図1から図27を参照して、実施の形態における加工システムについて説明する。本実施の形態の加工システムでは、工作機械がワークを加工する。工作機械においてワークの加工が完了すると、ロボットがワークを交換する。
図1は、本実施の形態における第1の加工システムの概略側面図である。図2は、本実施の形態における加工システムのブロック図である。図1および図2を参照して、第1の加工システム8は、工作機械10およびロボット50を備える。工作機械10は、ワーク1を加工する。例えば、工作機械10は、ワーク1を切削したりワーク1に穴を形成したりする。本実施の形態の工作機械10は、主軸に支持された工具22が水平方向に延びている横形の工作機械である。
本実施の形態における工作機械10は、数値制御式である。工作機械10は、工具22とワーク1とを相対移動させる移動装置23を備える。移動装置23は、送り軸の方向に工作機械10の部材を移動させる。本実施の形態の工作機械10には、送り軸として互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が設定されている。
工作機械10は、工場等の床面に設置される基台としてのベッド12を備える。ベッド12の上面には、Z軸ガイドレールを介してコラム16が配置されている。コラム16は、ベッド12に対して、Z軸方向(図1において左右方向)に移動する。移動装置23は、ワーク1に対して工具22をZ軸方向に相対移動させるZ軸移動装置を含む。Z軸移動装置は、コラム16を移動する駆動モータを含む。
コラム16のワーク1に対向する前面には、X軸ガイドレールを介してサドル17が配置されている。サドル17は、コラム16に対して移動する。サドル17は、X軸方向(図1の紙面に垂直方向)に移動する。移動装置23は、ワーク1に対して工具22をX軸方向に相対移動させるX軸移動装置を含む。X軸移動装置は、サドル17を移動させる駆動モータを含む。
サドル17のワーク1に対向する前面には、Y軸ガイドレールを介して主軸ヘッド18が配置されている。主軸ヘッド18は、サドル17に対して移動する。主軸ヘッド18は、Y軸方向(図1において上下方向)に移動する。移動装置23は、ワーク1に対して工具22をY軸方向に相対移動させるY軸移動装置を含む。Y軸移動装置は、主軸ヘッド18を移動させる駆動モータを含む。主軸ヘッド18は、工具22を支持する主軸を含む。本実施の形態の工作機械10では、主軸および工具22は、水平方向に延びている。主軸ヘッド18は、工具22を中心軸の周りに回転させる主軸モータを含む。
本実施の形態の工作機械10は、コラム16、サドル17、および主軸ヘッド18が送り軸に沿って移動することにより、ワーク1に対して工具22を相対的に移動させることができる。なお、工作機械が有する送り軸としては、この形態に限られず、工具とワークとを相対的に移動させる任意の送り軸を設定することができる。たとえば、送り軸は、回転送り軸を含んでいても構わない。
工作機械10は、ベッド12に支持されたテーブル14を含む。本実施の形態のテーブル14は、移動せずにベッド12に固定されている。テーブル14の上面には、ロボット50に取り付けられた把持装置61を固定する固定装置31が配置されている。固定装置31は、テーブル14を介してベッド12に支持されている。固定装置31は、把持装置61を固定したり解放したりするように形成されている。テーブル14としては、この形態に限られず、予め定められた送り軸の方向に移動可能に形成されていても構わない。
ロボット50は、工作機械10に対してワーク1を搬入したり、ワーク1を搬出したりする。第1の加工システム8では、ロボット50は、工作機械10の外側に配置されている。本実施の形態のロボット50は、複数の関節部57を有する多関節ロボットである。ロボット50は、関節部57および旋回部53を駆動することにより、位置および姿勢が変化する。
本実施の形態のロボット50は、6軸のロボットである。ロボット50は、架台55に固定された基台54と、基台54に対して回転する旋回部53とを含む。旋回部53は、鉛直方向に延びる軸線の周りに回転可能に形成されている。ロボット50は、旋回部53に支持された複数のアーム51と、アーム51を所望の方向に移動する関節部57とを含む。ロボット50は、上部のアーム51に回転可能に支持された手首部52を含む。
ロボット50は、位置および姿勢を変更するための駆動装置56を含む。駆動装置56は、関節部57に配置された駆動モータを含む。また、駆動装置56は、旋回部53および手首部52を回転させる駆動モータを含む。
加工システム8は、ロボット50に取り付けられた把持装置61を備える。把持装置61は、ロボット50の手首部52に固定されている。ロボット50は、把持装置61を支持している。把持装置61は、ワーク1を把持したり解放したりする機能を有する。本実施の形態の把持装置61は、工具22にてワーク1を切削することができるように、強くワーク1を把持する。把持装置61は、油圧シリンダ(図示せず)を内蔵し、外部から油圧を供給することにより駆動される。
本実施の形態の加工システムは、工作機械10、ロボット50、および把持装置61を制御する制御装置90を備える。制御装置90は、工作機械10の移動装置23および固定装置31を制御する機械制御装置91を含む。機械制御装置91は、例えば、バスを介して互いに接続されたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等を備える演算処理装置にて構成されている。
機械制御装置91には、工作機械10を駆動する手順が設定された加工プログラム94が入力される。機械制御装置91は、移動装置23に送り軸の送り指令を送出する数値制御部92を含む。移動装置23は、送り指令に基づいてワーク1と工具22との相対移動を行う。数値制御部92は、加工プログラム94に基づいて、移動装置23を制御する。機械制御装置91は、固定装置31に駆動指令を送出する固定制御部93を含む。固定制御部93は、加工プログラム94に基づいて固定装置31を制御する。
制御装置90は、ロボット50および把持装置61を制御するロボット制御装置96を含む。ロボット制御装置96は、機械制御装置91と同様に、例えば、CPU、RAM、およびROM等を備える演算処理装置にて構成されている。
ロボット制御装置96には、ロボット50および把持装置61を駆動する手順が設定された動作プログラム99が入力される。ロボット制御装置96は、ロボット50の駆動装置56に動作指令を送出する動作制御部97を含む。動作制御部97は、動作プログラム99に基づいて、ロボット50の駆動装置56を制御する。ロボット制御装置96は、把持装置61に駆動指令を送出する把持制御部98を含む。把持制御部98は、動作プログラム99に基づいて、把持装置61を制御する。
機械制御装置91とロボット制御装置96とは互いに通信ができるように形成されている。本実施の形態における制御装置90は、機械制御装置91とロボット制御装置96とを含むが、この形態に限らない。制御装置は、機械制御装置とロボット制御装置とが一体的に形成されていても構わない。または、制御装置は、機械制御装置およびロボット制御装置を制御するPLC(Programmable Logic Controller)等のシーケンサを含んでいても構わない。
図1は、工作機械10がワーク1を加工する時の状態を示している。本実施の形態におけるロボット50は、工作機械10の外側に配置されている載置台から工作機械10の加工室11にワーク1を搬送する。ロボット50に取り付けられた把持装置61は、テーブル14に配置された固定装置31に固定される。工作機械10にてワーク1を加工する期間中には、固定装置31は把持装置61を固定した状態を維持する。更に、ロボット50は、把持装置61を支持した状態を維持する。
ワーク1を加工する期間中には、把持装置61およびロボット50のアーム51の一部は、工作機械10の加工室11の内部に配置される。本実施の形態におけるロボット50および把持装置61は、防水の機能を有する。
図3に、ロボットが把持装置を加工室に搬入しているときの部分断面図を示す。図4に、加工期間中における工作機械の正面図を示す。図3および図4を参照して、工作機械10は、加工室11の周りに配置されたスプラッシュガードとしての壁部を有する。工作機械10の前方には前壁部24が形成されている。前壁部24には、矢印101に示すように開いたり閉じたりする扉25が配置されている。前壁部24には、作業者が加工室11の内部を見ることが出来るように、窓部26が形成されている。
扉25には、切欠き部25aが形成されている。切欠き部25aは、ロボット50のアーム51の形状に対応するように形成されている。切欠き部25aの表面には、密閉部材27が配置されている。扉25が閉じることにより、ロボット50のアーム51に密閉部材27が密着する。密閉部材27の機能により、加工室11の内部が密閉される。
次に、固定装置および把持装置の例について詳しく説明する。図5に、本実施の形態における第1の把持装置および第1の固定装置の拡大側面図を示す。図6に、本実施の形態における第1の把持装置および第1の固定装置の拡大平面図を示す。図5および図6は、把持装置61が固定装置31に固定される前の状態を示している。図5および図6を参照して、把持装置61は、ロボット50の手首部52に連結されている。手首部52は、軸線121の周りに回転するように形成されている。手首部52が駆動されることにより、把持装置61の向きが変化する。
把持装置61は、基部62と、基部62に支持された支持部63,64とを含む。上下に配置された一対の支持部63,64は、基部62に内蔵された油圧シリンダ(図示せず)によって、互いの間隔を閉じたり開いたりできる。把持装置61は、ワーク1に接触する複数のピン66を含む。複数のピン66は、矢印102に示すように、支持部64から飛び出したり支持部64の内部に移動したりする。複数のピン66は、ばねにより突出する方向に付勢されている。ピン66は、一対の支持部63,64が閉じてワーク1を把持する時に、ワーク1に接触する。それぞれのピン66は、ワーク1の形状に合わせて支持部64から突出する長さが定まる。把持装置61は、複数のピン66がワーク1に接触した状態でピン66を固定することにより、ワーク1を把持することができる。ピン66を固定する固定機構は、基部62および支持部63,64の内部に配置されている。
把持装置61は、ワーク1の形状に対応して複数のピン66の位置が定まる。把持装置61は、様々な形状のワークを把持することができる。複数の種類のワークを把持できる把持装置は、ユニバーサルハンドとも称される。また、把持装置61は、油圧力と複数のピン66にてワーク1を把持するために、切削する期間中にワークが移動しないような十分な把持力を有する。把持装置61は、強い力にてワーク1を把持することができる。把持装置61のアクチュエータは、油圧シリンダに限られず、空気圧シリンダまたは電動モータ等でも構わない。
把持装置61は、固定装置31に係合する係合部67を有する。係合部67は、基部62に固定されている。係合部67は、固定装置31の棒状部32の先端が挿入する穴部68を有する。穴部68は、固定装置31の棒状部32の位置に対応して形成されている。また、穴部68は、棒状部32の先端に嵌合する形状を有する。
固定装置31は、複数の棒状部32を有する。本実施の形態においては、4本の棒状部32が形成されている。4本の棒状部32は、平面視した時に正方形の角部に配置されるように形成されている。
図7に、第1の把持装置が第1の固定装置に固定された時の拡大側面図を示す。図8に、第1の把持装置が第1の固定装置に固定された時の拡大平面図を示す。図9に、図7におけるA−A線で切断したときの断面図を示す。図7から図9を参照して、ロボット50が位置および姿勢を変更することにより、固定装置31の棒状部32の先端は、係合部67に形成された穴部68に嵌合する。棒状部32の先端および係合部67の穴部68は、テーパ形状を有している。
図10に、固定装置の棒状部と把持装置の係合部とが係合する部分の拡大断面図を示す。係合部67は、穴部68の中央部から穴部68の内部に突出するように固定されたプルボルト69を含む。固定装置31の棒状部32の先端には、プルボルト69を引き込むためのスライド部材33が配置されている。スライド部材33は、矢印103に示すように棒状部32の内部を移動できるように形成されている。スライド部材33は、いわゆるボールコレットである。
本実施の形態の固定装置31は、油圧により把持装置61を固定する。棒状部32の内部には、油室34,36が形成されている。棒状部32の内部には、油室34に制御油を供給する供給路35および油室36に制御油を供給する供給路37が形成されている。固定装置31は、油室34または油室36に制御油を供給する油供給装置を有する。
固定装置31が把持装置61を固定する場合に、油供給装置は、矢印106に示す様に、油室34に制御油を供給する。スライド部材33に係合する留め部材38は、プルボルト69を引っ張る。プルボルト69が引っ張られることにより、係合部67は棒状部32に強く固定される。係合部67の固定を解除する場合には、油供給装置は、矢印107に示す様に、油室36に制御油を供給する。スライド部材33は、係合部67に向かって移動する。留め部材38が窪み部39に配置されることにより、プルボルト69は、スライド部材33から抜くことが可能になる。そして、係合部67の固定が解除される。ロボット50は、把持装置61を移動することができる。
図10に示す固定機構は、固定装置31のそれぞれの棒状部32の先端部に配置されている。このため固定装置31は、4箇所において把持装置61を固定することができる。なお、固定機構としては、この形態に限られず、把持装置の係合部を固定装置に固定できる任意の機構を採用することができる。
棒状部32の内部には、棒状部32の上面に圧縮された空気を供給するための空気供給路41が形成されている。固定装置31は、矢印108に示す様に、空気供給路41に圧縮された空気を供給する空気供給装置を有する。係合部67が棒状部32に固定される時に、係合部67と棒状部32との間に異物が挟まる虞がある。空気供給装置は、係合部67が棒状部32に接近した状態で空気を供給することができる。この制御により、穴部68の内面または棒状部32の外面に存在する異物を排除することができる。
次に、ワーク1を加工するときの制御について説明する。図2、図3、図5、および図6を参照して、加工前のワーク1は、例えば、ロボット50の側方に配置された載置台(図示せず)に配置されている。ロボット制御装置96が把持装置61を駆動することにより、把持装置61は加工前のワーク1を把持する。ロボット制御装置96がロボット50を駆動することにより、矢印105に示す様に、把持装置61は加工室11の内部に搬送される。ワーク1は、把持装置61と共に搬送される。
図1、図2、図7、および図8を参照して、ロボット50の動作により、把持装置61は、固定装置31に連結される。機械制御装置91は、固定装置31を駆動して把持装置61を固定する。ワーク1は、把持装置61および固定装置31を介してテーブル14に固定される。固定装置31は、ワーク1を固定する主治具として機能する。把持装置61は、ワーク1を固定する補助治具として機能する。機械制御装置91は、前壁部24に配置された扉25を閉じる。
次に、機械制御装置91は、ワーク1を加工する。機械制御装置91は、移動装置23を駆動する。工具22が、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に移動することにより、ワーク1を任意の形状に加工することができる。工作機械10にてワーク1を加工する期間中には、ロボット制御装置96は、ロボット50が把持装置61を支持した状態を維持する。ロボット制御装置96は、ロボット50の位置および姿勢を変化させずに維持する。更に、機械制御装置91は、把持装置61を固定した状態を維持するように固定装置31を制御する。本実施の形態の把持装置61および固定装置31は、工具22をワーク1に押し当てて切削しても、ワーク1が動かないような剛性を有する。また、把持装置61は、ワーク1を切削している期間中にワーク1の位置がずれないように、強くワーク1を把持することができる。このために、本実施の形態の工作機械10は、高い精度で切削を行うことができる。
ワーク1の加工が完了すると、機械制御装置91は、固定装置31を駆動して把持装置61の固定を解除する。機械制御装置91は、扉25を開く。この後に、ロボット制御装置96は、ロボット50の位置および姿勢を変更することにより、把持装置61を加工室11から取り出すことができる。ワーク1は、把持装置61と共に工作機械10の外側に搬出される。ロボット制御装置96は、ロボット50を制御して、予め定められた位置に加工後のワーク1を搬送する。ロボット制御装置96は、把持装置61を制御して、ワーク1の把持を解除する。この後に、ロボット50は、次の加工前のワーク1を把持して工作機械10に搬送することができる。
図11に、比較例の工作機械およびロボットを備える従来の加工システムの側面図を示す。比較例の加工システムにおいては、ロボット50の手首部52にハンド80が配置されている。ハンド80は、2本の指部81を含む。比較例の加工システムの工作機械は、テーブル14に固定された回転テーブル82を含む。回転テーブル82は、軸線122の周りに回転するように形成されている。すなわち、回転テーブル82は、B軸の方向に回転するように形成されている。
回転テーブル82には、ワーク1を固定する取付け部材83が固定されている。取付け部材83は、矢印104に示すように移動するクランパー84を含む。クランパー84は、油圧により移動するように形成されている。また、取付け部材83は、ワーク1の位置を定めるためのエッジロケータ85を含む。
比較例の加工システムにおいては、ロボット50は、工作機械の側方からワーク1を搬入する。ロボット50は、エッジロケータ85を用いて、取付け部材83の予め定められた位置にワーク1を配置する。この後に、クランパー84が閉じることにより、ワーク1が取付け部材83に固定される。ロボット50は、ワーク1を解放した後に工作機械の外側に退避する。
次に、工作機械制御装置は、回転テーブル82を180°回すことにより、ワーク1が工具22に対向する。すなわち、取付け部材83が回転する。この状態で、ワーク1と工具22との相対位置を変更しながらワーク1を加工することができる。ワーク1の加工が完了すると、ワーク1がロボット50の配置されている側に向くように回転テーブル82が180°回転する。
次に、ロボット50が加工室の内部に進入する。そして、ハンド80がワーク1を把持する。取付け部材83は、クランパー84が互いに離れる向きに移動することにより、ワーク1の固定を解除する。この後に、ロボット50は、ワーク1を工作機械の外側の予め定められた位置に搬出する。
比較例の加工システムにおいては、ワーク1を搬入するときに、ロボット50が加工室に進入したり退避したりする時間が必要である。また、ワーク1を加工室から搬出する時に、ロボット50が加工室に進入したり退避したりする必要がある。さらに、ハンド80と取付け部材83との間でのワーク1の授受、クランパー84の開閉、および回転テーブル82によるワーク1の回転などの動作が必要となる。このために、実際に加工を行っている時間以外にも、長い時間が必要である。
図1を参照して、これに対して、本実施の形態における加工システム8では、把持装置61がワーク1を把持した状態を維持して加工が行われる。このため、加工前のワーク1を加工室11の内部に配置した後に、ロボット50が加工室11から退避する時間が不要である。また、ワーク1の加工が完了した時にロボット50が加工室11に進入する時間が不要である。さらに、ワーク1の授受、クランパーの開閉、および回転テーブルによるワーク1の向きの変更等の時間が不要である。このために、加工システム8は、実際に工具22がワーク1を加工している時間以外の時間を短縮することができる。すなわち、加工システム8は、短時間で複数のワーク1の加工を行うことができる。この結果、加工システムの作業効率が向上する。
図1および図11を参照して、比較例の加工システムにおいては、取付け部材83を回転させる回転テーブル82が必要である。また、回転テーブル82に配置され、ワーク1を強く固定するための取付け部材83が必要である。これに対して、本実施の形態における加工システム8では、回転テーブルが不要であり、簡易な構成にて加工システムを構築することができる。また、比較例の加工システムでは、取付け部材83および取付け部材83を駆動する為の油圧装置などが必要であるが、本実施の形態の加工システム8においては、これらの装置が不要である。比較例の加工システムにおいては、ワーク1を把持するために2つの装置が必要である。すなわち、比較例の加工システムでは、クランパー84を含む取付け部材83、および指部81を含むハンド80が必要である。これに対して、本実施の形態における加工システム8では、ワーク1を把持する装置は、1個の把持装置61である。このように、本実施の形態の加工システムは、構成を簡易にすることができる。
本実施の形態の工作機械10は、工具22が水平方向に延びる横形の工作機械である。ロボット50は、固定装置31に対して工具22が配置されている側と反対側に配置されている。比較例の加工システムでは、前述の通りに回転テーブルが必要になる。しかしながら、本実施の形態の工作機械では回転テーブルが不要であるために、本発明の効果が顕著になる。なお、工作機械は、横形に限られない。本発明は、工具が鉛直方向に延びる立形の工作機械にも適用することができる。この場合においても、加工前のワークをテーブルに配置した後にロボットが加工室から退避する時間を削減できる。また、加工後のワークを把持するためにロボットが加工室に進入する時間を削減することができる。この結果、加工システムの作業効率が向上する。
ところで、比較例の加工システムにおいては、形状が異なるワークを加工する場合には、取付け部材83のクランパー84の形状を変更する必要がある。これに対して、本実施の形態の把持装置61は、様々な形状のワークを把持することができるユニバーサルハンドを採用している。このために、ワークの種類を変更した場合に把持装置を取り換える必要が無い。複数の種類のワークを同一の工作機械にて加工する場合に、把持装置を取り換える時間を排除することができる。このために、加工システムの作業時間を短縮することができる。また、ワークの種類に合わせて複数の種類の把持装置を準備する必要が無く、加工システムの構成を簡易にすることができる。
次に、本実施の形態における加工システム8は、把持装置61を固定装置31に固定する時の把持装置61の向きを変更することができる。すなわち、加工システム8は、工具22に対するワーク1の向きを変更することができる。
図12に、本実施の形態において、第1の把持装置を他の態様で第1の固定装置に固定したときの拡大側面図を示す。図13に、第1の把持装置を他の態様で第1の固定装置に固定したときの拡大平面図を示す。図12および図13を参照して、手首部52を軸線121の周りに回転することにより、固定装置31に対する把持装置61の向きを変更することができる。ここでの例では、矢印109に示す様に、図8に示す状態から+90°の回転角にて手首部52を回転している。この回転角の状態で、係合部67に形成された穴部68に、固定装置31の棒状部32を嵌合させることができる。この結果、工具22に対するワーク1の向きを変更することができて、ワーク1の側方の部分を加工することができる。
図14に、本実施の形態において、第1の把持装置を更に他の形態で第1の固定装置に固定したときの平面図を示す。図14は、矢印110に示す様に、図8に示す状態から手首部52を−90°回転させている。この手首部52の回転角にて、固定装置31は把持装置61を固定している。図14に示す状態では、図13に示す状態にて加工されるワーク1の部分と反対側の部分を加工することができる。
このように、本実施の形態の加工システムの固定装置は、把持装置の係合部を複数の向きにて固定するように形成されている。ロボット50は、工具22に対する把持装置61に把持されたワーク1の向きを変更可能な多関節ロボットである。この構成を採用することにより、ワーク1を複数の向きに配置することができて、ワーク1を加工できる範囲を広くすることができる。棒状部を有する固定装置では、棒状部の位置に応じてワークの向きを変更することができる。本実施の形態における第1の固定装置31は、4本の棒状部32が形成されているが、この形態に限られない。固定装置は、任意の本数の棒状部を含むことができる。そして、複数の棒状部のうち、少なくとも一部の棒状部に、把持装置を固定する固定機構を配置することができる。
次に、本実施の形態における第2の把持装置および第2の固定装置について説明する。図15に、本実施の形態における第2の把持装置および第2の固定装置の拡大側面図を示す。図16に、本実施の形態における第2の把持装置および第2の固定装置の拡大平面図を示す。図15および図16は、第2の把持装置を第2の固定装置に固定する前の状態を示している。
第2の固定装置75は、第1の固定装置と同様に、工作機械10のテーブル14に固定されている。第2の把持装置70は、第1の把持装置と同様にロボット50の手首部52に取り付けられている。また、第2の把持装置70は、第1の把持装置と同様に、複数のピン66により、ワーク1を把持する。第2の把持装置70は、基部62に固定された係合部71を有する。係合部71の下面からは、プルボルト69が突出している。固定装置75は、基部76を含む。
図17に、第2の把持装置を第2の固定装置に固定した後の拡大側面図を示す。図18に、第2の把持装置を第2の固定装置に固定した後の拡大平面図を示す。図19に、図17におけるB−B線に沿って切断したときの断面図を示す。図17から図19は、把持装置70が固定装置75に固定された状態を示している。図17から図19を参照して、係合部71が固定装置75の基部76に係合することにより、把持装置70が固定装置75に固定される。また、プルボルト69が固定装置75に引っ張られることにより、把持装置70が固定装置75に固定される。
図20に、第2の把持装置を第2の固定装置に固定する部分の拡大断面図を示す。固定装置75の基部76の内部には、スライド部材33が配置されている。固定装置75においては、スライド部材33が矢印103に示す方向に移動することにより、プルボルト69を引っ張ったりプルボルト69を解除したりすることができる。油供給装置が油室34に制御油を供給することにより、スライド部材33を係合部71から離れる向きに移動することができる。把持装置70の係合部71を固定装置75に固定することができる。油供給装置が油室36に制御油を供給することにより、プルボルト69の固定を解除することができる。すなわち、固定装置75による把持装置70の固定を解除することができる。
第2の把持装置70において、係合部71のプルボルト69の周りには、環状部材72が配置されている。また、プルボルト69が挿入する基部76の穴部の周りには、環状部材73が配置されている。環状部材72,73は、カービックカップリング(登録商標)を構成する。
図21に、把持装置の係合部に配置されている環状部材の概略平面図を示す。環状部材72は円環状に形成されている。環状部材72の環状部材73に対向する面には、複数の突出部72aが形成されている。突出部72aは、互いに一定の間隔を開けて配置されている。突出部72aの平面形状は、曲線を含んでいても構わない。また、環状部材73も、円環状に形成されている。環状部材73の環状部材72に対向する表面には、複数の突出部が形成されている。環状部材72の突出部72aおよび環状部材73の突出部は、環状部材同士が互いに嵌合するように形成されている。環状部材72の突出部72aが、環状部材73の突出部同士の間の凹み部に嵌合する。
把持装置70が固定装置75に固定される時には、環状部材72が環状部材73に嵌合する。環状部材72が環状部材73に嵌合することにより、固定装置75に対する把持装置70の位置を定めることができる。また、固定装置75に対する把持装置70の軸線123の周りの回転角を設定することができる。また、プルボルト69の心出しを行うことができる。第2の把持装置70および第2の固定装置75を備える加工システムでは、環状部材72,73の突出部の間隔に応じて回転角を変えることができる。例えば、図21においては、互いに隣り合う突出部72aの中心角θが5°である。このために、固定装置75に対する把持装置70の回転角を、5°ごとに設定することができる。環状部材72と環状部材73とが係合する動作または離反する動作において、圧縮された空気を空気供給路41に供給することにより、環状部材72と環状部材73との間に存在する異物を排除することができる。
図22に、第2の把持装置を第2の固定装置に他の態様にて固定したときの拡大側面図を示す。図23に、第2の把持装置を第2の固定装置に他の態様にて固定したときの拡大平面図を示す。第2の把持装置70および第2の固定装置75を備える加工システムでは、第1の把持装置および第1の固定装置を備える加工システムと比較して、細かな角度にて把持装置70の向きを調整することができる。図22および図23に示す例では、矢印111に示す様に、図18に示す状態から手首部52を−45°回転させている。第2の把持装置70および第2の固定装置75を備える加工システムでは、ワーク1を様々な向きに配置することができるために、ワーク1を加工できる範囲が広くなる。その他の構成、作用および効果は、第1の把持装置および第1の固定装置を備える加工システムと同様である。
なお、環状部材の突出部(歯)の個数は、任意に設定することができる。例えば、環状部材は、突出部の個数を減らして10°ごとに回転角を設定できるように形成しても構わない。または、環状部材は、突出部の個数を増やして1°ごとに回転角を設定できるように形成しても構わない。
環状部材72と環状部材73との嵌合は、カービックカップリングに限られない。例えば、歯付きクラッチまたは噛合いクラッチ等の他の形態のカップリングを用いても構わない。また、加工プログラム94にB軸の割出し指令を記載すると、機械制御装置91の数値制御部92が割出し指令を読み込んで、ロボット制御装置96の動作制御部97にその指令を送信する。動作制御部97は、その指令に基づいてロボット50の手首部52を回転させる。手首部52は、割出し指令に基づく回転角に設定される。第1の把持装置および第2の把持装置において、ロボット50の手首部52が回転することにより、工具22に対して把持装置に固定されたワーク1の向きを変えることができる。
前述の第1の把持装置および第2の把持装置では、複数のピンが動くことにより、任意の形状のワークを把持するユニバーサルハンドが採用されている。把持装置は、この形態に限られず、切削される時にワークに加わる力よりも強い力にてワークを固定できる任意の装置を採用することができる。ユニバーサルハンドとしては、ワークの形状に合わせてワークに接触する部分の形状が変化する把持装置を採用することができる。例えば、変形可能な袋の内部に可動性の物体が配置されたユニバーサルハンドを採用することができる。このユニバーサルハンドでは、袋をワークに接触させると、ワークの形状に応じて袋の形状が変形する。この後に、袋を減圧することにより可動性の物体が固定される。このために、ユニバーサルハンドは、ワークを強く固定することができる。
把持装置は、ユニバーサルハンドに限られず、ワークに応じて専用の装置を用いても構わない。図24に、本実施の形態における第3の把持装置の側面図を示す。第3の把持装置74は、支持部63が矢印112に示すように移動するように形成されている。把持装置74は、支持部63を駆動する油圧装置を含む。互いに対向する一対の支持部63は、接近したり離れたりする。支持部63は、ワーク1の形状に合わせて接触部63aを移動する。支持部63は、油圧にてワーク1を固定する。このように、把持装置は、2つの方向からワーク1を挟むことによりワーク1を固定しても構わない。この他に、複数の方向からワークを挟む構造または複数の方向において内側から外側に突っ張る構造等を有する種々の把持装置を採用することができる。専用の把持装置を用いる場合には、ワークが変わるごとにワークに適合した把持装置に変更する必要がある。
前述の加工システムにおいては、ロボットが工作機械の側方に固定されているが、この形態に限られず、ロボットは、把持装置を固定装置に配置することができる任意の位置に配置することができる。
第1の固定装置と第1の把持装置の係合部との係合、および第2の固定装置と第2の把持装置の係合部との係合に用いられているプルボルトおよびボールコレットは、把持装置にプルボルトが固定され、固定装置にボールコレットが配置されているが、この形態に限られない。固定装置にプルボルトが固定され、把持装置にボールコレットが配置されていても構わない。
図25は、本実施の形態における第2の加工システムの概略平面図である。図25に示す様に、ロボット50は、加工室11の側方の部分に配置することができる。この場合に、ロボット50は、工作機械10の壁部の内部に配置することができる。図26に、本実施の形態における第3の加工システムの概略側面図を示す。第3の加工システムでは、ロボット50は、工作機械10の天井部に固定されていている。このように、ロボット50は、工作機械の任意の位置に配置することができる。
図27は、本実施の形態における第4の加工システムの概略平面図である。第4の加工システムは、ロボット50を移動する搬送コンベヤ87を備える。ロボット50は、矢印113に示す様に、搬送コンベヤ87により移動可能に形成されている。ロボット50は、予め定められた位置まで搬送された状態で、ワークの搬入および搬出を行うことができる。このように、ロボットが移動可能に形成されていても構わない。
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される実施の形態の変更が含まれている。