JP6529967B2 - アシル化方法 - Google Patents

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Description

本出願は、欧州特許出願第13188120.3号に対する優先権を主張するものであり、この出願全内容はあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
アセチル化セルロースまたはデンプンのような、アシル化多糖は、例えば、フィルタ製造(例えば、国際公開第2010017989号パンフレット)、医薬品(例えば、国際公開第9702018号パンフレット)および光起電力モジュール用ポリマー層(例えば、国際公開第2012084898号パンフレット)に適用される、広範な工業適用ポリマーに使用され得る重要な処理された再生可能な原料である。
多糖のアシル化のための一般的方法は、多糖のアシル化剤との反応、例えば、カルボン酸無水物との反応であり、多糖のヒドロキシル官能基と反応して多糖エステル、すなわち、アシル化多糖を形成する。カルボン酸無水物からこの反応で形成される遊離酸、ならびに他の反応物質、触媒、任意選択により用いられる溶媒および形成される副生成物は、アシル化多糖を回収するために適切に除去される。本発明の目的は、改良された多糖アシル化方法を提供することである。
国際公開第01/05839号パンフレットには、界面活性剤を用いて、酢酸誘導体を含有する溶液からヘミセルロースのような有機不純物、特にリグノスルホン酸塩を除去することが記載されている。界面活性剤は、膜の濃縮側での不純物の凝集を防止し、したがって、プロセスからの水性廃棄ストリームから酢酸誘導体を回収して酢酸セルロースを得る方法において濾過膜の汚損を回避する。
今や、多糖アシル化方法、特に酢酸無水物によるセルロースのアセチル化、からの水性廃棄ストリームの濾過(例えば、ナノ濾過または逆浸透)前に、有機不純物、例えば、ヘミセルロースを除去するために、リグノ硫酸塩または他の界面活性剤の添加することは、Ca2+−イオンの含有量が低い水がこの方法で使用される場合、必要ないことが見出された。その結果として、本発明は、
(a)多糖をアシル化剤と反応させて、アシル化多糖を生成させる工程と、
(b)アシル化多糖を、0.05〜15mg/l Ca2+−イオンを含有する水で洗浄する工程と、
(c)工程(b)から洗浄アシル化多糖とカルボン酸を含有する水相とを回収する工程と
を含む、アシル化多糖の製造方法に関する。
本発明による方法は、一般的に界面活性剤の実質的または完全な非存在下で操作される。このような界面活性剤は、リグノスルホン酸塩もしくはアルキル(エーテル)リン酸塩のようなアニオン性界面活性剤、オクチルフェノールエトキシレートのようなアルコールエトキシレートもしくはテトラデシル硫酸ナトリウムなどの非イオン性界面活性剤、第四級アンモニウム化合物などのカチオン性界面活性剤、またはイミノジプロピオネートなどの両性界面活性剤を含んでもよい。特に、本発明による方法で実質的または完全に非存在である界面活性剤は、リグノスルホン酸塩である。
本発明に従うCa2+−イオン含有量を有する洗浄水が使用される場合、アシル化多糖後処理からの水溶液に、ナノ濾過または逆浸透膜を目詰まりさせる残渣、またはさらなるプロセスで使用される他の装置の閉塞なしに、ナノ濾過または逆浸透を施すことができる。溶媒、過剰な反応物質、またはカルボン酸などの貴重な副生成物は、特にそれらの再利用の点から見てこのアシル化方法を可能にする望ましい純度で効率的に回収され得る。好ましい方法において、酢酸セルロースの洗浄から生じ、かつさらなる再利用を施される10〜40重量%の酢酸を含有する水溶液は、さらなる使用の前に濾過されて、99%までの高い容積減少においてさえも、濾過膜を目詰まりさせることなく有機不純物を除去することができる。
用語「多糖のアシル化」は、多糖(PS)の遊離ヒドロキシル基とアシル化剤Aとが反応して、対応するアシル化多糖を形成することを意味することが意図される。特定の多糖は、式PS(OH)に対応し、アシル化剤と反応して、式PS(OH)3−x(OCOR)のアシル化多糖になる。式PS(OH)3−x(OCOR)において、xは、多糖中のヒドロキシル基のDS(置換度)を意味する。DSは、単糖単位当たりのアシル化ヒドロキシル基の平均量である。DSは、通常0.5〜3である。
本発明によれば、Rは、1〜18個の炭素原子を有する脂肪族または脂環式基、7〜12個の炭素原子を有する芳香脂肪族基、6〜12個の炭素原子を有する芳香族基である。Rは、1個以上のハロゲン、好ましくはフッ素、NO、フェニル、COOR、OR、またはC1〜6脂肪族基で置換された1〜12個の炭素原子を有する芳香族基で任意選択により置換され得る。Rは、C〜Cアルキル基であり、これは、1個以上のハロゲン、好ましくはフッ素で任意選択により置換され得る。
本発明はまた、混合アシル化多糖の形成に関し、ここで、「混合された」とは、2種以上のアシル化剤Aが反応中に存在しているか、またはカルボン酸R’COOHが(R’’CO)Oによるアシル化反応中に存在していることを意味することが意図される。一実施形態において、アシル化は、R’COOHの存在下でアシル化剤(R’’CO)Oによって行われて、PS(OH)3−x−y(OCOR’)(OCOR’’)を与える。やはり、DS(x+y)は、通常0.5〜3である。R’およびR’’は、もう一方から独立して、上記Rと同じものを意味する。
アシル化剤Aは、多糖の単糖単位のヒドロキシル基と反応し、それにより、アシル基−C(O)Rを転移して、アシル化多糖を形成することができる反応物質を意味することが意図される。アシル化剤は、例えば、カルボン酸無水物(RCO)Oであってもよく、ここでRは、上記のとおりに定義される。好ましくは、Rは、−C、−CHCHF、−CHCHFまたは−CHCFであり、カルボン酸無水物は、酢酸無水物、ジフルオロ酢酸無水物およびトリフルオロ酢酸無水物を含む群から選択されることを意味する。最も好ましくは、アシル化剤は、酢酸無水物である。他の好適なアシル化剤Aは、カルボン酸ハライドまたはカルボニルイミダゾールを含む。反応は、少なくとも1種の酸性化合物の存在下で行われてもよい。好ましい実施形態において、反応は、1種または2種の酸性化合物の存在下で行われる。最も好ましい実施形態において、反応は、2種の酸性化合物の存在下で行われる。
酸性化合物は、有機および無機の酸性化合物からなる群から選択されてもよい。好ましくは、酸性化合物は、カルボン酸および鉱酸を含む。より好ましくは、酸性化合物は、酢酸、ならびに好ましくは硫酸、塩酸および硝酸から選択された鉱酸を含む。最も好ましくは、アシル化反応は、酢酸および硫酸の存在下で行われる。
本発明において、用語「多糖」は、一般的にはグリコシド結合によって互いに連結された複数の単糖単位を含むポリマーを意味することが意図される。好適な多糖の例は、ポリグルコサン、例えば、セルロース、種々のセルロースの誘導体、例えば、メチルセルロース、または混合セルロースエーテル、例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはアンモニウムイオン、特に第四級アンモニウムイオンとそれらの種々の塩、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムおよび第四級アンモニウム基の、種々の対イオンを有する硫酸セルロース、デンプン、デキストリン、グリコーゲン、ポリフルクトサン、例えば、イヌリンおよびグラミニン、ポリマンノサン、ポリガラクトサン、混合多糖、例えば、ヘミセルロース、またポリキシロサンおよびポリアラビノサン、ならびにヘテロ多糖、例えば、ゲラン、キサンタンおよびプルランから選択される。好ましい出発原料は、セルロースおよびセルロース誘導体、デンプンおよびデキストリンであり、特に好ましい出発原料は、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの塩、ならびにデンプンである。好ましくは、出発原料は、セルロースまたはデンプンである。最も好ましくは、出発原料は、セルロースである。
本発明において、アシル化多糖は、アシル化多糖を水で洗浄する工程を含む方法で製造される。この洗浄工程において、不純物、溶媒、過剰の反応物質、過剰の試薬、副生成物、およびアシル化多糖に含まれる他の成分の含有量は、適切に減少する。この工程でアシル化多糖から分離される不純物は、例えば、カルボン酸、鉱酸、ヘミセルロース、ならびに単糖および二糖などの低級糖を含む。最も好ましい実施形態において、セルロースを酢酸無水物と酢酸および硫酸の存在下で反応させることによって調製される酢酸セルロースは、水で洗浄されて、酢酸、硫酸、ヘミセルロースおよび任意選択による他の不純物を除去する。本発明のある特定の態様において、本発明による洗浄工程で使用される水は、0.5mg/l以上のCa2+_イオンを含有する。本発明の別の態様において、Ca2+−イオン含有量は、0.1mg/l以上である。本発明の好ましい態様において、Ca2+−イオン含有量は、0.05mg/l以上である。一般的に、水相中に存在するCa2+−イオンの濃度は、15mg/l以下である。好ましくは、水相中に存在するCa2+−イオンの濃度は、10mg/l以下である。さらにより好ましくは、洗浄水中のCa2+−イオン含有量は、8mg/l以下である。最も好ましい実施形態において、洗浄水中のCa2+−イオン含有量は、0.05〜5mg/lである。本発明による方法は、洗浄工程から生じる水相中のカルシウム塩、例えば、CaSOの沈殿を回避させる。これらの沈殿物を回避することによって、ナノ濾過または逆浸透における水相のさらなる処理は、膜の顕著な目詰まりなしに可能であり、その結果、国際公開第01/05839号パンフレットに記載されたとおりのリグノ硫酸塩または他の界面活性剤の添加は必要ない。
したがって、本発明による方法は、一般的に界面活性剤、特にリグノ硫酸塩の非存在下または実質的な非存在下で操作される。
「界面活性剤の実質的な非存在」は、150ppm以下、好ましくは、100ppm以下、最も好ましくは50ppm以下の、水相中の界面活性剤の濃度を意味すると理解される。
Ca2+−イオンとの沈殿物の形態でCa塩を形成する傾向も、単独ではないが、Ca2+−イオンと塩を形成する、水相中に存在するアニオンの量に依存する。一般的に、本発明による水相中に存在するアニオンの量は、水相中のCa2+−イオンとアニオンから構成されるCa塩の溶解度積を超えないようなものである。
一般的に、水相中に存在するアニオンの濃度は、10mg/l以上である。しばしば、この濃度は100mg/l以上である。好ましくは、この濃度は、1000mg/l以上である。
一般的に、水相中に存在するアニオンの濃度は、20000mg/l以下である。しばしば、この濃度は、18000mg/l以下である。好ましくは、この濃度は、16000mg/l以下である。
Ca2+−イオンと塩を形成すべく水相中に存在する上述のアニオンは、一般的にアシル化方法において存在する酸性化合物に由来してもよい。好ましくは、アニオンは、SO 2−、OH、CO 2−、HCO 2−、PO 3−を含む。より好ましくは、水相中に存在するアニオンは、SO 2−である。
本発明の好ましい実施形態において、洗浄工程から回収された水相は、しばしばカルボン酸RCOOH、R’COOHおよび/またはR’’COOHを含む。R、R’およびR’’は、上記のとおり定義される。最も好ましくは、セルロースは、硫酸および酢酸の存在下で酢酸無水物でアセチル化され、その結果として、水相は酢酸を含む。水相がカルボン酸RCOOH、R’COOHおよび/またはR’’COOHを含む場合、本発明による洗浄工程から回収される水相中のカルボン酸RCOOH、R’COOHおよび/またはR’’COOHの濃度は、一般的には水相の全重量に対して1〜70重量%である。好ましくは、前記水相中のカルボン酸の濃度は、5〜50重量%である。10〜40重量%の水相中のカルボン酸RCOOH、R’COOHおよび/またはR’’COOHの濃度が、より特に好ましい。
ジクロロメタンまたはトルエンのような有機溶媒などの、他の溶媒、反応物質または試薬も、本発明によるアシル化方法で使用されてもよい。
本発明の好ましい実施形態において、水相に少なくとも1つのナノ濾過または逆浸透工程が施される。ナノ濾過または逆浸透工程に用いられる膜は、通常は有機分子に対して特定の保持能力を有する。
g/モルで表される、本発明の意味における「特定の保持能力」は、ナノ濾過または逆浸透により実質的に保持される有機分子の分子量の下限を意味すると理解される。この文脈における「実質的に保持される」は、特定の保持能力よりも高い分子量を有する有機分子の、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%(99.5%ではあるが)が、ナノ濾過膜または逆浸透膜によって保持されることを意味すると理解される。
本発明において、使用されるナノ濾過膜または逆浸透膜の特定の保持能力は、100g/モル超〜300g/モル超である。結果として、100g/モル超〜300g/モル超の分子量を有する分子の量は、ナノ濾過または逆浸透後の、「透過物(permeate)」とも称される、精製水相中で実質的に減少する。100g/モル以下〜300g/モル以下の分子量を有する有機分子は、一般的にナノ濾過膜または逆浸透膜を通過する。
本発明によって用いることができる膜の例には、Filmtec BW30(Dow Chemical)、ESPA1(Hydranautics)、XLE(Filmtec)、ACM4 TSA(Trisep)、Desal DK(Osmonics DESAL)、Desal DL(Osmonics DESAL)、およびAK1(Osmonics DESAL)が含まれる。最も好ましくは、膜は、Filmtec BW30(Dow Chemical)、ESPA1(Hydranautics)、XLE(Filmtec)、Desal DK(Osmonics DESAL)、Desal DL(Osmonics DESAL)およびAK1(Osmonics DESAL)から選択される。
本発明によるナノ濾過または逆浸透工程において、100g/モル超〜300g/モル超の分子量を有する有機分子の含有量は、用いられる膜および保持される分子のイオン電荷に依存して、透過物中で減少する。好ましくは、100g/モル超〜300g/モル超の分子量を有する不純物の量は、用いられる膜に依存して、90重量%以上だけ減少する。より好ましくは、減少は、95重量%以上である。最も好ましくは、99重量%以上(99.5重量%であるが)である。粒子状不純物も、ナノ濾過または逆浸透膜で保持され得る。その含有量が水相中で減少する有機分子は、例えば、ヘミセルロースおよびアシル化セルロース断片を含んでもよい。100g/モル以下〜300g/モル以下の分子量を有する有機分子は、用いられる膜および保持される分子のイオン電荷に依存して、一般的には濾過膜を通過する。したがって、透過物は、用いられる膜および保持される分子のイオン電荷に依存して、水は別として、100g/モル以下〜300g/モル以下の分子量を有するアシル化方法の副生物、過剰の試薬または反応物質を主として含有する。好ましくは、副生成物、溶媒または過剰の試薬は、RCOOH、R’COOHおよび/またはR’’COOHを含み、ここで、R、R’およびR’’は、上記のとおりに定義される。より好ましくは、透過物中の所望の副生成物、溶媒または過剰の試薬は、酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸を含む。最も好ましくは、透過物中の所望の副生成物、溶媒または過剰の試薬は、酢酸である。
好適には、流量、圧力および温度などのナノ濾過または逆浸透のための濾過条件は、製造業者の操作説明書に従って選択される。膜は、用いられる膜が温度などの所与の濾過パラメータで所与の水相中に含まれる成分に対して不活性であるように選択されるべきである。
ナノ濾過または逆浸透工程の前に、水相に、大きな粒子を除去するために「より粗な」濾過工程、例えば、砂床濾過、特別の濾布による深層濾過またはキャンドルフィルタエレメントが施されてもよい。
ナノ濾過または逆浸透後の水相中に含まれる所望の副生成物、溶媒または過剰の試薬は、抽出、濾過、乾燥または蒸留などのプロセス、または他の回収および/または精製方法によって回収され得る。好ましくは、ナノ濾過または逆浸透後の水相中に含まれる所望の副生成物、溶媒または過剰の試薬は、抽出および/または蒸留によって回収される。驚くべきことに、本発明による透過物からの副生成物、溶媒または過剰の試薬の回収および/または精製は、回収および/または精製プロセスの間に使用される装置の顕著な目詰まりまたは汚損なしに行うことができる。
不純物を含有する水相から分離される透過物の容積比は、容積%で表される、「容積減少(volume reduction)」(VRと略される)を意味する。例えば、60容積%のVRは、水相の60%が透過物として膜を通過したことを意味する。本発明によれば、濾過工程におけるVRは、40容積%〜99.5容積%である。好ましくは、VRは、60容積%〜99.5容積%である。最も好ましくは、VRは、70容積%〜98容積%である。
本発明の好ましい実施形態の特定の態様において、カルボン酸RCOOH、R’COOHおよび/またはR’’COOHは、透過物から精製形態で回収される。カルボン酸の回収は、上に記載された技術によって、特に抽出および/または蒸留によって行うことができる。本発明の好ましい実施形態のさらなる特定の態様において、精製形態で透過物から回収されたカルボン酸RCOOH、R’COOHおよび/またはR’’COOHは、次いで、例えば、対応するカルボン酸無水物、カルボン酸クロリドまたはカルボニルイミダゾールなどのアシル化剤に変換される。アシル化剤への変換は、例えば、SOClなどの塩素化剤との反応によって、または好ましくは、ケテンへの熱分解、そしてカルボン酸無水物へのさらなる反応によって行うことができる。より好ましくは、カルボン酸RCOOH、R’COOHおよび/またはR’’COOHは、対応するカルボン酸無水物(RCO)O、(R’CO)Oおよび/または(R’’CO)Oに変換される。さらにより好ましくは、回収カルボン酸は、酢酸、ジフルオロ酢酸および/またはトリフルオロ酢酸を含み、これらは、対応する酸無水物に変換される。最も好ましくは、回収カルボン酸は、酢酸であり、これは、酢酸無水物に変換される。
回収カルボン酸RCOOH、R’COOHおよび/またはR’’COOHから製造されたアシル化剤は、例えば、好ましくは本明細書で上に記載されたとおりの多糖のアシル化方法におけるアシル化剤として使用され得る。
参照により本明細書に組み込まれる特許、特許出願、および刊行物のいずれかの開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
これから先の実施例は、非限定的な仕方で本発明を例証するように意図される。
実施例1
セルロースを、A.Hummel,“Industrial processes”,Macromolecular Symposia,2004,Vol 208(1),p.61−80に記載されたとおりに硫酸と一緒の酢酸中で前処理した。次いで、活性化セルロースを、酢酸と酢酸無水物との混合物と45〜85℃の温度で反応させた。反応を完了後、反応混合物を水中60重量%の酢酸の溶液でクエンチした。この酸水溶液のために使用した水のCa2+−含有量は、4.6mg/lであった。次いで、反応混合物を、4.6mg/lのCa2+−イオンおよび16重量%の酢酸を含有する水中に注ぎ入れ、そして酢酸セルロースが沈殿する。沈殿した酢酸セルロースを、4.6mg/lのCa2+−イオンを含有する水で洗浄し、乾燥させた。クエンチング、沈殿および洗浄した、合わせた水相は、ほぼ30%の酢酸を含有した。この水相を5μmフィルタで濾過し、次いで、これにAK4040膜(Osmonics Desal)を使用してバッチ様式逆浸透を施した。96.3%のVRを達成したが、一方で透過物品質の低下、または膜もしくはフィルタ閉塞を示したであろう、操作圧もしくは5μmフィルタの差圧の増加はまったく観察されなかった。泡試験を行って、逆浸透の効率を制御した:透過物1部を水4部で希釈し、振とうした。すべてのVR値における逆浸透工程を通しての透過物の泡持続時間は5秒であったが、逆浸透前の水相の泡持続時間は300秒超であり、有機不純物の効率的な除去を示した。透過物にジエチルエーテルによる液/液抽出およびその後の蒸留を施し、氷酢酸を生成させた。抽出および蒸留の間、装置の目詰まり、外皮被覆または汚損はまったく観察されなかった。

Claims (16)

  1. アシル化多糖を製造する方法であって、
    (a)多糖をアシル化剤と反応させて、アシル化多糖を生成させる工程と、
    (b)前記アシル化多糖を、0.05〜15mg/lのCa2+−イオンを含有する水で洗浄する工程と、
    (c)洗浄された前記アシル化多糖、および工程(b)からのカルボン酸を含有する水相を回収する工程と
    を含み、前記水相が、ナノ濾過または逆浸透により処理されて、カルボン酸を含有する透過物を回収する、方法。
  2. 前記アシル化剤が酢酸無水物である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記多糖が、セルロースまたはデンプンである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記多糖が、セルロースである、請求項3に記載の方法。
  5. 工程(a)が、少なくとも1種の酸性化合物の存在下で行われる、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 工程(a)が、酢酸および硫酸からなる群から選択される、少なくとも1種の酸性化合物の存在下で行われる、請求項5に記載の方法。
  7. 濾過前の前記水相が、5〜40重量%の酢酸、0.05〜15mg/lのCa2+−イオンおよび10〜20000mg/lのSO 2−−イオンを含有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記水相が、100g/モル超〜300g/モル超の最小分子量を有する有機不純物をさらに含む、請求項に記載の方法。
  9. 前記ナノ濾過または逆浸透濾過が、100g/モル超〜300g/モル超の分子量を有する有機不純物を濾過する能力の膜を用いて行われる、請求項のいずれか一項に記載の方法。
  10. 容積減少が50%〜99%である、請求項のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記方法が、界面活性物質の実質的な非存在下で行われる、請求項10のいずれか一項に記載の方法。
  12. カルボン酸を回収する方法であって、
    (a)請求項11のいずれか一項に記載の方法を行って、カルボン酸を含有する精製水相を得る工程と、
    (b)前記精製水相に、少なくとも1つのさらなる精製工程を施す工程と
    を含む方法。
  13. (b)において、前記精製水相が、抽出、乾燥、洗浄、蒸留からなる群から選択される精製工程に供される、請求項12に記載の方法。
  14. 請求項12または13からのカルボン酸が酢酸であり、かつ多糖をアセチル化する方法が、(a)前記酢酸を酢酸無水物に変換する工程と、(b)多糖を、工程(a)により得られた酢酸無水物と反応させる工程とを含む、多糖をアセチル化する方法。
  15. 前記多糖がセルロースである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記アセチル化が、酢酸および硫酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸性化合物の存在下でさらに行われる、請求項14または15に記載の方法。
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