグおよび転炉スラグの順に、0[mV vs.CSE]に近づいていた。このような結果からは、高炉徐冷スラグよりも溶銑予備処理スラグの方が、スラグ中の金属鉄分が腐食しにくい環境にあると評価でき、さらに、溶銑予備処理スラグよりも転炉スラグの方が、スラグ中の金属鉄分がより腐食しにくい環境にあると評価できる。
次に、自然電位を30日間測定した後、鉄含有酸化物2から鋼棒3を引き抜いて、鉄含有酸化物2に覆われていた部分の腐食速度および腐食面積率を、JCI−SC1「コンクリート中の鋼材の腐食評価方法」に準拠して求めた。求めた結果を、30日後の自然電位と共に、下記表1に示す。
図8は、転炉スラグから引き抜いた鋼棒の外観を示す写真である。図9は、溶銑予備処理スラグから引き抜いた鋼棒の外観を示す写真である。図10は、高炉徐冷スラグから引き抜いた鋼棒の外観を示す写真である。
図11は、溶銑予備処理スラグから引き抜いた鋼棒の腐食状況を示す展開図である。図12は、高炉徐冷スラグから引き抜いた鋼棒の腐食状況を示す展開図である。
上記表1および図8〜図12に示す結果から明らかなように、自然電位が0[mV vs.CSE]に近いほど、腐食速度および腐食面積率の値も小さくなっており、自然電位と腐食状況の傾向が一致していることが分かった。
この結果は、高炉徐冷スラグよりも溶銑予備処理スラグの方が、さらに、溶銑予備処理スラグよりも転炉スラグの方が、スラグ中の金属鉄分が腐食しにくい環境にあるという評価を裏付けるものと言える。
1:型枠
1a:側壁
1b:貫通孔
2,2a,2b:鉄含有酸化物
3:鋼棒
4:電位差計
5:バイブレータ
6:参照電極
7:リード線

Claims (4)

  1. 水分を含む、金属鉄分を含む鉄含有酸化物に作用電極として鋼棒を挿入し、かつ、前記鉄含有酸化物の表面に参照電極を接触させた状態とし、
    前記鋼棒の自然電位を測定し、前記測定した自然電位に基づいて、前記鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境を評価する、鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法。
  2. 前記鉄含有酸化物を、型枠の内部に敷き詰めて、バイブレータを用いて転圧締固めをした状態で、前記鋼棒の自然電位を測定する、請求項1に記載の鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法。
  3. 前記鉄含有酸化物の含水比が、最適含水比である、請求項1または2に記載の鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法。
  4. 鉄含有酸化物を準備し、
    前記準備した鉄含有酸化物に対して、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉄含有酸化物中の金属鉄分の腐食環境評価方法における評価を含む評価を行ない、基準を満たす鉄含有酸化物を粒状材として用いる、粒状材の製造方法。
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