JP6538502B2 - 車両 - Google Patents
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Description
第2モータは回転数=「0」の状態から逆回転回生状態に移行されるので、一つの励磁相のみに駆動電流が流され続けてしまう事態が解消される。つまりこれにより、第2モータのロック状態からの脱出が、駆動輪に対する駆動力を維持しながら実現される。
そして、上記構成によれば、このようなロック状態からの脱出を実現するにあたって、エンジンによる動力は不要となる。
これにより、車速が回復した場合、すなわちロック状態が生じる虞がなくなった場合に対応して、第1モータの回転が停止される。
これにより、第1モータから遊星歯車機構への入力トルクが増幅される。
本発明のロック脱出手法によれば、ロック状態からの脱出にあたりエンジンを駆動すること(運転状態とすること)は不要である。すなわち、エンジンが備えられたハイブリッド車両において、ロック状態からの脱出のためにエンジンによる燃料消費を行わずに済む。
図1は、本発明に係る実施の形態としての車両1の構成概要を示した図である。なお、図1では、車両1の構成のうち主に本発明に係る要部の構成のみを抽出して示している。
本実施の形態では、前輪駆動方式のハイブリッド車両に本発明を適用した場合について説明する。
このような連動回転制御機構3は、エンジン2と第1モータMG1の回転に対するブレーキ要素として機能する。
本例の遊星歯車機構4では、上記のようにサンギア4aには第2モータMG2のロータが接続され、リングギア4bには上記したリングギア軸4eを介して第1モータMG1のロータが接続され、キャリア4dにはデファレンシャルギア5が接続されている。
センサ・操作子類13は、車両1に設けられた各種のセンサや操作子を包括的に表したものである。センサ・操作子類13が有するセンサとしては、車両1の走行速度(以下「車速」と表記する)を検出する速度センサ13a、エンジン2の回転数を検出するエンジン回転数センサ13b、アクセルペダルの踏込み量からアクセル開度を検出するアクセル開度センサ13c、及び車両1に作用する加速度を検出するGセンサ13dがある。また、図示は省略したが、センサ・操作子類13は、他のセンサとして、例えばエンジン2への吸入空気量を検出する吸入空気量センサ、吸気通路に介装されてエンジン2の各気筒に供給する吸入空気量を調整するスロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサ、エンジン温度を示す冷却水温を検出する水温センサ、車外の気温を検出する外気温センサ等も有する。
また、操作子としては、イグニッションスイッチ13eや、EV(Electric Vehicle)モードのON/OFF指示を行うためのEVスイッチ13f等の各種操作子がある。
センサ・操作子類13における各センサの検出信号、操作子の操作に基づく操作入力信号は上記した各ECUのうち必要な各部に対して供給される。
これら第1モータMG1、第2モータMG2については、エンジン2の回転に伴い回転される第1モータMG1で発電を行いながら、該発電された電力により第2モータMG2を駆動して該第2モータMG2の動力を駆動輪7a、7bに伝達することが可能とされている。
第1モータECU9、第2モータECU10は、それぞれハイブリッドECU11からの指示に基づき第1モータMG1、第2モータMG2の駆動制御を行う。
例えば、ハイブリッドECU11は、前述したイグニッションスイッチ13eの操作等に基づき、エンジンの始動制御を行う。具体的には、燃料噴射及び点火を行うようにエンジンECU8に指示を行うと共に、セルモータとして第1モータMG1を回すため第1モータECU9にも指示を行う。なお、ハイブリッド車としての車両1においては、エンジン2の始動/停止制御は車両1の走行状態等、イグニッションスイッチ13eの操作以外の条件に基づいても行われる。
例えば、車両1の発進時や低速走行時等であって仮にエンジン2を駆動した際にその運転効率が低いと判定された場合には、第2モータMG2のみによる走行(「EV走行」)が行われるように制御を行う。また、前述したEVスイッチ13fにより運転者がEVモードを選択した場合にもEV走行が行われるように制御を行う。
EV走行時においては、ハイブリッドECU11は前述した連動回転制御機構3による制動力をONとし、遊星歯車機構4におけるリングギア4bを固定状態とする。
ハイブリッドECU11は、第2モータMG2がロック状態であると判定した場合には、以下で説明する手法によりロック状態からの脱出を図るための処理を実行する。
図3は、実施の形態としてのロック脱出手法について説明するための図であり、図3A〜図3Fは、車両1がEV走行(EVモードでの走行)を開始してからロック状態に陥り該ロック状態を脱出するまでの各過程における遊星歯車機構4の各回転要素の回転数とトルクとの力学的な関係を共線図により表している。なお、図中「S」軸はサンギア4a(第2モータMG2)の回転数、「C」軸はキャリア4d(駆動輪7a、7b)の回転数、「R」軸はリングギア4b(リングギア軸4e、第1モータMG1、エンジン2)の回転数にそれぞれ対応する。
先ず、駆動輪7a、7bが接続されるキャリア4dには、図中の出力トルクとして、車両1の走行抵抗に応じたトルクが作用している。先の説明から理解されるように、EV走行時には、連動回転制御機構3による制動力がONされるため、図中のブレーキ要素トルクが作用してリングギア4dの回転数が「0」とされている。この状態で第2モータMG2が力行回転(例えば正回転力行)されて図中のMG2トルクがサンギア4aに作用することで、該サンギア4aが回転駆動され、これに伴いキャリア4dが回転して駆動輪7a、7bが回転駆動される。
このようにロック状態では、第2モータMG2の駆動力と車両1の走行抵抗とが釣り合い、第2モータMG2の回転数が「0」となる。
具体的には、先ず、連動回転制御機構3による制動力をOFFとして、第1モータMG1が力行回転(例えば正回転力行)されるように駆動制御する。この際、第1モータMG1のトルクは、第2モータMG2の反力トルクを受け持つことのできるトルク(以下「トルクTa1」と表記)に設定する。
図3Cは、このように連動回転制御機構3によるブレーキ要素をOFF(開放)とし第1モータMG1を駆動状態とさせた際の様子を示している。この状態では、第2モータMG2の反力トルクが第1モータMG1により受け持たれただけであるので、第1モータMG1の回転数(つまりはリングギア4bの回転数)は「0」であり、また第2モータMG2の回転数(つまりはサンギア4aの回転数)としても「0」のままである。また、キャリア4dの回転数も「0」のままである。
上記のように第1モータMG1のトルクを「Ta1+Ta2」まで上昇させることで、該第1モータMG1と連動回転制御機構3を介して接続されたエンジン2(クランクシャフト2b)が回転され(空回し状態)、これに伴いリングギア4eが回転される。またこれと共に、上記のように第2モータMG2を逆方向に回生回転させることで、サンギア4aが逆方向(ロック状態前の回転方向とは逆方向)に回転される。この際、キャリア4dに作用するトルクはロック状態に陥った時点から変化していないため、キャリア4dの回転数は「0」のままである。
第2モータMG2は回転数=「0」の状態から逆回転回生状態に移行されるので、一つの励磁相のみに駆動電流が流され続けてしまう事態が解消され、ロック状態からの脱出が実現される。また、上記のように第1モータMG1及び第2モータMG2がそれぞれ回転される状態においては、遊星歯車機構4においてキャリア4dに対するトルクが作用し続けるため、駆動輪7a、7bに対する駆動力が維持される。
これらの点から理解されるように、本実施の形態によれば、第2モータMG2のロック状態からの脱出が駆動輪7a、7bに対する駆動力を維持しながら実現される。
EVモードにおいてアクセルペダルが踏み増されると第2モータMG2に対する要求トルクTbが増大し、該要求トルクTbに基づき第2モータMG2が駆動されることで図3Dに示した車両走行抵抗との釣り合い状態が解消される。すなわち、図3Eに示すようにキャリア4dが回転され、「車速>0」の状態となる。
このため、仮に「車速>0」となったことに応じて通常のEVモードに切り替えを行ってしまうと、走行モードの切り替えが頻発する事態(いわゆるチャタリング)が懸念される。
通常のEVモードへの切り替えは、第1モータMG1を停止させ、連動回転制御機構3による制動力をONとすることで実現する。この際、第2モータMG2は、アクセル開度に基づいて計算される要求トルクTbにより駆動させる。
これにより、車両走行に第2モータMG2のみが用いられる通常のEV走行状態に遷移する。
続いて、上記した実施の形態のロック脱出手法を実現するための具体的な処理の手順を図4〜図6のフローチャートを参照して説明する。
図4は、第2モータMG2がロック状態であるか否かを判定し、ロック状態と判定したことに応じてロック脱出モードに移行するための処理を示している。なお、図4及び図5に示す処理は、図1に示したハイブリッドECU11のCPUが例えば該ハイブリッドECU11の備えるROM等の所定の記憶装置に格納されたプログラムに従って実行するものであり、ハイブリッドECU11(CPU)は、これら図4及び図5に示す処理をEV走行中において所定の周期で繰り返し実行する。
図示による説明は省略するが、EV走行中においてハイブリッドECU11は、これら図4及び図5に示す処理とは別途に、アクセル操作に基づく要求トルクTbを計算し、計算した要求トルクTbを第2モータECU10に指示する処理を実行している。
ステップS101において、ロック脱出モードフラグ=「0」でなければ、ハイブリッドECU11はこの図に示す処理を終える。ロック脱出モードに移行中であれば、ロック状態か否かの判定は不要なためである。
車速=0であれば、ハイブリッドECU11はステップS103に進み、第2モータMG2の要求トルクTb≧Txであるか否かを判別する。ここで、少なくともTx>0であり、従ってステップS103によっては、先のステップS102の判別処理と併せて、車速=0且つ第2モータMG2が駆動中の状態であるか否か、換言すれば駆動輪7a、7bに対する駆動力と車両走行抵抗とが釣り合って車速が「0」となっている状態であるか否かを判別していることに相当する。
ステップS103において、要求トルクTb≧Txでなければ、ハイブリッドECU11はこの図に示す処理を終える。
なお、このように走行抵抗との釣り合いにより車速が「0」となっている状態が所定時間継続したか否かを判定条件としているのは、ロック脱出モードへの移行についてのハンチング防止のためである。
さらに、続くステップS107でハイブリッドECU11は、ブレーキ要素を開放させる。すなわち、連動回転制御機構3による制動力をOFFとする。
先ず、ステップS201でハイブリッドECU11は、ロック脱出モードフラグ=1であるか否かを判別し、ロック脱出モードフラグ=1でなければこの図に示す処理を終え、ロック脱出モードフラグ=1であればステップS202に処理を進める。
車速>0の変化点であれば、ハイブリッドECU11はステップS303に進み、第2モータMG2についての回転制御モードを正回転モードに移行させる指示を第2モータECU10に対して行う。正回転モードは、第2モータMG2を要求トルクTbに基づき正回転方向(逆回転モード時とは逆方向)に力行回転させる回転制御モードであり、第2モータECU10は、正回転モードへの移行中においては、要求トルクTbに応じた出力トルクが得られるように第2モータMG2を正回転方向に力行回転させる駆動制御を行う。
ハイブリッドECU11は、ステップS303のモード移行指示処理を実行したことに応じてステップS202の回転モード制御処理を終える。
車速≦0であれば、ハイブリッドECU11はステップS305に進んで第2モータMG2についての回転制御モードを逆回転モードに移行させる指示を第2モータECU10に対して行う。すなわち、ロック脱出モードの移行に応じて逆回転モードに移行(S109)し、さらにその後、車速>0の変化点に応じて正回転モードに移行した後においては、車速≦0となったことに応じて逆回転モードに移行が行われる。
一方、車速≦0でなければ、ハイブリッドECU11はステップS305のモード移行指示処理をパスして、ステップS202の回転モード制御処理を終える。すなわち、この場合は正回転モードが維持される。
ハイブリッドECU11は、ステップS202の回転モード制御処理を実行したことに応じ、ステップS203で車速>Vxであるか否かを判別する。換言すれば、ロック脱出モードから通常のEVモードへの移行条件が成立したか否かを判別する。
車速>Vxでなければ、ハイブリッドECU11は図5に示す処理を終える。すなわち、ロック脱出モードが維持される。
具体的に、ステップS204でハイブリッドECU11は、第1モータECU9に対する指示により第1モータMG1の回転数=0に制御し、続くステップS205でブレーキ要素を作動(連動回転制御機構3による制動力をON)させ、さらに続くステップS206でロック脱出モードフラグを「0」にリセットして、図5に示す処理を終える。
なお、上記では、ロック脱出モードへの移行を操作入力に基づかずに自動的に行う例を挙げたが、運転者等による操作入力に基づきロック脱出モードへの移行が行われてもよい。例えば、ロック脱出モードへの移行を指示するための操作子を設けておき、該操作子に対応する操作入力の検知に応じて、図4に示す処理が開始されるようにする。これにより、ハイブリッドECU11の処理負担を軽減できる。
図8では、図1に示した車両1において、リングギア4b、サンギア4aに対する第1モータMG1、第2モータMG2の接続を入れ替えた場合を例示している。この場合、エンジン2のクランクシャフト2は、連動回転制御機構3及び第1モータMG1を介してサンギア4aに接続されることになる。
図9を参照して分かるように、車両1’における各過程における共線図は、図3に示した車両1における同共線図に対して、リングギア4bとサンギア4aとの間の力学的関係が反転した仕様となるのみである。この点より、車両1’の構成によっても、車両1の場合と同様のロック脱出手法が実現されることが理解できる。
具体的には、図10に示す第三変形例としての車両1A’のように、第1モータMG1とサンギア4aとの間に減速ギア14を挿入するものである。
上記のように実施の形態の車両(同1)は、第1モータ(同MG1)及び第2モータ(同MG2)と、リングギア(同4b)に第1モータ又は第2モータの一方が、サンギア(同4a)に第1モータ又は第2モータの他方が、キャリア(4d)に駆動輪(同7a、7b)を回転させるための駆動軸(ドライブシャフト6)が接続される遊星歯車機構(同4)と、第1モータ及び第2モータについての制御を行う制御部(第1モータECU9、第2モータECU10、及びハイブリッドECU11)と、を備えている。
そして、制御部は、第1モータの回転を停止状態として第2モータの駆動力により走行中(つまり通常のEV走行中)である場合において、第2モータがロック状態であるか否かを判定し、ロック状態であると判定したことに応じ、第1モータを第2モータの反力トルクを受け持つ回転方向に回転させると共に、第2モータをロック状態と判定された時点での回転方向とは逆方向に回生回転させている。
第2モータは回転数=「0」の状態から逆回転回生状態に移行されるので、一つの励磁相のみに駆動電流が流され続けてしまう事態が解消される。つまりこれにより、第2モータのロック状態からの脱出が、駆動輪に対する駆動力を維持しながら実現される。
そして、上記構成によれば、このようなロック状態からの脱出を実現するにあたって、エンジンによる動力は不要となる。
従って、本実施の形態の車両によれば、ロック状態からの脱出にあたり、運転者の意図に従った走行状態を維持可能とすることとモータ駆動回路の熱破壊防止との両立が効率的に図られるようにすることができる。
これにより、車速が回復した場合、すなわちロック状態が生じる虞がなくなった場合に対応して、第1モータの回転が停止される。
従って、電力がむやみに消費されてしまうことを防止できる。
これにより、第1モータから遊星歯車機構への入力トルクが増幅される。
従って、第1モータとして小出力なモータを用いることが可能となり、第1モータを小型化できる。第1モータを小型化することにより、限られた車両スペースの有効活用が図られる。
実施の形態のロック脱出手法によれば、ロック状態からの脱出にあたりエンジンを駆動すること(運転状態とすること)は不要である。すなわち、エンジンが備えられたハイブリッド車両において、ロック状態からの脱出のためにエンジンによる燃料消費を行わずに済む。
従って、ロック状態からの脱出機能を備えたハイブリッド車両として、燃費向上により車両の走行距離を伸ばすことができる。
例えば、上記では、本発明が前輪駆動方式の車両に適用される場合を例示したが、本発明は後輪駆動方式や四輪駆動方式等、他の駆動方式による車両にも好適に適用できる。
また、本発明はハイブリッド車両に限定されず、エンジンを備えない電動車両にも好適に適用できる。
Claims (4)
- 第1モータ及び第2モータと、
リングギアに前記第1モータ又は前記第2モータの一方が、サンギアに前記第1モータ又は前記第2モータの他方が、キャリアに駆動輪を回転させるための駆動軸が接続される遊星歯車機構と、
前記第1モータ及び前記第2モータについての制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1モータの回転を停止状態として前記第2モータの駆動力により走行中である場合において、前記第2モータがロック状態であるか否かを判定し、ロック状態であると判定したことに応じ、前記第1モータを前記第2モータの反力トルクを受け持つ回転方向に回転させると共に、前記第2モータをロック状態と判定された時点での回転方向とは逆方向に回生回転させる
車両。 - 前記制御部は、
車速の回復判定を行い、車速が回復したと判定したことに応じて、前記第1モータの回転を停止状態とし、前記第2モータの駆動力により走行が行われるように制御する
請求項1に記載の車両。 - 前記第1モータと前記リングギア又は前記サンギアとの間に減速ギアが挿入された
請求項1又は請求項2に記載の車両。 - 出力軸が前記第1モータを介して前記リングギア又は前記サンギアに接続されるエンジンを備えた
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の車両。
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