JP6538120B2 - 車両用スロープ構造 - Google Patents
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Description
図1に示すように、本発明の実施形態に係る被搭載物の車両搭載システム(以下、単に「車両搭載システム」と称する)A1が適用された車両1は、車体2の後面に形成された後部開口2aのバックドア(テールゲートともいう)3を開けた状態で、当該後部開口2aから床面4上に被搭載物Xを搭載することができるように構成されている。本実施形態において、バックドア3は、車体2の後部開口2aの上縁部に対して回動可能に支持されている。車両搭載システムA1は、スロープ5と、左右一対の電動ウインチ6及び係止部材7(図2参照)と、ECU8と、前記スロープ5を含む左右一対の車両用スロープ構造A2(図2参照)と、を備える。
スロープ5は、車体2の床面4と車両1の後方の地面Gとの間に架設可能な金属製の部材である。スロープ5は、床面4の後端部に対して回動可能に支持されており、車体2の床面4上に倒れた状態で格納される床上格納状態と、車両1内において起立状態で格納される起立格納状態と、車両1の後方の地面Gへ架設された展開状態と、をとることができる。スロープ5は、第一の板部5aと、第二の板部5bと、操作部5c(図2参照)と、を備える。なお、スロープ5は、1枚の板部によって構成されていてもよく、当該スロープ5における被搭載物Xの移動方向に連結される3枚以上の板部によって構成されていてもよい。
図1に示すように、電動ウインチ6は、車体2に設けられており、被搭載物Xを車両1に乗車及び降車させるためのものである。本実施形態において、電動ウインチ6は、被搭載物Xが搭載されるスペースよりも前方の床面4上(例えば、床面4と図示しない座席の座面部との間)に設置されている。電動ウインチ6は、後記するECU8による制御によって、ベルトを引き出したり巻き取ったりする。
図1に示すように、係止部材7は、電動ウインチ6から延びるベルトの先端部に取り付けられており、被搭載物Xに係止可能な金属製部材(例えば、S字形状を呈するフック)である。
ECU(Electrical Control Unit)8は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力回路等によって構成されており、車両1の電子機器(電動ウインチ6を含む)を制御する制御部である。本実施形態において、ECU8は、左右一通の電動ウインチ6の一方の下側(電動ウインチ6と車体2の床面4との間)に設けられている。
図3及び図4(a)に示すように、本発明の実施形態に係る車両用スロープ構造A2は、スロープ5を備えるとともに、ヒンジ本体部10と、スロープ側ブラケット20と、ヒンジ連結部30と、ラッチ機構9と、を左右一対に備える。ヒンジ本体部10、スロープ側ブラケット20及びヒンジ連結部30は、車体2とスロープ5とを2つの回動軸X1,X2を介して連結する、いわゆる2段ヒンジを構成する。なお、左右一対の車両用スロープ構造A2は、左右対称な形状を呈するため、以下では、図3に示す車両1の左側の車両用スロープ構造A2を参照して説明する。また、以下の説明において、各部材の位置及び方向は、床上格納状態を基準とする。なお、ラッチ機構9は、左右一対ではなく、1つのみ設けられる構成であってもよい。
ヒンジ本体部10は、車体2に固定される車体側部材である。ヒンジ本体部10は、車体2の床面4に固定されているとともに、ヒンジ連結部30の一端部(前端部)を回動可能に支持する金属製部材である。ヒンジ本体部10は、床面4に固定される下壁部11と、下壁部11の車幅方向外端部から上方へ延設される外壁部12と、を一体に備える。
スロープ側ブラケット20は、スロープ5に固定されるスロープ側部材である。スロープ側ブラケット20は、スロープ5に固定されているとともに、ヒンジ連結部30の他端部(後端部)を回動可能に支持する金属製部材である。スロープ側ブラケット20は、上壁部21と、上壁部21の車幅方向外端部から下方へ延設される外壁部22と、を一体に備える。スロープ側ブラケット20の後端部は、スロープ5の基端部よりも後方に延設されている。
ヒンジ連結部30は、車体側部材であるヒンジ本体部10とスロープ側部材であるスロープ側ブラケット20とのそれぞれに回動可能に連結される金属製部材である。ヒンジ連結部30は、矢状面方向に延設される本体部31と、本体部31の前下端部から前方へ延設される爪部32と、を一体に備える。
ヒンジ本体部10の開口部12a及びヒンジ連結部30の爪部32は、ヒンジ連結部30のヒンジ本体部10に対する回動範囲を規制する回動範囲規制部A3の一例を構成する。すなわち、ヒンジ連結部30のヒンジ本体部10に対する回動範囲は、爪部32の折曲部32bが開口部12aの内周面における円弧の周方向一縁部に当接する位置(図5参照)と、爪部32の折曲部32bが開口部12aの内周面における円弧の周方向他縁部に当接する位置(図7参照)と、の間に制限される。
図3及び図4(a)に示すように、ラッチ機構9は、スロープ5が車体2の床面4上に格納された状態において係合状態となり、スロープ5の基端部、詳細には、スロープ5における回動軸X1,X2間となる部位に上方からの荷重F1が作用した際に、スロープ5の跳ね上がりを防止する機構である。また、ラッチ機構9は、係合状態において、スロープ5の展開動作を許容する。ラッチ機構9は、本体部側ラッチ40と、スロープ側ラッチ50と、を備える。
本体部側ラッチ40は、ヒンジ本体部10の外壁部12の上端部から上方へ突出する樹脂製部材である。本実施形態において、本体部側ラッチ40は、回動軸X1よりもやや後方に設けられている。図4(b)に示すように、本体部側ラッチ40は、ラッチインナ41と、ラッチアウタ42と、ラッチ屋根部43と、を備える。
ラッチインナ41は、本体部側ラッチ40の車幅方向内部を構成する樹脂製部材である。ラッチインナ41は、ヒンジ本体部10の外壁部12の上側に設けられている。ラッチインナ41は、車幅方向外方から見て、上に凸となる山形状を呈する。ラッチインナ41には、ピンP2が挿通される孔部41aと、底面に設けられてピンP2が当接する上に凸形状を呈する凹部(円弧部)41bと、が形成されている。
ラッチアウタ42は、本体部側ラッチ40の車幅方向外部を構成する樹脂製部材である。ラッチアウタ42は、車幅方向外方から見て、上に凸となる山形状を呈する。ラッチアウタ42の上部は、ヒンジ本体部10の外壁部12の上側でラッチインナ41と重なるように設けられており、ラッチアウタ42の下部は、外壁部12の上端部と重なるように設けられている。
ラッチ屋根部43は、車幅方向外方から見て下向きU字形状を呈する屋根壁部43aと、屋根壁部43aの車幅方向内端部側を塞ぐ内壁部43bと、屋根壁部43aの頂部において車幅方向外端部側を塞ぐ外壁部4cbと、屋根壁部43aの前側の下端部から後方へ延設される底壁部43dと、を一体に備える。
図3及び図4(a)に示すように、スロープ側ラッチ50は、スロープ側ブラケット20の外壁部22に取り付けられる樹脂製部材である。スロープ側ラッチ50は、前後方向に延設されており、その底面側に、凹部51と、突起52と、案内部53と、を備える。
図5に示すように、スロープ5の床上格納状態において、ラッチ機構9の本体部側ラッチ40とスロープ側ラッチ50の突起52とは、回動軸X1の略上方において当接し、係合している。かかる状態において、ユーザが車両1に乗り込もうとしてスロープ5の基端部(回動軸X1,X2の間)を踏み込んだ場合や、スロープ5の基端部に荷物等が載置された場合等には、下向き荷重F1は、車両用スロープ構造A2に対して、回動軸X2周りのスロープ5の回転としてではなく、回動軸X1周りのヒンジ連結部30の回転として作用しようとする。かかる回転モーメントによって、ラッチ機構9のスロープ側ラッチ50の突起52が本体部側ラッチ40を後方へ押す力が作用するため、スロープ5は、回動軸X2周りに回転することができず、さらには、ヒンジ連結部30は、回動軸X1周りに回転することができない。すなわち、ラッチ機構9は、スロープ側ラッチ50の突起52が下向き荷重F1で回動軸X1周りに回転しようとするのを本体部側ラッチ40によって規制することによって、ヒンジ連結部30の回動軸X1周りの回転を防止する。このように、車両用スロープ構造A2は、ラッチ機構9の係合によってヒンジ連結部30の回動軸X1周りの回転を防止することによって、スロープ5の跳ね上がりを防止する。
スロープ5の床上格納状態において、ユーザがスロープ5を展開させる際には、ヒンジ連結部30の一端部がヒンジ本体部10に対して回動軸X1周りに回転するとともに、主としてスロープ5の基端部がヒンジ連結部30の他端部に対して回動軸X2周りに回転する。ここで、ラッチ機構9のスロープ側ラッチ50の突起52は、本体部側ラッチ40を前方から後方へ乗り越えるように摺動する(図5→図6参照)。
一方、スロープ5の展開状態において、ユーザがスロープ5を格納させる際には、スロープ5の基端部がヒンジ連結部30の他端部に対して回動軸X2周りに回転する(図9→図8参照)。続いて、ラッチ機構9のスロープ側ラッチ50の案内部が本体部側ラッチ40に当接すると、案内部53は、本体部側ラッチ40を後方から前方へ移動するように摺動する(図7→図6参照)。また、ヒンジ連結部30の一端部がヒンジ本体部10に対して回動軸X1周りに回転し始める。
また、回動範囲を、スロープ側ラッチ50の突起52及び案内部53が本体部側ラッチと当接する範囲に設定することによって、車両用スロープ構造A2の回動軸X1,X2周りの回動動作をスムーズ化することができる。
また、案内部53の形状は、前記したものに限定されず、車幅方向外方から見て上に凸形状を呈してもよい。
また、回動範囲規制部A3は、前記したものに限定されず、ヒンジ連結部30に開口部が設けられているとともにヒンジ本体部10に爪部が設けられている構成であってもよい。
また、開口部12aの両縁部の少なくとも一方に、爪部32の折曲部32bと当接可能な壁部が屈曲形成されていてもよい。
また、スロープ5は、前記した2段スライド式に限定されない。
また、ラッチ機構9の本体部側ラッチ40及びスロープ側ラッチ50は、少なくとも互いに当接して摺動する部位が樹脂によって形成されていることが望ましい。
また、本体部側ラッチ40及びスロープ側ラッチ50は、樹脂製に限定されず、金属製等であってもよい。
4 床面
5 スロープ
9 ラッチ機構
10 ヒンジ本体部
12a 開口部
30 ヒンジ連結部
32 爪部
40 本体部側ラッチ
50 スロープ側ラッチ
52 突起
A2 車両用スロープ構造
A3 回動範囲規制部
Claims (5)
- スロープと、
車体の床面に固定されるヒンジ本体部と、
一端部が前記ヒンジ本体部に回動可能に取り付けられており、他端部が前記スロープの基端部に回動可能に取り付けられているヒンジ連結部と、
前記スロープが前記床面に沿うように格納された状態で、前記ヒンジ連結部の前記ヒンジ本体部への取付部位と前記スロープへの取付部位との間において前記スロープに下向き荷重が作用した際に前記ヒンジ連結部の前記ヒンジ本体部に対する回転を防止するラッチ機構と、
を備え、
前記ラッチ機構は、
前記ヒンジ本体部から突出する本体部側ラッチと、
前記スロープに設けられており、前記スロープが前記床面に沿うように格納された状態で、前記本体部側ラッチにおける前記ヒンジ連結部の前記スロープへの取付部位とは反対側の面と当接することによって、前記ヒンジ連結部の前記ヒンジ本体部に対する回転を防止するように前記本体部側ラッチと係合する突起を有するスロープ側ラッチと、
を備えることを特徴とする車両用スロープ構造。 - 前記スロープ側ラッチは、前記ラッチ機構の非係合状態において、前記突起を前記本体部側ラッチに案内する案内部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用スロープ構造。 - 前記本体部側ラッチ及び前記スロープ側ラッチは、樹脂によって形成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用スロープ構造。 - 前記ヒンジ連結部の前記ヒンジ本体部に対する回動範囲を規制する回動範囲規制部を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用スロープ構造。 - 前記回動範囲規制部は、
前記ヒンジ本体部に形成される開口部と、
前記ヒンジ連結部に形成されており、前記開口部に挿通される爪部と、
を備え、
前記爪部は、前記スロープが前記床面に沿うように格納された状態で、前記開口部の一縁部と当接し、前記スロープが車外に展開された状態で、前記開口部の他縁部と当接する
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用スロープ構造。
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