JP7364418B2 - 熱膨張抑制フィラー、その製造方法及びそれを含む複合材料 - Google Patents
熱膨張抑制フィラー、その製造方法及びそれを含む複合材料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7364418B2 JP7364418B2 JP2019189428A JP2019189428A JP7364418B2 JP 7364418 B2 JP7364418 B2 JP 7364418B2 JP 2019189428 A JP2019189428 A JP 2019189428A JP 2019189428 A JP2019189428 A JP 2019189428A JP 7364418 B2 JP7364418 B2 JP 7364418B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thermal expansion
- source
- expansion suppressing
- vanadium compound
- suppressing filler
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Silicon Compounds (AREA)
Description
したがって、本発明の目的は、正熱膨張材と均一混合が可能である、種々の熱膨張係数を有する熱膨張抑制フィラーを提供すること、また、該熱膨張抑制フィラーを工業的に有利な方法で提供することにある。
(Cu2-xZnx)V2O7 (1)
(式中、xは、0<x<2である。)
Cu源、Zn源及びV源を含む、前記バナジウム化合物の反応前駆体と、前記無機粒子とを含む混合物を焼成する熱膨張抑制フィラーの製造方法である。
本発明の熱膨張抑制フィラーは、負の熱膨張係数を有する(以下、「負熱膨張性」ということがある。)バナジウム化合物と、無機粒子との複合体を含むことを特徴とするものである。負熱膨張性のバナジウム化合物と、無機粒子とを複合化することで、種々の熱膨張係数を有する熱膨張抑制フィラーを提供することができる。
なお、本発明の熱膨張抑制フィラーには、前記複合体以外に、バナジウム化合物の粒子及び/又は無機粒子が単独で存在することもあるが、本発明の効果を損なわない範囲、具体的には、熱膨張抑制フィラー中に1質量%未満であれば、これらの粒子が含有されていても差し支えない。
(Cu2-xZnx)V2O7 (1)
(式中、xは、0<x<2である。)
Zra(WO4)b(PO4)c (2)
(式中、aは、1.7≦a≦2.3、好ましくは1.8≦a≦2.2であり、bは、0.85≦b≦1.15、好ましくは0.90≦b≦1.10であり、cは、1.7≦c≦2.3、好ましくは1.8≦c≦2.2である。)
なお、平均粒子径は、走査型電子顕微鏡観察(SEM)において任意に抽出した粒子50個以上の平均値であり、粒子形状が球でない場合の粒子径は、各粒子の最大横断長さを粒子径としたものである。
そのため、前記バナジウム化合物の反応前駆体と無機粒子との混合物を調製し、これを焼成することで前記バナジウム化合物の生成と無機粒子との複合化を同時に行うことが好ましい。このような方法によれば、目的物を坩堝等から容易に取り出せるため、本発明の熱膨張抑制フィラーを得ることが容易になる。詳細な製造方法については後述する。
即ち、本発明の熱膨張抑制フィラーは、粒子径が30μm以上の粗粒子の含有率が2個数%以下、好ましくは1個数%以下であることも特徴の一つである。
なお、本発明において粒子径が30μmを超える粒子の含有率は、任意に抽出したサンプル粒子200個について走査型電子顕微鏡観察(SEM)から求めた値である。
なお、平均粒子径は、走査型電子顕微鏡観察(SEM)において任意に抽出した粒子50個以上の平均値であり、粒子形状が球でない場合の粒子径は、各粒子の最大横断長さを粒子径としたものである。
本発明の複合材料は、特に、封着材料、電子部品の封止材料等として好適に用いることができる。
また、製造しようとする熱膨張抑制フィラーの粒径に対して、無機粒子の粒子径が十分に小さい場合、バナジウム化合物粒子の表面の一部又は全部を、バナジウム化合物粒子より小さい粒子径の無機粒子で被覆した複合体が生成しやすくなる。
通常、無機粒子は粒子径分布を有しているものであるため、得られる熱膨張抑制フィラーには複数種の形態の複合体が含まれる。
第1の製造方法は、下記の第A工程~第C工程を順次行う方法である。
第A工程:Cu源、Zn源及びV源を含む、バナジウム化合物の反応前駆体を調製する工程。
第B工程:前記バナジウム化合物の反応前駆体と無機粒子とを混合する工程。
第C工程:第B工程で得られた混合物を焼成する工程。
第a工程:Cu源、Zn源及びV源を水溶媒に溶解させた原料混合液に無機粒子を添加して混合し、溶媒を除去して前記バナジウム化合物の反応前駆体と無機粒子とを含む混合物を調製する工程。
第b工程:第a工程で得られた混合物を焼成する工程。
<第A工程>
第A工程は、Cu源、Zn源及びV源を含む、バナジウム化合物の反応前駆体を調製する工程である。
第A1工程:五酸化バナジウム、有機酸及び水溶媒を混合して、五酸化バナジウムを水溶媒に溶解させた溶解液を調製し、該溶解液にZn源及びCu源を添加して原料混合スラリーを調製する工程。
第A2工程:前記原料混合スラリーを乾燥してバナジウム化合物の反応前駆体を調製する工程。
五酸化バナジウムを溶解した溶解液を用いることで、バナジウム化合物の反応前駆体中にV源を均一に含有させることができるので、一層反応性に優れたバナジウム化合物の反応前駆体とすることができる。
前記水溶媒とは、水を50質量%超含む溶媒を指し、水のみからなるものでもよく、水と親水性有機溶媒との混合溶媒であってもよい。親水性有機溶媒とは、任意の割合で水に溶解する有機溶媒のことである。
乾燥温度等の条件は、溶媒が除去できる温度であれば特に制限されるものではないが、通常は100~270℃、好ましくは150~230℃である。
第B工程は、第A工程で得られたバナジウム化合物の反応前駆体と無機粒子とを混合し、バナジウム化合物の反応前駆体と無機粒子との混合物を調製する工程である。
バナジウム化合物の反応前駆体と無機粒子の混合割合は、バナジウム化合物の反応前駆体100重量部に対して、無機粒子が20~95質量部であることが好ましく、30~90質量部であることがより好ましい。この理由は、無機粒子の添加量が20質量部より小さくなると、得られる熱膨張抑制フィラーが数十μmの粗粒子を含むものとなり、一方、添加量が90質量部より大きくなると、所望の熱膨張係数に調整するのが難しくなる傾向があるからである。
第C工程は、第B工程で得られる混合物を焼成して、本発明の熱膨張抑制フィラーを製造する工程である。
<第a工程>
第a工程は、Cu源、Zn源及びV源を水溶媒に溶解した原料混合液に無機粒子を添加して混合し、溶媒を除去してバナジウム化合物の反応前駆体と無機粒子とを含む混合物を調製する工程である。
カルボン酸のバナジウム塩としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸等のモノカルボン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸等のジカルボン酸、カルボキシル基の数が3であるクエン酸等のカルボン酸が挙がられる。
これらのうち、バナジン酸アンモニウム、グルコン酸バナジウムが、不純物の少ない目的物を得るという観点から好ましい。
還元剤としては、還元糖が好ましく、還元糖としては、例えば、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース、スクロース等が挙げられ、このうち、ラクトース、スクロースが、優れた反応性を有するという観点から特に好ましい。
還元糖の添加量は、五酸化バナジウム中のVに対する還元糖中のCのモル比(C/V)で0.7~3.0とすることが好ましく、0.8~2.0とすることが、効率的に還元反応を行うという観点から、より好ましい。
カルボン酸の添加量は、五酸化バナジウムに対するモル比で0.1~4.0とすることが好ましく、0.2~3.0とすることが、効率的に透明なバナジウム溶解液を得るという観点から、より好ましい。
第b工程は、第a工程で得られた混合物を焼成して、本発明の熱膨張抑制フィラーを製造する工程である。
<リン酸タングステン酸ジルコニウム粒子(ZWP粒子1)の調製>
市販の三酸化タングステン(WO3;平均粒子径1.2μm)15質量部をビーカーに入れ、純水84質量部、及び分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩を1質量部添加し、分散液とした。この分散液を室温(25℃)でスリーワンモーター攪拌機を用いて120分間撹拌して、三酸化タングステンを含む15質量%スラリーを調製した。レーザー回折・散乱法で求めたスラリー中の固形分のD50は1.2μmであった。
次いで、スラリー中のZr:W:Pのモル比が2.00:1.00:2.00となるように、水酸化ジルコニウムと85質量%リン酸水溶液とを室温(25℃)でスラリーに添加し、反応液とした。この反応液を用いて、室温(25℃)で2時間、撹拌下で反応させた。反応終了後の反応液の全量を、200℃で24時間、大気下で乾燥を行って、ZWPの反応前駆体を得た。得られたZWPの反応前駆体についてX線回折分析を行った結果、三酸化タングステンの回折ピークのみが観察された。
続いて、得られたZWPの反応前駆体を坩堝中、大気下で、950℃で2時間焼成して白色のZWP粒子1を得た。得られたZWP粒子1についてX線回折分析を行ったところ、単相のZr2(WO4)(PO4)2であった。ZWP粒子の平均粒子径及びBET比表面積を表1に示す。また、ZWP粒子1のSEM写真を図1に示す。
<ZWP-Cu1.8Zn0.2V2O7複合体の調製>
(第a工程)
バナジン酸アンモニウム(NH4VO3)5gとアンモニア水10ml、純水50mlをビーカーに入れ、攪拌しながら60℃に加熱して溶解液Aを得た。また、グルコン酸銅(扶桑化学工業製)17.5gとグルコン酸亜鉛(扶桑化学工業製)2.2gを純水50mlに加えて攪拌して溶解液Bを得た。溶解液Bを溶解液Aに加えて均一溶液である原料混合液を得た。
続いてCu1.8Zn0.2V2O7との重量比が50:50になるようにZWP粒子1を原料混合液に加え、攪拌しながら沸騰状態を維持する温度に加熱して水を除去し、ペースト状の混合物を得た。
(第b工程)
第a工程で得たペースト状の混合物を坩堝中、大気下で、650℃で4時間焼成して焼成品1を得た。なお、焼成後、坩堝を反転させることで目的物を容易に回収することができた。
得られた焼成品1をX線回折分析したところ、ZWP、Cu1.8Zn0.2V2O7及びZnWO4の回折ピークが検出された。焼成品1のX線回折図を図2に示す。
次いで、焼成品1をA-Oジェットミル(セイシン企業製)で粉砕処理し、熱膨張抑制フィラー1を得た。熱膨張抑制フィラー1のSEM写真を図3に示す。また、SEM-EDX分析をした結果、熱膨張抑制フィラー1は、Zr2(WO4)(PO4)2(ZWP粒子1)の表面の一部又は全部をCu1.8Zn0.2V2O7で被覆した複合体であることが観察された(図4参照)。
<SiO2-Cu1.8Zn0.2V2O7複合体の調製>
(第a工程)
バナジン酸アンモニウム(NH4VO3)5gとアンモニア水10ml、純水50mlをビーカーに入れ、攪拌しながら60℃に加熱して溶解液Aを得た。また、グルコン酸銅(扶桑化学工業製)17.5gとグルコン酸亜鉛(扶桑化学工業製)2.2gを純水50mlに加えて攪拌して溶解液Bを得た。溶解液Bを溶解液Aに加えて均一溶液である原料混合液を得た。
続いてCu1.8Zn0.2V2O7との重量比が50:50になるようにシリカ粒子(アドマファインSO-E5、平均粒径1.6μm、BET比表面積3.9m2/g、アドマテックス製)を原料混合液に加え、攪拌しながら沸騰状態を維持する温度に加熱して水を除去し、ペースト状の混合物を得た。
(第b工程)
第a工程で得たペースト状の混合物を坩堝中、大気下で、650℃で4時間焼成して焼成品2を得た。なお、焼成後、坩堝を反転させることで目的物を容易に回収することができた。
得られた焼成品2をX線回折分析したところ、SiO2とCu1.8Zn0.2V2O7の回析ピークが検出された。焼成品2のX線回折図を図5に示す。
次いで、焼成品2をA-Oジェットミル(セイシン企業製)で粉砕処理し、熱膨張抑制フィラー2を得た。熱膨張抑制フィラー2のSEM写真を図6に示す。また、SEM-EDX分析をした結果、熱膨張抑制フィラー2は、SiO2(シリカ粒子)の表面の一部又は全部をCu1.8Zn0.2V2O7で被覆した複合体であることが観察された(図7参照)。
<SiO2-Cu1.8Zn0.2V2O7複合体の調製>
(第a工程、第b工程)
シリカ粒子としてアエロジル50(BET比表面積53m2/g、平均粒径55nm、日本アエロジル製)を用いた以外は、実施例2と同様の方法で焼成品3を得た。なお、焼成後、坩堝を反転させることで目的物を容易に回収することができた。
得られた焼成3品をX線回折分析したところ、SiO2とCu1.8Zn0.2V2O7の回析ピークが検出された。焼成品3のX線回折図を図8に示す。
次いで、焼成品をA-Oジェットミル(セイシン企業製)で粉砕処理し、熱膨張抑制フィラー3を得た。熱膨張抑制フィラー3のSEM写真を図9に示す。また、SEM-EDX分析をした結果、熱膨張抑制フィラー3は、Cu1.8Zn0.2V2O7(バナジウム化合物粒子)の表面の一部又は全部をSiO2(シリカ粒子)で被覆した複合体であることが観察された(図10参照)。
<ZWP-Cu1.8Zn0.2V2O7複合体の調製>
<第A工程>
五酸化バナジウム(V2O5)10gとシュウ酸二水和物30gをビーカーに入れ、純水200mlを加えて攪拌して溶解液Aを得た。溶解液Aに、グルコン酸亜鉛5.6gを純水100mlに加えて攪拌して得た溶解液Bを加えた。さらに、水酸化銅9.7g及び分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩を0.1g加えて直径5mmのジルコニアボールを媒体としたボールミルを用いて、12時間粉砕混合を行って原料混合スラリーを得た。レーザー回折・散乱法により求めた原料混合スラリー中の固形分のD50は1μm以下であった。
得られた原料混合スラリー全量を、大気下、200℃で24時間乾燥を行って、バナジウム化合物(Cu1.8Zn0.2V2O7)の反応前駆体を得た。
<第B工程・第C工程>
ZWP粒子1とCu1.8Zn0.2V2O7の重量比が66:34になるようにZWP粒子1とバナジウム化合物(Cu1.8Zn0.2V2O7)の反応前駆体を20000rpmで1分間、混合機(ラボ用ミキサー:Labo Milser)で混合して混合粉を得た。次にこの混合粉を坩堝中、大気下で、650℃で4時間焼成して焼成品4を得た。なお、焼成後、坩堝を反転させることで目的物を容易に回収することができた。
得られた焼成品4をX線回折分析したところ、Zr2(WO4)(PO4)2及びCu1.8Zn0.2V2O7の回折ピークが検出された。焼成品4のX線回折図を図11に示す。
次いで、焼成品4をA-Oジェットミル(セイシン企業製)で粉砕処理し、熱膨張抑制フィラー4を得た。熱膨張抑制フィラー4のSEM写真を図12に示す。また、SEM-EDX分析をした結果、熱膨張抑制フィラー4は、Zr2(WO4)(PO4)2(ZWP粒子1)の表面の一部又は全部をCu1.8Zn0.2V2O7で被覆した複合体であることが観察された(図13参照)。
<ZWP-Cu1.8Zn0.2V2O7複合体の調製>
<第A工程>
実施例4と同様にして、バナジウム化合物(Cu1.8Zn0.2V2O7)の反応前駆体を得た。
<第B工程・第C工程>
ZWP粒子1とCu1.8Zn0.2V2O7の重量比が33:67になるようにZWP粒子とバナジウム化合物(Cu1.8Zn0.2V2O7)の反応前駆体を20000rpmで1分間、混合機(ラボ用ミキサー:Labo Milser)で混合して混合粉を得た。次にこの混合粉を坩堝中、大気下で、650℃で4時間焼成して焼成品5を得た。なお、焼成後、坩堝を反転させることで目的物を容易に回収することができた。
得られた焼成品5をX線回折分析したところ、Zr2(WO4)(PO4)2及びCu1.8Zn0.2V2O7の回折ピークが検出された。
次いで、焼成品5をA-Oジェットミル(セイシン企業製)で粉砕処理し、熱膨張抑制フィラー5を得た。また、SEM-EDX分析をした結果、熱膨張抑制フィラー5は、Zr2(WO4)(PO4)2(ZWP粒子1)とCu1.8Zn0.2V2O7とが複合体となって粒子を形成しているものであることを確認した。
<ZWP-Cu1.8Zn0.2V2O7複合体の調製>
<第A工程>
実施例4と同様にして、バナジウム化合物(Cu1.8Zn0.2V2O7)の反応前駆体を得た。
<第B工程・第C工程>
ZWP粒子1とCu1.8Zn0.2V2O7の重量比が50:50になるようにZWP粒子1とバナジウム化合物(Cu1.8Zn0.2V2O7)の反応前駆体を20000rpmで1分間、混合機(ラボ用ミキサー:Labo Milser)で混合して混合粉を得た。次にこの混合粉を坩堝中、大気下で、650℃で4時間焼成して焼成品6を得た。なお、焼成後、坩堝を反転させることで目的物を容易に回収することができた。
得られた焼成品6をX線回折分析したところ、Zr2(WO4)(PO4)2及びCu1.8Zn0.2V2O7の回折ピークが検出された。
次いで、焼成品6をA-Oジェットミル(セイシン企業製)で粉砕処理し、熱膨張抑制フィラー6を得た。SEM-EDX分析をした結果、熱膨張抑制フィラー6は、Zr2(WO4)(PO4)2(ZWP粒子1)とCu1.8Zn0.2V2O7とが複合体となって粒子を形成しているものであることを確認した。
<Cu1.8Zn0.2V2O7の調製>
五酸化バナジウム(V2O5)10gとシュウ酸二水和物30gをビーカーに入れ、純水200mlを加えて攪拌して溶解液1を得た。溶解液1に、グルコン酸亜鉛5.6gを純水100mlに加えて攪拌して得た溶解液2を加え、更に水酸化銅9.7g及び分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩を0.1g加えて原料混合物を調製した。次いで直径5mmのジルコニアボールを媒体としたボールミルを用いて、12時間粉砕混合を行って原料混合スラリーを得た。レーザー回折・散乱法により求めた原料混合スラリー中の固形分のD50は1μm以下であった。
得られた原料混合スラリー全量を、大気下、200℃で24時間乾燥を行って、バナジウム化合物(Cu1.8Zn0.2V2O7)の反応前駆体を得た。
次いで、反応前駆体を坩堝中、大気下で、650℃で4時間焼成したところ、坩堝に強固に付着した焼結体となり、坩堝を反転させても目的物が強固に付着しており、容易に回収することができなかった。
焼結体をスパチュラで剥がしてX線回折分析したところ、単相のCu1.8Zn0.2V2O7であった(図14参照)。
実施例1~6で得られた熱膨張抑制フィラー1~6及び製造例1で得られたZWP粒子1について、粒子径が30μmを超える粗粒子の含有率、BET比表面積、熱膨張係数及び電気抵抗率を測定した。また、比較例1で得られた焼結体(Cu1.8Zn0.2V2O7)について、熱膨張係数及び電気抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
測定方法は以下の通りである。
走査型電子顕微鏡観察において倍率1000倍で任意に抽出した粒子200個について、粒子径が30μmを超える粗粒子の割合を算出した。
マウンテック製比表面積測定装置Macsorbを用いてBET比表面積を測定した。
(成型体の作製)
試料0.15gを乳鉢で3分間粉砕し、φ6mmの金型に全量充填した。次いで、ハンドプレスを用いて1tの圧力で成型して粉末成型体を作製した。得られた粉末成型体を電気炉にて600℃で2時間焼成してセラミック成型体を作製した。
(熱膨張係数の測定)
作製したセラミック成形体について、熱機械測定装置(NETZSCH JAPAN製 TMA4000SE)を用いて熱膨張係数を測定した。測定条件は、窒素雰囲気、荷重10g、温度範囲50℃~250℃とした。
上述のようにして作製したセラミック成型体の両面に、20nmの白金蒸着を行って電極を形成し、デジタルマルチメーター(横河電機製 TY530)で電気抵抗率を測定した。
実施例で得られた熱膨張抑制フィラー1~6を5.8gと、エポキシ樹脂(三菱化学製 jER807、エポキシ当量160~175)4.2gを計量し、真空ミキサー(シンキー製 あわとり練太郎ARV-310)にて、回転速度2000rpmで混合して、30体積%のペーストを作製した。
次いで、ペーストに硬化剤(四国化成製 キュアゾール)を100μL加えて、真空ミキサー(シンキー製 あわとり練太郎ARV-310)にて、回転速度1500rpmで混合した後、150℃で1時間硬化させて、高分子組成物試料を得た。
次いで、この高分子組成物試料の断面を走査型電子顕微鏡像で観察したところ、いずれの高分子組成物試料においても、熱膨張抑制フィラーが高分子組成物中に均一に分散していることが確認できた。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で表されるバナジウム化合物と、無機粒子との複合体を含む熱膨張抑制フィラーの製造方法であって、
(Cu 2-x Zn x )V 2 O 7 (1)
(式中、xは、0<x<2である。)
Cu源、Zn源及びV源を含む、前記バナジウム化合物の反応前駆体と、前記無機粒子とを含む混合物を焼成する熱膨張抑制フィラーの製造方法。 - 下記の第A工程~第C工程を含む請求項1に記載の熱膨張抑制フィラーの製造方法。
第A工程:Cu源、Zn源及びV源を含む、前記バナジウム化合物の反応前駆体を調製する工程。
第B工程:前記バナジウム化合物の反応前駆体と前記無機粒子とを混合する工程。
第C工程:第B工程で得られた混合物を焼成する工程。 - 前記第A工程が、下記の第A1工程及び第A2工程を含む請求項2に記載の熱膨張抑制フィラーの製造方法。
第A1工程:五酸化バナジウム、有機酸及び水溶媒を混合して、五酸化バナジウムを水溶媒に溶解させた溶解液を調製し、該溶解液にZn源及びCu源を添加して原料混合スラリーを調製する工程。
第A2工程:前記原料混合スラリーを乾燥して前記バナジウム化合物の反応前駆体を調製する工程。 - 下記の第a工程及び第b工程を含む請求項1に記載の熱膨張抑制フィラーの製造方法。
第a工程:Cu源、Zn源及びV源を水溶媒に溶解した原料混合液に前記無機粒子を添加して混合し、溶媒を除去して前記バナジウム化合物の反応前駆体と前記無機粒子とを含む混合物を調製する工程。
第b工程:第a工程で得られた混合物を焼成する工程。 - V源が、バナジン酸アンモニウムである請求項4に記載の熱膨張抑制フィラーの製造方法。
- 混合物を焼成する工程の後に、粉砕工程を設ける請求項1ないし5のいずれか1項に記載の熱膨張抑制フィラーの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019189428A JP7364418B2 (ja) | 2019-10-16 | 2019-10-16 | 熱膨張抑制フィラー、その製造方法及びそれを含む複合材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019189428A JP7364418B2 (ja) | 2019-10-16 | 2019-10-16 | 熱膨張抑制フィラー、その製造方法及びそれを含む複合材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021062994A JP2021062994A (ja) | 2021-04-22 |
JP7364418B2 true JP7364418B2 (ja) | 2023-10-18 |
Family
ID=75487536
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019189428A Active JP7364418B2 (ja) | 2019-10-16 | 2019-10-16 | 熱膨張抑制フィラー、その製造方法及びそれを含む複合材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7364418B2 (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005082466A (ja) | 2003-09-11 | 2005-03-31 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 低熱膨張材料およびその製造方法 |
US20120139133A1 (en) | 2009-07-31 | 2012-06-07 | Asahi Glass Company, Limited | Sealing glass for semiconductor device, sealing material, sealing material paste, and semiconductor device and its production process |
JP2015010006A (ja) | 2013-06-27 | 2015-01-19 | 太平洋セメント株式会社 | 負膨張セラミックス |
JP2018002577A (ja) | 2015-10-07 | 2018-01-11 | 日本化学工業株式会社 | 負熱膨張材及びそれを含む複合材料 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104496183A (zh) * | 2014-12-26 | 2015-04-08 | 上海天马有机发光显示技术有限公司 | 一种低温封接玻璃料及复合填料的制备方法 |
-
2019
- 2019-10-16 JP JP2019189428A patent/JP7364418B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005082466A (ja) | 2003-09-11 | 2005-03-31 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 低熱膨張材料およびその製造方法 |
US20120139133A1 (en) | 2009-07-31 | 2012-06-07 | Asahi Glass Company, Limited | Sealing glass for semiconductor device, sealing material, sealing material paste, and semiconductor device and its production process |
JP2015010006A (ja) | 2013-06-27 | 2015-01-19 | 太平洋セメント株式会社 | 負膨張セラミックス |
JP2018002577A (ja) | 2015-10-07 | 2018-01-11 | 日本化学工業株式会社 | 負熱膨張材及びそれを含む複合材料 |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Microstructural effects on negative thermal expansion extending over a wide temperature range in β-Cu1.8Zn0.2V2O7,APPLIED PHYSICS LETTERS 113, 181902 (2018),2018年11月01日 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021062994A (ja) | 2021-04-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6105140B1 (ja) | 負熱膨張材及びそれを含む複合材料 | |
WO2017061403A1 (ja) | 負熱膨張材及びそれを含む複合材料 | |
TWI750137B (zh) | 磷酸鎢酸鋯的製造方法 | |
JP6553831B1 (ja) | 改質リン酸タングステン酸ジルコニウム、負熱膨張フィラー及び高分子組成物 | |
TWI803653B (zh) | 負熱膨脹材及其製造方法、以及複合材料 | |
CN103796956B (zh) | 草酸氧钛钡的制造方法和钛酸钡的制造方法 | |
JP7364418B2 (ja) | 熱膨張抑制フィラー、その製造方法及びそれを含む複合材料 | |
JP4638766B2 (ja) | 蓚酸バリウムチタニルの製造方法及びチタン酸バリウムの製造方法 | |
JP7383446B2 (ja) | バナジウム化合物の製造方法 | |
TWI804647B (zh) | 磷酸鈷鋰的製造方法及磷酸鈷鋰碳複合體的製造方法 | |
JP7408721B2 (ja) | 負熱膨張材及び複合材料 | |
WO2023163057A1 (ja) | 負熱膨張材及び複合材料 | |
JP7427058B2 (ja) | 負熱膨張材、その製造方法及び複合材料 | |
WO2023181781A1 (ja) | 負熱膨張材、その製造方法及び複合材料 | |
JP7410249B2 (ja) | 負熱膨張材、その製造方法及び複合材料 | |
JP6971110B2 (ja) | 被覆粒子粉体の製造方法、ならびに当該被覆粒子粉体および分散媒を含む分散体の製造方法 | |
WO2020004072A1 (ja) | 負熱膨張材、その製造方法及び複合材料 | |
WO2023163058A1 (ja) | 負熱膨張材、その製造方法及び複合材料 | |
JP2023123327A (ja) | 負熱膨張材および複合材料 | |
JP2008013395A (ja) | 結晶配向セラミックスの製造方法 | |
JP2023123340A (ja) | 負熱膨張材および複合材料 | |
JP2023123341A (ja) | 負熱膨張材および複合材料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220816 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230518 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230606 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230720 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230926 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20231005 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7364418 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |