JP6534034B2 - 硬化性組成物、並びにそれを用いた硬化物の製造方法及びその再溶解方法 - Google Patents

硬化性組成物、並びにそれを用いた硬化物の製造方法及びその再溶解方法 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性組成物、並びにそれを用いた硬化物の製造方法及びその再溶解方法に関する。
周知のように、ポリマーの前駆体となるオリゴマーやモノマーを含有する硬化性組成物を所望の形状に加工し、その後これに含まれる塩基や酸触媒によって、又は光照射によってラジカル等の化学種をこれに発生させること等によって、上記のオリゴマーやモノマーを重合させ硬化物を得ることが行われている。このような技術は幅広い分野で応用されており、それらのごく一部を例示するならば、歯科治療における欠損箇所の充填剤、半導体製造におけるパターニングのためのフォトレジスト、集積回路の封止や炭素繊維を用いた構造体の製造等に用いられるエポキシ系硬化性組成物等を挙げることができる。
こうした用途に用いられるオリゴマーやモノマー等も各種のものが提案されている。このようなものの一例として、アクリレート基等の不飽和結合を備えラジカル重合をすることのできるビニル系モノマー、酸触媒や塩基触媒の存在下で開環重合することのできるエポキシ基やオキセタニル基を含む化合物であるエポキシ(又はオキセタン)樹脂、加熱により脱水縮合をすることのできるメラミン化合物等を挙げることができる。これらは主鎖に炭素原子を有する有機系のポリマーからなる硬化物を与えるが、他にも、加水分解により重合可能なアルコキシシラン等の珪素化合物をゾル−ゲル反応させ、ポリシロキサンからなる硬化物を形成させるSOG(Spin On Glass)や水ガラス等と呼ばれるものも知られている。ポリシロキサンは、ガラス(シリカ)と同様にSi−O結合を有する高分子体であり、半導体における絶縁膜や、各種のコーティング材料等として用いられる。
一方、これとは逆に、ポリマーを分解して低分子量化させることで所望の機能を得ることも各種行われている。例えば、特許文献1には、光照射により低分子量化する高分子と耐熱性材料とからなる絶縁材用組成物が提案されており、このような組成物を半導体材料の表面に塗布してから光照射すると、低分子量化した高分子が抜けて空隙を多く含んだ耐熱性材料(これは樹脂であり、同時に絶縁材料でもある。)のみからなる層が半導体材料の表面に残留し、この層は、空隙を含む分だけ誘電率が低下するので、低誘電率絶縁層として有効であるとされている。
また、特許文献2には、活性光線の照射により酸を発生させる化合物、レーザー光を熱に変換する化合物、及び酸性条件下で加熱することで分解する高分子化合物を含むレーザー感応層を印刷版の表面に形成させ、このレーザー感応層にレーザー光線で画像を描画することで、描画された箇所の高分子化合物を分解させて印刷画像を形成させることのできる湿し水不要平版印刷原版が提案されている。
また、特許文献3には、酸により主鎖が開裂する高分子化合物と、放射線が照射されると酸を発生させる酸発生剤とを含む微細パターン形成用のレジストが提案されている。このようなレジストを処理対象表面に塗布しておき、次いで、所定の放射線を照射することでレジスト中の高分子化合物を分解して可溶化させた上で、可溶化された成分を除去する現像作業を行うことにより、処理対象表面の表面に所望のレジストパターンを形成させることが可能である。
さらに、上記のポリシロキサンについても、既に構築されているポリマーのネットワークを塩基触媒や酸触媒の存在下で切断及び再架橋をさせることが可能であり、上記のようにポリマーを低分子量化させて所望の機能を得ることもある程度は可能と考えられる。
ところで近年、Si−O結合を有し、かご形の構造であるポリシルセスキオキサン骨格を有する化合物についての研究が進められている(例えば、非特許文献1及び2等を参照)。この化合物は、直径約1〜3nmの多面体構造を備え、POSS(商品名;Polyhedral Oligomeric SilSesquioxansの略)とも呼ばれている。理解を助けるためにSi−O−Siが直線であると仮定すると、この化合物には、Si原子が立方体における頂点の位置に配置されたT構造、Si原子が正五角柱における頂点の位置に配置されたT10構造、及びSi原子が正六角柱における頂点の位置に配置されたT12構造が知られており、これらの中ではT12構造のものが最も大きなサイズの分子となる。この化合物は、(RSiO1.5という一般式で表され、Si原子に対するO原子や有機基Rの含量がシリカ(SiOとシリコーン(RSiO)との中間になることから、有機物に親和性を有する無機物というユニークなナノ材料としても知られている。また、非特許文献1及び2等に記載されるように、この化合物は、上記一般式におけるRがフェニル基等といった特定の置換基である場合に、かご形構造の内部にフッ化物イオンを包含可能であることも知られている。
特開2001−35256号公報 特開平8−51529号公報 特開平6−65880号公報
Alan R.Bassindale,Manuel Pourny,Peter G.Taylor,Michael B.Hurshouse,and Mark E.Light,Angew.Chem.Int.Ed.2003,42,3488−3490 M.Ronchi,S.Sulaiman,N.R.Boston and R.M.Laine,Appl.Organometal.Chem.2010,24,551−557
本発明は、ポリマー成分の架橋により硬化が可能であるのと同時に、必要に応じて架橋されたポリマー成分を解架橋させ、これを架橋前と同様の状態に戻して硬化物を再溶解させることのできる硬化性組成物及びその製造方法、並びにそのような硬化性組成物を用いた硬化物の製造方法及びその再溶解方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、少なくとも1つのSi原子に置換基Rを備え多面体構造を有するポリシルセスキオキサン骨格(すなわち、上記のPOSS(商品名)骨格)をポリマーの側鎖として結合させ、このポリシルセスキオキサン骨格の内部にフッ化物イオンを包含させた状態で複数個のトリアルコキシシリル基を備えた化合物を作用させると架橋により硬化物が得られる一方で、その硬化物に特定の置換基を備えたトリアルコキシシラン化合物を作用させると解架橋により硬化物が再溶解することを見出した。また、本発明者らは、ポリシルセスキオキサン骨格の内部にフッ化物イオンを包含させた上記ポリマー、及び複数個のトリアルコキシシリル基を備えた上記化合物(すなわちこの化合物は架橋剤である。)を溶媒中に溶解させて得られる硬化性組成物が、エポキシ樹脂等を用いた他の硬化性組成物等と比較して保存安定性に優れ、溶媒を蒸発させて濃縮したときにのみ架橋されて硬化物を与えることも見出した。本発明は、以上の知見により完成されたものであり、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表すポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備えたポリマー、フッ化物イオンを供給可能な塩、及び下記一般式(1)で表される架橋剤、又はこれらの反応物、並びに溶媒を含んでな硬化性組成物である。
L[Si(OR ・・・ (1)
(上記一般式(1)中、Lはn価の有機基であり、複数のRはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、nは2以上の整数である。)
Figure 0006534034
(上記一般式(2)〜(4)のそれぞれにおいて、各Rは、それぞれ独立に、少なくとも一つのRがアリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基又はイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R 、−CH C(O)R 、−C(O)OR 、−CH C(O)OR 、−OC(O)R 、−CH OC(O)R 、−P(O)(OR 、−CH P(O)(OR 、−S(O)R 、−CH S(O)R 、−S(O) 、−CH S(O) 、−S(O) OR 、−CH S(O) OR 、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH 、−(CH OR 、−(CH NHR 、−(CH NR 、−(CH OC(O)R 、−(CH NHC(O)R 、−OSi(CH 、−OSi(CH )R 及び−OSiR (各R はそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)からなる群より選択されることを条件として、一価の有機基であり、Xは、上記ポリマーの主鎖に結合するための結合基である。)
)上記フッ化物イオンを供給可能な塩が、下記一般式(5)で表されるアンモニウム塩、下記一般式(6)で表されるホスホニウム塩、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム及びフッ化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
・・・ (5)
・・・ (6)
(上記一般式(5)及び(6)中、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基である。)
)上記ポリマーが、下記一般式(7)で表される繰り返し単位を備えたものであることが好ましい。
Figure 0006534034
(上記一般式(7)中、各Rは、それぞれ独立に、アリール基である。)
)上記架橋剤が、下記いずれかの一般式で表されることが好ましい。
Figure 0006534034
(上記一般式のそれぞれにおいて、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はエチル基である。)
)また本発明は、下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表すポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備えたポリマーを含む溶液を調製するポリマー溶液調製工程と、上記ポリマー溶液調製工程で得た溶液にフッ化物イオンを供給可能な塩を添加する塩添加工程と、上記塩添加工程を経た溶液に下記一般式(1)で表される架橋剤を添加する架橋剤添加工程と、を備え、硬化性組成物の製造方法。
L[Si(OR ・・・ (1)
(上記一般式(1)中、Lはn価の有機基であり、複数のRはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基である。)
Figure 0006534034
(上記一般式(2)〜(4)のそれぞれにおいて、各Rは、それぞれ独立に、少なくとも一つのRがアリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基又はイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R 、−CH C(O)R 、−C(O)OR 、−CH C(O)OR 、−OC(O)R 、−CH OC(O)R 、−P(O)(OR 、−CH P(O)(OR 、−S(O)R 、−CH S(O)R 、−S(O) 、−CH S(O) 、−S(O) OR 、−CH S(O) OR 、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH 、−(CH OR 、−(CH NHR 、−(CH NR 、−(CH OC(O)R 、−(CH NHC(O)R 、−OSi(CH 、−OSi(CH )R 及び−OSiR (各R はそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)からなる群より選択されることを条件として、一価の有機基であり、Xは、前記ポリマーの主鎖に結合するための結合基である。)
)上記フッ化物イオンを供給可能な塩が、下記一般式(5)で表されるアンモニウム塩、下記一般式(6)で表されるホスホニウム塩、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム及びフッ化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
・・・ (5)
・・・ (6)
(上記一般式(5)及び(6)中、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基である。)
)上記ポリマーが、下記一般式(7)で表される繰り返し単位を備えたものであることが好ましい。
Figure 0006534034
(上記一般式(7)中、各Rは、それぞれ独立に、アリール基である。)
)上記架橋剤が、下記いずれかの一般式で表されることが好ましい。
Figure 0006534034
(上記一般式のそれぞれにおいて、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はエチル基である。)
)また本発明は、上記の硬化性組成物を所望とする形状の型又は面に適用し、次いで当該硬化性組成物に含まれる溶媒を蒸発させることにより、この硬化性組成物に含まれるポリマーを架橋させて硬化させることを特徴とする硬化物の製造方法でもある。
10)また本発明は、上記の硬化物の製造方法で得た硬化物に、溶媒及び下記一般式(8)で表される化合物を適用することによりこれを解架橋させることを特徴とする、硬化物の再溶解方法でもある。
−Si(OR ・・・ (8)
(上記一般式(8)中、Rは、アリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基若しくはイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R、−CHC(O)R、−C(O)OR、−CHC(O)OR、−OC(O)R、−CHOC(O)R、−P(O)(OR、−CHP(O)(OR、−S(O)R、−CHS(O)R、−S(O)、−CHS(O)、−S(O)OR、−CHS(O)OR、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH、−(CHOR、−(CHNHR、−(CHNR 、−(CHOC(O)R、−(CHNHC(O)R、−OSi(CH、−OSi(CH)R 又は−OSiR (各Rはそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)であり、複数のRは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基である。)
本発明によれば、ポリマー成分の架橋により硬化が可能であるのと同時に、必要に応じて架橋されたポリマー成分を解架橋させ、これを架橋前と同様の状態に戻して硬化物を再溶解させることのできる硬化性組成物及びその製造方法、並びにそのような硬化性組成物を用いた硬化物の製造方法及びその再溶解方法が提供される。
図1は、実施例にて合成されたポリマーA、及びテトラブチルアンモニウムフロリド(TBAF)のNMRスペクトルであり、(a)は、ポリマーA単独のNMRスペクトル(CDCl溶液)であり、(b)は、TBAF単独のNMRスペクトル(CDCl溶液)、(c)は、ポリマーA及びTBAFを混合したときのNMRスペクトル(CDCl溶液)である。 図2は、実施例で得られた硬化物の熱重量測定(TGA)を行った結果を示し、(a)は、ポリマーA単独のフィルムについての結果であり、(b)は、未洗浄の硬化物についての結果であり、(c)は、クロロホルムで洗浄した硬化物についての結果である。 図3は、ポリマーA単独、実施例1の硬化性組成物を硬化させた硬化物、及び比較用のシラノール化合物のそれぞれについて、KBrタブレット法によるIR(赤外線)吸収スペクトル測定を行った結果であり、(a)は、ポリマーA単独についてのスペクトルであり、(b)は、実施例1の硬化性組成物の硬化物についてのスペクトルであり、(c)は、比較用のシラノール化合物についてのスペクトルである。 図4は、ポリマーAに含まれるポリシルセスキオキサン骨格が1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼンによって架橋される前後における29Siの固体NMRスペクトルであり、(a)は、ポリマーAの29Si固体NMRスペクトルであり、(b)は、ポリマーAが架橋された後の29Si固体NMRスペクトルである。
以下、本発明の硬化性組成物の一実施形態、硬化性組成物の製造方法の一実施態様、硬化物の製造方法の一実施態様、及び硬化物の再溶解方法の一実施態様のそれぞれについて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態又は実施態様に限定されるものではなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
<硬化性組成物>
まずは、本発明の硬化性組成物の一実施形態について説明する。本発明の硬化性組成物は、少なくとも1つのSi原子に置換基Rを備え多面体構造を有するポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備えたポリマー、フッ化物イオンを供給可能な塩、及び所定の構造を備えた架橋剤、又はこれらの反応物、並びに溶媒を含んでなり、上記Rが、アリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基又はイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R、−CHC(O)R、−C(O)OR、−CHC(O)OR、−OC(O)R、−CHOC(O)R、−P(O)(OR、−CHP(O)(OR、−S(O)R、−CHS(O)R、−S(O)、−CHS(O)、−S(O)OR、−CHS(O)OR、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH、−(CHOR、−(CHNHR、−(CHNR 、−(CHOC(O)R、−(CHNHC(O)R、−OSi(CH、−OSi(CH)R 及び−OSiR (各Rはそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)からなる群より選択される。以下、硬化性組成物を構成する各成分について説明する。
[ポリマー]
本発明の硬化性組成物にて用いられるポリマーは、上記のように、少なくとも1つのSi原子に置換基Rを備え多面体構造を有するポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備える。ポリマーの主鎖としては、特に限定されず、ビニル系のモノマーを重合させたものや、ジオール化合物と多塩基酸とを脱水縮合させたものや、エポキシ基やオキセタニル基を触媒の存在下で開環重合させたもの等を例示することができる。なお、これらのポリマーは、ホモポリマーであっても共重合体であってもよく、共重合体である場合には、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。本発明の硬化性組成物で用いられるポリマーにおいて、発明の効果を発現するための鍵となる役割を示すのは、後述するように、ポリマーの側鎖に設けられたポリシルセスキオキサン骨格部分なので、ポリマーの主鎖がいかなる構造をとるものであっても発明の効果に対する影響は小さく、上記のように、主鎖はいずれのポリマーのものであってもよく特に限定されないことになる。そして、このようなポリマーの主鎖は、高分子化合物を合成するための公知の手法により容易に形成させることができる。
多面体構造を有するポリシルセスキオキサン骨格は、多面体構造をなすようにSi原子とO原子とが交互に結合してなるものであり、理解を助けるためにSi−O−Siの結合を直線と仮定すると、8個のSi原子が立方体における頂点に配置されたT構造、10個のSi原子が正五角柱における頂点の位置に配置されたT10構造、及び12個のSi原子が正六角柱における頂点に位置に配置されたT12構造を持つものが知られている。この骨格部分は、(R’SiO1.5という一般式で表され、本発明におけるポリシルセスキオキサン骨格においてはこの一般式における1個のR’がポリマー主鎖への結合基となる。なお、この一般式において、ポリシルセスキオキサン骨格がT構造であればn=8となり、ポリシルセスキオキサン骨格がT10構造であればn=10となり、ポリシルセスキオキサン骨格がT12構造であればn=12となる。本発明の硬化性組成物で用いられるポリマーにおいて、側鎖に含まれるポリシルセスキオキサン骨格は、T構造、T10構造及びT12構造のいずれであってもよい。
本発明におけるポリシルセスキオキサン骨格において、上記一般式における残りのR’は任意であるが、これらのうちの少なくとも1つのR’は、ポリシルセスキオキサン骨格と結合する炭素原子若しくはその炭素原子に隣接する炭素原子がsp又はsp混成軌道を有しπ電子を備えた置換基であるか、又は電子吸引性を示すことが必要である。このような置換基をRとすると、Rとしては、アリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基又はイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R、−CHC(O)R、−C(O)OR、−CHC(O)OR、−OC(O)R、−CHOC(O)R、−P(O)(OR、−CHP(O)(OR、−S(O)R、−CHS(O)R、−S(O)、−CHS(O)、−S(O)OR、−CHS(O)OR、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH、−(CHOR、−(CHNHR、−(CHNR 、−(CHOC(O)R、−(CHNHC(O)R、−OSi(CH、−OSi(CH)R 及び−OSiR (各Rはそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)が挙げられる。すなわち、本発明の硬化性組成物にて用いられるポリマーは、その側鎖に、少なくとも1つのSi原子が上記いずれかの置換基を備えたポリシルセスキオキサン骨格を含む基を備えることになる。
少なくとも1つのSi原子に上述の置換基Rを備えたポリシルセスキオキサン骨格では、上記非特許文献1及び2に記載されるように、フッ化物イオンがその骨格の内部に取り込まれることが知られている。また、これも上記非特許文献1及び2に記載されるように、少なくとも1つのSi原子に上述の置換基Rを備えたポリシルセスキオキサン骨格では、下記の化学式で例示されるように、置換基Rが、他のSi化合物の置換基と容易に置換される。その結果、ポリシルセスキオキサン骨格のSi原子に別の置換基が導入されることになる。なお、この化学反応は平衡反応であり、一方でその逆反応も生じている。また、下記の反応式は理解を助けるための例示であり、立方体で示した図形はポリシルセスキオキサン骨格を意味し、下記の反応式におけるR’は、ポリシルセスキオキサン骨格の一般式として上記で挙げた(R’SiO1.5におけるR’とは無関係である。なお、上記で示した各置換基においてこのような置換反応が生じることは、例えば、Organometallics 2012,31,6032−6040等の文献の記載から理解できる。
Figure 0006534034
本発明ではポリシルセスキオキサン骨格の備えるこのような特性を利用し、ポリマーの側鎖に存在するポリシルセスキオキサン骨格の置換基Rの部分を、下記の化学式で例示されるように、複数のSi原子を備えた架橋剤で置換することで架橋させる。これにより、ポリマーの側鎖同士が結合されてポリマーが高分子量化する。このような架橋剤については後述する。なお、本発明者らの検討によれば、このような置換反応による高分子量化は、ポリマー側鎖に存在するポリシルセスキオキサン骨格の内部にフッ化物イオンが取り込まれた状態であれば効率的に進行するが、ポリマー側鎖に存在するポリシルセスキオキサン骨格の内部にフッ化物イオンが取り込まれていない状態では殆ど進行しない。そのため、本発明の硬化性組成物では、フッ化物イオンの供給源となる化合物を含み、ポリシルセスキオキサン骨格の内部にフッ化物イオンが取り込まれた状態でポリマーの高分子量化を行う。フッ化物イオンの供給源については後述する。なお、下記の化学式において、立方体で示した図形はポリシルセスキオキサン骨格を意味する。
Figure 0006534034
本発明の硬化性組成物で用いられるポリマーでは、その側鎖に上記のようなポリシルセスキオキサン骨格、すなわち少なくとも一つのSi原子に上記置換基Rを備えたポリシルセスキオキサン骨格(以下、これを単に「ポリシルセスキオキサン骨格」とも呼ぶ。)を含む基が結合されているが、より具体的には、そのような基として下記一般式(2)〜(4)のいずれかを例示することができる。なお、下記一般式(2)ではT構造のポリシルセスキオキサン骨格が含まれ、下記一般式(3)ではT10構造のポリシルセスキオキサン骨格が含まれ、下記一般式(4)ではT12構造のポリシルセスキオキサン骨格が含まれることになる。いずれのポリシルセスキオキサン骨格においても、上記のようにフッ化物イオンがその骨格に内包された状態で、置換基Rが他のSi化合物の置換基と容易に置換される。したがって、T構造、T10構造及びT12構造のうちのいずれのポリシルセスキオキサン骨格を有する基であっても上記ポリマーの側鎖として適当である。
Figure 0006534034
上記一般式(2)〜(4)におけるRは、それぞれ、少なくとも一つのRがアリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基又はイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R、−CHC(O)R、−C(O)OR、−CHC(O)OR、−OC(O)R、−CHOC(O)R、−P(O)(OR、−CHP(O)(OR、−S(O)R、−CHS(O)R、−S(O)、−CHS(O)、−S(O)OR、−CHS(O)OR、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH、−(CHOR、−(CHNHR、−(CHNR 、−(CHOC(O)R、−(CHNHC(O)R、−OSi(CH、−OSi(CH)R 及び−OSiR からなる群より選択される。少なくとも一つのRがこれらの群から選択されることにより、ポリシルセスキオキサン骨格の内部にフッ化物イオンが取り込まれ、その状態において、複数のSi原子を備えた架橋剤により架橋されることは既に述べた通りである。各Rは、それぞれ独立に一価の有機基であり、一例として、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルキルオキシ基、炭素数1〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルケニルオキシ基、炭素数1〜5のアルキン基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、ビニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルデヒド基、カルボキシル基、オリゴ及びポリエチレングリコール、オリゴ及びポリシロキサン等を挙げることができる。また、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。なお、上記一般式(2)〜(4)における各Rは、それぞれ独立である。
上記一般式(2)〜(4)におけるRは、それぞれ、少なくとも一つのRが上記の群から選択されるが、残りのRについては一価の有機基の中から任意に選択される。このような一価の有機基としては、一例として、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシル基等を挙げることができる。
上記一般式(2)〜(4)におけるXは、ポリシルセスキオキサン骨格をポリマーの主鎖に結合させるための結合基であり、二価の有機基である。このような結合基としては、一例として、アルキレンオキシケト基(−アルキレン−OC(O)−)、アルキレン基、アミノ結合(−N(H)−)、シロキサン結合(Si−O−Si)、−C(O)O−、チオエーテル結合(−S−)、ジスルフィド結合(−SS−)等を挙げることができる。例えば、ポリマーの主鎖がポリアクリル酸やポリメタクリル酸で構成されていればその側鎖にはカルボキシル基が存在するので、このカルボキシル基と、ヒドロキシアルキル基を備えたポリシルセスキオキサン骨格とを縮合反応させてエステル結合を形成させれば、Xとして上記のアルキレンオキシケト基が形成されることになる。このように、Xとしては、ポリシルセスキオキサン骨格とポリマーの主鎖とを結合させる際の化学反応に応じて様々な二価の有機基が挙げられる一方で、上記のように、本発明の効果を発現する鍵となる役割を示すのは、ポリマーの側鎖に設けられたポリシルセスキオキサン骨格部分なので、Xとしては二価の有機基でありさえすればどのような基でも構わないといえる。
本実施形態においてさらに具体的な例を示せば、上記ポリマーとして下記一般式(7)で表される繰り返し単位を備えたものを挙げることができる。下記一般式(7)において、各Rは、それぞれ独立に、アリール基である。
Figure 0006534034
上記一般式(7)で表される繰り返し単位を備えたポリマーとしては、上記一般式(7)で表される繰り返し単位のみを備えたホモポリマーであってもよいし、上記一般式(7)で表される繰り返し単位に加えて他の繰り返し単位を備えた共重合体であってもよい。ホモポリマーの場合、ポリシルセスキオキサン骨格に3−ヒドロキシプロピル基を結合させた化合物とポリメタクリル酸とを脱水縮合反応させるか、又は、ポリシルセスキオキサン骨格に3−ヒドロキシプロピル基を結合させた化合物とメタクリル酸とのエステルをモノマーとしてラジカル重合させればよい。これらの合成反応で用いる化合物は、いずれも市販されている。また、共重合体の場合、ポリシルセスキオキサン骨格に3−ヒドロキシプロピル基を結合させた化合物とメタクリル酸とのエステルとなるモノマーと、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステルモノマーやスチレンモノマー等のビニル化合物等と、をラジカル重合させればよい。なお、共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。ブロック共重合体を得る場合、RAFT重合法等といった公知のリビング重合法を用いればよい。ポリマーを共重合体とすることにより、ポリマー中におけるポリシルセスキオキサン骨格の当量数(すなわち1分子のポリマーに含まれるポリシルセスキオキサン骨格の個数)を調節することができ、得られる硬化物の架橋密度や硬度等の特性を調節することも可能になる。
ポリマーの重合度については、硬化性組成物の用途等を勘案して適宜設定すればよいが、後述する溶媒に溶解可能である程度の重合度であることが望ましい。
[フッ化物イオンを供給可能な塩]
本発明の硬化性組成物にて用いられるフッ化物イオンを供給可能な塩は、上記ポリマーの側鎖に存在するポリシルセスキオキサン骨格にフッ化物イオンを内包させるためのフッ化物イオン源として組成物へ添加される。このフッ化物イオンがポリシルセスキオキサン骨格へ包含されることにより、複数のSi原子を備えた架橋剤により複数のポリシルセスキオキサン骨格間において架橋されることは既に述べた通りである。
フッ化物イオンを供給可能な塩としては、後述する溶媒に溶解可能なものであれば特に限定されない。このような塩としては、下記一般式(5)で表されるアンモニウム塩、下記一般式(6)で表されるホスホニウム塩、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム及びフッ化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種のものが好ましく例示される。
・・・ (5)
・・・ (6)
(上記一般式(5)及び(6)において、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基である。)
[架橋剤]
本発明の硬化性組成物にて用いられる架橋剤は、上記ポリマーの側鎖に含まれるポリシルセスキオキサン骨格同士を架橋させるために用いられる成分であり、下記の一般式(1)で表される。既に述べたように、上記ポリシルセスキオキサン骨格に結合した置換基Rは、他のSi化合物における置換基と容易に置き換わることができ、平衡状態となる。このような平衡状態において、ポリシルセスキオキサン骨格に結合された置換基Rは、下記一般式(1)で表される架橋剤の結合基Lと置き換わることが可能である。そして、結合基Lは、2以上の整数であるn価の基であるので、さらに他のポリシルセスキオキサン骨格に結合された置換基Rと置き換わることが可能である。このような置き換えがなされた結果、複数のポリシルセスキオキサン骨格が架橋剤に含まれる結合基Lで架橋されることになる。なお、こうした置き換え反応は上記のように平衡反応であるので、溶液状態の硬化性組成物においては、ポリシルセスキオキサン骨格が結合基Lと結合したとしても、これが再び置換基Rに置き換わる反応も同時に生じるので、架橋による高分子量化は進行しない。このため、本発明の硬化性組成物は、溶液状態における保存安定性に優れたものとなる。その一方で、後にも説明するが、本発明の硬化性組成物を所望とする形状の型や面等に適用した後で溶媒を蒸発させると、ポリマーや架橋剤が濃縮されるのに伴って上記の平衡反応における平衡が架橋側に移動し、硬化性組成物が硬化物となる。
L[Si(OR ・・・ (1)
上記一般式(1)中、Lはn価の有機基であり、複数のRはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、nは2以上の整数である。つまり、上記一般式(1)で表される架橋剤では、結合基Lの価数に等しい数のトリアルコキシシリル基が含まれ、その数と同じ数だけのポリシルセスキオキサン骨格と結合してこれらを架橋させることができる。結合基Lの価数が少なくとも2であれば架橋は可能であり、それ以上の価数であればより高密度の架橋が可能になり、硬化物の硬度や硬化速度等の特性を向上させることが可能になる。
結合基Lは、脂肪族、脂環族又は芳香族のいずれであってもよく、脂肪族又は脂環族の場合には不飽和結合を備えてもよい。結合基Lが二価の場合、結合基Lとしては、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数1〜5のアルケニレン基、炭素数1〜5のアルキニレン基、炭素数3〜8のシクロアルキレン基、フェニレン基等が例示される。なお、これらのアルキレン基、アルケニレン基及びアルキニレン基は、分枝状であってもよい。結合基Lが三価以上の場合、二価の結合基Lとして例示した各結合基から一つ以上の水素原子を除いて価数を3以上にしたものを例示できる。結合基Lにおける結合部分は、立体障害を抑制して硬化速度を高めるとの観点から、その結合基Lの末端部分となるのが好ましく、そのような観点に基づけば、三価以上の結合基Lが3本以上の枝分かれ構造を備え、それぞれの枝分かれ構造の末端が結合部分となることが好ましい。このことは、二価の結合基Lの場合にも当てはまる。
架橋剤のさらなる具体例として、下記の各一般式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0006534034
(上記一般式のそれぞれにおいて、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はエチル基である。)
[溶媒]
本発明の硬化性組成物で用いられる溶媒は、硬化性組成物における上記の各成分を溶解させる役割を担うものであると同時に、架橋及び解架橋に関する平衡反応における平衡の程度を制御する役割を担うものである。すなわち、本発明の硬化性組成物で用いられる溶媒は揮発性を有し、これが揮発するのに伴って硬化性組成物における上記ポリマーや架橋剤が濃縮され、平衡が架橋側に傾いて硬化性組成物の硬化を生じる。その一方で、硬化性組成物中に所定量の溶媒が含まれており、上記ポリマー及び架橋剤がある程度希釈された状態にあれば、平衡が架橋と解架橋との中間又は解架橋側に傾いて良好な保存安定性を示すことができる。
本発明の硬化性組成物で用いられる溶媒としては、常圧又は減圧での室温又は加熱条件下で揮発可能であって、上記の各成分を溶解させることができ、かつアルコキシルシリル基を有する架橋剤の加水分解を生じるものでなければ特に限定されない。このような溶媒の一例としては、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶媒等を挙げることができる。これらの中でも、テトラヒドロフランを好ましく例示できる。
[各成分の添加量]
上記の各成分の添加量としては、各成分を溶解可能であり、かつ硬化性組成物の保管時に架橋と解架橋との平衡が架橋側に偏らないような希釈度を維持できるものであれば特に限定されないので、硬化性組成物やそれから得られる硬化物に求められる特性を考慮して適宜設定すればよい。なお、本発明の硬化性組成物が架橋剤により硬化される際は、ほぼ化学量論比で反応を生じるので、ポリマーに含まれるポリシルセスキオキサン骨格の当量数と、フッ化イオンの当量数と、架橋剤における結合部位の当量数(これは架橋剤におけるトリアルコキシシリル基の当量数に対応する。)とがそれぞれ等しくなる程度の添加量を設定することができる。
溶液中におけるポリマーの濃度としては、1質量%〜30質量%程度が挙げられ、1質量%〜20質量%程度が好ましく挙げられ、5質量%〜15質量%程度がより好ましく挙げられる。溶液中における、フッ化物イオンを供給可能な塩の濃度や架橋剤の濃度については、上記のように、ポリマーに含まれるポリシルセスキオキサン骨格の当量数を考慮して適宜設定すればよい。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、既に説明した通り、ポリマーの側鎖に含まれるポリシルセスキオキサン骨格の置換基Rと架橋剤に含まれる結合基Lとの間の交換反応により、ポリマーの架橋が進み硬化物を与える。この交換反応は平衡反応であり、硬化性組成物中のポリマー及び架橋剤の濃度が低ければ平衡は架橋側と解架橋側との中間又は解架橋側に傾いており、硬化性組成物に含まれる溶媒が蒸発により失われるとこれに含まれるポリマー及び架橋剤の濃度が高くなり、平衡は架橋側に傾く。そして、このような平衡状態は、ポリシルセスキオキサン骨格にフッ化物イオンが包含された状態で成り立つものである。一方で、一旦、平衡が架橋側に傾いて硬化性組成物が硬化物になると、その硬化物は、もはや溶媒を加えただけでは解架橋されずに硬化状態を保持する。本発明の硬化性組成物は、このような性質に着目して設計されたものであり、保存時には溶液状態を保つので保存安定性に優れる一方で、それに含まれる溶媒の蒸発によって濃縮が起こると速やかに硬化する。
したがって、本発明の硬化性組成物を所望とする形状の型や面に適用し、次いで適用された硬化性組成物に含まれる溶媒を蒸発させることにより、その型や面の形状に応じた硬化物が得られる。溶媒の蒸発方法は、特に限定されず、大気中における自然乾燥や減圧状態又は加熱状態における乾燥等、公知の手段を特に限定されること無く挙げることができる。例えば、本発明の硬化性組成物を基板上へスピンコートすると、基板の表面に硬化性組成物が拡がるのと同時に、薄膜化された硬化性組成物に含まれる溶媒が速やかに自然乾燥され、フィルム状の硬化物を得ることができる。一方、本発明の硬化性組成物から形成された硬化物は、溶媒に加えて所定の化合物を適用することで解架橋され、再溶解させることも可能である。それについての詳細は、本発明に係る硬化物の再溶解方法の説明にて述べる。
また、本発明の硬化性組成物で得られる硬化物は、ガラス(シリカ)に近い性質を備えたポリシルセスキオキサン骨格を含むので、通常の有機物からなる硬化物と比較してガラスに近い特性を示す。このため、この硬化物は、透明性や耐熱性に優れたものとなり、また、有機物からなる通常のポリマーが高い屈折率を示すのに対して、ガラスに近い低い屈折率を示すものになる。さらに、ポリシロキサンのフィルムではガス(気体)の選択的な透過性を示すことが知られているが、ポリシロキサンと同様にSi−O結合を多く備えた上記硬化物のフィルムでも同様の特性を示すことが期待される。
さらに、既に説明したように、本発明の硬化性組成物ではポリシルセスキオキサン骨格の当量数を考慮してフッ化物イオンを供給可能な塩が添加されるが、このとき、フッ化物イオンの当量数がポリシルセスキオキサン骨格の当量数よりも過剰となるようにこの塩を添加したり、この塩に加えて、イオンを供給可能な他の塩を添加したりすることにより、イオンを多く含む硬化物を与える硬化性組成物となる。そして、硬化性組成物に添加する架橋剤の濃度や価数を小さくすること、及び/又は、ポリシルセスキオキサン骨格の当量数を小さくすることにより、得られる硬化物のゲル化度を小さくして硬化物に含まれる上記イオンを移動しやすくすることも可能である。このようにして得られた硬化物は、例えば電池やキャパシタ等における固体電解質としての用途も期待できる。
なお、既に説明したように、本発明の硬化性組成物では、ポリマーの側鎖に存在するポリシルセスキオキサン骨格には塩から供給されたフッ化物イオンが包含されていると考えられ、また、このポリシルセスキオキサン骨格と架橋剤との間では、架橋及び解架橋の平衡反応が生じていると考えられる。そのため、本発明の硬化性組成物に含まれるこれらの成分は、溶媒中において反応物を形成している可能性もある。そのような場合であっても、勿論、本発明の範囲に含まれる。
<硬化性組成物の製造方法>
上記本発明の硬化性組成物の製造方法も本発明の一つである。次に、本発明の硬化性組成物の製造方法の一実施態様について説明する。本発明の硬化性組成物の製造方法は、少なくとも1つのSi原子に置換基Rを備え多面体構造を有するポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備えたポリマーを含む溶液を調製するポリマー溶液調製工程と、上記ポリマー溶液調製工程で得た溶液にフッ化物イオンを供給可能な塩を添加する塩添加工程と、上記塩添加工程を経た溶液に下記一般式(1)で表される架橋剤を添加する架橋剤添加工程と、を備え、上記Rが、アリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基又はイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R、−CHC(O)R、−C(O)OR、−CHC(O)OR、−OC(O)R、−CHOC(O)R、−P(O)(OR、−CHP(O)(OR、−S(O)R、−CHS(O)R、−S(O)、−CHS(O)、−S(O)OR、−CHS(O)OR、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH、−(CHOR、−(CHNHR、−(CHNR 、−(CHOC(O)R、−(CHNHC(O)R、−OSi(CH、−OSi(CH)R 及び−OSiR (各Rはそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)からなる群より選択される、硬化性組成物の製造方法である。以下、この製造方法における各工程について説明する。なお、本発明の硬化性組成物の製造方法は、上記で説明した硬化性組成物を製造する方法なので、使用される材料等において上記の硬化性組成物と共通する部分が多い。そこで、以下の説明では、こうした共通する部分の説明を場合により省略する。
L[Si(OR ・・・ (1)
(上記一般式(1)中、Lはn価の有機基であり、複数のRはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基である。)
[ポリマー溶液調製工程]
ポリマー溶液調製工程は、少なくとも1つのSi原子に置換基Rを備え多面体構造を有するポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備えたポリマー(単にポリマーとも呼ぶ。)を含む溶液を調製する工程である。溶液を調製するための溶媒、及びポリマーについては既に説明した通りなので、ここでの説明を省略する。
ポリマーは、ポリシルセスキオキサン骨格を有するモノマーを重合して得ることもできるし、既に形成された主鎖に結合しているカルボキシル基等の官能基に対してポリシルセスキオキサン骨格を有する基を導入して得ることもできる。ポリシルセスキオキサン骨格を有する種々の化合物が市販されており、これらの合成に使用可能な化合物も容易に入手可能である。このような合成反応は溶液中で行われ、得られた反応溶液に適切な処理を加えてポリマー溶液としてもよいし、得られた反応溶液からポリマーを取り出してこれを精製し、さらに既に説明した溶媒中に精製されたポリマーを溶解させてポリマー溶液としてもよい。ポリマー溶液中におけるポリマーの濃度は、上記で本発明の硬化性組成物の説明にて既に述べたものと同様なので、そのような濃度となるように溶媒に対するポリマーの添加量を調節する。
ポリシルセスキオキサン骨格に結合される置換基Rとしては、アリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基又はイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R、−CHC(O)R、−C(O)OR、−CHC(O)OR、−OC(O)R、−CHOC(O)R、−P(O)(OR、−CHP(O)(OR、−S(O)R、−CHS(O)R、−S(O)、−CHS(O)、−S(O)OR、−CHS(O)OR、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH、−(CHOR、−(CHNHR、−(CHNR 、−(CHOC(O)R、−(CHNHC(O)R、−OSi(CH、−OSi(CH)R 及び−OSiR (各Rはそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)が挙げられる。これについては、本発明の硬化性組成物に関して既に説明したものと同様である。
ポリマーの側鎖には、少なくとも1つのSi原子に置換基Rを備えたポリシルセスキオキサン骨格を備えた基が含まれるが、そのような基の具体例として下記一般式(2)〜(4)のいずれかを例示することができる。これについても、既に説明した本発明の硬化性組成物におけるものと同様である。
Figure 0006534034
上記一般式(2)〜(4)におけるRは、それぞれ、少なくとも一つのRがアリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基又はイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R、−CHC(O)R、−C(O)OR、−CHC(O)OR、−OC(O)R、−CHOC(O)R、−P(O)(OR、−CHP(O)(OR、−S(O)R、−CHS(O)R、−S(O)、−CHS(O)、−S(O)OR、−CHS(O)OR、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH、−(CHOR、−(CHNHR、−(CHNR 、−(CHOC(O)R、−(CHNHC(O)R、−OSi(CH、−OSi(CH)R 及び−OSiR からなる群より選択される。各Rは、それぞれ独立に一価の有機基であり、一例として、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルキルオキシ基、炭素数1〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルケニルオキシ基、炭素数1〜5のアルキン基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、ビニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルデヒド基、カルボキシル基、オリゴ及びポリエチレングリコール、オリゴ及びポリシロキサン等を挙げることができる。また、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。なお、上記一般式(2)〜(4)における各Rは、それぞれ独立である。
上記一般式(2)〜(4)におけるRは、それぞれ、少なくとも一つのRが上記の群から選択されるが、残りのRについては一価の有機基の中から任意に選択される。このような一価の有機基としては、一例として、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシル基等を挙げることができる。
上記一般式(2)〜(4)におけるXは、ポリシルセスキオキサン骨格をポリマーの主鎖に結合させるための結合基であり、二価の有機基である。このような結合基としては、一例として、アルキレンオキシケト基(−アルキレン−OC(O)−)、アルキレン基、アミノ結合(−N(H)−)、シロキサン結合(Si−O−Si)、−C(O)O−、チオエーテル結合(−S−)、ジスルフィド結合(−SS−)等を挙げることができるが、二価の有機基でありさえすればどのような基でも構わないことは既に説明した通りである。
本実施態様においてさらに具体的な例を示せば、上記ポリマーとして下記一般式(7)で表される繰り返し単位を備えたものを挙げることができる。下記一般式(7)において、各Rは、それぞれ独立に、アリール基である。
Figure 0006534034
上記一般式(7)で表される繰り返し単位を備えたポリマーは、上記一般式(7)の繰り返し単位のみからなるホモポリマーでもよいし、上記一般式(7)の繰り返し単位に他の繰り返し単位を加えた共重合体でもよい。共重合体の場合、各繰り返し単位がランダムに配列されたランダム共重合体であってもよいし、各繰り返し単位がブロック単位で存在するブロック共重合体であってもよい。これらの事項については、上記本発明の硬化性組成物の説明にて既に述べた通りである。
上記ポリマー溶液調製工程で得られたポリマー溶液は、塩添加工程に付される。
[塩添加工程]
塩添加工程は、ポリマー溶液調製工程で得た溶液にフッ化物イオンを供給可能な塩を添加する工程である。ここで溶液に添加された塩から供給されるフッ化物イオンが、ポリマー側鎖に存在するポリシルセスキオキサン骨格の内部に包含されることや、その添加量については既に述べた通りである。
フッ化物イオンを供給可能な塩としては、上記ポリマー溶液に対して溶解可能なものであれば特に限定されない。このような塩としては、下記一般式(5)で表されるアンモニウム塩、下記一般式(6)で表されるホスホニウム塩、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム及びフッ化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種のものが好ましく例示される。
・・・ (5)
・・・ (6)
(上記一般式(5)及び(6)において、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基である。)
ポリマー溶液に対して上記塩を添加した後、この溶液を撹拌して塩を溶解させる。その後、得られた溶液は、架橋剤添加工程に付される。
[架橋剤添加工程]
架橋剤添加工程は、塩添加工程を経た溶液に下記一般式(1)で表される架橋剤を添加する工程である。
L[Si(OR ・・・ (1)
上記一般式(1)中、Lはn価の有機基であり、複数のRはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基である。このことについては、本発明の硬化性組成物の説明にて既に述べた通りである。架橋剤のさらなる具体例として、下記の各一般式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0006534034
(上記一般式のそれぞれにおいて、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はエチル基である。)
溶液に対する架橋剤の添加量については、本発明の硬化性組成物の説明にて既に述べた通りである。溶液に対して架橋剤を添加した後、ポリマーと架橋剤との間で架橋及び解架橋を平衡状態とするために、室温で24時間程度撹拌することが好ましい。この工程を経ることにより、上記で説明した本発明の硬化性組成物が得られる。
<硬化物の製造方法>
上記本発明の硬化性組成物を硬化させることを特徴とする硬化物の製造方法も本発明の一つである。次に、本発明の硬化物の製造方法の一実施態様について説明する。本発明の硬化物の製造方法は、上記本発明の硬化性組成物を所望とする形状の型又は面に適用し、次いで当該硬化性組成物に含まれる溶媒を蒸発させることにより、この硬化性組成物に含まれるポリマーを架橋させて硬化させることを特徴とする。
既に説明したように、本発明の硬化性組成物は、ポリマー、架橋剤、フッ化物イオンを供給可能な塩、及び溶媒を含み、ポリマーの側鎖に含まれるポリシルセスキオキサン骨格の置換基Rと架橋剤に含まれる結合基Lとの間の交換反応により、ポリマーの架橋が進み硬化物を与える。この交換反応は平衡反応であり、硬化性組成物中のポリマー及び架橋剤の濃度が低ければ平衡は架橋側と解架橋側との中間又は解架橋側に傾いており、硬化性組成物に含まれる溶媒が蒸発により失われるとこれに含まれるポリマー及び架橋剤が濃縮され、平衡は架橋側に傾く。そして、このような平衡状態は、ポリシルセスキオキサン骨格にフッ化物イオンが包含された状態で成り立つものである。一方で、一旦、平衡が架橋側に傾いて硬化性組成物が硬化物になると、その硬化物は、もはや溶媒を加えただけでは解架橋されずに硬化状態を保持する。
したがって、本発明の硬化性組成物を所望とする形状の型や面に適用し、次いで適用された硬化性組成物に含まれる溶媒を蒸発させることにより、その型や面の形状に応じた硬化物が得られる。溶媒を蒸発させる方法は、特に限定されず、大気中における自然乾燥や減圧状態又は加熱状態における乾燥等、公知の手段を特に限定されること無く挙げることができる。例えば、本発明の硬化性組成物を基板上へスピンコートすると、基板の表面に硬化性組成物が拡がるのと同時に、薄膜化された硬化性組成物に含まれる溶媒が速やかに自然乾燥され、フィルム状の硬化物を得ることができる。
このようにして得られた硬化物が各種の特性を備えることについては、既に述べた通りである。
<硬化物の再溶解方法>
上記本発明の硬化物の製造方法で得た硬化物を解架橋させることを特徴とする、硬化物の再溶解方法も本発明の一つである。次に、本発明の硬化物の再溶解方法の一実施態様について説明する。本発明の硬化物の再溶解方法は、上記本発明の硬化物の製造方法で得た硬化物に、溶媒及び所定の化合物を適用することによりこれを解架橋させることを特徴とする。
既に説明したように、上記本発明の硬化性組成物を所望とする型や面に適用し、次いで適用された硬化性組成物に含まれる溶媒を蒸発させることにより、硬化性組成物に含まれるポリマーや架橋剤が濃縮され、ポリマーに含まれるポリシルセスキオキサン骨格と架橋剤とが架橋される方向へ平衡が傾いて硬化性組成物が硬化する。一旦硬化して硬化物となった硬化性組成物では、もはや溶媒を加えても解架橋する方向へ平衡が移動しないことは既に述べた通りである。
しかしながら、このような状態となった硬化物に溶媒を加えるとともに、下記化学式(8)で表される化合物を添加することで、平衡状態が再び解架橋される方向へ傾き、硬化物におけるポリマーが解架橋されて再溶解される。このとき、添加された化合物のR基と結合基Lとが交換される平衡状態になっていると考えられるが、添加された化合物が多ければR基が溶液中に大量に存在しており、R基が消費されて解架橋される方向に平衡が傾くものと考えられる。解架橋されて再溶解した後のポリマーは、側鎖に存在するシルセスキオキサン骨格がそのまま維持されており、これを再度架橋して硬化させることも可能である。
−Si(OR ・・・ (8)
上記一般式(8)中、Rは、アリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基若しくはイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R、−CHC(O)R、−C(O)OR、−CHC(O)OR、−OC(O)R、−CHOC(O)R、−P(O)(OR、−CHP(O)(OR、−S(O)R、−CHS(O)R、−S(O)、−CHS(O)、−S(O)OR、−CHS(O)OR、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH、−(CHOR、−(CHNHR、−(CHNR 、−(CHOC(O)R、−(CHNHC(O)R、−OSi(CH、−OSi(CH)R 又は−OSiR であり、複数のRは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はエチル基である。各Rはそれぞれ独立に一価の有機基であり、このような有機基の一例として、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルキルオキシ基、炭素数1〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルケニルオキシ基、炭素数1〜5のアルキン基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、ビニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルデヒド基、カルボキシル基、オリゴ及びポリエチレングリコール、オリゴ及びポリシロキサン等を挙げることができる。また、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。
上記化学式(8)で表される化合物の添加量は、硬化物の架橋の程度等の要素に応じて適宜決定されればよいが、一例として、硬化物の質量に対して10質量%〜200質量%程度となるような質量を挙げられる。
本発明の硬化物の製造方法、及び本発明の硬化物の再溶解方法によれば、任意の形状とされた硬化物を形成させたり、これを除去したりすることが可能となる。このため、従来の硬化性組成物を利用したときとは異なる新たな用途への適用も期待することができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
・ポリマーAの合成
スターラーバー(撹拌子)を備えたシュレンク管に、ヘプタフェニル(3−メタクロリキシプロピル)POSS(T型、5.42g、5.0mmol;POSSはPolyhedral Oligomeric SilSesquioxanesの略である。)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(0.018g、0.11mmol)及びテトラヒドロフラン(21mL;THF)を加えた。混合物を凍結脱気して、窒素下、60℃にて40時間撹拌した。液体窒素で冷却することにより反応を停止させ、溶液をメタノール中へ注いだ。白色の析出物を濾別してTHFに溶解させ、これをアセトン/メタノールの1/1(体積比)混合液で再沈殿させた。得られた再沈殿物を濾別して乾燥することにより、白色粉末状のポリマーAを3.72g(収率69%)得た。
H−NMR(CDCl、ppm):δ 7.85−7.46(m,14H),7.46−6.90(m,21H),3.64(br,2H),2.09−1.38(m,4H),0.86(br,3H),0.32(br,2H).
IR(KBr):3074(C−H,aromatic),2946(C−H,aliphatic),1737(C=O),1136cm−1(Si−O−Si).
[実施例1]
サンプル管にポリマーA(0.054g、この中に0.05mmol当量のポリシルセスキオキサン骨格を含む。)及びテトラヒドロフラン(THF;5mL)を加えてポリマーAを溶解させた後、さらに、テトラブチルアンモニウムフロリド(TBAF)の1M THF溶液(0.05mL、0.05mmol)を加えた。この溶液へ1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン(10mL、0.025mmol)を加えた後、室温で24時間撹拌することで実施例1の硬化性組成物を得た。
また、ポリマーAにTBAFを添加した際の挙動について調査を行うために、(a)ポリマーA単独のNMRスペクトル(CDCl溶液)、(b)TBAF単独のNMRスペクトル(CDCl溶液)、及び(c)ポリマーA及びTBAFを混合したときのNMRスペクトル(CDCl溶液)を測定した。その結果を図1に示す。図1は、ポリマーA及びTBAFのNMRスペクトルであり、(a)は、ポリマーA単独のNMRスペクトル(CDCl溶液)であり、(b)は、TBAF単独のNMRスペクトル(CDCl溶液)であり、(c)は、ポリマーA及びTBAFを混合したときのNMRスペクトル(CDCl溶液)である。
図1の(b)及び(c)に示すように、テトラブチルアンモニウムカチオンのブチル基に対応するピークが、ポリマーAの添加によって高磁場側にシフトするのが観察された(図1の(b)→(c))。この現象は、ポリマーA添加前においてテトラブチルアンモニウムカチオンの近傍に存在していたフッ化物イオンが、ポリマーAの添加に伴ってテトラブチルアンモニウムカチオンから遠ざかったことによって生じたものと考えられ、ポリマーAのポリシルセスキオキサン骨格内にフッ化物イオンが取り込まれたことを支持するものと考えられる。
[比較例1]
TBAFのTHF溶液を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の手順にて比較例1の硬化性組成物を得た。
[硬化試験]
実施例1及び比較例1の硬化性組成物のそれぞれについて、得られた組成物の全量をガラス板の表面にあけ、室温で溶媒を蒸発させ乾燥させた。その結果、実施例1の硬化性組成物についてはフィルム状の硬化物が得られたが、比較例1の硬化性組成物についてはポリマーAに由来する柔らかいフィルムが得られたが硬化物は得られなかった。このことから、硬化物の形成にはフッ化物イオンの存在が不可欠であることが理解される。
[耐熱性評価]
実施例1の硬化性組成物から上記のようにして得た硬化物について、熱重量測定(TGA)による耐熱性評価を行った。耐熱性評価は、(a)ポリマーA単独のフィルムについて、(b)得られた硬化物のそのままについて、及び(c)得られた硬化物をクロロホルムで洗浄したものについてそれぞれ実施した。その結果を図2に示す。図2は、硬化物の熱重量測定(TGA)を行った結果を示し、(a)は、ポリマーA単独のフィルムについての結果であり、(b)は、未洗浄の硬化物についての結果であり、(c)は、クロロホルムで洗浄した硬化物についての結果である。なお、クロロホルムによる硬化物の洗浄は、硬化物をクロロホルム中で一晩洗浄し、その後濾別乾燥することで行った。
図2の(a)に示すように、ポリマーA単独については400℃付近から重量減少が始まり、600℃において30%程度まで重量が減少するのが確認された。これに対して、図2の(b)及び(c)に示すように、未洗浄の硬化物については160℃付近から重量減少が観察されたものの、クロロホルムで洗浄した硬化物については600℃まで加熱しても80%の重量が維持されているのが確認された。未洗浄の硬化物にて早い段階から重量減少が観察されたのは、架橋に伴って架橋剤から分離された低分子化合物(トリエトキシシリルベンゼン)を硬化物が含んでいたためと考えられ、洗浄後の硬化物であれば高い耐熱性を有することが確認された。この結果から、得られた硬化物は、通常のポリマーやその硬化物に比較して高い耐熱性を備え、この耐熱性は、架橋されたポリシルセスキオキサン骨格の存在に由来するものと考えられる。
[再溶解試験]
トリエトキシシリルベンゼンのTHF溶液(0.5mol/L、10mL)中に、実施例1の硬化性組成物から得られた硬化物を浸漬させ撹拌した。すると、撹拌に伴って硬化物が徐々に溶解するのが観察され、120分後には完全に硬化物が消滅した。一方、実施例1の硬化性組成物から得られた硬化物をTHF中に浸漬させ撹拌しても硬化物はそのままだった。このことから、本発明の硬化性組成物から得られた硬化物は、溶媒に浸漬させても平衡が解重合の方向へ移動することはないが、所定の化合物を含む溶液に浸漬させると平衡が解重合の方向へ移動し、溶解することが確認された。
[IR吸収スペクトル測定]
ポリマーA単独、実施例1の硬化性組成物を上記硬化試験で硬化させた硬化物、及び比較用として下記化学式で表されるシラノール化合物のそれぞれについて、KBrタブレット法によるIR(赤外線)吸収スペクトル測定を行った。その結果を図3に示す。図3の(a)は、ポリマーA単独についてのスペクトルであり、(b)は、実施例1の硬化性組成物の硬化物についてのスペクトルであり、(c)は、下記化学式で表されるシラノール化合物についてのスペクトルである。なお、下記化学式で表される化合物は、Hybrid Plastics社から市販されているものを用いた。この化合物は、不完全なポリシルセスキオキサン骨格を有し、下記化学式に示すように、ポリシルセスキオキサンを構成する珪素原子の一つが欠損してかご形構造が開いた形状をしており、その欠損した箇所にてシラノール基を有するものである。
Figure 0006534034
上記化学式で表される化合物のスペクトルである図3(c)では、シラノール基の存在を示す3300cm−1付近のブロードなピークと900cm−1付近のピークが観察されたのに対して、図3(a)及び(b)ではこれらのピークが観察されなかった。このことから、ポリマーAに存在するポリシルセスキオキサン骨格は、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼンによって架橋されてもなおポリシルセスキオキサン骨格を維持していることがわかる。
また、図3(b)では、フッ化物イオンの供給源であるTBAFのテトラブチルアンモニウムイオンの存在を示す3000cm−1及び1500cm−1付近のピークが観察され、硬化物中にテトラブチルアンモニウムイオンが存在していることが示唆された。このことから、フッ化物イオン源として添加されたTBAFは、組成物が硬化物となった後でもその硬化物の中に残っていることが示唆された。
29Si CP/MAS NMRスペクトルの測定]
ポリマーAに含まれるポリシルセスキオキサン骨格が1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼンによって架橋される前後における変化について知見を得るべく、29SiについてのCP/MASによる固体NMRスペクトルを測定した。その結果を図4に示す。なお、CP/MASとは、固体NMRスペクトルを測定する手段の一つであり、CP(Cross Polarization;交差分極)とMAS(Magic Angle Spinning;マジック角回転)とを組み合わせたものである。図4の(a)は、ポリマーAの29Si固体NMRスペクトルであり、(b)は、ポリマーAを含む上記硬化性組成物を硬化させた後の29Si固体NMRスペクトルである。つまり、図4(b)は、ポリシルセスキオキサン骨格が架橋された後の状態を示すNMRスペクトルである。
図4の(a)では、2種類の環境に置かれたSiのそれぞれに基づく2本のピークが観察され、これを架橋した後のスペクトルである(b)においても、ブロードになってはいるものの、これら2本のピークが観察された。このことは、Si原子に注目したときに構造の変化が殆どないことを意味しており、ポリシルセスキオキサン骨格のかご形構造がそのまま維持されていることを示唆している。なお、これら2本のピークがブロードになっているのは、架橋によって化学的な環境(すなわち、結合している化学種)の異なるSiが複数存在するようになったためと考えられる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表すポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備えたポリマー、フッ化物イオンを供給可能な塩、及び下記一般式(1)で表される架橋剤、又はこれらの反応物、並びに溶媒を含んでな硬化性組成物。
    L[Si(OR ・・・ (1)
    (上記一般式(1)中、Lはn価の有機基であり、複数のRはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、nは2以上の整数である。)
    Figure 0006534034
    (上記一般式(2)〜(4)のそれぞれにおいて、各Rは、それぞれ独立に、少なくとも一つのRがアリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基又はイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R 、−CH C(O)R 、−C(O)OR 、−CH C(O)OR 、−OC(O)R 、−CH OC(O)R 、−P(O)(OR 、−CH P(O)(OR 、−S(O)R 、−CH S(O)R 、−S(O) 、−CH S(O) 、−S(O) OR 、−CH S(O) OR 、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH 、−(CH OR 、−(CH NHR 、−(CH NR 、−(CH OC(O)R 、−(CH NHC(O)R 、−OSi(CH 、−OSi(CH )R 及び−OSiR (各R はそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)からなる群より選択されることを条件として、一価の有機基であり、Xは、前記ポリマーの主鎖に結合するための結合基である。)
  2. 前記フッ化物イオンを供給可能な塩が、下記一般式(5)で表されるアンモニウム塩、下記一般式(6)で表されるホスホニウム塩、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム及びフッ化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項記載の硬化性組成物。
    ・・・ (5)
    ・・・ (6)
    (上記一般式(5)及び(6)中、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基である。)
  3. 前記ポリマーが、下記一般式(7)で表される繰り返し単位を備えたものである請求項1又は2記載の硬化性組成物。
    Figure 0006534034
    (上記一般式(7)中、各Rは、それぞれ独立に、アリール基である。)
  4. 前記架橋剤が、下記いずれかの一般式で表される請求項1〜のいずれか1項記載の硬化性組成物。
    Figure 0006534034
    (上記一般式のそれぞれにおいて、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はエチル基である。)
  5. 下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表すポリシルセスキオキサン骨格を含む基を側鎖に備えたポリマーを含む溶液を調製するポリマー溶液調製工程と、
    前記ポリマー溶液調製工程で得た溶液にフッ化物イオンを供給可能な塩を添加する塩添加工程と、
    前記塩添加工程を経た溶液に下記一般式(1)で表される架橋剤を添加する架橋剤添加工程と、を備え、硬化性組成物の製造方法。
    L[Si(OR ・・・ (1)
    (上記一般式(1)中、Lはn価の有機基であり、複数のRはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基である。)
    Figure 0006534034
    (上記一般式(2)〜(4)のそれぞれにおいて、各Rは、それぞれ独立に、少なくとも一つのRがアリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基又はイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R 、−CH C(O)R 、−C(O)OR 、−CH C(O)OR 、−OC(O)R 、−CH OC(O)R 、−P(O)(OR 、−CH P(O)(OR 、−S(O)R 、−CH S(O)R 、−S(O) 、−CH S(O) 、−S(O) OR 、−CH S(O) OR 、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH 、−(CH OR 、−(CH NHR 、−(CH NR 、−(CH OC(O)R 、−(CH NHC(O)R 、−OSi(CH 、−OSi(CH )R 及び−OSiR (各R はそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)からなる群より選択されることを条件として、一価の有機基であり、Xは、前記ポリマーの主鎖に結合するための結合基である。)
  6. 前記フッ化物イオンを供給可能な塩が、下記一般式(5)で表されるアンモニウム塩、下記一般式(6)で表されるホスホニウム塩、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム及びフッ化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項記載の硬化性組成物の製造方法。
    ・・・ (5)
    ・・・ (6)
    (上記一般式(5)及び(6)中、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基である。)
  7. 前記ポリマーが、下記一般式(7)で表される繰り返し単位を備えたものである請求項5又は6記載の硬化性組成物の製造方法。
    Figure 0006534034
    (上記一般式(7)中、各Rは、それぞれ独立に、アリール基である。)
  8. 前記架橋剤が、下記いずれかの一般式で表される請求項5〜7のいずれか1項記載の硬化性組成物の製造方法。
    Figure 0006534034
    (上記一般式のそれぞれにおいて、各Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はエチル基である。)
  9. 請求項1〜のいずれか1項記載の硬化性組成物を所望とする形状の型又は面に適用し、次いで当該硬化性組成物に含まれる溶媒を蒸発させることにより、この硬化性組成物に含まれるポリマーを架橋させて硬化させることを特徴とする硬化物の製造方法。
  10. 請求項記載の製造方法で得た硬化物に、溶媒及び下記一般式(8)で表される化合物を適用することによりこれを解架橋させることを特徴とする、硬化物の再溶解方法。
    −Si(OR ・・・ (8)
    (上記一般式(8)中、Rは、アリール基、アラルキル基、置換されてもよいビニル基、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、1位又は2位の炭素原子にシアノ基、ニトロ基若しくはイミノ基を有する炭素数1〜8のアルキル基、−C(O)R、−CHC(O)R、−C(O)OR、−CHC(O)OR、−OC(O)R、−CHOC(O)R、−P(O)(OR、−CHP(O)(OR、−S(O)R、−CHS(O)R、−S(O)、−CHS(O)、−S(O)OR、−CHS(O)OR、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子、−(CH、−(CHOR、−(CHNHR、−(CHNR 、−(CHOC(O)R、−(CHNHC(O)R、−OSi(CH、−OSi(CH)R 又は−OSiR (各Rはそれぞれ独立に一価の有機基であり、各mはそれぞれ独立に1〜8の整数である。)であり、複数のRは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基である。)
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