まず、本発明の実施形態における遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1の正面図である。なお、以下の説明で用いる図において、「上」、「下」、「左」、「右」はパチンコ遊技機1の方向を示している。また、パチンコ遊技機1の前後方向は、図1の紙面手前側が「前」とし、図1の紙面奥側が「後」とする。
このパチンコ遊技機1は、縦長の方形枠状に形成された外枠(図示略)と、該外枠に開閉可能に取り付けられた前面枠3とで主に構成されている。前面枠3の前面には、ガラス扉枠4及び下扉枠5がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠5の下部表面には打球供給皿(上皿)6がある。打球供給皿6の下部には、打球供給皿6に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿7(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル8が設けられている。また、ガラス扉枠4の後方においては、遊技盤9が前面枠3に対して着脱可能に取り付けられている。
遊技盤9は、遊技領域10が遊技盤9の前面側に形成された透光性の合成樹脂材からなる盤面板(図示略)と、所定の厚み幅寸法を有する非透光性の合成樹脂材からなり、上記盤面板を取り付ける取付面が前面に設けられたスペーサ部材(図示略)とから構成されている。また、遊技盤9の背面側には、演出表示装置11及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技盤ユニットが一体的に組み付けられている。
遊技盤ユニットは、遊技盤9と、該遊技盤9の背面側に配置され、遊技盤9を背面側から装飾する装飾ユニット(図示略)と、該装飾ユニットの背面に取り付けられ、演出表示装置11及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニットとから主に構成され、遊技盤9に対して着脱可能に取り付けられる。
上記演出表示装置(飾り図柄表示装置)11は、遊技領域10の中央付近に設けられ、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を有している。演出表示装置11には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア、図中11L,11C,11R)がある。演出表示装置11は、後述する第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置11は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
遊技盤9における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する上記第1特別図柄表示器12aが設けられている。この実施形態は、第1特別図柄表示器12aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器12aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器12aの上方位置に、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する上記第2特別図柄表示器12bが設けられている。第2特別図柄表示器12bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器12bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
なお、本実施形態では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器12aおよび第2特別図柄表示器12bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器12aと第2特別図柄表示器12bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置11は、第1特別図柄表示器12aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器12bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器12aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置11における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器12bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置11における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器12aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器12bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置11において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
演出表示装置11の下方には、上記第1始動入賞口13aを有する普通入賞装置20が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤9の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ、図8参照)によって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する普通入賞装置20の下方には、遊技球が入賞可能な上記第2始動入賞口13bを有する普通可変入賞装置21が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤9の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a及び第2入賞確認スイッチ15b(図8参照)によって検出される。
本実施形態の普通可変入賞装置21は、ソレノイド16によって開閉板17を開閉させることで、第2始動入賞口13bを開状態と閉状態とに変化させる。開閉板17は、矩形板状に形成され、第2始動入賞口13bを前方から覆うことで閉状態とし、その下部を軸中心に前方に向けて約90度回動することで、第2始動入賞口13bを開状態とする。普通可変入賞装置21が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。一方で、普通可変入賞装置21が閉状態となっている場合には、遊技球は第2始動入賞口13bに基本的に入賞しない状態とされる。
なお、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bの検出結果及び第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
次に、第2特別図柄表示器12bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数、すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部とが設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。上記第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器12aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、上記第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器12bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置11の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部19aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部19bとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
なお、この実施形態では、第2始動入賞口13bが開状態と閉状態とに変化する構成であるが、第1始動入賞口13aも開状態と閉状態とに変化する構成としてもよい。
次に、本実施形態では、遊技領域10において演出表示装置11の下方の位置であって、普通入賞装置20から右方に所定距離離れた位置に、特別可変入賞装置22が設けられている。詳細は後述するが、この特別可変入賞球装置22は、やや傾斜した状態で左右方向に延在し、遊技球が流下する流路の底面として形成される板状の底面部材23を、前後方向に進退移動させることにより、底面部材23の下方に位置する大入賞口24に遊技球が入賞可能な開状態(開放状態ともいう)と遊技球が入賞不能な閉状態(閉鎖状態ともいう)とに変化させる。特別可変入賞装置22は、第1特別図柄表示器12aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器12bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)において、底面部材23を前方に向けて前進移動させた閉状態から底面部材23を後方に向けて後退移動させ、入賞領域となる大入賞口24を開状態とする開放制御を複数ラウンド実行する。
大入賞口24内には、大入賞口24内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ25aと第3入賞確認スイッチ25b、図8参照)が設けられている。なお、図示省略するが、本実施形態では、大入賞口24内において、カウントスイッチ25aが上側に配置され、その下側に第3入賞確認スイッチ25bが配置される。従って、この実施形態では、大入賞口24内に入賞した遊技球は、遊技盤9の背面に導かれ、まずカウントスイッチ25aで検出され、次いで第3入賞確認スイッチ25bで検出されることになる。なお、カウントスイッチ25aは、遊技球が大入賞口24に入賞してから2.0秒が経過するまでに該遊技球を検出可能な位置に設けられている。
カウントスイッチ25aによって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。ここで、特別可変入賞球装置22において開状態となった大入賞口24を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出されるようになっている。したがって、特別可変入賞球装置22が開状態となれば、遊技者にとって有利な状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置22が閉状態となれば、大入賞口24に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な状態となる。
次に、第1特別図柄表示器12aの下側には、普通図柄表示器26(可変表示手段)が設けられている。普通図柄表示器26は、例えば2つのランプからなる。遊技球が、後述のゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、または後述のゲート33を通過しゲートスイッチ33aで検出されると、普通図柄表示器26の表示の可変表示が開始される。この実施形態では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器26の下側のランプが点灯して当りである場合に、普通可変入賞装置21が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、普通可変入賞装置21の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32又はゲート33を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器27が設けられている。ゲート32またはゲート33への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aまたはゲートスイッチ33aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器27は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器26の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器27には、ゲート32またはゲート33を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置22の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器26は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
本実施形態では、上記ゲート32が、演出表示装置11の左方に設けられている。また、ゲート33が、特別可変入賞装置22と、普通可変入賞装置21との間に設けられている。更に詳しくは、ゲート33は、底面部材23の左下方に設けられている。また、特別可変入賞装置22及びゲート33の周囲には、多数の釘34が植設されている。これらの釘34は、特別可変入賞装置22に遊技球を案内したり、大入賞口24に入賞せずに特別可変入賞装置22を通過した遊技球をゲート33に案内したり、ゲート33を通過した遊技球を普通可変入賞装置21に案内したりするために植設されている。なお、遊技領域10における左側の領域においても、遊技球を普通入賞装置20や普通可変入賞装置21などに案内するための釘が設けられている。
また、演出表示装置11の周囲には飾り枠体35が設けられている。飾り枠体35は、図示省略するランプや可動物を備えており、演出表示装置11の可変表示とともにランプや可動物を作動させることで演出を行う。飾り枠体35は、右側の外周部が遊技領域10の右側周縁部に沿う弧状に形成され、この遊技領域10の右側周縁との間に遊技球の右側通過領域36を画成している。これにより、このパチンコ遊技機1では、右側通過領域36を通過した遊技球を、特別可変入賞装置22側に案内することが可能となっている。
また、遊技領域10の下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口28が設けられている。さらに、遊技領域10の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ29が設けられている。さらにまた、遊技領域10の外周には、天枠ランプ30a、左枠ランプ30bおよび右枠ランプ30cが設けられている。天枠ランプ30a、左枠ランプ30bおよび右枠ランプ30cは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
また、図1では、図示を省略しているが、左枠ランプ30bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠ランプ30aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニットが、パチンコ遊技機1に隣接して設置される。
遊技領域10おける遊技球の通過ルート、および該通過ルートと打球操作ハンドル8の操作方法について説明すると、このパチンコ遊技機1では、打球操作ハンドル8の操作によって発射された遊技球が、飾り枠体35の左右のいずれか一方のルートを通るようになっている。図1において、R1は、飾り枠体35の左方に規定されるルートを示し、矢印R2は飾り枠体35の右方に規定されるルートを示している。なお、ルートR2は、上記右側通過領域36を通過するルートである。遊技球は、これらルートR1およびルートR2のいずれかのルートを通って、遊技領域10の下方に流下することになる。
一般に、遊技球がルートR1を通って遊技領域10の下方に流下するように遊技球を発射することを、「左打ち」といい、これに対して、遊技球がルートR2を通って遊技領域10の下方に流下するように遊技球を発射することを、「右打ち」という。
本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技領域10において左右方向中央よりも右側に特別可変入賞装置22が設けられているため、ルートR2を通る遊技球が、大入賞口24に入賞する可能性が高くなっている。一方で、ルートR1を通る遊技球は、大入賞口24に入賞する可能性が低くなっている。したがって、パチンコ遊技機1が大当り遊技状態となり、特別可変入賞装置22が開閉する際は、遊技者は「右打ち」をすることで、遊技球が大入賞口24に入賞し易くなる。
また、特別可変入賞装置22は、第1始動入賞口13aを有する普通入賞装置20と上下方向で略同一の高さ位置に設けられており、ルートR2を通る遊技球は、パチンコ遊技機1が大当り遊技状態でなく、大入賞口24に入賞することなく特別可変入賞装置22を通過した場合には、第1始動入賞口13aに入賞する可能性が低くなっている。一方で、第2始動入賞口13bを有する普通可変入賞装置21と、特別可変入賞装置22と、の間には、ゲート33があり、ルートR2を通る遊技球はゲート33を通過し易くなっている。しかしながら、普通可変入賞装置21は、普通図柄表示器26が点灯して当りとなった場合にしか、第2始動入賞口13bを開状態としない。このため、パチンコ遊技機1が特定の遊技状態(詳細は後述する確変状態および時短状態)でないときは、遊技者は、「左打ち」をして、第1始動入賞口13aに入賞させるほうが、パチンコ遊技機1が大当り遊技状態となる可能性が高いといえる。
遊技者が「左打ち」または「右打ち」をするかは、遊技状態に応じて選択されるものであり、遊技者は、打球操作ハンドル8を調整することで、「左打ち」または「右打ち」を打ち分けるようにする。打球操作ハンドル8は、遊技者に回転操作されることで、遊技球を発射し、操作角度に応じて遊技球の発射速度の調整を行う構造となっている。また、打球操作ハンドル8は、遊技球が発射可能な操作角度で操作が維持された場合には、遊技球を一定の発射間隔で連続して発射するように構成されている。そして、打球操作ハンドル8は、操作角度を所定角度範囲内に規制されており、略最大角度まで操作されて場合に、「右打ち」状態となるように調整されている。なお、特定の遊技状態となった際に、演出表示装置11において、遊技者が「右打ち」をするように促す表示をするのが好ましい。
遊技者の操作により、図示省略する打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域10の左側に形成された発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域10に入り、その後、遊技領域10を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器12aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置11において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
また、遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器12bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置11において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器12aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器12bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、大当り遊技状態に移行する。大当り遊技状態においては、特別可変入賞装置22が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する開放制御が行われる。開放制御は、所定回(所定ラウンド、例えば15ラウンド)継続する。遊技者は、この大当り遊技状態では、「右打ち」をすることで、遊技球を大入賞口24に入賞させる可能性を高めることができる。
ここで、演出表示装置11に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア11L,11C,11Rでは、第1特別図柄表示器12aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器12bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア11L,11C,11Rにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置11の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア11L,11C,11Rにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア11L,11C,11Rにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
停止時の第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bにおける特別図柄が大当り図柄のうちのあらかじめ定められた特別な大当り図柄(確変大当り図柄)である場合には、大当り遊技状態後に大当りとすると判定される確率が、通常状態(低確状態と呼ぶ場合もある)であるときに比べて高くなる確率変動状態(確変状態:高確率状態ともいう。)という遊技者にとって有利な状態になる。
一方で、第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bにおける特別図柄が大当り図柄のうちのあらかじめ定められた上記確変大当り図柄でない場合には、大当り遊技状態後に大当りとすると判定される確率が、低確状態とされる。
高確率状態では、普通図柄表示器26の変動時間(変動開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を、通常状態よりも短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御も行われる。さらに、この実施形態では、普通図柄表示器26における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、普通可変入賞装置21の開閉板17の開放時間が長くされ、かつ、開放回数が増加するように制御される。また、高確率状態では、大当り遊技が終了すると、所定期間、時短状態(特別図柄および飾り図柄の変動時間が短縮される状態)に制御される。確変状態における時短状態は、次の大当りが発生するまで継続する。そして、この時短状態では、普通図柄表示器26の変動時間を、通常状態よりも短縮して早期に表示結果を導出表示させるように制御され、かつ、普通図柄表示器26における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、普通可変入賞装置21の開閉板17の開放時間が長くされ、かつ、開放回数が増加するように制御される。
一方で、第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bにおける特別図柄が大当り図柄のうちのあらかじめ定められた確変大当り図柄でない場合においても、大当り遊技が終了すると、所定期間、時短状態(特別図柄および飾り図柄の変動時間が短縮される状態)に制御される。この時短状態は、特別図柄の変動(可変表示)が所定回数(例えば、100回)行なわれるまで継続する。そして、この時短状態では、普通図柄表示器26の変動時間を、通常状態よりも短縮して早期に表示結果を導出表示させるように制御され、かつ、普通図柄表示器26における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、普通可変入賞装置21の開閉板17の開放時間が長くされ、かつ、開放回数が増加するように制御される。
そして、本実施形態では、第2始動入賞口13bを有する普通可変入賞装置21と、特別可変入賞装置22と、の間に設けられたゲート33に、ルートR2を通る遊技球が比較的通過し易くなっているため、確変状態または時短状態において、「右打ち」をすることで、第2始動入賞口13bへの入賞の可能性が高くなる。このため、遊技者は、上記双方の時短状態においては、「右打ち」をすることで、遊技球を第2始動入賞口13bに効率的に入賞させることができる。なお、以下では、確変図柄で大当り後の確変状態における時短状態を、単に確変状態と呼ぶものとする。
次に図2〜図7は、特別可変入賞球装置22を示す図である。以下では、図2〜図7を参照して特別可変入賞球装置22について説明する。
図2〜図5に示すように、特別可変入賞球装置22は、左右方向に長い矩形板状のベース板部101を備えている。特別可変入賞球装置22は、このベース板部101が遊技領域10に例えば螺子などで固定されることで、遊技領域10に固定支持される。ベース板部101の略中央領域には、前方に向けて開口する大入賞口24が形成されるとともに、ベース板部101における大入賞口24よりも上方の位置には、底面部材23が後退移動した際に、底面部材23を遊技領域10の背面側(後方)に収容するための左右方向に長いスリット状の収容孔102が形成されている。なお、本実施形態において大入賞口24は詳しくは、ベース板部101の左右方向中央よりやや左側に形成されているが、これよりも左または右であってもよい。
底面部材23は、右方からその上面に進入した遊技球を、左方に向けて流下させるように、左下がり傾斜し、収容孔102は、底面部材23の傾斜に沿うように、左下がり傾斜するように形成されている。底面部材23は、図3に示す前進移動された状態と、図4に示す後退移動した状態と、に進退移動可能とされており、図5および図6を参照し、ベース板部101の背面側(後方)には、底面部材23を進退移動させる駆動装置103が配置されている。
駆動装置103は、ベース板部101の背面に一体形成された収容部104(図5において、説明便宜上、二点鎖線で示す。)に収容され、この収容部104は、遊技領域10に形成された図示省略する孔に挿通されて、遊技領域10の後方内部に収容されるように配置されている。なお、本実施形態において収容部104は、ベース板部101に一体形成されるが、別体でベース板部101に固定されるものであってもよい。
駆動装置103は、プランジャ105を前後方向に進退移動させるソレノイド106と、プランジャ105の先端部に、一端部を上下方向を軸中心として回動可能に支持されるとともに他端を右方に延ばし、その中央部に枢支孔107が形成された第1アーム部108と、第1アーム部108の先端部に形成された長孔109に挿通される軸部110を一端部に有するとともに、他端部を底面部材23の後部に固定させた前後方向に延在する第2アーム部111と、を備えている。
ソレノイド106は、主基板40からの指令に基づき駆動し、第1アーム部108の枢支孔107には、上下方向が軸中心となるように図示省略する枢軸(例えば、収容部104に形成される)が挿通される。これにより、プランジャ105の進退移動に伴い、第1アーム部108が枢支孔107を軸中心に揺動し、長孔109が形成された側の端部が前後方向に揺動する。そして、第2アーム部111は、軸部110が長孔109の長手方向に相対移動可能に挿通されることで、第1アーム部108の揺動に応じて長孔109から前後方向に沿った作用力を付与されることになり、底面部材23を前後方向に沿って進退移動させることが可能となっている。
本実施形態では、図6(A)に示すように、プランジャ105が後方に向けて推進した状態で、底面部材23が前進移動した状態となる一方で、図6(B)に示すように、図6(A)の状態からプランジャ105を縮退させることで、第1アーム部108が枢支孔107を軸中心に揺動して、長孔109が形成された側の端部が後方に移動する。これにより、第2アーム部111が後方に引かれることで、底面部材23が後退移動した状態となり、逆の動作によって、底面部材23が前進移動した状態となる。
なお、仮に底面部材23がベース板部101よりも深い位置まで後退移動した場合、ベース板部101の収容孔102の位置からずれてしまい、底面部材23を前進移動させようとしたときに収容孔102の淵に引っかかるなどして適正に収容孔102から前進移動しない虞がある。そこで、以下のように構成することで対策を講じることとしてもよい。
まず、第1の構成例として、底面部材23がベース板部101よりも深い位置まで後退移動することを抑制するストッパ部材を設けることとしてもよい。例えば、第2アーム部111の前後方向に長孔部を形成し、該長孔部にストッパ部材としての突起部を挿通して固定し、底面部材23を適切な位置まで後退移動させたときに該突起部が該長孔部の前端部に当接することにより、底面部材23がベース板部101よりも深い位置まで後退移動することを抑制することとしてもよい。また、第2の構成例として、底面部材23がベース板部101よりも深い位置まで後退移動した場合であっても、適正に前進移動させるよう底面部材23を誘導する誘導部(誘導リブ)をベース板部101の裏面や収容部104に設けることとしてもよい。これら第1の構成例および第2の構成例のうち、いずれか一方の構成例を適用することとしてもよいし、両方の構成例を適用することとしてもよい。
図2〜図4に戻り、ベース板部101の正面側には、前方に向けて突出した流路形成台部112が形成されており、この流路形成台部112の上部には、前進移動した状態の底面部材23の上方側端部(右端部)である上流領域23Uと底面部材23の長手方向で連なり、底面部材23とともに遊技球の流路を形成する上流側流路部113と、底面部材23の下方側端部(左端部)である下流領域23Lと底面部材23の長手方向で連なり、底面部材23とともに遊技球の流路を形成する下流側流路部114と、が形成されている。
また、流路形成台部112の上部には、上流側流路部113および下流側流路部114の底面部材23側の端部から下方に凹み、正面視で、大入賞口24を左右および下方から囲うようにして、底面部材23の下方に落下した遊技球を大入賞口24に案内する案内流路部115が形成されている。
上流側流路部113および下流側流路部114は、遊技球を左方に流下させるべく左下がりに傾斜するように形成されている。また、案内流路部115の底部は、大入賞口24側に向けて左下がりに延びるとともに、大入賞口24の前方の位置で凹んでいる。そして、案内流路部115の底部において上記凹んだ空間には、遊技球を大入賞口24側(遊技領域10の背面側)に向けて後方に案内する三角形状のガイド部116が配設されている。
またさらに、流路形成台部112の前部(遊技者側)には、上流側流路部113、下流側流路部114および案内流路部115を前方から覆う被覆部117が一体に形成されている。この被覆部117は、上流側流路部113、下流側流路部114および案内流路部115を前方から覆うことで、これら各流路部を流下する遊技球がガラス扉枠4側に跳ねてしまうことを防ぐ機能を有している。なお、本実施形態では、被覆部117が流路形成台部112に一体形成されるが、別体で固定されるものでもよい。
特別可変入賞球装置22では、ベース板部101と被覆部117との間において、上流側流路部113、底面部材23、および下流側流路部114からなる、左右方向に連なる遊技球の流路Fが形成される。ここで、本実施形態では、ベース板部101および被覆部117に、流路Fを流下する遊技球の流下速度を低下させる複数の規制片118が形成されている。
本実施形態において、規制片118は、ベース板部101および被覆部117に一体形成され、ベース板部101から前方に突出する、または被覆部117から後方に突出するリブ状に形成され、遊技球に干渉することで、左方に向けて流下する遊技球を前後方向成分の動きをもって蛇行するように、遊技球の流下方向を変更させて、その流下にかかる時間を、規制片118がない場合よりも遅延させる。これら規制片118は、流路Fにおける遊技球の流下方向で、所定間隔を空けて並ぶように形成され、かつベース板部101および被覆部117に交互に形成されている。また、規制片118は、底面部材23の前後方向幅の1/3〜1/4程度の幅寸法に設定され、かつ隣接するもの同士の間に遊技球が通過可能な幅寸法に設定されている。さらに詳しくは、本実施形態では、被覆部117のうちの上流側流路部113を前方から覆う部位に、規制片118が1つ形成されるとともに、被覆部117のうちの下流側流路部114を前方から覆う部位に、規制片118が1つ形成されている。また、ベース板部101および被覆部117のうちの底面部材23を覆う部位には、ベース板部101および被覆部117に交互に形成された規制片118が合計5つ形成されている。なお、このような規制片118の数は、特段限定されるものではない。また、本実施形態では、規制片118の大部分が、前方(遊技者側)から被覆部117によって覆われるようになっている。
以上のような規制片118の配置により、図3および図5に示すように、本実施形態の特別可変入賞球装置22では、流路Fを流下しようとする遊技球Pが、流路F上を蛇行するようにして流下することになる。そして、このような流路Fが形成される特別可変入賞球装置22の閉状態では、遊技球Pが大入賞口24に入賞せずに、特別可変入賞球装置22を基本的に通過する。一方で、図4を参照し、底面部材23が後退移動した特別可変入賞球装置22の開状態では、遊技球Pが、流路形成台部112の案内流路部115に落下することが可能となり、この案内流路部115を流下して、大入賞口24に入賞することが可能となる。
図7は、規制片118により遅延された遊技球Pの、底面部材23における上流領域23Uから下流領域23Lへの流下にかかる時間(以下、流下時間)と、大当り遊技状態におけるラウンドインターバルとの関係を説明する図である。
図7(A)では、遊技球Pの、底面部材23における上流領域23Uから下流領域23Lへの流下時間を便宜上、符号Ta(s)で示している。一方、図7(B)には、大当り遊技状態におけるラウンドインターバルをTin(s)で示している。ラウンドインターバルTin(s)は、大当り遊技状態において特別可変入賞装置22を開状態から閉状態に変化させたあと、再度開状態に変化させる時間である。なお、ラウンドインターバルTin(s)は、賞球検出待ち時間が考慮された値であってもよい。賞球検出待ち時間とは、底面部材23を閉鎖する直前に入賞した遊技球がカウントスイッチ25aを通過するまでにかかる時間であり、大入賞口24からカウントスイッチ25aまでの入賞球誘導通路の長さに応じて設定される。
ここで、本実施形態では、流下時間Ta(s)>ラウンドインターバルTin(s)の関係が成り立つように、規制片118が設けられるようになっている。このような関係とするための具体的な手段としては、例えば、底面部材23上の上流領域23Uから下流領域23Lへ蛇行して流下する遊技球の流下距離を、上流領域23Uに達する際の遊技球の平均的な速度で除することなどにもとづいて規制片118の数や配置を演算的に決定したりしてもよい。具体的には、後述するように、通常大当りまたは確変大当りAにおけるラウンドインターバルまたは確変大当りBの1ラウンド〜8ラウンドにおけるラウンドインターバルラウンドインターバルTin(s)は0.8秒であるため、流下時間Ta(s)が1.0秒になるように規制片118を設けることとすれば、流下時間Ta(s)>ラウンドインターバルTin(s)の関係が成り立つこととなる。
図8は、主基板(遊技制御基板)40における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図8は、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板40には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU56のほかRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや、確変フラグなど)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施の形態では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ560(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板40以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ560のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ560の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行なって得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
また、ゲートスイッチ32a,33a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ25、および第3入賞確認スイッチ25bからの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58も主基板40に搭載されている。また、普通可変入賞装置21を開閉するソレノイド16、および特別可変入賞球装置22を開閉するソレノイド106を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板40に搭載されている。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器12a、第2特別図柄表示器12b、特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器26および普通図柄保留記憶表示器27の表示制御を行う。
なお、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板40に搭載されている。
この実施の形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置11の表示制御を行う。
また、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段が、ランプドライバ基板41を介して、枠側に設けられている天枠LED30a、左枠LED30b、右枠LED30cの表示制御を行うとともに、音声出力基板70を介してスピーカ29からの音出力の制御を行う。
図9は、中継基板77、演出制御基板80、ランプドライバ基板41および音声出力基板70の回路構成例を示すブロック図である。なお、図9に示す例では、ランプドライバ基板41および音声出力基板70には、マイクロコンピュータは搭載されていないが、マイクロコンピュータを搭載してもよい。また、ランプドライバ基板41および音声出力基板70を設けずに、演出制御に関して演出制御基板80のみを設けてもよい。
演出制御基板80は、演出制御用CPU201、および演出図柄プロセスフラグ等の演出に関する情報を記憶するRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ200を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ200におけるRAMは電源バックアップされていない。演出制御基板80において、演出制御用CPU201は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板40からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ202および入力ポート203を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU201は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)209に演出表示装置11の表示制御を行わせる。
この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ200と共動して演出表示装置11の表示制御を行うVDP209が演出制御基板80に搭載されている。VDP209は、演出制御用マイクロコンピュータ200とは独立したアドレス空間を有し、そこにVRAMをマッピングする。VRAMは、画像データを展開するためのバッファメモリである。そして、VDP209は、VRAM内の画像データをフレームメモリを介して演出表示装置11に出力する。
演出制御用CPU201は、受信した演出制御コマンドに従ってCGROM(図示せず)から必要なデータを読み出すための指令をVDP209に出力する。CGROMは、演出表示装置11に表示されるキャラクタ画像データや動画像データ、具体的には、人物、文字、図形や記号等(演出図柄を含む)、および背景画像のデータをあらかじめ格納しておくためのROMである。VDP209は、演出制御用CPU201の指令に応じて、CGROMから画像データを読み出す。そして、VDP209は、読み出した画像データにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバ202に入力する。入力ドライバ202は、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板40から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路74が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。図9には、ダイオードが例示されている。また、単方向性回路は、各信号毎に設けられる。さらに、単方向性回路である出力ポート571を介して主基板40から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板40の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板40の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ560側)に入り込まない。なお、出力ポート571は、図8に示されたI/Oポート部57の一部である。また、出力ポート571の外側(中継基板77側)に、さらに、単方向性回路である信号ドライバ回路が設けられていてもよい。
さらに、演出制御用CPU201は、出力ポート205を介してランプドライバ基板41に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPU201は、出力ポート204を介して音声出力基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板41において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ351を介してLEDドライバ352に入力される。LEDドライバ352は、LEDを駆動する信号にもとづいて天枠LED30a、左枠LED30b、右枠LED30cなどの発光体に電流を供給する。
音声出力基板70において、音番号データは、入力ドライバ702を介して音声合成用IC703に入力される。音声合成用IC703は、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路705に出力する。増幅回路705は、音声合成用IC703の出力レベルを、ボリューム706で設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ29に出力する。音声データROM704には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
次に遊技機の動作について説明する。図10は、遊技機に対して電力供給が開始され遊技制御用マイクロコンピュータ560へのリセット信号がハイレベルになったことに応じて遊技制御用マイクロコンピュータ560のCPU56が実行するメイン処理を示すフローチャートである。リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになると、遊技制御用マイクロコンピュータ560のCPU56は、プログラムの内容が正当か否かを確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、マスク可能割込の割込モードを設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。なお、ステップS2では、遊技制御用マイクロコンピュータ560の特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)から合成されるアドレスが、割込番地を示すモードに設定する。また、マスク可能な割込が発生すると、CPU56は、自動的に割込禁止状態に設定するとともに、プログラムカウンタの内容をスタックにセーブする。
次いで、内蔵デバイスレジスタの設定(初期化)を行う(ステップS5)。ステップS5の処理によって、内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の設定(初期化)がなされる。
この実施の形態で用いられる遊技制御用マイクロコンピュータ560は、I/Oポート(PIO)およびタイマ/カウンタ回路(CTC)504も内蔵している。
次いで、CPU56は、RAM55をアクセス可能状態に設定し(ステップS6)、クリア信号のチェック処理に移行する。
なお、遊技の進行を制御する遊技装置制御処理(遊技制御処理)の開始タイミングをソフトウェアで遅らせるためのソフトウェア遅延処理を実行するようにしてもよい。そのようなソフトウェア遅延処理によって、ソフトウェア遅延処理を実行しない場合に比べて、遊技制御処理の開始タイミングを遅延させることができる。遅延処理を実行したときには、他の制御基板(例えば、払出制御基板37)に対して、遊技制御基板(主基板40)が送信するコマンドを他の制御基板のマイクロコンピュータが受信できないという状況が発生することを防止できる。
次いで、CPU56は、クリアスイッチがオンされているか否か確認する(ステップS7)。なお、CPU56は、入力ポート0を介して1回だけクリア信号の状態を確認するようにしてもよいが、複数回クリア信号の状態を確認するようにしてもよい。例えば、クリア信号の状態がオフ状態であることを確認したら、所定時間(例えば、0.1秒)の遅延時間をおいた後、クリア信号の状態を再確認する。そのときにクリア信号の状態がオン状態であることを確認したら、クリア信号がオン状態になっていると判定する。また、このときにクリア信号の状態がオフ状態であることを確認したら、所定時間の遅延時間をおいた後、再度、クリア信号の状態を再確認するようにしてもよい。ここで、再確認の回数は、1回または2回に限られず、3回以上であってもよい。また、2回チェックして、チェック結果が一致していなかったときにもう一度確認するようにしてもよい。
ステップS7でクリアスイッチがオンでない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS8)。この実施の形態では、電力供給の停止が生じた場合には、バックアップRAM領域のデータを保護するための処理が行われている。そのような電力供給停止時処理が行われていたことを確認した場合には、CPU56は、電力供給停止時処理が行われた、すなわち電力供給停止時の制御状態が保存されていると判定する。電力供給停止時処理が行われていないことを確認した場合には、CPU56は初期化処理を実行する。
電力供給停止時処理が行われていたか否かは、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に保存されるバックアップ監視タイマの値が、電力供給停止時処理を実行したことに応じた値(例えば2)になっているか否かによって確認される。なお、そのような確認の仕方は一例であって、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップフラグ領域に電力供給停止時処理を実行したことを示すフラグをセットし、ステップS8において、そのフラグがセットされていることを確認したら電力供給停止時処理が行われたと判定してもよい。
電力供給停止時の制御状態が保存されていると判定したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う(ステップS9)。この実施の形態では、クリアデータ(00)をチェックサムデータエリアにセットし、チェックサム算出開始アドレスをポインタにセットする。また、チェックサムの対象になるデータ数に対応するチェックサム算出回数をセットする。そして、チェックサムデータエリアの内容とポインタが指すRAM領域の内容との排他的論理和を演算する。演算結果をチェックサムデータエリアにストアするとともに、ポインタの値を1増やし、チェックサム算出回数の値を1減算する。以上の処理が、チェックサム算出回数の値が0になるまで繰り返される。チェックサム算出回数の値が0になったら、CPU56は、チェックサムデータエリアの内容の各ビットの値を反転し、反転後のデータをチェックサムにする。
電力供給停止時処理において、上記の処理と同様の処理によってチェックサムが算出され、チェックサムはバックアップRAM領域に保存されている。ステップS9では、算出したチェックサムと保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっている可能性があることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理(ステップS10〜S14の処理)を実行する。
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行う。具体的には、ROM54に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS41)、バックアップ時設定テーブルの内容を順次作業領域(RAM55内の領域)に設定する(ステップS42)。作業領域はバックアップ電源によって電源バックアップされている。バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。ステップS41およびS42の処理によって、作業領域のうち初期化してはならない部分については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない部分とは、例えば、電力供給停止前の遊技状態を示すデータ(特別図柄プロセスフラグ、確変フラグなど)、出力ポートの出力状態が保存されている領域(出力ポートバッファ)、未払出賞球数を示すデータが設定されている部分などである。
また、CPU56は、ROM54に格納されているバックアップ時コマンド送信テーブルの先頭アドレスをポインタに設定する(ステップS43)。また、CPU56は、電力供給復旧時の初期化コマンドとしての停電復旧指定コマンドを送信する(ステップS44)。そして、ステップS15に移行する。
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS10)。なお、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータをそのままにしてもよい。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS11)、初期化時設定テーブルの内容を順次業領域に設定する(ステップS12)。
ステップS11およびS12の処理によって、例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄バッファ、特別図柄プロセスフラグ、賞球中フラグ、球切れフラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグに初期値が設定される。
また、CPU56は、ROM54に格納されている初期化時コマンド送信テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS13)、その内容に従ってサブ基板を初期化するための初期化コマンドをサブ基板に送信する処理を実行する(ステップS14)。初期化コマンドとして、演出表示装置11に表示される初期図柄を示すコマンドや払出制御基板37への初期化コマンド等を使用することができる。
また、CPU56は、乱数回路60を初期設定する乱数回路設定処理を実行する(ステップS15)。
そして、CPU56は、所定時間(例えば4ms)ごとに定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行なうタイマ割込設定処理を実行する(ステップS16)。すなわち、初期値として例えば4msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施の形態では、4msごとに定期的にタイマ割込がかかるとする。
タイマ割込の設定が完了すると、CPU56は、まず、割込禁止状態にして(ステップS17)、初期値用乱数更新処理(ステップS18a)と表示用乱数更新処理(ステップS18b)を実行して、再び割込許可状態にする(ステップS19)。すなわち、CPU56は、初期値用乱数更新処理および表示用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態にして、初期値用乱数更新処理および表示用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態にする。
なお、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。初期値用乱数とは、大当りの種類を決定するための判定用乱数(例えば、大当りを発生させる特別図柄を決定するための大当り図柄決定用乱数や、遊技状態を確変状態に移行させるかを決定するための確変決定用乱数、普通図柄にもとづく当りを発生させるか否かを決定するための普通図柄当たり判定用乱数)を発生するためのカウンタ(判定用乱数発生カウンタ)等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータが、遊技機に設けられている演出表示装置11、普通可変入賞装置21、球払出装置97等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、判定用乱数発生カウンタのカウント値が1周すると、そのカウンタに初期値が設定される。
また、表示用乱数とは、特別図柄表示器(第1特別図柄表示器12a、第2特別図柄表示器12b)の表示を決定するための乱数である。この実施の形態では、表示用乱数として、特別図柄の変動パターンを決定するための変動パターン決定用乱数や、大当りを発生させない場合にリーチとするか否かを決定するためのリーチ判定用乱数が用いられる。また、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。
また、表示用乱数更新処理が実行されるときに割込禁止状態にされるのは、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が後述するタイマ割込処理でも実行される(すなわち、タイマ割込処理のステップS26,S27でも同じ処理が実行される)ことから、タイマ割込処理における処理と競合してしまうのを避けるためである。すなわち、ステップS18a,S18bの処理中にタイマ割込が発生してタイマ割込処理中で初期値用乱数や表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新してしまったのでは、カウント値の連続性が損なわれる場合がある。しかし、ステップS18a,S18bの処理中では割込禁止状態にしておけば、そのような不都合が生ずることはない。
次に、タイマ割込処理について説明する。図11は、タイマ割込処理を示すフローチャートである。メイン処理の実行中に、具体的には、ステップS17〜S19のループ処理の実行中における割込許可になっている期間において、タイマ割込が発生すると、遊技制御用マイクロコンピュータ560のCPU56は、タイマ割込の発生に応じて起動されるタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、CPU56は、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断処理(電源断検出処理)を実行する(ステップS20)。そして、CPU56は、スイッチ回路58を介して、ゲートスイッチ32a,33a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ25、および第3入賞確認スイッチ25b等のスイッチの検出信号を入力し、各スイッチの入力を検出する(スイッチ処理:ステップS21)。具体的には、各スイッチの検出信号を入力する入力ポートの状態がオン状態であれば、各スイッチに対応して設けられているスイッチタイマの値を+1する。
次に、CPU56は、特別図柄表示器(第1特別図柄表示器12a、第2特別図柄表示器12b)、普通図柄表示器26、特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄保留記憶表示器27の表示制御を行う表示制御処理を実行する(ステップS22)。特別図柄表示器(第1特別図柄表示器12a、第2特別図柄表示器12b)および普通図柄表示器26については、ステップS36,S37で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
次いで、CPU56は、大入賞口24への異常入賞の発生を検出して異常報知を行うための入賞報知処理を実行する(ステップS24)。
ステップS24の後、CPU56は、遊技制御に用いられる普通図柄当り判定用乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(判定用乱数更新処理:ステップS25)。また、CPU56は、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(初期値用乱数更新処理:ステップS26)。さらに、CPU56は、表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(表示用乱数更新処理:ステップS27)。
次いで、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS28)。特別図柄プロセス処理では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS29)。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示器26の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
次いで、CPU56は、特別図柄の変動に同期する演出図柄に関する演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ200に対して送信する処理を行う(演出図柄コマンド制御処理:ステップS30)。なお、演出図柄の変動が特別図柄の変動に同期するとは、変動時間(可変表示期間)が同じであることを意味する。
次いで、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される始動口信号、図柄確定回数1信号、図柄確定回数2信号、大当り1〜3信号、時短信号などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS31)。
また、CPU56は、ゲートスイッチ32a,33a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ25、および第3入賞確認スイッチ25bの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS32)。具体的には、ゲートスイッチ32a,33a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ25、および第3入賞確認スイッチ25bのいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
また、遊技機の制御状態を遊技機外部で確認できるようにするための試験信号を出力する処理である試験端子処理を実行する(ステップS33)。また、この実施の形態では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポート0のRAM領域におけるソレノイドに関する内容を出力ポートに出力する(ステップS34:出力処理)。そして、CPU56は、保留記憶数の増減をチェックする記憶処理を実行する(ステップS35)。
また、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行うための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行う(ステップS36)。さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行うための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行う(ステップS37)。
次いで、CPU56は、各状態表示灯の表示を行うための状態表示制御データを状態表示制御データ設定用の出力バッファに設定する状態表示灯表示処理を行う(ステップS38)。この場合、遊技状態が高確率状態(例えば、確変状態)にも制御される場合には、高確率状態であることを示す状態表示灯の表示を行うための状態表示制御データを出力バッファに設定するようにしてもよい。
その後、割込許可状態に設定し(ステップS39)、処理を終了する。
以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は4ms毎に起動されることになる。なお、遊技制御処理は、タイマ割込処理におけるステップS21〜S39(ステップS31,33を除く。)の処理に相当する。また、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bおよび演出表示装置11にはずれ図柄が停止表示される場合には、演出図柄の可変表示が開始されてから、演出図柄の可変表示状態がリーチ状態にならずに、リーチにならない所定の演出図柄の組み合わせが停止表示されることがある。このような演出図柄の可変表示態様を、可変表示結果がはずれ図柄になる場合における「非リーチ」(「通常はずれ」ともいう)の可変表示態様という。
第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bおよび演出表示装置11にはずれ図柄が停止表示される場合には、演出図柄の可変表示が開始されてから、演出図柄の可変表示状態がリーチ状態となった後にリーチ演出が実行され、最終的に大当り図柄とはならない所定の演出図柄の組み合わせが停止表示されることがある。このような演出図柄の可変表示結果を、可変表示結果が「はずれ」となる場合における「リーチ」(「リーチはずれ」ともいう)の可変表示態様という。
この実施の形態では、第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bに大当り図柄が停止表示される場合には、演出図柄の可変表示状態がリーチ状態になった後にリーチ演出が実行され、最終的に演出表示装置11における「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリア9L、9C、9Rに、演出図柄が揃って停止表示される。
図12は、あらかじめ用意された演出図柄の変動パターンを示す説明図である。図12に示すように、この実施の形態では、可変表示結果が「はずれ」であり演出図柄の可変表示態様が「非リーチ」である場合に対応した変動パターンとして、非リーチPA1−1〜非リーチPA1−4の変動パターンが用意されている。また、可変表示結果が「はずれ」であり演出図柄の可変表示態様が「リーチ」である場合に対応した変動パターンとして、ノーマルPA2−1〜ノーマルPA2−2、ノーマルPB2−1〜ノーマルPB2−2、スーパーPA3−1〜スーパーPA3−2、スーパーPB3−1〜スーパーPB3−2の変動パターンが用意されている。なお、図12に示すように、リーチしない場合に使用され擬似連の演出を伴う非リーチPA1−4の変動パターンについては、再変動が1回行われる。リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2−1を用いる場合には、再変動が1回行われる。また、リーチしない場合に使用される非リーチPA1−2の変動パターンは、短縮変動用の変動パターンであり、演出図柄の変動時間が短い時間(本例では、1.5秒)に短縮される。また、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2−2を用いる場合には、再変動が2回行われる。さらに、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、スーパーPA3−1〜スーパーPA3−2を用いる場合には、再変動が3回行われる。なお、再変動とは、演出図柄の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦はずれとなる演出図柄を仮停止させた後に演出図柄の可変表示を再度実行することである。
また、図12に示すように、この実施の形態では、特別図柄の可変表示結果が大当り図柄になる場合に対応した変動パターンとして、ノーマルPA2−3〜ノーマルPA2−4、ノーマルPB2−3〜ノーマルPB2−4、スーパーPA3−3〜スーパーPA3−4、スーパーPB3−3〜スーパーPB3−4の変動パターンが用意されている。
また、図12に示すように、擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2−3を用いる場合には、再変動が1回行われる。また、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2−4を用いる場合には、再変動が2回行われる。さらに、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、スーパーPA3−3〜スーパーPA3−4を用いる場合には、再変動が3回行われる。
なお、この実施の形態では、図12に示すように、リーチの種類に応じて変動時間が固定的に定められている場合(例えば、擬似連ありのスーパーリーチAの場合には変動時間が32.75秒で固定であり、擬似連なしのスーパーリーチAの場合には変動時間が22.75秒で固定である)を示しているが、例えば、同じ種類のスーパーリーチの場合であっても、合算保留記憶数に応じて、変動時間を異ならせるようにしてもよい。例えば、同じ種類のスーパーリーチを伴う場合であっても、合算保留記憶数が多くなるに従って、変動時間が短くなるようにしてもよい。また、例えば、同じ種類のスーパーリーチの場合であっても、第1特別図柄の変動表示を行う場合には、第1保留記憶数に応じて、変動時間を異ならせるようにしてもよく、第2特別図柄の変動表示を行う場合には、第2保留記憶数に応じて、変動時間を異ならせるようにしてもよい。この場合、第1保留記憶数や第2保留記憶数の値ごとに別々の判定テーブルを用意しておき(例えば、保留記憶数0〜2用の変動パターン種別判定テーブルと保留記憶数3,4用の変動パターン種別判定テーブルとを用意しておき)、第1保留記憶数または第2保留記憶数の値に応じて判定テーブルを選択して、変動時間を異ならせるようにしてもよい。
図13は、各乱数を示す説明図である。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダム1(MR1):大当りの種類(後述する通常大当り、確変大当りA、確変大当りB)を決定する(大当り種別判定用)
(2)ランダム2(MR2):変動パターンの種類(種別)を決定する(変動パターン種別判定用)
(3)ランダム3(MR3):変動パターン(変動時間)を決定する(変動パターン判定用)
(4)ランダム4(MR4):普通図柄にもとづく当りを発生させるか否か決定する(普通図柄当り判定用)
(5)ランダム5(MR5):ランダム4の初期値を決定する(ランダム4初期値決定用)
なお、この実施の形態では、変動パターンは、まず、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)を用いて変動パターン種別を決定し、変動パターン判定用乱数(ランダム3)を用いて、決定した変動パターン種別に含まれるいずれかの変動パターンに決定する。そのように、この実施の形態では、2段階の抽選処理によって変動パターンが決定される。
なお、変動パターン種別とは、複数の変動パターンをその変動態様の特徴に従ってグループ化したものである。例えば、複数の変動パターンをリーチの種類でグループ化して、ノーマルリーチを伴う変動パターンを含む変動パターン種別と、スーパーリーチAを伴う変動パターンを含む変動パターン種別と、スーパーリーチBを伴う変動パターンを含む変動パターン種別とに分けてもよい。また、例えば、複数の変動パターンを擬似連の再変動の回数でグループ化して、擬似連を伴わない変動パターンを含む変動パターン種別と、再変動1回の変動パターンを含む変動パターン種別と、再変動2回の変動パターンを含む変動パターン種別と、再変動3回の変動パターンを含む変動パターン種別とに分けてもよい。また、例えば、複数の変動パターンを擬似連や滑り演出などの特定演出の有無でグループ化してもよい。
図11に示された遊技制御処理におけるステップS25では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、(1)の大当り種別判定用乱数、および(4)の普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行う。すなわち、それらが判定用乱数であり、それら以外の乱数が表示用乱数(ランダム2、ランダム3)または初期値用乱数(ランダム5)である。なお、遊技効果を高めるために、上記の乱数以外の乱数も用いてもよい。また、この実施の形態では、大当り判定用乱数として、遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されたハードウェア(遊技制御用マイクロコンピュータ560の外部のハードウェアでもよい。)が生成する乱数を用いる。なお、大当り判定用乱数として、ハードウェア乱数ではなく、ソフトウェア乱数を用いてもよい。
図14(A)は、大当り判定テーブルを示す説明図である。大当り判定テーブルとは、ROM54に記憶されているデータの集まりであって、ランダムRと比較される大当り判定値が設定されているテーブルである。大当り判定テーブルには、通常状態(すなわち、確変状態でない遊技状態)において用いられる通常時大当り判定テーブルと、確変状態において用いられる確変時大当り判定テーブルとがある。通常時大当り判定テーブルには、図14(A)の左欄に記載されている各数値が設定され、確変時大当り判定テーブルには、図14(A)の右欄に記載されている各数値が設定されている。図14(A)に記載されている数値が大当り判定値である。
CPU56は、所定の時期に、乱数回路60のカウント値を抽出して抽出値を大当り判定用乱数(ランダムR)の値とするのであるが、大当り判定用乱数値が図14(A)に示すいずれかの大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当り(後述する通常大当り、確変大当りA、確変大当りB)にすることに決定する。なお、図14(A)に示す「確率」は、大当りになる確率(割合)を示す。また、大当りにするか否か決定するということは、大当り遊技状態に移行させるか否か決定するということであるが、第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bにおける停止図柄を大当り図柄にするか否か決定するということでもある。
図14(B),(C)は、ROM54に記憶されている大当り種別判定テーブル131a,131bを示す説明図である。このうち、図14(B)は、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したことにもとづく保留記憶を用いて(すなわち、第1特別図柄の変動表示が行われるとき)大当り種別を決定する場合の大当り種別判定テーブル(第1特別図柄用)131aである。また、図14(C)は、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したことにもとづく保留記憶を用いて(すなわち、第2特別図柄の変動表示が行われるとき)大当り種別を決定する場合の大当り種別判定テーブル(第2特別図柄用)131bである。
大当り種別判定テーブル131a,131bは、可変表示結果を大当り図柄にする旨の判定がなされたときに、大当り種別判定用の乱数(ランダム1)にもとづいて、大当りの種別を「通常大当り」、「確変大当りA」、「確変大当りB」のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。なお、この実施の形態では、図14(B),(C)に示すように、大当り種別判定テーブル131aには「確変大当りA」に対して20個の判定値が割り当てられている(40分の20の割合で確変大当りAと決定される)のに対して、大当り種別判定テーブル131bには「確変大当りA」に対して25個の判定値が割り当てられている(40分の25の割合で確変大当りAと決定される)場合を説明する。従って、この実施の形態では、第1始動入賞口13aに始動入賞して第1特別図柄の変動表示が実行される場合よりも、第2始動入賞口13bに始動入賞して第2特別図柄の変動表示が実行される場合の方が、「確変大当りA」と決定される割合が高い。
この実施の形態では、図14(B),(C)に示すように、大当り種別として、「通常大当り」、「確変大当りA」、「確変大当りB」がある。なお、この実施の形態では、大当り遊技において実行されるラウンド数が15ラウンドの1種類である場合を示しているが、大当り遊技において実行されるラウンド数は、この実施の形態で示したものにかぎられない。例えば、10ラウンドの大当り遊技に制御する10R確変大当りや、7ラウンドの大当り遊技に制御する7R確変大当り、5ラウンドの大当り遊技に制御する5R確変大当りが設けられていてもよい。また、この実施の形態では、大当り種別が「通常大当り」、「確変大当りA」、「確変大当りB」の3種類である場合を示しているが、3種類にかぎらず、例えば、4種類以上の大当り種別を設けるようにしてもよい。また、逆に、大当り種別が3種類よりも少なくてもよく、例えば、大当り種別として1種類のみ設けられていてもよい。
「確変大当りA」とは、いずれのラウンドにおいても特別可変入賞球装置22を27秒開状態とする15ラウンドの大当り遊技状態に制御し、その大当り遊技状態の終了後に確変状態に移行させる大当りである(この実施の形態では、確変状態に移行されるとともに時短状態にも移行される。)。そして、次の大当りが発生するまで、確変状態および時短状態が継続する。以下、確変状態と時短状態とに制御されている遊技状態を「高確率高ベース状態」、確変状態および時短状態のいずれにも制御されていない状態を「低確率低ベース状態」ということがある。
「確変大当りB」とは、1ラウンド〜8ラウンドにおいて特別可変入賞球装置22を27秒に亘って開状態に制御し、9ラウンド〜15ラウンドにおいて特別可変入賞球装置22を0.1秒に亘って開状態に制御し、大当り遊技状態の終了後に確変状態に移行させる大当りである(この実施の形態では、確変状態に移行されるとともに時短状態にも移行される。)。そして、次の大当りが発生するまで、確変状態および時短状態が継続する。
「通常大当り」とは、いずれのラウンドにおいても特別可変入賞球装置22を27秒開状態とする15ラウンドの大当り遊技状態に制御し、その大当り遊技状態の終了後に時短状態に移行させる大当りである。そして、可変表示を所定回(100回)実行するまで、時短状態が継続する。
大当り種別判定テーブル131a,131bには、ランダム1の値と比較される数値であって、「通常大当り」、「確変大当りA」および「確変大当りB」のそれぞれに対応した判定値(大当り種別判定値)が設定されている。CPU56は、ランダム1の値が大当り種別判定値のいずれかに一致した場合に、大当りの種別を、一致した大当り種別判定値に対応する種別に決定する。
次に、大当り種別ごとの大当りにおける特別可変入賞球装置22の開放パターンを説明する。図15は、特別可変入賞球装置22の開放パターンを示す説明図である。この実施の形態では、大当り遊技状態に制御される場合、大当り種別にかかわらず、大当り遊技中の内部制御上のラウンド数は15ラウンド一定である。しかし、この実施の形態では、大当り種別が通常大当り、確変大当りA,Bのいずれであるかによって、各ラウンドの特別可変入賞球装置22の開放時間が異なっており、ラウンドによっては特別可変入賞球装置22が極めて短い時間(本例では0.1秒間)しか開放されない制御が行われることによって、見た目上のラウンド数が大当り種別によって異なって見える。なお、上述したように本実施の形態では大当り種別毎に各ラウンドの特別可変入賞球装置22の開放時間が異なることとしたが、開放回数も異なるものとしてもよい。また、ラウンド数を一定としないものであってもよい。
まず、図15(1)を用いて、通常大当りおよび確変大当りAにおける特別可変入賞球装置22の開放パターンを説明する。この実施の形態では、通常大当りおよび確変大当りAにもとづく大当り遊技状態に制御される場合、1ラウンドあたり特別可変入賞球装置22を27秒間開放状態に制御した後、特別可変入賞球装置22が0.8秒間閉鎖状態に制御される(ただし、特別可変入賞球装置22が閉鎖状態とされる0.8秒間はインターバル期間である)。そして、そのような開放態様のラウンドが15回繰り返されることによって、図15(1)に示すように、特別可変入賞球装置22を27秒間開放状態に制御した後に0.8秒間閉鎖状態に制御するという動作が15回連続して繰り返される。15ラウンドにて特別可変入賞球装置22を27秒間開放状態に制御した後には、3.0秒間閉鎖状態に制御するという動作がおこなわれる。なお、上述したように流下時間Ta(s)は1.0秒であり、通常大当りおよび確変大当りAにもとづく大当り遊技状態のラウンド間のインターバル時間は0.8秒であるため、通常大当りおよび確変大当りAにもとづく大当り遊技状態においては底面部材23上を流下するほぼ全ての遊技球が大入賞口24に入賞することとなる。
次に、図15(2)を用いて、確変大当りBにおける特別可変入賞球装置22の開放パターンを説明する。この実施の形態では、確変大当りBにもとづく大当り遊技状態に制御される場合、まず、1ラウンドあたり特別可変入賞球装置22を27秒間開放状態に制御した後、特別可変入賞球装置22が0.8秒間閉鎖状態に制御される(ただし、特別可変入賞球装置22が閉鎖状態とされる0.8秒間はインターバル期間である)。そして、そのような開放態様が1ラウンド〜8ラウンドにて8回繰り返される。次に、1ラウンドあたり特別可変入賞球装置22を0.1秒間開放状態に制御した後特別可変入賞球装置22が1.5秒間閉鎖状態に制御される(ただし、特別可変入賞球装置22が閉鎖状態とされる1.5秒間はインターバル期間である)。そして、そのような開放態様が9ラウンド〜15ラウンドにて7回繰り返される。これにより、図15(2)に示すように、特別可変入賞球装置22を27秒間開放状態に制御した後に0.8秒間閉鎖状態に制御するという動作が8回連続して繰り返された後、特別可変入賞球装置22を0.1秒間開放状態に制御した後に1.5秒間閉鎖状態に制御するという動作が7回連続して繰り返されることとなる。15ラウンドにて特別可変入賞球装置22を27秒間開放状態に制御した後には、1ラウンド〜8ラウンドのラウンド間のインターバル期間(0.8秒)よりも長い3.0秒間閉鎖状態に制御するという動作がおこなわれる。このように、本実施の形態では、確変大当りBとなった場合には、1ラウンド〜8ラウンドでは通常大当りまたは確変大当りAと同様の態様にて特別可変入賞球装置22の開閉制御がおこなわれることとなる。
なお、上述したように流下時間Ta(s)は1.0秒であり、確変大当りBにもとづく大当り遊技状態の1ラウンド〜8ラウンドにおいては、ラウンド間のインターバル時間は0.8秒であるため、底面部材23上を流下するほぼ全ての遊技球が大入賞口24に入賞することとなる。また、上述したように流下時間Ta(s)は1.0秒であり、確変大当りBにもとづく大当り遊技状態の9ラウンド〜15ラウンドにおいては、ラウンド間のインターバル時間は1.5秒であるため、底面部材23上を流下する遊技球が大入賞口24に入賞し難くなる。
また、上述したように、本実施の形態では、大当り遊技状態における最後の開放状態(15ラウンド)の後に、大当り遊技状態におけるラウンド間に0.8秒のインターバル時間よりも長い3.0秒間に亘って、特別可変入賞球装置22を閉鎖状態に変化させるよう構成されている。
また、上述したように、本実施の形態では、大当り遊技状態における最後の開放状態(15ラウンド)の後に、大入賞口24へ遊技媒体が入賞してからカウントスイッチ25aによって該入賞が検出されるまでの所要期間(2.0秒)より長い期間(3.0秒)に亘って特別可変入賞球装置22を閉状態に変化させるよう構成されている。
図16および図17は、遊技制御用マイクロコンピュータ560が送信する演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。図16および図17に示す例において、コマンド80XX(H)は、特別図柄の可変表示に対応して演出表示装置11において可変表示される演出図柄の変動パターンを指定する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)である(それぞれ変動パターンXXに対応)。つまり、使用されうる変動パターンのそれぞれに対して一意な番号を付した場合に、その番号で特定される変動パターンのそれぞれに対応する変動パターンコマンドがある。なお、「(H)」は16進数であることを示す。また、変動パターンを指定する演出制御コマンドは、変動開始を指定するためのコマンドでもある。従って、演出制御用マイクロコンピュータ200は、コマンド80XX(H)を受信すると、演出表示装置11において演出図柄の可変表示を開始するように制御する。
コマンド8C01(H)〜8C04(H)は、大当りとするか否か、および大当り種別を示す演出制御コマンドである。演出制御用マイクロコンピュータ200は、コマンド8C01(H)〜8C04(H)の受信に応じて演出図柄の表示結果を決定するので、コマンド8C01(H)〜8C04(H)を表示結果指定コマンドという。
コマンド8D01(H)は、第1特別図柄の可変表示(変動)を開始することを示す演出制御コマンド(第1図柄変動指定コマンド)である。コマンド8D02(H)は、第2特別図柄の可変表示(変動)を開始することを示す演出制御コマンド(第2図柄変動指定コマンド)である。第1図柄変動指定コマンドと第2図柄変動指定コマンドとを特別図柄特定コマンド(または図柄変動指定コマンド)と総称することがある。なお、第1特別図柄の可変表示を開始するのか第2特別図柄の可変表示を開始するのかを示す情報を、変動パターンコマンドに含めるようにしてもよい。
コマンド8F00(H)は、第4図柄の可変表示(変動)を終了して表示結果(停止図柄)を導出表示することを示す演出制御コマンド(図柄確定指定コマンド)である。演出制御用マイクロコンピュータ200は、図柄確定指定コマンドを受信すると、第4図柄の可変表示(変動)を終了して表示結果を導出表示する。
コマンド9000(H)は、遊技機に対する電力供給が開始されたときに送信される演出制御コマンド(初期化指定コマンド:電源投入指定コマンド)である。コマンド9200(H)は、遊技機に対する電力供給が再開されたときに送信される演出制御コマンド(停電復旧指定コマンド)である。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、遊技機に対する電力供給が開始されたときに、バックアップRAMにデータが保存されている場合には、停電復旧指定コマンドを送信し、そうでない場合には、初期化指定コマンドを送信する。
コマンド9F00(H)は、客待ちデモンストレーションを指定する演出制御コマンド(客待ちデモ指定コマンド)である。
コマンドA001〜A002(H)は、ファンファーレ画面を表示すること、すなわち大当り遊技の開始を指定する演出制御コマンド(大当り開始指定コマンド:ファンファーレ指定コマンド)である。この実施の形態では、大当りの種類に応じて、大当り開始1指定コマンド、大当り開始2指定コマンドのいずれかが用いられる。具体的には、「確変大当りA」または「確変大当りB」(すなわち、確変大当り)である場合には大当り開始1指定コマンド(A001(H))が用いられ、「通常大当り」である場合には大当り開始2指定コマンド(A002(H))が用いられる。
コマンドA1XX(H)は、XXで示す回数目(ラウンド)の大入賞口開放中の表示を示す演出制御コマンド(大入賞口開放中指定コマンド)である。なお、大入賞口開放中指定コマンドはラウンドごとにそのラウンドを指定する値がEXTデータに設定されて送信されるので、ラウンドごとに異なる大入賞口開放中指定コマンドが送信される。A2XX(H)は、XXで示す回数目(ラウンド)の大入賞口閉鎖を示す演出制御コマンド(大入賞口開放後指定コマンド)である。なお、大入賞口開放後指定コマンドはラウンドごとにそのラウンドを指定する値がEXTデータに設定されて送信されるので、ラウンドごとに異なる大入賞口開放後指定コマンドが送信される。
コマンドA301(H)、A302(H)は、大当り終了画面を表示すること、すなわち大当り遊技の終了を指定する演出制御コマンド(大当り終了1指定コマンド:エンディング1指定コマンド、大当り終了2指定コマンド:エンディング2指定コマンド)である。なお、大当り終了1指定コマンド(A301(H))は、「確変大当りA」または「確変大当りB」(すなわち、確変大当り)による大当り遊技を終了する場合に用いられる。大当り終了2指定コマンド(A302(H))は、「通常大当り」による大当り遊技を終了する場合に用いられる。以下、大当り遊技の終了を報知する演出をおこなう期間を「エンディング期間」ということがある。
コマンドB000(H)は、遊技状態が通常状態であるときの背景表示を指定する演出制御コマンド(通常状態背景指定コマンド)である。コマンドB001(H)は、遊技状態が確変状態であるときの背景表示を指定する演出制御コマンド(確変状態背景指定コマンド)である。コマンドB002(H)は、遊技状態が時短状態であるときの背景表示を指定する演出制御コマンド(時短状態背景指定コマンド)である。
コマンドC000(H)は、第1保留記憶数が1増加したことを指定する演出制御コマンド(第1保留記憶数加算指定コマンド)である。コマンドC100(H)は、第2保留記憶数が1増加したことを指定する演出制御コマンド(第2保留記憶数加算指定コマンド)である。コマンドC200(H)は、第1保留記憶数が1減少したことを指定する演出制御コマンド(第1保留記憶数減算指定コマンド)である。コマンドC300(H)は、第2保留記憶数が1減少したことを指定する演出制御コマンド(第2保留記憶数減算指定コマンド)である。
演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ200(具体的には、演出制御用CPU201)は、主基板40に搭載されている遊技制御用マイクロコンピータ560から上述した演出制御コマンドを受信すると、図16および図17に示された内容に応じて演出表示装置11の表示状態を変更したり、ランプの表示状態を変更したり、音声出力基板70に対して音番号データを出力したりする。
例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、始動入賞があり第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bにおいて特別図柄の可変表示が開始される度に、演出図柄の変動パターンを指定する変動パターンコマンドおよび表示結果指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ200に送信する。
この実施の形態では、演出制御コマンドは2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を表し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」に設定され、EXTデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「0」に設定される。なお、そのようなコマンド形態は一例であって他のコマンド形態を用いてもよい。例えば、1バイトや3バイト以上で構成される制御コマンドを用いてもよい
なお、演出制御コマンドの送出方式として、演出制御信号CD0〜CD7の8本のパラレル信号線で1バイトずつ主基板40から中継基板77を介して演出制御基板80に演出制御コマンドデータを出力し、演出制御コマンドデータの他に、演出制御コマンドデータの取込を指示するパルス状(矩形波状)の取込信号(演出制御INT信号)を出力する方式を用いる。演出制御コマンドの8ビットの演出制御コマンドデータは、演出制御INT信号に同期して出力される。演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ200は、演出制御INT信号が立ち上がったことを検知して、割込処理によって1バイトのデータの取り込み処理を開始する。
図16および図17に示す例では、変動パターンコマンドおよび表示結果指定コマンドを、第1特別図柄表示器12aでの第1特別図柄の変動に対応した演出図柄の可変表示(変動)と第2特別図柄表示器12bでの第2特別図柄の変動に対応した演出図柄の可変表示(変動)とで共通に使用でき、第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示に伴って演出を行う演出表示装置11などの演出用部品を制御する際に、遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出制御用マイクロコンピュータ200に送信されるコマンドの種類を増大させないようにすることができる。
図18は、主基板40に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には、CPU56)が実行する特別図柄プロセス処理(ステップS26)のプログラムの一例を示すフローチャートである。上述したように、特別図柄プロセス処理では第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bおよび特別可変入賞球装置22を制御するための処理が実行される。特別図柄プロセス処理において、CPU56は、第1始動入賞口13aに遊技球が入賞したことを検出するための第1始動口スイッチ14a、または第2始動入賞口13bに遊技球が入賞したことを検出するための第2始動口スイッチ15aがオンしていたら、すなわち、第1始動入賞口13aへの始動入賞または第2始動入賞口13bへの始動入賞が発生していたら、始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS311,S312)。そして、ステップS300〜S308のうちのいずれかの処理を行う。第1始動入賞口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ15aがオンしていなければ、内部状態に応じて、ステップS300〜S308のうちのいずれかの処理を行う。
ステップS300〜S308の処理は、以下のような処理である。
特別図柄通常処理(ステップS300):特別図柄プロセスフラグの値が0であるときに実行される。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、保留記憶数バッファに記憶される数値データの記憶数(合算保留記憶数)を確認する。保留記憶数バッファに記憶される数値データの記憶数は合算保留記憶数カウンタのカウント値により確認できる。また、合算保留記憶数カウンタのカウント値が0でなければ、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示の表示結果を大当りとするか否かを決定する。大当りとする場合には大当りフラグをセットする。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS301に応じた値(この例では1)に更新する。なお、大当りフラグは、大当り遊技が終了するときにリセットされる。
変動パターン設定処理(ステップS301):特別図柄プロセスフラグの値が1であるときに実行される。また、変動パターンを決定し、その変動パターンにおける変動時間(可変表示時間:可変表示を開始してから表示結果を導出表示(停止表示)するまでの時間)を特別図柄の可変表示の変動時間とすることに決定する。また、特別図柄の変動時間を計測する変動時間タイマをスタートさせる。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS302に対応した値(この例では2)に更新する。
表示結果指定コマンド送信処理(ステップS302):特別図柄プロセスフラグの値が2であるときに実行される。演出制御用マイクロコンピュータ200に、表示結果指定コマンドを送信する制御を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS303に対応した値(この例では3)に更新する。
特別図柄変動中処理(ステップS303):特別図柄プロセスフラグの値が3であるときに実行される。変動パターン設定処理で選択された変動パターンの変動時間が経過(ステップS301でセットされる変動時間タイマがタイムアウトすなわち変動時間タイマの値が0になる)すると、演出制御用マイクロコンピュータ200に、図柄確定指定コマンドを送信する制御を行い、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS304に対応した値(この例では4)に更新する。なお、演出制御用マイクロコンピュータ200は、遊技制御用マイクロコンピュータ560が送信する図柄確定指定コマンドを受信すると演出表示装置11において第4図柄が停止されるように制御する。
特別図柄停止処理(ステップS304):特別図柄プロセスフラグの値が4であるときに実行される。大当りフラグがセットされている場合に、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に対応した値(この例では5)に更新する。大当りフラグがセットされていない場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に対応した値(この例では0)に更新する。なお、この実施の形態では、特別図柄プロセスフラグの値が4となったことにもとづいて、後述するように、特別図柄表示制御処理において特別図柄の停止図柄を停止表示するための特別図柄表示制御データが特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定され、ステップS22の表示制御処理において出力バッファの設定内容に応じて実際に特別図柄の停止図柄が停止表示される。
大入賞口開放前処理(ステップS305):特別図柄プロセスフラグの値が5であるときに実行される。大入賞口開放前処理では、特別可変入賞球装置22を開放する制御を行う。具体的には、カウンタ(例えば、大入賞口24に入った遊技球数をカウントするカウンタ)などを初期化するとともに、ソレノイド106を駆動して特別可変入賞球装置22を開放状態にする。また、タイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS306に対応した値(この例では6)に更新する。なお、大入賞口開放前処理は各ラウンド毎に実行されるが、1ラウンドを開始する場合には、大入賞口開放前処理は大当り遊技を開始する処理でもある。
大入賞口開放中処理(ステップS306):特別図柄プロセスフラグの値が6であるときに実行される。大当り遊技状態中のラウンド表示の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ200に送信する制御や特別可変入賞球装置22の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。特別可変入賞球装置22の閉成条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に対応した値(この例では5)に更新する。また、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS307に対応した値(この例では7)に更新する。
大入賞口開放後処理(ステップS307):特別図柄プロセスフラグの値が7であるときに実行される。大当り遊技状態における最後のラウンドが終了して特別可変入賞球装置22が閉鎖状態とされてから、大当り遊技状態が終了するタイミングまで待機するための処理を行う。大当り遊技状態が終了するタイミングに達した場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS308に対応した値(この例では8)に更新する。
大当り終了処理(ステップS308):特別図柄プロセスフラグの値が8であるときに実行される。大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御用マイクロコンピュータ200に行わせるための制御を行う。また、遊技状態を示すフラグ(例えば、確変フラグ、時短フラグ)をセットする処理を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に対応した値(この例では0)に更新する。
図19は、ステップS312の始動口スイッチ通過処理を示すフローチャートである。始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、まず、第1始動口スイッチ14aがオン状態であるか否かを確認する(ステップS211)。第1始動口スイッチ14aがオン状態でなければ、ステップS217に移行する。第1始動口スイッチ14aがオン状態であれば、CPU56は、第1保留記憶数が上限値に達しているか否か(具体的には、第1保留記憶数をカウントするための第1保留記憶数カウンタの値が4でるか否か)を確認する(ステップS212)。第1保留記憶数が上限値に達していれば、ステップS217に移行する。
第1保留記憶数が上限値に達していなければ、CPU56は、第1保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS213)とともに、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS214)。次いで、CPU56は、乱数回路60やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファ(図20参照)における保存領域に格納する処理を実行する(ステップS215)。なお、ステップS215の処理では、ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。なお、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)や変動パターン判定用乱数(ランダム3)を始動口スイッチ通過処理(始動入賞時)において抽出して保存領域にあらかじめ格納しておくのではなく、第1特別図柄の変動開始時に抽出するようにしてもよい。例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、後述する変動パターン設定処理において、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)を生成するための変動パターン種別判定用乱数カウンタから値を直接抽出したり、変動パターン判定用乱数(ランダム3)を生成するための変動パターン判定用乱数カウンタから値を直接抽出したりするようにしてもよい。
図20は、保留記憶に対応する乱数等を保存する領域(保留バッファ)の構成例を示す説明図である。図20に示すように、第1保留記憶バッファには、第1保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。また、第2保留記憶バッファには、第2保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。この実施の形態では、第1保留記憶バッファおよび第2保留記憶バッファには、ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)が記憶される。なお、第1保留記憶バッファおよび第2保留記憶バッファは、RAM55に形成されている。
そして、CPU56は、第1保留記憶数加算指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ200に送信する制御を行う(ステップS216)。
次いで、CPU56は、第2始動口スイッチ15aがオン状態であるか否かを確認する(ステップS217)。第2始動口スイッチ15aがオン状態でなければ、そのまま処理を終了する。第2始動口スイッチ15aがオン状態であれば、CPU56は、第2保留記憶数が上限値に達しているか否か(具体的には、第2保留記憶数をカウントするための第2保留記憶数カウンタの値が4でるか否か)を確認する(ステップS218)。第2保留記憶数が上限値に達していれば、そのまま処理を終了する。
第2保留記憶数が上限値に達していなければ、CPU56は、第2保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS219)とともに、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS220)。次いで、CPU56は、乱数回路60やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファ(図20参照)における保存領域に格納する処理を実行する(ステップS221)。なお、ステップS221の処理では、ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。なお、変動パターン判定用乱数(ランダム3)を始動口スイッチ通過処理(始動入賞時)において抽出して保存領域にあらかじめ格納しておくのではなく、第2特別図柄の変動開始時に抽出するようにしてもよい。例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、後述する変動パターン設定処理において、変動パターン判定用乱数(ランダム3)を生成するための変動パターン判定用乱数カウンタから値を直接抽出するようにしてもよい。
そして、CPU56は、第2保留記憶数加算指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ200に送信する制御を行う(ステップS222)。
図21および図22は、特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(ステップS300)を示すフローチャートである。特別図柄通常処理において、CPU56は、合算保留記憶数の値を確認する(ステップS51)。具体的には、合算保留記憶数カウンタのカウント値を確認する。合算保留記憶数が0であれば、まだ客待ちデモ指定コマンドを送信していなければ、演出制御用マイクロコンピュータ200に対して客待ちデモ指定コマンドを送信する制御を行い(ステップS51A)、処理を終了する。なお、例えば、CPU56は、ステップS51Aで客待ちデモ指定コマンドを送信すると、客待ちデモ指定コマンドを送信したことを示す客待ちデモ指定コマンド送信済フラグをセットする。そして、客待ちデモ指定コマンドを送信した後に次回のタイマ割込以降の特別図柄通常処理を実行する場合には、客待ちデモ指定コマンド送信済フラグがセットされていることにもとづいて重ねて客待ちデモ指定コマンドを送信しないように制御すればよい。また、この場合、客待ちデモ指定コマンド送信済フラグは、次回の特別図柄の変動表示が開始されるときにリセットされるようにすればよい。
合算保留記憶数が0でなければ、CPU56は、第2保留記憶数が0であるか否かを確認する(ステップS52)。具体的には、第2保留記憶数カウンタの値が0であるか否かを確認する。第2保留記憶数が0でなければ、CPU56は、特別図柄ポインタ(第1特別図柄について特別図柄プロセス処理を行っているのか第2特別図柄について特別図柄プロセス処理を行っているのかを示すフラグ)に「第2」を示すデータを設定する(ステップS53)。第2保留記憶数が0であれば(すなわち、第1保留記憶数のみが溜まっている場合)には、CPU66は、特別図柄ポインタに「第1」を示すデータを設定する(ステップS54)。
この実施の形態では、ステップS52〜S54の処理が実行されることによって、第1特別図柄の変動表示に対して、第2特別図柄の変動表示が優先して実行される。言い換えれば、第2特別図柄の変動表示を開始させるための第2の開始条件が第1特別図柄の変動表示を開始させるための第1の開始条件に優先して成立するように制御される。なお、第1特別図柄の変動表示に対して、第2特別図柄の変動表示が優先して実行されるものに限るものではなく、第1保留記憶と第2保留記憶のうち、早いタイミングに記憶された保留記憶から順に消化されるものであってもよい。
次いで、CPU56は、RAM55において、特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納する(ステップS55)。具体的には、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、第1保留記憶数バッファにおける第1保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納する。また、CPU56は、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合には、第2保留記憶数バッファにおける第2保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納する。
そして、CPU56は、特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し、かつ、各保存領域の内容をシフトする(ステップS56)。具体的には、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、第1保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し、かつ、第1保留記憶数バッファにおける各保存領域の内容をシフトする。また、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合に、第2保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し、かつ、第2保留記憶数バッファにおける各保存領域の内容をシフトする。
すなわち、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合に、RAM55の第1保留記憶数バッファにおいて第1保留記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、第1保留記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。また、特別図柄ポインタが「第2」を示す場合に、RAM55の第2保留記憶数バッファにおいて第2保留記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、第2保留記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。
よって、各第1保留記憶数(または、各第2保留記憶数)に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各乱数値が抽出された順番は、常に、第1保留記憶数(または、第2保留記憶数)=1,2,3,4の順番と一致するようになっている。
そして、CPU56は、合算保留記憶数の値を1減らす。すなわち、合算保留記憶数カウンタのカウント値を1減算する(ステップS58)。なお、CPU56は、カウント値が1減算される前の合算保留記憶数カウンタの値をRAM55の所定の領域に保存する。
また、CPU56は、現在の遊技状態に応じて背景指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ200に送信する制御を行う(ステップS60)。この場合、CPU56は、確変状態であることを示す確変フラグがセットされている場合には、確変状態背景指定コマンドを送信する制御を行う。また、CPU56は、確変フラグがセットされていなければ、通常状態背景指定コマンドを送信する制御を行う。
なお、この実施の形態では、変動ごとに背景指定コマンドを毎回送信する場合を示しているが、例えば、変動開始時に前回の変動時から遊技状態が変化したか否かを判定するようにし、遊技状態が変化した場合にのみ変化後の遊技状態に応じた背景指定コマンドを送信するようにしてもよい。そのように構成すれば、背景指定コマンドの送信回数を低減することができ、遊技制御用マイクロコンピュータ560の処理負担を軽減することができる。
なお、具体的には、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータ200に演出制御コマンドを送信する際に、演出制御コマンドに応じたコマンド送信テーブル(あらかじめROMにコマンド毎に設定されている)のアドレスをポインタにセットする。そして、演出制御コマンドに応じたコマンド送信テーブルのアドレスをポインタにセットして、演出図柄コマンド制御処理(ステップS30)において演出制御コマンドを送信する。なお、この実施の形態では、特別図柄の変動を開始するときに、タイマ割込ごとに、背景指定コマンド、変動パターンコマンド、表示結果指定コマンド、保留記憶数減算指定コマンドの順に演出制御用マイクロコンピュータ200に送信されることになる。具体的には、特別図柄の変動を開始するときに、まず、背景指定コマンドが送信され、4ms経過後に変動パターンコマンドが送信され、さらに4ms経過後に表示結果指定コマンドが送信され、さらに4ms経過後に保留記憶数減算指定コマンドが送信される。なお、特別図柄の変動を開始するときにはさらに図柄変動指定コマンド(第1図柄変動指定コマンド、第2図柄変動指定コマンド)も送信されるが、図柄変動指定コマンドは、変動パターンコマンドと同じタイマ割込において演出制御用マイクロコンピュータ200に対して送信される。
特別図柄通常処理では、最初に、第1始動入賞口13aを対象として処理を実行することを示す「第1」を示すデータすなわち第1特別図柄を対象として処理を実行することを示す「第1」を示すデータ、または第2始動入賞口13bを対象として処理を実行することを示す「第2」を示すデータすなわち第2特別図柄を対象として処理を実行することを示す「第2」を示すデータが、特別図柄ポインタに設定される。そして、特別図柄プロセス処理における以降の処理では、特別図柄ポインタに設定されているデータに応じた処理が実行される。よって、ステップS300〜S308の処理を、第1特別図柄を対象とする場合と第2特別図柄を対象とする場合とで共通化することができる。
次いで、CPU56は、乱数バッファ領域からランダムR(大当り判定用乱数)を読み出し、大当り判定モジュールを実行する。なお、この場合、CPU56は、始動口スイッチ通過処理のステップS215,S221で抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファにあらかじめ格納した大当り判定用乱数を読み出し、大当り判定を行う。大当り判定モジュールは、あらかじめ決められている大当り判定値(図14参照)と大当り判定用乱数とを比較し、それらが一致したら大当りとすることに決定する処理を実行するプログラムである。すなわち、大当り判定の処理を実行するプログラムである。
大当り判定の処理では、遊技状態が確変状態(高確率状態)の場合は、遊技状態が非確変状態(通常遊技状態)の場合よりも、大当りとなる確率が高くなるように構成されている。具体的には、あらかじめ大当り判定値の数が多く設定されている確変時大当り判定テーブル(ROM54における図14(A)の右側の数値が設定されているテーブル)と、大当り判定値の数が確変大当り判定テーブルよりも少なく設定されている通常時大当り判定テーブル(ROM54における図14(A)の左側の数値が設定されているテーブル)とが設けられている。そして、CPU56は、遊技状態が確変状態であるか否かを確認し、遊技状態が確変状態であるときは、確変時大当り判定テーブルを使用して大当りの判定の処理を行い、遊技状態が通常遊技状態であるときは、通常時大当り判定テーブルを使用して大当りの判定の処理を行う。すなわち、CPU56は、大当り判定用乱数(ランダムR)の値が図14(A)に示すいずれかの大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当りとすることに決定する。大当りとすることに決定した場合には(ステップS61)、ステップS62に移行する。なお、大当りとするか否か決定するということは、大当り遊技状態に移行させるか否か決定するということであるが、特別図柄表示器における停止図柄を大当り図柄とするか否か決定するということでもある。
なお、現在の遊技状態が確変状態であるか否かの確認は、確変フラグがセットされているか否かにより行われる。確変フラグは、遊技状態を確変状態に移行するときにセットされ、確変状態を終了するときにリセットされる。具体的には、確変大当りAまたは確変大当りBとすることに決定され、大当り遊技を終了する処理においてセットされ、大当りと決定されたときに特別図柄の変動表示を終了して停止図柄を停止表示するタイミングでリセットされる。なお、所定回数の特別図柄の変動表示を終了するタイミングでリセットされることとしてもよい。
大当り判定用乱数(ランダムR)の値がいずれの大当り判定値にも一致しなければ(ステップS61のN)、CPU56は、そのままステップS66に移行する。
ステップS62では、CPU56は、大当りであることを示す大当りフラグをセットする。そして、大当り種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、特別図柄ポインタが示す方の大当り種別判定テーブルを選択する(ステップS63)。具体的には、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、図14(B)に示す第1特別図柄用の大当り種別判定用テーブル131aを選択する。また、CPU56は、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合には、図14(C)に示す第2特別図柄用の大当り種別判定用テーブル131bを選択する。
次いで、CPU56は、選択した大当り種別判定テーブルを用いて、乱数バッファ領域に格納された大当り種別判定用の乱数(ランダム1)の値と一致する値に対応した種別(「通常大当り」、「確変大当りA」、「確変大当りB」)を大当りの種別に決定する(ステップS64)。なお、この場合、CPU56は、始動口スイッチ通過処理のステップS215,S221で抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファにあらかじめ格納した大当り種別判定用乱数を読み出し、大当り種別の決定を行う。
また、CPU56は、決定した大当りの種別を示すデータをRAM55における大当り種別バッファに設定する(ステップS65)。例えば、大当り種別が「通常大当り」の場合には大当り種別を示すデータとして「01」が設定され、大当り種別が「確変大当りA」の場合には大当り種別を示すデータとして「02」が設定され、大当り種別が「確変大当りB」の場合には大当り種別を示すデータとして「03」が設定される。
次いで、CPU56は、特別図柄の停止図柄を決定する(ステップS66)。具体的には、大当りフラグがセットされていない場合には、はずれ図柄となる「−」を特別図柄の停止図柄に決定する。大当りフラグがセットされている場合には、大当り種別の決定結果に応じて、大当り図柄のいずれかを特別図柄の停止図柄に決定する。すなわち、「確変大当りA」に決定した場合には「7」を特別図柄の停止図柄に決定し、「確変大当りB」に決定した場合には「3」を特別図柄の停止図柄に決定し、「通常大当り」に決定した場合には「2」を特別図柄の停止図柄に決定する。
なお、この実施の形態では、まず大当り種別を決定し、決定した大当り種別に対応する特別図柄の停止図柄を決定する場合を示したが、大当り種別および特別図柄の停止図柄の決定方法は、この実施の形態で示したものにかぎられない。例えば、あらかじめ特別図柄の停止図柄と大当り種別とを対応付けたテーブルを用意しておき、大当り種別決定用乱数にもとづいてまず特別図柄の停止図柄を決定すると、その決定結果にもとづいて対応する大当り種別も決定されるように構成してもよい。
そして、特別図柄プロセスフラグの値を変動パターン設定処理(ステップS301)に対応した値に更新する(ステップS67)。
図23は、特別図柄プロセス処理における変動パターン設定処理(ステップS301)を示すフローチャートである。変動パターン設定処理において、CPU56は、大当りフラグがセットされているか否か確認する(ステップS91)。大当りフラグがセットされている場合には、CPU56は、大当り種別に応じて、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、大当り用変動パターン種別判定テーブルのいずれかを選択する(ステップS92)。そして、ステップS98に移行する。
大当りフラグがセットされていない場合には、CPU56は、確変状態であることを示す時短フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS93)。なお、時短フラグは、遊技状態を時短状態に移行するときにセットされ、時短状態を終了するときにリセットされる。具体的には、確変大当りAまたは確変大当りBとすることに決定され、大当り遊技を終了する処理においてセットされ、大当りと決定されたときに特別図柄の変動表示を終了して停止図柄を停止表示するタイミングでリセットされる。また、通常大当りとすることに決定され、大当り遊技を終了する処理においてセットされ、大当りと決定されたときに特別図柄の変動表示を終了して停止図柄を停止表示するタイミングまたは所定回数(100回)の変動表示を終了するタイミングでリセットされる。時短フラグがセットされていれば(ステップS93のY)、CPU56は、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、時短用のはずれ用変動パターン種別判定テーブルを選択する(ステップS97)。そして、ステップS98に移行する。
時短フラグがセットされていなければ(ステップS93のN)、CPU56は、合算保留記憶数が3以上であるか否かを確認する(ステップS94)。合算保留記憶数が3未満であれば(ステップS94のN)、CPU56は、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、通常のはずれ用変動パターン種別判定テーブルを選択する(ステップS95)。そして、ステップS98に移行する。
合算保留記憶数が3以上である場合(ステップS94のY)には、CPU56は、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、変動時間短縮時のはずれ用変動パターン種別判定テーブルを選択する(ステップS96)。そして、ステップS98に移行する。
この実施の形態では、ステップS93〜S96の処理が実行されることによって、合算保留記憶数が3以上である場合には、変動時間短縮用のはずれ用変動パターン種別判定テーブルが選択される。また、遊技状態が時短状態である場合には、時短用のはずれ用変動パターン種別判定テーブルが選択される。この場合、後述するステップS98の処理で変動パターン種別として非リーチCA2−3が決定される場合があり、非リーチCA2−3の変動パターン種別が決定された場合には、ステップS99の処理で変動パターンとして短縮変動の非リーチPA1−2が決定される。従って、この実施の形態では、遊技状態が時短状態である場合または合算保留記憶数が3以上である場合には、短縮変動の変動表示が行われる場合がある。
なお、この実施の形態では、時短状態で用いる短縮変動用の変動パターン種別判定テーブルと、保留記憶数にもとづく短縮変動用の変動パターン種別判定テーブルとが異なるテーブルである場合を示したが、短縮変動用の変動パターン種別判定テーブルとして共通のテーブルを用いるようにしてもよい。
なお、遊技状態が時短状態である場合であっても、合算保留記憶数がほぼ0である場合(例えば、0であるか、0または1である場合)には、短縮変動の変動表示を行わないようにしてもよい。この場合、例えば、CPU56は、ステップS93でYと判定したときに、合算保留記憶数がほぼ0であるか否かを確認し、合算保留記憶数がほぼ0であれば、はずれ用変動パターン種別判定テーブルを選択するようにしてもよい。
次いで、CPU56は、乱数バッファ領域(第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファ)からランダム2(変動パターン種別判定用乱数)を読み出し、ステップS92,S83,S97,S95またはS96の処理で選択したテーブルを参照することによって、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定する(ステップS98)。なお、始動入賞のタイミングでランダム2(変動パターン種別判定用乱数)を抽出しないように構成する場合には、CPU56は、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)を生成するための変動パターン種別判定用乱数カウンタから値を直接抽出し、抽出した乱数値にもとづいて変動パターン種別を決定するようにしてもよい。
次いで、CPU56は、ステップS98の変動パターン種別の決定結果にもとづいて、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、大当り変動パターン判定テーブル、はずれ変動パターン判定テーブルのうちのいずれかを選択する(ステップS99)。また、乱数バッファ領域(第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファ)からランダム3(変動パターン判定用乱数)を読み出し、ステップS99の処理で選択した変動パターン判定テーブルを参照することによって、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定する(ステップS100)。なお、始動入賞のタイミングでランダム3(変動パターン判定用乱数)を抽出しないように構成する場合には、CPU56は、変動パターン判定用乱数(ランダム3)を生成するための変動パターン判定用乱数カウンタから値を直接抽出し、抽出した乱数値にもとづいて変動パターンを決定するようにしてもよい。
次いで、CPU56は、特別図柄ポインタが示す方の図柄変動指定コマンドを、演出制御用マイクロコンピュータ200に送信する制御を行う(ステップS101)。具体的には、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、第1図柄変動指定コマンドを送信する制御を行う。また、CPU56は、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合には、第2図柄変動指定コマンドを送信する制御を行う。また、CPU56は、決定した変動パターンに対応する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)を、演出制御用マイクロコンピュータ200に送信する制御を行う(ステップS102)。
次に、CPU56は、RAM55に形成されている変動時間タイマに、選択された変動パターンに対応した変動時間に応じた値を設定する(ステップS103)。そして、特別図柄プロセスフラグの値を表示結果指定コマンド送信処理(ステップS302)に対応した値に更新する(ステップS104)。
なお、はずれと決定されている場合において、いきなり変動パターン種別を決定するのではなく、まず、リーチ判定用乱数を用いた抽選処理によってリーチとするか否かを決定するようにしてもよい。そして、リーチとするか否かの判定結果にもとづいて、ステップS93〜S96,S98の処理を実行し、変動パターン種別を決定するようにしてもよい。この場合、あらかじめ非リーチ用の変動パターン種別判定テーブルと、リーチ用の変動パターン種別判定テーブルとを用意しておき、リーチ判定結果にもとづいて、いずれかの変動パターン種別判定テーブルを選択して、変動パターン種別を決定するようにしてもよい。
また、リーチ判定用乱数を用いた抽選処理によってリーチとするか否かを決定する場合にも、合算保留記憶数(第1保留記憶数や第2保留記憶数でもよい)に応じて、リーチの選択割合が異なるリーチ判定テーブルを選択して、保留記憶数が多くなるに従ってリーチ確率が低くなるようにリーチとするか否かを決定するようにしてもよい。
図24は、表示結果指定コマンド送信処理(ステップS302)を示すフローチャートである。表示結果指定コマンド送信処理において、CPU56は、決定されている大当りの種類、はずれに応じて、表示結果1指定〜表示結果4指定のいずれかの演出制御コマンド(図16参照)を送信する制御を行う。具体的には、CPU56は、まず、大当りフラグがセットされているか否か確認する(ステップS101)。セットされていない場合には、ステップS108に移行する。大当りフラグがセットされている場合、大当りの種別が「確変大当りA」であるときには、表示結果3指定コマンドを送信する制御を行い、大当りの種別が「確変大当りB」であるときには、表示結果4指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS102,S103)。なお、「確変大当りA」であるか否かは、具体的には、特別図柄通常処理のステップS65で大当り種別バッファに設定されたデータが「02」であるか否かを確認することによって判定できる。また、「確変大当りB」であるか否かは、具体的には、特別図柄通常処理のステップS65で大当り種別バッファに設定されたデータが「03」であるか否かを確認することによって判定できる。また、CPU56は、大当りの種別が「通常大当り」であるときには、表示結果2指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS102,S105)。なお、「通常大当り」であるか否かは、具体的には、特別図柄通常処理のステップS65で大当り種別バッファに設定されたデータが「01」であるか否かを確認することによって判定できる。
一方、CPU56は、大当りフラグがセットされていないときには(ステップS101のN)、すなわち、はずれである場合には、CPU56は、表示結果1指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS108)。
そして、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値を特別図柄変動中処理(ステップS303)に対応した値に更新する(ステップS110)。
図25は、特別図柄プロセス処理における特別図柄停止処理(ステップS304)を示すフローチャートである。特別図柄停止処理において、CPU56は、大当りフラグがセットされているか否かを確認する(ステップS131)。大当りフラグがセットされている場合には、CPU56は、セットされていれば、確変状態であることを示す確変フラグおよび時短状態であることを示す時短フラグをリセットし(ステップS132a)、時短状態の残り変動回数を示す時短回数カウンタに0をセットする(ステップS132b)。
次いで、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータ200に大当り開始指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS133)。具体的には、大当りの種別が確変大当りAまたは確変大当りBである場合には大当り開始1指定コマンドを送信する。大当りの種別が通常大当りである場合には大当り開始2指定コマンドを送信する。なお、大当りの種別がいずれであるかは、RAM55に記憶されている大当り種別を示すデータ(大当り種別バッファに記憶されているデータ)にもとづいて判定される。
また、CPU56は、大入賞口開放前タイマに大当り表示時間(大当りが発生したことを、例えば、演出表示装置11において報知する時間)に相当する値を設定する(ステップS134)。なお、大入賞口開放前タイマは、大当り遊技中に特別可変入賞球装置22を開放するまでの時間を計測するためのタイマである。具体的には、大当り遊技の開始時には、ステップS134において、変動表示を停止してから1ラウンドが開始されるまでに要する時間(演出制御用マイクロコンピュータ200側で変動表示を停止し大当り図柄を停止表示してから1ラウンドが開始されるまでのファンファーレ演出を行う時間に相当)が大入賞口開放前タイマに設定される。また、1ラウンド以降については、各ラウンド間のインターバル時間(演出制御用マイクロコンピュータ200側でラウンド間のインターバル演出を行う時間に装置)が大入賞口開放前タイマに設定される。
そして、CPU56は、ラウンド数を示すラウンド数カウンタに1をセットし(ステップS136)、特別図柄プロセスフラグの値を大入賞口開放前処理(ステップS305)に対応した値に更新する(ステップS137)。
また、ステップS131で大当りフラグがセットされていなければ、CPU56は、時短回数カウンタの値が0であるか否かを判定し(ステップS141)、0である場合、すなわち、通常状態または確変状態である場合にはステップS150へ移行する。時短回数カウンタの値が0でない場合、時短回数カウンタの値を1減算し(ステップS142)、時短回数カウンタの値が0となったか否かを判定する(ステップS143)。0となっていない場合はステップS150へ移行する。0となった場合は時短フラグをリセットし(ステップS144)、ステップS150へ移行する。これにより、所定回数(100回)の変動をおこなうことを契機に時短状態から通常状態へ移行することとしている。ステップS150において、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値を特別図柄通常処理(ステップS300)に対応した値に更新する(ステップS150)。
図26は、大入賞口開放前処理を示すフローチャートである。大入賞口開放前処理において、まず、CPU56は、大入賞口開放前タイマを−1する(ステップS1401)。そして、CPU56は、大入賞口開放前タイマがタイムアウトしたか否かを判定し(ステップS1402)、タイムアウトしていない場合にはそのまま処理を終了する。タイムアウトした場合、CPU56は、ラウンド数カウンタの値をEXTデータにセットして、大入賞口開放中指定コマンドを送信する(ステップS1403)。
その後、CPU56は、同一ラウンド中における遊技球の入賞個数を示す入賞個数カウンタに0をセットし(ステップS1404)、ラウンド数カウンタに応じた開放時間を開放時間タイマにセットする(ステップS1408)。ここでは、大当り種別およびラウンド数に応じて開放時間がセットされる。具体的には、図27に示す開閉時間テーブルを用いることによりステップS1408を実現する。
図27は、ラウンド毎の開閉時間が設定された開閉時間テーブルを示す説明図である。例えば、図27(1)には、大当り種別が通常大当りまたは確変大当りAである場合における各ラウンドにおける開閉時間が示されている。具体的に、ステップS1408において、大当り種別が通常大当りまたは確変大当りAであれば、いずれのラウンド数であっても開放時間として27秒がセットされる。また、ラウンドにおける開放状態が終了したときには、ラウンド数(すなわち、ラウンド数カウンタの値)が1〜14のいずれかであれば0.8秒が、ラウンド数が15であれば3.0秒が、閉鎖時間としてそれぞれセットされる。
また、例えば、図27(2)には、大当り種別が確変大当りBである場合における各ラウンドにおける開閉時間が示されている。具体的に、ステップS1408において、大当り種別が確変大当りBである場合、ラウンド数(すなわち、ラウンド数カウンタの値)が1〜8のいずれかであれば開放時間として27秒がセットされ、ラウンド数が9〜15のいずれかであれば開放時間として0.1秒がセットされる。また、ラウンドにおける開放状態が終了したときには、ラウンド数(すなわち、ラウンド数カウンタの値)が1〜8のいずれかであれば0.8秒、ラウンド数カウンタの値)が9〜14のいずれかであれば1.5秒が、ラウンド数が15であれば3.0秒が、閉鎖時間としてそれぞれセットされる。これにより、図15に示した特別可変入賞球装置22の開閉パターンが実現されることとなる。
ステップS1408の後、CPU56は、特別可変入賞球装置22を開放状態に制御し(ステップS1410)、特別図柄プロセスフラグの値を大入賞口開放中処理(ステップS306)に対応した値に更新する(ステップS1412)。
図28は、大入賞口開放中処理を示すフローチャートである。大入賞口開放中処理において、まず、CPU56は、カウントスイッチ25aがオンしているか否か、すなわち、大入賞口24への遊技球の入賞が検知されたか否かを判定し(ステップS1451)、オンしていなければステップS1453へ移行する。カウントスイッチ25aがオンしていれば、入賞個数カウンタの値を1加算する(ステップS1452)。
次に、CPU56は、入賞個数カウンタの値が10であるか否かを判定し(ステップS1453)、10でない場合には開放時間タイマを−1し(ステップS1454)、開放時間タイマがタイムアウトしたか否かを判定する(ステップS1455)。タイムアウトしていない場合にはそのまま大入賞口開放中処理を終了する。ステップS1453において入賞個数カウンタの値が10であるか、またはステップS1455において開放時間タイマがタイムアウトした場合には、CPU56は、特別可変入賞球装置22を閉鎖状態に制御する(ステップS1468)。これにより、大入賞口24に遊技球が10個入賞するか、または開放時間タイマがタイムアウトした場合に特別可変入賞球装置22を閉鎖状態に制御することとしている。なお、大入賞口24に遊技球が10個入賞したか否かの判定と、開放時間タイマがタイムアウトしたか否かの判定との順序についてはこれに限るものではない。
その後、CPU56は、ラウンド数カウンタの値をEXTデータにセットして大入賞口開放後指定コマンドを送信し(ステップS1470)、ラウンド数カウンタの値が15であるか否か、すなわち、最終ラウンドが終了したか否かを判定する(ステップS1471)。最終ラウンドが終了していない場合、ラウンド数カウンタの値に応じて大入賞口開放前タイマをセットする(ステップS1472)。ここでは、具体的に、図27に上述した開閉時間テーブルを用いて、大入賞口開放前タイマに閉鎖時間がセットされる。そして、CPU56は、ラウンド数カウンタの値を+1し(ステップS1473)、特別図柄プロセスフラグの値を大入賞口開放前処理(ステップS305)に対応した値に更新し(ステップS1475)、大入賞口開放中処理を終了する。
また、ステップS1471において、ラウンド数カウンタの値が15であると判定された場合、CPU56は、ラウンド数カウンタの値に応じて大入賞口開放後タイマに閉鎖時間をセットする(ステップS1476)。大入賞口開放後タイマは、15ラウンドが終了してから大当り遊技状態が終了するまでの時間を計測するタイマである。このとき、ラウンド数は15であるため、いずれの大当り種別であっても3.0秒が大入賞口開放後タイマとしてセットされる。そして、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値を大入賞口開放後処理(ステップS307)に対応した値に更新し(ステップS1477)、大入賞口開放中処理を終了する。
図29は、大入賞口開放後処理を示すフローチャートである。大入賞口開放後処理において、まず、CPU56は、大入賞口開放後タイマを−1する(ステップS2900)。そして、CPU56は、大入賞口開放後タイマがタイムアウトしたか否かを判定し(ステップS2901)、タイムアウトしない場合にはそのまま大入賞口開放後処理を終了し、大入賞口開放後タイマがタイムアウトするまで待機する。大入賞口開放後タイマがタイムアウトした場合、特別図柄プロセスフラグの値を大当り終了処理(ステップS308)に対応した値に更新し(ステップS2902)、大入賞口開放後処理を終了する。このように、大入賞口開放後処理において大入賞口開放後タイマがタイムアウトするまで待機してから大当り終了処理に移行することにより、大当り遊技状態中における最終ラウンドが終了した後に3.0秒間に亘って特別可変入賞球装置22を閉鎖状態とすることを確保することとしている。上述したように、カウントスイッチ25aは遊技球が大入賞口24へ入賞してから2.0秒後までに該入賞を検出可能な位置に設置されていることから、15ラウンドが終了する直前(閉鎖状態となる直前)に大入賞口24に入賞した遊技球については、この大入賞口開放後処理中にカウントスイッチ25aに検出されることとなる。
図30は、特別図柄プロセス処理における大当り終了処理(ステップS308)を示すフローチャートである。大当り終了処理において、CPU56は、大当り終了表示タイマが設定されているか否か確認し(ステップS160)、大当り終了表示タイマが設定されている場合には、ステップS164に移行する。大当り終了表示タイマが設定されていない場合には、大当りフラグをリセットし(ステップS161)、大当り終了指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS162)。ここで、確変大当りAまたは確変大当りBであった場合には大当り終了1指定コマンドを送信し、通常大当りであった場合には大当り終了2指定コマンドを送信する。そして、大当り終了表示タイマに、演出表示装置11において大当り終了表示が行われている時間(大当り終了表示時間)に対応する表示時間に相当する値を設定し(ステップS163)、処理を終了する。
ステップS164では、大当り終了表示タイマの値を1減算する。そして、CPU56は、大当り終了表示タイマの値が0になっているか否か、すなわち大当り終了表示時間が経過したか否か確認する(ステップS165)。経過していなければ処理を終了する。
大当り終了表示時間を経過していれば(ステップS165のY)、CPU56は、確変大当りAまたは確変大当りBであった場合には確変フラグをセットして遊技状態を確変状態に移行させる(ステップS166のY,S167)。そして、時短フラグをセットし(ステップS168)、ステップS171に移行する。
ステップS166において、確変大当りAまたは確変大当りBでない場合、すなわち、通常大当りである場合、CPU56は、時短フラグをセットするとともに、確変回数カウンタに「100」をセットし(ステップS169,S170)、ステップS171に移行する。なお、本実施の形態において設けられた大当り種別は、全て時短状態へ移行する大当り種別であるため、いずれの大当り種別であるかを判定するよりも前(ステップS166の前)に、時短フラグをセットすることとしてもよい。
そして、ステップS171において、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値を特別図柄通常処理(ステップS300)に対応した値に更新する(ステップS171)。
図31は、主基板40に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には、CPU56)が実行する特別図柄表示制御処理(ステップS36)のプログラムの一例を示すフローチャートである。特別図柄表示制御処理では、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値が3であるか否か(すなわち、特別図柄変動中処理の実行中であるか否か)を確認する(ステップS3201)。特別図柄プロセスフラグの値が3であれば(すなわち、特別図柄変動中処理の実行中であれば)、CPU56は、特別図柄変動表示用の特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定または更新する処理を行う(ステップS3202)。この場合、CPU56は、特別図柄の変動表示を行うための特別図柄表示制御データを設定または更新する。例えば、変動速度が1コマ/0.2秒であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される特別図柄表示制御データの値を+1する。そして、その後、表示制御処理(ステップS22参照)が実行され、特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファの内容に応じて特別図柄表示器(第1特別図柄表示器12a,第2特別図柄表示器12b)に対して駆動信号が出力されることによって、特別図柄表示器(第1特別図柄表示器12a,第2特別図柄表示器12b)における特別図柄の変動表示が実行される。
特別図柄プロセスフラグの値が3でなければ、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値が4であるか否か(すなわち、特別図柄停止処理の実行中であるか否か)を確認する(ステップS3203)。特別図柄プロセスフラグの値が4であれば(すなわち、特別図柄停止処理に移行した場合には)、CPU56は、特別図柄通常処理で設定された特別図柄の停止図柄を停止表示するための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する処理を行う(ステップS3204)。この場合、CPU56は、特別図柄の停止図柄を停止表示するための特別図柄表示制御データを設定する。そして、その後、表示制御処理(ステップS22参照)が実行され、特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファの内容に応じて特別図柄表示器(第1特別図柄表示器12a,第2特別図柄表示器12b)に対して駆動信号が出力されることによって、特別図柄表示器(第1特別図柄表示器12a,第2特別図柄表示器12b)において特別図柄の停止図柄が停止表示される。なお、ステップS3204の処理が実行され停止図柄表示用の特別図柄表示制御データが設定された後には、設定データの変更が行われないので、ステップS22の表示制御処理では最新の特別図柄表示制御データにもとづいて最新の停止図柄を次の変動表示が開始されるまで停止表示し続けることになる。また、ステップS3201において特別図柄プロセスフラグの値が2または3のいずれかであれば(すなわち、表示結果指定コマンド送信処理または特別図柄変動中処理のいずれかであれば)、特別図柄変動表示用の特別図柄表示制御データを更新するようにしてもよい。この場合、遊技制御用マイクロコンピュータ560側で認識する変動時間と演出制御用マイクロコンピュータ200側で認識する変動時間との間にズレが生じないようにするため、表示結果指定コマンド送信処理においても変動時間タイマを1減算するように構成すればよい。
なお、この実施の形態では、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄表示制御データを出力バッファに設定する場合を示したが、特別図柄プロセス処理において、特別図柄の変動開始時に開始フラグをセットするとともに、特別図柄の変動終了時に終了フラグをセットするようにしてもよい。そして、特別図柄表示制御処理(ステップS36)において、CPU56は、開始フラグがセットされたことにもとづいて特別図柄表示制御データの値の更新を開始するようにし、終了フラグがセットされたことにもとづいて停止図柄を停止表示さえるための特別図柄表示制御データをセットするようにしてもよい。
次に、演出制御手段の動作を説明する。図32は、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ200(具体的には、演出制御用CPU201)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。演出制御用CPU201は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(例えば、4ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う(ステップS701)。その後、演出制御用CPU201は、タイマ割込フラグの監視(ステップS702)を行うループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU201は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされていたら、演出制御用CPU201は、そのフラグをクリアし(ステップS703)、以下の演出制御処理を実行する。
次いで、演出制御用CPU201は、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする処理等を行う(コマンド解析処理:ステップS704)。
次いで、演出制御用CPU201は、演出制御プロセス処理を行う(ステップS705)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置11の表示制御を実行する。
次いで、演出制御用CPU201は、第4図柄プロセス処理を行う(ステップS706)。第4図柄プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(第4図柄プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置11の第4図柄表示領域9c,9dにおいて第4図柄の表示制御を実行する。
次いで、演出制御用CPU201は、大当り図柄決定用乱数などの乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する乱数更新処理を実行する(ステップS707)。その後、ステップS702に移行する。
以上に説明したように、この実施の形態によれば、遊技球が流下する流路の底面として形成される底面部材23の動作により、大入賞口24へ遊技球が入賞可能な開状態と、入賞不能な閉状態とに変化する特別可変入賞装置22が遊技領域10に設けられており、遊技球が底面部材23の上流領域23Uから下流領域23Lまで流下する所要期間(流下時間Ta(s)=1.0秒)よりも短い期間(0.8秒)に亘って特別可変入賞装置22を閉状態に変化させることとした。これにより、特別可変入賞装置22を閉状態とした直後に底面部材23の上流領域23Uに位置している遊技球が下流領域23Lまで流下するよりも前に特別可変入賞装置22が開状態となるため、該遊技球は大入賞口24に入賞可能となる。従って、閉状態となった場合であっても底面部材23上を流下する遊技球は大入賞口24に入賞し易くなるため、発射された遊技球に対する大入賞口24に入賞する遊技球の割合を向上させ、興趣を向上させることができる。
また、本実施の形態において、特定条件(大当り図柄の停止表示)の成立にもとづいて制御される遊技者にとって有利な大当り遊技状態における所定回数目の開状態(通常大当りまたは確変大当りAにもとづいた大当り遊技状態における1回目〜14回目の開放状態、または確変大当りBにもとづいた大当り遊技状態における1回目〜8回目の開放状態)と該所定回数目の次の開状態との間に所定期間(0.8秒)に亘って特別可変入賞装置22を閉状態に変化させ、大当り遊技状態における最後の開状態(15ラウンド)の後に該所定期間(0.8秒)より長い期間(3.0秒)に亘って特別可変入賞装置22を閉状態に変化させることとした。これにより、遊技球を大入賞口24に入賞し易くすることができ、興趣を向上させることができる。
また、本実施の形態において、大入賞口24へ遊技球が入賞したことを検出するカウントスイッチ25aを備え、特定条件(大当り図柄の停止表示)の成立にもとづいて制御される遊技者にとって有利な大当り遊技状態における最後の開状態(15ラウンド)の後に、大入賞口24へ遊技球が入賞してからカウントスイッチ25aによって該入賞が検出されるまでの所要期間(2.0秒)より長い期間(3.0秒)に亘って特別可変入賞装置22を閉状態に変化させることとした。これにより、閉状態にしている期間中に全ての遊技球がカウントスイッチ25aに検出されるので、遊技球の入賞による処理を大当り遊技状態中に終了させることができる。したがって、大当り遊技状態終了後に大入賞口24への入賞による処理などをおこなう必要がなくなるため、容易に処理をおこなうことができる。
また、本実施の形態においては、一のラウンドにおいて特別可変入賞装置22を1回のみ開放状態とする構成としたが、複数回開放状態とする構成としてもよい。その場合、インターバル期間中にのみ特別可変入賞装置22が閉鎖状態されるものではなく、ラウンド中の開放状態と開放状態との間にも特別可変入賞装置22が閉鎖状態とされるものとなる。そうすることにより、いずれの閉鎖状態がインターバル期間中の閉鎖状態であるかを遊技者に認識させ難くすることができる。したがって、可変入賞装置22の開閉時間の設定によっては、異なる大当り種別にもとづく大当り遊技状態であっても同様の挙動を示しているかのように見せることができ、興趣を向上させることができる。以下、第1の例および第2の例において、具体的に説明する。
まず、第1の例として、大当り種別として15ラウンドの大当り遊技状態に移行する大当りAおよび大当りBが設けられており、大当り遊技状態の1ラウンドにおける特別可変入賞装置22の開閉態様として、20秒開放して0.8秒閉鎖する開閉態様Aと、0.1秒開放して0.8秒閉鎖する開閉態様Bと、20秒開放して0.8秒閉鎖した後に0.1秒開放して0.8秒閉鎖することを7回繰り返す開閉態様Cとがあることとする。そして、大当りAにもとづく大当り遊技状態では1ラウンド〜8ラウンドでは開閉態様Aにて開閉制御をおこない、9ラウンド〜15ラウンドでは開閉態様Bにて開閉制御をおこなうこととし、大当りBにもとづく大当り遊技状態では1ラウンド〜7ラウンドでは開閉態様Aにて開閉制御をおこない、8ラウンドでは開閉態様Cにて開閉制御をおこない、9ラウンド〜15ラウンドでは再び開閉態様Aにて開閉制御をおこなうこととする。この場合、大当りAにもとづく大当り遊技状態の1ラウンド〜15ラウンドと、大当りBにもとづく大当り遊技状態の1ラウンド〜8ラウンドとで同様の挙動を示すこととなるため、遊技者にとってはいずれの大当り種別にもとづく大当り遊技状態であるかを認識することが困難となる。そして、大当りBにもとづく大当り遊技状態である場合には、8ラウンドにおいて大当り遊技状態が終了するかのような演出をおこなった後に9ラウンド以降も継続させれば、遊技者に対して大当り遊技状態のラウンド数が増えたかのように見せることができる。このような遊技機においても、遊技球が底面部材23の上流領域23Uから下流領域23Lまで流下する所要期間よりも短い期間に亘って特別可変入賞装置22を閉状態に変化させることにより、発射された遊技球に対する大入賞口に入賞する遊技球の割合を向上させ、興趣を向上させることができる。
次に、第2の例として、大当り種別として、大当りCと大当りDとが設けられており、大当りCにもとづく大当り遊技においては、特別可変入賞装置22を0.1秒間開放状態とした後に0.9秒間閉鎖状態とすることを3回繰り返すラウンド(すなわち、1ラウンド3.0秒)を10回(10ラウンド)実行し、大当りDにもとづく大当り遊技においては、特別可変入賞装置22を0.1秒間開放状態とした後に0.9秒間閉鎖状態とすることを5回繰り返すラウンド(すなわち、1ラウンド5.0秒)を10回(10ラウンド)実行するものとする。その場合、遊技球が底面部材23の上流領域23Uから下流領域23Lまで流下する所要期間よりも短い期間に亘って特別可変入賞装置22を閉状態に変化させることとなるため、大当り遊技状態中は遊技球が大入賞口24に入賞し易い状況が継続することとなり、大当りDの方が大当りCよりも遊技者にとって有利な大当りであるといえる。これらの大当り遊技において、ラウンド中における遊技球の大入賞口への入賞限度には達しないもの(0.1秒ずつしか開放されないため、入賞個数カウンタが10に達することはないもの)を想定した場合、各ラウンドが途中で終了されることがないため、遊技者にとっては特別可変入賞装置22が0.1秒間開放状態とされた後に0.9秒間閉鎖状態とされることが繰り返されているように見える。そこで、いずれの大当りにもとづく大当り遊技状態であっても、特別可変入賞装置22を0.1秒間開放状態とした後に0.9秒間閉鎖状態に繰り返す制御を30回繰り返すまでの間、同一の演出(例えば、30回目の開放状態にて大当り遊技状態が終了するかのような演出)を実行することにより、大当りCが発生したのか大当りDが発生したのかを遊技者に認識させ難くすることができる。そして、大当りDにもとづく大当り遊技状態においては特別可変入賞装置22を0.1秒間開放状態とした後に0.9秒間閉鎖状態に繰り返す制御を30回繰り返した後も大当り遊技状態が継続するため、この場合においても、遊技者に対して大当り遊技状態のラウンド数が増えたかのように見せることができる。また、この第2の例においては、ラウンド中における遊技球の大入賞口24への入賞限度には達しないものを想定していることにより、大当り遊技状態の時間が固定されるもの(大当りCにもとづく大当り遊技は30秒間、大当りDにもとづく大当り遊技は50秒間)である。したがって、大当り遊技状態中の演出をラウンド毎に切り替える必要がないため、大当り遊技状態に対して一の演出(例えば、大当りCにもとづく大当り遊技状態であれば、30秒間のストーリー演出)を実行するだけでよくなり、開発が容易になるとともに、処理負担を軽減することができる。
また、本実施の形態では、遊技球を蛇行させることで遊技球の流下速度を遅延させ、流下時間Ta(s)>ラウンドインターバルTin(s)の関係が成り立つようにしたが、これに限るものではない。例えば、遊技球をベース板部101の裏面側に案内する迂回路がベース板部101の裏面に形成され、底面部材23が前進移動した状態では迂回路に遊技球を誘導するようになっている一方、底面部材23が後退移動した状態で遊技球は入賞口に入賞可能な状態になるようなこととしてもよい。この迂回路が、底面部材23の長さよりも長く構成されていることとすれば、遊技球が底面部材23の上流領域23Uに達した際に入賞装置が閉状態であっても、遊技球が迂回路を流下することで底面部材23の下流領域23Lに達するまでの時間がかかる。これにより、遊技球が上記下流領域23Lに達したときに、入賞装置が開状態になっている可能性が高くなり、遊技球を入賞させ易くすることができる。
また、上流領域23Uから下流領域23Lへ流下する経路上に回転体を設け、該回転体により遊技球が遅延させられるようなこととしてもよい。例えば、回転体が所定の回転速度を有するものとすれば、流下してきた遊技球が該回転体上に捕捉されて該回転体の動作に応じて1周して開放されることで、遊技球の速度を該所定の回転速度に合わせて抑えることができる。この回転体の有する回転速度が遅い程、遊技球を大きく遅延させることができるため、遊技球が上記下流領域23Lに達したときに、入賞装置が開状態になっている可能性が高くなり、遊技球を入賞させ易くすることができる。
他にも、底面部材23の傾斜を左上がりとしたり、底面部材23の上部表面に凹凸を設けたり、底面部材23を摩擦抵抗の高い素材によって構成したりすることにより遊技球の流下速度を遅延させ、流下時間Ta(s)>ラウンドインターバルTin(s)の関係が成り立つようにしてもよい。
また、流下時間Ta(s)>ラウンドインターバルTin(s)の関係が成り立つものであれば、遊技球の流下速度を遅延させないものであってもよい。例えば、遊技球の流下速度を遅延させないものであっても流下時間Ta(s)>ラウンドインターバルTin(s)の関係が成り立つ程度に、底面部材23の長さを長くして設けることとしてもよい。
なお、本実施の形態では、大当り遊技状態における最終ラウンドが終了した後に特別可変入賞球装置22を閉鎖状態とし、3.0秒が経過してから大当り遊技状態からエンディング期間に移行することにより、大入賞口24へ入賞した遊技球の排出をエンディング期間に移行するよりも前に完了することができることとしたが、最終ラウンドが終了した後に3.0秒間に亘って特別可変入賞球装置22を閉鎖状態とするものであればこれに限るものではない。例えば、最終ラウンドの開放状態が終了したときに大当り遊技状態からエンディング期間に移行し、該エンディング期間中に3.0秒間に亘って特別可変入賞球装置22を閉鎖状態とするものであってもよい。その場合、変動制御が開始されるまでに、大入賞口24へ入賞した遊技球の排出を完了することができる。
また、本実施の形態においては、大入賞口24へ遊技球が入賞した場合にカウントスイッチ25aおよび第3入賞確認スイッチ25bにより該入賞を検出することとしているが、一方のセンサで該入賞を検出したものの他方のセンサでは該入賞を検出しなかった場合に、なんらかの異常が発生したものとして、その旨を報知することとしてもよい。具体的には、一方のセンサで入賞を検出した場合に所定のカウンタに1加算し、他方のセンサで入賞を検出した場合に該所定のカウンタを1減算し、各センサが大入賞口24への遊技球の入賞を検出し終わっているべきタイミングにて該所定のカウンタの値が0であれば異常が発生していないものと判定する一方、該所定のカウンタの値が0以外であれば異常が発生したものと判定し、その旨を報知する演出をおこなうこととしてもよい。また、その場合、特定遊技状態における最後の開状態の後には、大入賞口24へ遊技球が入賞してから両方のセンサにより検出されるまでの期間よりも長い期間に亘って特別可変入賞装置22を閉状態とするものであってもよい。なお、大入賞口24への遊技球の入賞を単一のセンサによって検出するものであってもよい。
なお、本実施の形態では、開状態および閉状態に変化可能な可変入賞装置として特別可変入賞装置22を用いて説明したが、これに限るものではない。例えば、遊技媒体が流下する流路の底面として形成される底面部材の動作により遊技球が始動入賞口(第2始動入賞口)に入賞可能な開状態と入賞不能な閉状態とに変化可能な可変入賞装(普通可変入賞装置)が設けられ、遊技球が底面部材の上流領域から下流領域まで流下する所要期間よりも短い期間に亘って閉状態に変化させることとしてもよい。なお、始動入賞口を開状態とするか否かを普通図柄変動により決定する構成である場合には、普通図柄変動の変動時間を極端に短くすることにより、開状態が終了してから次の開状態が発生するまでの時間が短くなり、遊技球が底面部材の上流領域から下流領域まで流下する所要期間よりも短い期間に亘って閉状態に変化させることができる。これにより、発射された遊技球に対する始動入賞口に入賞する遊技球の割合を向上させ、興趣を向上させることができる。具体的には、図2に示した特別可変入賞装置22と同様の形状を有する普通可変入賞装置が備えられており、高ベース状態においては、普通図柄変動の変動時間として、遊技球が普通可変入賞装置の底面部材の上流領域から下流領域まで流下する所要期間よりも短い時間(例えば、0.8秒)が設けられていることとすれば、普通可変入賞装置上を通過する略全ての遊技球を普通可変入賞装置に入賞させることができる。
また、本実施の形態においては、詳細な演出内容について説明していないが、大当り遊技状態においてラウンド数を表示するラウンド数表示を実行することとしてもよい。以下、大当り遊技状態においてラウンド数を表示するラウンド数表示を実行する変形例について説明する。なお、上述した実施の形態と同じ箇所については、説明を省略する。
本変形例においては、大当り種別として、16ラウンドの大当り遊技状態に制御される第1確変大当りと第2確変大当りとが設けられている。また、大当り遊技状態における各ラウンドにおいて、演出表示装置11ではラウンド数表示がおこなわれる。
図33は、変形例における、大当り遊技状態において、大当りの種別に応じて、開放回(ラウンド)ごとに送信する開放中指定コマンドを選択してコマンドを送信するために用いられる開放中指定コマンドテーブルを示す図である。
開放中指定コマンドテーブルは、第1確変大当りのときに用いる第1確変大当り開放中指定コマンドテーブルと、第2確変大当りのときに用いる第2確変大当り開放中指定コマンドテーブルとに分けて設けられ、ROM54に記憶されている。これら開放中指定コマンドテーブルでは、大当り遊技状態における開放回(ラウンド)ごとに、何回目の開放回数であるか、および、開放時間(長開放または短開放)を特定可能なコマンドが設定されている。
図33(A)に示す第1確変大当り開放中指定コマンドテーブルでは、第1回目〜16回目までのすべての開放回(ラウンド)のそれぞれについて、長開放を指定する開放中1指定コマンドが選択されるようにデータが設定されている。これにより、第1確変大当りの大当り遊技状態においては、第1回目〜第16回目のすべての開放回(ラウンド)について、対応する「開放回目および長開放」を特定可能な開放中1指定コマンドが選択されて送信されることとなる。
図33(B)に示す第2確変大当り開放中指定コマンドテーブルでは、第1回目〜10回目までの開放回のそれぞれについては、長開放を指定する開放中1指定コマンドが選択されるようにデータが設定されている。そして、第2確変大当り開放中指定コマンドテーブルでは、第11回目〜16回目までの開放回のそれぞれについては、短開放を指定する開放中2指定コマンドが選択されるようにデータが設定されている。これにより、第2確変大当りの大当り遊技状態においては、第1回目〜第10回目のそれぞれの開放回(ラウンド)について、対応する「開放回目および長開放」を特定可能な開放中1指定コマンドが選択されて送信され、その後、11回目〜第16回目のそれぞれの開放回(ラウンド)について、該当する「開放回目および短開放」を特定可能な開放中2指定コマンドが選択されて送信されることとなる。
また、ROM54においては、図33の第1確変大当り開放中指定コマンドテーブルおよび第2確変大当り開放中指定コマンドテーブルと同様に、大当り遊技状態において、大当りの種別に応じて、開放回(ラウンド)ごとに送信する開放後指定コマンドを選択してコマンドを送信するために用いられる開放後指定コマンドテーブルが設けられている。開放後指定コマンドテーブルは、第1確変大当りのときに用いる第1確変大当り開放後指定コマンドテーブルと、第2確変大当りのときに用いる第2確変大当り開放後指定コマンドテーブルとに分けて設けられている。これら開放後指定コマンドテーブルでは、大当り遊技状態における開放回(ラウンド)ごとに、何回目の開放回数であるか、および、開放時間(長開放または短開放)を特定可能なコマンドが設定されている。このような開放後指定コマンドテーブルでは、図33の開放中コマンドのデータ内容がそのまま開放後コマンドのデータ内容に置き換えられたデータ構成で各開放回ごとのデータが設定されている。
図34は、変形例における、第1確変大当りおよび第2確変大当りのそれぞれについて、大当り遊技状態において、実行される特別可変入賞球装置22の開閉パターン、送信される開放中コマンド、演出表示装置11でのラウンド数表示、および、演出表示装置11での出球表示の制御態様の関係を説明するタイミングチャートである。図34(A)では、第1確変大当りの制御態様が示されている。図34(B)では、第2確変大当りの制御態様が示されている。
図34(A)に示すように、第1確変大当りの大当り遊技状態においては、第1〜第16回目の各開放回において、29秒間の長開放態様で特別可変入賞球装置22が開状態に制御される。これにより、第1確変大当りでは、16回分の開放回において、実質的に大入賞口への入賞が可能であり賞球払出しが可能となる。一方、図34(B)に示すように、第2確変大当りの大当り遊技状態においては、第1〜第10回目の各開放回において、29秒間の長開放態様で特別可変入賞球装置22が開状態に制御された後、0.5秒間の短開放態様で特別可変入賞球装置22が開状態に制御される。これにより、第2確変大当りでは、10回分の開放回において、実質的に大入賞口への入賞が可能であり賞球払出しが可能となる。
また、図34(A),(B)に示すように、大当り遊技状態においては、各開放回(ラウンド)の開始時に、開放中1指定コマンドまたは開放中2指定コマンドが遊技制御用マイクロコンピュータ560から送信される。開放中コマンドとしては、長開放の開放回の開始時には長開放を示す開放中1指定コマンドが選択されて送信され、短開放の開放回の開始時には短開放を示す開放中2指定コマンドが選択されて送信される。
演出制御用マイクロコンピュータ200では、図34(A),(B)に示すように、開放中1指定コマンドを受信したときには、そのコマンドにより特定される何回目の開放であるかの情報に対応して、演出表示装置11におけるラウンド数表示において、実行される特別可変入賞球装置22の開放回のラウンド数を数値情報により表示する。例えば、コマンドにより第1回目の開放であることが特定されるときには、1ラウンドであることを示すラウンド数表示を演出表示装置11においてする制御が行なわれる。このように、演出表示装置11においては、所定の報知演出として、ラウンド数表示が行なわれる。
一方、演出制御用マイクロコンピュータ200では、図34(B)の11回目〜16回目の開放について示すように、開放中2指定コマンドを受信したときには、そのコマンドにより特定される何回目の開放であるかの情報に対応した新たなラウンド数表示の更新表示は行なわれず、元のラウンド数(この例では10ラウンド)を示すラウンド数表示が継続される。これにより、実質的な大入賞口への入賞が得られず賞球が得られない短開放においてラウンド数が更新表示されないことにより、遊技の興趣の低下を防ぐことができる。例えば、大入賞口への入賞による賞球が実質的に得られないにもかかわらずラウンド数が更新表示されると、ラウンドが進行したにもかかわらず大入賞口への入賞による出球が得られないので、遊技者の期待感が裏切られることにより遊技の興趣が低下するのであるが、そのような実質的に賞球が得られないときにラウンド数が更新表示されなければ、遊技者の期待感が裏切られないことにより遊技の興趣の低下を防ぐことができるのである。すなわち、本変形例によれば、報知による不具合の発生を防止することができる。
なお、ラウンド数表示としては、現在実行中のラウンド数を示す数値情報を表示する代わりに、大当り遊技状態中に実行可能なラウンドの残数を示す数値情報を表示するようにしてもよい。
また、ラウンド数表示として、大当り遊技状態中に実行可能なラウンドの残数を示すときには、数値情報ではなく、ラウンドの残数に対応した数のアイコン画像を表示し、ラウンドが実行されるごとに当該アイコン画像を消去していく表示を行なうようにしてもよい。例えば、第2確変大当りの大当り遊技状態中には、実質的に大入賞口に入賞可能なラウンド数「10」に対応した10個のアイコン画像を1ラウンドで表示し、長開放ラウンドが実行されるごとにアイコン画像を消去していく表示制御を行なうようにしてもよい。
また、ラウンド数表示として、大当り遊技状態中に実行可能なラウンドの残数を示すときには、まず残りラウンド数の一部を表示した後、表示された残りラウンド数が長開放ラウンドの実行によりすべて消化されたときに、ラウンドが継続するか否かの演出を行なって、ラウンドが継続する旨を示した後に、まだ消化していない一部のラウンド数を表示する演出制御を行なうようにしてもよい。
また、ラウンド数表示として、ラウンドの残数に対応した数のアイコン画像を表示するときには、ラウンドが実行されるごとに当該アイコン画像の画像色を当初の画像色から特定の画像色(ラウンドが消化されたことを示す色)に変化させる表示を行なうようにしてもよい。また、ラウンド数表示として、ラウンドの残数に対応した数のアイコン画像を表示するときには、ラウンドが実行されるごとに当該アイコン画像の形状を当初の画像形状から特定の画像形状(ラウンドが消化されたことを示す形状)に変化させる表示を行なうようにしてもよい。
また、演出制御用マイクロコンピュータ200では、図34(A),(B)に示すように、開放中1指定コマンドを受信したときには、実行されるラウンドにおいて、受信した入賞カウント指定コマンドに基づいて計数される出球個数の情報に対応して、演出表示装置11における出球表示において、大当り遊技状態中に払い出された出球の個数の合算値を更新表示する。例えば、カウントスイッチ25aにより検出される入賞球1個に対する賞球個数が15個であるときには、入賞カウント指定コマンドが受信されるごとに、出球の個数の合算値を示す出球表示を演出表示装置11において「15」ずつ加算更新表示する制御が行なわれる。このように、演出表示装置11においては、大当り遊技状態中に遊技者に付与された利益に関する利益特定表示として、出球表示をさせる制御が行なわれる。この実施の形態では、このような出球表示として、大当り遊技状態中に大入賞口24に入賞した遊技球を計数し、その遊技球に対して払出される賞球数を表示する例を示すが、大当り遊技状態中に行なう出球表示としては、大入賞口24以外に設けられた入賞口(例えば、1個の入賞球に対して10個の賞球が払出されるような一般入賞口)に入賞した遊技球を計数し、その計数値を大入賞口への入賞球に対して払出される賞球数に合算した賞球数を表示するようにしてもよい。
一方、演出制御用マイクロコンピュータ200では、図34(B)の11回目〜16回目の開放について示すように、開放中2指定コマンドを受信したときには、実行されるラウンドにおいて、入賞カウント指定コマンドを受信しても、演出表示装置11における出球表示が演出表示装置11において更新表示されないように、出球表示を制限する制御が行なわれる。これにより、実質的な大入賞口への入賞が得られず賞球が得られない短開放において出球数が更新表示されないことにより、遊技の興趣の低下を防ぐことができる。例えば、大入賞口への入賞による賞球が実質的に得られないにもかかわらず出球数が更新表示されると、ラウンドが進行したにもかかわらず大入賞口への入賞による賞球が得られないので、遊技者の期待感が裏切られることにより遊技の興趣が低下するのであるが、そのような実質的に大入賞口への入賞による賞球が得られないときに出球数が更新表示されなければ、遊技者の期待感が裏切られないことにより遊技の興趣の低下を防ぐことができるのである。
なお、本変形例においては、短開放におけるラウンド中では、前回のラウンドにおけるラウンド数表示を継続して表示することとしたが、実質的に賞球が得られない短開放において新たなラウンド数表示をおこなわないものであれば、これに限らず、短開放におけるラウンド中ではラウンド数表示自体をおこなわないこととしてもよい。
なお、遊技球が底面部材の上流領域から下流領域まで流下する所要期間よりも短い期間に亘って特別可変入賞装置を閉状態に変化させる遊技機である場合には、短開放におけるラウンドであっても大入賞口への遊技球の入賞が発生し得るため、短開放においても出玉数が更新表示されることとしてもよい。すなわち、パチンコ遊技機1は、可変入賞装置(特別可変入賞装置)の入賞領域(大入賞口)へ遊技媒体が入賞したことにもとづいて遊技価値を付与し(遊技媒体を払い出し)、特定条件の成立にもとづいて制御される遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り遊技状態)において付与した遊技価値の大きさ(払い出した遊技媒体の数)を表示する特定表示(払出数表示)を行うこととし、さらに、第1期間(29秒)に亘って可変入賞装置を開状態とする第1開放態様(長開放)と、第1期間よりも短い第2期間(0.5秒)に亘って可変入賞装置を開状態とする第2開放態様(短開放)とのいずれかの開放態様にて、可変入賞装置を開状態に変化させ、第2開放態様における開状態中に遊技媒体が入賞したことにもとづいて付与した遊技価値の大きさ(払い出した遊技媒体の数)を反映させて払出数表示(出玉数の更新表示)を行うこととしてもよい。これにより、短開放における興趣を向上させることができる。
なお、ここでは、付与した遊技価値の大きさを表示する特定表示として払出数表示をおこなうこととしたが、実行中の大当り遊技状態において付与した遊技価値の大きさを表示することとしてもよいし、連続した複数回の大当り遊技状態において付与した遊技価値の合計の大きさを表示することとしてもよい。例えば、通常状態に移行することなく確変状態において連続して発生した大当り(いわゆる、連荘)において払い出した遊技球の合計値を表示することとしてもよい。また、短開放中に大入賞口24への遊技球の入賞を検出した場合に、長開放中にはおこなわない特別な報知(例えば、音声を出力したり、LEDを点灯制御したりする演出)をおこなうことにより、短開放における興趣を向上させることとしてもよい。
また、上述した実施の形態では、大当り遊技状態にて可変入賞装置が開状態に変化されることとしたが、小当り遊技状態にて可変入賞装置が開状態に変化されることとしてもよい。小当り遊技状態とは、識別情報が大当りとは異なる特定の表示態様の組み合わせになると(いわゆる「小当り」が発生すると)移行する遊技状態である。そういった場合、小当り遊技状態においては、例えば、可変入賞装置があらかじめ決定された回数、規定時間だけ開状態することとなる。
また、通常状態よりも小当りの発生頻度が高い特別遊技状態(以下、「特殊状態」ということがある)に移行する構成としてもよい。その際の制御としては、第2特別図柄については小当り確率を高くするとともに可変入賞装置の開放期間も長い期間(例えば1.8秒)とし、普段(通常状態)は第2特別図柄の変動時間を極端に長い変動時間(例えば1800秒)が選ばれるようにする。そして所定条件の成立(例えば小当りの発生や大当りの発生、予め決められた変動回数の消化)にもとづいて、第2特別図柄の変動時間をごく短い時間にすることで小当りの発生頻度を高める(特殊状態に移行する)。この場合、2種類の特別図柄で同時に変動しないタイプの遊技機であってもよいし、同時に変動を実行可能なタイプの遊技機であってもよい。
ここで、図35を用いて具体的に説明する。図35は、特別図柄および飾り図柄の変動パターン(変動時間)を示す説明図である。なお、通常状態では低確率(例えば、1/300)で小当りが発生する一方、特殊状態では高確率(例えば、260/300)で小当りが発生することとする。また、第2特別図柄に対応する第2始動入賞口と、小当り遊技状態において開閉制御される可変入賞装置とは、同一の流下領域に配置されているもの(例えば、遊技者が左打ちをした際に遊技球が流下する流下領域に、第2始動入賞口および可変入賞装置が配置されているもの)とする。図35に示すEXTとは、それぞれの変動パターンに対応した演出制御コマンド(2バイト構成)の2バイト目のデータである。図35に示す例では、第1特別図柄および第1飾り図柄についての第1変動パターン#1〜#3と、第2特別図柄および第2飾り図柄についての第2変動パターン#1〜#11とが用いられる。
図35に示すように、第1始動入賞口への遊技球の入賞時には、いずれの遊技状態であっても、第1変動パターン#1〜#3が用いられる。また、第2始動入賞口への遊技球の入賞時には、通常状態であれば第2変動パターン#1〜#3が、特殊状態であれば第2変動パターン#4〜#8が用いられる。ここで、通常状態における第2変動パターン#1,#2の変動時間が1800秒と他の変動パターンの変動時間と比較して極端に長くなっている。これは、通常状態にて第2特別図柄の図柄変動をしても大当りでない限りはなかなか保留を消化しないための構成であり、すなわち、通常状態では第2特別図柄の変動を行わせる方が第1特別図柄の変動を行わせるよりも遊技者に不利な状況を構成している。また、特殊状態では、図示するように、大当りでなくても最長60秒の変動時間としている。これにより、特殊状態では第2特別図柄の変動表示を遊技者に実行させやすいようにしている。そして、小当り種別として小当りA〜Cが設けられているが、高い割合(例えば、98/100)で小当りAが選択されることとした場合、特殊状態では高確率で小当りが発生するとともに、そのうちの高い割合で小当りAが選択されることとなる。したがって、略全ての変動にて第2変動パターン#5が選択されることとなるため、5秒間の変動と小当り遊技状態とが繰り返されることとなる。可変入賞装置は、変動中は閉状態となり、小当り遊技状態は開状態となるため、5秒間の閉状態の後に小当り遊技状態において開状態となることが繰り返されることとなる。そこで、遊技球が底面部材の上流領域から下流領域まで流下する所要期間(流下時間Ta)が第2変動パターン#5の変動時間(5秒)よりも長くなるように構成する(例えば、流下時間Ta=6.0秒となるように構成する)ことで、閉状態となった場合であっても底面部材上を流下する遊技球は大入賞口に入賞し易くなる。これにより、特殊状態において大入賞口に入賞する遊技球の割合を効果的に向上させ、興趣を向上させることができる。
更に他の制御方法としては、第1特別図柄については保留記憶の機能を有し、開閉板を有する第2始動入賞口に対応した第2特別図柄については保留記憶の機能を有しないが、小当り確率を高くするとともに可変入賞装置の開放期間も長い期間(例えば1.8秒)とし、ゲートを通過した遊技媒体が略第1始動入賞口に入賞する様にする。そして、通常状態では、例えば、第1特別図柄の変動時間よりも普通図柄の変動時間を短くすることにより、開閉板が開放して第2始動入賞口の始動入賞が発生したとしても第1特別図柄が変動しているときに第2特別図柄の始動入賞を発生させることにより第2特別図柄の変動を実行できない様にする。その後、所定条件の成立(例えば小当りの発生や大当りの発生、予め決められた変動回数の消化)にもとづいて、第1特別図柄の変動時間と普通図柄の変動時間の関係を逆転させる(例えば第1特別図柄の変動時間をごく短い時間(例えば0.2秒)にする)ことにより、第1特別図柄が変動しておらず、保留もない状態で第2特別図柄の始動入賞が発生する様にすることで、小当りの発生頻度を高める様にしてもよい。なお、この制御方法の場合、第2始動入賞口を開閉板を有する始動口として構成しなくてもよく、その場合でも通常状態では第1特別図柄の保留が途切れない状態で第2特別図柄の始動入賞を発生させるようにし、所定条件の成立にもとづいて第2特別図柄の始動入賞が、第1特別図柄の保留がなく変動もしていない状態で発生する様にすればよい。
なお、上述した実施の形態について、特別図柄や演出図柄の可変表示結果にもとづいて大当り遊技状態に移行する遊技機(いわゆる第一種の遊技機)について説明したが、遊技領域に設けられた可変入賞球装置(いわゆる役物)内の特定入賞口(V入賞口)に遊技球が入賞(V入賞)したことにもとづいて大当り遊技状態に移行する遊技機(いわゆる第二種の遊技機)と第一種とを組み合わせた遊技機において適用することとしてもよい。
また、本実施の形態では、発生した大当りの大当り種別にもとづいて確変状態へ移行可能とするが、これに限るものではない。例えば、特別可変入賞球装置内に遊技球が通過可能な特定領域が設けられており、大当り中に該特定領域を遊技球が通過した場合に確変状態へ移行する一方、大当り中に該特定領域を遊技球が通過しなかった場合に通常状態へ移行するようなものであってもよい。その場合、大当り種別によって特定領域への遊技球の通過しやすさを変化させることにより、実質的な確変大当りおよび非確変大当りを実現するものであってもよい。例えば、大当り種別によって特別可変入賞球装置の開放時間を異ならせることにより、特定領域への遊技球の通過のしやすさを変化させることとしてもよい。具体的には、特別可変入賞球装置の開放時間が長い大当り種別を特定領域へ遊技球が通過しやすい大当り(実質的な確変大当り)とし、特別可変入賞球装置の開放時間が短い大当り種別を特定領域へ遊技球が通過しにくい大当り(実質的な非確変大当り)としてもよい。
なお、上記の実施の形態においては、変動時間およびリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを演出制御用マイクロコンピュータ200に通知するために、変動を開始するときに1つの変動パターンコマンドを送信する例を示したが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを演出制御用マイクロコンピュータ200に通知するようにしてもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1つ目のコマンドでは擬似連の有無、滑り演出の有無など、リーチとなる以前(リーチとならない場合には所謂第2停止の前)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信し、2つ目のコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無など、リーチとなった以降(リーチとならない場合には所謂第2停止の後)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信するようにしてもよい。この場合、演出制御用マイクロコンピュータ200は2つのコマンドの組合せから導かれる変動時間にもとづいて変動表示における演出制御を行うようにすればよい。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560の方では2つのコマンドのそれぞれにより変動時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な変動態様については演出制御用マイクロコンピュータ200の方で選択を行うようにしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込内で2つのコマンドを送信する様にしてもよく、1つ目のコマンドを送信した後、所定期間が経過してから(例えば次のタイマ割込において)2つ目のコマンドを送信するようにしてもよい。なお、それぞれのコマンドで示される変動態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知するようにすることで、変動パターンコマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。
また、上記の実施の形態では、演出装置を制御する回路が搭載された基板として、演出制御基板80、音声出力基板70およびランプドライバ基板41が設けられているが、演出装置を制御する回路を1つの基板に搭載してもよい。さらに、演出表示装置11等を制御する回路が搭載された第1の演出制御基板(表示制御基板)と、その他の演出装置(ランプ、LED、スピーカ29など)を制御する回路が搭載された第2の演出制御基板との2つの基板を設けるようにしてもよい。
なお、上記の実施の形態において、「割合が異なる」とは、A:B=70%:30%やA:B=30%:70%のような関係で割合が異なるものだけにかぎらず、A:B=100%:0%のような関係で割合が異なるもの(すなわち、一方が100%の割り振りで他方が0%の割り振りとなるようなもの)も含む概念である。
また、上記の実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御用マイクロコンピュータ200に対して直接コマンドを送信していたが、遊技制御用マイクロコンピュータ560が他の基板(例えば、図9に示す音声出力基板70やランプドライバ基板41など、または音声出力基板70に搭載されている回路による機能とランプドライバ基板41に搭載されている回路による機能とを備えた音/ランプ基板)に演出制御コマンドを送信し、他の基板を経由して演出制御基板80における演出制御用マイクロコンピュータ200に送信されるようにしてもよい。その場合、他の基板においてコマンドが単に通過するようにしてもよいし、音声出力基板70、ランプドライバ基板41、音/ランプ基板にマイクロコンピュータ等の制御手段を搭載し、制御手段がコマンドを受信したことに応じて音声制御やランプ制御に関わる制御を実行し、さらに、受信したコマンドを、そのまま、または例えば簡略化したコマンドに変更して、演出表示装置11を制御する演出制御用マイクロコンピュータ200に送信するようにしてもよい。その場合でも、演出制御用マイクロコンピュータ200は、上記の実施の形態における遊技制御用マイクロコンピュータ560から直接受信した演出制御コマンドに応じて表示制御を行うのと同様に、音声出力基板70、ランプドライバ基板41または音/ランプ基板から受信したコマンドに応じて表示制御を行うことができる。
また、上記の実施の形態では、遊技機としてパチンコ機を例にしたが、本発明を、メダルが投入されて所定の賭け数が設定され、遊技者による操作レバーの操作に応じて複数種類の図柄を回転させ、遊技者によるストップボタンの操作に応じて図柄を停止させたときに停止図柄の組合せが特定の図柄の組み合わせになると、所定数のメダルが遊技者に払い出されるスロット機に適用することも可能である。
また、上記の実施の形態では、遊技機として遊技媒体を使用するものを例にしたが本発明による遊技機は、所定数の景品としての遊技媒体を払い出す遊技機に限定されず、遊技球等の遊技媒体を封入し景品の付与条件が成立した場合に得点を付与する封入式の遊技機に適用することもできる。