JP2023123327A - 負熱膨張材および複合材料 - Google Patents

負熱膨張材および複合材料 Download PDF

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Abstract

【解決課題】本発明は、Cu2V2O7の銅バナジウム複合酸化物の負熱膨張特性を更に向上させた負熱膨張材を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、下記一般式(1):CuxMnyVzOt(1)(式中、xは1.50≦x≦1.85、yは0.15<y<0.50、zは1.50≦z≦2.50、tは5.00≦t≦9.00を示す。但し、1.65≦x+y≦2.35である。)で表される銅バナジウム複合酸化物を含むことを特徴とする負熱膨張材である。【選択図】なし

Description

本発明は、温度上昇に対して収縮する負熱膨張材及び該負熱膨張材を含む複合材料に関するものである。
多くの物質は温度が上昇すると、熱膨張によって長さや体積が増大する。これに対して、温めると逆に体積が小さくなる負の熱膨張を示す材料(以下「負熱膨張材」ということがある)も知られている。
負の熱膨張を示す材料は、他の材料とともに用いて、温度変化による材料の熱膨張の変化を抑制することができることが知られている。
負の熱膨張を示す材料としては、例えば、β-ユークリプタイト、タングステン酸ジルコニウム(ZrW)、リン酸タングステン酸ジルコニウム(ZrWO(PO)、ZnCd1-x(CN)2、マンガン窒化物、ビスマス・ニッケル・鉄酸化物等が知られている。
リン酸タングステン酸ジルコニウムの線熱膨張係数は、0~400℃の温度範囲で-3.4~-3.0ppm/℃であり、負熱膨張性が大きいことが知られている。このリン酸タングステン酸ジルコニウムと、正の熱膨張を示す材料(以下「正熱膨張材」ということがある。)とを併用することで、低熱膨張の材料を製造することができる(特許文献1~2等参照)。また、正熱膨張材である樹脂等の高分子化合物と負熱膨張材とを併用することも提案されている(特許文献3等参照)。
また、下記非特許文献1には、α-Cuの銅バナジウム複合酸化物は、室温から200℃の温度域で-5~-6ppm/℃の線熱膨張係数を有することが開示されている。
また、下記特許文献4には、一般式:Cu2―x2―y(RはZn、Ga、Fe、Sn、Mnから選ばれる少なくとも1種の元素、MはMg、Si、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Snから選ばれる少なくとも1種の元素、0≦x<2、0<y<2)で表される負熱膨張材が開示されている。
しかしながら、特許文献4でMn元素を含む負熱膨張材として実際に実施しているものは、β―Cu1.8Zn0.21.9Mn0.1である。
特開2005―35840号公報 特開2015―10006号公報 特開2018―2577号公報 国際公開第2020/095518号パンフレット
Ceramics International, Vol.42、p17004―17008(2016)
本発明者らによれば、特許文献4で得られたβ―Cu1.8Zn0.21.9Mn0.1において、負熱膨張特性はβ―Cu1.8Zn0.2に起因するものであり、Mn添加の効果は見られなかった。
本発明者らは、α-Cuの銅バナジウム複合酸化物の負熱膨張特性を更に向上させる方法を検討する中で、該銅バナジウム複合酸化物にMnを特定範囲で固溶させて含有させたものが、α-Cuの銅バナジウム複合酸化物の負熱膨張材に比べて負熱膨張特性が向上したものになることを見出し本発明を完成するに至った。
したがって、本発明は、Cuの銅バナジウム複合酸化物の負熱膨張特性を更に向上させた負熱膨張材を提供することを目的とする。
本発明が提供しようとする第1の発明は、下記一般式(1):
CuMn(1)
(式中、xは1.50≦x≦1.85、yは0.15<y<0.50、zは1.50≦z≦2.50、tは5.00≦t≦9.00を示す。但し、1.65≦x+y≦2.35である。)
で表される銅バナジウム複合酸化物を含むことを特徴とする負熱膨張材である。
本発明が提供しようとする第2の発明は、前記第1の発明の負熱膨張材と正熱膨張材とを含むことを特徴とする複合材料である。
本発明によれば、Cuの銅バナジウム複合酸化物の負熱膨張特性を更に向上させた新規な負熱膨張材を提供することができる。
実施例1で得られた負熱膨張材試料のX線回折図。 実施例2で得られた負熱膨張材試料のX線回折図。 実施例3で得られた負熱膨張材試料のX線回折図。 実施例4で得られた負熱膨張材試料のSEM写真(倍率400)
以下、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の負熱膨張材は、下記一般式(1):
CuMn(1)
(式中、xは1.50≦x≦1.85、yは0.15<y<0.50、zは1.50≦z≦2.50、tは5.00≦t≦9.00を示す。但し、1.65≦x+y≦2.35である。)
で表される銅バナジウム複合酸化物を含むものである。
一般式(1)中、xは、1.50≦x≦1.85である。xは、負熱膨張特性がより高くなる点で、好ましくは1.55≦x≦1.80、特に好ましくは1.60≦x≦1.75である。
一般式(1)の式中のyは、0.15<y<0.50であり、負熱膨張特性を一層向上させたものとなる観点から、yは0.20≦y≦0.40、特に好ましくは0.25≦y≦0.40である。
一般式(1)中、zは、1.50≦z≦2.50である。zは、負熱膨張特性がより高くなる点で、好ましくは1.70≦z≦2.30である。
一般式(1)中、tは、5.00≦t≦9.00である。tは、負熱膨張特性がより高くなる点で、好ましくは6.00≦t≦8.00である。
但し、一般式(1)中のx+yは、1.65≦x+y≦2.35である。x+yは、負熱膨張特性がより高くなる点で、好ましくは1.70≦x+y≦2.30である。
また、本発明の負熱膨張材は、前記一般式(1)で表される銅バナジウム複合酸化物であること加えて、該銅バナジウム複合酸化物を線源としてCu-Kα線を用いてX線回折分析したときに、2θ=28.0~31.0°の範囲のメインピーク(B)に対する2θ=23.5~26.5°の範囲のメインピーク(A)のピーク強度比(A/B)が1~5であることが、一層負熱膨張特性が優れたものになる観点から好ましい。
本発明においてメインピークとは、前記の線源及び回析角(2θ)の範囲で該銅バナジウムをX線回析したときに銅バナジウム複合酸化物のピークのうち最も強度の高いピークを示す。即ち、2θ=28.0~31.0°の範囲のメインピーク(B)は、2θ=28.0~31.0°の範囲で一般式(1)で表される銅バナジウム複合酸化物のピークのうち最も強度の高いピークを示し、一方、2θ=23.5~26.5°の範囲のメインピーク(A)は、2θ=23.5~26.5°の範囲で一般式(1)で表される銅バナジウム複合酸化物のZiesite相(β相)に起因するピークのうち最も強度の高いピークを示す。
なお、前記2θ=28.0~31.0°の範囲のメインピーク(B)は、Ziesite相(β相)及び/又はBlossite相(α相)に起因するものであってもよい。
また、本発明において、ピーク強度比(A/B)はピークの高さ比である。
本発明において前記ピーク強度比(A/B)は、線熱膨張係数が-14×10-6/K以下、好ましくは-15×10-6/K以下とする観点から、1~4とすることが好ましい。
また、一般式(1)で表される銅バナジウム複合酸化物には、基本的にはZiesite相(β相)とBlossite相(α相)が存在し、また、これらの混相のものも存在する。本発明の負熱膨張材は、Ziesite相(β相)、Blossite相(α相)、あるいはZiesite相(β相)とBlossite相(α相)の混相のものであってもよいが、得られた銅バナジウム複合酸化物をX線回折分析したときに、Ziesite相(β相)の単相、或いはZiesite相(β相)に起因する2θ=25°付近のメインピークがBlossite相(α相)に起因する2θ=27°付近のメインピークに比べてピークの高さが高いZiesite相(β相)をより多く含む混相のものが、負熱膨張性に優れたものになる観点から好ましい。
本発明において、2θ=25°付近とは、2θ=23.5~26.5°を示す。また、2θ=27°付近とは、2θ=26.8~27.8°を示す。
本発明の負熱膨張材では、線源としてCuKα線を用いて、負熱膨張材をX線回折分析したときに、2θ=25°付近の回折ピークは、Ziesite相(β相)に由来するものであり、2θ=27°付近の回折ピークは、Blossite相(α相)に由来するものである。
また、本発明の負熱膨張材は、本発明の効果を損なわない範囲の含有量でX線回折的に一般式(1)で表される銅バナジウム複合酸化物以外にCu1.981.966.92等の目的物以外の銅バナジウム複合酸化物が含有されていても良い。
前記目的物以外の銅バナジウム複合酸化物は、X線回折分析したときに2θ=28.0~31.0°の範囲にメインピークを有する。従って、前記目的物以外の銅バナジウム複合酸化物を含有する場合は、前記2θ=28.0~31.0°の範囲のメインピーク(B)は、Ziesite相(β相)及び/又はBlossite相(α相)に起因するものであることに加えて、目的物以外の銅バナジウム複合酸化物にも起因する場合もある。
具体的には、目的物以外の銅バナジウム複合酸化物の含有量は、本発明の負熱膨張材を、線源としてCuKα線を用いてX線回折分析したときに、前記目的物以外の銅バナジウム複合酸化物の含有量は、2θ=28.0~31.0°の範囲のメインピーク(B)に対する2θ=23.5~26.5°の範囲のメインピーク(A)のピーク強度比(A/B)が1~5の範囲内であれば良い。
また、前記目的物以外の銅バナジウム複合酸化物は2θ=28.0~31.0°にメインピークを有するとともに、例えば、2θ=26.0°付近にもピークを有するので、その存在をX線回折分析において確認することができる。なお、2θ=26°付近とは、2θ=25.0~27.0°を示す。
本発明の負熱膨張材のBET比表面積は、特に制限されないが、好ましくは0.05~50m/g、特に好ましくは0.1~10m/g、一層好ましくは0.2~8m/gである。負熱膨張材のBET比表面積が、上記範囲にあることにより、負熱膨張材を樹脂やガラス等のフィラーとして用いる際に、取扱いが容易になる。
本発明の負熱膨張材の平均粒子径は、特に制限されないが、走査型電子顕微鏡観察法により求められる平均粒子径で、好ましくは0.1~100μm、特に好ましくは0.2~80μmである。負熱膨張材の平均粒子径が上記範囲にあることにより、負熱膨張材を樹脂 やガラス等のフィラーとして用いる際に、取扱いが容易になる。なお、本発明において、負熱膨張材の平均粒子径については、走査型電子顕微鏡観察において、倍率1000倍で任意に抽出した粒子20個の粒子径の算術平均値を、平均粒子径として求めた。このとき、各粒子の粒子径とは、粒子の二次元投影像を横断する線分のうち最も大きい長さ(最大長)をいう。
本発明の負熱膨張材の粒子形状は、特に制限されず、例えば、球状、粒状、板状、鱗片状、ウィスカー状、棒状、フィラメント状、破砕状であってもよいが、正熱膨張材との混合時にチッピング等による微粒分等の発生を抑制し、より均一混合できる観点から粒子形状は球状のものを多く含むものが一層好ましい。
なお、本発明において、粒子形状が球状とは、必ずしも真球状のものである必要はない。本発明において球状とは球形度が0.7以上1.0以下のものであることを示す。
本発明において、粒子形状が球状である球状粒子の含有率は、個数基準で75%以上、好ましくは80%以上であることが正熱膨張材との混合時にチッピング等による微粒分等の発生を抑制し、正熱膨張材にする分散性及び充填特性が優れる観点からも好ましい。
本発明において、前記の球形度とは、サンプルを倍率100~1000で電子顕微鏡観察し画像解析処理を行い、得られたパラメーターから下記計算式(1)で求められる。
また、粒子形状が球状である球状粒子の含有率は、サンプルを倍率100~1000で電子顕微鏡観察し、任意に抽出した粒子50個について画像解析処理を行い、下記計算式(1)から求められる球形度が0.7以上1.0以下である粒子の個数基準の含有率を示す。
球形度=等面積円相当径/外接円径・・・・・・(1)
等面積円相当径:粒子の周長に円周が相当する円の直径
外接円径:粒子の最長径
前記画像解析処理に用いられる画像解析装置としては、例えば、ルーゼックス(ニレコ社製)、PITA-04(セイシン企業社製)等が挙げられる。球形度の値は1に近づくほど真球状に近くなる。
本発明の負熱膨張材は、α-Cuの銅バナジウム複合酸化物に比べて、負熱膨張特性が向上する。即ち、線熱膨張係数がα-Cuの銅バナジウム複合酸化物に比べて、線熱膨張係数が小さくなる。
なお、本発明において、線熱膨張係数は、以下の手順により求められる。先ず、負熱膨張材試料1.0gとバインダー樹脂0.05gとを混合し、φ6mmの金型に全量充填し、次いで、バンドプレスを用いて0.5tの圧力で成形して 成形体を作成する。この成形体を電気炉中700℃で4時間大気雰囲気で焼成して、セラミック成形体を得る。得られるセラミック成形体を、熱機械測定装置を用いて、窒素雰囲気で、荷重10g、温度50~425℃にて繰り返し2回測定し、繰り返し2回目の50~400℃間の測定値を線熱膨張係数とする。熱機械測定装置としては、例えば、NETZSCH JAPAN製 TMA400SEを用いることができる。
本発明の負熱膨張材の線熱膨張係数は、α-Cuの銅バナジウム複合酸化物に比べて、線熱膨張係数が小さくなる限りは、制限されるものではないが、本発明の負熱膨張材の線熱膨張係数は、-14×10-6/K以下、好ましくは-15×10-6/K以下であり、下限値についても特に制限されるものではないが、概ね-40×10-6/K以上、好ましくは-30×10-6/K以上である。本発明の負熱膨張材において、正熱膨張材と複合させたときに線熱膨張係数が正の膨張を相殺させる観点から特に好ましくは-30×10-6~―14×10-6/Kである。
本発明の負熱膨張材は、以下に述べる製造方法により、工業的に有利に製造することができる。
本発明の負熱膨張材は、下記の第1工程~第2工程を行うことにより工業的に有利に製造することができる。
第1工程:Cu源、Mn源及びV源とを混合し原料混合物を調製する工程。
第2工程:次いで前記原料混合物を焼成する第工程。
第1工程は、Cu源、Mn源及びV源とを混合し原料混合物を調製する工程である。
第1工程に係るCu源としては、例えば、グルコン酸銅、クエン酸銅、酢酸銅、乳酸銅等の有機カルボン酸の銅塩、鉱酸の銅塩、銅の酸化物、銅の水酸化物等が挙げられる。
第1工程に係るMn源としては、例えば、マンガンの炭酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩等が挙げられる。マンガンのカルボン酸塩としては、グルコン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、乳酸塩等が挙げられる。
第1工程に係るV源としては、例えば、バナジウム酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルボン酸塩、五酸化バナジウム等のバナジウムの酸化物等が挙げられる。
カルボン酸のバナジウム塩としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸等のモノカルボン酸塩、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸等のジカルボン酸、カルボキシル基の数が3であるクエン酸等のカルボン酸塩が挙がられる。
Cu源、Mn源及びV源の添加量は、原料混合物中のCu、Mn及びVの各原子モル比が前記一般式(1)で表される銅バナジウム複合酸化物の組成となるように適宜調製することが好ましい。
Cu源、Mn源及びV源の混合処理は、湿式又は乾式で行うことができるが、均一な原料混合物を容易に得ることができるという観点から湿式で混合処理を行うことが好ましい。
湿式混合を行う方法としては、下記の2つの方法を用いることが工業的に有利に目的物が得られるという観点から好ましい。
第1の方法は、Cu源、Mn源及びV源が不溶性又は難溶性の溶媒を用いて原料混合物を調製する方法である。
第1の方法において用いることができる溶媒は、Cu源、Mn源及びV源の種類によっても異なるが、水、メタノール、エタノール等を用いることができる。前記溶媒に溶解するものであってもよい。また、Cu源、Mn源及びV源は反応性を高めるためレーザー回折法により求められる平均粒子径が50μm以下、好ましくは0.1~40μmのものを用いることが好ましい。
また、第1の方法で湿式混合処理を行う装置としては、特に制限されるものではないが、ビーズミル、ボールミル、ペイントシェーカー、アトライタ、サンドミル等のメディアミルにより湿式混合処理する方法が挙げられるが、実験室レベルの少量の場合は、乳鉢等を用いて湿式混合処理を行ってもよい。
また、湿式混合処理を一層効率的に行う観点から、スラリーに、分散剤を混合してもよい。スラリーに混合させる分散剤としては、各種の界面活性剤、ポリカルボン酸アンモニウム塩等が挙げられる。スラリー中の分散剤の濃度は、分散効果が高くなる点で、好ましくは0.01~10質量%、特に好ましくは0.1~5質量%である。
湿式混合処理後に全量乾燥して溶媒を除去することにより、原料混合物を得ることができる。
第2の方法は、Cu源、Mn源及びV源とを水溶媒に溶解した後に、水溶媒を除去し原料混合物を調製する方法である。
なお、第2の方法では、Cu源、Mn源及びV源とを水溶媒に溶解するものを用いればよい。
第2の方法に係るCu源としては、例えば、有機カルボン酸の銅塩、鉱酸の銅塩等を用いることが好ましい。
また、第2の方法に係るMn源としては、例えば、有機カルボン酸のカルシウム塩、炭酸塩、水酸化物等を用いることができる。また、Mn源が難溶性又は不溶性のものである場合には、水溶媒に、クエン酸、シュウ酸、乳酸等のMnとキレートを形成するカルボン酸を添加することによりMn源を水溶媒に溶解させて用いることができる。
第2の方法に係るV源としては、例えばバナジウム酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルボン酸塩等を用いることができる。
なお、前記V源としてカルボン酸のバナジウム塩を用いる場合、水溶媒に五酸化バナジウム 、還元剤及びカルボン酸を添加し、60~100℃で加熱処理してカルボン酸のバナジウム塩を生成させ、この反応液をそのまま原料混合液の調製に用いてもよい。
還元剤としては、還元糖が好ましく、還元糖としては、例えば、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース、スクロース等が挙げられ、このうち、ラクトース、スクロースが、優れた反応性を有するという観点から特に好ましい。
還元糖の添加量は、五酸化バナジウム中のVに対する還元糖中のCのモル比(C/V)で0.7~3.0とすることが好ましく、0.8~2.0とすることが、効率的に還元反応を行うという観点から、より好ましい。カルボン酸の添加量は、五酸化バナジウムに対するモル比で0.1~4.0とすることが好ましく、0.2~3.0とすることが、効率的に透明なバナジウム溶解液を得るという観点から、より好ましい。
第2の方法では、前記Cu源、Mn源及びV源とを水溶媒に溶解した原料混合液から水溶媒を除去することにより原料混合物を得ることができる。
原料混合液から水溶媒を除去する方法としては、例えば、原料混合液を攪拌しながら加熱することにより、ペースト状又は固体となるまで水溶媒を除去して原料混合物を得る方法が挙がられる。
なお、この場合に、全ての水溶媒を除去して原料混合物を固体で得る必要はなく、少量の水溶媒を含んだペースト状であってもよい。なお、ペースト状とは粘性をかなり有する状態を示す。
原料混合液から水溶媒を除去するための加熱処理温度は、水溶媒が除去できる温度であれば特に制限はないが、沸騰状態を維持できる温度が好ましく、通常は90~120℃が好ましく、100~120℃がより好ましい。
本発明において、原料混合物は上記2の方法で得られるものが、より均一な原料混合物が得られ、また、X線回折分析において高純度な一般式(1)で表される銅バナジウム複合酸化物が得られ易いという観点から好ましい。
第2工程は、第1工程で調製した原料混合物を焼成して、本発明の目的とする負熱膨張材を製造する工程である。
第2工程における焼成温度は、580~780℃とすることが好ましく、600~770℃とすることがより好ましく、600~760℃とすることが一層好ましい。この理由は、焼成温度が580℃より低くなると前記一般 式(1)で表されるバナジウム化合物の生成が不十分となる傾向があり、また、780℃より高くなると坩堝等への融着により生成物の回収が困難になる傾向があるからである。
第2工程における焼成時間は、特に制限されず、本発明に係る負熱膨張材が生成するまで十分な時間反応を行う。前記負熱膨張材の生成は、例えばX線回折分析で単相の一般式(1)で表される銅バナジウム複合酸化物が得られているかどうかで確認することができる。
なお、多くの場合、焼成時間が1時間以上、好ましくは2 ~20時間で、原料混合物のほぼ全てが前記一般式(1)で表される銅バナジウム複合酸化物を含む負熱膨張材となる。
また、焼成雰囲気は、特に制限されず、不活性ガス雰囲気下、真空雰囲気下、酸化性ガス雰囲気下、大気中のいずれであってもよい。
第2工程では、焼成は1回でもよいし、所望により複数回行ってもよい。例えば、粉体特 性を均一にする目的で、一度焼成したものを粉砕し、粉砕物について更に焼成を行ってもよい。
焼成後、適宜冷却し、必要に応じ粉砕、解砕、分級等を行い、目的とする負熱膨張材を得る。
粒子形状が球状である負熱膨張材を製造する方法としては、前記第1工程において湿式混合処理後の全量乾燥を、スプレードライヤーによる噴霧乾燥法を用いて行うことにより、湿式混合処理後のスラリーを乾燥処理し、次いで前記第2工程を行うことにより、球形度が0.7以上1.0以下の球状粒子の含有率が、個数基準で75%以上、好ましくは80%以上である負熱膨張材を製造する方法が挙げられる。
噴霧乾燥法において、霧化された液滴の大きさは特に限定されないが、1~40μmが好ましく、5~30μmが特に好ましい。スプレードライヤーへのスラリーの供給量は、この観点を考慮して決定することが好ましい。
なお、スプレードライヤーにおいて乾燥のために用いる熱風の温度は、100~270℃、好ましくは150~230℃であることが、粉体の吸湿を防ぎ粉体の回収が容易になることから好ましい。
本発明の負熱膨張材の製造方法により得られる一般式(1)で表される銅バナジウム複合酸化物を含む負熱膨張材の平均粒子径は、好ましくは0.1~100μm、特に好ましくは0.2~80μmであり、また、BET比表面積は、0.05~50m/g、特に好ましくは0.1~10m/gである。負熱膨張材の平均粒子径、BET比表面積が、上記範囲にあることにより、負熱膨張材を樹脂やガラス等へのフィラー用として用いる際に、取扱いが容易になる点で好ましい。
また、本発明に係る負熱膨張材は、樹脂分散性や負熱膨張材の耐湿性を向上させることを目的として、必要により負熱膨張材の粒子表面に、表面処理を施すことができる。
表面処理としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、脂肪酸又はその誘導体、Zn、Si、Al、Ba、Ca、Mg、Ti、V、Sn、Co、Fe及びZrから選ばれる元素を1種又は2種以上含有する無機化合物等で粒子表面を被覆処理する方法等が挙げられる(例えば、WO2020/095837号パンフレット。WO2020/261976号パンフレット、WO2019/087722号パンフレット、特開2020―147486号公報参照)。また、これらを適宜組み合わせて表面処理を行ってもよい。
本製造方法で得られる負熱膨張材の線熱膨張係数は、-14×10-6/K以下、好ましくは-15×10-6/K以下であり、下限値は概ね-30×10-6/K以上、好ましくは-25×10-6/K以上である。本発明の負熱膨張材において、正熱膨張材と複合させたときに線熱膨張係数が正の膨張を相殺させる観点から特に好ましくは-25×10-6~-14×10-6/Kである。
本発明の負熱膨張材は、粉体又はペーストとして用いられる。本発明の負熱膨張材をペーストとして用いる場合には、溶媒及び/又は粘性の低い液状樹脂とのペーストの状態で用いることができる。また、得られた負熱膨張材を、溶媒及び/又は粘性の低い液状樹脂に分散させ、更に必要により、バインダー、フラックス材及び分散剤等を含有させて、ペーストの状態で用いてもよい。
本発明の負熱膨張材は、各種有機化合物又は無機化合物と併用して複合材料として用いることができる。有機化合物としては、特に限定されないが、ゴム、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、ABS、ポリアクリレート、ポリフェニレンスルファイド、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂(PET樹脂)及びポリ塩化ビニル樹脂などを挙げることができる。また、無機化合物としては、二酸化ケイ素、珪酸塩、グラファイト、サファイア、各種のガラス材料、コンクリート材料、各種のセラミック材料などが挙げられる。
上記複合材料は、本発明に係る負熱膨張材を含んでいるため、他の化合物との配合比率によって、負熱膨張率、零熱膨張率又は低熱膨張率を実現することが可能である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
{実施例1}
(第1工程)
バナジン酸アンモニウム(NHVO)3.00g、アンモニア水6ml、純水80mlをビーカーに入れ、攪拌しながら60℃に加熱してA液を得た。次にグルコン酸銅(扶桑化学工業製)10.19gを純水50mlに加えて攪拌し、B液を得た。次に、酢酸マンガン四水和物0.79gを純水10mlに加えて攪拌し、C液を得た。A液に対してB液、C液の順に加えて均一溶液である原料混合液を得た。
(第2工程)
前記原料混合液を攪拌しながら沸騰状態を維持する温度に加熱して水を除去し、ペースト状の反応前駆体を得た。
(第3工程)
前記ペースト状の反応前駆体を坩堝中、大気下で、700℃で4時間焼成して焼成品を得た。焼成品のX線回折図を図1に示す。
次いで、焼成品を乳鉢で粉砕処理し、得られた焼成品をX線回折分析したところ、Cuの単相であり、2θ=25°付近にメインの回折ピークを持つCuのZiesite相及び2θ=27°付近にメインの回析ピークを持つBlossite相が検出されるZiesite相(β相)を主成分とする銅バナジウム複合酸化物((Cu1.75Mn0.25)V2.007.00))であった。これを負熱膨張材試料とした。
なお、この負熱膨張材試料を電子顕微鏡観察(倍率400)で任意に抽出した粒子50個について観察した結果、粒子形状は破砕状であった。
{実施例2}
(第1工程)
バナジン酸アンモニウム(NHVO)3.00g、アンモニア水6ml、純水80mlをビーカーに入れ、攪拌しながら60℃に加熱してA液を得た。次にグルコン酸銅(扶桑化学工業製)9.89gを純水50mlに加えて攪拌し、B液を得た。次に、酢酸マンガン四水和物0.94gを純水10mlに加えて攪拌し、C液を得た。A液に対してB液、C液の順に加えて均一溶液である原料混合液を得た。
(第2工程)
前記原料混合液を攪拌しながら沸騰状態を維持する温度に加熱して水を除去し、ペースト状の反応前駆体を得た。
(第3工程)
前記ペースト状の反応前駆体を坩堝中、大気下で、700℃で4時間焼成して焼成品を得た。焼成品のX線回折図を図2に示す。
次いで、焼成品を乳鉢で粉砕処理し、得られた焼成品をX線回折分析したところ、2θ=25°付近にメインの回折ピークを持つCuのZiesite相及び2θ=27°付近にメインの回析ピークを持つBlossite相が検出されるZiesite相(β相)の銅バナジウム複合酸化物((Cu1.70Mn0.30)V2.007.00)を主成分とするもので、また、2θ=26.01°に痕跡量のCu1.981.966.92のピークも検出された。これを負熱膨張材試料とした。
なお、この負熱膨張材試料を電子顕微鏡観察(倍率400)で任意に抽出した粒子50個について観察した結果、粒子形状は破砕状であった。
{実施例3}
(第1工程)
バナジン酸アンモニウム(NHVO)3.00g、アンモニア水6ml、純水80mlをビーカーに入れ、攪拌しながら60℃に加熱してA液を得た。次にグルコン酸銅(扶桑化学工業製)9.60gを純水50mlに加えて攪拌し、B液を得た。次に、酢酸マンガン四水和物1.10gを純水10mlに加えて攪拌し、C液を得た。A液に対してB液、C液の順に加えて均一溶液である原料混合液を得た。
(第2工程)
前記原料混合液を攪拌しながら沸騰状態を維持する温度に加熱して水を除去し、ペースト状の反応前駆体を得た。
(第3工程)
前記ペースト状の反応前駆体を坩堝中、大気下で、700℃で4時間焼成して焼成品を得た。焼成品のX線回折図を図3に示す。
次いで、焼成品を乳鉢で粉砕処理し、得られた焼成品をX線回折分析したところ、Cuの単相であり、2θ=25°付近にメインの回折ピークを持つCuのZiesite相及び2θ=27°付近にメインの回析ピークを持つBlossite相が検出されるZiesite相(β相)の銅バナジウム複合酸化物(Cu1.65Mn0.35)V2.007.00)を主成分とするもので、また、2θ=26.06°に痕跡量のCu1.981.966.92のピークも検出された。これを負熱膨張材試料とした。
なお、この負熱膨張材試料を電子顕微鏡観察(倍率400)で任意に抽出した粒子50個について観察した結果、粒子形状は破砕状であった。
{比較例1}
(第1工程)
バナジン酸アンモニウム(NHVO)3.00g、アンモニア水6ml、純水80mlをビーカーに入れ、攪拌しながら60℃に加熱してA液を得た。次にグルコン酸銅(扶桑化学工業製)10.77gを純水50mlに加えて攪拌し、B液を得た。次に酢酸マンガン四水和物0.47gを純水10mlに加えて攪拌し、C液を得た。A液に対してB液、C液の順に加えて均一溶液である原料混合液を得た。
(第2工程)
前記原料混合液を攪拌しながら沸騰状態を維持する温度に加熱して水を除去し、ペースト状の反応前駆体を得た。
(第3工程)
前記ペースト状の反応前駆体を坩堝中、大気下で、700℃で4時間焼成して焼成品を得た。
次いで、焼成品を乳鉢で粉砕処理し、得られた焼成品をX線回折分析したところ、Cuの単相であり、2θ=25°付近にメインの回折ピークを持つCuのZiesite相及び2θ=27°付近にメインの回析ピークを持つBlossite相が検出されるBlossite相を主成分とする銅バナジウム複合酸化物((Cu1.85Mn0.15)V2.007.00)であった。これを負熱膨張材試料とした。
なお、この負熱膨張材試料を電子顕微鏡観察(倍率400)で任意に抽出した粒子50個について観察した結果、粒子形状は破砕状であった。
{比較例2}
(第1工程)
バナジン酸アンモニウム(NHVO)3.00g、アンモニア水6ml、純水80mlをビーカーに入れ、攪拌しながら60℃に加熱してA液を得た。次にグルコン酸銅(扶桑化学工業製)8.73gを純水50mlに加えて攪拌し、B液を得た。次に酢酸マンガン四水和物1.57gを純水10mlに加えて攪拌し、C液を得た。A液に対してB液、C液の順に加えて均一溶液である原料混合液を得た。
(第2工程)
前記原料混合液を攪拌しながら沸騰状態を維持する温度に加熱して水を除去し、ペースト状の反応前駆体を得た。
(第3工程)
前記ペースト状の反応前駆体を坩堝中、大気下で、700℃で4時間焼成して焼成品を得た。
次いで、焼成品を乳鉢で粉砕処理し、これを負熱膨張材試料とした。
得られた焼成品をX線回折分析したところ、Cuの単相であり、2θ=25°付近にメインの回折ピークを持つCuのZiesite相及び2θ=27°付近にメインの回析ピークを持つBlossite相が検出されるBlossite相を主成分とする銅バナジウム複合酸化物((Cu1.50Mn0.50)V2.007.00)であった。これを負熱膨張材試料とした。
なお、この負熱膨張材試料を電子顕微鏡観察(倍率400)で任意に抽出した粒子50個について観察した結果、粒子形状は破砕状であった。
{比較例3}
五酸化バナジウム(V:平均粒子径1.0μm)1.71g、酸化銅(CuO:平均粒子径1.5μm)1.50g、エタノール30mlを分散媒として乳鉢で20分間粉砕混合した後に乾燥して原料混合物を得た。この粉末を大気下で、700℃で4時間焼成して焼成品を得た。得られた焼成品をX線回折分析したところ、Cuの単相であり、2θ=25°付近にメインの回折ピークを持つCuのZiesite相及び2θ=27°付近にメインの回析ピークを持つBlossite相が検出されたBlossite相を主成分とする銅バナジウム複合酸化物であった。次いで、焼成品を乳鉢で粉砕処理し、これを負熱膨張材試料とした。
なお、この負熱膨張材試料を電子顕微鏡観察(倍率400)で任意に抽出した粒子50個について観察した結果、粒子形状は破砕状であった。
{比較例4}
(第1工程)
バナジン酸アンモニウム(NHVO)3.00g、アンモニア水6ml、純水80mlをビーカーに入れ、攪拌しながら60℃に加熱してA液を得た。次にグルコン酸銅(扶桑化学工業製)11.03gを純水50mlに加えて攪拌し、B液を得た。次にグルコン酸亜鉛(扶桑化学工業製)1.38gを純水20mlに加えて攪拌し、C液を得た。次に酢酸マンガン四水和物0.33gを純水10mlに加えて攪拌しD液を得た。A液に対してB液、C液、D液の順に加えて均一溶液である原料混合液を得た。
(第2工程)
前記原料混合液を攪拌しながら沸騰状態を維持する温度に加熱して水を除去し、ペースト状の反応前駆体を得た。
(第3工程)
前記ペースト状の反応前駆体を坩堝中、大気下で、700℃で4時間焼成して焼成品を得た。
次いで、焼成品を乳鉢で粉砕処理し、得られた焼成品をX線回折分析したところ、Cuの単相であり、2θ=25°付近にメインの回折ピークを持つCuのZiesite相及び2θ=27°付近にメインの回析ピークを持つBlossite相が検出されるBlossite相を主成分とする銅バナジウム複合酸化物((Cu1.70Zn0.20Mn0.10)V2.007.00)であった。これを負熱膨張材試料とした。
なお、この負熱膨張材試料を電子顕微鏡観察(倍率400)で任意に抽出した粒子50個について観察した結果、粒子形状は破砕状であった。
{比較例5}
特開2021-62995号公報の実施例1と同様にしてCu1.8Zn0.22.007.00を合成し、これを負熱膨張材試料とした。
なお、この負熱膨張材試料を電子顕微鏡観察(倍率400)で任意に抽出した粒子50個について観察した結果、粒子形状は破砕状であった。
(物性評価)
実施例及び比較例で得られた負熱膨張材試料について、平均粒子径、BET比表面積、2θ=28.0~31.0°の範囲のメインピーク(B)に対する2θ=23.5~26.5°の範囲のメインピーク(A)のピーク強度比(A/B)及び線熱膨張係数を測定した。なお、ピーク強度比、平均粒子径及び線熱膨張係数は下記のようにして測定した。その結果を表1に示す。
(ピーク強度比(A/B))
実施例及び比較例で得られた負熱膨張材試料について、X線回折装置(リガク社製 UltimaIV)を用いて、2θ=28.0~31.0°の範囲のメインピーク(B)に対する2θ=23.5~26.5°の範囲のメインピーク(A)のピーク強度比(A/B)を測定した。なお、ピーク強度比(A/B)はピークの高さ比である。
また、X線回折装置の測定条件は、下記のとおりである。
線源:Cu-Kα
管電圧:40kV
管電流:40mA
走査速度:4°/sec
(平均粒子径)
負熱膨張材試料の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡観察において倍率1000倍で任意に抽出した粒子50個の平均値により求めた。
[線熱膨張係数の測定]
(成型体の作製)
試料1.00gにプロピレンカーボネート0.05gを加えて乳鉢で3分間粉砕混合した後、0.15gを計量しφ6mmの金型に全量充填した。次いで、ハンドプレスを用いて0.5tの圧力で成型して粉末成型体を作製した。得られた粉末成型体を電気炉にて700℃まで3時間で昇温し4時間保持してセラミック成型体を作製した。
(線熱膨張係数の測定)
作製したセラミック成形体について、熱機械測定装置(NETZSCH JAPAN製 TMA4000SE)を用いて線熱膨張係数を測定した。測定条件は、窒素雰囲気、荷重10g、温度範囲50℃~425℃にて繰り返し2回測定した。繰り返し2回目の50~400℃間での線熱膨張係数を比較した。
Figure 2023123327000001
注)比較例3の負熱膨張材試料の50~300℃間での線熱膨張係数は-4.4×10-6/Kであった。また、表中の「―」は未測定を示す。
表1から明らかなように、実施例1~3の負熱膨張材は、比較例1~5の負熱膨張材に比べて線熱膨張係数が小さく、負熱膨張特性に優れていることが分かる。また、比較例4と比較例5から、比較例4の(Cu1.70Zn0.20Mn0.10)V2.007.00において、負熱膨張特性は、Znの効果でMnはほとんど寄与していないことが分かる。
{実施例4}
五酸化バナジウム(V:平均粒子径1.0μm)18.1質量部、酸化銅(CuO:平均粒子径1.5μm)13.5質量部、炭酸マンガン(MnCO:平均粒子径(1.0)μm)3.4質量部を計量し、純水80.0質量部を分散媒として30分間攪拌して30.0質量%スラリーを調製した。
次いで、前記スラリーに分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩を0.1質量部仕込み、スラリーを攪拌しながら、直径0.5mmのジルコニアビーズを仕込んだ。次いで、前記スラリーをメディア攪拌型ビーズミルへ供給し、湿式粉砕を行った。湿式粉砕後の固形分の平均粒子径をレーザー回折・散乱法により求めたところ、0.56μmであった。
次いで、湿式粉砕処理後のスラリーを220℃に設定したスプレードライヤーに、3.3L/hの供給速度で供給して、噴霧乾燥を行い、原料混合物を得た。
次いで、原料混合物を700℃で4時間大気中で焼成して焼成品を得た。得られた焼成品をX線回折分析したところ、2θ=25°付近にメインの回折ピークを持つCuのZiesite相及び2θ=27°付近にメインの回析ピークを持つBlossite相が検出されるZiesite相(β相)の銅バナジウム複合酸化物(Cu1.70Mn0.30)V2.007.00)を主成分とするもので、また、2θ=26.01°に痕跡量のCu1.981.966.92のピークも検出された。次いで、焼成品を乳鉢で粉砕処理し、次いでジェットミルで粉砕を行い、粉砕物を得た。これを負熱膨張材試料とした。
なお、この負熱膨張材試料を電子顕微鏡観察(倍率400)で任意に抽出した粒子50個について観察した結果、粒子形状は球状であった。
(物性評価)
実施例4で得られた負熱膨張材試料について、実施例1~3と同様にして2θ=28.0~31.0°の範囲のメインピーク(B)に対する2θ=23.5~26.5°の範囲のメインピーク(A)のピーク強度比(A/B)を測定した。また、下記の方法で球形粒子の含有率を求めた。また、実施例4で得られた負熱膨張材試料のSEM写真を図4に示す。
(球状粒子の含有率の測定)
画像解析装置ルーゼックス(ニレコ社製)を用いて、倍率400倍で任意に抽出した50個の粒子について、以下の計算式により球形度を求め、個数基準で球形度が0.70以上1.00以下である球状粒子の含有率を評価した。
球形度=等面積円相当径/外接円径
等面積円相当径:粒子の周長に円周が相当する円の直径
外接円径:粒子の最長径
Figure 2023123327000002

Claims (7)

  1. 下記一般式(1):
    CuMn(1)
    (式中、xは1.50≦x≦1.85、yは0.15<y<0.50、zは1.50≦z≦2.50、tは5.00≦t≦9.00を示す。但し、1.65≦x+y≦2.35である。)
    で表される銅バナジウム複合酸化物を含むことを特徴とする負熱膨張材。
  2. 前記銅バナジウム複合酸化物を線源としてCu-Kα線を用いてX線回折分析したときに、2θ=28.0~31.0°の範囲のメインピーク(B)に対する2θ=23.5~26.5°の範囲のメインピーク(A)のピーク強度比(A/B)が1~5であることを特徴とする負熱膨張材。
  3. 線熱膨張係数が、―14×10-6/K以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の負熱膨張材。
  4. 平均粒子径が、0.1~100μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の負熱膨張材。
  5. BET比表面積が、0.05~50m/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の負熱膨張材。
  6. 球形度が0.7以上1以下の球状粒子の含有率が、個数基準で75%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の負熱膨張材。
  7. 請求項1又は2記載の負熱膨張材と正熱膨張材とを含むことを特徴とする複合材料。


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