JP6534034B2 - 硬化性組成物、並びにそれを用いた硬化物の製造方法及びその再溶解方法 - Google Patents
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L[Si(ORa)3]n ・・・ (1)
(上記一般式(1)中、Lはn価の有機基であり、複数のRaはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、nは2以上の整数である。)
N+R1 4 F− ・・・ (5)
P+R1 4 F− ・・・ (6)
(上記一般式(5)及び(6)中、各R1は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基である。)
L[Si(ORa)3]n ・・・ (1)
(上記一般式(1)中、Lはn価の有機基であり、複数のRaはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基である。)
N+R1 4 F− ・・・ (5)
P+R1 4 F− ・・・ (6)
(上記一般式(5)及び(6)中、各R1は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基である。)
RX−Si(ORb)3 ・・・ (8)
(上記一般式(8)中、RXは、アリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基若しくはイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R1、−CH2C(O)R1、−C(O)OR1、−CH2C(O)OR1、−OC(O)R1、−CH2OC(O)R1、−P(O)(OR1)2、−CH2P(O)(OR1)2、−S(O)R1、−CH2S(O)R1、−S(O)2R1、−CH2S(O)2R1、−S(O)2OR1、−CH2S(O)2OR1、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH2)mR1、−(CH2)mOR1、−(CH2)mNHR1、−(CH2)mNR1 2、−(CH2)mOC(O)R1、−(CH2)mNHC(O)R1、−OSi(CH3)2R1、−OSi(CH3)R1 2又は−OSiR1 3(各R1はそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)であり、複数のRbは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基である。)
まずは、本発明の硬化性組成物の一実施形態について説明する。本発明の硬化性組成物は、少なくとも1つのSi原子に置換基Rを備え多面体構造を有するポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備えたポリマー、フッ化物イオンを供給可能な塩、及び所定の構造を備えた架橋剤、又はこれらの反応物、並びに溶媒を含んでなり、上記Rが、アリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基又はイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R1、−CH2C(O)R1、−C(O)OR1、−CH2C(O)OR1、−OC(O)R1、−CH2OC(O)R1、−P(O)(OR1)2、−CH2P(O)(OR1)2、−S(O)R1、−CH2S(O)R1、−S(O)2R1、−CH2S(O)2R1、−S(O)2OR1、−CH2S(O)2OR1、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH2)mR1、−(CH2)mOR1、−(CH2)mNHR1、−(CH2)mNR1 2、−(CH2)mOC(O)R1、−(CH2)mNHC(O)R1、−OSi(CH3)2R1、−OSi(CH3)R1 2及び−OSiR1 3(各R1はそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)からなる群より選択される。以下、硬化性組成物を構成する各成分について説明する。
本発明の硬化性組成物にて用いられるポリマーは、上記のように、少なくとも1つのSi原子に置換基Rを備え多面体構造を有するポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備える。ポリマーの主鎖としては、特に限定されず、ビニル系のモノマーを重合させたものや、ジオール化合物と多塩基酸とを脱水縮合させたものや、エポキシ基やオキセタニル基を触媒の存在下で開環重合させたもの等を例示することができる。なお、これらのポリマーは、ホモポリマーであっても共重合体であってもよく、共重合体である場合には、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。本発明の硬化性組成物で用いられるポリマーにおいて、発明の効果を発現するための鍵となる役割を示すのは、後述するように、ポリマーの側鎖に設けられたポリシルセスキオキサン骨格部分なので、ポリマーの主鎖がいかなる構造をとるものであっても発明の効果に対する影響は小さく、上記のように、主鎖はいずれのポリマーのものであってもよく特に限定されないことになる。そして、このようなポリマーの主鎖は、高分子化合物を合成するための公知の手法により容易に形成させることができる。
本発明の硬化性組成物にて用いられるフッ化物イオンを供給可能な塩は、上記ポリマーの側鎖に存在するポリシルセスキオキサン骨格にフッ化物イオンを内包させるためのフッ化物イオン源として組成物へ添加される。このフッ化物イオンがポリシルセスキオキサン骨格へ包含されることにより、複数のSi原子を備えた架橋剤により複数のポリシルセスキオキサン骨格間において架橋されることは既に述べた通りである。
P+R1 4 F− ・・・ (6)
(上記一般式(5)及び(6)において、各R1は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基である。)
本発明の硬化性組成物にて用いられる架橋剤は、上記ポリマーの側鎖に含まれるポリシルセスキオキサン骨格同士を架橋させるために用いられる成分であり、下記の一般式(1)で表される。既に述べたように、上記ポリシルセスキオキサン骨格に結合した置換基Rは、他のSi化合物における置換基と容易に置き換わることができ、平衡状態となる。このような平衡状態において、ポリシルセスキオキサン骨格に結合された置換基Rは、下記一般式(1)で表される架橋剤の結合基Lと置き換わることが可能である。そして、結合基Lは、2以上の整数であるn価の基であるので、さらに他のポリシルセスキオキサン骨格に結合された置換基Rと置き換わることが可能である。このような置き換えがなされた結果、複数のポリシルセスキオキサン骨格が架橋剤に含まれる結合基Lで架橋されることになる。なお、こうした置き換え反応は上記のように平衡反応であるので、溶液状態の硬化性組成物においては、ポリシルセスキオキサン骨格が結合基Lと結合したとしても、これが再び置換基Rに置き換わる反応も同時に生じるので、架橋による高分子量化は進行しない。このため、本発明の硬化性組成物は、溶液状態における保存安定性に優れたものとなる。その一方で、後にも説明するが、本発明の硬化性組成物を所望とする形状の型や面等に適用した後で溶媒を蒸発させると、ポリマーや架橋剤が濃縮されるのに伴って上記の平衡反応における平衡が架橋側に移動し、硬化性組成物が硬化物となる。
本発明の硬化性組成物で用いられる溶媒は、硬化性組成物における上記の各成分を溶解させる役割を担うものであると同時に、架橋及び解架橋に関する平衡反応における平衡の程度を制御する役割を担うものである。すなわち、本発明の硬化性組成物で用いられる溶媒は揮発性を有し、これが揮発するのに伴って硬化性組成物における上記ポリマーや架橋剤が濃縮され、平衡が架橋側に傾いて硬化性組成物の硬化を生じる。その一方で、硬化性組成物中に所定量の溶媒が含まれており、上記ポリマー及び架橋剤がある程度希釈された状態にあれば、平衡が架橋と解架橋との中間又は解架橋側に傾いて良好な保存安定性を示すことができる。
上記の各成分の添加量としては、各成分を溶解可能であり、かつ硬化性組成物の保管時に架橋と解架橋との平衡が架橋側に偏らないような希釈度を維持できるものであれば特に限定されないので、硬化性組成物やそれから得られる硬化物に求められる特性を考慮して適宜設定すればよい。なお、本発明の硬化性組成物が架橋剤により硬化される際は、ほぼ化学量論比で反応を生じるので、ポリマーに含まれるポリシルセスキオキサン骨格の当量数と、フッ化イオンの当量数と、架橋剤における結合部位の当量数(これは架橋剤におけるトリアルコキシシリル基の当量数に対応する。)とがそれぞれ等しくなる程度の添加量を設定することができる。
本発明の硬化性組成物は、既に説明した通り、ポリマーの側鎖に含まれるポリシルセスキオキサン骨格の置換基Rと架橋剤に含まれる結合基Lとの間の交換反応により、ポリマーの架橋が進み硬化物を与える。この交換反応は平衡反応であり、硬化性組成物中のポリマー及び架橋剤の濃度が低ければ平衡は架橋側と解架橋側との中間又は解架橋側に傾いており、硬化性組成物に含まれる溶媒が蒸発により失われるとこれに含まれるポリマー及び架橋剤の濃度が高くなり、平衡は架橋側に傾く。そして、このような平衡状態は、ポリシルセスキオキサン骨格にフッ化物イオンが包含された状態で成り立つものである。一方で、一旦、平衡が架橋側に傾いて硬化性組成物が硬化物になると、その硬化物は、もはや溶媒を加えただけでは解架橋されずに硬化状態を保持する。本発明の硬化性組成物は、このような性質に着目して設計されたものであり、保存時には溶液状態を保つので保存安定性に優れる一方で、それに含まれる溶媒の蒸発によって濃縮が起こると速やかに硬化する。
上記本発明の硬化性組成物の製造方法も本発明の一つである。次に、本発明の硬化性組成物の製造方法の一実施態様について説明する。本発明の硬化性組成物の製造方法は、少なくとも1つのSi原子に置換基Rを備え多面体構造を有するポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備えたポリマーを含む溶液を調製するポリマー溶液調製工程と、上記ポリマー溶液調製工程で得た溶液にフッ化物イオンを供給可能な塩を添加する塩添加工程と、上記塩添加工程を経た溶液に下記一般式(1)で表される架橋剤を添加する架橋剤添加工程と、を備え、上記Rが、アリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基又はイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R1、−CH2C(O)R1、−C(O)OR1、−CH2C(O)OR1、−OC(O)R1、−CH2OC(O)R1、−P(O)(OR1)2、−CH2P(O)(OR1)2、−S(O)R1、−CH2S(O)R1、−S(O)2R1、−CH2S(O)2R1、−S(O)2OR1、−CH2S(O)2OR1、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH2)mR1、−(CH2)mOR1、−(CH2)mNHR1、−(CH2)mNR1 2、−(CH2)mOC(O)R1、−(CH2)mNHC(O)R1、−OSi(CH3)2R1、−OSi(CH3)R1 2及び−OSiR1 3(各R1はそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)からなる群より選択される、硬化性組成物の製造方法である。以下、この製造方法における各工程について説明する。なお、本発明の硬化性組成物の製造方法は、上記で説明した硬化性組成物を製造する方法なので、使用される材料等において上記の硬化性組成物と共通する部分が多い。そこで、以下の説明では、こうした共通する部分の説明を場合により省略する。
(上記一般式(1)中、Lはn価の有機基であり、複数のRaはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基である。)
ポリマー溶液調製工程は、少なくとも1つのSi原子に置換基Rを備え多面体構造を有するポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備えたポリマー(単にポリマーとも呼ぶ。)を含む溶液を調製する工程である。溶液を調製するための溶媒、及びポリマーについては既に説明した通りなので、ここでの説明を省略する。
塩添加工程は、ポリマー溶液調製工程で得た溶液にフッ化物イオンを供給可能な塩を添加する工程である。ここで溶液に添加された塩から供給されるフッ化物イオンが、ポリマー側鎖に存在するポリシルセスキオキサン骨格の内部に包含されることや、その添加量については既に述べた通りである。
P+R1 4 F− ・・・ (6)
(上記一般式(5)及び(6)において、各R1は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基である。)
架橋剤添加工程は、塩添加工程を経た溶液に下記一般式(1)で表される架橋剤を添加する工程である。
上記本発明の硬化性組成物を硬化させることを特徴とする硬化物の製造方法も本発明の一つである。次に、本発明の硬化物の製造方法の一実施態様について説明する。本発明の硬化物の製造方法は、上記本発明の硬化性組成物を所望とする形状の型又は面に適用し、次いで当該硬化性組成物に含まれる溶媒を蒸発させることにより、この硬化性組成物に含まれるポリマーを架橋させて硬化させることを特徴とする。
上記本発明の硬化物の製造方法で得た硬化物を解架橋させることを特徴とする、硬化物の再溶解方法も本発明の一つである。次に、本発明の硬化物の再溶解方法の一実施態様について説明する。本発明の硬化物の再溶解方法は、上記本発明の硬化物の製造方法で得た硬化物に、溶媒及び所定の化合物を適用することによりこれを解架橋させることを特徴とする。
スターラーバー(撹拌子)を備えたシュレンク管に、ヘプタフェニル(3−メタクロリキシプロピル)POSS(T8型、5.42g、5.0mmol;POSSはPolyhedral Oligomeric SilSesquioxanesの略である。)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(0.018g、0.11mmol)及びテトラヒドロフラン(21mL;THF)を加えた。混合物を凍結脱気して、窒素下、60℃にて40時間撹拌した。液体窒素で冷却することにより反応を停止させ、溶液をメタノール中へ注いだ。白色の析出物を濾別してTHFに溶解させ、これをアセトン/メタノールの1/1(体積比)混合液で再沈殿させた。得られた再沈殿物を濾別して乾燥することにより、白色粉末状のポリマーAを3.72g(収率69%)得た。
1H−NMR(CDCl3、ppm):δ 7.85−7.46(m,14H),7.46−6.90(m,21H),3.64(br,2H),2.09−1.38(m,4H),0.86(br,3H),0.32(br,2H).
IR(KBr):3074(C−H,aromatic),2946(C−H,aliphatic),1737(C=O),1136cm−1(Si−O−Si).
サンプル管にポリマーA(0.054g、この中に0.05mmol当量のポリシルセスキオキサン骨格を含む。)及びテトラヒドロフラン(THF;5mL)を加えてポリマーAを溶解させた後、さらに、テトラブチルアンモニウムフロリド(TBAF)の1M THF溶液(0.05mL、0.05mmol)を加えた。この溶液へ1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン(10mL、0.025mmol)を加えた後、室温で24時間撹拌することで実施例1の硬化性組成物を得た。
TBAFのTHF溶液を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の手順にて比較例1の硬化性組成物を得た。
実施例1及び比較例1の硬化性組成物のそれぞれについて、得られた組成物の全量をガラス板の表面にあけ、室温で溶媒を蒸発させ乾燥させた。その結果、実施例1の硬化性組成物についてはフィルム状の硬化物が得られたが、比較例1の硬化性組成物についてはポリマーAに由来する柔らかいフィルムが得られたが硬化物は得られなかった。このことから、硬化物の形成にはフッ化物イオンの存在が不可欠であることが理解される。
実施例1の硬化性組成物から上記のようにして得た硬化物について、熱重量測定(TGA)による耐熱性評価を行った。耐熱性評価は、(a)ポリマーA単独のフィルムについて、(b)得られた硬化物のそのままについて、及び(c)得られた硬化物をクロロホルムで洗浄したものについてそれぞれ実施した。その結果を図2に示す。図2は、硬化物の熱重量測定(TGA)を行った結果を示し、(a)は、ポリマーA単独のフィルムについての結果であり、(b)は、未洗浄の硬化物についての結果であり、(c)は、クロロホルムで洗浄した硬化物についての結果である。なお、クロロホルムによる硬化物の洗浄は、硬化物をクロロホルム中で一晩洗浄し、その後濾別乾燥することで行った。
トリエトキシシリルベンゼンのTHF溶液(0.5mol/L、10mL)中に、実施例1の硬化性組成物から得られた硬化物を浸漬させ撹拌した。すると、撹拌に伴って硬化物が徐々に溶解するのが観察され、120分後には完全に硬化物が消滅した。一方、実施例1の硬化性組成物から得られた硬化物をTHF中に浸漬させ撹拌しても硬化物はそのままだった。このことから、本発明の硬化性組成物から得られた硬化物は、溶媒に浸漬させても平衡が解重合の方向へ移動することはないが、所定の化合物を含む溶液に浸漬させると平衡が解重合の方向へ移動し、溶解することが確認された。
ポリマーA単独、実施例1の硬化性組成物を上記硬化試験で硬化させた硬化物、及び比較用として下記化学式で表されるシラノール化合物のそれぞれについて、KBrタブレット法によるIR(赤外線)吸収スペクトル測定を行った。その結果を図3に示す。図3の(a)は、ポリマーA単独についてのスペクトルであり、(b)は、実施例1の硬化性組成物の硬化物についてのスペクトルであり、(c)は、下記化学式で表されるシラノール化合物についてのスペクトルである。なお、下記化学式で表される化合物は、Hybrid Plastics社から市販されているものを用いた。この化合物は、不完全なポリシルセスキオキサン骨格を有し、下記化学式に示すように、ポリシルセスキオキサンを構成する珪素原子の一つが欠損してかご形構造が開いた形状をしており、その欠損した箇所にてシラノール基を有するものである。
ポリマーAに含まれるポリシルセスキオキサン骨格が1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼンによって架橋される前後における変化について知見を得るべく、29SiについてのCP/MASによる固体NMRスペクトルを測定した。その結果を図4に示す。なお、CP/MASとは、固体NMRスペクトルを測定する手段の一つであり、CP(Cross Polarization;交差分極)とMAS(Magic Angle Spinning;マジック角回転)とを組み合わせたものである。図4の(a)は、ポリマーAの29Si固体NMRスペクトルであり、(b)は、ポリマーAを含む上記硬化性組成物を硬化させた後の29Si固体NMRスペクトルである。つまり、図4(b)は、ポリシルセスキオキサン骨格が架橋された後の状態を示すNMRスペクトルである。
Claims (10)
- 下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表すポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備えたポリマー、フッ化物イオンを供給可能な塩、及び下記一般式(1)で表される架橋剤、又はこれらの反応物、並びに溶媒を含んでなる硬化性組成物。
L[Si(ORa)3]n ・・・ (1)
(上記一般式(1)中、Lはn価の有機基であり、複数のRaはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、nは2以上の整数である。)
- 前記フッ化物イオンを供給可能な塩が、下記一般式(5)で表されるアンモニウム塩、下記一般式(6)で表されるホスホニウム塩、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム及びフッ化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載の硬化性組成物。
N+R1 4 F− ・・・ (5)
P+R1 4 F− ・・・ (6)
(上記一般式(5)及び(6)中、各R1は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基である。) - 下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表すポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備えたポリマーを含む溶液を調製するポリマー溶液調製工程と、
前記ポリマー溶液調製工程で得た溶液にフッ化物イオンを供給可能な塩を添加する塩添加工程と、
前記塩添加工程を経た溶液に下記一般式(1)で表される架橋剤を添加する架橋剤添加工程と、を備える、硬化性組成物の製造方法。
L[Si(ORa)3]n ・・・ (1)
(上記一般式(1)中、Lはn価の有機基であり、複数のRaはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基である。)
- 前記フッ化物イオンを供給可能な塩が、下記一般式(5)で表されるアンモニウム塩、下記一般式(6)で表されるホスホニウム塩、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム及びフッ化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項5記載の硬化性組成物の製造方法。
N+R1 4 F− ・・・ (5)
P+R1 4 F− ・・・ (6)
(上記一般式(5)及び(6)中、各R1は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基である。) - 請求項1〜4のいずれか1項記載の硬化性組成物を所望とする形状の型又は面に適用し、次いで当該硬化性組成物に含まれる溶媒を蒸発させることにより、この硬化性組成物に含まれるポリマーを架橋させて硬化させることを特徴とする硬化物の製造方法。
- 請求項9記載の製造方法で得た硬化物に、溶媒及び下記一般式(8)で表される化合物を適用することによりこれを解架橋させることを特徴とする、硬化物の再溶解方法。
RX−Si(ORb)3 ・・・ (8)
(上記一般式(8)中、RXは、アリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基若しくはイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R1、−CH2C(O)R1、−C(O)OR1、−CH2C(O)OR1、−OC(O)R1、−CH2OC(O)R1、−P(O)(OR1)2、−CH2P(O)(OR1)2、−S(O)R1、−CH2S(O)R1、−S(O)2R1、−CH2S(O)2R1、−S(O)2OR1、−CH2S(O)2OR1、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH2)mR1、−(CH2)mOR1、−(CH2)mNHR1、−(CH2)mNR1 2、−(CH2)mOC(O)R1、−(CH2)mNHC(O)R1、−OSi(CH3)2R1、−OSi(CH3)R1 2又は−OSiR1 3(各R1はそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)であり、複数のRbは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基である。)
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