JP6530785B2 - ニオブ酸アルカリ化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電セラミックの焼結製造用原料や、高分子マトリックス中に複合圧電体材料用のフィラーが分散配合されている複合圧電体材料の複合圧電体材料用フィラーとして用いられるニオブ酸アルカリ化合物の製造方法に関するものである。
圧電素子、センサ等に用いられる圧電セラミックスとしては、従来より、良好な圧電特性を示すチタン酸ジルコン酸鉛が多く利用されていた。しかし、近年、環境汚染に対する関心の高まりから、鉛を用いない非鉛材料の開発が求められている。そして、非鉛材料の中でも、比較的圧電特性に優れるニオブ酸系の圧電セラミックスの研究が進められている。
ニオブ酸系の圧電セラミックスとしては、Li、Na、Kといったアルカリ金属のニオブ酸系のセラミックが挙げられる。例えば、特許文献1には、AMO(Aはアルカリ金属、MはNb、Oは酸素)で表されるアルカリニオブ酸系圧電セラミックスが、また、特許文献2には、(1−n)KNa1−xNbO・nMH(MHは金属酸化物又は金属炭酸塩であり、Mは価数の異なる金属元素、HはO又はCOラジカル、0.2≦x≦0.95、0≦n≦0.30)で表されるニオブ酸カリウムナトリウム系無鉛圧電セラミックスが、また、特許文献3には、KNbOセラミックスの圧電セラミックスが開示されている。
また、高分子マトリックスに圧電体粒子を分散させた複合圧電体材料については、例えば、特許文献4や特許文献5に開示されている。
特開2011−236091号公報 特開2007−22854号公報 特開2010−241658号公報 特開2012−142546号公報 特開2015−50432号公報
従来、ニオブ酸アルカリ化合物の製造においては、アルカリ化合物とニオブ化合物とを乾式で混合して、焼成する際に、アルカリ化合物が潮解して均一な混合が困難になるため、焼成により得られる複合金属酸化物中のアルカリ金属のモル比が、所望のモル比からずれてしまい、精密なアルカリ金属のモル比の調整が難しいという問題があった。
従って、本発明の目的は、乾式で焼成原料を混合するニオブ酸アルカリ化合物の製造方法であって、精密なアルカリ金属のモル比の調整ができるニオブ酸アルカリ化合物の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物の製造方法であって、
アルカリ化合物と、ニオブ化合物と、を、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.900〜1.000となる量であり、且つ、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))との差で±0.015以内となる量で、乾式混合して、第一焼成原料を調製する第一工程と、
該第一焼成原料を、500〜750℃で焼成して、第一焼成物を得る第二工程と、
該第一焼成物に、アルカリ化合物を乾式で混合して、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005となる量であり、且つ、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))との差で±0.010以内となる量で、乾式混合して、第二焼成原料を調製する第三工程と、
該第二焼成原料を、500〜1000℃で焼成して、該ニオブ酸アルカリ化合物を得る第四工程と、
を有するニオブ酸アルカリ化合物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、乾式で焼成原料を混合するニオブ酸アルカリ化合物の製造方法であって、精密なアルカリ金属のモル比の調整ができるニオブ酸アルカリ化合物の製造方法を提供することができる。
実施例1で得られたニオブ酸カリウムナトリウムのXRDチャートである。 実施例1で得られたニオブ酸カリウムナトリウムのSEMである。 実施例7で得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムのXRDチャートである。 実施例7で得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムのSEMである。
本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物の製造方法は、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物の製造方法であって、
アルカリ化合物と、ニオブ化合物と、を、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.900〜1.000となる量であり、且つ、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))との差で±0.015以内となる量で、乾式混合して、第一焼成原料を調製する第一工程と、
該第一焼成原料を、500〜750℃で焼成して、第一焼成物を得る第二工程と、
該第一焼成物に、アルカリ化合物を乾式で混合して、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005となる量であり、且つ、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))との差で±0.010以内となる量で、乾式混合して、第二焼成原料を調製する第三工程と、
該第二焼成原料を、500〜1000℃で焼成して、該ニオブ酸アルカリ化合物を得る第四工程と、
を有するニオブ酸アルカリ化合物の製造方法である。
第一工程は、アルカリ化合物と、ニオブ化合物と、を、乾式で混合して、第一焼成原料を調製する工程である。第一工程に係るアルカリ化合物は、リチウム化合物、ナトリウム化合物又はカリウム化合物のいずれか、あるいは、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物のうちのいずれか2種以上の組み合わせである。つまり、アルカリ化合物として、リチウム化合物のみを用いてもよいし、ナトリウム化合物のみを用いてもよいし、カリウム化合物のみを用いてもよいし、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物のうちのいずれか2種以上を併用してもよい。
第一工程に係るリチウム化合物は、リチウム原子を有する化合物であり、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、蓚酸リチウム、酒石酸リチウム等が挙げられる。リチウム化合物は、1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。リチウム化合物としては、ハンドリング性及び反応性が良好な点で、炭酸リチウム(LiCO)が好ましい。また、リチウム化合物の純度は、高い程好ましい。
第一工程に係るリチウム化合物の平均粒径(D50)は、特に制限されないが、好ましくは1000μm以下、特に好ましくは10〜100μmである。リチウム化合物の平均粒径(D50)が上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。また、第一工程に係るリチウム化合物のBET比表面積は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜5m/g、特に好ましくは0.1〜3m/gである。リチウム化合物のBET比表面積が上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。
第一工程に係るナトリウム化合物は、ナトリウム原子を有する化合物であり、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、蓚酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等が挙げられる。ナトリウム化合物は、1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。ナトリウム化合物としては、ハンドリング性及び反応性が良好な点で、炭酸ナトリウム(NaCO)が好ましい。また、ナトリウム化合物の純度は、高い程好ましい。
第一工程に係るナトリウム化合物の平均粒径(D50)は、特に制限されないが、好ましくは1000μm以下、特に好ましくは10〜100μmである。ナトリウム化合物の平均粒径(D50)が上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。また、第一工程に係るナトリウム化合物のBET比表面積は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜5m/g、特に好ましくは0.1〜3m/gである。ナトリウム化合物のBET比表面積が上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。
第一工程に係るカリウム化合物は、カリウム原子を有する化合物であり、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、蓚酸カリウム、酒石酸カリウム等が挙げられる。カリウム化合物は、1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。カリウム化合物としては、配合から焼成におけるハンドリング性及び反応性が良好な点で、炭酸カリウム(KCO)が好ましい。また、カリウム化合物の純度は、高い程好ましい。
第一工程に係るカリウム化合物の平均粒径(D50)は、特に制限されないが、好ましくは1000μm以下、特に好ましくは10〜100μmである。カリウム化合物の平均粒径(D50)が上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。また、第一工程に係るカリウム化合物のBET比表面積は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜5m/g、特に好ましくは0.1〜3m/gである。カリウム化合物のBET比表面積が
上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。
第一工程に係るニオブ化合物は、ニオブ原子を有する化合物であり、五酸化ニオブ、水酸化ニオブ、蓚酸ニオブアンモニウム等が挙げられる。ニオブ化合物は、1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。ニオブ化合物としては、ハンドリング性の容易さと精密組成制御が良好な点で、五酸化ニオブ(Nb)が好ましい。また、ニオブ化合物の純度は、高い程好ましい。
第一工程に係るニオブ化合物の平均粒径(D50)は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜15μm、特に好ましくは0.2〜12μmである。ニオブ化合物の平均粒径(D50)が上記範囲にあることにより、他の原料との混合性が増し、組成調整が容易となり、後述する焼成において効果的に反応させることができる。また、第一工程に係るニオブ化合物のBET比表面積は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜15m/g、特に好ましくは0.2〜10m/gである。ニオブ化合物のBET比表面積が上記範囲にあることにより、乾式法においても分散性に優れ、結晶性の良好なニオブ酸アルカリ化合物の製造が可能となる。なお、本発明において平均粒径は、マイクロトラック・ベル社製のMT3300EXIIを用いて、レーザー光散乱法により測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算50%(D50)の粒径である。
そして、第一工程では、アルカリ化合物と、ニオブ化合物と、を混合して、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が、0.900〜1.000、好ましくは0.920〜0.995となる量であり、且つ、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))との差で±0.015以内となる量である第一焼成原料を得る。つまり、第一工程では、第一焼成原料中のアルカリ金属元素の量を、Nbと等モルとするか、あるいは、Nbと等モルより少し少なくする。また、第一工程では、第一焼成原料中のNaとKの量の比を、製造目的とするニオブ酸アルカリ化合物中のNaとKのモル比と同等にする。なお、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物とは、本発明のニオブ酸アルカリ化合物の製造方法を行うことによって得ようとするニオブ酸アルカリ化合物のことである。なお、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物がリチウムを含有するニオブ酸アルカリ化合物である場合、第一工程では、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が、0.900〜1.000、好ましくは0.920〜0.995となるのであれば、アルカリ化合物として、リチウム化合物を、第一焼成原料に混合してもよいし、あるいは、リチウム化合物を、第一焼成原料に混合しなくてもよい。そして、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物がリチウムを含有するニオブ酸アルカリ化合物である場合において、第一工程で、アルカリ化合物として、リチウム化合物を、第一焼成原料に混合したときは、第三工程では、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物と比較して、リチウム原子が不足しているのであれば、第二焼成原料に、不足分のリチウム原子に相当する量のリチウム化合物を混合する。一方、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物がリチウムを含有するニオブ酸アルカリ化合物である場合において、第一工程で、アルカリ化合物として、リチウム化合物を、第一焼成原料に混合しなかったときは、第三工程では、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物中のリチウム原子の含有量となるように、第二焼成原料に、リチウム化合物を混合する。
本発明において、第一焼成原料中のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))との差で±0.015以内であるとは、第一焼成原料中の原子換算でのNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比
(K/(Na+K))をYとし、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))をZとした場合、「Y−Z」の値が±0.015以内であることを指す。例えば、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が0.45のニオブ酸アルカリ化合物を製造しようとするときには、第一焼成原料中のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))を、原子換算のモル比で、0.435〜0.465にする。また、後述する第二焼成原料中のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))についても同様である。
第一工程においては、アルカリ化合物と、ニオブ化合物と、を乾式で混合する。乾式混合する方法としては、特に制限されず、ブレンダー、リボンミキサー、ヘンシェルミキサー、フードミキサー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、ジュリアミキサー等を用いる混合方法が挙げられる。
第二工程は、第一工程を行い得られる第一焼成原料を焼成して、第一焼成物を得る工程である。
第二工程において、第一焼成原料を焼成するときの焼成温度は、500〜750℃、好ましくは550〜700℃である。また、第二工程において、第一焼成原料を焼成するときの焼成時間は、適宜選択されるが、好ましくは3〜20時間、特に好ましくは5〜15時間であり、また、焼成雰囲気は、酸素ガス、空気等の酸化性雰囲気である。
第二工程を行い第一焼成物を得た後、必要に応じて、得られた第一焼成物を粉砕してもよい。第一焼成物の粉砕には、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、アルティマイザー、アトマイザー、ナノマイザー、パルヴェライザー、ピンミル等の粉砕手段を用いることができる。
第三工程は、第二工程を行い得られる第一焼成物に、アルカリ化合物を乾式で混合して、第二焼成原料を調製する工程である。
第三工程に係るアルカリ化合物は、第一工程に係るアルカリ化合物と同様である。第三工程で用いるリチウム化合物は、第一工程で用いたリチウム化合物と同一であってもよいし、第一工程で用いたリチウム化合物と異なるリチウム化合物であってもよい。第三工程で用いるナトリウム化合物は、第一工程で用いたナトリウム化合物と同一であってもよいし、第一工程で用いたナトリウム化合物と異なるナトリウム化合物であってもよい。また、第三工程で用いるカリウム化合物は、第一工程で用いたカリウム化合物と同一であってもよいし、第一工程で用いたカリウム化合物と異なるカリウム化合物であってもよい。
そして、第三工程では、第一焼成物を組成分析して、第一焼成物のNb、Li、Na及びKのモル%を把握してから、得られた組成分析結果に基づいて、第一焼成物に、アルカリ化合物を混合して、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が、0.995〜1.005、好ましくは0.997〜1.003であり、且つ、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))との差で±0.010以内である第二焼成原料を得る。つまり、第三工程では、第二焼成原料中のアルカリ金属元素の量を、Nbに対するモル比で、1.000±0.005と、Nbとほぼ等モルにする。また、第三工程では、第二焼成原料中のNaとKの量の比を、製造目的とするニオブ酸アルカリ化合物中のNaとKのモル比と同等にする。なお、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物がリチウムを含有するニオブ酸アルカリ化合物である場合において、第一工程で、アルカリ
化合物として、リチウム化合物を、第一焼成原料に混合したときは、第三工程では、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物と比較して、リチウム原子が不足しているのであれば、第二焼成原料に、不足分のリチウム原子に相当する量のリチウム化合物を混合する。一方、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物がリチウムを含有するニオブ酸アルカリ化合物である場合において、第一工程で、アルカリ化合物として、リチウム化合物を、第一焼成原料に混合しなかったときは、第三工程では、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物中のリチウム原子の含有量となるように、第二焼成原料に、リチウム化合物を混合する。
第三工程においては、ナトリウム化合物と、カリウム化合物と、第一焼成物と、を乾式で混合する。乾式混合する方法としては、特に制限されず、ブレンダー、リボンミキサー、ヘンシェルミキサー、フードミキサー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、ジュリアミキサー等を用いる混合方法が挙げられる。
第四工程は、第三工程を行い得られる第二焼成原料を焼成して、ニオブ酸アルカリ化合物を得る工程である。
第四工程を行い得られるニオブ酸アルカリ化合物において、原子換算で、Na及びKのモル数の合計に対するカリウムのモル数の比(K/(Na+K))は、0〜1.000であることが好ましい。なお、モル比(K/(Na+K))が0の場合、つまり、アルカリ化合物として、リチウム化合物及びナトリウム化合物のうちのいずれか又は両方を用いた場合は、得られるニオブ酸アルカリ化合物は、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸ナトリウム又はニオブ酸リチウムナトリウムであり、また、モル比(K/(Na+K))が1.000の場合、つまり、アルカリ化合物として、リチウム化合物及びカリウム化合物のうちのいずれか又は両方を用いた場合は、得られるニオブ酸アルカリ化合物は、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム又はニオブ酸リチウムカリウムであり、モル比(K/(Na+K))が0より大きく且つ1.000未満の場合、つまり、アルカリ化合物として、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物のうちのいずれか2種以上を併用した場合は、得られるニオブ酸アルカリ化合物は、ニオブ酸カリウムナトリウム又はニオブ酸リチウムナトリウムカリウムである。
第四工程を行い得られるニオブ酸アルカリ化合物において、原子換算で、アルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))は、0〜0.100であることが好ましい。なお、モル比(Li/(Li+Na+K))が0の場合、つまり、アルカリ化合物として、ナトリウム化合物及びカリウム化合物のうちのいずれか又は両方を用いた場合は、得られるニオブ酸アルカリ化合物は、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸カリウム又はニオブ酸カリウムナトリウムであり、また、モル比(Li/(Li+Na+K))が0より大きい場合、つまり、アルカリ化合物として、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物のうちのいずれか2種以上を併用した場合は、得られるニオブ酸アルカリ化合物は、ニオブ酸リチウムナトリウム、ニオブ酸リチウムカリウム又はニオブ酸リチウムナトリウムカリウムである。
第四工程を行い得られるニオブ酸アルカリ化合物において、原子換算で、ニオブのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)は、好ましくは0.995〜1.005、さらに好ましくは0.997〜1.003である。
第四工程を行い得られるニオブ酸アルカリ化合物は、ペロブスカイト型又はイルメナイト型のニオブ酸アルカリ化合物であり、下記一般式(1):
ANbO (1)
で表されるニオブ酸アルカリ化合物である。
一般式(1)で表されるニオブ酸アルカリ化合物では、Aは、リチウム、ナトリウム及びカリウムから選ばれる少なくとも1種であり、原子換算で、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))は、0〜1.000であり、原子換算で、アルカリ金属元素のモル数の合計に対するLiのモル数の比(Li/(Li+Na+K))が0〜0.100であり、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)は、0.995〜1.005、さらに0.997〜1.003であることが好ましい。
第四工程において、第二焼成原料を焼成するときの焼成温度は、500〜1000℃、好ましくは550〜900℃である。また、第四工程において、第二焼成原料を焼成するときの焼成時間は、適宜選択されるが、好ましくは3〜20時間、特に好ましくは5〜15時間であり、また、焼成雰囲気は、酸素ガス、空気等の酸化性雰囲気である。
第四工程を行い焼成物を得た後、必要に応じて、得られた焼成物を粉砕してもよい。焼成物の粉砕には、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、アルティマイザー、アトマイザー、ナノマイザー、パルヴェライザー、ピンミル等の粉砕手段を用いることができる。
第四工程を行い得られたニオブ酸アルカリ化合物は、所望により、好ましくは500〜1000℃、特に好ましくは700〜900℃でさらに焼成を行うことで、結晶性を高めたり、焼結を進めたりすることができる。また、このときの焼成温度は、適宜選択されるが、好ましくは3〜20時間、特に好ましくは5〜15時間である。焼成雰囲気は、酸素ガス、空気等の酸化性雰囲気である。
焼成を経て得られたニオブ酸アルカリ化合物は、必要に応じて、得られたニオブ酸アルカリ化合物を粉砕してもよい。ニオブ酸アルカリ化合物の粉砕には、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、アルティマイザー、アトマイザー、ナノマイザー、パルヴェライザー、ピンミル等の粉砕手段を用いることができる。
このようにして本発明のニオブ酸アルカリ化合物の製造方法を行い得られるニオブ酸アルカリ化合物の平均粒径(D50)は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜15μm、特に好ましくは0.2〜12μmである。また、本発明のニオブ酸アルカリ化合物の製造方法を行い得られるニオブ酸アルカリ化合物のBET比表面積は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜15m/g、特に好ましくは0.2〜10m/gである。
得られた本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物粒子に対し、その特性を損なわない範囲で、耐水性、安定性、分散性等の種々の特性を向上させるために、表面処理を行ってもよい。表面処理には、シラン系、チタネート系、アルミネート系、ジルコネート系のカップリング剤や、脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール、硬化油等の表面処理剤を使用することができる。
表面処理をする方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いて表面処理を実施することができる。例えば、表面処理方法としては、水、有機溶媒に、本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物粒子と表面処理剤を分散し、ろ過、乾燥させて表面処理する湿式法が挙げられる。また、表面処理方法としては、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ジェットミル等の混合、粉砕手段により、本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物粒子を処理する工程中、表面処理剤を噴霧あるいは滴下等により添加した後、乾燥、加熱等を行うことにより表面処理する乾式法が挙げられる。
得られた本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物粒子を、溶剤と混合することにより、ペースト、スラリー、ワニス等の塗料の形態で用いてもよい。塗料の形態で用いる場合に使用する溶剤としては、当該技術分野で一般的なものが用いられ、例えば、トルエン、エタノール等のアルコール系、メチルエチルケトン等のケトン系、シクロヘキサン等のシクロアルカン系等が挙げられる。また、その使用形態に合わせて、必要により、バインダー等の有機系添加剤、複合体形成用ベース材となる樹脂系およびゴム系の各種高分子材、フラックス材等の無機系添加剤、又は分散剤等を、塗料中に含有させてもよい。
得られた塗料は、既存の成形技術を用いて、繊維状、シート状、膜状、板状等の成形体とすることで、後述する各種アプリケーションの作製に好適に用いられる。
本発明のニオブ酸アルカリ化合物の製造方法を行い得られるニオブ酸アルカリ化合物は、前記した塗料の形態として用いられることの他、本発明に係るニオブ酸アルカリ化合物そのものを原料として、セラミックス原料を焼結させることにより製造される圧電セラミックスの製造原料、高分子マトリックス中に複合圧電体材料用フィラーが分散されている複合圧電体材料のフィラー、静電誘導型変換素子としての使用が提案されるエレクトレット材料のフィラーとして好適に用いられる。そして、これらのアプリケーションとして、圧力センサー、圧力分布センサー、ジャイロセンサー、ショックセンサー、着座センサー、ウェアラブルセンサー等の各種センサー、精密電子機器、自動車、建築物等に用いる制振材、人の歩行や自動車の走行などで生ずる環境振動を利用した発電素子、ライター、ガス器具などの点火装置、ラジオ、テレビなどの受信機に使用される発振回路、走査型プローブ顕微鏡や超音波モーターの駆動装置、インクジェットプリンターの液的吐出ヘッド等に使用される各種アクチュエーター、組織再生に関わる医用材料等に好適に用いられる。
従来のニオブ酸アルカリ化合物の製造方法においては、アルカリ化合物とニオブ化合物とを混合して、焼成する際に、アルカリ化合物が潮解して均一な混合が困難になるため、焼成により得られる複合金属酸化物中のアルカリ金属のモル比が、所望のモル比からずれてしまい、精密なアルカリ金属のモル比の調整が難しかった。
それに対して、本発明のニオブ酸アルカリ化合物の製造方法は、先ず、第一工程及び第二工程で、NaとKのモル比を所望のモル比とし、且つ、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比を、0.900〜1.000と、アルカリ金属元素の合計量を、Nbと当量または、少しNbより少なくして、焼成して焼成物を得た後、第三工程及び第四工程で、アルカリ金属元素及びNbのモル比を調整して、焼成物を得るので、ニオブ酸アルカリ化合物の精密な組成調整が可能である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<ニオブ酸カリウムナトリウムの製造>
五酸化ニオブ(Nb、九江有色金属製)4485g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)893g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)1160gを、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業社製、FM−20B)に投入した。このとき、投入原料中、原子換算で、ナトリウムは25.00モル%、カリウムは25.00モル%、ニオブは50.00モル%、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は1.000、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.500である。次いで、投入した五酸化ニオブ、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムを、2000rpm、2.5分の条件でヘンシェルミキサーを用いて乾式混合して第一焼成原料を得た。
得られた第一焼成原料を、昇降式電気炉(モトヤマ社製、SLV−6060L−SP)により650℃で7時間焼成した(第一焼成)。室温まで冷却後、ジェットミル(セイシン企業社製、STJ−200)にて処理速度6kg/h、導入圧0.6MPa、粉砕圧0.5MPaの条件で粉砕し第一粉砕物を得た。
第一粉砕物の組成を蛍光X線により分析したところ、ナトリウムは25.18モル%、カリウムは24.57モル%、ニオブは50.25モル%となり、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は0.990、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.494であった。
ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)を1.000、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))を0.500に微調整するために、第一粉砕物5500gに炭酸カリウム27gを加え、2000rpm、3分間の条件でヘンシェルミキサーを用いて乾式混合を行い、第二焼成原料を得た。
得られた第二焼成原料を、昇降式電気炉により650℃で7時間焼成した(第二焼成)
。室温まで冷却後、ジェットミルにて処理速度10kg/h、導入圧0.6MPa、粉砕圧0.5MPaの条件で粉砕し第二粉砕物を得た。
第二粉砕物の組成を蛍光X線により分析したところ、ナトリウムは25.10%、カリウムは24.95モル%、ニオブは49.96モル%となり、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は1.002、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.498であった。
さらに結晶性を高める目的で、この第二粉砕物を、昇降式電気炉により900℃で15時間焼成し(第三焼成)、室温まで冷却後、ジェットミルにて処理速度5kg/h、導入圧0.30MPa、粉砕圧0.15MPaの条件で粉砕してニオブ酸カリウムナトリウム粒子を得た。
<分析>
得られたニオブ酸カリウムナトリウムの組成分析を、リガク社製、ZSX100eにより蛍光X線分析を行ったところ、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は0.999、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.498であった。この結果より、第一焼成原料のナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))である0.500との差は0.002であった。
また、得られたニオブ酸カリウムナトリウムについて、リガク社製、UltimaIVでX線回折分析(XRD)を行い、日立ハイテクノロージーズ社製、S−4800で走査型電子顕微鏡観察(SEM)を行った。その結果を図1及び図2示す。
図1のXRDチャートからは、得られたニオブ酸カリウムナトリウムが単相であることが確認された。
また、得られたニオブ酸カリウムナトリウムについて、マイクロトラック・ベル社製 MT−3300EXIIで粒度分布測定を行った。その結果、平均粒径D50は0.67μmであった。
また、得られたニオブ酸カリウムナトリウムについて、マウンテック社製、Macsorb HM model-1208でBET比表面積を測定した。その結果、BET比表
面積は4.65m/gであった。
(実施例2)
五酸化ニオブ(Nb、九江有色金属製)4485g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)937g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)1108gを原料とすること以外は、実施例1と同様に行った。このとき、投入原料中、原子換算で、ナトリウムは26.25モル%、カリウムは23.75モル%、ニオブは50.00モル%、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は1.000、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.475である。
得られたニオブ酸カリウムナトリウムのニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は1.001、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.473であった。この結果より、第一焼成原料のナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))である0.475との差は0.002であった。また、X線回折分析からは単相であり、平均粒径(D50)は0.68μmであり、BET比表面積は4.61m/gであった。
(実施例3)
五酸化ニオブ(Nb、九江有色金属製)4485g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)981g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)1050gを原料とすること以外は、実施例1と同様に行った。このとき、投入原料中、原子換算で、ナトリウムは27.50モル%、カリウムは22.50モル%、ニオブは50.00モル%、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は1.0
00、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.450である。
得られたニオブ酸カリウムナトリウムのニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は0.999、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.448であった。この結果より、第一焼成原料のナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))である0.450との差は0.002であった。また、X線回折分析からは単相であり、平均粒径(D50)は0.67μmであり、BET比表面積は4.76m/gであった。
(実施例4)
五酸化ニオブ(Nb、九江有色金属製)4485g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)1026g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)991gを原料とすること以外は、実施例1と同様に行った。このとき、投入原料中、原子換算で、ナトリウムは28.75モル%、カリウムは21.25モル%、ニオブは50.00モル%、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は1.000、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.425である。
得られたニオブ酸カリウムナトリウムのニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は1.001、総アルカリ金属に対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.424であった。この結果より、第一焼成原料のナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))である0.425との差は0.001であった。また、X線回折分析からは単相であり、平均粒径(D50)は0.68μmであり、BET比表面積は4.74m/gであった。
(比較例1)
実施例1の第一焼成原料と同じ焼成原料を得た。
得られた焼成原料を、昇降式電気炉(モトヤマ社製、SLV−6060L-SP)によ
り900℃で15時間焼成し、室温まで冷却後、ジェットミル(セイシン企業社製、STJ−200)にて処理速度5kg/h、導入圧0.30MPa、粉砕圧0.15MPaの条件で粉砕してニオブ酸カリウムナトリウム粒子を得た。
得られたニオブ酸カリウムナトリウムのニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は0.987、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.493であり、目標とする組成にはならなかった。X線回折分析からは単相であり、平均粒径(D50)は0.96μmであり、BET比表面積は2.93m/gであることが確認された。
(実施例5)
五酸化ニオブ(Nb、九江有色金属製)4983g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)1991gを原料とし、第一焼成及び第二焼成の焼成温度を570℃とし、第三焼成の焼成温度を590℃とすること以外は、実施例1と同様に行った。このとき、第一焼成原料中、原子換算で、ナトリウムは50.00モル%、ニオブは50.00モル%、ニオブに対するアルカリ金属の比(Na/Nb)は1.000、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0である。
得られたニオブ酸ナトリウムのニオブに対するアルカリ金属の比(Na/Nb)は1.001、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0であった。また、X線回折分析からは単相であり、平均粒径(D50)は0.61μmであり、BET比表面積は5.31m/gであった。
(実施例6)
五酸化ニオブ(Nb、九江有色金属製)2647g、炭酸カリウム(食添用微粉
CO、日本曹達社製)1377gを原料とし、第二焼成の焼成条件を800℃、15hに変更して第二粉砕までとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。このとき、第一焼成原料中、原子換算で、カリウムは50.00モル%、ニオブは50.00モル%、ニオブに対するアルカリ金属の比(K/Nb)は1.000、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は1である。
得られたニオブ酸カリウムのニオブに対するアルカリ金属の比(K/Nb)は1.002、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は1.000であった。また、X線回折分析からは単相であり、平均粒径(D50)は0.64μmであり、BET比表面積は4.33m/gであった。
(実施例7)
<ニオブ酸リチウムナトリウムリチウムの製造>
五酸化ニオブ(Nb、九江有色金属製)3508g、炭酸ナトリウム(NaCO、トクヤマ社製)670g、及び炭酸カリウム(食添用微粉KCO、日本曹達社製)822gを、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業社製、FM−20B)に投入した。このとき、投入原料中、原子換算で、ナトリウムは24.44モル%、カリウムは22.56モル%、ニオブは50.00モル%、ニオブに対するアルカリ金属の比((Na+K)/Nb)は0.940、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.480である。次いで、投入した五酸化ニオブ、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムを、2000rpm、2.5分の条件でヘンシェルミキサーを用いて乾式混合して第一焼成原料を得た。
得られた第一焼成原料を、昇降式電気炉(モトヤマ社製、SLV−6060L-SP)
により650℃で7時間焼成した(第一焼成)。室温まで冷却後、ジェットミル(セイシン企業社製、STJ−200)にて処理速度6kg/h、導入圧0.6MPa、粉砕圧0.5MPaの条件で粉砕し第一粉砕物を得た。
第一粉砕物の組成を蛍光X線により分析したところ、ナトリウムは25.06モル%、カリウムは23.28モル%、ニオブは51.66モル%となり、ニオブに対するアルカリ金属の比((Li+Na+K)/Nb)は0.936、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))は0.482であった。
ニオブに対するアルカリ金属の比((Li+Na+K)/Nb)を1.000、ナトリウム及びカリウムに対するカリウムの比(K/(Na+K))を0.480に微調整するために、第一粉砕物4217gに炭酸リチウム(LiCO、Gang Feng社製
)54.7g、炭酸ナトリウム5.0g、炭酸カリウム0.9gを加え、2000rpm、3分間の条件でヘンシェルミキサーを用いて乾式混合を行い、第二焼成原料を得た。
得られた第二焼成原料を、昇降式電気炉により550℃で7時間焼成した(第二焼成)。室温まで冷却後、ジェットミルにて処理速度10kg/h、導入圧0.6MPa、粉砕圧0.5MPaの条件で粉砕し第二粉砕物を得た。
第二粉砕物の組成のうち、ナトリウム、カリウム及びニオブについて蛍光X線により分析したところ、ナトリウムは25.18モル%、カリウムは23.25モル%、ニオブは51.58モル%であり、ニオブに対するナトリウムとカリウムの合計量のモル比((Na+K)/Nb)は0.939、ナトリウムとカリウムのモル数に対するカリウムのモル数(K/(Na+K))は0.480となった。また、ICP−AES分析によりリチウムとニオブの含有量を求め、ニオブに対するリチウムのモル比を求めたところ、0.06となった。この結果からニオブに対するアルカリ金属の比((Li+Na+K)/Nb)は0.999、アルカリ金属のモル数に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))は0.060と計算された。
さらに結晶性を高める目的で、この第二粉砕物を、昇降式電気炉により900℃で15時間焼成し(第三焼成)、室温まで冷却後、ジェットミルにて処理速度5kg/h、導入圧0.30MPa、粉砕圧0.15MPaの条件で粉砕してニオブ酸リチウムナトリウムカリウム粒子を得た。
<分析>
得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムの組成分析のうち、リガク社製、ZSX100eによりリチウムを除いた成分の蛍光X線分析を行ったところ、ナトリウムは25.18%、カリウムは23.25モル%、ニオブは51.58モル%となり、ニオブに対するナトリウムとカリウムの合計量のモル比((Na+K)/Nb)は0.939、ナトリウムとカリウムのモル数に対するカリウムのモル数(K/(Na+K))は0.480となった。また、島津製作所製ICPS−8100CLによるICP−AES分析を行い、リチウムとニオブの含有量をもとめ、ニオブに対するリチウムのモル比を求めたところ、0.06となった。このため最終的なニオブに対するアルカリ金属の比((Li+Na+K)/Nb)は0.999、アルカリ金属のモル数に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))は0.060と計算され、各成分が目的組成に到達していることが確認された。
また、得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムについて、リガク社製、UltimaIVでX線回折分析(XRD)を行い、日立ハイテクノロージーズ社製、S−4800で走査型電子顕微鏡観察(SEM)を行った。その結果を図3及び図4に示す。
図3のXRDチャートからは、得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムが単相であることが確認された。
また、得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムについて、マイクロトラック・ベル(株)製 MT−3300EXIIで粒度分布測定を行った。その結果、平均粒径D50は1.01μmであった。
また、得られたニオブ酸リチウムナトリウムカリウムについて、マウンテック社製、Macsorb HM model-1208でBET比表面積を測定した。その結果、B
ET比表面積は2.63m/gであった。

Claims (6)

  1. 原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005であるニオブ酸アルカリ化合物の製造方法であって、
    アルカリ化合物と、ニオブ化合物と、を、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が、0.900〜1.000となる量であり、且つ、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))との差で±0.015以内となる量で、乾式混合して、第一焼成原料を調製する第一工程と、
    該第一焼成原料を、500〜750℃で焼成して、第一焼成物を得る第二工程と、
    該第一焼成物に、アルカリ化合物を乾式で混合して、原子換算で、Nbのモル数に対するアルカリ金属元素のモル数の合計の比((Li+Na+K)/Nb)が0.995〜1.005となる量であり、且つ、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が、製造目的物であるニオブ酸アルカリ化合物のNa及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))との差で±0.010以内となる量で、乾式混合して、第二焼成原料を調製する第三工程と、
    該第二焼成原料を、500〜1000℃で焼成して、該ニオブ酸アルカリ化合物を得る第四工程と、
    を有するニオブ酸アルカリ化合物の製造方法。
  2. 前記アルカリ化合物が、LiCO、NaCO又はKCOのいずれか、あるいは、LiCO、NaCO及びKCOのうちのいずれか2種以上の組み合わせであり、前記ニオブ化合物がNbであることを特徴とする請求項1記載のニオブ酸アルカリ化合物の製造方法。
  3. 前記第二工程で得られた第一焼成物を粉砕して粉砕物を得ることを特徴とする請求項1又は2記載のニオブ酸アルカリ化合物の製造方法。
  4. 前記第四工程で得られたニオブ酸アルカリ化合物を粉砕して粉砕物を得ることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のニオブ酸アルカリ化合物の製造方法。
  5. 前記第四工程で得られたニオブ酸アルカリ化合物を、さらに500〜1000℃で焼成することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のニオブ酸アルカリ化合物の製造方法。
  6. 前記ニオブ酸アルカリ化合物が、原子換算で、Na及びKのモル数の合計に対するKのモル数の比(K/(Na+K))が0〜1.000であり、且つ、原子換算で、アルカリ金属元素のモル数の合計に対するリチウムのモル数の比(Li/(Li+Na+K))が0〜0.100であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のニオブ酸アルカリ化合物の製造方法。
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