以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
図1は、パチンコ機の遊技盤1の正面図である。図1に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域が、ほぼ中央部に配置されたセンターケース5によりその左側が第1遊技領域3a、右側が第2遊技領域3bとなっている。これにより、遊技球が所定の発射強度未満で発射された場合に到達するのが第1遊技領域3aとなり、所定の発射強度以上で発射された場合に到達するのが第2遊技領域3bとなる。また、第1遊技領域3a及び第2遊技領域3bには、図示しない多数の遊技釘が植設されている。
センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり演出図柄を表示する。)の画面を臨ませる窓等を備えている。センターケース5の下には、第1始動口11(本発明の始動口に相当)が配置され、第1始動口11の左方には、入球率が変化しない普通入賞口となる4個の一般入賞口31が設けられている。また、センターケース5の右の第2遊技領域3bには、ゲート17と第2始動口12(本発明の始動口に相当)とがユニット化された複合入賞装置が配置されている。第2始動口12は開閉可能な翼片を備えた普通電動役物からなり、この翼片が開放しないと遊技球は規制部材40に阻害され、第2始動口12に入球できない構成となっている。
複合入賞装置の下方には、第2大入賞口15(本発明の大入賞口に相当)と特定領域16(本発明の特定領域に相当)とを備えた入賞装置90が配置されている。入賞装置90についての詳細は、図2から図5を用いて後述する。なお、第2遊技領域3b(センターケース5の右側)を流下する遊技球が、後述する入賞装置90上面の流下経路に対して常に上流側(A部)から進入するように、複数の遊技釘が誘導経路を形成して植設されている。また、入賞装置90の左下(入賞装置90上面の流下経路の下流側方向)には、第1大入賞口14が配置されている。
遊技領域の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普通図柄保留数表示装置8と、第1特別図柄保留数表示装置18と、第2特別図柄保留数表示装置19と、7セグメント表示装置からなる第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10とが配置されている。
上記のように遊技盤1を構成することによって、普通図柄作動ゲート17に遊技球が入球(普通図柄作動スイッチ17a(図6参照)が遊技球を検出)すると、普通図柄表示装置7で普通図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普通図柄の態様に応じて、普通電動役物の羽根部材が駆動して、第2始動口12への入球が可能となるように構成されている。
普通電動役物の羽根部材が駆動する開放時間は、通常時においては、0.2秒の開放を1回(ショート開放)、時短状態で作動する開放延長機能では1回の普通図柄の当りで1秒の開放を3回実施する(図7参照)。
第1始動口11に遊技球が入球(第1始動口スイッチ11a(図6参照)が遊技球を検出)すると、第1特別図柄表示装置9において第1特別図柄が変動を開始し、所定時間後に停止する。また、第2始動口12である普通電動役物に遊技球が入球(第2始動口スイッチ12a(図6参照)が遊技球を検出)すると、第2特別図柄表示装置10において第2特別図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、演出図柄表示装置6において各々の特別図柄の変動に連動した擬似図柄の演出変動を表示する。第1特別図柄表示装置9及び第2特別図柄表示装置10が視認し辛い箇所に配置されていることより、遊技者は、中央に配置された演出図柄表示装置6上の擬似図柄によって当りハズレを認識することになる。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、第1始動口11と第2始動口12への入球順に関係なく、第2特別図柄の変動(当否判定)を優先して実施する。具体的には、第1特別図柄の保留記憶がある場合、第2特別図柄の変動が停止し且つ第2特別図柄保留記憶が無い状態となって、第1特別図柄保留記憶分の変動を開始する。第1特別図柄及び第2特別図柄が大当り表示態様となると、大当り遊技として第1大入賞口14及びと第2大入賞口15が後述する内容で作動する。
次に、図2から図5を用いて、第2大入賞口15(本発明の大入賞口に相当)と特定領域16(本発明の特定領域に相当)とを備えた入賞装置90を説明する。図2に示すように、入賞装置90は、開口部91が遊技球の入賞が可能な入球口(本発明の開口部に相当)となる第2大入賞口15が、ベース90a,ボンネット90b,上流側壁面90c,下流側壁面90d,底面90eから構成され、通常時はスライド蓋93(本発明の蓋部に相当)が開口部91を塞ぎ、遊技球の入球が不能な閉鎖状態を保持している。更に、第2大入賞口15内には、下流側壁面90dに上からの入球が可能なように入球口が上を向いた特定領域16を配置し、第2大入賞口15に入球した遊技球が全て流入する位置に入賞検出領域95を設けている。
スライド蓋93は遊技盤1を正面から見て右端を上方にして傾斜がつけてあり、スライド蓋93の上面は遊技球が抵抗なく転動するように平面で構成されている。また、ベース90aの上部とボンネット90bの上部とでスライド蓋93上面を遊技盤1正面から見て前後に挟み、該スライド蓋93上面の上部の前後に壁を作ることで、第2大入賞口15が閉鎖状態にあるときの流下経路(本発明の流下経路に相当)を形成している。
これにより、図3に示すように、第2大入賞口15が閉鎖状態の場合、流下経路誘導部92からスライド蓋93の上面右端に流入した遊技球は、傾斜によりスライド蓋93上面を左方向(盤面中央方向)に転動し、スライド蓋93上面の左端に至ると入賞装置90の左外に流下する。
また、流下経路を形成するベース90aとボンネット90bの壁には、転動する遊技球の速度を減速するための減速部94(本発明の減速部に相当)が配置してある。本実施例では、流下経路の最下流となるスライド蓋93の左端で遊技球の転動が減速し一時的に滞留することを目的として、ベース90aの該左端にあたる壁に減速部94を配置(本発明の「特定領域の直上にあたる前記流下経路に遊技球の転動速度を減速する減速部を備える」の構成に相当)し、これを基準として上流側にも均等に減速部94を配置している。最下流部のみに減速部94を設ける構成としてもよいが、上流側にも配置することにより、最下流に至るまでに徐々に転動速度を落とす効果を見込める。
図4は、第2大入賞口15の開放状態(スライド蓋93が遊技盤内にスライドした状態)で、特に遊技球が流下経路上を転動中にスライド蓋93がスライドした直後の状態を示している。第2大入賞口15の開放動作時(入賞可能状態移行時)に、遊技球が流下経路上で転動中であれば、スライド蓋93が遊技盤内にスライドして転動面を消失することで、該遊技球はほぼ真下に自然落下する(遊技球A〜A’)。
図4に示すように、第2大入賞口15の開放作動時に流下経路上左端の減速部94で遊技球が一時的に滞留状態であれば、真下に自然落下した遊技球は特定領域16に入球してから入賞検出領域95に流入する。左端の減速部94以外の流下経路上に遊技球が在る場合は、その位置からほぼ真下に自然落下し、特定領域16には入球せず入賞検出領域95に流入する。
図5は、第2大入賞口15の開放時、即ち、既にスライド蓋93が遊技盤内へのスライドを終了し、開口部91の全域から遊技球の入賞が可能となった状態を示している。開口部91の全域で第2大入賞口への入賞は可能な状態ではあるが、遊技球は流下経路の上流側(図1のA部)から第2大入賞口15に向かうため、この状態で流下経路誘導部92から第2大入賞口15に達した遊技球は、スライド蓋93の上面に接触することがなく、すぐに底面90e方向に落下して第2大入賞口15に進入し、底面eを左側に転動して入賞検出領域95に流入する。従って、第2大入賞口15が既に開放した状態で流下経路の上流から第2大入賞口15に流入した遊技球には、特定領域16への入球機会はない。
図4及び図5の各状態における遊技球の入賞態様(入賞経路)の違いより、第2大入賞口15の開放時に遊技球が特定領域16に入球するためには、第2大入賞口15が開放動作を行う時点(スライド蓋93のスライド動作時)で遊技球が流下経路の左端にあることが条件となり、該左端に滞留しやすいように該左端(詳しくは、流下経路を形成するベース90aの左端)に減速部94を設け、該左端に至るまで順に転動速度が落ちるように、該左端を基準として上流側にも均等に減速部94を設けている。
次に、図6を用いて、本実施例におけるパチンコ遊技機の電気配線を示すブロック図を説明する。図6には煩雑になる電源の供給系統に関する記載は行わないが、電源が必要な制御装置若しくはアクチュエータ類には、電源装置(図示せず)から直接的又は間接的に供給される構成となっている。
主制御装置80の入力端には、遊技盤中継端子板74を介して第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11aと、第2始動口12である普通電動役物に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12aと、普通図柄作動ゲート17に入球した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17aと、第1大入賞口14に入球した遊技球を検出する第1カウントスイッチ14aと、第2大入賞口15に入球した遊技球を検出する第2カウントスイッチ15aと、特定領域16に入球した遊技球を検出する特定領域スイッチ16aと、一般入賞口31に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ31aとが接続されている。なお、特定領域スイッチ16aの検出信号を用いて、第2大入賞口15に入球した遊技球を計数してもよく、その場合は、特定領域16に入球した遊技球を入賞検出領域95には誘導せずに遊技盤裏に排出する構成とする。
また、裏配線中継端子板75を介してガラス枠が開放していることを検出するガラス枠開放スイッチ35と、内枠が開放していることを検出する内枠開放スイッチ36と、が接続されている。なお、主制御装置80の入力端に接続された各種入賞検出スイッチ(第1始動口スイッチ11a、第2始動口スイッチ12a、普通図柄作動スイッチ17a、第1カウントスイッチ14a、第2カウントスイッチ15a、特定領域スイッチ16a、一般入賞口スイッチ31a)は、電波(電磁波)ゴトに有効(遊技球検出状態時のみ電波の影響を受ける)なスイッチとしてノーマルクローズタイプ(NCタイプ)の近接スイッチ(遊技球通過孔を備えた形状)を用いている。
主制御装置80の出力端には、遊技盤中継端子板74を介して第1大入賞口14の扉部材を駆動する第1大入賞口ソレノイド14bと、第2大入賞口15のスライド蓋93を駆動する第2大入賞口ソレノイド15bと、第2始動口12となる普通電動役物の羽根部材を駆動する普通電役ソレノイド12bとが接続されており、図柄表示装置中継端子板90を介して第1特別図柄を表示する第1特図表示装置9と、第1特別図柄の保留記憶数を表示する第1特図保留数表示装置18と、第2特別図柄を表示する第2特図表示装置10と、第2特別図柄の保留記憶数を表示する第2特図保留数表示装置19と、普通図柄を表示する普通図柄表示装置7と、普通図柄の保留記憶数を表示する普図保留数表示装置8とが接続されており、裏配線中継端子板75及び外部接続端子板78を介して図示しないホールコンピュータ87と、が接続されている。
主制御装置80はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種コマンド等を生成し、払出制御装置51及びサブ統合制御装置83に出力する。ここで、主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信回路として構成され、主制御装置80とサブ統合制御装置83とは主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成されている。
払出制御装置81の入力端には、裏配線中継端子板を介して球タンク又はタンクレール内の遊技球が不足していることを検出する球切れスイッチと、裏配線中継端子板及び払出中継端子板76を介して払い出した遊技球を検出する払出スイッチと、各種端子板を介することなく下皿への経路に遊技球が多数あることを検出する満杯スイッチとが接続されている。払出制御装置81の出力端には、裏配線中継端子板75及び払出中継端子板76を介して遊技球を上皿へと払い出す払出モータが接続されている。
払出制御装置81はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号ならびに主制御装置80から入力されるコマンドに基づいて遊技球の払い出しに関わる各種コマンド等を生成し、主制御装置80及び発射制御装置84に出力する。ここで、払出制御装置81と主制御装置80とは双方向通信回路として構成され、払出制御装置81と発射制御装置84とは払出制御装置81から発射制御装置84への一方向通信回路として構成されている。
また、払出制御装置81は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。発射制御装置84は発射モータを制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチからのタッチ信号、発射停止スイッチから発射停止スイッチ信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルに触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチを押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
サブ統合制御装置83の入力端には、遊技者により操作可能な遊技スイッチ67aが接続されている。サブ統合制御装置83の出力端には、図示しない意匠枠及び遊技盤1に備えられる各種LED・ランプ26と、前面枠及びスピーカユニットに備えられるスピーカ66と、が接続されている。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
サブ統合制御装置83はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される遊技スイッチ67aの入力ならびに主制御装置80から入力されるコマンドに基づいて演出に関わる各種コマンド等を生成し、演出図柄制御装置82に出力する。
また、サブ統合制御装置83には、音量を調節する音量調節スイッチ83aが備えられ、音量調節スイッチ83aの状態(位置)を検出し、その検出結果とスピーカ66へ送信する内容とを判断し、スピーカ66から出力する音量をソフト的に制御するように構成されている。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して疑似図柄等の演出画像を表示する。
なお、本機は機外に賞球を払出す構成となっているが、所定数の遊技球を機内に封入し、発射した遊技球を遊技機内で回収して循環的に使用することで遊技を行う封入式遊技機としても、何ら問題なく本発明の効果を発揮する。
次に、図7の図表を用いて、遊技機の作動内容の概要について説明する。本実施形態におけるパチンコ機は確率変動機として構成され、第1始動口11及び第2始動口12への遊技球入球に基づく当否判定は、通常遊技状態(低確率遊技状態)(本発明の低確率状態に相当)と、該通常遊技状態に比べて大当りとなる確率が高い高確率遊技状態(本発明の高確率状態に相当)とのいずれかの遊技状態で実施される。本実施例では通常(低)確率が1/300、高確率が1/30に設定されている。なお、小当り確率は、通常遊技状態と高確率遊技状態とで同一の1/150となり、当選すると第1大入賞口14が1.6秒間開放する。
また、普通電動役物(第2始動口12)の作動契機と作動時間を変化させる開放延長機能を備えており、開放延長機能未作動時では、普通図柄の1回の当りに対して普通電動役物は0.2秒の開放動作を1回行い、開放延長機能作動時では、普通図柄の1回の当りに対して普通電動役物は1.0秒の開放動作を3回行うよう設定されている。また、開放延長機能が作動する遊技状態(開放延長状態)での第1及び第2特別図柄の変動パターン(変動時間)は、開放延長機能が未作動時の遊技状態で使用する変動パターン選択テーブルよりも平均変動時間が短くなるように設定された変動パターン選択テーブルを用いて選択される構成となっている。これにより、開放延長機能作動時の単位時間あたりの特別図柄の変動回数が、開放延長機能未作動時よりも増加する構成(時短状態)となっており、この時短機能は、開放延長機能の作動開始と終了の契機と同じくして作動する。
尚、開放延長機能作動時には、普通図柄の変動時間を短縮(単位時間当りの普通図柄の変動回数が増加)する時短機能も作動する構成となっている。具体的には、開放延長機能未作動時となる通常時の普通図柄の変動時間は6.2秒に設定され、開放延長機能作動時の普通図柄の変動時間は0.7秒に設定されている。これにより、開放延長機能作動時では単位時間当りの普通図柄の変動回数が増加し、普通電動役物の作動契機を大きく増加させている。よって、単位時間当たりの普通電動役物への入球率が増加し、第2特別図柄の変動回数が増えるとともに持球の減少が抑えられる。
大当り遊技は、第1大入賞口14が所定ラウンドの開放動作(第1大当り遊技)を行ってから特定領域16を備えた第2大入賞口15(本発明の大入賞口に相当)が開放動作(第2大当り遊技)を開始する構成となり、大当り遊技の内容、詳しくは、第1大入賞口14が連続してラウンド遊技を行う回数と、大当り遊技終了後の遊技状態は、当否判定時に決定する大当り図柄の種類に基づいて決定される。
また、大当り遊技の後半で作動を開始する第2大入賞口15が次回のラウンド遊技に移行(当該ラウンドが終了してから次回のラウンドを開始)するためには、第2大入賞口15の開放時に特定領域16へ入球することが条件となる。この条件により、第2大入賞口15が作動する各ラウンドで特定領域16に遊技球が入球すれば、設定された最高継続ラウンドまで大当り遊技を継続し、第2大入賞口15の作動中に特定領域16に遊技球が入球しなければ、入球しなかった当該ラウンドが最終ラウンドとなり大当り遊技を終了する(本発明の大当り遊技継続手段の内容に相当)。
この第2大入賞口15のラウンド継続条件により、本発明の大当り遊技の特徴として、第1大入賞口14は大当り図柄に基づいて決定した所定ラウンド数までは必ず継続し、第2大入賞口15は最高継続ラウンド回数まで継続するかは不確定となる。従って、大当り遊技において遊技者が確実に賞球が獲得できるのは第1大入賞口14が作動する前半の第1大当り遊技プラス第2大入賞口15の1回目の開放動作分までとなり、大当り遊技内容として決定されている最高継続ラウンドまで第2大入賞口15の開放動作(ラウンド遊技)を継続させられるかどうかは、第2大入賞口15に入球した遊技球が特定領域16に入球するか否かの結果次第となる。
また、図2から図5を用いて説明したように、第2大入賞口15の開放時に特定領域16に遊技球を入球させるためには、第2大入賞口15の開放動作実施時に、入賞装置90が形成する流下経路の左端に遊技球が在る、という条件が成立している必要があり、この条件成立の難易度を変化させるため、第2大入賞口15の開放パターン(1回のラウンド遊技におけるスライド蓋93の作動回数)を複数備えている。具体的な大当り遊技の内容及び第2大入賞口15の開放パターンについては、図12,13を用いて後述する。
次に、図8に示したフローチャートを用いて、主制御装置80が実行する「メインルーチン」を説明する。「メインルーチン」はマイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、ほとんどが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
S10が否定判定、即ち、正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、初期設定(例えば、前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)が為され(S15)、残余処理(初期乱数更新処理(S80))に移行する。
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10:yes)、初期値乱数更新処理(S20)、大当り決定用乱数更新処理(S25)、大当り図柄決定用乱数1更新処理(S30)、大当り図柄決定用乱数2更新処理(S35)、小当り図柄判定用乱数更新処理(S40)、当り決定用乱数更新処理(S45)、リーチ判定用乱数更新処理(S50)、変動パターン決定用乱数更新処理(S55)が行われる。
続く入賞確認処理(S60)では、第1始動口11、第2始動口12への入賞、及び普通図柄作動ゲート17、第1大入賞口14、第2大入賞口15、特定領域16への入球、及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。続いて、当否判定処理(S65)、画像出力処理等の各出力処理(S70)、不正監視処理(S75)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には初期乱数更新処理(S80)をループ処理する。
次に図9に示したフローチャートを用いて、主制御装置80が実行する始動入賞処理を説明する。始動入賞処理は、第1始動口11、第2始動口12に遊技球が入球したとき、又は普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過したときに取得する当否乱数等の種々の乱数を、保留記憶として主制御装置80に格納(記憶)する処理となる。また本処理では、記憶した乱数が予め設定された値か否かを、後述する当否判定処理を実施する以前に判定する先読判定処理を行う。また、始動入賞処理では、第1始動口11及び第2始動口12への入球に起因する各種コマンドをサブ統合制御装置83に送信する処理を行う。以後、第1始動口11に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第1保留記憶、第2始動口12に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第2保留記憶、普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過したときに格納される保留記憶を普図保留記憶として説明する。
本実施形態においては、普通図柄保留数表示装置8、第1特図保留数表示装置18、第2特図保留数表示装置19による各々の点灯数の最大個数は4個(最大保留記憶数が4個)となっているが、これに限るわけではなく、例えばそれぞれの最大記憶個数が8個であってもよい。また、それぞれの保留記憶数が0であっても、第1始動口11、第2始動口12に遊技球が入賞したとき、又は普通図柄作動ゲート17に遊技球が入球したときに抽出される当否乱数等の種々の乱数は、最大値未満の記憶数がある場合と同様に主制御装置80に格納される。
始動入賞処理を開始すると、第1始動口スイッチ11aが遊技球を検出したか否か判定する(S100)。否定判定なら(S100:no)S130に進み、肯定判定なら(S100:yes)、主制御装置80に格納されている第1保留記憶の数が上限値(=4個)未満か否か判定する(S105)。否定判定なら(S105:no)S130に進み、肯定判定であれば(S105:yes)、抽出した大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数1、大当り図柄決定用乱数2、小当り図柄判定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数を第1保留記憶として記憶し、第1保留記憶の数を示す第1保留記憶カウンタに1を加算する(S110)。
S110に続いては、記憶した第1保留記憶の先読判定を行う(S115)。具体的には、S110で記憶した大当り判定用乱数の値が大当りを生起させる値か否かを確認し、大当り値なら大当り図柄の種類を確認する。大当り判定がハズレなら、小当りを生起する値か否かを確認し、ハズレならリーチ決定用乱数がスーパーリーチとなる値か否かを確認する。スーパーリーチでなければ、リーチとなる値か否かを確認し、変動パターン決定用乱数の値から変動時間を確認する。上記判定を行うことによって、保留記憶した乱数が、遊技者が大当りの期待が持てる特定の値か否か(はずれでも大当りを期待させる演出が可能な否か)を確認する。
続いて、S115の判定結果に基づいて第1先読判定コマンドを生成してサブ統合制御装置83に送信し(S120)、S110で加算した第1保留記憶カウンタの値を示す第1保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信する(S125)。
S125の処理、又はS100、S105の否定判定(S100:no、S105:no)に続いては、第2始動口スイッチ12aが遊技球を検出したか否か判定する(S130)。否定判定なら(S130:no)、S160に進み、肯定判定なら(S130:yes)、主制御装置80に格納されている第2保留記憶の数が上限値(=4個)未満か否か判定する(S135)。否定判定なら(S135:no)、S160に進み、肯定判定であれば(S135:yes)、抽出した大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数1、大当り図柄決定用乱数2、小当り図柄判定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数を第2保留記憶として記憶し、第2保留記憶数を示す第2保留記憶カウンタに1を加算し(S140)、S110と同様に記憶した第2保留記憶の先読判定を行う(S145)。
続いて、S145の判定結果に基づいて第2先読判定コマンドを生成してサブ統合制御装置83に送信し(S150)、S140で加算した第2保留記憶カウンタの値を示す第2保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信して(S155)、S160に進む。
S160では、普通図柄作動スイッチ17aが遊技球を検出したか否か判定する(S160)。否定判定なら(S160:no)リターンに抜け、肯定判定なら(S160:yes)、主制御装置80に格納されている普図保留記憶数が上限値(=4個)未満か否か判定する(S165)。否定判定なら(S165:no)リターンに抜け、肯定判定であれば(S165:yes)、抽出した当り判定用乱数と当り図柄決定用乱数とを普図保留記憶として記憶し、普図保留記憶数を示す普図保留記憶カウンタに1を加算し(S170)、加算した普図保留記憶カウンタの値を示す普図保留記憶数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信し(S175)、リターンする。
サブ統合制御装置83は第1及び第2保留記憶数指示コマンドを受信すると、受信したコマンドが示す保留記憶数に応じて演出図柄表示装置6上で表示する保留図柄の数を変化させる指示信号を演出図柄制御装置82に送信する。また、本実施例では、演出図柄表示装置6上では普通図柄の保留記憶数表示は行わないが、普図保留記憶数指示コマンドの受信に応じて表示する構成としてもよいし、普図保留記憶数指示コマンド自体を送信しない構成としてもよい。また、普図の先読判定を実施し判定結果をサブ統合制御装置に送信する構成も考えられる。これにより、普通電動役物(第2始動口12)の開放を期待させる先読予告演出の実施が可能となる。
次に、図10を用いて主制御装置80が実行する特図当否判定処理を説明する。この処理は、本発明における当否判定手段、及び大当り図柄選択手段を含む処理となる。
図10に示す特図当否判定処理を開始すると、特図の始動条件が成立しているか否か判定する(S200)。この判定処理では、大当り遊技中でないこと、第1特別図柄及び第2特別図柄が変動中又は確定表示中でないことを確認する。S200が否定判定なら(S200:no)リターンし、肯定判定であれば(S200:yes)、第2保留記憶が有るか否か判定する(S205)。肯定判定なら(S205:yes)、S215に進み、否定判定なら(S205:no)第1保留記憶が有るか否か判定する(S210)。S210が否定判定なら(S210:no)リターンに抜け、肯定判定なら(S210:yes)、S215に進む。S205とS210の判定順により、第2保留記憶の当否判定を優先して実施する構成となっている。尚、本実施例では、特別図柄が複数(第1特別図柄と第2特別図柄)の構成となっているが、特別図柄を1つとした構成であっても、又は複数の特図が当時に変動可能な構成であっても本発明は同様の効果を発揮する。
S205又はS210が肯定判定なら(S205:yes、S210:yes)、時短フラグが0か否か判定する(S215)。否定判定なら(S215:no)、時短状態中の処理に進むが、この処理は公知の処理と何ら変わりない(選択する変動パターンの時間設定が異なる)ため説明は割愛する。
時短フラグは、主制御装置80にて記憶される値であり、時短フラグの値が「0」のときは、時短状態ではないことを、時短フラグの値が「1」のときは、時短状態であることを主制御装置80が判断する。時短状態では、普通図柄、第1及び第2特別図柄の変動時間が短縮されるとともに、開放延長機能が作動し普通電動役物の作動回数が増加するとともに作動時間が通常状態よりも延長される。
S215が肯定判定なら(S215:yes)、判定対象とする第1保留記憶又は第2保留記憶のシフト処理を行い、これにより最も古い第1保留記憶又は第2保留記憶を判定するとともに、対象となった第1又は第2保留記憶数を示す保留記憶カウンタから1を減算し(S220)、特図当否判定の対象とした保留記憶の大当り判定用乱数と予め設定された特図当否判定テーブルとを比較して、大当り判定用乱数の値が特図当否判定テーブル内の判定値と一致するか比較する(S225)。特図当否判定テーブルは通常確率(低確率1/300)用と高確率用(1/30)の2種類のテーブルが設定してあり、当否判定時の遊技状態が通常確率状態(通常遊技状態)であれば通常確率用の当否判定テーブルを用いて比較し、高確率遊技状態であれば高確率用の当否判定テーブルを用いて比較する。(本発明における当否判定手段に相当)
続いてS225の比較結果が大当りか否かを判定し(S230)、肯定判定なら(S230:yes)、図柄モード設定処理を行う(S235)。図柄モード設定処理では、判定対象となる第1又は第2保留記憶の大当り図柄決定用乱数1に基づいて、大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態を決定する図柄モードを設定する。
続いて、設定した図柄モードの種類と大当り図柄決定用乱数2に基づいて大当り図柄選択処理を行う(S240)。これは、図柄モードの種類毎に設定された図柄郡の中から確定表示する大当り図柄を決定する処理となる。
次にS235で設定した図柄モードに基づいてモードバッファ設定処理を行う(S245)。モードバッファは当否判定時に確定した大当り遊技終了後の遊技状態の内容を、該遊技状態を設定する大当り遊技終了時まで記憶する装置である(大当り遊技中は遊技状態を設定する確変フラグ及び時短フラグをクリアする必要があるため)。モードバッファとしては、具体的な遊技内容(確変機能および開放延長機能(時短機能)の作動とその作動回数)は記憶せず、具体的な遊技内容に対応した値を記憶する構成となっている。
次に、S235で設定した図柄モードに基づいて大当り遊技の内容となる大入賞口の開放パターン設定処理を行い(S250)、次に、当否判定の対象とした保留記憶のリーチ決定用乱数および変動パターン決定用乱数に基づいて、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10、及び演出図柄表示装置6に表示する図柄の変動時間となる変動パターンを、変動パターン選択テーブルから選択する(S255)。
次に、選択した大当り図柄および変動パターンの情報を、変動指示コマンドとしてサブ統合制御装置83へ送信する(S260)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づいて、演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、第1又は第2特別図柄の大当り図柄及び変動パターンの情報に基づいた第1又は第2特図に対応した擬似図柄の演出変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
S230が否定判定、即ちハズレなら(S230:no)、S225の比較処理の結果が小当りであるか否か判定し(S265)、肯定判定なら(S265:yes)、小当り図柄を選択し(S270)、続いて小当り遊技の開放パターン設定処理を行い(S250)、小当り図柄に対応する変動パターン選択処理を行い(S255)、小当り図柄および変動パターンの情報となる変動指示コマンドをサブ統合制御装置83へ送信する(S260)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づき演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、小当り図柄および変動パターンの情報に基づいた第1又は第2特図に対応した演出図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は、第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
S265が否定判定なら(S265:no)、ハズレ図柄を選択し(S275)、続いてハズレ図柄に対応する変動パターン設定処理を行い(S255)、ハズレに関する図柄及び変動パターンの情報となる変動指示コマンドをサブ統合制御装置83へ送信する(S260)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づき演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、ハズレ図柄および変動パターンの情報に基づいた第1又は第2特図に対応した擬似図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
次に、図11に示したフローチャートを用いて主制御装置80が実行する特別図柄確定処理を説明する。本処理を開始すると、特別図柄が変動中か否か判定し(S300)、否定判定なら(S300:no)リターンし、肯定判定なら(S300:yes)、S255で選択した第1又は第2特別図柄の変動パターンが示す変動時間が経過したか否か判定する(S305)。否定判定なら(S305:no)リターンし、肯定判定なら(S305:yes)、確定コマンドをサブ統合制御装置83へ送信するとともに、図10のS240,S270,又はS275で選択された図柄を第1特図表示装置9又は第2特図表示装置10に確定表示する(S310)。確定コマンドを受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づいて演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6上の擬似図柄を確定表示する。
続いて、第1特図表示装置9又は第2特図表示装置10に確定表示した図柄が大当り図柄か否か判定する(S315)。肯定判定なら(S315:yes)、条件装置と役物連続作動装置の作動開始処理を行って大当りフラグに1をセットし(S320)、サブ統合制御装置83に大当り開始コマンドを送信し(S325)リターンする。
S315が否定判定なら(S315)、確定した図柄が小当り図柄か否か判定し(S330)、否定判定なら(S330:no)リターンし、肯定判定なら(S330:yes)、小当りフラグに1をセットし(S335)、小当り開始コマンドをサブ統合制御装置83に送信し(S340)リターンする。
次に、図12,13を用いて、実施例1における大当り図柄と大当り遊技の内容との関係と、第2大入賞口15の開放パターンについて説明する。上述したように、本実施例の大当り遊技は、前半が第1大入賞口14が無条件で所定数のラウンド遊技を継続する第1大当り遊技を行い、後半は第2大入賞口15が特定領域16への入球を条件に最高継続ラウンド(本実施例では全て15ラウンド)を限度に次回のラウンド遊技を継続する第2大当り遊技を行う。
第1大当り遊技を行うラウンド数、及び第2大当り遊技における各ラウンドの第2大入賞口15の開放パターンの種類は、当否判定処理時(図10)に決定した大当り図柄に基づいて(内部的には、S235で設定する図柄モードに基づいて)決定し、その内容は、図12で示す図表の内容となる。
大当り図柄1から10までに対応する第2大当り遊技は、大当り図柄の種類に応じて各ラウンド遊技で実施する第2大入賞口15の開放パターンの組合せが異なる内容となる。図2から図5を用いて説明した入賞装置90の特性から、ラウンド遊技中における第2大入賞口15の開閉回数(スライド蓋93のスライド回数)に応じて特定領域16への入球確率が変化する構成となっているため、該開閉回数が異なる開放パターンの組合せにより、大当り図柄の種類によって最終ラウンドまでの継続率が異なってくる。
図13は、第2大当り遊技で実施する第2大入賞口15の開放パターンを示すタイミングチャートとなる。本実施例では開放パターンAからDの4種類の開放パターンを設けている。
開放パターンAは、第2大入賞口15が29.0秒の1回の開放を行う。この開放パターンでは、第2大入賞口15の開放作動時(a時点)に、スライド蓋93左端上(特定領域16の直上)の減速部94で遊技球が減速状態であれば、特定領域16への入球に基づき次回のラウンド遊技が継続するが、a時点でスライド蓋93左端上の減速部94で遊技球が減速状態になければ以降の特定領域16への入球が見込めず次回のラウンド遊技への継続は望めない。従って開放パターンAでは、特定領域16に入球するチャンスは開放動作時(a)の1回のみとなり、特定領域16への入球確率及び入球への期待度が最も低い開放パターンとなる。
開放パターンBは、1回のラウン遊技中の第2大入賞口15の開放動作が2回(a,b時点)となり、ラウンド遊技中にスライド蓋93左端上の減速部94で遊技球が減速状態となる機会も2回となる。従って、該機会が増えた分特定領域16への入球確率も開放パターンAに対して増加する。
開放パターンCは、1回のラウンド遊技中の第2大入賞口15の開放動作が3回(a,b,c時点)となり、ラウンド遊技中にスライド蓋93左端上の減速部94で遊技球が減速状態となる機会も3回となる。従って、該機会が更に増えた分、特定領域16への入球確率も開放パターンBに対して更に増加する。
開放パターンDは、1回のラウンド遊技中の第2大入賞口15の開放動作が4回(a,b,c,d時点)となり、特定領域16への入球確率は開放パターンCよりも更に増加する。本実施例では、特定領域16への入球機会が4回ある開放パターンDを最も入球期待度の高い開放パターンとしたが、更に入球機会の多い開放パターンを設けてもよい。
図12に戻り、第2大当り遊技の開放パターンの内容を踏まえたうえで、大当り図柄に対応する大当り遊技の内容を説明する。大当り図柄は全15種類設けられ、大当り遊技終了後の遊技状態は、その種類が1から10なら、大当り遊技終了後の遊技状態は次回の大当り遊技まで(詳しくは特別図柄が10000回変動するまで)高確率遊技状態及び時短(開放延長)状態となる。大当り図柄が11から15なら、大当り遊技終了後は通常確率で特図が100回変動を行うまで時短(開放延長)状態となる。
大当り図柄が1又は2なら、第1大入賞口14がラウンド遊技を行う第1大当り遊技は10ラウンドまで行われる。この場合の第1大入賞口14のラウンド遊技は、全て29.0秒の1回の開放または9カウントまでとなる。後半に実施する第2大当り遊技は11ラウンドから開始し、最高15ラウンドまで継続するが、大当り図柄1と2とで11ラウンドから14ラウンドで実施する開放パターンの種類が異なる構成となっている。
具体的には、大当り図柄が1の場合は、11,12ラウンドが開放パターンB、13,14ラウンドが開放パターンAとなり、最終15ラウンドでは全ての大当り遊技において開放パターンAが行われる。大当り図柄が2の場合は、11,12ラウンドが開放パターンC、13,14ラウンドが開放パターンBとなる。従って、大当り図柄2の方が、第2大当り遊技開始時から特定領域16への入球確率が高く(C>B)、遊技者にとって有利な大当り遊技といえる。
大当り図柄3,4、大当り図柄5,6、大当り図柄7,8、大当り図柄9,10、も大当り図柄1,2と同様の関係となり、第2大当り遊技を開始するラウンドと最高継続回数とを同じとしながらも、数字の大きい大当り図柄の方が、第2大当り遊技開始時から特定領域16への入球確率が高くなり、遊技者にとって有利な大当り遊技となっている。
大当り図柄11から15は、大当り遊技終了後の遊技状態が遊技者に不利となる分、第2大当り遊技で実施される最高継続ラウンド以外の全てのラウンド遊技が、最も特定領域16への入球確率が高い開放パターンDで構成されている。
なお、図13を用いて説明した各開放パターンでは、ラウンド遊技中の開放間インターバル(ラウンド遊技中にスライド蓋93左端上の減速部94で遊技球が減速状態になる可能性のある期間)をいずれの開放パターンにおいても5.0秒としているが、大当り図柄に応じて異なる秒数としてもよいし、乱数等を用いて毎回異なる秒数を設定してもよく、それにより遊技者が狙い撃ちを行うことを防止することができる。なおこの開放間インターバルの時間を異ならせる構成は、第2大当り遊技のラウンド間インターバルについても同様に用いることでその効果をさらに補強できる。
次に、図14から図18を用いて、実施例1において主制御装置80が実行する特別遊技処理1を説明する。本処理は、図10のS250で設定された第1大入賞口14及び第2大入賞口15の開放パターンと特定領域16への入球状況に基づいて、それぞれの大入賞口の開放を制御する処理となり、本発明の大当り遊技制御手段と大当り遊技継続手段とに相当する処理となる。
特別遊技処理を開始すると、大当りフラグに基づいて条件装置が未作動か否かを判定する(S500)。S500が肯定判定、即ち、大当り中でなければ(S500:yes)、小当り遊技として第1大入賞口14が作動中か否かを判定する(S505)。S505が否定判定なら(S505:no)リターンし、肯定判定なら(S505:yes)、小当り開始インターバル中であるか否かを判定し(S510)、肯定判定なら(S510:yes)、小当り開始インターバル時間が経過したか否かを判定し(S520)、否定判定なら(S520:no)リターンし、肯定判定なら(S520:yes)、小当り遊技として第1大入賞口14を開放するとともに、サブ統合制御装置83に小当り演出指示コマンドを送信し(S525)リターンする。
S510が否定判定なら(S510:no)、小当り動作中か否かを判定し(S535)、肯定判定なら(S535:yes)、第1カウントスイッチ14aが遊技球を検出したか否か判定し(S540)、肯定判定なら(S540:yes)、当該小当り遊技時の第1大入賞口14への遊技球の入球数が9個未満か否か判定する(S545)。S540が否定判定(S540:no)、又はS545が肯定判定(S545:yes)なら、第1大入賞口14の小当り遊技の開放時間が経過したか否か判定し(S550)、否定判定なら(S550:no)リターンする。
S545が否定判定(S545:no)、又はS550が肯定判定(S550:yes)なら、小当り遊技を行う第1大入賞口14の閉鎖処理を行い(S555)、続いて小当り終了演出処理を行い(S560)リターンする。
S535が否定判定で小当り遊技中ではないなら(S535:no)、小当り終了演出の時間が経過したか否かを判定し(S565)、否定判定なら(S565:no)リターンし、肯定判定なら(S565:yes)、小当り遊技終了処理を行ない(S570)、小当りフラグに1をセットして(S560)リターンに抜ける。
図14のS500が否定判定、即ち大当りフラグが立っていれば(S500:no)、図15のフローチャートに進み、第1大入賞口14及び第2大入賞口15が閉鎖中か否か判定し(S600)、肯定判定なら(S600:yes)、大当り遊技の開始演出中か否か判定する(S605)。S605が肯定判定なら(S605:yes)、大当り遊技の開始演出時間が経過したか否かを判定し(S610)、否定判定なら(S610:no)リターンし、肯定判定なら(S610:yes)、第1大入賞口14の開放処理を行うとともに、サブ統合制御装置83に第1大入賞口開放演出を指示するコマンドを送信し(S615)リターンする。
S605が否定判定なら(S605:no)、即ち、大当り遊技の開始演出中ではないなら、ラウンド間インターバル中か否か判定し(S620)、否定判定なら(S620:no)、大当り遊技の終了演出中か否か判定し(S660)、否定判定なら(S660:no)、大当り開始演出処理を行いサブ統合制御装置83に大当り開始演出を指示するコマンドを送信し(S665)リターンする。
S660で主制御装置80がサブ統合制御装置83に大当り開始演出指示コマンドを送信すると、該コマンドを受信したサブ統合制御装置83は、パチンコ機に設けられたランプ、LEDを大当り遊技演出用に激しく発光させたり、大当り遊技用の音をスピーカから出力させる。また、サブ統合制御装置83は、演出図柄制御装置82に信号を送信し、演出図柄表示装置6において大当り開始演出を表示させる。
S620が肯定判定、即ち、ラウンド間インターバル中なら(S620:yes)、インターバル時間が経過したか否か判定し(S625)、否定判定なら(S625:no)リターンし、肯定判定なら(S625:yes)、次回のラウンドが第1大入賞口14が作動する第1大当り遊技か否か判定し(S630)、肯定判定、即ち、第1大当りを継続するなら(S630:yes)、上述したS615に進み、否定判定なら(S630:no)、第2大入賞口15が作動する第2大当りの初回ラウンドか否か判定し(S635)、否定判定、即ち、第2大入賞口15の開放動作が終了した状況であれば、継続フラグが1か否か判定する(S640)。
継続フラグは、主制御装置80が記憶する値であり、値が1なら、第2大入賞口15に入球した遊技球が特定領域16に入球したこと(ラウンド継続条件成立)に基づいて次回のラウンド遊技に移行することを、値が0なら、次回のラウンド遊技に移行しないことを、主制御装置80が判断する(本発明の大当り遊技継続手段に相当)。また、特定領域16への遊技球の入球に基づく継続フラグのセットは、図19を用いて後述する継続確認処理で行われる。
S640が肯定判定、即ち、第2大当りが継続する条件が成立していたなら(S640:yes)、継続フラグに0をセットする(S645)。S645又はS635の肯定判定(S635:yes)に続いては、第2大入賞口15の開放処理を行って第2大入賞口15の開放を開始するとともに、サブ統合制御装置83に第2大入賞口開放演出を指示するコマンドを送信し(S650)、継続口有効フラグに1をセットして(S655)リターンする。継続口有効フラグは主制御装置80が記憶する値であり、値が1なら、大当り遊技を継続させるための条件となる特定領域16への遊技球の入球が有効な期間であることを、値が0なら該入球が有効な期間でないことを判断する。
S600が否定判定、即ち、第1大入賞口14又は第2大入賞口15のいずれかが開放中なら(S600:no)、図16のフローチャートに進み、第1大入賞口14が開放中か否か、即ち、第1大当り遊技の実行中か否か判定し(S700)、肯定判定なら(S700:yes)、第1カウントスイッチ14aが遊技球を検出したか否か判定し(S705)、肯定判定なら(S705:yes)、当該開放の第1カウントスイッチ14aの検出数が9個未満か否か判定する(S710)。S705の否定判定、又はS710が肯定判定(S710:yes)なら、第1大入賞口14の開放時間が経過したか否か判定し(S715)、否定判定なら(S715:no)リターンし、S710が否定判定(S710:no)、又はS715が肯定判定なら(S715:yes)、第1大入賞口14の閉鎖処理を行う(S720)。
S700が否定判定、即ち、第2大当り遊技の実行中なら(S700:no)、第2カウントスイッチ15aが遊技球を検出したか否か判定し(S725)、肯定判定なら(S725:yes)、当該開放の第2カウントスイッチ15aの検出数が9個未満か否か判定し(S730)、S725が否定判定(S725)、又はS730が肯定判定なら(S730:yes)、第2大入賞口15のラウンド遊技時間が経過したか否か判定し(S735)、否定判定なら(S735:no)リターンし、S730が否定判定(S730:no)、又はS735が肯定判定なら(S735:yes)、第2大入賞口15のラウンド遊技終了処理を行う(S740)。
S720、又はS740に続いては、図17のフローチャートに進み、終了した第1大入賞口14又は第2大入賞口15のラウンド遊技が最終ラウンドか否か判定する(S750)。S750の肯定判定(S750:yes)、又は、S640(図15)の否定判定、即ち、第2大入賞口15のラウンド遊技中に特定領域16に遊技球が入球せず(継続フラグ=0)実施した第2大入賞口15のラウンド遊技が結果的に最終ラウンドとなったなら(S640:no)、大当り終了演出処理を行い、サブ統合制御装置83に大当り終了演出を指示するコマンドを送信し(S755)リターンする。S750が否定判定なら(S750:no)、ラウンド遊技間インターバル処理を行い、サブ統合制御装置83にインターバル演出を開始する指示信号を送信し(S760)リターンする。
図15に戻り、S660が肯定判定、即ち、大当り終了演出中なら(S660:yes)、図18のフローチャートに進み、大当り終了演出時間が経過したか否か判定する(S800)。S800が否定判定なら(S800:no)リターンに抜け、S800が肯定判定なら(S800:yes)、役物連続作動装置の停止処理(S805)と条件装置の作動停止処理(S810)を行って大当り遊技を終了し、図10のS245(当否判定処理1)で設定したモードバッファを参照して(S815)、確変フラグ(S820)、確変カウンタ(S825)、時短フラグ(S830)、時短カウンタ(S835)を設定し、モードバッファをクリアし(S840)、サブ統合制御装置83に終了コマンドと(S845)、設定した確変フラグと時短フラグに基づく状態指定コマンドを送信し(S850)、大当りフラグに0をセットして(S855)リターンする。
以上が、実施例1において主制御装置80が実行する特別遊技処理1の説明となり、第1大入賞口14が作動する第1大当り遊技から第2大入賞口15が作動する第2大当り遊技の最初のラウンドまでは無条件でラウンド遊技が移行(継続)するが、以降の第2大当り遊技では、第2大入賞口15の作動中に特定領域16に遊技球が入球したことを条件として次回のラウンド遊技が継続する構成となっている。
次に、図19を用いて、実施例1において主制御装置80が実行する継続確認処理を説明する。本処理は第2大当り遊技中に特定領域16への遊技球の入球を確認する処理となり、本発明の大当り遊技制御手段の一部に相当する処理となる。
本処理を開始すると、継続口有効フラグが1か否か判定し(S900)、否定判定なら(S900:no)リターンし、肯定判定なら(S900:yes)、継続フラグが0か否か判定し(S905)、否定判定なら(S905:no)リターンし、肯定判定なら(S905:yes)、特定領域スイッチ16aが遊技球を検出したか否か判定し(S910)、否定判定なら(S910:no)リターンし、肯定判定なら(S910:yes)、継続フラグに1をセットし(S915)、サブ統合制御装置83に継続コマンドを送信し(S920)、継続口有効フラグに0をセットして(S925)リターンする。以上が継続確認処理となり、図15のS640の判定と合わせて本発明の大当り遊技制御手段に相当する。
次に、図20、21を用いて演出図柄表示装置6に表示される演出表示内容について説明する。図20(1)は、サブ統合制御装置83が主制御装置80から大当り開始コマンド(図11、S325)を受信したことに応じて、即ち、大当り図柄を確定表示したことに応じて実施する大当り確定表示演出の表示例となり、図例は大当り図柄1又は2の場合を示している。この演出が表示されることによって、遊技者は、大当り遊技の内容、詳しくは、第2大当り遊技が何ラウンドから開始されるのかが分かり、確実に実施できる第1大当り遊技のラウンド遊技数も認識する。
大当り確定表示演出の具体的な表示内容は、画面の上半分にチャレンジ開始ラウンド報知領域を設け、該領域に「11ラウンド以降はラウンド継続チャレンジ」の文字列を表示することで、11ラウンドから特定領域16への入球がラウンド継続の条件となる第2大当り遊技が始まること、言い換えれば11ラウンドまではラウンド遊技が無条件で継続することを報知し、画面下半分に、左中右の擬似図柄が全て揃った大当り図柄とキャラクタ(熊の達吉)を表示することで大当り図柄の種類を報知する。
(2)は、サブ統合制御装置83が主制御装置80から第1大当り遊技から第2大当り遊技への切り替わり時に受信したインターバル開始指示コマンド(図17、S760)に応じて表示される、チャレンジラウンド前インターバル演出表示例1(大当り図柄2の場合)の表示例となる。この演出表示が表示されることによって、遊技者は、チャレンジラウンド(次回ラウンド遊技を継続させるために特定領域16への入球が条件となるラウンド)が開始されることと、特定領域16への入球方法と入球機会を認識する。
(2)の具体的な表示内容は、画面の上半分に開放パターン報知領域を設け、該領域に、例えば、「開放時がチャンス!Vの真上から落とせチャンスは3回」の文字列を表示する。これにより、遊技者は当該ラウンドの攻略方法を認識することになる。画面下部にはこれから開始するラウンド数と「チャレンジラウンド開始!」の文字列とキャラクタが表示される。なお、入賞装置90のボンネット90bには特定領域16に位置がわかるように「V」の印がある。
図21(3)は、図20(2)から引き続いて表示される演出表示例となり、画面下部に第2大入賞口15が開放するまでの秒数を表示し、例えば「開放まであと3秒」の文字列の数字を時間の経過に応じてカウントダウン表示することで、スライド蓋93が作動する瞬間と遊技球の転動とのタイミングを遊技者が計ることができる。
図21(4)は、最終ラウンド以外の第2大入賞口15作動時に遊技球が特定領域16に入球した場合の表示例(継続コマンド受信時(図19、S920))となる。
以上が実施例1の説明となる。本実施例では、特定領域16を第2大入賞口15内の下流側壁面90dに配置する構成としたが、これに限るわけではなく、スライド蓋93が既に遊技盤内に収納された状態で第2大入賞口15に入賞する遊技球が、特定領域16に入球が困難な構成ならばよく、例えば、上流側壁面90cと下流側壁面90dのほぼ中間に特定領域16を配置してもよい。
また、特定領域16を上流側壁面90c以外に配置し、スライド蓋93が既に収納された状態で上流側壁面90cに沿って入球する遊技球以外は、全て特定領域16に誘導されるような誘導片を設けてもよい、これにより、スライド蓋93の収納動作を行う時点でスライド蓋93上の最上流部以外の流下経路に遊技球が在れば特定領域16に入球する構成となり、より容易に継続が可能な遊技を提供できる。